今回ご紹介する作品は『アーケイン』シーズン2です。
本記事では、Netflixアニメシリーズ『アーケイン』シーズン2を全話ネタバレありで詳しく解説します。
私の中で、ネトフリのオリジナルアニメのNo.1作品!ゲームを全く知らなくても十分に楽しめます!
シーズン1の内容を振り返りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
『アーケイン』は原作を知らなくても十分に楽しめます。とはいえ、世界観は独特でキャラクターもたくさん登場するため、知っておいて損はありません。『アーケイン』に登場する用語やキャラクターは以下の記事で詳しく解説しています。
作品情報・配信・予告・評価
『アーケイン』
あらすじ
科学技術が発達した地上都市「ピルトーヴァー」と、暴力が支配する地下都市「ゾウン」を舞台に、ゲームに登場する姉妹ヴァイとジンクスをめぐる宿命を描いた物語。
5段階評価
予告編(シーズン1)
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予告編(シーズン2)
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作品情報
タイトル | アーケイン |
原題 | Arcane: League of Legends |
原案・脚本 | クリスチャン・リンク、アレックス・イー |
アニメ制作 | Fortiche(フランス) |
製作 | ライアットゲームズ |
主題歌 | イマジン・ドラゴンズ |
製作国 | フランス、アメリカ |
配信日 | シーズン1:2021年11月6日 シーズン2:2024年11月8日 |
話数 | シーズン1:全9話 シーズン2:全9話 |
動画配信サービス
ネタバレあり
以下では、『アーケイン』シーズン2の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
第1話:上に立つ者の責任
© Netflix
襲撃の後
第1話はシーズン1のラスト直後から始まる。ジンクスが放ったジェムストーンのミサイルがピルトーヴァー評議会を直撃し、大惨事となった。
ジェイスは地面に倒れているビクターを発見し、急いで研究室へ運び込み、助ける方法を探る。すると、ヘクスコアとビクターの脚部が反応し、ジェイスが2つを近づけると、研究室はまばゆい光に包まれる。
一方、ジンクスの攻撃でケイトリンは母親カサンドラ・キラマンを失う。葬儀は、フレイヤ・ライディングスの「I Can't Hear it Now」に合わせて、灰色の水彩画のようなタッチで描かれる。
壊れた評議会室で立ち尽くすケイトリンに、メルが哀悼の意を表す。そこへアンベッサに付き添われたサロが車椅子で現れる。サロはヘクステックで武装した執行官をゾウンに送り込むべきだと主張するが、ケイトリンは罪のない人々まで巻き込む危険があると抗議する。
メルはケイトリンが襲撃の瞬間を目撃しており、ジンクスによる単独犯であること、シルコが死んでゾウンはリーダー不在であることを説明する。そしてジンクスに多額の懸賞金をかけ、内紛を誘発して捕える作戦を提案する。
しかしシューラは反対し、直ちにジンクスを裁く必要があると主張する。メルは折衷案として、ヘクステックを使用しないことを条件に提示し、シューラもこれを受け入れ、2対1で決議が下される。
執行官への提案
帰宅したケイトリンは、弔辞の封筒を開封する中に黒い封筒に入った喪章を見つける。父親が隣に腰掛けると、彼もまたやつれた表情で、悲しみに打ちひしがれている様子だ。「カサンドラから託された」と、父親はキラマン家の鍵を手渡す。
部屋の外にいたヴァイに気づいたケイトリンは彼女を追いかけ、ヴァイの腕の中に飛び込んで涙を流す。ヴァイはケイトリンが正しかったことを認め、かつて妹だったパウダーはもういないと告げる。
ヴァイは責任を感じ、一人でジンクスを連れて来ると決意を口にするが、ケイトリンは全執行官がジンクスを追跡することになったことを伝え、ヴァイにも執行官として協力するよう提案する。
しかし、両親を執行官に殺された過去を持つヴァイにとって、その提案は受け入れがたいものだった。ケイトリンが「味方だと思っていた」と告げると、ヴァイはその場を立ち去り、やり場のない苛立ちを抱える。
複雑な感情
研究室に足を踏み入れたメルは、ビクターがヘクスコアの繭に閉じ込められているのを見つける。ジェイスは、ヘクスコアがビクターを生かすために進化していると説明し、自分が無傷であることへの罪悪感を吐露する。メルは評議会の決定を告げ、ケイトリンを訪ねるよう促す。
その後、ケイトリンが庭園でジンクスを追い詰める姿を想像していると、ジェイスが現れる。ケイトリンは母親の死に対する悲しみ、ジンクスへの怒り、そしてヴァイへの複雑な感情を彼に吐露する。
© Netflix
追悼式での襲撃
ヴァイが路上でやけ酒をあおっていると、二人の執行官が現れる。そのうちの一人、マディ・ノーレンはヴァイがシルコを追い詰めたことで執行官内で有名だと説明し、さらにケイトリンが本部に抗議してまでヴァイの執行官就任を求めたことを伝え、彼女を歓迎する意を示す。
その後、ジンクスの攻撃で命を落としたイリウス・ボルボック、トーマン・ホスケル、カサンドラ・キラマンの追悼式が広場で行われ、ヴァイも参列する。
壇上に立つメルが追悼のスピーチを始める中、ヴァイはフードを被った怪しげな人物たちに気づく。彼らの首にはゾウンのタトゥーが刻まれていた。ヴァイは彼らを追おうとするが、執行官に阻まれてしまう。
フードを被った一人が壇上のメルに接近し、彼女を地面に突き倒すと、照明弾を発射して仲間に合図を送る。その瞬間、ジェイスの背後にいたレニがチェーンソーを振りかざし暴れ出す。さらに上空から、ヘクステックスーツを装備したゾウンの侵略者たちが次々と広場に飛び込んでくる。
広場はたちまち大混乱に陥り、ヴァイとケイトリンは協力して敵に立ち向かう。一方、ジェイスはレニに追い詰められていた。レニはシマー工場襲撃で息子を失ったことへの報復を図っていたのだ。危機一髪のところでヴァイが駆けつけ、研究室から持ち出したマーキュリーハンマーを使ってレニを吹き飛ばす。
広場ではケイトリンと執行官たちがゾウンの侵略者たちに追い詰められていた。ヴァイが助けに向かおうとすると、槍が雨のように降り注ぎ、ゾウンの侵略者たちに突き刺さる。援護に現れたのはアンベッサ率いる戦士一族だった。
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ケイトリンの選抜チーム
ゾウンに対する怒りをあらわにするケイトリンに対し、ヴァイは一緒に協力すると約束する。その後、ケイトリンはキラマン家の鍵を操作し、一家が保有する「英知の保管庫」へのアクセスを開く。
一方、評議会のメンバーたちはピルトーヴァーの地下深くに避難していた。サロは苛立ち、シューラはゾウンの侵入方法に疑問を抱く。メルは内部に協力者がいる可能性を示唆する。
サロが再びヘクステック武器によるゾウン侵攻を強硬に主張し始めたところに、ケイトリンが姿を現す。彼女はキラマン家の代表としての権威を掲げ、ゾウンへの攻撃チームを結成したと宣言する。チームの目的として、ジンクスの確保、シマーの撲滅、シルコの残党の降伏を掲げる。
チームはジェイスが開発したヘクステック武器で武装しており、リンキン・パークの「Heavy is the Crown」に乗せて、最後のメンバーとして執行官の姿でヴァイが登場する。一方、ヘクステックに包まれていたビクターが目を覚ます。
ラストシーンでは、シンジドが洞窟の中から現れるマークウルフと対峙する場面が映される。
第2話:すべて燃える
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ゾウンの覇権争い
第2話は、ジンクスが水中でシルコを抱きしめながら、彼がいた頃を回想する場面から始まる。マーカス・キングの「Sucker」に合わせて、シルコの死後、統率者を失ったゾウンではケミ長者たちが覇権争いを繰り広げるが、ジンクスはその混乱の中、心を迷わせながらすり抜けていく。
