今回ご紹介する映画は『ガタカ』です。
アンドリュー・ニコル監督による1997年のSF映画で、イーサン・ホーク主演、ユマ・サーマン、ジュード・ロウが共演。
本記事では、ネタバレありで『ガタカ』を観た感想・考察、あらすじを解説。
NASAの科学者が選ぶベストSFの第1位に選ばれるほど、リアルな未来を描いたSF映画です!
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『ガタカ』作品情報・予告・配信
『ガタカ』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
優秀な遺伝子を掛けあわせて生まれた「適正者」が支配する近未来。自然出産で生まれた「不適正者」のヴィンセントは、宇宙飛行士になる夢を叶えるため、「適正者」に偽装して宇宙局「ガタカ」に入社するが…。
作品情報
タイトル | ガタカ |
原題 | Gattaca |
監督 | アンドリュー・ニコル |
脚本 | アンドリュー・ニコル |
出演 | イーサン・ホーク ユマ・サーマン ジュード・ロウ |
音楽 | マイケル・ナイマン |
撮影 | スワヴォミール・イジャック |
編集 | リサ・ゼノ・チャーギン |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1997年 |
上映時間 | 106分 |
予告編
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おすすめポイント
運命に戦う意志と闘争。
遺伝子操作が可能な近未来で、「不適正者」として生まれた主人公が夢を追う姿を描いたSF映画。
主人公の姿を通して、技術が進歩した社会での倫理的な問題や、遺伝子が人間の運命をどのように左右するかという問いを投げかけます。
サスペンス的な展開も飽きさせず、無駄のない映像表現と人間のアイデンティティと自由を探求する物語が静かに心を揺さぶります。
『ガタカ』のキャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
ヴィンセント・アントン・フリーマン(イーサン・ホーク) 「不適正者」として産まれるも、宇宙飛行士の夢を追い、ジェロームになりすまして宇宙局に入局する。 | |
アイリーン・カッシーニ(ユマ・サーマン) 「適正者」の宇宙局員。ヴィンセントが「不適正者」であることを知らずに、彼の優れた能力に惹かれる。 | |
ジェローム・ユージーン・モロー(ジュード・ロウ) 優れた「適正者」だったが、実力の限界を感じた矢先に事故に遭い、半身不随の車いす生活者となり、ジェロームに協力する。 |
主演はイーサン・ホーク。遺伝子操作が当たり前の世界で自然妊娠したヴィンセントというキャラクター。彼の演技は控えめでありながら力強く、自分自身の限界と常に戦っている人間の本質を捉えています。どんな困難にも立ち向かう彼の姿を観ていると、自ずと応援し、勇気を与えてくれます。
アイリーン役は『キル・ビル』のユマ・サーマン。ヴィンセントの能力に嫉妬しながらも惹かれる様子、彼が「不適正者」と知ってからの世界への疑問を抱く様子など、次第に共感できるキャラクターを好演しています。
ジェローム役はジュード・ロウ。優れた「適性者」としてのカリスマ性と、それゆえの失望感を見事に演じ、対称的なヴィンセントとの奇妙な友情を深みのあるキャラクターとして演じています。
映画のタイトル『ガタカ』の意味
映画のタイトル「Gattaca(ガタカ)」は、遺伝子の元となるDNAを構成する4つの塩基の頭文字を使った造語です。
これらの頭文字を使って、『Gattaca(ガタカ)』とタイトル付けしたのです。本作のストーリーは遺伝子操作ができる未来の話を描いているため、内容とリンクするタイトルとなっています。
上記の冒頭シーンでも、皮膚片や髪の毛、血液や尿などを採取するヴィンセントの姿を映し、本作のテーマであるDNAと関連するシーンになっています。
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
『ガタカ』ヴィンセントとジェロームのラストを解説・考察
「不適正者」のヴィンセントは、ジェロームになりすまして宇宙局で夢を諦めず努力していました。その過程で殺人事件が起きると、自分を疑う捜査の手から何度も逃れてきました。しかし終盤では、そんなヴィンセントの前に、刑事である「適性者」の弟アントンが立ちふさがります。
