ジャズはスゲー熱くて、激しい。
今回は、映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』をご紹介します。
2013年から小学館「ビッグコミック」にて連載した石塚真一の人気ジャズ漫画をアニメ映画化した作品。
ジャズに魅了された3人の青年たちが、ひたむきに音楽と向き合い、成長する様子を描いています。
本記事では、ネタバレありで映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』を観た感想・考察、あらすじを解説。
原作を読んでいない方でも、全く問題なく楽しむことができる映画になっており、むしろこれから観る人はなるべく情報を入れずに観ることをおすすめします。
観ていない方は、ここで読むのを止めて映画館へ行きましょう!
ネタバレせずにYouTubeで魅力を動画で紹介もしています。
2023年のアニメ映画を象徴する作品になると感じた素晴らしい映画でした!
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『BLUE GIANT ブルージャイアント』ってどんな話?
映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』は、石塚真一による漫画が原作。小学館『ビッグコミック』にて2013年から2016年まで第1部「仙台・東京編」が連載されました。
原作:石塚真一
作者の石塚真一さんは、それまで描いた経験もなかったにもかかわらず、28歳から漫画家を目指し、実現させた人でもあります。
2003年から2012年にかけて後に映画化もされた山岳救助を描いた『岳 みんなの山』を連載し、その後、2013年に小学館「ビックコミック」で連載を開始したのが本作『BLUE GIANT』。
映画では第1部『BLUE GIANT』を映画化、とりわけ上京してからの東京編(4〜10巻)の様子を描いています。
映画でハマった人はぜひ、原作も読んでみてください!
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映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』の作品情報
『BLUE GIANT ブルージャイアント』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
仙台で暮らす高校生・宮本大は、ジャズに魅力され、毎日テナーサックスを吹き続けてきた。卒業と同時に上京し、高校の同級生・玉田俊二のアパートへ転がり込むことに。ある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会い、大は彼をバンドに誘う。大に感化されてドラムを始めた玉田も加わり、3人はジャズバンド「JASS」を結成する。
作品情報
タイトル | BLUE GIANT ブルージャイアント |
原作 | 石塚真一「BLUE GIANT」 |
監督 | 立川譲 |
脚本 | NUMBER 8 |
出演 | 山田裕貴 間宮祥太朗 岡山天音 |
音楽 | 上原ひろみ |
撮影監督 | 東郷香澄 |
編集 | 廣瀬清志 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2023年 |
上映時間 | 120分 |
予告編
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おすすめポイント
ジャズは熱くて、かっこいい。
2013年から小学館「ビッグコミック」にて連載された石塚真一の人気ジャズ漫画をアニメ映画化。
原作のエピソードの取捨選択が抜群で、ジャズバンド「JASS」の3人の若者を主人公に、音楽への初期衝動と情熱、努力と挫折を描く物語。
原作の展開を見事なまでに改変した終盤の展開と、グラミー賞受賞のピアニスト、上原ひろみさんによる音楽はまさに圧巻。
映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』の監督・スタッフ・キャスト
監督:立川譲(たちかわ ゆずる)
監督はアニメ制作会社「マッドハウス」に入社後、フリーへ転身した立川譲さん。
主な監督作
- 『モブサイコ100』シリーズ
- 『名探偵コナン ゼロの執行人』
- 『デカダンス』
『モブサイコ100』や、『名探偵コナン ゼロの執行人』といった人気も評価も高い作品を手掛けてきています。
2023年には『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の公開も控えています。
脚本:NUMBER 8(ナンバーエイト)
映画の脚本を手掛けたのは、NUMBER 8さん。
『BLUE GIANT』の担当編集者であり、『BLUE GIANT SUPREME』『BLUE GIANT EXPLORER』のストーリーディレクターを担当しています。
原作者と二人三脚してきた方が脚本を手掛けたこともあって、本作の「変更」が素晴らしいものになっていたと感じます!
