今回ご紹介するのは、『天国大魔境』です。
石黒正数(いしぐろまさかず)による講談社「アフタヌーン」連載の漫画。
『このマンガがすごい!』2019のオトコ編第1位に選ばれた近未来SFアドベンチャー作品。
本記事では、『天国大魔境』のあらすじや気になる謎について、ネタバレありで徹底解説・考察していきます。
石黒正数先生の作品の面白いところは、本編をしっかり追っていくと、ほとんどの情報がコマの中に描写されていること。その見事な伏線の数々が徐々に明らかになっていくのがたまりません。
人間の尊厳やセクシュアリティ、アイデンティティなどをテーマにした重厚な物語が胸に刺さる傑作です。
2023年4月1日より、TOKYO MX/MBSほかにてTVアニメ放送もスタートしました。 Disney+ (ディズニープラス) のみで見放題独占配信されています。
マンガはめちゃくちゃ面白いし、アニメの作画もめっちゃいい!
ヒルコの正体についての考察や、時系列や相関関係などは以下の記事で解説しています。合わせてチェックしてみてください。
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ネタバレあり
以下では、天国大魔境の最新話のネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
『天国大魔境』最新話(67話)までネタバレ解説・考察
第62話「船山通(1)」
日本全土で震度7を記録し、インターネットやテレビも遮断され、人々は混乱に陥るが、ロビンはマリンとなんとか生活を送っていた。
外の様子を確認するために外出すると、マリンは公園で落ち込んだ様子のトールを発見して声を掛ける。トールはマリンを見て、自分が殺した虹本の子供の姿を重ねて驚き、大災害が1日早く発生していれば殺人をしなくて済んだと思い詰める。
マリンは公園でケガをしてしまい、そこから細菌が繁殖したことで痙攣を起こしてしまう。ロビンはマリンを抱えて病院を訪れると、患者が溢れており、緊急度の高い人物が優先して治療を受けていた(トリアージ)。
ロビンはマリンを抱えて別の病院に行くと、その様子を見守っていたトールが順番を待つ患者たちに土下座し、マリンを優先させるように頼み込む。それによってマリンは医師の診察を受けることになり、ロビンは抗菌剤を処方される。
診察を終えてマリンを抱えて帰るロビンだったが、マリンのトリアージはすでに「0(死亡)」を表しており、2人が帰宅する様子を、トールは悔しそうな表情で見つめていた。
62話のポイント
62話は、「あめのぬぼこ」後のロビンとマリンの生活と、トールとの交流を描いたエピソードでした。マリンの治療のために病院を巡るロビンと、それに協力しようとするトールの様子が印象的ですが、実は最初の病院でマリンはすでに救急救命士によってトリアージ「0(死亡)」と判別されていることがわかります。
ロビンは気を失っただけだと思っているのか、それでも病院で診断を受けようとする姿は切なく、トールの無念さと後悔が重なり、2人がこの後、どうなっていくのかを暗示するような出来事になっています。東日本大震災を彷彿とさせるような、震災後の生活の退廃的な空気感が伝わるエピソードです。
第63話「船山通(2)」
路上生活者たちがロビンの家に侵入し、酒を飲んでいた。帰宅したロビンは、ドライバーを手に取り、彼らに襲いかかり殺そうとする。しかし、トールが必死に止め、マリンを弔ってあげようと声をかける。
その後、半年が経った2025年5月10日、ロビンは震災で親とはぐれた5歳の蘭という子供を家に引き入れる。以来、トール、ロビン、蘭の3人は一緒に生活することになる。
2026年4月中旬、ロビンたちは瀕死の姉弟2人を発見する。辛うじて生きている2人を見ながら、ロビンはマリンを失って以来初めて涙を流し、彼女の喪失を悲しむことができた。
現在に戻り、キルコは新天国で船山通と再会する。船山が桐子がロビンに殺されたと思ったと言うと、キルコはその言葉に驚いた表情を浮かべる。
63話のポイント
63話では、トール=船山通であることが確定しました。そして、「船山孤児院」の設立背景と、ロビンと桐子・春希との出会いも明かされています。
最後のコマでは、春希を抱える桐子に拳銃を向けるロビンの様子が描かれており、53話で桐子に弾痕があったことからも、ロビンが桐子を撃った背景が気になるところです。なぜロビンは変わってしまったのか。
第64話「船山通(3)」
船山通(トール)と再会したキルコは、当時の桐子の証言を元に、浅草のレースで起きた出来事についてトールから詳しく聞くことができた。
当時、レース観戦者が行方不明になる事件が発生しており、桐子は蘭のカメラで事件の犯人がロビンである証拠を撮影していた。桐子は「ロビンが捕まえた人間と“人食い”を使って何か恐ろしいことをしている」とトールに打ち明ける。
桐子はトールにロビンから逃げるように警告し、レース後に合流する予定だったが、レース当日にコース上にヒルコが現れ、桐子と春希が重傷を負ってしまう。トールはロビンが銃を持っているのを目撃するが、桐子と春希が死亡したと思い込み、蘭と剣(けん)を連れてロビンから逃げ出した。
トールはロビンの心を救えると思っていたが、ロビンは妹の死で心が壊れており、治ることはないと悟る。キルコはトールの話で、蘭と剣がそれぞれ結婚し、蘭には子供がいることを知る。トールは新天国で新たな孤児院を運営していた。トールはロビンの心を救えなかったことを悔やみ、自分が本来は死刑にあたる罪人であると明かす。
キルコとマルは、マルの双子の兄弟を探しながら「いずくのえ島」を目指すことに決める。桐子が撮った写真はフィルムカメラのため、現像されていないままだった。
新天国には「真ん中広場」という場所があり、その名前の由来が「まなか広場」であること、そして広場にある銅像には「新天国創設者 三倉まなか」の文字と写真が刻まれていることが判明する。
64話のポイント
64話では、浅草のレースの詳細が部分的に明かされました。妹を亡くして闇に落ちたロビンは、ヒルコと人間で何かしらの実験をしていることが伺えます。これは茨城の高原学園跡地で、鍵のかかった部屋でヒルコと人体実験をしていたことと繋がります。
桐子が撮影した証拠写真に何が写っていたのかは明かされていませんが、ロビンの人体実験を証明する写真だと想像できます。一方、新世界の創設者が三倉まなか、つまり高原学園の園長であることが判明しました。彼女は高原学園の「(旧)天国」に続き、新天国も設立していました。
第65話「三倉まなか(1)」
2024年11月16日。まなか(ナタ)、さちお(マコ)、なのは(サクヤ)の三人は、高原学園大阪分室に物資を集めていた。大阪分室に戻ってくると、高原学園レベル1職員の望月という女性が、学園の生徒関係者のために避難所として提供しようとしていた。
しかし、望月の前に引きこもり筋トレガチ勢のパニック男が現れると、望月に告白して振られた怒りで分室に籠城してしまう。まなかとさちお、なのはの三人は仕方なく分室の上の階に向かい、まなかが指示すると、なのはの額に文様が浮かび上がり、彼女の体の上に同様の文様が現れる。それにより、なのはは下の部屋の様子を透視し、トイレに身を潜める望月の姿を確認する。
