クワイエット・プレイス DAY 1

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映画

【ネタバレ考察・解説】『クワイエット・プレイス DAY 1』まさかの猫映画であり感動作

今回ご紹介する映画は『クワイエット・プレイス DAY 1』です。

どんな映画?

  • モンスター・スリラー映画『クワイエット・プレイス』シリーズの第三作目
  • 怪物が地球に襲来した「初日」のニューヨークを描くスピンオフ
  • 「音を立てたら、即死」の恐怖とサバイバル

本記事では、ネタバレありで『クワイエット・プレイス DAY 1』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし
まめもやし

前二作から監督が変わっていますが、スリラーとしては良くも悪くもほぼ同じ印象。だけどドラマとしては思わぬ感動がある映画なんです!そして猫が可愛い!

『クワイエット・プレイス』シリーズ前二作の解説はこちら!

『クワイエット・プレイス DAY 1』作品情報・配信・予告・評価

『クワイエット・プレイス DAY 1』

クワイエット・プレイス DAY 1

あらすじ

末期ガンを患うサムという女性は、突如として地球に襲来した怪物により、大都市ニューヨークに閉じ込められたことを知る。

5段階評価

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトルクワイエット・プレイス DAY 1
原題A Quiet Place: Day One
監督マイケル・サルノスキ
脚本マイケル・サルノスキ
出演ルピタ・ニョンゴ、ジョセフ・クイン、アレックス・ウルフ、ジャイモン・フンスー
音楽アレクシス・グラプサス
撮影パット・スコラ
編集アンドリュー・モンドシェイン
グレゴリー・プロトキン
製作国アメリカ
製作年2024年
上映時間99分

『クワイエット・プレイス DAY 1』監督・スタッフ

監督・脚本:マイケル・サルノスキ

『クワイエット・プレイス』シリーズの前二作は、エミリー・ブラントが主演し、彼女の実生活の夫であるジョン・クラシンスキーが夫役と監督を務めました。

一方、シリーズのスピンオフで第三作目となる本作で監督を引き継いだのはマイケル・サルノスキです。彼の前作である長編デビュー作『ピッグ/PIG』では、ニコラス・ケイジがトリュフハンター役を演じ、盗まれた愛豚を取り戻す物語が描かれました。

今回の作品は、予算や規模が大幅に拡大し、ニューヨークを舞台に黙示録の始まりを描いています。往年のSF作品を彷彿とさせながらも、病に侵され死にゆく主人公の内面に焦点を当てた内容です。

『クワイエット・プレイス DAY 1』キャスト・キャラクター解説

ルピタ・ニョンゴ

サミラ(ルピタ・ニョンゴ)

役柄
サミラ。ガンの末期患者の詩人で愛猫フロドと一緒に暮らしている。愛称は“サム”。

出演作
『それでも夜は明ける』『アス』『ブラックパンサー』

ジョセフ・クイン

エリック(ジョセフ・クイン)

役柄
エリック。ロー・スクールに通うためにニューヨークやって来たイギリス人。

出演作
『オーヴァーロード』

アレックス・ウルフ

ルーベン(アレックス・ウルフ)

役柄
ルーベン。ホスピスで病気のサムをサポートする介護者。

出演作
『ヘレディタリー/継承』『PIG/ピッグ』

ジャイモン・フンスー

アンリ(ジャイモン・フンスー)

役柄
アンリ。ニューヨークの劇場でサムと出会う。第二作『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』では、島の生存者として登場。

出演作
『アミスタッド』『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』『グラディエーター』『ブラッド・ダイヤモンド』『REBEL MOON』

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ感想・考察】静寂のニューヨークと猫の癒やし

クワイエット・プレイス DAY 1
© 2024 PARAMOUNT PICTURES

音を立てたら、即死」のキャッチコピーで有名な『クワイエット・プレイス』シリーズの第三作目にしてスピンオフである『クワイエット・プレイス DAY 1』は、大都会ニューヨークを舞台に、怪物(エイリアン・クリーチャー)が地球に襲来した初日を描いた物語です。