そんな中、茶髪で琥珀色の瞳を持つ少女が追手から逃げる中で、ジンクスと出会う。ジンクスは追手を蹴散らし、指名手配の張り紙の本人であることを明かして去っていくが、少女は黙ってジンクスの後を追いかける。
一方、スミーチは部下を引き連れ、灰色の靄(もや)が立ち込めるエリアに到着する。死体が散乱し、有毒なガスが漂うその場所で、スミーチは部下の一人を偵察に送り出すが、彼は3つの光る目を持つ何かに遭遇し、悲鳴を上げる。
ゾウンのケミ長者たちの会議では、セヴィカが覇権争いをやめて、ピルトーヴァーに対抗するための協力を提案する。しかし、スミーチはジンクスを引き渡すべきだと主張。セヴィカが仲間を売ることを拒否すると、スミーチはジンクスの確保するから協力しろと迫り、去っていく。
かつてのシルコのオフィスで、セヴィカは苛立ちながら機械の腕を修理しようとしている。梁の上から声をかけたジンクスが飛び降り、二人はシルコを失った寂しさを共有するように言葉を交わす。
シルコの死後、セヴィカは彼の計画を引き継いでいたが、ゾウンは混迷を深め、居場所を見失っていた。ジンクスは「すべてが燃える」と答え、オフィスを後にするが、スミーチとその部下たちが彼女の後を追いかけていた。
目覚めたビクター
ヘクスコアの中にいたビクターは目を覚まし、ヘクスコアの繭から出てくると、彼の体はヘクスコアに成り代わっていた。眠っているジェイスを呼び起こすと、ジェイスはビクターが生きていることに喜んで抱きしめる。
ビクターはジェイスが約束通りににヘクスコアを壊さなかったことを指摘すると、ジェイスはヘクスコアがビクターを救ったと弁明するが、ビクターはヘクスコアがスカイを殺したと伝える。
ジェイスは評議員をやめてビクターと一緒に研究を続けることを申し出るが、ビクターは別れを告げて去っていく。
謎の症状
ファイアライトの本部に新しい難民が到着する中、リーダーのエコーは人口の増加による受け入れ体制と安全面について話し合っている。エコーは大樹の葉がなにかに汚染されている事に気づき、ハイマーディンガーに相談する。
ハイマーディンガーは似た症状を思い出し、それを確かめるためにエコーとともに研究室に忍び込む。するとジェイスと遭遇し、ハイマーディンガーは研究室に侵入した理由を説明する。
ジェイスは葉を調べて、ヘクスコアの実験で植物に同じ症状が見られたことを告げ、離れた別の場所で同じ症状が現れたことを疑問に感じる。
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ジンクス & セヴィカ vs スミーチ
かつての酒場でジンクスが新たな道具を作り終えると、灰色の靄が立ち込めるとともに、ガスマスクを付けた者たちが現れる。ジンクスはそのうちの一人がヴァイであることに気づき、拳銃の引き金に手を掛けるが、彼女がゴーグルを手にしたところで涙を流し、撃つことはできなかった。
ジンクスは仕掛け装置を起動させて気をそらしてその場から逃げていく。一方、ケイトリンは一時的なパニックになり、仕掛けに向かって発砲する。ヴァイは彼女の肩に手をおいて落ち着かせて同情する。
酒場から路地裏へ逃げ出したジンクスの前に、スミーチらが現れる。スミーチが脅しかける一方で、ジンクスは「自分に近づくものは死ぬことになる」と告げる。するとセヴィカがスミーチらめがけて発砲し、ジンクスを手助けする。
ジンクスは作っていた道具をセヴィカに投げ渡す。それはジンクス特製の義手だった。Stefflon Don, Raja Kumari feat. Jarina de Marcoの「Renegade (We Never Run)」に合わせてジンクス、セヴィカとスミーチらの闘いが始まる。
ジンクスが作った特製アームにはスロットマシンが備わっており、出た目に合わせた攻撃が繰り出される仕様だった。セヴィカはスロットを繰り返し、スミーチを撃破する。セヴィカが次のプランを尋ねると、ジンクスは「家族(姉)を始末するつもり」と答える。
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救世主ビクター
ジェイスのもとを去ったビクターは、ゾウンの暗く荒廃した奥深くを歩きながら、貧困と疫病が街を蝕む現実を目の当たりにする。道中、シマーの影響を受けた中毒者たちが目に付き、そのうちの一人ハックが、金目のものを持っていそうなビクターを見つけ、仲間とともに追跡を始める。
ビクターはやがて彼らに取り囲まれるが、恐れることなくハックに近づき、その体を蝕む腫瘍に手を伸ばす。ビクターの手が腫瘍に触れた瞬間、ヘクステックの光がビクターからハックに流れ込み、腫瘍は消え去る。しかし、その行為はビクターの体力を大きく消耗させ、彼はその場に膝をつく。
「もう苦しむ必要はない」とビクターが静かに告げると、ハックを含む中毒者たちはその場で跪き、彼を崇めるように見つめる。その瞬間、ビクターはふと横を見ると、スカイの微笑む幻影がハックの隣に立っているのを目にする。彼女の姿に応えるように、ビクターも穏やかな笑みを浮かべる。
物語は暗転し、ラストシーンへ移る。シンジドが不気味な実験を進めるラボが映し出される。天井から吊るされたマークウルフの姿があり、その下の机にはむき出しの臓器が動いている様子があった。
第3話:やっと名前を呼んだね
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ジンクスの計画
第3話は、ケイトリンがキラマン家の鍵を使ってキラマンが保有する英知の資料にアクセスする場面から始まる。産業の発展によって生じた大気汚染により、「灰色の靄」がゾウンに発生し、キラマン家は換気システムを設計した。
ケイトリンは設計図を参考にしてチームと共にゾウンに侵入する。このシーンでは、Fever 333の「Hellfire」に合わせてグラフィックアート調のダイナミックなアニメーションで表現されている。
プロペラがある配管設備でスミーチの部下ヒーノットが吊るされているのを発見すると、彼を解放し、ジンクスの企てる計画を聞く。彼の話ではジンクスは換気経路を切り替えるようだ。
ヴァイはケイトリンに、ヒーノットの話が本当であれば、市民たちを避難させてすぐにジンクスを捕まえなければならないと危惧する。ヴァイはすでに以前の妹だったパウダーは存在せず、ケリを付けなければならないジンクスだけが存在すると告げる。
ヴァイはケイトリンに覚悟を伝えると、二人は近づき、キスを交わす。その後、二人はゾウンを探索する中で、破損した配管設備を発見し、そこから灰色の靄が漏れていることを発見する。
動き出すアンベッサ
別の場所では、商人ギルドのアマラがアンベッサに謁見を要請していた。アンベッサが渋々応じると、アマラは掌に黒いバラを出現させ、赤黒い魔法の力でアンベッサと護衛を拘束する。
彼女はアンベッサがピルトーヴァーにきた目的を知っていると告げ、それを阻止しようとするが、アンベッサは拘束を解いて形勢逆転し、アマラに剣を突き刺して殺害する。
アマラを殺したことによって報復されることが予想されるため、アンベッサは護衛を増員することを部下に命じる。部下はサロが準備不足であることを懸念してメルの力を借りるように提案するが、メルは敵の方が安全だと告げる。
その後、サロが歓楽街で足にシマーが入ったタトゥーを彫ってもらっている中で、部屋にアンベッサがやってくる。彼女はサロに、ピルトーヴァーの名のあるハウスを集結させるように命じる。
メルの懸念
メルは密かにサロにタトゥーを彫っていったレストに接触する。どうやら彼女を使ってサロとアンベッサの動向を探っていたようだ。メルは母親が望むものを手にすれば、市民が苦しむことになると警戒していた。
レストはアンベッサが重要人物たちに大きな発表をしようとしていると伝える。サロを窮地に追い込み、黒幕にアマラの存在を告げると、サロ対策にシマーのカクテルを手渡す。
その後、メルは秘書エローラからサロが複数のハウスと密会している報告を受ける。さらにメルの兄の死を調査しているが、多くのデマが溢れて隠蔽されている上に、アンベッサの資産のほとんどが失われていることを伝える。
メルは彼女にレストからもらったシマーのカクテルを薬剤師に分析させるように伝え、アマラの動向を確認するように命じる。
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ワイルドルーン