すると、さちおは両手をかざし、手のひらに文様が現れると、望月いる真上の場所に穴を開ける。三人は開けた穴を通じて上の階から望月を避難させる。それに気づいたパニック男が出てくると、まなかは男に人差し指を突き刺す。すると、筋トレ男の体が部分的に膨張し、パニック男を懲らしめる。まなかいわく、上仲神拳だ。
まなかは、自分たちがナタ、マコ、サクヤの高原学園「天津人(あまつひと)」4期生であることを望月に伝え、確認させる。まなかは再び高原学園大阪分室を掌握し、新しい天国創りを始めようとする。
65話のポイント
65話からは、タイトルの通り三倉まなか=上仲園長の物語が描かれます。扉絵でマルが読んでいるのは、ハインラインの名作SF小説『夏への扉』。このエピソードでは、マコが透視能力、サクヤが物質を歪曲させて穴を開ける能力を見せています。印象的なのは、能力を使用する時に現れる文様です。この文様、実はヒルコにも現れているのですが、サクヤの文様が第1巻の旅館で登場した鳥型ヒルコと同じでした。第1話の鳥型ヒルコは能力的にはタカと同じ視えない斬撃であるので、タカなのか、サクヤなのか…。
北斗神拳ならぬ上仲神拳で笑いの要素を入れていた一方で、上仲神拳の触れたもの膨張させる能力は、ナタの能力なんでしょうかね。また、新たな言葉として高原学園の生徒たちが「天津人」と呼ばれていることが判明。これは特殊能力を持つ人間の上位存在という意味のような感じでしょうか。日本神話には「アマツヒコネ」という神がいるので、その関連かな。
66話「三倉まなか(2)」
震災から1ヶ月後の2024年12月。大阪のある場所で、島崎信夫、馬場という女性、サングラスの男性の3人は「マルちゃん」と呼ぶ、足に丸印のついた子ども(コナとトキオの子どもの一人)の世話をしていた。
物資が減り、育てることの限界を感じた島崎は、赤ん坊を西成の避難所に預けた後、豊中にある大阪分室を目指し、「天国」へとたどり着く。
2029年8月25日、高原学園の大阪分室では緊急幹部会議が開かれ、「外国人を天国に受け入れるか否か」が議題に上がっていた。ほとんどの幹部が反対意見を示す中、三倉は「ひとりひとりが人間であり、才能だ」と主張し、外国人も同じだと訴える。
一方、キルコとマルは国道2号線を広島県付近まで進んでいた。キルコは船山通が死刑にあたる罪人と告白していたことを思い出すが、それを信じらない。キルコらにとって彼は命の恩人でもあるため、当然とも言える。
道中で「討伐隊募集」と書かれた看板を見つけ、様子を見に行くと、たどり着いた「カタツムリ便集配所」の中には、無数の解体された白骨化した遺体があった。
遺体は人間の手で解体されたと思われ、手術器具を見てキルコは動揺する。さらに、器具の下には高原学園のパンフレットが置かれていた。
その時、二人の前にフードを被った謎の存在が現れる。
66話のポイント
扉絵は翼の生えた上仲園長が腰にキル光線を下げ、人差し指を突き上げた先に玉が浮かんでいる様子が描かれています。まるで神のように。
島崎信夫と二人の人物は、8巻の第44話の一コマで瓦礫の中から赤ん坊を発見して抱きかかえている様子が描かれており、後の新天国メンバーとなったことが伺えます。10巻の第61話では、キルコたちが船山に会う直前に、新天国にいる島崎が馬場と面会していることも台帳の記録から確認できます。
信夫はかつて引きこもりの高専生だったようで、才能を評価した園長にロボット開発人材としてスカウトされたようです。
大阪分室パートでは、外国人の受け入れについて議論しています。三倉(園長)は外国人を受け入れることを主張していますが、この選択が後に第60話で言及されている「不良外国人による占拠」へつながり、「新天国」創設へと向かうのでしょう。園長の本心は相変わらず読めませんが、一連の流れは「災害ユートピア」的ともいえます。
九州を目指して移動中のキルコとマルがたどり着いた施設は何なのか。高原学園のパンフレットがある理由、最後に2人が出会う人物は誰なのか。謎は深まるばかり…。
67話「三倉まなか(3)」
ミクラ、さちお、なのはの3人は、ロブスターに似た外見のヒルコの駆除に挑んでいた。彼らは地下鉄の出口で待ち伏せし、なのはの透視能力「バードアイ」と、さちおの空間を歪ませる技「さちおボール」を使って、ミクラが放つスーパービームを正確に命中させ、見事にヒルコを撃退する。
実際には80代後半のミクラ(上仲園長)だが、さちおの好意を感じることで心が若返ったような感覚を覚えていた。そんな中、天国の町は謎の覆面集団に襲撃され、彼らは町を奪われてしまう。しかし、ミクラは「天国は何度だって創り直せる」と言い、生き残った仲間たちを鼓舞する。
その夜、ミクラたちは廃墟となったマンションで一晩を過ごそうとするが、突然さちおがミクラの前に現れ、彼女の服を脱ぎ始め、ミクラを驚かせる。
一方、キルコとマルは「カタツムリ便集配所」で討伐隊が全滅していることを確認する。2人は無音で動く、大きな布をまとった「何か」に気づき、建物を立ち去ろうとするが、途中でその「何か」に襲撃される。キルコは至近距離でキル光線を放つが、その「何か」はビームが発射される前に感知して回避し、キルコを驚かせた。
67話のポイント
第67話は、天国を追い出されることになるミクラたちの様子を描いています。扉絵はカルバン・クラインのアンダーウェアのような下着を着ているキルコ。「DELOSE」の文字の意味は謎です。
ロブスター型のヒルコが登場し、ミクラたちに退治されています。園長のネーミングセンスはさておき、なのはとさちおの能力がより具体的に説明されています。ミクラが「居場所を追われても新たな場所で創ればいい」と生存者たちを鼓舞する姿は、カリスマ性のあるリーダーの姿が垣間見え、彼女に行為を寄せる人物が複数描かれていたのも納得できる気がします。
一方、キルコとマルのエピソードはほとんど進展していません。謎の「何か」がキル光線を察知して回避したり、気配をけしたり、居場所を察知したなど、人間とは思えない印象があります。ミクラのエピソードと並行しているので、何かしらの関連はありそうです。
ネタバレあり
以下では、天国大魔境の単行本1巻から10巻のネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ】『天国大魔境』第1巻あらすじ
壁に囲まれた施設
周りを壁で囲まれた施設の中に暮らす子どもたち。ある日の授業、突然行われたテストの中で生徒たちは「外の外に行きたいですか?」という質問をされていた。
トキオは園長に外があるのか尋ねると、園長は「外はあさましい怪物がうごめく汚れた世界で地獄」と語る。
ミミヒメは不明瞭ながら少し先の未来を見る力を持っていた。彼女は夢の中で「外に出たい」と思うと、外から2人の人物が助けに来てくれて、その一人がトキオに瓜二つだという。
シロは、ミミヒメのメールアドレス宛から彼女が裸でシャワーを浴びている写真が送られて来たことに驚いていた。運動神経抜群のタカは、高所から落下するも目立った怪我はしなかった。