音楽:上原ひろみ
今作で一番重要とも言える映画音楽を担当したのは、ジャズ・ピアニストの上原ひろみさん。
名門バークリー音楽大学を最優等で卒業し、2011年のグラミー賞では最優秀コンテンポラリー・ジャズ・アルバムで受賞。日本人アーティストとしては唯一、NYイチ有名なジャズクラブ「ニューヨーク・ブルーノート」で9年連続6日間公演を成功させました。
(ちなみに『BLUE GIANT』に登場するジャズクラブ「So Blue」のモデルになったのは東京・南青山にある「ブルーノート東京」です。)
東京オリンピックの開会式でも演奏を披露していましたね。とにかくすごい方です!もちろん映画音楽も最高!
上原ひろみさんによって、映画オリジナルの描き下ろし楽曲が提供され、JASSのピアニスト・沢辺雪祈のピアノ担当もしています。
[宮本大]山田裕貴/馬場智章
宮本大の声を担当したのは、山田裕貴さん。
主な出演作
- 『HiGH&LOW』シリーズ
- 『闇金ドッグス』シリーズ
- 『あゝ、荒野』
- 『あの頃、君を追いかけた』
- 『東京リベンジャーズ』など
サックス演奏は、馬場智章さん。ブルーノート東京、フジロックフェスティバルにも出演し、所属するバンド「J-Squad」として「報道ステーション」のテーマ曲も手掛けました。
[沢辺雪祈]間宮祥太朗/上原ひろみ
沢辺雪祈の声を担当したのは、間宮祥太朗さん。
主な出演作
- 『帝一の國』
- 『お前はまだグンマを知らない』
- 『全員死刑』
- 『殺さない彼と死なない彼女』
- 『東京リベンジャーズ』など
ピアノ演奏は先述した上原ひろみさんが担当しています。
[玉田俊二]岡山天音/石若駿
玉田俊二の声を担当したのは、岡山天音さん。
主な出演作
- 『帝一の國』
- 『さかなのこ』
- 『愛の病』など
ドラムを担当したのは、石若駿さん。
millenium paradeや、くるりなど、数々の作品にも参加しています。
映画『BLUE GIANT ブルージャイアント』のあらすじ
「オレは世界一のジャズプレイヤーになる」
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台に暮らす高校生・宮本大。雨の日でも雪の日でも、毎日毎日、ひとり河原でテナーサックスを吹き続けてきた。
高校卒業と同時に上京した大は、高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込む。
ある日、東京で初めて訪れたジャズバー「Jazz TAKE TWO(テイクツー)」の店主・アキコから紹介されたライブハウスで、同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会う。
「オレと組んでくれませんか。」
大は雪祈をバンドに誘う。初めは本気で取り合わない雪祈だったが、大のサックスの演奏に胸を打たれて2人はバンドを組むことになる。
一方、大の演奏を聴き、感化された玉田は、ドラムを始める。
初心者である玉田がバンドに入ることを拒む雪祈に対し、大は「ウマくてもヘタでも感動できればいい」と言う。
結果的に玉田も加わり3人はバンド「JASS(ジャス)」を結成。
世界一のジャズプレイヤーを目指す大、若い力でジャズ界に新しい風をふかせようとする雪祈、2人に追いつこうと必死になる玉田。
初めてのライブ、挫折、ジャズフェスティバルでの成功などを経験しながらも、3人はひたむきに活動を続けていく。
そして3人は日本最高のジャズクラブ「So Blue(ソーブルー)」への出演を目標にし、実現が近づいていくが…。
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ感想】見事な脚本とエピソードの取捨選択
結論を言うと、傑作。素晴らしい映画でした!
