TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー

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映画レビュー

【ネタバレ解説】『トーク・トゥ・ミー』感想・考察|若者たちの不安と悲しみ

今回ご紹介する映画は『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』です。

オーストラリアの双子の映画監督でありYouTuberが手掛ける、現代の若者に焦点を当てた新感覚スリラー映画。

背筋が凍る怖さと、10代の若者の抱える不安を見事に絡み合わせたが手腕が見事で、A24が配給を獲得し、世界中で話題が巻き起こっています。

本記事では、ネタバレありで『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし

目を引く設定と、若者の不安や悲しみに焦点を当てたホラー展開がすごい一本!

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』作品情報・予告・配信

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』

トーク・トゥ・ミー

5段階評価

ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :

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あらすじ

母を亡くした高校生のミアは、気晴らしに仲間とSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」に参加してみる。呪物の「手」を握り、「トーク・トゥ・ミー」と唱えると、霊が憑依するというのだが…。

作品情報

タイトルTALK TO ME/トーク・トゥ・ミー
原題Talk to Me
監督ダニー・フィリッポウ
マイケル・フィリッポウ
脚本ダニー・フィリッポウ
ビル・ハインツマン
出演ソフィー・ワイルド
アレクサンドラ・ジェンセン
ジョー・バード
オーティス・ダンジ
ミランダ・オットー
ゾーイ・テラケス
クリス・アロシオ
マーカス・ジョンソン
アレクサンドリア・ステファンセン
音楽コーネル・ウィルチェック
撮影アーロン・マクリスキー
編集ジェフ・ラム
製作国オーストラリア
製作年2022年
上映時間95分

予告編

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映画館で公開中

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』監督・製作・スタッフ

監督:ダニー・フィリッポウ、マイケル・フィリッポウ

RackaRacka
マイケル(左)とダニー(右)Cold Ones, CC BY 3.0

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』の監督は、「RackaRacka」の名前でYouTuberとしても活動しているオーストラリアのダニーとマイケルのフィリッポウ兄弟

2人は2014年のオーストラリアのホラー映画『ババドック 暗闇の魔物』にも出演しており、本作ともテーマの関連性があるホラー作品となっています。

本作はカンヌ国際映画祭に出品された後、サンダンス映画祭で初上映され話題となり、ユニバーサルなどの競合と競り合った結果、A24が配給権を落札。映画の舞台となるは、2人の出身地であるアデレード。

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本作はすでに続編『Talk 2 Me』の製作が決まり、2人がメガホンをとるほか、世界的人気ゲーム『ストリートファイター』の実写化でも監督を務めることが決定しています。

2人のYouTubeチャンネルがヒットしたきっかけとなったのは、「Harry Potter VS Star Wars」という動画で、オーストラリアのオンラインビデオ賞で受賞しています。

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』キャスト・キャラクター解説

キャラクター役名/キャスト/役柄
ミア(ソフィー・ワイルド)ミア(ソフィー・ワイルド)
2年前に母親を亡くし、父親と2人で暮らしているが会話は少なく、主にジェイドの家族と生活している。
ジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)ジェイド(アレクサンドラ・ジェンセン)
ミアの親友。ダニエルと付き合っている。
ライリー(ジョー・バード)ライリー(ジョー・バード)
ジェイドの弟。子供扱いされることを嫌っている。
ダニエル(オーティス・ダンジ)ダニエル(オーティス・ダンジ)
ジェイドの彼氏。以前、ミアと親密な時期があった。
スー(ミランダ・オットー)スー(ミランダ・オットー)
ジェイドとライリーの母親。

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ解説】『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』あらすじ・ラスト

コールとダケットの兄弟

映画は、コールという男性が弟のダケットを探しに、ホームパーティーが開催されている家に入るところから始まる。コールは、1人で部屋に閉じこもっていたダケットを見つけ、ドアを壊して彼を外に連れ出していく。

この様子は、パーティーに参加している若者たちにスマートフォンで撮影されていた。その中で、何かおかしな様子のダケットは、突然コールをナイフで刺し、その後、自分の顔も刺してしまう。

