相関図・登場人物・キャラクター解説
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第1章 マッドマックス
008の少女
1984年10月28日、ペンシルベニア州ピッツバーグ。
警察に追われながら、マスクをつけたグループがアパートからバンで逃走している。トンネルに向かって走る途中、先頭のパトカーの運転手は、目の前のトンネルが崩れ落ちるのを見て、慌てて急ハンドルを切って停止させる。ところが車を降りてみると、トンネルは崩れておらず、それが“見間違い”だったことに気づく。
その頃、バンの中で、「カリ」と呼ばれる少女が、鼻から流れる血を袖で拭う。その腕には「008」というタトゥーが刻まれていた。
マッドマックス
マイク、ダスティン、ルーカスの3人は、小銭をかき集め、ウィルと合流して「パレス・アーケード」に向かう。ウィルを車で送るジョイスは、かなり過保護に接している様子だ。
ゲームセンターでは、ダスティンが『ドラゴンズレア』をプレイするが、平凡な結果に終わる。「俺の方が上手い」と自慢するルーカスに負けじと、他のゲーム『センティピード』と『ディグダグ』では一番であると対抗する。しかし店員のキースは、ダスティンに「お前のハイスコアが抜かれてるぞ」と知らせる。慌ててダスティンが確かめてみると、「MADMAX(マッドマックス)」という名前のプレイヤーに、大差で抜かれていること知る。
キースは、マイクが姉ナンシーとのデートをセッティングしてくれるなら、「MADMAX」が誰なのか教えてやると取引を持ちかける。そんなやり取りの中、ウィルは外で雪のようなものが降っていることに気づく。するとその瞬間、ゲームセンターから人が消えていた。ウィルが外に出ると、赤い稲妻を伴った不気味な嵐が近づいているのが見える。次の瞬間、マイクの声で我に返り、元のゲームセンターに戻る。ウィルは裏側の世界のビジョンに取り憑かれているようだ。
ホッパーとジョイス
警察署長ジム・ホッパーのもとには、元ジャーナリストの陰謀論者、マレー・バウマンが現れる。彼は坊主頭の超能力者についての噂を持ち出し、ロシアの実験体だと主張する。奇しくもイレブンに関する噂は、ほとんどが当たっているが、ホッパーはバウマンの話を一蹴する。
その後ホッパーは、突然カボチャが全滅したと訴える農家、メリル・ライトの畑へ向かう。メリルは、証拠はないものの、隣人の嫌がらせだと主張する。そんな中、トウモロコシ畑からの物音に警戒して入っていくと、正体はただのカラスだった。
一方ジョイスの職場には、彼女の新しい恋人で、高校時代の同級生でもある電気屋店員ボブ・ニュービーが現れる。2人は店のバックヤードでイチャつき、今夜の映画デートの約束を再確認する。
カリフォルニアからの転校生
ナンシーは、卒業後の進路に悩むスティーブの相談に乗っていた。彼の大学の志望願書を添削し、卒業後の2人の関係について話し合う。そんな中、カリフォルニアから来た一台の車が学校に到着し、高校生の少年と、スケボーに乗った中学生くらいの少女が降りてくる。堂々と歩く少年は周囲の女子生徒たちの視線を集めた。
ウィルはロッカーの上に置かれた新聞記事の切り抜きを見つけ、そこに自分が「謎の生還を遂げた少年」として載っており、その上に「ZOMBIE BOY(ゾンビボーイ)」と落書きされているのを目撃する。
科学教師スコット・クラークによる授業中、先ほどのスケボー少女が教室に入ってくる。彼女の名前は「マキシーン・メイフィールド」、通称マックスだ。少年たちは彼女をじっと見つめ、そのあだ名「マックス」と、ゲームの「MADMAX」を結びつけずにはいられない。
検査
ナンシーはハロウィンパーティーの招待状を2枚受け取り、そのうち1枚をジョナサンに渡し、彼にも外に出て楽しんでほしいと誘う。そこへスティーブが現れ、ナンシーとイチャつき始めると、ジョナサンは静かにその場を離れていく。
校庭でマックスを眺めながら、ルーカスとダスティンは彼女こそ「MADMAX」だと確信するが、マイクは半信半疑だ。そんなマックスは少年たちの熱視線に気づいていた。その後、ウィルは定期検診のため呼び出されていく。マイクたちは、ウィルに元気がないことを察している。
ウィル、ジョイス、そして“父親”役として同伴しているホッパーは、「ハーキンズ国立研究所」の新しい責任者サム・オーウェンズ博士と会い、定期検査を受ける。一通りの検査をしたあと、ウィルは脳波測定器につながれ、前日に見たビジョンについて明かす。その様子は、研究所の職員たちによってモニター越しに監視されている。
ウィルがその時見た光景を詳しく説明すればするほど、脳波は激しく反応。ウィルが見た悪魔の目的を尋ねられると、「自分以外の全員を殺そうとしている」と語る。
オーウェンズ博士は、「できるだけ普段どおりに接するように」と助言するが、ジョイスはあまり納得していない。ホッパーはウィルのPTSDを心配し、何かあったらすぐに自分に電話するよう念を押す。その後、オーウェンズ博士は、地下の隔離エリアで研究員がゲートを火炎放射器で焼却しようとする様子を見守る。
喪失の寂しさ
アーケードの外では、ダスティンとルーカスが、マックスが車で送られてくるのを見守る。どうやら運転手の高校生とマックスは口論しているようだ。その後、マックスが『ディグダグ』を華麗にプレイするのを見て、2人は彼女が「MADMAX」だと確信する。
一方マイクは、ナンシーの貯金箱からお金を盗んだ罰として、大量のおもちゃをガレージセールに出すよう言われる。母カレンは、最近のマイクの問題行動を心配している。マイクは仕方なく地下室でおもちゃを箱詰めするが、その中からイレブンとの思い出が詰まったものだけは残した。
彼は今も、イレブンのための毛布のテントをそのままにしていて、そこでトランシーバーを使い、失踪以来毎日呼びかけをしているが、返事はない。そんな中、スピーカー越しに自分の名前を呼ぶイレブンの声が聞こえるが、ダスティンの介によって中断される。ダスティンはマックスの正体がわかったことを興奮気味に伝えるが、マイクは興味を示さない。
そのころナンシーとスティーブは、毎週恒例となっているバーバラの両親との夕食に参加。彼女の両親は、娘の行方を依頼したマレー・バウマンに多額の報酬を支払うため、家を売る準備をしていると打ち明ける。バーバラの死を知るナンシーは静かにショックを受ける。
事件のトラウマ
ダスティンが家に帰ると、異音を耳にするが気にしない。玄関先のゴミ箱では何かが揺れ動いている様子だ。
ジョナサンはウィルが「ゾンビボーイ」の自画像を描いているのを見つける。ウィルは、周囲が自分を“壊れやすい存在”のように扱うことに嫌気が差し、余計に自分が「変」だと感じさせるのだと打ち明ける。ジョナサンは、「普通でつまらないやつよりよっぽどいい」と伝え、兄として本音で彼を励ました。
その後、4人(ジョイス、ボブ、ジョナサン、ウィル)は一緒に映画を楽しむが、電話が鳴ると、ジョイスは不安な表情を浮かべる。彼女も事件のトラウマに悩まされているようだ。
その夜、研究所では機械類が次々と異常を示し始めていた。ウィルが夜中にトイレに起きると、玄関の外に裏側の世界が広がっていた。赤い稲妻と嵐が襲来し、巨大な怪物のような影を照らし出す。
ホッパーとイレブン