10巻までの『BLUE GIANT』の物語を、2時間の映画にまとめる中で、エピソードの取捨選択とプラスアルファが見事でした。
仙台編をカット
映画では、高校を卒業して上京する大の様子からスタートします。これによって原作の1〜3巻に相当する、大の高校生活を描いた「仙台編」はカットされています。
これは、2時間の映画なので仕方ないというか、そうせざるを得ない気はしました。
「仙台編」で描かれるのは、大が河原でひたすらサックスを吹き続ける様子や、大の才能を見出して伸ばす講師・由井との出会いなど、宮本大というキャラクターの下地となる部分が描かれています。
その部分がカットされ、早々に上京してからの様子が描かれるので、初めて観る人にとっては、宮本大を「サックスの才能に溢れた人」だと思うかもしれません。
実際に、映画を観ると、大の「根拠なき自信」がどこから来るのかが気になりました。それが雪祈との会話の中で「3年間努力した、半年、師匠に習った」という要素と回想だけなので、少し現実離れした存在にも感じるんですよね。これは原作を読んでいる人にとってはなんとも惜しい気持ちになります。
大の人間味のある部分や、家族、そしてサックスとの出会いのエピソードも最高なので、原作もぜひ読んでみてほしいです!
一方で、学生生活を通した恋愛要素を、映画では完全にカットしていたことは英断でした。
宮本大というキャラクターは例えるなら「ONE PIECE」のルフィのような、絶対的な自信に満ちているんですよね。そのため、雪祈の前で披露するときや、人前で演奏をするときも、常に120%の演奏をすることができるのです。なぜなら彼は世界一のジャズプレーヤーになると決めているから。
原作では、各巻の巻末で、宮本大と関係の合った人物にインタビューしている様子が描かれます。つまり、読者は、大がすでに第一線で活躍していると想像しながら読み進めていくことができるのです。
これはひとつに、原作ではひたすらに努力し、練習しを繰り返す、言ってしまえば辛い部分の描写が多いからだと想像できます。
読者の私たちは、そんな大の努力が、どんな形であろうと報われていると想像できるから、その過程を追いたくなり、ある意味、安心して楽しむことができるのです。例えるなら、成功者の自叙伝を読む感覚に近いかもしれません。
映画でもインタビューシーンが合間に差し込まれていて、原作漫画と似た構成になっていたのも良い構成でしたね。
『BLUE GIANT』の良さは、大を支えてきた周りの人々たちへの描写も素晴らしいところ。
映画を観てから原作を読むと、より宮本大の人間味や奥行きを感じられると思います。
原作マンガでも面白さが加速し始めるのが4巻からの東京編です。それまで一人でサックスと向き合っていた大が、上京して仲間と出会うのです。
沢辺雪祈と玉田俊二と共に結成するバンド「JASS」。映画ではこの2人が、大よりも感情移入しやすいキャラクターになっていました。
特に玉田。大学から音楽を始める玉田というキャラクターには多くの人が共感してしまうと思います。
大の演奏を聴いて自分も始めたくなる音楽への「初期衝動」、やってみて分かる「実力と挫折」、経験の差が埋まらない「悔しさと葛藤」など、音楽に限らず、物事を習得する上での普遍的な楽しさと辛さがビシビシ伝わるのです。
雪祈は玉田のバンド参加を好ましく思いませんが、そんな玉田の様子を大は優しく見守ります。
「音楽をやりたい」って気持ちに、お前、「ノー」って言うの?
『BLUE GIANT』5巻 © 石塚真一/小学館
玉田が音楽に魅了された姿を、自らのジャズへの思いに重ねて背中を押す大。中でも玉田が、自分の成長をちゃんと見てくれているお客さんがいることを知るシーンはグッと来ます。
対して雪祈も、クールな印象とは裏腹に、大の演奏に圧倒されて涙を流す様子に、内なる熱い思いが伺えます。
『BLUE GIANT』はこういった、小さな描写にグッと来る場面がたくさんあるんですよね…!
雪祈が挫折と向き合う様子も丁寧。雪祈はジャズクラブ「So Blue」の支配人・平に接触し、自分たちの演奏を見てもらうように働きかけます。
将来を期待される大、一生懸命な姿が好印象な玉田に対し、雪祈だけ「君のピアノはつまらない」と言われてしまうのです。(すごく細かいのですが、ここで「えっ」という雪祈の反応の間が短すぎる気もしました…)
そこから雪祈は、“内蔵をひっくり返すほど”の自分をさらけ出したピアノソロ演奏という大きな壁と直面していきます。
映画版で印象的だったのが、雪祈の自宅での場面が3人の描写になっていたところ。
自分のピアノソロについてどう感じるか聞く雪祈に対し、大は「話になんねぇ」と言い放ち、一人で向き合うしかないと言うのです。その様子をみた玉田は、「なんでオレには厳しく言わないんだ」と自分が一番下手だと分かっているからこその思いを大にぶつけます。
原作では雪祈と大だけのやり取りになっていますが、ここで玉田の吐露もあることで、より映画が「JASS」3人としての成長にフォーカスしていることが伝わってくるのです。
本当に映画は「3人が主人公」といえる形になっているんですよね。それが良い!