瀕死のカンガルー

17歳のミアは、母親レアの二回忌を迎えていた。彼女は父マックスと暮らしているが、母の死後、父との会話は少なくなっていた。ミアは親友のジェイド、弟のライリー、そして2人の母親スーの家で過ごす時間が多い。

ある夜、友人と遊んでいたライリーを車で迎えに行く途中、ミアは車に轢かれて瀕死のカンガルーを発見する。ライリーは苦しむカンガルーを楽にしてあげるべきだと言うが、ミアはそれを思い留まり、その場を去ることを決める。

憑依チャレンジ

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ミア
(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

ミア、ジェイド、そしてジェイドの弟ライリーの3人は、ジェイドの彼氏でありミアの元彼であるダニエルの誘いで、ジョスヘイリーが主催するパーティーに参加することになる。

そのパーティーでは「憑依チャレンジゲーム」が行われていた。参加者はロウソクに火を灯し、防腐処理された手の剥製を握り、「トーク・トゥ・ミー」と言うことで亡くなった人の霊と会話ができる。さらに、「レット・ミー・イン」と言うと霊が体に乗り移るというルールだった。

半信半疑のミアがゲームに参加し、呪文を唱えると、彼女は目の前に老人の霊を見てパニックに陥る。気を取り直して再び手を握り、呪文を唱えると、彼女の体に霊が憑依し、ライリーに向かって不気味な声で話し始める。

憑依は90秒以内に終わらせる必要があったが、ミアは制限時間をわずかに超えた後で憑依を切断することに成功する。

ライリーの憑依

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ライリー
(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

後日、ミアたちはジェイドの家で再び憑依チャレンジゲームを行うことになる。ジェイドはゲームへの参加を拒否するが、ミア、ダニエル、ジョス、ヘイリーらはゲームに夢中になり、その奇妙な体験に陶酔していた。

その様子を見ていたライリーがゲームに挑戦したいと志願する。ジェイドはこれを許さず、呆れて部屋を出ていくが、ミアはライリーの懇願に屈し、50秒で終わらせることを約束してゲームを始める。ライリーの体に霊が憑依すると、その霊はミアに話しかけ、彼女を恋しく思っていると明かす。

ミアはその霊が母親のレアであると感じ取り、制限時間の50秒が過ぎても話を続けようとする。しかし、その結果ライリーの体は霊に完全に乗っ取られ、自らの頭をテーブルに打ち付けて死のうとする。全員が必死に霊を引き離すことに成功するが、ライリーは重症を負い、病院に搬送される。

レアの霊

ミアは病院でライリーを見舞おうとするが、ジェイドとスーにライリーの怪我の責任を問われ、突き放されてしまう。ライリーの事故以降、ミアは母レアの霊を見るようになっていた。

ミアはダニエルを自宅に泊めることにし、2人は一緒にベッドで過ごす。しかし、ミアが悪夢から目覚めたとき、部屋の隅に老婆の霊が這い出てダニエルの足に吸い付いているのを目撃する。ミアがダニエルを起こそうとするが、彼が目を覚ますと、足に吸い付いていたのはミア自身だった。この光景に驚いたダニエルは部屋を去る。

混乱したミアは、持ち帰っていた手の剥製を取り出し、母レアの霊との会話を試みる。すると、レアの霊は自らの死が自殺ではなく事故だったこと、ミアと離れたくないという思いを伝える。さらに、レアの霊はミアに、ライリーが苦しんでいて、助けが必要だと告げる。

一方、ジェイドはライリーの看病をしていたが、取り憑かれたライリーはジェイドに噛み付き、自分の頭を壁に打ち付けて自殺を図ろうとする。

辺獄(リンボ)

ライリーの霊の問題に対処するため、ジョスがダケットから手の剥製を受け取ったことを知ったミアたちは、ダケットの兄コールに接触する。コールは、霊が体に長く留まるほど弱くなると説明し、待つしかないとアドバイスする。