ジェイスの研究室では、彼がエコーとハイマーディンガーにワイルドルーンについて説明していた。ワイルドルーンはヘクステックに似ているが、それはアーケインの境界が薄い所に自然発生的に現れるという。
ハイマーディンガーはヘクステックとワイルドルーンには関係があり、ヘクステックを酷使した影響による可能性があることを指摘する。それでもジェイスはなぜ地下深くの大樹にその影響が現れたのかが理解できずにいた。
そこでジェイスはエコーとハイマーディンガーを連れて、地下60メートルの場所にあるヘクスゲートへ向かう。そこにはジェムストーンが保管されているシェルターがあった。
ジェイスは過負荷によって地上で爆発するのを避けるために地下に設備を設けていると告げるが、エコーはピルトーヴァーよりもゾウンに危機が及ぶことを指摘する。
ハイマーディンガーがシェルターの床に大樹と同じ症状が現れていることに気づくと、3人は突然白い空間に覆われる。彼らの目の前には複雑に動くエネルギー体が出現し、ジェイスがそれに手を伸ばすと、3人は万華鏡のようなエネルギーの中に包まれる。
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姉妹の再会
ヴァイとケイトリンは地下の広い神殿のような場所にたどり着き、気配を察したヴァイはケイトリンに隙があれば銃で撃つように伝える。
ヴァイが神殿に足を踏み入れてジンクスの名前を呼ぶと、ジンクスは「やっと名前を呼んだね」と答える。彼女はヴァイが執行官になったことを揶揄すると、ヴァイはこれ以上かつての妹パウダーとの思い出を壊すのはやめろと伝える。
ケイトリンは霧の中に現れたジンクスの姿を発見し、銃弾を撃ち込むが、それはジンクスの姿が反射されただけの金属板だった。ジンクスがついに姿を現し、ヴァイとケイトリンが戦おうとすると、セヴィカと茶髪の少女も戦闘に参加する。
激しい戦闘の後、ケイトリンはセヴィカを制圧し、ヴァイとジンクスが祭壇で戦う中、ジンクスに発砲し、彼女の中指を切断する。それによってヴァイは優位に立ち、ジンクスを追い詰める。
ヴァイがジンクスにとどめを刺そうとすると、茶髪の少女が間に入り、ヴァイに銃口を向ける。ケイトリンが少女の銃をめがけて発砲して武器を撃ち落とすと、少女はジンクスに覆いかぶさって守ろうとする。
ヴァイは攻撃体制を解除し、ケイトリンに彼女がまだ子供だといって銃で撃つのをやめるように伝える。しかしケイトリンはジンクスを殺すことに執着し、銃弾を放つが、ヴァイがケイトリンの銃を抑えて方向を変えて阻止する。
そんな中、復活したセヴィカが神殿を爆発させてしまう。これはジンクスの意図しないものだったようだが、神殿の壁が爆発によって破壊されたことで、空気が流れ込み、換気経路が変化する。
これによりジンクスによって色付けされた地下の靄が爆風によって地上のピルトーヴァーの至る所で噴出する。
黒薔薇
爆風で吹き飛ばされたヴァイとケイトリンが目を覚ますと、ケイトリンはヴァイが台無しにしたと責める。ヴァイは子供がいたと弁明するが、ケイトリンはヴァイがジンクスと同じ血が流れているから変わらないと言い放つ。ケイトリンは引き留めようとするヴァイを殴り去っていく中、ヴァイは痛みと悲しみに涙を流す。
一方、ピルトーヴァーの街は地下の爆風によって混乱に包まれていた。事態を目撃したメルは次の計画を進めようとするが、その瞬間、近くにいたエローラの体が赤黒い魔法に取り込まれてしまう。彼女が「黒薔薇(ブラックローズ)」と呟くと、メルの部屋は赤黒い魔法に覆われ、メルの体を飲み込んでしまい、部屋には彼女が手にしていたシマーのカクテルだけが取り残される。
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アンベッサの計画
サロは廃墟となった評議会室にピルトーヴァーのハウスを一同にかき集める。そこでアンベッサは近況について語りだす。彼女はアマラとの街の再建について話し合っている中で、ゾウンの暗殺者がアマラを殺害したと主張する。
アンベッサはピルトーヴァーが直面する危機を前に、戒厳令を発令し、脅威に打ち勝つためのリーダーとなる将軍を任命する必要があると宣言する。彼女はその将軍にケイトリンを指名する。ケイトリンが驚く一方で、サロもまた意外だった様子を見せる。
アンベッサは自らの胸を叩いてリズムを刻み、執行官らを焚き付けると、次第にその音は伝播し、ケイトリンは覚悟を決めて前に出る。アンベッサはケイトリンに「あなたの母上に正義を示してみせる」と伝えてコートを着させると、ケイトリンは一同の前で力強く胸に手を当てる。
ラストシーンでは、シンジドが天井に吊るされた怪物とチューブをつなぎ、赤い液体が彼に流れ込む様子が映される。
第4話:街を青く染めろ
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消えた者たち
第4話は、白黒のモンタージュ映像が部分的に青く染まっていくシーンから始まる。バックに流れるアッシュニコの「Paint the Town Blue」が、戒厳令が発令され、ゾウンでの反発が巻き起こる緊迫感を際立たせている。
新たに将軍となったケイトリンは、ジンクス確保の難航し、深まるピルトーヴァーとゾウンの対立に苦悩していた。彼女のそばには執行官マディ・ノーレンがおり、二人は親密な様子だ。
一方、ジンクスはイーシャと昆虫バトルに興じている。イーシャが勝利すると、彼女の望み通りに髪を青く染める。
一方、アンベッサはスティルウォーター刑務所でヘクステック・ジェムストーンの実験に立ち会っていた。科学者が消失して実験が失敗すると、アンベッサはメルやジェイスらの行方不明に黒薔薇が関与していると考え、苛立ちを露わにする。
検問所の騒動
翌日、リクタスがピルトーヴァーとゾウンの国境にある検問所で巡回中、モヒカン頭を青く染めた人物を発見する。彼はモヒカン頭を捕まえると、ゾウンの住民に向けて、悪名高いジンクスをかくまう必要はないと主張する。
その直後、ロック音楽が響き渡り、手榴弾がパラシュートで降下し、爆発して色付きの煙幕が拡散する。混乱の中、リクタスはフードを被った人物の姿を目撃し、それがジンクスによる攻撃だと確信する。しかし、実際にはその人物はイーシャだった。
一方、事件の報告を受けたケイトリンは、これをジンクスの仕業と断定するが、マディは模倣犯による可能性を示唆する。彼女は、模倣犯が戒厳令の抑圧的な環境で生まれた存在かもしれないと懸念するが、2人の会話の最中にアンベッサが割って入る。
彼女はケイトリンに、今朝の事件がジンクスによるものか模倣犯によるものかに関わらず、これが新たな手がかりであると指摘し、騒ぎを引き起こした一味を尋問するよう指示する。ケイトリンは理由のない逮捕にためらいを見せるが、アンベッサはピルトーヴァーの平和を守るための行動だとしてその正当性を強調する。
一方、歓楽街では、サロがレストにシマーのタトゥーを施してもらいながら、かつての権限を失った現状に嘆息している。シマーの効果が薄れていることで、サロはレストに翌日も来るよう頼むが、レストは地下で奇跡を起こしていると噂の「ヒーラー」に会いに行くことを提案する。
ゾウンの象徴
検問所での騒動を耳にしたセヴィカはジンクスのもとを訪ねる。事件がジンクスの仕業ではなくイーシャによるものだと知るも、セヴィカはゾウンの市民を一つにまとめる必要性を説く。彼女は、かつてシルコが目指したように、ジンクスにその役割を果たすべきだと促す。
しかし、ジンクスはゾウンの象徴になることを拒否する。それでもセヴィカは譲らず、今夜ヴァンダー像の前でファイアライトやジンクスの支持者を集めた集会を開くと告げ、その場を後にする。
一人残されたジンクスは、シルコのオフィスへと向かう。空席のままのシルコの椅子に語りかけ、心の葛藤に苦しんでいるようだ。ゾウンの象徴となることでシルコへ恩返しとなることは理解しているものの、それによってイーシャとの関係を壊したくないという思いが衝突し、彼女の心は揺れ動いていた。
ヴァンダー像での集会
アンベッサの立ち会いのもと、リクタスは検問所で捕らえたモヒカン頭の男を尋問する。男は拷問に耐えきれず、ついに集会の場所がヴァンダー像前であることを口にしてしまう。その頃、ファイアライトやジンクスの支持者たちは集会に向けて動き出していた。