車椅子に乗るタラオは、体から発疹が出ていて痛そうにしていた。
美少年のコナは、手の生えた魚や赤ちゃんなど、変わった絵を描くのが得意。絵を見たククは、「顔のない赤ちゃんを知っている」と言い、トキオに見に行くか質問する。
キルコとマル
キルコとマルの2人は、「天国」を探して荒廃した日本を探索している。
3人組に足止めされるが、キルコの持つレーザー銃(キル光線)で返り討ちにし、彼らから「トマト天国」という場所の情報を手に入れる。
道中、女将一人が経営する八巣旅館に立ち寄る。真夜中、そこに“人食い=ヒルコ”が現れる。退治しようとする2人だったが、旅館の女将は「自分の息子が中に入っている」と守るが、彼女はヒルコに殺されてしまう。
キルコのレーザーで追い詰め、マルがヒルコに触れて内部の核(心臓)のようなものを握り潰したことでヒルコを殺すことができた。
その後、2人はトマト天国である、「草壁農園」にたどり着く。そこでキルコが持つ光線銃に施されたものと同じマークのあるダンボールを見つける。その物資は東京から船で届けられたものであり、その船に乗り込み、2人は東京へと向かう。
草壁農園で、キルコは竹早桐子(たけはやきりこ)という5年前に姿を消した、浅草の電力車(でんりきしゃ)レースの選手と見間違われる。
船中、マルはキルコに告白するが、キルコは「体は女だけど頭(脳みそ)が男」というのだった。
【ネタバレ】『天国大魔境』第2巻あらすじ
5年前の浅草
5年前、稲崎露敏(いなざきろびん)ら船山孤児院のチームは、選手の竹早桐子、弟の春希(はるき)らと浅草で電動カートレース興行を生業にしていた。
桐子は額に傷のある医者に手当などをしてもらっていたが、その医者は隠れて“人食い”の研究や人体実験をしているという噂があった。
ある時のレース、春希は“人食い”がコースに出現したことに気づき、退治しようとする。レース中、桐子も“人食い”に気づき、闘う春希を助けに向かうが、春希は体を半分食べられてしまう。
春希が病院のベッドで意識を取り戻すと、自分の体が姉の桐子になっていることに気づく。看護師の話では、桐子と春希は意識不明の状態で運ばれ、例の医者が手術をしたのだという。
ロビンらは行方不明になっており、そこからキルコ(桐子の体に春希の頭)として、便利屋になったのだった。
船上の闘いと東京上陸
5年前の話を通して自分が男であることをマルに伝えるキルコ。そんな中、船が手の生えた魚の“人食い”に襲撃される。
キルコの機転により、船内におびき寄せ、ダンボールで水を吸わせて動きを止めてマルの“マルタッチ”によって倒すのだった。
その後、2人は東京に上陸し、町でひと稼ぎしようとするが、よそ者として絡まれてマルがケンカしてしまい、寝床とする場所を探しに出かける。
施設
ククとトキオは壁の内部に侵入し、顔のない複数の赤ちゃんがケージの中で育てられている様子を目撃する。そのうちの一人はトキオの名前を呼びかけていた。
施設の内部は、モニターを通して子どもたちが大人に監視されていたが、ククとトキオの侵入する様子はモニターから消されていた。園長はミーナという多数の管でつながられたAIの母体と会話していた。
シロは、ミミヒメから送られてきたメールの画像が消えていることに気づく。シロはミミヒメへに自身の恋愛感情を打ち明けていた。トキオもコナに自分の好意を伝えると、コナもトキオの想いに応える。
そんな中、タラオの容態が悪化し、彼の指名によりトキオだけが部屋に呼び出されると、タラオは「ここ(施設)は危ない、逃げて」と伝えるのだった。
【ネタバレ】『天国大魔境』第3巻あらすじ
自警団とホテル王
マルは大災害と同じ年に生まれ、その後、転々としていたところをミクラが引き取り、彼女から“ヒルコ”を殺す方法を教わったという。
キルコは道すがら復興省(災害前の文明を取り戻すための集団)の話を耳にする。キルコは災害前の旧文明が「天国」ではないのかと、ひとつの予測を立てる。
キルコとマルのもとに、船で一緒だった男性が訪れる。男は「不滅教団」という、人を永遠に生かし続ける医者がいる場所までのボディガードを2人に依頼する。
男は、不滅教団による“人食い(ヒルコ)”の一部を切り取り、人間に移植すると、強さと不死を手に入れられるという話を信じていた。しかし、男が持っていた“人食い”の一部はすでに腐っていて使い物にならず、キルコは代わりに「不滅教団」の場所の情報を買い取る。
キルコとマルは町で手に入れた地図を元に、水を汲みに行く。すると、そこには町でマルがケンカした自警団たちが負傷して倒れていた。
彼らを襲った野生の熊が2人に襲いかかる。キルコとマルは協力して熊を倒し、生き残っていた岩田という自警団のリーダーを助ける。彼らは町ぐるみで旅行者を狙う盗賊行為をしていたことが分かる。
岩田組の自警団に育てられ、宿を経営する孤児の少女トトリは、“ヒルコ”と同じ核を持っていた。助けた岩田は、翌朝死んでしまい、悲しむトトリだったが、ホテル王になる(宿業で成功させる)決意を決める。
施設
タラオは意識が混濁する状態となっていたが、その後、息を引き取り、アスラの自殺に続いて施設で2人目の死者となる。
園長は「お迎えの日は変更できない」と、病気の正体と治療法の解明を職員たちに指示する。その後、タラオが火葬されると、遺骨から謎の物体が出てくるのだった。
トキオも体調を悪くするが、検査では異常は見られなかった。その後、病室で寝ていると、アスラに「トキオは何が得意ですか?」と尋ねられ、理解できずにいると、足が硬化してしまうという夢を見る。
その夜、トキオはコナの部屋へ訪れ、2人はキスをして体を重ねる。トキオがコナの部屋へ向かう様子は監視モニターには映っていなかった。
不滅教団
不滅教団の近くまでやってきたキルコとマルは、不滅教団の反対勢力「リビューマン」たちに声をかけられる。代表の水橋という女性は、1年前に治療目的で不滅教団に近づくも、足を切断されて義足にされたと語る。
不滅教団では宇佐美医師という人物が、怪我人の治療を掲げて体の一部を機械に置き換える人体実験を行っているという。水橋はそこで、機械に生かされ続ける人間の姿を目撃し、教団員たちがそれを崇拝しているという。
さらに、不滅教団の地下では“人食い”が飼育されているというのだった。2人は依頼を承諾し、リビューマンのデモを陽動にして不滅教団の地下に潜入する。
地下には仮死状態の“ヒルコ”が複数体いて、2人は動き出したヒルコに襲われ、キルコは片腕を食いちぎられてしまうのだった。
【ネタバレ】『天国大魔境』第4巻あらすじ
宇佐美医師と星尾
キルコは“人食い(ヒルコ)”に殺されかける幻覚を見せられていたが、マルがキスして正気に戻す。マルは地下にいる“ヒルコ”を始末すると、宇佐美医師が現れ、「もうひとり助けて欲しい人がいる」と言うのだった。
宇佐美医師に案内された先には、機械で生かされた惨い姿の星尾(ほしお)という女性の姿があった。宇佐美医師によると、“人食い”は怪物になる病気を発症して死んだ元人間だという。