その頃、ホッパーは森の中に張られたトラップを避けながら進み、ある小屋にたどり着く。施錠されていたドアは、決まったリズムでノックすると自動的に開いた。中に入ると、テーブルの上にはワッフルが置かれて、夕食の準備がされた皿が並んでいる。ホッパーが席につくと、そこにはカーリーヘアに伸びた髪、オーバーオール姿のイレブンの姿があった。2人は向かい合って座り、夕食を一緒に食べ始める。
第2章 変わり者たちのハロウィン
マイクと離れた後のイレブン
デモゴルゴンを倒したあと、イレブンは裏側の世界で目を覚ます。状況がわからず混乱しながら、マイクの名前を叫んで探し回る中、ゲートを見つける。イレブンは能力を使ってゲートをこじ開け、現実世界に戻っていた。
イレブンは急いでウィーラー家に向かうが、そこはホーキンス研究所の職員たちであふれており、彼らは「イレブンは危険だ」と主張する。イレブンは窓からこっそり様子を見ると、マイクの姿あった。マイクもイレブンの姿に気づいたようだ。しかし研究所の人間がそれを察すると、イレブンはその場から逃げ出し、森の中へと身を隠す。
時は現在に戻り、ハロウィン間近。イレブンはホッパーに、ハロウィン仮装で街に出たいと頼むが、ホッパーはリスクを犯すことはできないと伝える。その後、一人で過ごすイレブンは、窓の外にいるリスを見て、逃走中に森の中でハンターの男を倒してコートと帽子を奪ったことを思い出す。
ハロウィン当日
翌朝、ジョイスはウィルのベッドが空なのを見て一瞬パニックになるが、すぐに彼がトイレにいるだけだと気づいて安心する。しかし机の上に、ウィルが描いた“怪物の絵”が置いてあるのに気づく。ジョイスが問いただしても、ウィルは発作ではないと伝える。
ウィル、ダスティン、ルーカスは、ゴーストバスターズのコスプレでハロウィンを迎える。しかし学校に着くと、周りは誰もハロウィンコスプレをしておらず、4人は気まずい空気に包まれる。ダスティンとルーカスは、マックスに声をかけようとするが、勇気が出せなかった。
ジョイスはウィルの描いた怪物の絵をホッパーに見せ、その背景の風景が、まさに自宅の庭そのものだと気づき、心配する。ホッパーはウィルのトラウマを理解しながらも希望もあると励まし、2人は高校時代の思い出を共有する。
一方、研究所の地下では、ゲートの中に兵士が入り、オーウェンズ博士の指示で、裏側の世界に設置された機械を修復。両方の世界をつなぐシステムを復旧させる。そんな中オーウェンズは、ウィルのカウンセリング記録の録音を聞き返していた。
ナンシーは図書室でバーバラに似た生徒を見つけ、しばらく放心していた。スティーブが気づいて彼女を廊下に連れ出すと、ナンシーは「バーバラに何が起きたか知らないふりをするのに疲れた」と打ち明ける。しかしスティーブは、真相を明かせば逮捕されるとリスクを指摘し、ハロウィンパーティーで現実逃避しようと提案する。
放課後、ダスティンとルーカスは、ついにマックスに声をかける。不慣れな様子でハロウィンのお菓子集めに誘うが、マックスはそっけない態度で去っていく。彼女は義理の兄ビリー・ハーグローブの車で帰宅していた。道中、車内ではビリーはマックスの遅刻と、ホーキンスへの文句を言い続ける。さらにビリーはわざとスピードを上げ、前を走っているマイク、ダスティン、ルーカスにギリギリまで迫って驚かせる。
腐ったカボチャの謎
カボチャ農家のユージーンが警察署に駆け込むと、畑のカボチャが腐ったと訴える。彼はその原因が、以前同じ相談をしてきたメリル・ライトだと信じ込んでいた。そして同様の現象が複数件起きていた。
その後、被害にあった畑に行くと、周囲の木々にまで腐敗した粘着質の“何か”が張り付いているのを発見する。ホッパーは不信感を高めて、対象をマーキングさせる。
その後、森の中で腐敗の広がりを追う中で、奇妙な音を耳にするが、イレブンと「夜7時までに帰る」という約束をしていたことを思い出し、急いで帰路につく。ホッパーは無線を通じたモールス信号でイレブンに「遅くなる」と伝える。
ハロウィンの夜
夜、ジョナサンは車でウィルを友達のところに送っていく。ウィルは過保護に扱われることにうんざりしていた。それを察したジョナサンは、条件付きで一人で友達のところへ送り出す。
その頃、ハロウィンパーティーでは、ビリーの飲みっぷりに周りは大盛り上がり。その一方でナンシーは、バーバラを忘れたい一心でひたすら酒をあおり、スティーブを困惑させる。一方、ジョイスとボブも自宅でダンスを楽しむが、ジョイスはウィルが自分のそばにいないことが不安でたまらない。
マックスはホラー映画『ハロウィン』の殺人鬼マイケル・マイヤーズの仮装をして、ダスティンとルーカスの前に現れる。彼らはマックスにいいところを見せようと必死で盛り上げようとするが、マイクは2人が勝手にマックスをグループに入れたことに不満の様子だ。
そんな中、ウィルは不良グループにからわかれて突き飛ばされ、地面に倒れ込むと、その瞬間、彼の意識は再び裏側の世界へ引きずり込まれる。ウィルはそこで影の怪物が空を覆い尽くす姿を目撃する。その後マイクは、民家の裏に隠れて震えているウィルを見つけ、声をかけて現実に引き戻し、ウィルだけを連れて家に帰る。
一方、ウィルを見送った後のジョナサンは、参加する予定のなかったハロウィンパーティーへ向かう。そこでナンシーとスティーブが口論になっているのを目撃する。酒を飲みすぎたナンシーはすべてに対して「クソ」だと吐き捨て、ショックを受けたスティーブは会場を去っていく。ジョナサンは酔い潰れたナンシーを家まで送り届け、彼女をベッドに寝かせて部屋を後にする。
それぞれの悩み
マイクの家では、ウィルがさっきの“発作”について説明する。「現実世界と裏側の世界の間に閉じ込められているみたい」と明かし、巨大な怪物のことも打ち明けるが、「みんなには言わないでほしい」とマイクに頼む。マイクも同様に、「時々イレブンの姿や声を感じることがる」と正直に打ち明け、「どうせおかしくなるとしても、一緒におかしくなろう」と約束する。
ホッパーが小屋に戻ると、イレブンは部屋に閉じこもり、テレビごと自分の部屋に引きこもっていた。ホッパーが遅れたことを謝っても、彼女は扉を開けようとしない。イレブンはテレビを砂嵐に切り替え、目隠しをして自発的に“何もない黒い空間(ヴォイド)”に意識を飛ばす。そこでイレブンはマイクの無線の呼びかけを聞いていたことが明かされる。マイクはイレブンの気配を感じたように見えるが、2人の感覚がつながることはなかった。
そのころダスティンは、自宅の前でゴミ箱がガタガタ揺れている音を聞く。恐る恐る蓋を開けて中をのぞき込むと、「何だよこれ…」と絶句する。
第3章 未知なる生物
ダート
ダスティンは、ゴミ箱の中で見つけた“何か”をこっそり家に持ち込み、カメのテラリウムに入れる。それは顔のない二足歩行の両生類のような生き物だった。ダスティンはそれ「ダルタニアン(ダート)」と名づける。ダスティンは爬虫類の本を読みながら寝落ちするが、その間にダートは聞いたこともないような不気味な鳴き声をあげていた。
イレブンはマイクが自分を必要としており、会いたいと訴えるが、ホッパーの「すぐに会わせてやる」という言葉に苛立ちを募らせる。彼女はその言葉を一年近く言われ続けているからだ。イレブンはホッパーが約束を守る気がないと怒り、ワッフルの皿をホッパーにぶつけて自分の部屋にこもってしまう。
ボブはウィルを車で学校まで送る途中、自分が子どもの頃に恐怖対象だったピエロの悪夢の話をする。その悪夢を追い払えたのは、ピエロに夢の中で立ち向かったときだったと伝える。