「不適正者」である兄が、不正行為で今の地位を獲得したと言うアントンに対し、ヴィンセントは自らの実力で勝ち得たと主張します。そんな2人は、幼い頃にやっていた「遠泳チキンレース」を行います。
結果はヴィンセントの勝利でした。彼は勝った理由について「戻ることを考えていないからだ」と言います。ヴィンセントは溺れるアントンを助け、抱えて岸に戻ります。
ヴィンセントは自らの可能性を証明した
物語のラスト、ジェロームがヴィンセントのために宇宙から帰還したときのための血液や尿を用意してくれましたが、ヴィンセントは「もう必要ないんだ」と言います。
この言葉は、生まれつき心臓の弱いヴィンセントが、すでに寿命宣告された30歳を超えており、タイタンへの探査から帰ってくるころにはすでに死んでいることを察しての言葉だと一般的には解釈できます。
しかし、本当の意味は言葉通り「もう必要ない」からなのです。ヴィンセントは、自分の人生を賭けた目標である「不適正者が宇宙飛行士になる」という夢をすでに叶えたのです。たとえ彼がタイタンにたどり着くまでに命が持たなかったとしても、彼は、自らの人生で可能性を証明したのです。
そして、これはヴィンセントが弟のアントンに遠泳で勝った理由とも繋がります。ヴィンセントは戻ることなど考えていないからこそ、自分の夢を叶えられたのです。
ジェロームはなぜ自殺したのか、髪の毛の意味は
ヴィンセントに一生分の血液や尿を提供したジェロームは、ヴィンセントのロケット出発と重なるように焼身自殺しています。彼が自殺した理由はいくつか考えることができます。
私はこのどれもを含みつつ、ジェロームもヴィンセントと同じように自らの可能性を証明したのだと思いました。
ジェロームは事故で車いす生活となりましたが、中盤で酔っ払った彼は「完全にシラフで車の前に飛び込んだ」と自殺未遂したことを明かしています。そしてその後、「失敗したらもう一度やればいい」と自らに言い聞かせるように言葉を発しています。
優秀な「適性者」として産まれたジェロームにとって、銀メダルに象徴される「不完全さ」は決して許容できるものではなく、人生に影を落とします。そんなジェロームは、「不適正者」のヴィンセントが夢を成し遂げる様子をすぐそばで目の当たりにするのです。
当然、ジェロームの協力なしにヴィンセントが夢を叶えることはできません。2人はいつしか、なりすましを超えた運命共同体ともいえるひとつの存在になっていたのだと思います。
ジェロームがヴィンセントに渡した髪の毛の束は、彼のDNAの象徴であり、2人が一緒に宇宙へと行ったことを意味していると思えてなりません。
彼が銀メダルを首にかけて炎に包まれる時、映像では銀メダルがオレンジ色の炎に照らされて金メダルのように映ります。これはまさに、ジェロームとヴィンセントのひとつの夢が叶ったことを象徴しているようでした。
そして自殺すらも失敗したジェロームは、自ら死ぬことで失敗を克服したのだと思います。
『ガタカ』のテーマと伝えたいこと
『ガタカ』は、徹底して遺伝子決定論によるディストピアを描いています。
出生前の遺伝子操作によって選別し、「適性者(Varid)」「不適正者(In-Varid)」と階級分けする様子は、1932年のオルダス・ハクスリーによる『すばらしい新世界』を彷彿とさせます。
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イーサン・ホーク演じる主人公のヴィンセントは、私たちが生きる現代においてはいわゆる「健康児」とみなされたでしょうが、映画の世界では「不適正者」として、未来に起こるであろう病気や疾患、寿命までが予測されています。
一方、「適性者」として産まれたジェロームを見てみると、遺伝的に「最適化」された彼ですが、それ故に己の限界と痛感し、精神的に病んでしまいます。
「より優れた人間」を生み出そうとする行き過ぎた科学が目指すユートピアは、ディストピアそのものなのです。
本作は、個人の能力や運命が遺伝子によって決定されるという「遺伝子決定論」に真っ向から異を唱え、同時に倫理的および社会的な問題を提起します。
優生思想のように、遺伝子操作によって「完璧」な人間を生み出すことは多様性を失い、特定の遺伝子的特徴を持つ人々を排除することに繋がります。
これは決して「SF映画の世界の話」という訳でもありません。
生まれる前の胎児に異常がないかを調べる「出生前検査」。中でもダウン症など、染色体の異常を調べるNIPT(新型出生前検査)と呼ばれるものがあります。