病の進行を遅らせるために体の部位を切り取り延命していたが、彼女は限界に来ているという。マルは彼女の中に核があることを確認し、殺せると伝える。
星尾の「最後に空が見たい」という要望に応えた後、マルは核を握り彼女を死なせる。彼女は死ぬ間際、宇佐美に「人のまま死なせてくれてありがとう」「大好きだよ」という言葉を遺し、それを見た宇佐美は涙を流す。
リビューマンの抗議デモで水橋は怪我を負ってしまい、過激化したリビューマンたちは不滅教団に武力行使を始め、教団員たちは居場所を追われることになる。
キルコは、教団員の一人から2年前にロビンが宇佐美医師の手伝いをしていたことを知り、キルコはロビンに会いたい気持ちを強くしていた。
宇佐美は星尾を埋葬すると言って一人になるが、彼女を抱えたまま自殺してしまう。彼はキル光線に施されたものと同じマークのボタンを手にしていた。キルコとマルはそのマークを追う方針に決める。
コナとアスラ
コナはアスラが予知能力があって、それが原因で死んだという。ある時、アスラは「自分が生まれた理由がわかった」と言い、コナに別れを告げて施設の庭で首を吊って自殺してしまう。
アスラはコナに、好きな人を見つけるという特別な感情に気づくように言い残す。
コナは「アスラを殺したやつがトキオを奪いに来る」と言う。施設の子どもたちが着る制服には宇佐美が握っていたボタンが施されていた。
情報屋ジューイチ
キリコとマルは、情報屋のジューイチと接触する。彼はキル光線のマークについて知っているという。
嘘か真か、大災害の原因「惑星衝突説」「宇宙人襲来説」「戦争説」の3つを聞かされる。その後、ジューイチ自身の実体験として、女性至上主義を掲げ、学校を根城にバリケードで囲った町で「種豚11号」として飼われていた話をする。
しかし、キルコはジューイチがホラ話をしていることを見抜き追い払うと、その後ろにキル光線のマークの「高原学園」と書かれた場所を見つける。
A-mk3
子どもたちを視察に来た男性らは、「A-mk3」という武器の試作品を園長に見せる。その銃は石や鉄でも撃ち抜くという強力なビームを放つことができた。
ミミヒメは、子どものタラオやアスラらしき影など、他の人が見えないものが見えていた。
園長は副園長に側近の猿渡ではなく、青島を指名する。その後、園長は全体会議にてトキオの妊娠を発表し、「高原学園の根幹をゆるがす緊急事態」という。
【ネタバレ】『天国大魔境』第5巻あらすじ
高原学園
キルコとマルは、高原学園と書かれた一室に入る。誰かが寝泊まりした様子と学園のマークに似せたトリのマークの落書きがあった。
そこは大災害の前にあった塾のような施設で、資料によると全国に2つの施設と18の分室がある。2人が来たのは「東京上野分室」だった。学園の資料で世の中を「地獄」と表現していることから、学園がその反対の「天国」である線を追い、茨城と奈良にある施設を新たな目的地にする。
分室を出ると、ジューイチが謝罪しにやってくる。彼の種豚の話は本当であり、バリケードの町がキルコたちの目的地である茨城と近いことがわかる。
バリケードの町
キルコとマルは、ジューイチの車に乗ってバリケードの町にやってくる。ジューイチを車に待たせ、マルはカツラを被り女装してキルコと内部に入る。クモの見た目の急速冷却能力をもつ“人食い”に襲われる。
キル光線で体を半分にするが、核のある片方に逃げられてしまう。町はすでに“人食い”に襲われて全滅している様子だった。そこへ、種豚6号と9号がやってくる。彼らは“人食い”に襲われ、ジューイチの息子、十五が夜泣きをしたことで被害に遭わず、居住場所を変えていた。
その夜、居住場所が再び急速冷却に襲われるが、マルの感覚により、発生源が十五であることを突き止め、十五が落ち着くと冷却は収まった。
ジューイチは居住場所に残るといい、キルコとマルは彼が使っていた車を譲り受けて後にする。しかし、ジューイチは十五の母親を殺したと思われる男を殺害し、車を奪って十五を連れて出ていくのだった。
5期生
青島はトキオの妊娠を園長に知らせたことで副園長に抜擢されていた。彼女は付与されたLEVEL4の権限を使って施設内を探索すると、ミーナの近くのひとつのポッドが、LEVEL4権限でも合言葉を要求されロック解除できないものがあった。
学園に5期生として新しい仲間15人が加わる。そしてトキオは自分の子どもを出産する。園長は、トキオの子どもに脳移植としての入れ物にすることを懸けていた。園長はひとまず副園長に抜擢した青島に移り、トキオの子どもが成長してから乗り移ろうとする計画を猿渡に話していた。
ミミヒメは、孤立していたオーマというサングラスをした5期生の子に話しかけ、彼女の涙を拭こうとサングラスを外すと、急にドリルなどが襲いかかり、気絶してしまう。
高原学園茨城施設
高原学園茨城施設の近くにやってくると、栄えた市場になっていた。そこにある復興省の施設で、ロビンがいることを知ったキルコは、大濾過装置という名の高原学園の茨城施設で会う約束を取り付ける。
キルコはマルを残し、一人でロビンに会いに行く。大濾過装置の施設前で、ロビンと再会するキルコ。ロビンはキルコの顔を見て驚く表情を見せていた。
【ネタバレ】『天国大魔境』第6巻あらすじ
ロビンの本性
桐子の体に春希の体であることに驚くロビンだったが、医者の迫田(さこた)なら可能だという。
ロビンの話では、施設は食用に特化した遺伝子組み換え植物を作っていたらしく、発見されて復興省の力もあり急速に町になったという。装置で水をろ過して沸かせば飲み水になり、同時に発電も行っていた。
ロビンに促されて風呂から上がると、キルコは服を奪われてベッドの上に手錠で繋がれてしまう。ロビンは実験をすると言い、キルコを無理やり犯すのだった。春希は鏡を通して桐子がロビンにレイプされる様子を見させられる。
2日経っても帰ってこないこと心配したマルは大濾過装置へ向かう。そこでキルコが裸で手錠をされている様子を目撃したマルは、怒りでロビンを殴り倒す。殺そうとするが、キルコが「殺さないで」というと、ショックを受けながらもトドメは刺さなかった。
自分のアイデンティティを喪失しかけて傷つくキルコに対し、マルは春希や桐子を認めつつも、自分が好きなのはキルコだと伝える。キルコはロビンの写真を破り捨てるのだった。
ミミヒメとオーマ
ミミヒメはオーマの目を直接見たことで苦手なものの幻覚を見せられて気絶していた。保健室で隣に寝ていたコナに予知の話をすると、コナの姿も“ヒルコ”の姿に見えていた。
その後、謝るオーマに対し、ミミヒメはもう一度彼女のサングラスを外して幻覚を見るが、見事に打ち勝ってみせて彼女を慰める。
指名手配
復興省の人間が大濾過装置に訪れると、ロビンが行方不明となっており、鍵のかかった部屋で人間と化け物が繋がれている状況を発見する。復興省はロビンらとそれに関わったキルコとマルを指名手配する。
復興省の主任は、部下の坂江(さかえ)と平馬(へいま)に関西復興省への伝達を命じ、用心棒として竹塚(たけづか)を連れていくように指示する。
テスト開始