このシリーズの最大の魅力は、「音を立てられない」という独特の制約です。前二作と同様に、音に敏感なモンスターから生き延びるサバイバル映画として本作も特に新しさはありませんが、同じ内容でありながらも映画が描きたい部分が明確で、飽きさせない魅力があります。言い換えれば、キャラクターが主導するホラー映画です。

第一作目は、怪物の襲来で生活が一変した家族のサバイバルを描き、末っ子の死の悲しみを共有する家族が団結する物語でした。第二作目では、一家の大黒柱である父親を失った後、恐怖におびえる子供たちの成長に焦点が当てられ、怪物に対抗する反撃の狼煙を上げる物語でした。

シリーズ三作目の本作はキャストが一新されたスピンオフで、怪物が襲来した初日「Day 1」を描き、ニューヨークの街が絶望の淵に立たされる往年のホラー映画のフォーマットを踏襲しています。しかし、映画が最も強調しているのはタイトル通りの「クワイエット・プレイス」、言い換えれば、主人公サムの「心の静寂」を探す旅とも言えます。

主人公のサムは末期ガン患者であり、怪物の襲来以前から死が目前に迫っています。そんな彼女の心の拠り所は、可愛くて大人しい猫のフロドだけ。怪物の襲来後、ニューヨークの生存者たちが避難船に乗るために港へ向かう中、サムは死ぬ前にピザを食べるためにピザ屋を目指します。

そこで出会うのがエリックという男性です。映画は、エリックとの出会いを通じてサムの内面の変化を描いています。ニューヨークが黙示録の舞台となるのはハリウッドのお馴染みですが、映像面では印象的なショットがいくつもありました。

隕石とともに怪物が襲来し、パニックに陥るニューヨーク、瓦礫が散らばり埃で白く染まる人々の姿は9.11を思い起こさせます。その他にも、ニューヨークの橋が爆破され崩れ落ちるシーン、マンホールから燃え上がる炎の前で跪く二人、水没した地下鉄から教会へ上がるシーンなど、ホラー映画であることを忘れてしまうような目を見張るようなシーンが印象的でした。

極めつけは、猫のフロドの魅力です。本作を観ると、ウィル・スミスが廃墟のニューヨークを犬とサバイブする映画『アイ・アム・レジェンド』を真っ先に思い出させますが、フロドは怪物から人間を助ける直接的な役割ではなく、サムとエリックの心に寄り添う存在として描かれています。

サムとエリックの関係も恋愛関係に発展するようなチープさはなく、適度な距離感があるのが好印象です。エリックを助けることでサムは自分自身と向き合います。二人の別れのシーンもいい意味で劇的さはなく、サムが着ていた黄色いカーディガンをエリックに託すだけで心情が伝わります。

一方で、スピンオフなのでシリーズの物語は進むことはありません。新たな発見としては、怪物が建設現場で何か袋のような物を破って食べていたこと、怪物同士が「おい、これ美味いぞ!」的な意思疎通ができる可能性があることくらいですかね。

また、ネズミが人間の死体を食べるシーンや、フロドがネズミを追いかけるシーンなどが差し込まれることで、怪物が音を頼りに人間に襲いかかる理由が生物としての本能であることを示唆させるような演出も良かったです。

『クワイエット・プレイス』シリーズは『エイリアン』『インデペンデンス・デイ』『宇宙戦争』『クローバー・フィールド』『アイ・アム・レジェンド』『デイ・アフター・トゥモロー』などのパニックホラー映画のフォーマットを踏襲しながらも、「音を立てたら、即死」という新たな定番を生み出しました。

そのうえで、キャラクター主導のドラマが魅力的なシリーズです。だからこそ、設定の細かいツッコミどころも気にならずに楽しむことができるのです。本作は、飽和するハリウッド超大作の中で、信頼できるシリーズ作品のひとつであることを証明しています。

物語のラストでサムが聴く楽曲、ニーナ・シモンの「Feeling Good」は、同じくエンドロールで同曲が流れる役所広司主演の映画『PERFECT DAYS』と重なります。

【ネタバレ解説】あらすじとラストはどうなった?

