今回ご紹介する映画は『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』です。
本記事では、ネタバレありで『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を観た感想・考察、あらすじを解説。
前作と似た構造でありながら、子供たちの成長が伺えてエンタメ度もさらにアップした続編!
前作とスピンオフは、以下で詳しく解説しています。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』作品情報・配信・予告・評価
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
大黒柱であるリーを亡くしたアボット一家は、リスクを承知で家を離れて外の世界へ救いを求めて進んでいく。
予告編
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作品情報
タイトル | クワイエット・プレイス 破られた沈黙 |
原題 | A Quiet Place Part II |
監督 | ジョン・クラシンスキー |
脚本 | ジョン・クラシンスキー |
出演 | エミリー・ブラント キリアン・マーフィー ミリセント・シモンズ |
音楽 | マルコ・ベルトラミ |
撮影 | ポリー・モーガン |
編集 | マイケル・P・ショーヴァー |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2021年 |
上映時間 | 97分 |
配信サイトで視聴する
配信サイト | 配信状況 |
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『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』キャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
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エヴリン・アボット(エミリー・ブラント) リーガンとマーカスの母親。出産して間もない赤子を育てながら生き抜いている。 | |
リーガン・アボット(ミリセント・シモンズ) アボット家の長女。聴覚障害を持ち、亡き父親リーが作った補聴器をつけている。 | |
マーカス・アボット(ノア・ジュプ) アボット家の長男。 | |
エメット(キリアン・マーフィー) アボット家の近所に住む友人。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ感想・考察】子供たちの成長と反撃の狼煙
Paramount Pictures
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、前作『クワイエット・プレイス』のラスト直後、怪物の襲来から474日目以降の物語が描かれます。一方で、本作の冒頭では、怪物が襲来した初日「Day1」を描き、人々の生活が謎の隕石による怪物の襲来で一変する恐怖を鮮烈に映し出します。
前作では、このパートでアボット一家の三男、ボーの死を通じて「音を立てたら即死」という世界観を強烈に印象づけました。一方、続編となる本作では、同様の構造を持ちながら、物語の展開とラストシーンの対比により、アボット家の子供たちの成長と活躍を見事に描いています。
本作では、アボット家の子供たち、リーガンとマーカスの2つのストーリーラインが展開されます。冒頭の野球の試合でピッチャーの投げる球に恐れていたマーカスが、映画のラストでは、自ら怪物に立ち向かい銃で撃ち殺すほどに成長しています。
この成長を支えているのが、長女リーガンの存在です。前作で彼女はマーカスよりも勇気があるものの、耳が聴こえないというハンデによりもどかしさを感じていました。しかし、リーガンは怪物の弱点にいち早く気付き、それがアボット家の反撃のきっかけとなりました。
怪物の襲来によって人々が自分を守るのに精一杯で疑心暗鬼に陥る中、リーガンは怪物に立ち向かうために立ち上がります。そんな彼女の姿に触発され、勇気を出せなかったマーカスが変わっていく様子は、姉弟の絆と成長を感じさせます。