【ネタバレ解説】ラストのエモい改変と“圧倒”される音楽
原作との細かな違いはありますが、東京編でのジャズバンド「JASS」としての3人の様子に焦点を当てていて、とても見やすく、心を動かす物語になっていた映画版。
原作との大きな違いとして、終盤の展開が挙げられます。
ジャズフェスティバルで成功を収めた「JASS」。そんな中、「So Blue」の系列店のジャズクラブに出演する海外ミュージシャンで、欠員が出たピアニストの代わりとして雪祈に出演依頼が舞い込みます。
「JASS」の3人として出演する目標だったゆえに参加を悩む雪祈。それに対して大と玉田は快く背中を押します。
そこからの雪祈のピアノソロは圧巻。そして雪祈は殻を破り、“内蔵をひっくり返すほど”の圧巻の演奏をします。映画のアニメーションでの表現も素晴らしかった。
このシーン、音楽も映像表現もめちゃくちゃ良いんですよね…!
実は、原作では雪祈が代役として出演するのは「So Blue」でした。正直、映画のこの変更と後の展開は見事としか言えませんでした。映画館でスタンディングしたくなりましたよ…。
その後、ついに「JASS」として「So Blue」への出演依頼が正式に届き、いよいよ夢の舞台へ出演という流れになっていきます。
しかし、出演を目前に控えた頃、雪祈がバイト中に車に轢かれてしまうのです。右腕はぐちゃぐちゃになり、雪祈の出演が絶望的になってしまいます。
そんな中でも、「立ち止まってはいけない」と、大と玉田の2人で「So Blue」での演奏をやり切るのです。
ここで映画の粋な改変がありました。
映画では、アンコールの場面で病室からやってきた雪祈が登場するのです。右腕は使いのものにならないため、左手だけでの演奏となりますが、3人で「So Blue」のスタージに立つのです。
これはやばかった…!
これは左手だけの演奏で大を魅了した、雪祈の登場シーンへの伏線を回収する形にもなっています。
原作では、一足先に「So Blue」で演奏した雪祈と、雪祈不在の中、大と玉田による「So Blue」での出演という形になっており、3人は間接的に「So Blue」のステージに立ちます。
それを映画版では、少し無理があるとはいえ、「3人での出演」という形を実現させてくれた描き方は、涙なしにはみられませんでした。
これもやはり、映画が「JASS」3人に焦点を当てているからこその描き方だったと思います!
ちなみに原作では、大と玉田の「So Blue」出演後、病室にいる雪祈の口から「解散しようぜ」と言われることになります。
その言葉の裏には、大がここで止まってはいけない人間で、世界一のジャズプレイヤーになる大の背中を押す意味がありました。
これによって、「JASS」としての活動は幕を閉じ、物語は「BLUE GIANT SUPREME」、ヨーロッパへ飛び立つ大の次なる物語へと進んでいきます。
映画では、「So Blue」でのアンコール出演する直前に、「これが最後かもしれない」と、直接的には言わない形での「JASS」の最後の演奏となっていました。
そこからの演奏はまさしく映画におけるハイライト。感動と圧巻のまさに「感情に訴えかける演奏」でした。
言葉で表現しても全部は伝えられない、その生の空気感は、映画館でぜひ体感することをおすすめします!