その後、ヴァンダー像の前では、多くの群衆を前にセヴィカが演説を行っていた。その中にはシンジドの姿もあった。群衆からジンクスを求める不満の声が上がり始めると、イーシャが青い照明棒を片手にヴァンダー像の上に現れる。その姿により、群衆は連帯感を取り戻し始めたが、突然、セヴィカの突き上げた機械の腕に槍が突き刺さる。
その瞬間、背後から大勢の部下を引き連れたリクタスが姿を現し、「ここにいる全員を逮捕する」と宣言する。イーシャはリクタスに立ち向かうが、投げ飛ばされて気を失ってしまう。シンジドも執行官に拘束されるが、彼は自ら掌に刃物で傷をつけ、血を流したことで、その血が地面に滴り落ちたことで、研究室にいた獣が目を覚ます。
護送車の中では、隣り合わせになったイーシャとシンジドが短い会話を交わす。シンジドはイーシャに「すぐに解放される」と伝え、少しでも安心させようとする。その頃、研究室から逃げ出した獣がシンジドの血の匂いを追い、高速で移動していた。
ジンクスは隠れ家に戻り、イーシャの不在に気づいて焦りを募らせていた。そこへ負傷したセヴィカが辿り着き、急襲で集会が中断され、イーシャが捕まったことを告げる。その報告を聞いたジンクスは、自分を責める声が頭の中で反響し、パニックに陥る。しかし何とか自分を落ち着かせると、次第に瞳が紫色に輝き始める。
獣の正体
ジンクスはイーシャを救うため、セヴィカとともにスティルウォーター刑務所へ向かう。執行官を気絶させて制服を奪い、セヴィカを囚人として偽装しながら刑務所に潜入しようとする。その途中、刑務所から出ていくアンベッサとすれ違うが、ジンクスたちは幸運にも気づかれることなくその場をやり過ごす。
二人は地下牢にたどり着き、捕らわれているゾウンの囚人たちを次々と解放する。解放された囚人たちは歓声を上げることもなく、静かにジンクスの肩に手を置いて感謝の意を示しながら、無言で刑務所を後にする。その反応にジンクスは驚き、同時に胸を熱くしていた。
その後、ジンクスはイーシャの独房にたどり着き、彼女を解放して抱きしめる。再会を喜び合うも、束の間の平和は執行官たちの接近で途切れる。一方、別の独房にいたシンジドは逃げようとはせず、自ら扉を閉ざしていた。
ジンクスたちの前に執行官らが現れると、さらに執行官たちの背後に獣が現れる。獣はシンジドの血の匂いを追って刑務所までやってきていた。獣は執行官たちを瞬く間に切り裂き、ジンクスたちの前に立ちはだかる。ジンクスはセヴィカにイーシャを連れて逃げるように指示し、自らは獣と対峙することを決意する。
ジンクスと獣は激闘を繰り広げるが、獣の猛攻によりジンクスはついに捕まり、絶体絶命の状況に陥る。獣がトドメを刺そうとジンクスの顔に近づいたその瞬間、赤く光る獣の目が変化し、何かに気づいたように低い声で「パウダー?」と呼びかける。
第5話:ボコボコの岩場に乾杯
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ヴァンダーは生きている
第6話は、ZANDの「Cocktail Molotov」が流れる中、ヴァイが地下の格闘場で激しい戦いを繰り広げるシーンから幕を開ける。ケイトリンと袂を分かって以降、ヴァイは地下格闘技で荒稼ぎをし、その金を酒に注ぎ込む荒んだ生活を送っていた。髪は黒く染まり乱れている。
試合を終え、酒に酔って眠りについたヴァイの夢には、ケイトリンの姿が浮かぶ。息苦しそうに目を覚ますと、部屋にジンクスがいることに気づき、咄嗟に彼女に襲いかかる。ジンクスはヴァイに首を絞められ、窒息しそうになりながらも、「ヴァンダーは生きている。助けが必要だ」と訴える。その言葉にヴァイは手を緩め、戸惑いを隠せない。
一方、ケイトリンはスティルウォーター刑務所に到着し、獣によって無惨に殺された執行官たちの惨状を目の当たりにする。彼女は血痕を辿って地下牢へと進み、独房に一人で座るシンジドの姿を発見する。
アンベッサとともにシンジドを尋問し始めるケイトリン。アンベッサは冷静に状況を見守るが、ケイトリンの顔には怒りがにじむ。彼女は獣を誘導したシンジドの行動について問い詰めるとともに、ジンクスがこの計画に関与しているのかを激しく追及する。しかし、シンジドは何も答えず、ただ不気味な沈黙を保つ。
メルと黒薔薇
天井から光が差し込む空間で目を覚ましたメルは、朦朧とした意識の中で、自分とエローラが黒薔薇の魔法に飲み込まれたことを思い出す。その場所には、そこにはもう一人の存在がいた。
その人物はメルに語りかけ、自分たちが「オクロラム」という場所に囚われていると告げる。それは古代に偽の預言者を幽閉するための監獄だという。メルがその人物に姿を現すよう促すと、暗がりから現れたのは、死んだと聞かされていた兄、キノだった。驚愕と喜びに震えるメルは、再会を果たした兄と抱擁する
その後、メルは部屋の地面と壁に刻まれたシンボルの存在に気づく。それを押すと、壁がパズルのように変化し始めた。脱出の手がかりだと感じたメルが先を進もうとする中、キノはそれが罠かもしれないと警告する。さらに、キノは話の中でアンベッサが恋をして子を成したこと、その子供がアンベッサの遺産を継承していること、そして黒薔薇がその遺産を狙っていると語る。
しかし、キノの声に微かな異変を感じ取ったメルは、キノが本物のキノではないことを察し、涙を流しながら、キノの頭を壁に打ち付ける。すると、「キノ」の姿をした人物は次々と別人の顔に変わり、やがてその正体が黒薔薇の魔法の産物であることが露わになる。
その瞬間、赤黒い魔法が再びメルを飲み込み、彼女は黒薔薇の棘でできた鎖に縛られる。しかし、メルは決して屈せず、内に秘めた力が目覚めたように、彼女の瞳が金色に輝くと、強烈な光が鎖を吹き飛ばし、メルは自らの力で束縛を打ち破る。
シンジドの目的
アンベッサは一人でシンジドの独房に戻り、自分の部下として忠誠を誓うことと引き換えに、欲しいものをすべて与えると持ちかけ、シンジドの生み出した怪物を強力な武器として使うべく交渉する。
シンジドは交渉に応じるが、自分が作り出したのは怪物ではなく、かつては尊敬されていた人間であると告げる。強大で凶暴な力を持つ存在を作り出したが、彼の心を取り戻すことはできなかったのだ。
その後、アンベッサが見守る中、シンジドが研究室で調合していると、ケイトリンが現れる。彼女はシンジドがシマーの製造者であるという真実に辿り着き、険しい表情で銃を構え、「レベック博士」と呼びかける。そしてシンジドにシマーを開発した理由を問い詰める。
シンジドが「すべては愛のためだ」と答えると、懐中時計から鍵を取り出し、ケイトリンとアンベッサを研究室の奥にある隠し部屋へと導く。扉が開かれると、中には小さな棺があり、無数のケーブルが繋がっていた。そのケーブルを通じてシマーが棺の中に流れ込んでいる。ケイトリンが恐る恐る棺を覗き込むと、そこには幼い少女の顔があった。
シンジドは「死」を治そうとしていることを明かし、死を克服することで誰も死を恐れなくていい世界にしたいと告げる。
二度目のチャンス
ヴァイはジンクスとイーシャに導かれ、暗い地下の採掘トンネルへと足を踏み入れる。周囲は音に反応して発光する物体が散在している。
ヴァイの心には疑念が渦巻き、ジンクスの話が信じられず、彼女の話が妄想だと断定する。ジンクスは負けじと反論し、二人が争い始めると、止めようとしたイーシャは、ヴァイの腕に噛みつくが、逆に突き飛ばされて鼻血を流してしまう。
ヴァイは、ジンクスが今まで求めなかった手助けを今になって求めた理由を尋ねる。するとジンクスは目を伏せながら、かつて協力しなかったことがヴァンダーの死を引き起こしたことを思い出させ、二度目のチャンスだと伝える。
険しい空気を引きずりながら、3人は洞窟の奥にある古びた部屋にたどり着く。そこにはヴァンダーからシルコへの手紙が残されていた。ジンクスがその手紙を読み上げると、ヴァンダーがある女性の死に打ちのめされ、シルコを傷つけたことへの深い後悔を綴っていたことが明らかになる。
ジンクスはこの手紙が届いていれば、変わっていたかもしれないと呟く。部屋を後にする3人だったが、突然背後から轟音が響き、洞窟全体が揺れる。振り返ると、暗闇の中から獣が姿を現した。