『クワイエット・プレイス DAY 1』
© 2024 PARAMOUNT PICTURES

絶望のマンハッタン

末期がん患者の女性サムは、ニューヨークのホスピスで飼い猫のフロドと暮らしている。ある日、ケアワーカーのルーベンは、サムを気分転換にマンハッタンへのグループ旅行に連れて行く。

二人は劇場で操り人形劇を鑑賞した後、サムはピザを食べたいとルーベンに伝えるが、断られたことで不機嫌なままバスに乗り込む。するとその後すぐに、サムは街に隕石が衝突し、怪物が人々を襲い始めるのを目撃する。街が混乱を極める中、サムは意識を失う。

サムはフロドや他の生存者とともに劇場で目を覚ます。劇場内は静まり返り、アンリという生存者から、音を立てないように合図を受ける。上空では軍のヘリコプターが建物内で物音を立てずに隠れているように警告する。

その夜、軍は怪物がマンハッタン島から流出するのを防ぐため、ミサイルでマンハッタンに通じる橋を爆撃する。アンリは他の生存者と共に橋の崩壊を目撃しするが、パニックを起こした生存者の一人を落ち着かせようとして誤って殺してしまう。

一方、ルーベンは発電機のエンジンが異常振動を起こしたことで、止めようとしたときにシャツが破れてしまい、その音を聞きつけた怪物に殺される。サムは目の前でルーベンが殺されたことにショックを受けるも、フロドを連れてピザ屋のあるハーレムへ出発する。

エリックとの邂逅

その後、軍は怪物が泳げないことで、南部の港から船を出し、市民に強制避難を呼びかける。すると人々は次々と建物から避難地点に向かって避難を始めるが、サムは反対方向へと進む。大勢の人が移動し始めたことで、音を聞きつけた怪物が襲撃を始めると、再び街はパニックとなり、サムはフロドとはぐれてしまう。

その頃、浸水した地下鉄の入り口から脱出したエリックは、フロドと遭遇し、フロドを追いかけてサムと出会う。サムはエリックに避難場所を教えて向かうように伝えるが、エリックは怪物への恐怖と不安を吐露し、サムは自分のアパートまで連れて行く。

雷雨の夜、二人は落雷の音に合わせて声を出し、溜まっていた感情を押し出す。翌日、エリックはピザ屋を目指すサムに同行し、二人はハーレムを目指して進み、道中で怪物に襲われながらも、地下鉄を通って教会へと抜け出す。

エリックはガンの痛みで苦しむサムのために薬局まで出かけて薬を手に入れると、サムは子供の頃のピアニストだった亡き父との思い出を明かす。彼女は父の演奏をジャズクラブでよく見ていたこと、その後にパッツィーのピザ屋で一緒にピザを食べたことを話す。

サムの決意

ハーレムに到着すると、パッツィーのピザ屋は燃えてしまっていたが、エリックはサムの願いを叶えるために、別の見せからピザを手に入れてサムにプレゼントする。エリックの要望でサムの思い出のジャズクラブに行くと、エリックは舞台でトランプマジックを披露してサムを元気づける。

その後、二人は大勢の避難者たちを乗せた船が近くを通っていることに気づくと、サムはフロドをエリックに託し、船を狙う怪物たちの気をそらす。その間に、エリックはフロドを抱えて桟橋まで走り出す。エリックは怪物の追跡を振り払って海に飛び込み、アンリらが乗る避難船に乗り込むことに成功する。

船上でエリックはサムから受け取ったカーディガンからメモを発見する。そこには、フロドの世話を託す言葉と感謝を伝える言葉が書かれていた。

エリックとフロドがマンハッタンを脱出した後、サムはiPodでニーナ・シモンの「Feeling Good」を聴きながら、静寂のニューヨークの街を練り歩く。道の真ん中に立つと、サムはiPodのイヤホンをジャックから外し、笑みを浮かべながら音楽を聴くが、彼女の背後には怪物が現れる。

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