ダスティンは図書館に立ち寄り、爬虫類に関する本を何冊も借りて学校へ向かい、「昼休みになったらAVルームに集合な!」とマイクたちとマックスに伝える。その後ダスティンは、マイクたちにダートを見せるが、自分でもそれが爬虫類なのかどうか分からない。そんな中ウィルは、ダートの発する声を聞いて、裏側の世界で感じた不気味な感覚を覚える。
ホッパーとイレブンの出会い
小屋では、イレブンがマイクに連絡を取ろうかと考えるも、とりやめた。ホッパーに初めてこの小屋に連れてこられた日のことを思い出す。どうやらこの場所はホッパーの祖父の小屋で、もともとは物置のように使われていた場所のようだ。ホッパーは「イレブンの家」だと伝え、2人は協力して内部を片付けて住めるように整え、モールス信号の無線を設置し、外にはワイヤートラップを仕掛けた。
ホッパーはイレブンに「3つのルール」を守るように伝えるが、現在のイレブンはすべてを破り、小屋を出てしまう。そして彼女はある家の裏庭で、母娘に出会うと、能力で物を動かして注意をそらし、姿を消す。
警察署では、ホッパーは町の農地のあちこちに広がる腐敗現象をマップに記したものから、それらがすべて、ある一点から広がっていることに気づく。彼はそれオーウェンズ博士に伝えて調査するように依頼するが、彼は乗り気ではない。渋々承諾した博士から、腐敗した土地を封鎖するために口実を考えるように伝えられる中、イレブンの目撃情報の連絡を受け、現場に急行する。
もとには戻らない
高校では、ビリーがスティーブを挑発しながらバスケをする。そこへナンシーが現れてスティーブを呼び出す。スティーブはパーティーで酔ったナンシーの言葉を持ち出し、「俺のことが好きかどうか言ってほしい」と迫るが、ナンシーは「愛してる」とは言えなかった。たまらずスティーブはその場をあとにする。
その後ナンシーはジョナサンと話しながら、自分の心が揺らいでいることに気づいていく。ジョナサンはスティーブの顔を立てる形で介抱したことを伝えるが、ハロウィンの夜にスティーブへ吐き出した言葉が「もしかすると本心だったのかもしれない」と本音を漏らす。2人は状況が一変し、完全には元どおりにならない虚しさに共感する。
そんな中、テープレコーダーを目にしたナンシーは何かをひらめいたかのように「研究所を潰す方法があるかも」と伝える。その後、2人はバーバラの母・ホランド夫人に電話をして面会の約束を取り付ける。しかしその会話は、ホーキンス研究所の職員によってすべて盗聴されていた。
昼休み、ボブはジョイスの職場に現れると、ビデオカメラにハロウィンでウィルがいじめられた映像が映っていたことを知らせる。ジョイスがそれを見ると、ウィルが発作を起こしたタイミングで、空に黒い影のようなノイズが浮かび上がっていることに気づく。彼女はそれをトレースすると、ウィルが描いていた怪物の絵と酷似していた。
ダートの脱走
ダスティンらはダートをクラーク先生に見せようとする。しかしその直前に、ウィルがマイクに気づいたことを打ち明けたことで、マイクは急いでダートを見せるのを阻止する。マイクはダートが裏側の世界から来たと推理し、ホッパーのところへ持っていくべきだと主張するが、ダスティンは「ダートが殺される」と反対。マイクがダートを攻撃しようとするのをダスティンが防ぐと、その隙にダートは教室から逃げ出し、学校の廊下へ出てしまう。
その頃イレブンは、ホーキンス中学校にたどり着き、マイクの自転車を見つけて嬉しそうな表情を浮かべる。一方、少年たちは散らばってダートを探し回っている。マイクは体育館でマックスと鉢合わせするが、マックスを新しな仲間だと認めていないマイクは、マックスと口論になる。
しかしマックスはスケボーでマイクの周りをくるくる回り、マイクの表情を緩ませると、タイミングよく体育館の外からその様子を見ていたイレブンは、力を使ってマックスを転ばせる。彼女の目にはマイクが新しい女の子と楽しそうにしているようにしか見えないからだ。マイクはイレブンが近くにいるかもしれないと直感するが、すでにイレブンの姿はなかった。その頃ジョイスは、ウィルを心配して中学生に車を走らせる。
一方ウィルはトイレでダートを見つけるが、その鳴き声を聞くうちに、再び発作が始まってしまう。裏側の世界のビジョンが再び彼に迫り、ウィルは校舎の外へ逃げ出していく。ウィルの知らせでダスティンはトイレでダートを見つけると、とっさにダートを帽子の中に隠してマイクたちに誤魔化した。
空を覆う巨大な怪物の影がウィルに迫ろうとしていた。ウィルは、ボブのアドバイス「怖いものには立ち向かえ」を思い出し、逃げるのをやめて影に向き合うことに決める。しかし、彼の必死の叫びも通じず、怪物の触手はウィルの体に触れ、黒い“何か”がウィルの中へと入り込んでいく。
第4章 賢者ウィル
怪物に取り込まれたウィル
影の怪物の触手がウィルの体内に入り込んでいる間、現実のウィルは直立不動で固まっている。マイク、ダスティン、ルーカス、マックスそして駆けつけたジョイスが必死に呼びかけるが、ウィルが目を覚ますのは、怪物の“注入”が終わったあとだった。
家に戻ったウィルは、何が起きたのか自分では覚えていない。ジョイスはウィルが描いた“影の怪物”の絵を見せると、「あれは怪物っていうより、感覚に近い」と言う。翌日、ホッパーとなかなか連絡がつかないジョイスは、ウィルの体温は明らかに異常な低さを示していることに気づく。湯船で体を温めようとするが、ウィルはお湯に対して異様に怯えて拒否する。「あいつは、寒いのが好きなんだ」。自分の身体の中にいる“何か”が、ウィルの体に影響しているようだ。
ホッパーがジョイスの連絡に気づいてやってくると、ウィルは自分が見ている光景を「遠いけど今の感覚」だと表現する。言葉にするのが難しいと語るウィルにジョイスは絵で伝えることを提案。すると彼は無我夢中で何十枚も描き始める。
最初、ジョイスとホッパーにはその紙片がただの意味不明な落書きにしか見えなかった。しかし絵同士がつながることに気づき、すべての絵をパズルのように繋いでいくと、青い線による巨大な迷路のような形が現れる。ホッパーはそれが蔦や根のように張り巡らされた“何かの地図”だと推理し、腐ったカボチャ畑で見た異常とつながっていると直感。急いで家を飛び出していく。
イレブンの孤独
外出したイレブンが小屋に戻ると、ルールを破ったことで怒りを露わにして待っていた。しかしイレブンは反抗的な態度で部屋の中を荒らし始め、ホッパーはテレビの線を引き抜き、2人は言い合いになる。翌朝、ホッパーは一度は謝ろうかと迷うが、結局「部屋を片づけておけ」とぶっきらぼうに言い残して、小屋を出て行く。
一人残されたイレブンは、言いつけ通り部屋を片づけている最中、床下収納を発見し、段ボールの中からホーキンス研究所に関するファイルを見つける。その中にはテリー・アイヴスという女性の記事と、テリーとブレンナー博士が写った写真があった。
イレブンはラジオのノイズを使って感覚遮断空間(ヴォイド)へ行き、そこでテリー・アイヴスと出会う。彼女はイレブンを見つめて「ジェーン」と名前を呼ぶ。イレブンが彼女の手に触れると、テリーの姿はふわっと消えていく。イレブンはひとり置き去りにされた状態で「ママ」と言葉にして涙を流す。
ナンシーとジョナサンの決意