本作は、奇しくもコロナ禍に公開され、物語における怪物の姿と、それによって人々が疑心暗鬼に陥る様子は、コロナのパンデミックへのメタファーと思わずにはいられませんでした。
前作は怪物の襲来の恐怖と家族の絆を描いたホラー映画でしたが、続編となる本作は、子供たちの成長を描く物語です。無駄に物語を広げることなく、三部作の中編として次回作への期待を高める反撃の物語として見応えがありました。
【ネタバレ解説】『クワイエット・プレイス2』あらすじとラスト
Paramount Pictures
1日目
リーは近所の食料品店で食料を手に入れ、マーカスの野球の試合会場に向かう。打席に立つマーカスを、リー、リーガン、エヴリン、ボーが見守る中、突然、正体不明の物体が町に飛来し、試合は中断される。
リーとリーガン、エヴリンとマーカス、ボーの3人は別々の車で帰ろうとする。リーは近所の友人エメットに何が起きているのか尋ねるが、エメットはわからないと答える。
その後、リーはパトカーで現れた警官ロニーに同じ質問をするが、その瞬間、怪物がパトカーに突進する。人々はパニックになり、リーは慌ててトラックに飛び乗って発進する。
一方、渋滞で止まっていたエヴリンたちは、怪物に襲われて暴走するバスが目の前に迫り、車をバックさせて回避する。リーは3人が乗る車に気づくが、まずはリーガンと飲食店に逃げ込み、身を隠す。店内では逃げ込んだ人々が息を殺して怪物から身を潜めていたが、そのうちの1人の携帯が鳴り、怪物が店内に襲撃してくる。
リーとリーガンは急いで裏口から逃げ出し、横転したパトカーの後ろに隠れると、ロニーが迫りくる怪物に向けて発砲するが、襲われてしまう。
474日目
エヴリンは生まれたばかりの赤ん坊を抱え、リーガンとマーカスとともに家の外に出る。エヴリンは燃え盛る納屋から酸素ボンベと木箱を回収する。一方、リーガンは地下室に戻り、スピーカーと父が残した地図を回収する。
リーガンは穀物サイロの上から地図とコンパスを使い、山の向こうから煙が上がっていることに気づく。家族は農場を後にし、裸足で歩き続けて廃線になった古い車両基地にたどり着く。
しかし、エヴリンがガラス瓶で音を発生させるブービートラップに引っ掛かり、走って逃げ出すと、マーカスがトラバサミの罠にかかり足を怪我する。激痛で悲鳴を上げると、それに応じて赤ちゃんも泣き始めてしまう。
リーガンは赤ちゃんを木箱の中に入れ、エヴリンがマーカスの罠を解除していると、怪物が近づいてくる。リーガンはスピーカーを起動させ、補聴器の高周波を増幅させて怪物を足止めし、エヴリンが怪物の頭を銃で撃ち抜いて駆除する。
エメットとの再会とリーガンの決意
その後、エヴリンと子供たちが車両倉庫内に入ると、一人の男が現れ、エヴリンの口を手で塞ぐ。彼は怪物が近くにいることを告げ、逃げながら地下のシェルターへ案内する。
シェルター内は密閉されて防音になっており、男はタイマーで時間を計測しながら、エヴリンたちに物資がないため泊められるのは1日だけだと伝える。エヴリンは男の声を聞き、彼がエメットであることに気づくと、箱の中の赤ちゃんを見せて懇願する。
エヴリンはエメットから渡されたアルコールでマーカスの傷を手当てする。エメットは、息子を初日に亡くし、妻のノラが11週間前に病死したことを打ち明ける。
エヴリンはエメットに、リーが毎晩サイロの上で火を焚いていたことを知っていたかと尋ねる。エメットは知っていたが、怪物の襲撃以降、人々が変わってしまったため助けに行かなかったと明かす。
リーガンが休んでいるマーカスにヘッドホンをつけると、ラジオから突然音楽が流れ、マーカスは驚く。エメットはその曲が「Beyond the Sea」だと言い、4ヶ月間繰り返し流れていたと明かす。
リーガンは、リーが毎日ラジオを確認していたのに今まで聴こえなかったことから、エメットが嘘をついていると主張するが、エメットはリーの家が谷にあるため聴こえなかったのだと説明する。
その夜、リーガンは眠っていたマーカスを起こし、ラジオの音楽が誰かからのメッセージだと主張する。彼女はラジオの発信源が近くの島であり、補聴器の高周波を流すことで人々を怪物から救えると考えていた。
しかし、マーカスはその計画に反対し、やめるよう説得する。翌日、マーカスが目を覚ますと、リーガンが一人で出ていったことに気づき、エヴリンに伝える。エヴリンはエメットにリーガンが一人で出ていったことを明かし、連れ戻すよう懇願する。