ジンクスはその獣が自分を認識していると信じていたが、獣はイーシャの血の匂いを嗅ぎ取り、凶暴化して襲いかかろうとする。瞬時にヴァイは二人の間に立ち、ヘクステック・ガントレットを装着して獣に立ち向かう。
激しい戦いが繰り広げられる中、ジンクスはヴァイに獣がヴァンダーであると伝え、信じてほしいと懇願する。追い詰められたヴァイは、戦いを止める決意を固め、ガントレットを下ろして獣に向き合う。そして、叫ぶように「ヴァンダー」の名前を呼ぶ。
ヴァンダーとシルコ、フェリシア
ヴァイの名前を声と同時に、ヴァンダーのの中に埋もれていた記憶が目覚め、過去の情景が鮮明に甦る。場所は「ラストドロップ」。ヴァンダーの酒場で、シルコとフェリシアが集い、ゾウンの革命前夜を祝っていた。
フェリシアは女の子を妊娠し、父親のコネルにはまだ伝えていない明かし、二人を驚かせる。彼女は、ゾウンを立て直す使命と母親になる責任の両方を果たす難しさに思い悩んでいた。しかし、ヴァンダーとシルコがいることでその不安は吹き飛んだ。
「ボコボコの岩場でズタボロになっても構わない。絶対にゾウンを修復してみせて。」
その言葉を胸に刻むように、「ボコボコの岩場に乾杯」と、3人はグラスを合わせる。そしてヴァンダーがふと優しい声でフェリシアに語りかける。「俺が好きな名前があるんだ。『ヴァイオレット』って言うんだ。
現在に戻り、洞窟の暗闇の中、ジンクスが震える手でライターに火を灯す。灯りに浮かび上がったのは、抱きしめ合うヴァイとヴァンダーの姿だった。
Mako, Greyの「What Have They Done To Us」が流れる中、ヴァイはジンクスに手を差し伸べる。ジンクスは駆け寄り、その手を掴んで飛び込むように抱きつく。それを見たイーシャも二人の元へ駆け寄り、3人を力強く抱きしめる。
ヘクステックを巡る宿命
ヘクスゲートの中央装置で、白いフードを被った人物が慎重にコアの一部を取り外していた。装置の一部はすでにアーケインが侵食した痕跡が見られる。その人物は目的を果たすと、その場を去ろうとするが、背後でエネルギー球が発生し、髪と髭が伸び散らかしたジェイスが姿を現す。彼の左手首には、ヘクステックが埋め込まれていた。
ジェイスは目の前のフードの人物に気づき、その正体を問いただす。その人物がフードを下ろすと、現れたのはサロだった。車椅子生活を余儀なくされていたサロが普通に歩いている姿を見て、ジェイスは驚きと疑念を隠せない。
するとサロは憑依したようにビクターの声へと変える。ビクターは「到達できなかった場所にいる」と告げ、革新的な進歩があったことを伝える。
一方で、ジェイスはその言葉を受け入れられず、自分とヘクステックとの関係を断ち切ったはずだと主張する。ジェイスはヘクステックの危険を訴え、破壊すべきだと伝える。
サロはビクターのもとにコアを届けるため、ジェイスを無視して進もうとする。その瞬間、ジェイスはマーキュリーハンマーを手に取り、ためらいなくサロの背後から振り下ろして叩き潰す。
第6話:パターンに潜むメッセージ
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完璧で美しい混沌
第6話は、ビクターが「今なら理解できる」と、何かを悟った言葉から始まる。ヘクスコアの力によって超越的な存在となったビクターは、宇宙空間のような異次元で、ジェイスがサロをハンマーで殺害する衝撃的な場面を目撃していた。
その隣にはスカイの光り輝く姿があった。彼女がサロに同情する一方で、ビクターはジェイスが別の何者かの意思に操られていた可能性を示唆する。
超越した魔法の空間に漂う中で、ビクターはエネルギー球が自己複製と自己破壊を同時に行う特異点であり、それが完璧で美しい混沌であると表現する。
「ヒーラー」ビクターとの対面
アンベッサはケイトリンに武術の稽古をつけながら、彼女の故郷ノクサスにおける「強さ」の三要素について説く。それは「先見性」「力」「狡猾さ」。アンベッサはケイトリンを地面に倒した後、さらなる強さをもたらす第四の要素として「犠牲心」を挙げる。そして、家族を失った者同士には深いつながりがあると語る。この時、獣(ヴァンダー)の居場所を特定したシンジドが到着し、アンベッサは狩りの準備を整える。
一方、ゾウンの奥地では、ヴァイたちに連れられて獣の姿となったヴァンダーがフードで顔を隠しながら、ビクターが築いたコミューンへと足を踏み入れる。彼らを出迎えたのは、かつてヴァイを裏切ったハックだった。彼は自分の過去の罪を反省し、ビクターによって解放されたことを明かす。
ハックは歓迎の意を示しながらも、コミューン内では武器が不要であると告げる。ヴァイとジンクスがそれぞれ武器を手放すと、イーシャがヴァイのガントレットに残されていたヘクステック・ジェムストーンを注意深く回収する。
ハックに導かれてビクターのもとへ向かう一行。ビクターは獣となったヴァンダーに静かに歩み寄り、彼の顔に手を伸ばす。すると、超次元的な空間で眠りにつく人間の姿のヴァンダーが見えた。しかし、その瞬間、獣が威嚇し、ビクターを押し返してしまう。
そばにいたスカイが、「どんな力にも限界がある」と声をかけるが、ビクターは「この男には、危険を冒してでも救う価値がある」と毅然と答える。ビクターは、ヴァンダーの精神が獣と深く結びついていると説明し、治療には彼を夜間だけ拘束する必要があると告げる。
ジンクスはビクターの力に対して皮肉めいた態度を取り続けるが、ビクターが彼女を「パウダー」と呼び、「君の才能は破壊ではなく繁栄のために使える」と告げると、ジンクスは一瞬言葉を失う。
実験のための検体ではない
ヴィクターによるヴァンダーの治療が始まり、彼とスカイはヴァンダーの精神世界へと足を踏み入れる。その世界は彼の記憶で構成され、水彩画のような柔らかいタッチで描かれる。d4vdの「Remember Me」が流れる中、ヴァイとパウダーがフェリシアと過ごした幸せな時間が鮮やかに甦る。
ヴァイとジンクスは、ヴィクターがヴァンダーを治療し、人間としての彼を取り戻せることを願っているが、その結果は不透明だ。焦りを感じたヴァイは、ヴィクターが築いたコミューンを見渡しながら、ジンクスに「一緒に手助けしよう」と提案する。ジンクスはヴァイからの意外な言葉に戸惑う。
その頃、シンジドの案内でアンベッサとリクタスが兵士を率い、コミューンに迫っていた。入口に立つハックは武器の持ち込みを禁じるルールを繰り返し告げ、場には緊張が走る。シンジドがその場を取りなしてコミューン内部へと進み、ヴィクターに会うために向かう一方で、アンベッサは兵士たちに攻撃に備えるよう指示を出す。
一方、ヴィクターはスカイの助けを借りてヴァンダーの治療を続けていた。その時、シンジドが姿を現し、ヴィクターのこれまでの功績を称える一方で、自らが作り出した「獣」について語り始める。シンジドは、ヴァンダーを利用することでヴィクター自身の能力をさらに強化できると提案する。
しかし、ヴィクターは毅然として答える。「ヴァンダーは人間であり、実験のための検体ではない。」彼はシンジドの目的のためにヴァンダーを犠牲にするつもりはないと強く拒絶する。シンジドはその言葉をを受け入れて去っていくが、彼は意味深に、「もしビクターが死ねば、このコミューンは崩壊することを忘れるな」と忠告を残す。
ヴァイとケイトリンの作戦
シンジドがコミューンを去るのを見たヴァイは、気配を殺して彼を尾行する。峡谷に差し掛かったところで、物陰から突然飛びかかってきたのはケイトリンだった。意外な場所での再会に驚きつつも、二人はそれぞれの目的を語り合う。ケイトリンは獣を捕らえるためにここへ来たと語り、ヴァイは父親を助けるためだと告げる。
一方、シンジドはアンベッサのもとへ戻り、ビクターがヴァンダーを治療しようとしていることを報告する。それが実現すれば、ヴァンダーの「兵器」としての価値が失われると警告する。これを聞いたアンベッサは、ビクターを止めるようシンジドに命じる。そこにケイトリンが現れ、「ヴァイを捕らえた」と報告する。
その間、ジェイスはハンマーを手にコミューンの近くに姿を見せ、何かを決意したかのように進んでいた。
アンベッサとシンジド、そしてリクタス率いる部隊は獣を捕らえるために動き出し、アンベッサは拘束されたヴァイと二人きりになる。アンベッサはヴァイの能力を評価しつつも、彼女がケイトリンの心を乱す存在であるため、殺す必要があると告げ、武器を手に取る。