これはすべての妊婦が受ける必要があるものではなく、高齢出産や様々な理由で検査を受ける人も、受けないと判断する人もいます。どちらにしても、検査をするしない、その後を含めて精神的に大きな不安が妊婦、夫婦には伴います。
広がる出生前検査(NIPT) 背景から見る課題と問題点とは - NHK クローズアップ現代
出生前検査の是非はともかく、『ガタカ』では、科学技術の進歩によって遺伝情報の取り扱いの潜在的な危険と倫理的なジレンマを描き出しています。
遺伝子学の進歩によって、本作でヴィンセントが警察に追跡されるように、DNA鑑定が事件の捜査に飛躍的な進歩となった事実は言うまでもありません。
科学の発展は止めることはできません。ゲノム編集、バイオテクノロジーの未来は、それを取り扱う人間が賢く使わなければ、その先にあるのはSF映画のようなディストピアになりかねないのです。
映画『ガタカ』がハマったあなたへ
『ガタカ』に関連して、宇宙という広大な見えない存在に対して、一人の人間が夢を追いかけるような、作品をご紹介。
映画『遠い空の向こうに』
あらすじ
1957年10月、ソ連が人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した。
ウエスト・ヴァージニア州の炭坑の町コールウッドで、その美しい軌跡を見ていた青年ホーマーは、自らの手でロケットを打ち上げたいと思い、級友3人とともに本格的なロケットづくりにとりかかる。
ポイント
NASAのロケット・エンジニアになったホーマー・ヒッカムの自伝をもとにしたドラマ。
私のオールタイム・ベストの一本。ロケットへの夢に賭けた若者たちの挑戦を描いたアツい映画。本作『ガタカ』にも通じるところがあります。
映画『インターステラー』
あらすじ
近未来。地球規模の食糧難と環境変化によって人類滅亡の危機が迫っていた。
そんな状況で、元エンジニアのジョゼフ・クーパーのもとへ宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つミッションの依頼が来る。
地球に残さねばならない家族と人類の存続、二つの間で葛藤する男。
悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。
ポイント
圧倒的な映像表現はもちろんですが、人類の挑戦の物語であり、家族の愛の物語でもあります。
やはりノーラン監督は天才だ…!
漫画『宇宙兄弟』
あらすじ
「一緒に宇宙飛行士になろう」と誓いあった、主人公・南波六太(なんば むった)と弟の日々人(ひびと)。
時は流れ、無職の六太のもとに、約束どおり宇宙飛行士となった弟から1通のメールが届いたことで、彼は幼き日の夢を胸に、再び宇宙を目指す決意をします。
ポイント
言わずとしれた人気コミックですね。兄弟の絆と刺激し合う関係性、そして宇宙のロマンが詰まった名作マンガです。
漫画『ふたつのスピカ』
あらすじ
宇宙ロケット・獅子号の墜落事故で母を失った少女・鴨川アスミ。
ある日、獅子号のパイロットだった幽霊「ライオンさん」に出会った彼女は、この不思議な友人との約束を果たすため、新設された宇宙飛行士を養成するための「東京宇宙学校」に進学します。
そこで同じ夢を持つ仲間に出会ったアスミは、宇宙を目指して切磋琢磨していきます。
ポイント
宇宙飛行士になるための試験や難関に、時には衝突しながらも成長していく主人公たちの姿がアツいです。
漫画『プラネテス
あらすじ
主人公のハチマキこと星野八郎太は、「スペースデブリ」という宇宙のゴミ拾いの仕事をしています。
いつか自家用宇宙船を所有することを夢見ながらも、宇宙のゴミ拾いという仕事を惰性で続けることに思い悩む日々。
そんなある日、彼が乗るデブリ回収船に新人のタナベがやってくる…。
ポイント
全4巻でありながら、これだけ濃い内容となっているのが凄いです。孤独な宇宙空間での生活を通して見出す「生きること」「愛」の姿はアツいです。
まとめ:私たちの未来の姿はどうなるか
今回は、アンドリュー・ニコル監督の映画『ガタカ』をご紹介しました。
この映画は遺伝子操作による理想的な人間の創造という優生学の理念を探求し、それが個人と社会に与える深刻な影響を映し出しています。
映画が公開されたのは1997年。時が経つに連れて『ガタカ』的世界が近づいているような気もしなくないです。私たちの未来の姿は一体どうなっているでしょうか。そしてそれを作るのは他でもない私たち一人ひとりなんだ。
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