しかし、ミアは一刻も早くライリーを救いたいと考え、ライリーと手を握り、ロウソクを吹き消して霊を断ち切ろうとするが、うまくいかない。そこで、ミアは自分が憑依されることでライリーとの接触を試みる。この試みにより、ミアは少女の霊を通じて、ライリーがリンボ(辺獄)で多くの霊たちに苦しめられているというビジョンを見る。

悪霊

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ミア
(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

ミアが自宅に戻ると、彼女を心配した父マックスは、レアの遺書があることを明かし、それを隠していたことについて謝罪し、遺書を読み上げる。その後、ミアが部屋で泣いていると、レアの霊が現れ、マックスが嘘をついていると主張し、同時にライリーの苦しみは死によってしか救われないと告げる。

この時、ミアはマックスに暴力を振るわれる幻覚を見てしまい、助けに来た現実のマックスの首をハサミで刺してしまう。その後、ミアはレアの言葉を信じ、ジェイドを自宅に誘い出し、その間に病院でライリーを殺そうとするが、結局できずに病室から彼を連れ出す。

ジェイドはマックスが血を流して倒れているのを発見し、ミアがライリーを危険に晒していることに気づく。病院に戻った彼女は、ミアがライリーを車椅子に乗せて高速道路に向かうのを目撃し、追いかける。

レアの霊はミアにライリーを殺すよう説得し続けるが、その言葉によってミアは車椅子から手を離し、気がつくとミア自身が高速道路に落ちて車に跳ねられていた。

トーク・トゥ・ミー

ミアが病院に搬送された後、彼女はマックスがエレベーターに乗って去る様子や、ライリーが回復してジェイドとスーと会話している様子を目撃する。

しかし、ミアは自分の声に誰も反応しないこと、自分の姿が鏡に映らないこと、そして事故によって自分の手が変形していることに気づく。やがて、ミアの周りを暗闇が覆い、遠くに光と手を差し伸べる姿が見える。彼女がその光に向かって進み、手を掴むと、外国人たちがホームパーティーで「憑依チャレンジ」をしている場面に気づく。

彼女は自分が死んだことに気づき、他の場所で繰り広げられる「憑依チャレンジ」の一部となっていた。

【ネタバレ考察】タイトルとテーマの意味

(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

A24やブラムハウスなど、昨今のホラー映画を賑わせている作品の多くは、怖さの背景にある不安や心理に焦点を当て、それを心霊体験とリンクさせる作品が多く、本作『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』もそのひとつに当たります。

A24映画のヒット作『ヘレディタリー 継承』(2018)では、遺伝する精神疾患と家族の関係を描き、同じく2023年公開のブラムハウス映画『M3GAN』は、テクノロジー依存による子育て、親になる不安感を描いています。これらは『X エックス』が表現するような、「高尚なホラー」とも言えます。

本作、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』が描いているのは、母親を失った主人公に象徴される、悲しみとの向き合い方(グリーフケア)。

タイトルの意味とテーマ

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』というタイトルは、映画内での「憑依チャレンジ」ゲームにおける降霊のトリガーワードであると同時に、主人公ミアの内心を象徴しています。ミアは母親の死に深く心を痛めており、その悲しみを乗り越えることができていません。母の死後、父親マックスとの会話は減り、彼女の生活の中心は親友ジェイドの家となっていました。

映画を通じて、ミアが悲しみの対処として「逃避」を選んでいることが明らかになります。彼女は母親の死について父親と話すこともなく、誰にもその心の痛みを打ち明けることができずにいました。

ミアが抱える不安や悲しみがどのような結果を招くのかは、映画のラストシーンを見ればはっきりとします。彼女には母親の死と自身が抱える不安を誰かに話す必要があり、それがタイトルの「Talk To Me(私に話して)」という言葉に反映されています。

父親や親友に話すことができない場合、セラピストなど他の誰かに彼女の不安を「話す」ことが必要だったのです。しかし、それができないままミアは2年間も一人で苦しみを抱え続けていたのです。このタイトルは、ミアの心の叫びとも言えるものであり、彼女の内面的な葛藤と孤独を象徴しています。