しかし、ヴァイは巧みに話題を逸らしながらアンベッサの注意を引きつけ、拘束を解く。その瞬間、ケイトリンから事前に渡されていた拘束ネットを使い、アンベッサを罠にかけて拘束する。実は、ヴァイとケイトリンはこの一連の作戦を密かに計画していたのだ。
一方、ジンクスはイーシャを利用して自分の武器を取り戻し、望遠鏡でケイトリンとシンジドがコミューン内でヴァンダーに接近する様子を見守っていた。ヘクステック・ガンの照準を定めるジンクスだったが、ケイトリンがシンジドを気絶させたことで発砲せずに済む。
しかし、裏切りに気づいたリクタスがケイトリンを捕らえ、力で彼女を押さえつけ殺そうとする。その瞬間、ジンクスが介入し、攻撃を試みるが、リクタスの武器はヘクステックのエネルギーを吸収する能力を持ち、ジンクスの攻撃は通じない。
リクタスはジンクスを追い詰め、剣を振り下ろそうとするが、その刃を受け止めたのはヴァンダーだった。「娘に触るな。」獣の姿となったヴァンダーがリクタスを突き飛ばし、ジンクスの前に立ちはだかる。そこへヴァイとイーシャも駆けつけ、家族が再び集結し、ケイトリンはその様子を目撃する。
コミューンの崩壊
その頃、ハンマーを握りしめながらコミューンに侵入したジェイスは、突如として頭の中に響く不可解な声に惑わされ、動揺して何かに取り憑かれたかのように、目の前にいた子供に武器を向けてしまう。しかし、子供の澄んだ瞳が彼を現実に引き戻す。子供は恐れることなく彼に手を差し伸べ、静かにビクターのもとへと案内する。
ジェイスが球体の内部に入ると、そこには管で繋がれて宙に浮かぶビクターの姿があった。ジェイスは頭に流れ込む意志に苦しみながらマーキュリーハンマーを振り上げると、その一撃でビクターを殺害する。球体が崩壊し、周囲を満たしていたヘクステックの光が消え去っていく。
外では、コミューンの住民たちが苦しみ始め、その場に倒れ込んでいく。ビクターによって癒されていた彼らの命を支えていたエネルギーが失われたためだった。ヴァイたちはその異常事態に気づき、外に駆け出す。彼らの目の前には、倒れ伏すコミューンの人々の姿が広がっていた。
その一方で、治療を受けていたヴァンダーも異変を起こし、凶暴な獣の姿へと変貌する。彼の苦痛と怒りが混ざり合った咆哮が響き渡り、彼は制御を失った状態で外へ飛び出す。そして、リクタスに襲いかかり、鋭い爪で無惨にも切り裂いてしまう。
その瞬間を目撃したアンベッサは、怒りに震える様子で兵士たちに攻撃の合図を送る。
イーシャの選択
物語は冒頭のシーンへと繋がり、ヴィクターが静かに「今、理解した」と呟く。彼はついにパターンに隠されたメッセージ、そしてコミューンが失敗に至った理由を悟る。それは、コインの表と裏のように逃れられない宿命であり、善と悪が一体となった人間の本質そのものだった。
その頃、アンベッサとノクサスの兵士たちはヴァンダーに攻撃を仕掛けていた。一方で、ヴァイ、ジンクス、ケイトリンは必死に彼を守ろうとする。しかし、理性を完全に失ったヴァンダーは暴走し、敵味方の区別なく周囲を破壊していた。コミューンは激しい戦場と化す。
ジンクスは必死にヴァンダーに声をかけ、彼に自分を思い出させようとする。しかし、その努力も空しく、ヴァンダーは狂気に飲み込まれていた。その様子を見ていたイーシャは恐怖に震えながらも、ついに意を決する。彼女はヴァイのガントレットから密かに回収していたヘクステック・ジェムストーンを取り出す。
Eason Chanの「这样很好 (Isha’s Song)」が流れる中、イーシャは戦場を駆け抜ける。彼女はジンクスのヘクステック・ガンを拾い上げ、流れるようにジェムストーンをセットする。ジェムストーン2つによるオーバーロードだ。その様子に気づいたジンクスはイーシャの名前を叫び、止めようとする。しかし、ヴァイがジンクスを抱き止め、彼女を必死に抑える。
イーシャはヴァンダーの真下へと滑り込み、ジンクスに向かって小さく微笑む。そして、ヴァンダーに向けて引き金を引いた。その瞬間、銃から放たれた一撃が凄まじい爆発を引き起こし、戦場をまばゆい光が包み込む。
ビクターの声が重なるように響く。「人間性は善の部分をもたらすが、悪の心の源でもあるのだ。」
第7話:初めてのふりをして
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別次元の世界
第7話は、エコーが別次元の自分に乗り移る場面から始まる。目覚めたエコーは、自分の服装がいつもと違うことに気づく。そして隣にはジンクスではなく、まだ「パウダー」のままの彼女がいた。さらに、この世界ではベンゾーが生きていることを知り、エコーは彼を抱きしめる。
ラストドロップにたどり着くと、そこにはヴァンダーがいて、マイロとクラガーも健在だった。驚きながらも、エコーは謎の頭痛に襲われる。そのとき、彼女が描いたスケッチに気づいたハイマーディンガーが声をかけてくる。
ハイマーディンガーは、エコーよりも1128日前にこの次元に来ていたと語る。しかし、この世界ではヘクステック技術が存在せず、現実世界に戻るのは難しいという。それでもエコーは、自分で必ず元の世界に戻る方法を見つけると宣言する。
ヴァイの死因
エコーはパウダーから「ヴァイに会いに行こう」と誘われる。この世界では、エコー自身が化学エネルギーの開発を進めており、パウダーを協力者としているらしい。エコーは彼女の案内でヴァイの遺影にロウソクを灯す姿を目撃し、この世界のヴァイがすでに亡くなっていることを知る。
ショックを受けたエコーは、ヴァイの死がパウダーのせいではないかと問い詰める。だが、パウダーはヴァイの死の事件がエコーの指示によるものだと反論する。エコーは状況を整理し、ジェイスのアパート侵入事件で窃盗に失敗したことで、この世界ではヘクステック技術が生まれていないのではないかと推測する。
その後、エコーは気分を害したパウダーに追い出され、外に出る。現実世界で多くの死者を出したピルトーヴァーとゾウンを結ぶ橋が、この世界では平和の象徴として機能しており、両都市の市民が仲良く交流している様子に気づく。
ハイマーディンガー(声:ミック・ウィンガート)が歌う「Spin The Wheel」をBGMに、エコーはピルトーヴァーのジェイスのアパートに侵入し、過去に爆発があった現場を確認する。回想では、泣きながらヴァイを腕に抱くパウダーの姿が描かれている。エコーはアパートの壁からヘクステックの破片を慎重に回収する。
3人による開発
ヘクステックの破片を手に入れたエコーは、特異事変を再現できるとハイマーディンガーに訴え、彼の協力を取り付ける。エコーはパウダーをファイアライト本部だった場所へ連れて行き、そこに描いたヴァイの壁画を見せる。
エコーは自分の世界のヴァイとパウダーとの関係について打ち明け、パウダーが持つアイデア力がいかに世界を変える可能性を秘めているかを伝える。しかし、パウダーは今の人生に満足していると答え、エコーの話に乗り気ではない。それでもエコーは熱心に説得を続け、最終的にパウダーの協力を取り付ける。
こうしてエコー、ハイマーディンガー、パウダーの3人は特異事変を再現する実験に取りかかる。何日も試行錯誤を繰り返し、ついに小規模な特異事変の再現に成功する。その実験結果から、エコーは特異事変が数秒間のタイムループを生み出していることに気づく。しかし、タイムループは4秒が限界で、それを超えると周囲の人々が命を落としてしまうという危険な特性があることも判明する。
その後、パウダーはエコーをパーティーに誘い、久しぶりに軽やかな時間を過ごす。その間、ハイマーディンガーは一人で装置の改良作業を進める。
初めてのふりをして
パウダーの着替えを待つ間、エコーはベンゾーに改めて感謝の気持ちを伝える。その後、ふと目にしたのは、ヴァンダーとシルコが和解している光景だった。驚くエコーに向かってシルコは、「人生で最も尊い行為は許しを与えることだ」と語りかける。
Stromae, Pommeによる「Ma Meilleure Ennemie」が流れる中、エコーとパウダーは音楽に合わせて楽しげに踊る。二人はゾウンからピルトーヴァーを一望できる高台へ向かい、夜景を眺めながら互いに心境を打ち明ける。