ナンシーはジョナサンは学校を休み、2人でバーバラの母・ホランド夫人と会う約束をしていた。しかし指定の場所に向かうと、周りにはこちらを監視しているような人影が複数あった。ナンシーとジョナサンは危険を感じてその場を離れようとするが、車に戻ろうとしたところで男たちに呼び止められる。
2人が連れて行かれた先は、やはりホーキンス研究所だった。オーウェンズ博士は、昨年の“失敗”を認めるも、今は状況を“管理”しているだけだと強調する。そして地下へ案内し、2人に巨大なゲートを見せる。
完全に破壊することはできないが、触手が広がるのを抑え込むことはできているのだと話し、「この存在が敵国に知られれば、兵器として利用されることになる。誰にも知られてはならない」と釘を刺す。ウィルやバーバラの被害についても、家族に真実を伝えることはできないと主張する。一方でナンシーはオーウェンズ博士との会話を録音していた。2人は研究所と真正面から戦う覚悟を固めていた。
ダートと青い迷路
ダスティンはダートをこっそり家で飼い続けており、ダートは急速に大きくなっている。彼はエサを与えてから学校へ向かうと、学校ではルーカスたちがダートを捜しているが、ダスティンは何も言わない。クラーク先生は授業で「どんな生き物も恐怖を感じるようにできている」と話しており、それは少年たちの状況にもどこか重なって聞こえる。
一方、マイクはバイヤーズ家に電話をかけるが、誰も出ない。彼はルーカスとダスティンに、ハロウィンの夜に起きたウィルの発作の詳細を打ち明け、「影の怪物とウィルの関係はただの夢ではない」と感じていることを話す。3人は手分けして動くことに決め、マイクはウィルの様子を見に行き、ルーカスとダスティンはダートの行方を追うことにする。マックスは自分がグループから外されていることに怒って立ち去る。
マイクはバイヤーズ家を訪れると、ジョイスはウィルの状態を隠そうとするが、マイクは「影の怪物のことは知ってる」とジョイスに打ち明ける。
その頃、ダスティンは急いで家に帰り、ダートを確認しようとすると、ガラスのテラリウムは割られており、中には“脱皮した皮”のようなものだけが残っていた。部屋には血の跡があり、それをたどると、そこにはひと回り大きく成長したダートが、飼い猫ミューズをむさぼり食っている光景が広がっていた。ダートがダスティンに気づいて振り向くと、頭部が花のようにパッと開き、内側には無数の鋭い歯を見せる。まさにデモゴルゴンそのものだった。
同じ頃、ホッパーは腐ったカボチャ畑の地面をスコップで掘り進めていた。土を掘り下げていくと、有機的な“膜”のような物質に突き当たる。そしてその先には空洞が現れる。ホッパーがそこに飛び降りると、目の前には長く暗いトンネルが伸びていた。そこはまさにウィルが描いた青い迷路だった。
第5章 ディグダグ
怪物側のスパイ
ウィルの描いた絵がバイヤーズ家の壁と床を埋め尽くす。ウィルはマイクに影の怪物の意思が頭の中に流れ込んでくると伝える。ウィルにとっては恐怖以外の何ものでもないが、マイクはそれを逆手に取り、“怪物側のスパイ”になれば、相手の動きが読めるかもしれない」と希望を示す。ウィルはバレたときの不安を口にするが、マイクは「僕たちがついている」と強く言い切る。
一方、ホッパーは畑の地下にあるトンネルをひとりさまよっていた。暗い通路を進んでいると、何かの叫び声のような音が響き、その直後、壁が白い胞子をぶちまけられてしまう。その後ろを、黒いツタが這うようにじわじわと追いかけてくる。
地上のバイヤーズ家では、ウィルが悪夢から飛び起きて「ホッパーが危ない!」とジョイスに叫ぶ。地下でのホッパーの状態は、ウィルの頭の中で共有されていた。
研究所を告発する方法
ナンシーとジョナサンは、マレー・バウマンに会うためにイリノイへ車を走らせる。その道中、2人はモーテルの一室をとって一泊する。そこでナンシーはスティーブとよりを戻す前に、ジョナサンのことを待っていたと明かす。2人は互いに気になる存在でありながらも、そこから一歩先には進まない。
翌日、2人はイリノイ州にあるマレー・バウマンのバンカーに到着する。彼はホーキンスの一連の事件を“オカルト陰謀論”的な解釈で追いかけているが、ナンシーはそれを見て、次々と矛盾を指摘していく。結果的に、2人はホーキンスでの真相をバウマンに共有することになる。
その上でナンシーはホーキンス研究所を潰す方法を尋ねるが、バウマンは真実をそのまま語っても誰も信じないと主張。そこで彼は、「化学薬品の漏えいで、町の人間が病気になった」という、“より現実的で研究所を追い詰められるストーリー”に仕立てることを提案する。
ダート隔離作戦
ルーカスは父に女性の扱いを聞き、そのアドバイスを頼りにマックスに真実を話すことにする。ゲームセンターのバックヤードに呼び出されたマックスは、ルーカスの真剣な表情とは対象的に、軽い態度だ。
一方その頃、ダスティンの家では母クラウディアが飼い猫ミューズを探している。ダスティンは町外れで目撃されたと嘘をつき、母を家から遠ざけると、ホッケーの防具で全身をガチガチに固め、自宅庭のバンカーまでの“エサの道”を作り、ダートをなんとかおびき出して隔離することに成功する。
その後、庭にミューズを埋葬し、仲間に緊急事態を知らせようとするが、誰からも応答はない。ダスティンは次の一手として、マイクを探しにウィーラー家へ。しかし出てきたのは相変わらず役に立たない父テッドだけで、マイクもナンシーも居場所は不明だ。
そんな中、ナンシーと仲直りしようと家に向かってきたスティーブとバッタリ遭遇。ダスティンはすかさず彼を引き止め、「まだあの釘バット持ってる?」と確認し、「とにかく事情は行きながら説明する」と強引に車に乗り込んでいく。
イレブンの母の記憶
イレブンはヒッチハイクでテリー・アイヴスの家へ向かい、テリーの妹・ベッキーに姉の娘「ジェーン」であることを訴えて彼女と面会する。リビングには、相変わらず揺り椅子に座り、遠くを見つめたまま同じ言葉を繰り返すテリーの姿がある。
「虹」「右に3つ、左に4つ」「息」「ひまわり」「450」
意味が分からない単語の羅列を、テリーは途切れることなく延々とループさせている。ベッキーは、テリーが「ジェーンが帰ってきたときのために」用意していたという小さな部屋を見せ、「ここに住んでいい」と提案する。
イレブンに家族とのつながりが生まれた瞬間、家の明かりがチカチカと点滅し始める。テレビのチャンネルが次々に切り替わり、やがて砂嵐の画面で止まる。テリーの鼻からは血が流れ落ちており、イレブンは直感する。「お母さんが、何かを話そうとしている」 のだと。
イレブンはテーブルクロスを切って即席のアイマスクを作り、感覚遮断空間(ヴォイド)へ入る。暗闇の中でテリーに近づき声をかけると、テリーは「ノー」と拒絶する。すると景色が切り替わり、若い頃のテリーの記憶が流れ込んでくる。
テリーはジェーンを妊娠し、帝王切開で出産したが、生まれたばかりのジェーンはブレンナー博士に連れて行かれ、周囲には「流産だった」とウソが伝えられてしまう。その後、テリーは銃を手に研究所へ乗り込み、子供部屋でジェーンともう一人の少女の姿を発見するが、娘を抱きしめる前に取り押さえられ、ブレンナー博士によって電気ショックを与えられてしまう。
その結果、テリーの精神は壊れ、断片的な記憶がループし、単語として彼女の口から出ていたのだ。現実に戻ったイレブンは、自分の過去と母の苦しみを知り、ただ呆然とするしかなかった。
ホッパー救出作戦