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475日目
リーガンは銃を手に線路をたどって進んでいくと、列車を発見する。列車内で救急箱を見つけて回収するが、音を立ててしまい、近くにいた怪物を引き寄せてしまう。リーガンはスピーカーを起動させて怪物を弱らせるが、銃の扱いに慣れていなかったため、狙いを外してしまう。
怪物がリーガンに向かって突進すると、エメットが怪物の背後から撃ち抜き、リーガンを救出する。2人は急いで廃駅の舎内に入って身を隠す。エメットはリーガンに一緒に戻るよう説得するが、リーガンは拒否し、逆に一緒にラジオの発信源へ行くように説得する。
一方、エヴリンは赤ちゃんの木箱の酸素ボンベがなくなりかけていることに気づき、マーカスに赤ちゃんの見守りを頼み、薬局に物資を調達に出かける。道中でボーの墓をお参りし、結婚指輪を置いていく。
マーカスは赤ちゃんを木箱の中に入れて工場内を探索する。エメットの寝床を観察していると、エメットの妻の遺体を発見し驚いて音を立ててしまい、急いで地下に戻る。
マーカスは木箱を抱えてシェルター内に避難するが、扉を締めた反動でシェルターのロックが掛かってしまう。エヴリンが戻ってくると、怪物が暴れている音を聞きつけ、持って帰ってきた酸素ボンベの一つに発砲して爆発させる。
その音で怪物を引き付け、爆発による火災でスプリンクラーが作動する。エヴリンは怪物の横を通り過ぎて地下室に戻る。シェルター内でマーカスが気を失っているのを発見するが、怪物が迫ってきていたため、エヴリンも中に入って怪物が去るまでやり過ごす。
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生存者の島
リーガンとエメットが海岸近くに到着すると、一人の少女がデッキの上でうずくまっていた。エメットが用心深く近づくと、少女はエメットに縄をかけて逃げていく。間もなく、物騒な男たちが現れる。
男たちはリーガンに興味を持ち、補聴器を奪って連れ去ろうとするが、エメットはボーの野球観戦時にリーガンから手話で教わった「飛び込め(dive)」を思い出し、手話で海に飛び込むよう指示する。
リーガンが海に飛び込むと、エメットは暴れて反撃し、音を聞きつけた怪物がやってくる。エメットは水に飛び込み、その間に怪物は男たちに襲いかかる。一体の怪物がエメットに向かって飛び込んでくるが、彼に届く前に溺れる。リーガンがボートでエメットを水から引き上げると、エメットは補聴器を奪い返したことを示す。
リーガンとエメットは海を渡り、目的の島にたどり着く。そこでは、一見怪物とは無縁の生活を楽しむ人々のコミュニティがあった。
エメットは島の男性に迎えられ、彼は初日に島に来たことを明かす。怪物が泳げないことを知り、州兵がボートに乗せて人々を避難させようとしたが、恐れる人々が駆けつけたことで12隻あったボートが2隻しか脱出できなかったという。エメットは島に来るのに2日弱かかったことを明かし、補聴器を渡して来た目的を告げる。
エメットはリーガンに、島の男性が補聴器をラジオに流すことに同意したことを伝え、リーガンを疑ったことを謝る。その後、エメットが浜辺で妻の絵を眺めていると、大きな衝突音を耳にする。その場所へ向かうと、エメットは浜辺で怪物に襲撃された船が座礁していることに気づき、急いで島の人々に警告しようと戻るが、怪物はすでに人々を襲い始めていた。
エメットは島の子供を助けて家の中に避難させると、島の男の車にリーガンと一緒に乗り込み、コミュニティから怪物を引き離そうとする。怪物は車に引っ付いてくるが、道中で振り落とし、3人はラジオ局にたどり着く。しかし、コミュニティの人々を心配して戻ろうとした島の男は怪物に殺されてしまう。
リーガンとエメットは怪物に気づかれないようラジオ局内を静かに進む。リーガンはスタジオ内に入るが、少しの物音を立てたことで怪物が襲いかかり、エメットは足を切りつけられる。リーガンはラジオの接続をマイクに切り替え、補聴器を当てて高周波を放送する。怪物が悶え苦しむ中、リーガンは鉛のパイプを手に取り、怪物の頭を殴り潰す。
一方、地下室のシェルターに隠れていたエヴリン、マーカス、赤ちゃんの3人は、扉を開けて外を確認したときに怪物に気づかれ、シェルターのドアを壊される。エヴリンは足を負傷するが、リーガンがラジオで高周波を流したことに気づいたマーカスは、その音を怪物に聞かせて退ける。マーカスは拳銃を手に取り、怪物の頭を撃ち抜いて始末する。