子どもたちはプールに呼び集められると、「これから長いテストが始まる」と告げられ、答えに迷った時は自分が正しいと思った方へ進むようにアドバイスする。続けてAIは「外の外に到達することが“ヒルコ”である皆さんの役割です」と言うのだった。
数日が経ったある日、ミーナのシステムがシャットダウンし、高原学園の施設は巨大な振動と共に一部が崩壊する。その衝撃により、2人の赤ちゃんがゴチャ混ぜになり、トキオの赤ちゃんがどちらかが分からなくなってしまう。猿渡はひとまず足に印を付ける。
ミミヒメとシロ、タカとアンズの4人は壁に穴が空いていることを発見し、学園の外に出ると、そこにはさらに外の世界があることを知る。
森の中に入っていく4人だったが、ミミヒメとシロがみんなに知らせに戻ろうとするが、道に迷ってしまう。シロはミミヒメを守り、好きな思いを改めて伝えると、ミミヒメは制服のボタンをちぎって渡すのだった。
青島は子どもたちを保護する計画を動き始め、猿渡は印を付けなかった方の赤ちゃんをトキオにコナとの子どもとして渡す。するとそこへ負傷した園長がやってくる。
園長はミーナに指示し、トキオから赤ちゃんを取り上げようとするのだった。
【ネタバレ】『天国大魔境』第7巻あらすじ
爆撃
トキオから赤ちゃんを無理やり取り上げようとする園長だったが、トキオは拒否すると園長の腕もろとも硬化してしまう。その様子は火葬したタラオから現れた物体と同じだった。
ミミヒメらは青島に保護されるが、彼女は外へ出たのが5人だと言っていた。さらに、高原学園がピンポイントで爆撃されたことを知る。
ヘルム
キルコとマルは車で移動する中、“人食い”と戦闘しているヘルムという少女を助ける。ヘルムは恨みを果たしたい人間を探していて、その人物を、人が集まり生活している空港で見つけたという。キルコとマルはヘルムに協力する。
ヘルムは怜夢(れいむ)という名前で、かつてその男にレイプされたのだった。その復讐として男の下半身を爆弾で爆破し、死ぬまで苦痛を味わわせる地獄夢(ヘルム)を与える。
その後、ヘルムと別れたキルコとマルは、森の中で何者かに接触する。
外の世界
2024年7月17日、園長の指示で、顔のない戦士たちが解き放たれる。そのうち一人は命令に背いて帰ろうするが、仲間から攻撃され、辛うじて生き延びて「帰る…母…トキオ」と言いながら飛び去っていく。
天栄18年7月26日、4期生のマコは、意識不明となっている同期のナタを探していると、ボロボロになった顔のない戦士が施設にやってくるのを目撃する。マコは戦士が落としたレーザー銃を手に取るのだった。
石化したトキオにコナが必死に呼びかける。そこへ傷ついた顔のない戦士がやってくると、戦士は溶けて消え、代わりにトキオと赤ちゃんは石化を解かれる。
その頃、高原学園の施設に軍の人間たちがやってきていた。マコは手術台で横たわるナタを発見するも、軍の人間たちに保護される。
その後、ナタは目を覚ますと、三倉まなかという名前になっていた。同じくマコは堀さちお、サクヤは八坂なのはと別の名前を付けられていた。しかし、ナタだけが記憶を失っていた。同じく別の場所で、タカやシロ、ミミヒメも名前を変えて外での生活を送っていた。
2024年11月11日、大きな地震が発生する。ナタは病室でマコのかばんを見つけ、その中にあったレーザー銃と高原学園のマークを見ると、急に笑い出し、不気味な表情と共に「あきらめません、勝つまでは…」と言うのだった。
【ネタバレ】『天国大魔境』第8巻あらすじ
天国の時代
地震によって世間はパニックに陥っていた。さちおとなのはが、ミクラの病院へ駆けつける。
ミクラは「“あめのぬぼこ”をお迎えしたのは地球の反対側」「人類の時代は終わりました。あなた達の時代…天国の時代を始めましょう」と言う。
地の孤独
キルコとマルは、森の中で遭遇した熊野郎の家族で、山村の神社で生活する一家に招かれる。マルは“ヒルコ”の気配を感じていた。
夜中になり、“ヒルコ”の場所を特定した2人は、敷地内にある洞穴の中を進む。そこには鎖で繋がれた死にかけの“ヒルコ”がいた。熊野郎の祖母は、「鬼のミイラ」と呼び、江戸時代の文献にも記されているほど大昔から祀られていたという。
マルが殺すかどうか質問すると、彼女は断り、「鬼をまつり続けることが生きる希望、ちのこどくが生きる希望」と言う。翌日、一家に新たな生命が誕生していた。
2人は奈良施設を目指して神社を後にするが、マルは何かの気配を感じ取っていた。
両性具有
関西復興省へ向かう坂江と平馬は、竹塚と3人で道中、温泉に入る。そこで、竹塚は両性具有であること明かし、「ククとオーマもおんなじだったな」と言う。
あめのぬぼこ
学園崩壊後、自衛隊から身を隠していた猿渡は、学園に残っている生徒たちと暮らしていた。
その後、園長の夫である上仲永吉(かみなかえいきち)が森の中から戻ってくる。猿渡は園長との約束で、ナタに脳移植したことを秘密にし、園長を亡くなったことにする。
その後、数ヶ月が経ち、子どもたちの父親になる決心を胸に、猿渡は日焼けしてたくましい体つきになっていた。
上仲は、1年ほど前に発見された地球に衝突する恐れのある小惑星の存在を、ミーナは24年前に予言していたという。園長の誌乃はそれを信じ、小惑星を「あめのぬぼこ」と名付け、衝突に備えて学園を作ったという。
さらに、惑星の軌道を修正する作戦のひとつを、学園が作った“戦士”たちが襲って潰したと語る。そして、そのテロ行為の拠点制圧として攻撃されたと語る。
そしてその「あめのぬぼこ」は、2024年11月11日午前2時14分に訪れるという。カレンダー上では翌日に迫っていた。
LEVEL5
ミクラは、ミーナにアクセスするために近くの高原学園の分室へ向かう。ミクラは合言葉と問題への回答をクリアし園長としての最高権限(LEVEL5)を取り戻す。
しかし、地震が起きたことで回線が遮断されてしまう。その後、さちおとなのはと共に保存食や物品を確保して今後に備えていた。
高原学園奈良施設
キルコとマルは、足の長い巨大な“ヒルコ”の間を命からがら通り抜ける。
2人は復興省のダンビラ佐藤の案内で、関西復興省である高原学園奈良施設の跡地へ訪れる。巨大な“人食い”は「アンジュラス」と呼ばれていて、キルコとマルは“ヒルコ”対策に協力することで復興省から食料と寝場所を提供される。
キルコは、“人食い”が町にやってくる前に、町の中でマルと同じ顔の人物を探そうと計画する。その後、キルコとマルが町で食事をしているところに、竹塚らがやってくるのだった。
タカとミチカ
オーマとミチカが食料を調達して部屋に戻ると、そこにはアザの病気を発症したククが横になっていた。ミチカは近くにいる黒い“ヒルコ”と戦いたいが、一人では無理だと感じていた。
高原学園の上野分所跡では、南方弥刀(みなかたみと)=タカと、梅津乃亜(うめずのあ)=アンズ、星尾あかり(ほしおあかり)=ミミヒメと宇佐美俊(うさみしゅん)=シロの4人は一緒に生活していたが、弥刀と乃亜が結婚し出ていくことを決める。
時が経過し、ククは亡くなり、オーマとミチカは海葬する。その後、2人は子どもを連れたタカと出会うのだった。
ミチカは“ヒルコ”を倒そうと持ちかけるが、タカは乗り気ではない様子。しかし、ミチカが一人でも倒しに行こうとしていたため、タカは翌日の朝に約束を取り付けるのだった。