瀕死のカンガルーとミアの選択の意味

映画の冒頭でミアとライリーが遭遇する瀕死のカンガルーのシーンは、映画全体の重要な伏線となっています。このシーンは、ライリーが霊に取り憑かれる後の出来事や、映画のラストでミアが高速道路で車に轢かれる様子へと繋がっていきます。

ミアが瀕死のカンガルーの命を絶つことを選ばなかったのは、彼女が「死」という現実から目を背けていることを象徴しています。母親の死と真正面から向き合うことができないミアにとって、カンガルーを殺すことは、その現実を受け入れることに等しい行為でした。彼女はこの選択を通じて、死という終わりを避けようとしています。

しかし、この選択が皮肉な結果を招くことになります。瀕死のカンガルーも殺せないミアが、結果的に身近な人々を傷つけることになっていくのです。

剥製の手のメタファー

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ジョス
(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』における「剥製の手」は、映画の重要なキーアイテムであり、降霊のための儀式に不可欠なアイテムです。この「剥製の手」は、映画の映像表現を見ればわかるように、アルコールやドラッグのメタファーとして描かれています。

若者たちは「憑依チャレンジ」による一時的な高揚感に依存し、その危険性を顧みず、常習的に行ってしまいます。これが本作の見どころの一つであり、ホラー映画としての新しい表現方法とも言える面白いポイントでした。

若者たちは「憑依ジャンキー」日本で言えば「こっくりさんジャンキー」になっているのです。

さらに、その様子を撮影して共有することで、デジタルタトゥー問題も彷彿とさせ、YouTuberである監督の洞察力の高さを感じさせます。(一方で、監督はYouTuberとしての活動で度々警察沙汰になっているわけでもあるのですが…)

また、剥製の手に描かれた「I Want To See You(あなたに会いたい)」という文字は、ミアが母親を深く恋しく思う潜在的な気持ちとリンクしています。ミアの内面的な葛藤や彼女の母親への未解決の感情を象徴しており、映画のキーアイテムとして効果的に働いています。

10代の若者たちが抱える不安感

本作において、ミアと同じく印象的なキャラクターとして描かれるのがジェイドの弟ライリーです。ライリーが経験する悲劇は、10代の若者たちが抱える不安感や成長の葛藤を象徴しています。

冒頭のシーンでは、ライリーにはタバコを売りさばく悪友がいることが描かれます。ライリー自身はタバコを吸わないものの、姉ジェイドのパーティーに同行し、そこで子供扱いされる様子から、彼が早く「大人」になりたいという願望が伝わってきます。

ライリーは自分が子供扱いされることに反発し、それが彼が「憑依チャレンジ」に参加することを強く望む引き金となっています。この背景には、10代の若者たちが抱える帰属意識や、コミュニティからの排除への恐れといった不安感があります。これらは、子供と大人の間の境界に立つティーンエイジャー特有の心理状態を反映しています。

ライリーのキャラクターは、成長の過程で直面する内面的な葛藤や社会的なプレッシャーを象徴しており、若者たちの心理的な複雑さを映画の中で巧みに表現しています。

ミアとライリーのラストはどうなったのか

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』ミア
(C) 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia

映画『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』のラストは、ミアが死亡し、彼女自身が「憑依チャレンジ」の霊側として降霊されることに気づくという衝撃的な展開で締めくくられます。この結末は救いがなく、後味の悪いものとも受け取られるかもしれませんが、本作はミアの姿を反面教師として位置づけ、悲しみと向き合うことを避け続けた若者が最終的に辿り着く結果を示しています。

ミアは母親の死という悲しみに直面し、それを乗り越えることなく、逃避を続けてきました。この逃避が彼女の運命を決定づけ、最終的には彼女自身が霊となってしまうという皮肉な結末につながっています。

悲しみを正しく対処しないことが、躁うつや自傷行為といった自己への影響だけでなく、他人を傷つけることにも繋がる可能性があることを示唆しています。ミアの行動は、彼女自身だけでなく、周囲の人々にも深刻な影響を及ぼしました。