エコーとパウダーは自然に距離を縮め、キスしようとするが、エコーは一瞬ためらい、「初めてみたいにしてもいいかな」とに尋ねる。パウダーは何も言わず、優しい笑みを浮かべながらエコーの目をじっと見つめ、二人はキスを交わす。
特異現象
エコーがハイマーディンガーのもとに戻ると、彼は特異現象の再現に成功していた。ハイマーディンガーは装置を起動させるが、装置の一部が耐えきれずに消失し、装置が停止してしまう。
するとハイマーディンガーはエコーに感謝と別れを告げてゲートから降り、エコーを元の世界に帰らせるために装置を再起動させる。装置が起動すると、ハイマーディンガーはまばゆい光とともに消失する。
その瞬間を目撃していたパウダーは、床に倒れているエコーに駆け寄り、目の前の特異現象を見上げる。そこには別の世界のエコーの姿が浮かび上がっていた。二人は一瞬だけ視線を交わし、別のエコーが転送させると同時に、この世界のエコーが目を覚ます。
ポストクレジットシーンでは、パウダーがヴァイの祭壇の引き出しを開け、ペンダントをしまう姿が映し出される。引き出しの中には、ジェイスのアパートから盗んだヘクステック・ジェムストーンが入ったポーチが隠されていることが明らかになる。
ジェイスの動向
緑色の霧が立ち込める中、ジェイスは目を覚ます。周囲を見渡すと、視界の端にフードを被った謎の人物が現れる。ジェイスがその人物を追って進むと、ピルトーヴァーの街が崩壊し、廃墟と化している様子を目撃する。
荒廃した世界には、人々が化石のような姿となって散在していた。やがて、それらの抜け殻のような存在が動き出し、ジェイスを追い始める。彼は必死に逃げるが、途中で躓いて深い谷底へと落下して気絶する。
目を覚ましたジェイスは、落下の際にハンマーに片足をぶつけ、負傷していることに気づく。谷底から出られないまま正気を失いそうになりながら、何日も生活し、ハンマーを分解して即席のギプスを作り出すと、ようやく地上へ這い出る。
その後、ジェイスはピルトーヴァーの廃墟と化したヘクスゲートの頂上を目指して進む。その頂上には、ハンマーに手をかけてひざまずく抜け殻のような人影があった。その後ろにはフードを被った人物が立っている。
ジェイスはその人物に向かって問いかける。なぜ自分にルーンストーンのブレスレットを与えたのか。答えない相手に、さらに元の世界に戻る手段を要求すると、フードの人物は静かに抜け殻の肩に手を置く。すると、抜け殻が持っていたハンマーがジェイスに向けて差し出される。
ジェイスはそのハンマーを受け取り、覚悟を決めた表情で「失敗しない、誓うよ」と宣言する。
第8話:殺しのサイクル
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メルの能力開花
第8話は、メルが黒薔薇の呪縛を解放するシーンから始まる。目覚めた彼女は、自身の体に金色の装飾が施されているのに気づき、同じ空間に現れた魔術師と対峙する。
魔術師はメルが魔術の力を得たことを告げ、アンベッサを止めなければルーン戦争に匹敵する悲劇が訪れると警告する。メルは自身が武器として利用されることに抵抗するが、最終的に魔術師の提案を受け入れ、アーケインのネックレスを手にする。
ビクターとアンベッサの取引
アンベッサは自分の護衛だったリクタスを埋葬して復讐を宣言する。一方、シンジドはワーウィック・ヴァンダーの血をビクターに融合させていた。これによってビクターは力を取り戻し、死亡した信者たちの体に憑依して話し始める。
アンベッサはビクターをヘクスゲートの特異事象に連れていくことを約束し、その代わりに兵士たちを強化するように要求する。
過ちと憎しみの連鎖
ヴァイは怪我から目覚め、ロリスから状況を知らされる。ジンクスがケイトリンに拘束されたことを知ったヴァイは彼女のもとに向かうが、二人は激しい口論になる。ジンクスはヴァイの容態を心配して自ら捕まっていた。
その後、ケイトリンは地下に拘置されたジンクスに会いに行き、釈明の機会を与えようとするが、悲しみに沈むジンクスは何も食べず、自らを殺すよう訴える。
ケイトリンは自分たちが過ちを繰り返してきたこと、これ以上ジンクスを恨み続けることはできないことを打ち明けると、ジンクスはケイトリンの母親を殺したことを認める一方で、評議会に彼女がいたことは知らなかったと伝える。
輝ける進化
修復されたピルトーヴァー評議会室でジェイスとメルが再会し、二人は互いの変化を実感する。ジェイスは、メルの能力によって評議会襲撃の際に命を救われた一方で、彼女が全員を守り切れなかった事実を指摘する。これがきっかけで二人は口論となる。
その最中、ビクターが操る兵士が評議会室に現れ、二人の対立は中断される。ビクターはジェイスに「輝ける進化」の計画を持ちかけるが、ジェイスはそれを拒絶し、ヘクスゲートに近づかないように懇願し、ジェイスは兵士と戦い始める。
苦戦を強いられながらも、ジェイスはメルと協力して戦い、激しい戦闘の末に兵士を倒す。一方で、ジェイスの協力を得られなかったビクターは、シンジドに計画を進めるように指示する。
殺しのサイクル
ジンクスは拘置所の中でシルコの幻影と会話していた。シルコは「殺しのサイクル」の宿命から逃れられないことを告げるが、ジンクスはその連鎖から抜け出したいと望んでいる。
拘置所にヴァイがやってくると、ヴァイは鍵を開けてジンクスに寄り添い、ジンクスの力を人助けに使うことで一緒にやり直したいと提案する。しかし、ジンクスはヴァイを拘置所に置き去りにし、「サイクルを断ち切る」と宣言して去ってしまう。
その後、拘置所に取り残されたヴァイのもとにケイトリンが現れる。ヴァイは自分の判断が事態を悪化させるばかりだと嘆くと、ケイトリンはヴァイがジンクスに会いに来ることを予期して警備を解いていたことを伝える。するとヴァイは衝動的にケイトリンにキスをする。
King Princessの「Fantastic」が流れる中、ヴァイとケイトリンは拘置所の中で体を引き寄せて求め合い、二人は和解する。
戦争の前触れ
ジェイスとメルは互いの立場を理解して和解すると、ジェイスはピルトーヴァーとゾウンの権力者たちを集めて緊急の集会を開催する。謎の兵士たちによる襲撃が起きたこと、そしてアンベッサがさらなる兵士を送り込み、戦いを仕掛けてくることを伝える。
ジェイスは、ピルトーヴァーとゾウンの領土や理念を超えた共闘が必要だと訴え、人類を守るために一時的な同盟が必要であることを主張する。結果的にゾウンの市民も同意し、来たるべき戦いに立ち向かうための準備が始まる。
一方で、メルは単独でアンベッサのもとへ向かい、キノの死の真相を問いただす。アンベッサは、キノが黒薔薇団の秘密を探った結果捕まり、助けることができなかったと主張する。
メルは、ピルトーヴァーをこの争いに巻き込むべきではないと強く主張し、キノの復讐は二人で決着をつけるべきだと提案する。しかし、アンベッサはその提案を拒絶し、死を恐れない新たな援軍を手に入れたことを明かす。
時は遡り、ジェイスからの協力を得られなかったビクターは、自らの計画を進め始める。シンジドに命じてワーウィック・ヴァンダーの血を自身と融合させることで、ビクターは死んだ信者たちを自身の操り人形の兵士として蘇らせていた。
それと同時にビクターのもとからスカイの魂は消えていき、彼の顔は仮面のような様相に変化する。
第9話:爪あか
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自爆阻止
第9話(最終話)は、Royal & the Serpentの「Wasteland」が流れる中、ジンクスがすべてを終わらせる決意を固め、シルコの椅子とオフィスを燃やし尽くす場面から始まる。
彼女はヘクステック・ジェムストーンを使った爆弾を起動し、自らを含めてすべてを消し去ろうとする。しかし、爆弾の栓を抜き爆発が始まった瞬間、エコーが駆けつけ、タイムループの力を使って4秒前に戻し、爆発を阻止しようと試みる。
ジンクスはエコーの介入を無視し、自爆を何度も繰り返そうとする。しかし、エコーもまた執拗にタイムループを繰り返し、彼女の行動を阻止し続ける。その中でエコーはジンクスに対して、「過去に何があっても大切な人のためなら新たな人生をつくれる」と強く訴える。
戦争開始