ネタバレあり
以下では、現行の単行本8巻以降の展開に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ】『天国大魔境』第9巻あらすじ
50話「ミチカ(2)」
“ヒルコ”狩りを約束した朝になり、タカはミチカと集合する。タカは“ヒルコ”に手を出さないように伝えるが、ミチカには通じない。危険と判断したタカはミチカを刀による“視えない斬撃”で殺そうとするが避けられる。
2人は激しい戦闘を行い、タカはミチカの片腕と首の一部を斬るが、気を抜いたところでミチカからの反撃をくらい、2人は血だらけで地面に倒れ込む。
その様子を見ていたオーマが号泣していると、近くと通った竹塚という名の女性グループに保護される。タカは死亡し、ミチカは虫の息だった。
キルコとマルが食事しているところに竹塚(ミチカ)が無理やり入ってくる。マルのことを“ヒルコ”だと言い、戦闘を申し込む。断るマルだったが、キルコに危害を及ぼそうと挑発したことで、戦いに応じることに決める。
竹塚の胸ぐらを掴んで殴りかかるマルだったが、一瞬にして仰向けになり、5発も殴られた感覚があるが全く攻撃が見えなかった。マルはキルコに竹塚が“ヒルコ人間”であることを知らせ、能力に気づいたように「こいつ…時間を止めるぞ」と言う。
50話のポイント
タカが「乃亜に手は出させねぇ」と言っていたことから、アンジュラスになった“ヒルコ”はアンズであることが想像できます。また、ミチカの分析によると、タカの能力が“視えない斬撃”、2呼吸おきの攻撃という点からも、『天国大魔境』で一番最初に登場した鳥型の“ヒルコ”はタカであることはほぼ間違いないでしょうね。タカの死因がミチカとの戦闘だったのは意外でした。生徒同士で殺し合うのは悲しいです。
タカが“ヒルコ”になったことを考えると、病死ではない経緯でのヒルコ化がある可能性も考えられますね。
51話「ミチカ(3)」
マルはミチカに圧倒的なスピードで殴られて敗北しただけで、時間を止めた訳ではないことに気づく。
復興省のダンビラ佐藤は、町で隠れて賭博などで稼ぐ人間を黙認する代わりに、みかじめ料を徴収している様子。その後、キルコとマルは佐藤に話しかけられ、復興省の人間らに襲撃された話を伝える。
佐藤は、マルが戦ったのは竹塚ミチカで、関東復興省が雇っている暗殺者だという。2人は話を聞くためにも佐藤を連れてミチカに接触する。ミクラについての情報を聞き出すはずだが、マルは戦って勝ったらという条件を自分から提示する。
佐藤に言われて町から離れた倉庫に場所を移し、マルとミチカは再び戦い始める。2人の様子を見守るキルコは2人が似ていると感じていた。
51話のポイント
ミチカは時を止める能力(ザ・ワールドか!)ではなく、素早く動けて強いだけでした。ちなみにダンビラ佐藤の「ダンビラ」とは幅広の刀のこと。昔やんちゃしてたんでしょうね。扉絵では、瀕死のミチカとオーマを引き取ったのが竹塚一家(竹塚あけみ、拝羽祥子、荒川しず江)の3人だと分かりました。その背景でミチカは現在軸では竹塚姓で呼ばれているのでした。
52話「ミチカ(4)」
タカとミチカの戦闘の後、竹塚一家に引き取られたミチカとオーマ。
その頃、海中で海葬されたククの体が魚型の“ヒルコ”に変貌する。意識不明だったミチカはククの気配を感じて目を覚ましていた。
マルとミチカは激しい近接戦闘を繰り広げる。2人とも互角で、全力を出して戦うことを楽しく感じていた。
関西復興省の今永主任らは、封印部隊を出動させてアンジュラスに祈るが効果は見られず、ジワジワと町に進んでいる様子だった。
マルとミチカは2人ともボロボロになっていた。それでも戦おうとするマルの姿勢にミチカは負けを認めてその場を去っていく。ミチカは“ヒルコ”だからマルと戦いたかっただけで、ミクラに関する情報は何も知らなかった。
マルはミチカが立てたのに自分は立つこともできないことで、実質的な敗北を感じて悔し涙を流していた。
その後、復興省に戻ってくると、佐藤が医者の迫田先生からもらったという薬を持ってくる。キルコは迫田という名前を聞いて驚く表情を見せ、額に傷のある男かどうか質問する。
町の一角に迫田がロボットと共にいることが判明する。
52話のポイント
ククが魚型の“ヒルコ”であることが確定する描写が描かれていました。物語の中では人間が“ヒルコ”に変貌する描写は初となります。また、関西復興省の主任の名前が「今永」でした。彼女は高原学園の出資者であり園長の盟友・今永美咲の娘で副園長の青島裕子(今永美月)であることが推測できます。そしてキルコは探していた写真の医者、迫田医師にようやくたどり着きました。
ちなみにマルがミチカとの戦いで着ていたTシャツには「Retaliate when done.(やられたらやり返す)」と書かれていました。あえて着ていったのだとしたら可愛いですね。
53話「迫田照彦」
アンジュラスが町から数キロ圏内に近づき、町では早めの避難を呼びかける放送が行われる。
キルコは町にある「迫田医院」を訪れると、ロボットの受付を済ませるが、迫田の姿を見ると姉・桐子にしたことを思い出して感情的になって蹴りかかる。
その後なだめられ、キルコが浅草でのことを話すと迫田は思い出し、元気そうなキルコの姿を喜ぶのだった。
迫田は、桐子と春希2人共死にゆくよりも、せめて1人を救う方法として「体移植」したという。迫田の話では、桐子は運ばれた時点で脳に重症を追っており、銃による弾痕があったという。
それを聞いたキルコはマルに髪を乾かしてもらっているときに頭の一部がハゲていると言われたことを思い出す。
さらに、“人食い”についてのウワサの件は、“人食い”を安全に閉じ込める方法や、周りの被害を抑える方法を現在でも考えているのだった。キルコは迫田が良い人であると理解し、写真を手渡してその場を後にする。
キルコは自分の旅の目的(ロビン、医者)を果たし、どちらも自分が見たものがウソだったことにショックを受けていた。残る目的はマルだけとなっていた。
その後、佐藤から一服の誘いを受けたキルコは、話の中でアンジュラスが予定を早めて4日ほどで町に来る可能性があることを知る。
復興省の立場上、避難命令を出して何も起きなかったら責任問題になるため、強く言えない事情があった。
キルコは隣で行っている生放送中のラジオに飛び込み、無理やり避難命令を放送する。町民たちは慌てて逃げ出し始め、キルコは自分のしたことが正しいと感じて行動する。
53話のポイント
キルコの追っていた医者(迫田)と高原学園の猿渡照彦は同一人物でした。彼は学園崩壊後、ミチカら一部の生徒たちと学園に残って生活していましたが、その後が描かれておらず、闇落ちしたかと想像していましたが良い人でした。一方、桐子は浅草で何者かに銃撃されたと判明。ロビンは以前にキルコの姿を見て驚く表情を見せていて、その時のキルコが思い出す描写の効果音が銃声のような「パーン」だったので、ロビンが怪しいですね。
54話「アンジュラス(1)」