“圧倒”される音楽
『BLUE GIANT』は、“音が聞こえてくる漫画”と言われていて、巧みな描写で読者が思い思いの演奏を脳内で再生しながら楽しむことができる面白さがあります。
「ジャズ」という多くの日本人にとって馴染みのない音楽の魅力を、漫画という媒体で広めた意義があります。
漫画という音楽が聴けないことは強みであり弱みでもあって、それがネックに感じる人もいると思います。
二ノ宮知子さんによる漫画『のだめカンタービレ』も、音楽を描いた漫画で大好きな作品のひとつですが、そちらではクラシック音楽が聴こえてくる感覚がありました。
クラシックとジャズ、どちらの作品も、メジャー音楽ではないからこそ漫画を通してその魅力が伝わる意義がありますよね!
音が聴こえてくるという意味では共通するのですが、クラシックが「静かで穏やか」な音楽とすれば、ジャズは「熱くて激しい」音楽。とりわけ『BLUE GIANT』での大の奏でるサックスは本人が語るように「感情の音楽」であると伝わってくるのです。
『のだめカンタービレ』も映像化されていて、素晴らしい作品になっているのですが、クラシックよりも聴きなじみのないジャズを映像化するのはチャレンジングでもあります。
しかしながら、映画『BLUE GIANT』はそのハードルを越えてみせたのです。作品に「音楽」が宿り、映画館がジャズクラブへと変わります。
そこには上原ひろみさん(ピアノ)を始め、馬場智章さん(サックス)、石若駿さん(ドラム)の圧倒的な演奏力にあります。
中でもJASSを代表する楽曲でもある「FIRST NOTE」。この楽曲を聴いたときには震えました。神曲。
原作における、大がサックスを吹いた瞬間に観客が感じる衝撃をまさに体感できたのです。
「Seven Spot」での初ライブに始まり、エモーショナルの大洪水となる「So Blue」に至るまで、ライブシーンのどれもが圧巻。圧巻すぎる。
そんな演奏シーンを、これでもかというほどたっぷりと見せてくれていたのも感謝しかありません。
映画という完成された形なのに、映画館で聴いているこの楽曲は、今のこの瞬間しか聴けないものではないかと錯覚する生の肌感覚。
まさに『BLUE GIANT』を読んだときに想像していた感覚だったのです。
体が熱くなり、汗と涙が吹き出てそれが熱気で蒸発する感覚。「魂を揺さぶる」劇場体験でした。
同時に、今なにかに夢中になる人の背中を強く押してくれる、モチベーションが爆上がりする映画でもあります。大満足の中で映画館を後にしました。
3DCGIは「ひどい」と言わざるを得ないが…
唯一、映画『BLUE GIANT』で不満点と言わざるを得ないところがあります。それは、3DCGIの表現。
ライブシーンでの動きのある部分を、モーションキャプチャーを使ったCGが使われているのですが、そのクオリティがあまりにも微妙なのです。
特に、引きの映像で観た時に作画のタッチとの違いが浮き彫りになり、素晴らしくエモーショナルな演奏の途中で、突如ステージ上に「人の形の塊」が現れたように感じるのです。
これだけはやっぱり気になってしまいますね…。
ジャズが「感情の音楽」であるという、『BULE GIANT』の主軸の観点からしても、あのCGだと感情が読み取れないのが惜しいところ。
昨今、クオリティの高いアニメが続々と登場する中で、あのCGでは満足できる人は少ないでしょう。
とはいえ、圧倒的な演奏力によって吹き飛ばされ、総じて素晴らしい傑作となっていました。
まとめ:CGがヒドい?「へでもねぇや」なド傑作でした
今回は、映画『BLUE GIANT』をご紹介しました。
映画と原作、どちらが良いとかそういう問題ではありません。まさに「映画館で観ないともったいない映画」なのです。
「Blue Note(ブルー・ノート)」や「COTTON CLUB(コットン・クラブ)」といった日本を代表するジャズクラブで鑑賞するのはもちろん最高です。
しかし、敷居が高いと感じる方もいるでしょう。朗報です。映画館へ行きましょう。『BLUE GIANT』によっって映画館がジャズクラブへと変化します。
映画館でこれほどまでに涙が出たのは久しぶりでした。ぜひ劇場で公開中にチェックしてみてください!