バイヤーズ家では、ウィルがホッパーのいる場所を描くが、その場所がどこなのかがわからなかった。そこへ、ウィルの様子を心配したボブがやって来る。ジョイスは一瞬ためらうが、何も聞かないことを約束に、家の中へ招き入れ、壁一面の絵を見せる。ボブは最初戸惑うが、絵の形がホーキンスの地図であることに気づき、ひらめき力を発揮する。
ホッパーによっておおまかな場所が特定できると、4人は急いで車に乗り込んで現地に向かう。ホッパーのパトカーを見つけると、その先に掘られた大きな穴を発見。ジョイスとボブは地下のトンネルに入り、ホッパーが残した跡を追っていく。
やがて2人は、ツタにぐるぐる巻きにされ、拘束されたホッパーを発見。ジョイスがツタを切り裂いてホッパーを解放したところで、防護服姿の研究所の兵士たちが現場に到着し、4人を地上へ誘導する。
兵士たちが火炎放射器でトンネルのツタや蔦を焼き始めた瞬間、地上にいるウィルは突然、激しい悲鳴をあげ、全身を痙攣させる。ウィルの中に入り込んだ“影の怪物”と、地下のトンネルの“ネットワーク”は、すでにひとつにつながっていた。ツタが焼かれる痛みは、そのままウィルの身体にも襲いかかる。
第6章 スパイ
影の怪物の感染
ホーキング研究所へ運ばれたウィルは、診察の結果、体に火傷の跡はないが、燃やされていると感じていることが判明。強い鎮静剤を投与される。一方ホッパーは、胞子を落とすために全身をくまなく除染される。
その頃、ダスティンとスティーブは車でダスティンの家へ向かい、小さなデモゴルゴン(デモドッグ)がいることを伝える。現場につくと、そこにあったのは脱皮した皮だけで、ダートは壁を掘り抜き、どこかへ逃げ出したあとだった。
ジョイスはオーウェンズ博士たちに、ウィルの体に起きていることを問いただすが、科学者・医者たちは誰ひとりとしてわかるものはいなかった。そんな中ウィルが目を覚ますと、彼はボブやオーウェンズ、ホッパーの記憶を失っていることが判明する。どうやら記憶が少しずつ侵食されているようだ。
オーウェンズ博士は、地下トンネルから採取した触手のサンプルを持ち込み、それをバーナーの火で炙ってみせる。するとその瞬間、ウィルはベッドの上で激しくのたうち回る。焼かれる触手とウィルの神経が直結していることは明白だった。
研究所の別フロアでは、ホッパーの隔離が解除され、オーウェンズ博士が彼を巨大な縦穴の縁まで案内する。そこにはゲートから伸びた根のような構造物が地下深くまで広がっていた。侵食を止めるには焼き続けるしかないが、焼けば痛みがウィル体に共有されてしまう。研究所は判断がつかずにいる。
ナンシーとジョナサン
その頃、ジョナサンとナンシー、そしてマレー・バウマンは、ホーキンス研究で録音したオーウェンズ博士の自白テープをコピーし、全米の新聞社に送ろうとしていた。ひと仕事を終えた3人は、バウマンの地下バンカーでささやかに乾杯する。遅くなったことで地下バンカーで宿泊することになる。
バウマンはジョナサンとナンシーの微妙な距離感を察し、2人の心理を言い当てる。核心を突かれた2人は、余計に互いが気になって眠れない。2人が同じタイミングで話そうとすると、一気に空気が一変し、キスをする。ようやく2人は一線を越えて夜をともにする。
翌朝、2人は新鮮な気持ちでホーキンスへの帰路につくが、バイヤーズ家に戻った2人を待っていたのは、誰もいない家と、家中に残されたウィルの絵だけだった。2人は何か異常事態が起きていることを察する。
廃品置き場での闘い
ルーカスは妹エリカからダスティンの「コード・レッド」を知り、折り返すと、ダスティンは状況説明もろくにせず、「装備を整えて廃品置き場に来い!」と言い放つ。
すでに廃品置き場に向かっていたダスティンは、釘バットを抱えたスティーブとともに、ダートことデモドッグと戦う準備を進めていた。その道中、ダスティンはスティーブから「女子の扱い方」を教わる。余裕な素振りと髪の毛の管理が大事なんだとか。
ルーカスはその頃、マックスの家を訪ね、「話したことが本当だと証明する」と説得して、ビリーに見つからないように彼女を連れ出していく。廃品置き場で合流すると、ダスティン、スティーブ、ルーカス、マックスの4人は、廃バスを要塞化して迎え撃つ準備を進める。その最中、マックスは両親の離婚が原因でビリーが攻撃的になったことをルーカスに明かす。
夜になり、周囲に霧が立ち込める中、ダートが姿を表す。うまく餌に誘導されないことで、スティーブは自らが囮になってダートに近づいていく。すると周囲から別のデモドッグが近づいていることが判明。合計4体のデモドッグに囲まれながらも、スティーブは必死で応戦し、どうにか全員でバスの中に逃げ込むことに成功。1体が天井のハッチから侵入しようとするが、その瞬間、どこかから呼び声のようなものが響き、ダートたちは全員一斉に走り去っていく。
危機一髪の緊張感の中、ルーカスとマックスは、お互いの手を握りしめていたことに気づく。
スパイ
研究所でウィルは地図の中の一点を指さし、「影の怪物が見られたくない場所」と告げる。ラボ側は兵士たちをそこへ向かわせ、オーウェンズ博士やホッパーたちは管制室からカメラ映像とレーダーを通してその様子を見守る。しかし、青いトンネル内の内部へ進んでいく中で、ウィルは病室のベッドで、涙を流しながら謝罪する。「ごめん…僕のせいじゃない。“彼”がそうさせるんだ。」
その言葉を聞いたマイクは、ウィルを通じて影の怪物側がスパイしていることに気づく。マイクは慌てて病室を飛び出し、制御室へ駆け込むが、警備員に止められてしまう。その間にもレーダー画面には、無数の反応が映し出され、兵士たちのいる方向へ一斉に近づいていた。
霧の中から低いうなり声が響き始め、兵士たちは一瞬にして四方を囲まれ、その場で次々と襲われていく。管制室のモニターには、混線した映像と悲鳴、途切れ途切れの通信だけが流れ続けた。
ちょうどその頃、病室のウィルはジョイスに「逃げたほうがいい」と告げる。ホッパーがレーダーを確認すると、多数のデモドッグが、ある一本のトンネルの方向へと移動していることが判明。そのトンネルの先にあるのは、ホーキンスラボのゲートだ。
ホッパーが巨大な縦穴の縁から下を覗き込んだ瞬間、暗闇の底から、1体のデモドッグが縦穴の壁をよじ登り、姿を表そうとしていた。
第7章 姉妹の契り
「008」と「011」
イレブンは、テリーの家でベッキーに自分が見た母親のビジョンを語る。その中で、自分と一緒にいた少女のことが気になっていた。その後、ベッキーが保管していた被験者のファイルの中から、その少女を発見する。彼女の名前はカリ・プラサード。イギリスから連れ去られたインド系の女の子であり、イレブンと同じく研究所で実験に使われていた存在だ。
イレブンはヴォイドを通じて繰り返しカリの居場所を探し、ようやく彼女の姿をビジョンとして捉える。しかしベッキーが、ホッパーやジョイスに連絡を取ろうと電話していることを知り、ベッキーの家を出ていく。
シカゴに到着したイレブンは、ビジョンで見た寂れた倉庫にたどり着く。そこには4人の男女がおり、モヒカン頭の男がナイフでイレブンを脅しかける。すると彼は自分の手の上をクモがはい回っている幻覚を見てパニックになり、悲鳴をあげてナイフを落とす。
その瞬間、カリが姿を現す。イレブンは念力でナイフを自分の手元に引き寄せ、カリに会いに来たジェーンであることを打ち明ける。カリはイレブンの手首を取り、自分の腕に刻まれた「008」のタトゥーと、イレブンの「011」を見比べる。2人は、自分たちが同じ施設で育てられた姉妹だと理解し、抱擁する。