キルコはマルの夢を見ていた。夢の中のキルコはマルに近づくと、キル光線を撃つ素振りを見せていたが、後ろから何者かに名前を呼ばれて目を覚ます。
怪我したマル眠ったままで、見張りがいなくなった復興省の中を探索すると、大天災前の植物の種や、“人食い”のような生物を保管している研究施設があった。
その後、外に出ると、ダンビラ佐藤ら復興省の警備部の人間たちが町に近づくアンジュラスを止めるために出動しようとしていた。
マルが3日ぶりに目覚めると、2人もアンジュラス退治に出向くことにする。その道中、迫田医師(猿渡)に遭遇。すると、迫田はマルを「ヤマトではないか」と尋ねる。
マルの名前を聞いた迫田は、自分がトキオの片方の赤ちゃんの足に丸を書いたことを思い出していた。迫田はヤマトとマルがトキオの2人の子どもであり、マルが世界崩壊で行方知らずになっていたことをトキオは知らず、迫田も10年近く会っていないという。
3人が共通の目的であるアンジュラスのもとへ向かうと、復興省の人間たちが苦戦しながら戦っていた。迫田は主任の青島と合流し、マルをトキオの子どもだと知らせる。
すると青島のそばにいた巫女は「ヤマトだけどヤマトじゃない、どの道僕らの敵だ」と言う。そんな中、キルコとマルはアンジュラスの元へ歩いていく。
54話のポイント
冒頭、夢の中のキルコがマルに銃を向けているのは今後の展開を想像させます。迫田(猿渡)とマルが対面し、マルがトキオの2人の子どもの1人だと告げられました。もうひとりの子どもの名前はヤマトで、どちらが実子なのかは不明。猿渡はアンジュラスを「アンズ…ラス」と言っていましたのでアンジュラス=アンズであることはまず間違いないですね。今後、マルと戦うことになる予感がするエピソード。
55話「アンジュラス(2)」
キルコとマルはアンジュラスを分析しながら対策を考えていた。アンジュラスの放電する8本足に触れると体内に取り込まれてしまう。
迫田は鏡なら電撃を跳ね返せると言い、アンジュラスに捨て身で突っ込んでいく。しかし、鏡は役に立たず、迫田は触手に取り込まれていく。
迫田は世界を滅ぼしてしまうかもしれない自分の責任を感じ、服の中に隠していた手榴弾を爆発させる。
アンジュラスは爆発で倒れ込み、その隙にキルコはキル光線を4発撃ち込み、マルがマルタッチでアンジュラスの核を捉えるも、引き戻されてマルはアンジュラスの触手に捕まってしまう。
55話のポイント
キルコとマルvsアンジュラスが始まりました。迫田は自らの責任を感じて道連れで倒そうとして爆死しました。復興相にいた巫女の名前がモモイカであることが明かされました。迫田が船山孤児院の園長が大阪にいるかもしれない話す伏線があったので、今後登場しそうです。
迫田がキルコとの写真をデスクに飾っていたり、今永(青島)が「猿渡先生」と叫んでいたのも印象的。
【ネタバレ】『天国大魔境』第10巻あらすじ
第56話「青島裕子」
マルはアンジュラスの触手に捕まり、本体に飲み込まれそうになっていた。マルは飲み込まれて体が分解されるよりも先にアンジュラスの核を潰そうと考える。
すると、マルの取り込まれていた触手が竹塚ミツカによって斬り落とされる。ミチカは頭から角が生えて目が黒くなり、腕から刃物を生やした状態になっていた。ミチカの“取っておき”によってマルは助け出され、その勢いでアンジュラスの核を握り潰すして倒す。
アンジュラスは消滅し、復興省の封印部隊によって討伐されたと住民たちに伝えられる。
その後、キルコとマルは青島裕子と会話をする。
青島の話では、マルがトキオとコナの双子の子供の1人であり、もうひとりの子供・ヤマトは行方がわからない状況で、一時期はトキオとコナと一緒に九州北部に住んでいたという。
青島はマルの持つ薬やミクラについては知らなかった。一方で、ヒルコ化する病気について、高原学園「いずくのえ島施設」で生まれた子供だけがかかる奇病であると明かす。
「いずくのえ島施設」は学園関係者から「天国」と呼ばれており、集団生活になじめない子供たちをサポートする目的だったが、中枢の施設ではあらゆる差別を排した理想郷を作る思想が生まれ、その過程で大災害が起きたという。
その夜、キルコが生理痛に苦しむ中、マルは思いを巡らせていた。
56話のポイント
竹塚ミチカの助けもあり、ついにアンジュラスを倒しました。ミチカが“取っておき”と呼ぶ必殺技は、部分的にヒルコ化できる能力という感じですかね。
そして、「天国」の正体が明かされました。トキオたちがいた施設は「いずくのえ島施設」という名前でした。キルコとマルの旅の目的と、これまでの内容が答え合わせのように繋がっていき、いよいよ終盤に近づいている印象です。
第57話「“人食い”」
キルコとマルは、青島裕子から高原学園の高度AIミーナの話を聞いていた。ミーナは生きた人間と接続し、データを学習することで、人間離れした超人を生み出せるようになっていた。
ミーナの人口子宮によって性の概念を持たない新人類が生み出され、彼らが暮らす理想郷として「天国=いずくのえ島施設」が作られた。理想郷は大災害をきっかけに拡大していく予定だったという。
高原学園の奈良と茨城の施設は、大災害後の天国の拠点とするはずだった。しかし、怪物になる病気が発症し、混沌と化してしまった。青島は、高原学園が招いた事態の責任を取るため、猿渡とともに2つの拠点を復興省として立ち上げた。
謝罪する青島に対し、キルコは「勝手に僕らの時代を哀れむな…!」と伝える。一方、マルは自分の生い立ちが明らかになっていくものの、実感がわかず、キルコとの旅が終わりに近づいていることだけを感じていた。
後日、関西復興相を出ていく2人に、佐藤や青島の計らいで、猿渡と一緒にいたロボットを車(きるこ丸11号)に設置してもらう。ロボットは「ヤマトの住んでいた場所」「いずくのえ島」の場所がわかるため、道案内に最適だった。
ロボットは、自分の名前を「ナタ」だと明かす。
一方その頃、竹塚ミチカと坂江と平馬(復興省の職員)は、キルコとマルの2人を捕まえられなかったとして、茨城復興省へ戻ろうとしていた。
57話のポイント
第57話では、ミーナと高原学園の関係が明らかになってきました。学園の子どもたちは、ミーナの人口子宮によって生まれた超人でした。キルコの無反応に驚いていた青島でしたが、ゲノム編集による超人問題は、「トランヒューマニズム」「優生思想」など、現実社会でも議論されています。映画『ガタカ』に通じるものがありました。
関西復興省編が終わりましたが、青島と猿渡、佐藤やミチカなど、振り返ってみると、思った以上に根は良い人ばかりだったのもいい話でした。青島も猿渡も、いろんな葛藤がありながらも、起きてしまった事態に真摯に対処していたのだと、余白を想像できます。一方で、そんな崩壊前世代の大人に対してキルコが「勝手に哀れむな」と言うところは、とても胸に響く名場面でした。
そして、猿渡の迫田医院にいたロボットが「ナタ」であることが判明。ナタといえば、園長に「三倉まなか」として体を乗っ取られた人です。彼女の脳をバックアップしてロボットにインストールした感じですかね。キルコとマルに同行することになり、今後のキーマンになること間違いなし。いよいよ次号からは新章突入!