ジェイスはケイトリン、ヴァイ、メルに作戦を説明する。ビクターがヘクスゲートに到達すれば全てが終わるため、ジェイスがヘクスゲートを閉じるまでの時間を全員で稼ぐ作戦だ。
間もなく戦争が始まり、アンベッサ率いるノクサス兵たちがピルトーヴァーに攻め込む。ピルトーヴァーとゾウンの連合軍は一致団結して迎え撃つが、戦場にはビクターが入ったドームと、強化されたワーウィック・ヴァンダーらが現れ、戦況は一気に不利になる。
ケイトリンと執行官たちは緑色の有毒ガスを利用してドームに接近し、爆弾を仕掛けることに成功する。しかし、起爆装置が釘に引っかかり作動せず、その隙を突かれてケイトリンは背後から殴られ、気を失う。
気を取り戻したケイトリンが目にしたのは、アンベッサとノクサス兵によって制圧されたピルトーヴァー・ゾウン連合軍の姿だった。さらに彼女を気絶させたのが、信頼していた部下マディ・ノーレンであることが明らかになる。ノーレンはアンベッサに忠誠を誓っており、彼女の指示でケイトリンに接近していた裏切り者だった。
アンベッサはノーレンにケイトリンを殺すよう命じ、ノーレンが銃を放つと、その弾はシールドに弾かれ、跳ね返ってノーレン自身を貫く。メルが駆けつけてケイトリンを守ったのだ。メルはアンベッサに対峙し、これ以上の無意味な虐殺をやめるよう強く訴える。
そのとき、空から音楽とともにジンクスとエコー率いるファイアライトが熱気球に乗って現れる。彼らは一斉に加勢し、戦局を大きく揺るがす。ピルトーヴァー・ゾウン連合軍は士気を取り戻し、アンベッサの軍勢に反撃を開始する。
戦いが激化する中、ヘクステックの砲弾がビクターのいるドームを直撃し、ドームは崩壊する。しかし、その中にビクターの姿はなかった。
ケイトリン&メル vs アンベッサ
地上で激しい戦争が繰り広げられる中、ジェイスはヘクスゲートを停止させるための操作を続けていた。しかし、その前に現れたのは、仮面のような異様な姿に変貌したビクターだった。顔の周りにはルーン文字が浮かび、彼の力の強大さが一目でわかる。
ビクターの登場と同時に、地上には彼の操る兵士たちが現れる。彼らに触れられた者たちは魂を奪われるかのように意識を失い、戦力が次々と減らされていく。戦局は一層混沌を極める。
一方で、ケイトリンとメルはアンベッサと直接対峙していた。アンベッサの圧倒的な力に二人は苦戦を強いられるが、ケイトリンは機転を利かせ、片目を犠牲にしてアンベッサの腕からケイニック・ルーケルンを取り外す。この装置の破壊によって、アンベッサの防御は崩れ、魔術が通用するようになる。
メルはアーケインのネックレスに手を置き、黒薔薇団の魔術空間にアンベッサを引きずり込む。その空間では黒薔薇団の魔術師がアンベッサを始末しようとするが、メルはその中に自ら飛び込み、黒薔薇の魔術に打ち勝つ。彼女はアンベッサを倒すと同時に黒薔薇団の支配をも消滅させる。
現実の世界に戻ったアンベッサは、メルの腕の中で息を引き取る。
ピルトーヴァーの危機
ワーウィック・ヴァンダーがジンクスの熱気球に飛び移り、襲いかかる姿を見たヴァイは、エコーとともにジンクスを守るために気球に飛び乗る。しかし、ヴァイはワーウィックに捕らえられ、首を絞められて命を奪われそうになる。エコーはヴァイを救うため、やむを得ず気球をヘクスゲート塔に向かわせて衝突させる。
気球の墜落によって戦いの舞台は塔の内部へと移り、ヴァイとジンクスは背中合わせになりながらワーウィックに立ち向かう。ジンクスは「私たちはいつも一緒にいる。対立してる時もね。」と言う。
一方、塔の地下にあるヘクスゲートでは、ビクターがジェイスのヘクスゲート閉鎖を阻止し、特異事象を発生させる。ビクターはその特異事象を小型化して自身の杖に宿し、ジェイスとともに空中へ浮遊しながら塔の内部を上昇していく。
ヴァイとジンクスがワーウィックと戦い続ける中、ビクターとジェイスは激戦の合間を突き抜けて塔の頂上に到達する。頂上でビクターは杖を掲げ、特異事象を空に放つと、無数の光が塔の上空から降り注ぎ、戦場にいるすべての人々の意識を奪っていく。
ケイトリンやメル、そしてワーウィックに捕らえられたヴァイとジンクスも、その光の影響から逃れることはできなかった。
相棒を取り戻す
塔の頂上に跪いたジェイスに、ビクターがゆっくりと近づき、その額に触れる。するとジェイスは、ビクターが無数の人々の魂を繋ぎ合わせて見ている景色を目撃する。ビクターは「人間は感情によって理性を狂わせ、自らを堕落させる矛盾を抱えた存在だ」と語り、自身の信念をジェイスに説く。
一方でジェイスは、ビクターの不完全さこそが彼を立派な人格にし、かつての仲間として尊敬していたことを訴える。しかし、ジェイスの魂も徐々に奪われていき、意識が薄れていく。
その時、フライングボードに乗ったエコーが現れ、ビクターを止めるべく突撃を試みる。エコーは何度も失敗するが、4秒のタイムループを繰り返しながら接近を試みる。そして、限界を超えて4秒以上のタイムループを発動させ、ついにビクターに特異事象を投げつけることに成功する。
特異事象がビクターに命中すると、失いかけていたジェイスの意識が復活する。するとジェイスは「相棒を取り戻す」の言葉通り、ビクターを抱きしめる。その瞬間、ビクターには別の次元の自分の記憶が流れ込む。
幼いジェイスを命の危機から救い、ルーンストーンを授けたフードを被った人物が、実は別の次元のビクターだったことが明らかになる。フードのビクターは、すべての苦しみを取り除いた「完全な世界」を創り上げたが、その世界には何の価値もないことを痛感していた。彼はどのタイムラインでも、行き着く先は「完全な世界」を実現してしまった自分自身だった。
フードのビクターは、これを止められるのはジェイスだけだと信じ、あらゆるタイムラインでジェイスにルーンストーンを託し続けていた。その事実を知った現在のビクターは戸惑いを見せるが、ジェイスは自身の手首からルーンストーンを取り外し、ビクターに手渡す。そして、「二人でやり遂げよう」と優しく語りかける。
ジェイスとビクターは互いに頭を寄せ合い、手の中にルーンストーンを握りしめる。それによって特異事象のエネルギーは封じ込められ、囚われていた人々の魂が解放される。光が辺りを満たし、意識を奪われていた全ての人々が目を覚ます。
いつも一緒にいる
ジンクスが意識を取り戻すと、視界に入ったのは、壊れかけたダクトの上でワーウィックの近くにいるヴァイの姿だった。ジンクスは必死にヴァイにその場から離れるよう叫ぶが、ヴァイはワーウィックの中にヴァンダーの意識が残っていると信じ、警告を聞き入れずに彼に近づいてしまう。
目覚めたワーウィックはその凶暴性をむき出しにし、ヴァイに襲いかかろうとする。ジンクスは咄嗟にヴァイを救うため、ワーウィックに体当たりを仕掛ける。しかしその結果、ワーウィックに掴まれたジンクスは、ぶら下がる形でヴァイにしがみつく状態となり、二人を支えるダクトは崩壊寸前となる。
状況が悪化する中、ジンクスはヴァイに「いつも一緒にいるよ、姉さん」と告げる。そしてヴァイのガントレットからヘクステック・ジェムストーンを取り出すと、決意の表情でワーウィックと共にダクトから落下していく。
落下の中でジンクスは素早くジェムストーンを手榴弾にセットし、最後の瞬間、ワーウィックとともに爆発を引き起こす。光と轟音が響き渡り、ジンクスの姿は爆発の中に消える。
爪あか
ピルトーヴァーの戦争が終結し、人々はその余波の中で犠牲者たちを追悼していた。屋上ではエコーが静かにジンクスを思い出しながら、彼女のために祈りを捧げている。その一方で、セヴィカは新たに評議会のメンバーとして登用されていた。シンジドの娘は意識を取り戻した兆しが見られる。
メルはアンベッサのマスクを手に取り、その重さと意味を感じながら自分の進むべき道を模索していた。一方、ケイトリンはジンクスの手榴弾の破片を握りしめ、ヘクスゲートの図面を注意深く調べている。ジンクスが最終的に爆発の中から生き延びた可能性が微かに残っていることを示唆している。
ケイトリンとヴァイは一緒に生活を送っているようだった。ヴァイが母親の鼻歌を口ずさんでいると、ケイトリンがそっと近づき、二人は肩を寄せ合う。
「ヴァイオレット、心は今も戦っているの?」とケイトリンが尋ねると、ヴァイは「私はあなたの手の中。ずっと一緒にいる。」と静かに答える。