ミアはなぜ霊を見るようになったのか

映画が進んでいくと、ミアは「憑依チャレンジ」せずとも霊が見えるようになっています。これは最初のチャレンジで、ミアがルールの90秒を超えて憑依したことに起因しています。

その時ミアの体に霊が残っており、彼女は次第に自分の母親の霊だと信じるようになっていました。

ミアはなぜ父親のマックスを刺したのか

映画の終盤でミアが経験する悲劇的な出来事は、彼女が母親の死とその後の影響から逃れ続けた結果として描かれています。ミアは父親との会話を避け、母の遺書の内容を信じず、代わりに霊として現れる母親の言葉を信じ込んでしまいます。

ミアにとって、愛する母親が精神的に不安定であり、自殺したという事実は受け入れがたいものでした。彼女にとって、これらの事実を否定し、それらをウソとして扱う方が、現実と向き合うよりもはるかに簡単な選択でした。この逃避は、彼女の心理的な葛藤と苦悩を深め、最終的には父親をハサミで刺すという悲劇的な行動につながります。

この展開は、トラウマや悲しみと向き合わないことが、最終的には自己破壊的な行動や他人への害をもたらす可能性があることを示しています。

ミアはなぜダニエルの足に吸い付いたのか

ミアがダニエルの足に吸い付く霊を見た後、実際には自分自身がその行為をしていたことに気づくシーンは、彼女の内面的な欲求や葛藤を象徴しています。ミアとダニエルは過去に付き合っていたものの、身体的な接触は手をつなぐ程度に留まっていたことが示されています。

ダニエルがその後、ミアの親友ジェイドの彼氏となったことで、ミアは彼に対して残っている感情と、親友の彼氏であるという複雑な感情の間で揺れ動いています。ミアの未解決の感情やアンビバレントな感情が、潜在意識として霊によって支配された行動に現れています。

一方で、ダニエルが「憑依チャレンジ」を行った際に犬とキスするシーンも同様に彼の潜在的な欲求を表していることが想像できます。ダニエルとジェイドが、交際しているにも関わらず、彼らがまだキスをしていないという事実に対する彼の欲求不満があの奇妙な行動に現れているのだと思います。

ライリーはなぜ助かったのか、ミアはなぜ死んでしまったのか

ラストシーンでは、ミアが車に轢かれて病院に運ばれる一方で、ライリーが回復している様子が描かれます。この展開は、一見するとミアが自らの命を犠牲にして悪霊を追い払ったように見えますが、ダケットの兄コールの言葉によれば、これは単に「時間が経過したから」ということになります。彼の説明によると、「体に取り憑いた霊は時間が経つにつれて弱くなる」のです。

この観点から見ると、ミアが死ぬ必要はなかったとも考えられます。彼女が抱える悪霊も、ライリーの場合と同様に時間が経過することで消え去る可能性がありました。しかし、ミアの積み重ねられた負の感情は、彼女にとって死ぬ以外の選択肢がないように感じさせるほど重くのしかかっていたのです。そしてそれは、彼女が楽しんでいた「憑依チャレンジ」の霊側に立つという皮肉な結末に至ります。

このラストシーンは、霊側に存在していた人物たちが、ミアのように精神的な苦しみを抱えていた人々であることを示唆しています。若者たちが「降霊」を遊びとして行っていたことは、彼らにとって青春の傷みとしてはあまりにも痛すぎる結末をもたらします。

総じて『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』は、若者たちの軽率な行動と、その行動が引き起こす深刻な結果を強く印象づける作品となっていました。

まとめ:まずはその不安を「話す」ことから

今回は、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』をご紹介しました。

ホラー映画を通して若者たちが抱える苦悩や不安、悲しみをどう付き合っていくかを反面教師的に描く本作。多感で不安定な年頃の彼らが、いかに危険なことに簡単にアクセスできるかも描かれています。

まめもやし

監督の今後の活動、作品にも期待が高まります!

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