第58話「稲崎真凛」
2019年4月1日。国会議員の宇刈(うかり)議員が未成年をレイプし、その後始末として“便利屋”のトールらが遺体を処理した。
トールは便利屋業の親分である“弓月(ゆづき)のオヤジ”から、社会的弱者を利用して金儲けするための支援団体を作るようにアドバイスされる。
キルコとマルは、住居跡で雨宿りしていた。キルコはヤマトの家を探す途中で、大阪に寄りたいとマルに伝える。
2024年6月12日。中学生の藁山華(わらやま はな)は、下校中に好意を寄せる同級生の稲崎を公園で見つけて声をかける。
稲崎は、忙しい両親に代わって幼稚園児で妹の真凛(まりん)の面倒を見ていた。華は真凛に誘われて稲崎の家に一緒に帰っていく。
稲崎家の大きさに驚く華は、家の前で家政婦の市原に出会う。華は、稲崎が自分に興味がないことにショックを受けながらも、稲崎に関われたことを前向きに捉えていた。
58話のポイント
いよいよ新章突入!いきなり議員が未成年をキメセクして遺体を処理するという過激な描写から始まりました。
ロビンの子供時代が描かれていましたね。ロビンには真凛という妹、そして市原という家政婦がいることが明らかになりました。時系列も重要なポイントです。
ロビンは鍵のかけた部屋で茨城の復興省でヒルコと人間の女性と繋いでいましたが、あれはもしかすると真凛なのか…?トールはダンビラ佐藤っぽいですがどうなのかな…。
新キャラ(?)の華の一人劇場が面白すぎて笑いました。キルコの絶望的なネーミングセンスは相変わらず。反対に、家政婦を市原と名付ける石黒先生のネーミングセンスに笑います。今後はトールが成り上がっていくようです。
第59話「あめのぬぼこ」
キルコとマルは、ナタの案内で船山孤児院の手がかりを掴むために高原学園大阪分室を目指していた。そんな中、盗賊フクロウ団という者からの手紙に引き寄せられた4人の盗賊と接触する。
キルコは上手く話を合わせて荒れた市街地の迷路に案内すると、ある一軒家からキルコたちを「新天国の不良」と呼ぶ女性が現れる。
2024年11月1日。トールは社会的弱者の支援団体を装い、生活保護を不正受給させて手数料を得る闇稼業をしている。ある時、親分の弓月に呼び出されると、不正受給者に接触して生活を立て直させようとする虹本という弁護士の存在が邪魔であり、虹本一家を殺すように命じられる。
2024年11月10日。トールは虹本の家に向かい、妻と息子を殺害するが、気が動転していた。その頃、ロビンとマリン、家政婦の市原はロビンの誕生日を祝っていた。
2024年11月11日午後2時14分。トールは帰宅した虹本を殺害する。
59話のポイント
キルコとマルが出会う女性、「新天国」とは何を意味するのか。市原がテレビ通話で話してた女性は誰なのか。なぜタイトルが「あめのぬぼこ」なのか。トールとロビンたちがどう絡んでいくのか、様子を見るしかないもどかしさがありました。
ロビンたち幸せな瞬間の裏で起きているトールの殺害描写が妙にリアルで怖かった。早く続き読みたい…!
第60話「まんが道(1)」
深夜の関西に大きな地震が襲い、慌てて虹本一家を後にしたトールは、虹本家に返り血の付いた服を忘れてきたことに気づき、深夜に人々が外に出てきて、「全部終わりだ」と焦燥感に駆られる。
キルコとマルは、4人の盗賊たちの案内で「新天国の不良」と呼ぶ女性の家を訪ねる。盗賊たちは、彼女の持つPCゲームのデータを手にすると喜んで帰っていく。
彼女は「片桐ポルカ」というペンネームで活動する漫画家で、「新天国」が、大阪の豊中にある不良外国人に占拠された「旧天国」を追われた人間たちが作った町だと明かす。
新天国は町の守りが堅く、商業区に出入りするには審査を経て「ゲスト」となるしかないという。ポルカは新天国で発行されている冊子に漫画を卸しており、毛沼五作(けぬまごさく)という漫画家に影響を受けて漫画を書き始めていた。
キルコとマルは、盗賊たちと待ち合わせしていた「フクロウ団」の人間に接触し、キルコは、漫画と不良たちに書いた手紙のの筆跡が一致することから、フクロウ団が毛沼五作であることを突き止める。
毛沼五作は、自分の不調とは裏腹に弟子のポルカの漫画が順調であることで、嫌がらせをしようと考えていた。キルコは新天国に船山孤児院の院長がいることを知り、会わせるように頼むが、毛沼は代わりに、「ベータボーイ」という漫画を持ってくることを交換条件にする。毛沼五作が覆面を外すと、眼鏡をかけた美人な女性だった。
60話のポイント
60話は、タイトル通りに漫画家のエピソードとなっていました。本編にそこまで関係なさそうなエピソードにも思えますが、ポストアポカリプスにおける文化の重要性という意味で、石黒先生の漫画家としての矜持を感じさせるエピソードでした。とはいえ、トールの物語が一体どのように接続していくのかが全く予想できません…!
第61話「まんが道(2)」
キルコとマルは、漫画を探すために廃墟デパートの本屋に向かうが、本屋は浸水しており、網状に広がって電撃を繰り出すヒルコがいることを知り、危険を感じて撤退する。
2人は戻る途中で偶然、古本屋を発見し、運良く「ベータボーイ」の漫画を手にする。一方、キルコは地図を手にし、ナタが言っていた位置にあるのが鹿児島沖の「烏之衣島(いずくのえしま)」という島であることを知る。
キルコとマルは、毛沼五作に漫画を渡し、彼女の権限で面会する機会を手にして、新天国の敷地の前にやってくる。そして、面会に呼ばれた船山通(ふなやまとおる)の姿が現れる。
61話のポイント
前話に続いて、漫画家エピソード。文明崩壊前後で、漫画という文化が次なる作家へ数珠繫ぎのように受け継がれる様子が描かれる…と思いきや、毛沼五作が盗作の漫画家だったことをサラリと描いています。笑
キルコとマルは、デパートで電撃を出すヒルコに遭遇しました。さらに、学園の場所「烏之衣島(いずくのえしま)」が鹿児島であることが判明し、キルコは徐々に近づいてきていることがわかります。