怒りの感情
イレブンは、自分のこれまでの状況と、ホッパーとの生活をカリに説明する。それを聞いたカリは、助けてもらえると考えるのは甘すぎると断言。彼らにとって自分たちは“実験体”でしかないと主張する。
カリは自分たちの能力を「ギフト」と呼び、自分の能力が「人の心を操り、選んだ幻覚を見せること」だと説明する。
研究所から逃げ出した「同類」として、この場所でイレブンを受け入れることを伝える。彼女の仲間も同様だ。ナイフでイレブンを脅したモヒカン男はアクセル、若い少女ドッティ、戦略担当のミック、巨体に優しい性格のファンシャイン。
彼らはカリと共に、かつて研究所で働いていた人間たちに復讐することを目的としていた。その後、イレブンはカリの前で遠くにある貨物列車を引き寄せる訓練を始める。
うまく動かせないイレブンに対し、「怒りを思い浮かべろ」と促すカリ。イレブンはマイクとマックスの親しげな様子や、ホッパーの嘘、研究所での実験の記憶など、その怒りを、すべて力に変えていく。そしてついに貨車を引き寄せることに成功する。カリと仲間たちは、歓声をあげてその成果を讃える。
復讐
訓練のあと、母テリーを今の植物状態に追いやった男の一人、レイ・キャロルがターゲットに決まる。イレブンがビジョンで彼の居場所を特定すると、彼らはイレブンにパンク風のメイクを施し、仲間に馴染むようにスタイルチェンジさせる。
道中のガソリンスタンドでは、補給という名の強盗を働いた。やがて一行は、レイ・キャロルのアパートに到着。全員がマスクを被り、キャロルの部屋に押し入り、彼を拘束。カリとイレブンがマスクを外しても気づかない表情のキャロルに、カリは子どもの頃の自分たちの姿を見せつける。
するとキャロルは震えながら、彼女たちを思い出し、命乞いを始め、「ブレンナーは生きている。自分が彼の居場所へ案内できる」と言い出す。しかしカリは容赦せず、イレブンにキャロルを殺すように指示。イレブンは念力でキャロルの首を締め上げ、ゆっくりと絞め殺そうとする。
しかしその頃、別の部屋を探っていたアクセルとドッティは、キャロルに2人の娘がいることを知り、彼女たちは震えながら警察に電話をかけている最中だった。
それを知ったイレブンは、キャロルにとどめを刺すことができなかった。すると怒ったカリは自ら銃でカリを撃とうとするが、イレブンはそれを阻止する。警察が到着し、一行は慌てて車に飛び乗ってアパートから脱出。カリはイレブンに「二度と私の復讐の邪魔をするな」と警告する。
イレブンが選んだ「帰る場所」
倉庫に戻ると、カリは動揺しているイレブンに、自分の過去を少し打ち明ける。かつて彼女にもホッパーのように守ろうとしてくれた「家族」がいた。しかし彼らはカリを本当には守ることができなかった。だからこそカリは、復讐と闘いの道を選ぶしかなかったのだ。
カリは「いつかマーティン・ブレンナーと向き合わなければならない」と主張し、イレブンの目の前にブレナーの幻影を見せる。幻影のブレナーはイレブンに「傷ついた心の傷を直視しなければ、自分自身を殺すことになる」と告げる。
イレブンは選択を迫られていた。ここに残ってカリとともに復讐を果たすか。それともホッパーやマイクのもとへ戻るか。彼女はヴォイドに入り、ホーキンスの様子を覗き見る。そこには研究所の制御盤を不安そうに見つめるホッパーの姿と、罠だと気づいて必死に警告しようとしているマイクの姿があった。
そんな中、カリのアジトに警察が突入する。カリたちは幻影を見せてなんとか車の中に逃げ込むが、イレブンは車に乗らず、感謝と別れを告げてその場を去ることに決める。「彼らは守ってくれない」と言うカリに対して、イレブンは「私が守るんだ」と伝える。
やがてバスに乗り込んだイレブンは、隣に座った老婦に行き先を尋ねられると、「友達のところ、家に帰るんだ」と伝える。
第8章 マインド・フレイヤー
研究所の陥落
ホーキンス研究所では、分厚いガラス越しにホッパーとオーウェンズ博士の前にデモドッグが現れる。オーウェンズは「このガラスは破れない」と言うが、穴から別のデモドッグたちが次々と集まり、鋭いツメでガラスを叩きつけるたびに、ひびがじわじわと広がっていく。危険を悟った一同はその場から撤退する。
オーウェンズは研究所全体を閉鎖し、非常階段からホッパーと一緒に上階へ避難する。デモドッグたちはガラスを突き破り、次々と研究所内に侵入し、職員たちを惨殺していく。
同じ頃、マイクはウィルを通じて影の怪物に居場所を知られることを危惧し、「ウィルに鎮静剤を打って眠らせるべき」と主張。それを耳にしたウィルは激しく抵抗するが、ジョイスが自分のことを覚えているか尋ねると答えに詰まったことで、ウィルすでに取り込まれていることを察し、自分の手でウィルに鎮静剤を打つ。
ちょうどそのタイミングで、デモゴルゴンたちがラボの部屋に侵入し始め、ホッパーとオーウェンズが銃を手に駆けつけます。一行は警備室へ避難しますが、停電によりラボ全体のドアがロックされ、内部に閉じ込められてしまうのでした。
その頃、ハーグローブ家では、スーザンと夫ニールの両親が帰宅すると、マックスの姿が見当たらなかった。彼らは義理の息子ビリーに行き先を尋ねるが、ビリーはマックスが抜け出したことを知らなかった。するとニールはビリーの態度に怒り、暴力的に彼の監督不十分を責め、「マックスを連れ戻せ」と命令する。
一方、スティーブたちは廃品置き場から移動していた。スティーブの発言で、ルーカスはダスティンがダートを密かに飼い続けていたことを知り、「仲間を危険に晒した」と責めて口論になる。そんな中、ホーキンス研究所の方向から、デモドッグの咆哮が聞こえてくる。彼らはデモドッグたちが向かったのが研究所であり、何か異常事態が起きていると理解する。
ヒーロー・ボブの死
研究所内では、ドアのロックを解除して逃げ道を作るために、ブレーカーの復旧とコンピュータシステムの再起動が必要だと判明。この中でシステムを動かせる知識があるのは、ボブだけだった。ボブは迷いながらも地下にあるシステム室に向かう覚悟を決める。ホッパーは彼に拳銃を渡し、「何かあったらすぐ引き返せ」と伝える。一方ボブは、「ロックを解除すれば自分のことは構わず逃げろ」と言い聞かせる。
その頃、研究所の外では、ナンシーとジョナサンが入口に到着する。そこへ森の中からスティーブたちが現れ、思わぬ形で合流するが、停電によって入口の門が開かない状態だ。ボブは慎重に地下室に降り、ブレーカーを復旧させ、ラボの端末を操作してシステムの再起動に成功する。外にいたナンシーたちはロックが解除されたことによって研究所の中に入っていく。
任務をやり遂げたボブは、機転を利かせてスプリンクラーを作動させ、近くを徘徊するデモドッグの注意をそらし、その隙に逃げていく。責任を感じたオーウェンズ博士は、制御室に一人残り、監視カメラを通じてボブの脱出を手助けする役割を買って出る。
オーウェンズ博士の誘導により、デモドッグとの遭遇を掃除用具入れに潜んでやり過ごすことに成功するが、出る際にモップを倒してしまい、音で気づかれてしまう。それでもボブは出口まで全力で走り抜け、ジョイスが待つエントランスホールまでたどり着く。
安堵の表情を浮かべるボブだったが、その直後、背後からデモドッグに襲われてしまう。それと同時に、追いかけてきた複数のデモドッグが押し寄せる。すでにボブが絶命していることを察したホッパーは、泣き叫ぶジョイスを引きずるようにして外へ連れ出していく。一行はどうにか研究所から脱出するが、その後ろでボブの遺体は複数のデモゴルゴンに貪り食われていた。
打倒マインド・フレイヤー
バイヤーズ家に戻ると、ホッパーは援軍を要請しようとするが、状況は危機的だ。ジョイスはボブの死に打ちひしがれている。そんな中、マイクはボブが持ってきていたパズルゲームを見つけ、彼がAVクラブの創設者であり、クラーク先生の先輩であることを知る。つまり彼はマイクたちの系譜なのだ。
マイクらは、殺されたボブのためにも自分たちが怪物に立ち向かわなければならないと決意を固める。議論する中で、ダスティンは影の怪物が『ダンジョンズ&ドラゴンズ』にに登場するモンスター「マインド・フレイヤー」に重ねる。もしその仮説が正しければ、デモドッグは影の怪物(マインド・フレイヤー)と意識を共有しており、本体である影の怪物さえ倒せば、配下のデモドッグも同時に無力化できるのではないかと推理する。
ゲーム上では、彼らは異世界からやってきた存在で、自らを他の種族より優れていると信じ、そのために他の生物を精神支配し、奴隷として従わせる怪物だ。ホッパーは「それはゲームの話だ」と言うが、気を取り直したジェイスが顔を出し、ボブの仇を討つためにもマインド・フレイヤーを倒すことに同意する。
そこでマイクは、「ウィルの居場所さえ悟られなければ、逆にウィルから怪物を倒す手がかりを聞き出せる」と考え、ウィルを“情報源”として守りながら活用する作戦を提案。その場にいる全員が協力し、バイヤーズ家の物置小屋を片づけ、壁を布や紙で覆い、場所が特定できない簡易拠点を作る。
その合間、ナンシーはスティーブに「子どもたちを守ってくれてありがとう」と感謝を伝え、ダスティンはダートのことを隠していた件についてルーカスに謝り、それぞれのわだかまりが溶けていく。一方マイクは、マックスが真実を知っても、それが「仲間入り」を意味するわけではないと言い、まだ完全には彼女をグループに受け入れられずにいる。マックスは状況を理解しつつも、話に聞いたイレブンを「かっこいい」と評した。
イレブンの帰還
準備が整うと、一行はウィルを物置小屋の椅子に縛りつけ、正面から強いライトを当てて視界を遮断。ホッパーがウィルを起こし、ジョイス、ジョナサン、マイクが周囲で見守る中、尋問という名の“救出作戦”が始まる。まさに失敗すれば世界が終わる「審判の日」だ。
目を覚ましたウィルは、椅子に縛られていることに気づくと激しく暴れ出す。ホッパーが抑え込み、少し静かになったところで、ジョイスはウィルに思い出話を始める。続けてジョナサン、マイクもまた、ウィルとの記憶を共有する。
ウィルは「解放しろ」と訴え続けるが、ホッパーはウィルの指が椅子の肘掛けをトントン叩いていることに気づく。それはモールス信号だった。ウィルが発する信号を解読すると、「CLOSE GATE(ゲートを閉じろ)」の文字が浮かび上がる。
ウィルの中にはまだウィル本人の意志が残っているのだ。一行はウィルの体を支配しようとするマインド・フレイヤーから意識を引き離すように、思い出話を続けながら、モールス信号のメッセージを最後まで解読しようとする。しかし、ちょうどそのとき、家の電話が鳴り、わずかな音を通じて、マインド・フレイヤーは現在地を悟ってしまう。危険を察した一同は、再びウィルに鎮静剤を打ち、意識を落とす。
外では、デモドッグたちが近づいてくる気配が濃くなり、一行は武器を構えてバイヤーズ家の中で待ち構える。窓の外からは唸り声と爪の音が響き、今にも家の中に襲いかかりそうな雰囲気が漂うが、次の瞬間、デモドッグたちが咆哮を上げ、地面に叩きつけられる鈍い音が響く。
その直後、一匹のデモドッグが室内に飛び込んでくるが、すでに死亡していた。そして玄関ドアの鍵がひとりでにゆっくりと開かれていく。
緊張で息を呑む一同の前に立っていたのは──イレブンだった。マイクとイレブンの視線が絡み合い、二人の目には同時に涙が溜まる。長い時間と距離を経て、ようやく仲間のいる家に帰ってきた。
第9章 ゲート
再会
バイヤーズ家の玄関に立っていたイレブンとマイクは、ほぼ1年ぶりの再会を果たし、抱擁する。マイクが毎日、メッセージを残していたことを打ち明けると、イレブンはその呼びかけをすべて聞いていたことを伝える。そしてホッパーが、この1年間ずっとイレブンを森の小屋に匿い、外の世界から守っていたことも明かされる。
イレブンとホッパーは和解してハグするが、マイクはイレブンの安否を隠していたホッパーを問い詰める。ホッパーはマイクの怒りを静かに受け止め、マイクも感情をぶつけ切り、ホッパーの腕の中で涙を流す。イレブンはダスティンやルーカス、ジョイスとも再会を喜び合うが、マックスの挨拶に対しては無視をする。
その後、ベッドで意識を失っているウィルの姿を目の当たりにし、「ゲートを閉じる」という自分の役目を確認する。
同じころ、マックスの義兄ビリーは妹の行方を追い、ウィーラー家に押しかけていた。ビリーは自分の魅力を活用してカレンからマックスたちがバイヤーズ家にいるかもしれないという情報を聞き出す。
それぞれの役割
その夜、バイヤーズ家では、これから取るべき作戦について話し合いが行われる。ゲートを実際に閉じる役目は、イレブンとホッパー。2人はラボの地下深くにあるゲートへ向かい、イレブンの力で“扉”を封じる。しかし、その前に片付けなければならない問題が一つあった。
ウィルは今もマインド・フレイヤーと繋がっており、その状態のままゲートを閉じてしまうと、ウィル自身が巻き添えで死ぬ可能性があるのだ。そこでジョイス、ジョナサン、ナンシーの3人は、まずウィルからマインド・フレイヤーを追い出す役目を負う。
ジョイスは、ウィルが以前「あいつは寒いのが好き」と言っていたことを思い出し、ウィルの体を熱で追い詰めれば、体内にいられない環境を作れるかもしれないと考える。ホッパーは、場所が割れないようにするため、自分の山小屋を使うことを提案。
スティーブは、ナンシーとの関係が終わったことを受け入れつつ、子どもたちの護衛として残ることを伝える。出発前、イレブンはマイクに「必ず戻る」と約束し、キスしようとしたその瞬間、ホッパーがタイミング良く介入する。そしてホッパーとイレブンは研究所へ向かう車に乗り込む。
車中、イレブンはホッパーに、本当の母親テリー・アイヴスに会いに行ったことを打ち明ける。ホッパーは、母親の存在を隠していたことを素直に謝り、自分が周囲を壊してしまう人間であることを吐露する。それはかつて娘サラに対しても、結果的に何も守れなかったという負い目が、ずっと彼の中に残っているのだ。
イレブンは、ホッパーに娘がいたことに驚きながらも、ホッパーの手を取り、「いろいろあった1年だったけど、それでも家族」という思いを共有する。
一方その頃、ダスティンはデモドッグの死体を“研究資料”として冷蔵庫に保存する。イレブンが心配で落ち着かないマイクは、デモドッグの群れの注意をそらさないと、イレブンとホッパーが地下で襲われるかもしれないと危惧する。そこで彼は、ウィルが見たトンネルの「墓場」に行き、火をつけてデモドッグたちをおびき寄せようと提案。しかしスティーブは「危なすぎる」と反対する。
vs. ビリー
話し合いの最中、家の前にビリーの車が乗りつける。スティーブはマックスを守ろうと立ちはだかるが、玄関先であっさり突き飛ばされてしまう。家の中に入ると、ビリーはルーカスの胸ぐらに掴みかかり、「妹と話すなって言ったよな」と脅す。そこへスティーブが再び割って入り、ビリーと乱闘が始まる。
スティーブはビリーを殴りつけるが、食器で頭を殴られて床に押し倒されると、馬乗りになって何度も殴られてしまう。一方的な暴力の恐怖に、ルーカスたちはただ見ていることしかできない。すると見かねたマックスは、ウィルに使った鎮静剤をビリーの首に注射する。ビリーが意識を朦朧とさせて倒れると、マックスは釘付きバットを拾い上げ、股間の近くで振り下ろし「私にも、私の友だちにも二度と手を出さないで」と約束させる。
マックスはビリーのポケットから車の鍵を取り出し、少年たちに「行くよ」と促す。こうして彼らはデモドッグを引き離すためにトンネルへ向かう。
悪魔を追い出せ
その頃、ジョイス、ジョナサン、ナンシーは、ホッパーの山小屋に到着。ヒーターやストーブ、暖炉を総動員して、部屋中の温度を高めていく。ウィルはベッドにしっかり縛りつけられた状態で目を覚ますと、「放せ!熱い!」と叫び続けます。ウィルの苦悶の表情に胸を締め付けられながらも、ジョイスはヒーターを最大出力にする。
同じころ、研究所内部では、ホッパーとイレブンが負傷したオーウェンズ博士を見つけ、手当てを施す。ホッパーは、これまでイレブンを娘のように匿っていたことを打ち明け、すべてが終わったあと、彼女が“普通の生活”を送れるように、法的な身分を整える助けをしてほしいと頼み、オーウェンズはこれに承諾する。
一方、トンネルへ向かった子どもたちは、スティーブを先頭に、「墓場」と呼ばれたエリアへ到着。あたり一面にガソリンを撒き散らし、火を放つ。炎が一気に広がり、マインド・フレイヤーの“地下ネットワーク”の一部が焼かれ始めると同時に、ウィルの身体にも激しい変化が現れる。
ウィルの血管は黒く浮き上がり、彼は拘束を力づくで引きちぎると、ジョイスの首を絞め始める。ナンシーが暖炉の火を使ってそれを引き離すと、ヒーターによる「熱」とトンネルの「炎」のダメージが、ウィルの中に潜んでいたマインド・フレイヤーを追い詰める。そしてウィルの中から黒い煙のような存在が口・目・鼻から噴き出し、家を突き破って夜空へ飛び去っていく。
ウィルはその場でぐったり倒れるが、ジョイスとジョナサンの呼びかけで目を覚ますと、そこには“影の怪物の気配”はなくなっていた。息子が完全に戻ってきたことを、ジョイスは涙ながらに確信する。
その頃、地下の制御室では、ホッパーがジョナサンからの電話で、「もうゲートを閉じても大丈夫だ」と知らされる。ホッパーとイレブンは手を繋いで縦穴を降り、巨大な裂け目の前に立ちはだかる。裂け目の向こう側には、蠢くマインド・フレイヤーの姿があった。
一方、トンネルからの撤退中、少年たちの前に、ひと回り大きく成長したダートが現れる。ダートが口を花のように開き威嚇すると、ダスティンは勇気を振り絞って前に立つと、コミュニケーションを取りながら、以前に“おやつ”として与えたチョコバーを差し出す。するとダートはチョコバーを食べ始め、その隙に少年たちはトンネルをあとにする。
ゲートの閉鎖
ゲートの前に立ったイレブンは、カリが言っていた「怒りを力に変えろ」という言葉を思い出す。彼女はこれまで起きた出来事を思い出しながら、それらを一つ一つ胸の中に呼び起こし、それを燃料のようにして、ゲートへ向けて両手を突き出す。
裂け目はゆっくりと閉じていくが、その動きに合わせるように、デモドッグたちは本能的にイレブンを止めようとゲート周辺へ集まり始める。トンネル内部では多数のデモドッグたちの足音が聞こえ、トンネルを脱出しようとしていたスティーブとダスティンの前に現れるが、デモドッグたちは2人に目もくれず、イレブンのいる方向へ駆け抜けていく。
ホッパーは、ゲート前の足場からデモドッグたちを狙撃し、イレブンに近づく個体を次々と撃ち落としていく。やがて、マインド・フレイヤーは一本の巨大な触手をゲート越しに伸ばし、イレブンに攻撃しようとする。しかし、その瞬間、イレブンの力は頂点に達し、彼女の身体は宙に浮かび上がり、同時にホーキンスの街中で電灯が一斉に明るく光り輝く。
イレブンは全身の力を振り絞り、最後の一押しでマインド・フレイヤーをゲートの向こう側に押し戻し、裂け目を完全に閉じることに成功する。ゲートが閉じた瞬間、デモドッグたちは力を失い、動かなくなる。イレブンは力を使い果たし、その場に崩れ落るるが、ホッパーが受け止め、「よくやった」と優しく声をかける。
スノーボール
1か月後。
ホーキンス国立研究所は正式に閉鎖され、そのニュースをマレー・バウマンが満足げに見守っている。ナンシーとジョナサンの告発により、バーバラの死は研究所の過失として正式に認められ、きちんとした葬儀が行われる。
ホッパーは、回復中のオーウェンズとレストランで落ち合い、イレブンを法的に自分の娘とする出生証明書を受け取る。そこに記された名前は「ジェーン・ホッパー」。オーウェンズは「世間が落ち着くまで1年は大人しくするべき」と忠告するが、ホッパーは「あの日だけは許してくれ」と伝える。
さらに季節は過ぎて、冬。ホーキンス中学校では、「スノーボール」と呼ばれるダンスパーティーの夜がやってくる。
少年たちは、母親たちに写真を撮られながら、慣れないシャツとジャケットに身を包み、会場へ向かう準備をする。バイヤーズ家の冷蔵庫には、ウィルが描いた「スーパーヒーローのボブの絵」が飾られている。
ルーカスは、マックスをダンスに誘うセリフを鏡の前で練習している。それを見た妹エリカはからかっている。
マックスは、母スーザンに髪をセットしてもらい、ドレス姿で家を出る。ビリーと視線が交わるが、会話はない。
ダスティンの家では、新しい子猫が飼われているようだ。スティーブ直伝の「ヘアセット術」で髪型をキメる。スティーブに車で会場まで送ってもらうと、彼は「完璧だ」とダスティンを送り出す。会場の中で保護者として参加しているナンシーの姿を遠くから確認し、その場を離れていく。
パーティー会場では、ナンシーとジョナサンが視線を交わして微笑み合う。シンディ・ローパー『Time After Time』が流れる中、ルーカスはぎこちなくマックスをダンスに誘おうとするが、マックスの方から一歩踏み出し、2人は照れくさそうに踊り始める。ウィルもクラスメイトの女の子から声をかけられ、少し気恥ずかしそうにしながらも誘いに応じる。
一方ダスティンは、ルーカスとマックスの様子をさみしげに見たあと、何人もの女子に果敢に声をかけるが、ことごとく断られてしまう。一人でいるダスティンの姿を見ていたナンシーは、ダスティンをダンスに誘い、「マイクの友だちの中で、一番のお気に入りだった」と伝える。
会場の外では、ジョイスとホッパーがタバコを吸いながら、ボブの死を弔う。
ポリスの『Every Breath You Take』が流れ始めると、そのタイミングで、会場の入口にイレブンが登場。マイクはすぐに彼女に気づき、まっすぐ歩み寄ってダンスに誘う。「踊り方がわからないよ」「僕も一緒」。2人はゆっくりとステップを踏みながら、2人だけの穏やかな時間を分かち合う。
思い思いのスノーボールを過ごす中、カメラはぐるりと天地を反転させ、裏側の世界が映し出される。赤い稲妻が走る空の下、ホーキンス中学校の校舎に覆いかぶさるように、巨大なマインド・フレイヤーの影が見下ろしていた。
