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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)

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アクション

【ネタバレ感想・考察】『100万ドルの五稜星』犯人と動機・ラストまで解説|コナン映画27作目

今回ご紹介する映画は、劇場版『名探偵コナン100万ドルの五稜星』です。

青山剛昌による大ヒット漫画『名探偵コナン』の劇場版27作目。怪盗キッドと西の名探偵・服部平次らが登場し、北海道・函館でのミステリーを描く。

本記事では、ネタバレありで『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし
まめもやし

キャラクターは大渋滞していて、今年もファン向けの映画ですが、やっぱり面白い!

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』作品情報・配信・予告・評価

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)

5段階評価

ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :

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あらすじ

北海道・函館での剣道大会のためにやってきていたコナンと服部平次たちは、新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀を狙う怪盗キッドの予告と、十文字の切り傷をつけられた殺人事件が発生したことで、天下分け目のお宝争奪バトルミステリーに巻き込まれていく。

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトル名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)
監督永岡智佳
脚本大倉崇裕
出演高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、山口勝平、堀川りょう、宮村優子 ほか
スペシャルゲスト:大泉洋
音楽菅野祐悟
主題歌:aiko「相思相愛」
撮影西山仁
編集岡田輝満
アニメ制作トムス・エンタテインメント
製作国日本
製作年2024年
上映時間111分

配信サイトで視聴する

全国の劇場で公開中

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ感想】コナン版『ゴールデンカムイ』

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)
(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

『名探偵コナン』の劇場版27作目となる『100万ドルの五稜星』は、北海道・函館を舞台に、複数の勢力が土方歳三にまつわる日本刀を巡って「お宝争奪戦」を繰り広げる、『ゴールデンカムイ』を彷彿とさせる映画でした。

今年はキッド回かと思ったら、服部平次回でもあり、登場人物のあまりの多さにびっくりします。前作『黒鉄の魚影(サブマリン)』は、近年のコナン映画の中でも大傑作だったので、自ずと期待は高まりますが、本作は前作に引き続き、良くも悪くも「ファン向けに特化したコナン映画」の印象が強かったですね。

正直に言えば、キャラクターが大渋滞している印象が強かったです。ミステリー要素がたっぷりある一方で、コナン、平次、キッドの3人を中心に、その他の多数の登場人物たちに丁寧にヒントを散りばめているので、コナンのファンは賑やかなキャラクターの共演を大いに楽しめる作品ですが、ますますライト層はついていけなくなる印象も感じます。

例えば、平次を追ってきた紅葉は、函館の魅力を伝える観光大使と化しています。キャラクターが登場する必然性が感じられず、ヒントを与えるための役割でしかありません。これらはファンサービス要因なので仕方ないとは思えますが、本作はミステリー要素がしっかりしているにも関わらず、あまりにも足早で情報量を詰め込みすぎているのも気になります。

土方歳三の歴史に関する文章が映される冒頭シーンでは、全く読むことを前提としていない尺になっていて、全体的にミステリー要素が魅力とは言え、観客が謎解きを楽しめるものではなく、コナンたちの推理に完全に身を任せる設計です(これは劇場版の定めとも思いますが)。

結果的に、ミステリーよりもサプライズ要素が目立っていて、コナン映画単体としての面白さというよりも、青山剛昌ユニバースを堪能する作品という印象でした。もちろん、コナンファンである私は大いに楽しむことができましたが、それでももっと丁寧にミステリーを描く親切さはあっていいはず。例えば、登場人物たちのテロップ紹介くらいなら、なんの手間でもないわけですからね。

コナンが真相に気づく場面もかなり足早というか感覚的で、普段の小五郎を眠らせてからの推理ショーを期待している人は、肩透かしを食らうかもしれません。一方で、ラブコメ要素は大いに楽しめて、コナンでしか味わうことのできないゾクゾク感と、物理法則をガン無視したアクションを接種できたので、結果的には満足しました。

何より、毎年お祭りのように満席の映画館で賑やかに楽しむことができる映画もそうそうないので、コナン映画はやはり劇場で見てこその醍醐味がありますね。すでに来年が待ち遠しいです。

以下ではとても分かりづらかったミステリー要素を詳しく解説していきます。

【ネタバレ解説】事件の内容・犯人や動機を整理

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)
(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

本作は過去作の中でもミステリー要素が強い部類に入る作品ですが、登場人物の多さと複雑な設定が難しいと感じた人も多いと思います。以下では、事件の概要と犯人、動機に至るまで詳しく解説して振り返っていきます。

函館とキッドと殺人事件

北海道・函館で、有数の財閥である斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届きます。キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀。

コナンと服部平次たちが函館にいるのは、平次が出場する剣道大会のため。怪盗キッドからの予告状があったため、コナンと平次たちは収蔵庫に行くことになり、平次はそこでキッドを追い詰め、キッドの顔や声が工藤新一とそっくりであることを知ります。

翌日、剣道大会が始まるものの、応援に来ていた和葉は平次がいないことを知ります。平次はキッドを夜通し探し回っていたと言いますが、函館の絶景スポットを予習していたことが後で明かされます。和葉は会場で、医学部の大学生で居合の達人である福城聖(ふくしろひじり)と出会い、音に違和感を覚えています。

そんな中、平次が夜を明かした函館港の倉庫街では、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が発見されます。遺体は斧江財閥の顧問弁護士である久垣澄人(ひさがきすみと)でした。事件の捜査は、北海道警察の西村京兵(にしむらきょうへい)警部と、川添善久(かわぞえよしひさ)刑事が担当します。

西村京平は、コナンが劇中でも言及しているように、原作22巻の「上野発北斗星3号」事件で登場しています。川添刑事は本作のゲスト声優にあたるキャラクターで、大泉洋が担当しています。西村警部が川添について「ドジだけど、遅刻するようなやつじゃない」と言い、後に明かされる正体への伏線となっています。

6本の刀の謎を解け!

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)
(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

コナンと平次らも捜査に加わります。2人は久垣の遺体近くに空のゴルフバッグがあり、そこに刀があったことを推理します。函館の宝物などに詳しい川添刑事は、斧江財閥の初代当主である斧江圭三郎(おのえ けいざぶろう)が、金脈を掘り当てて財を成し、その過程で「戦況を一変させるほどの何か」を手に入れたと伝えます。

現在の斧江財閥の当主は、圭三郎の孫で三代目の斧江拓三(おのえ たくぞう)ですが、経営難から家財を売りに出しており、その多くを鈴木財閥が手にしています。そのため、コナンらは園子から斧江財閥の情報を手にしています。コナンの依頼に秒で応える園子の仕事の早さを感じるところでもありました。

捜査線上に浮かび上がったのは、“死の商人”と呼ばれ、アジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人のブライアン・D・カドクラ。カドクラも土方歳三にまつわる日本刀を2本持っていましたが、キッドが盗み出します。しかし、コナンと平次が追い詰めて回収することに成功。この時、キッドは狐の仮面を被った剣の達人から襲撃されています。

キッドは、刀鍛冶・東窪榮龍(ひがしくぼ えいたつ)による刀が6本あり、それらをすべて集めることで、拓三が遺した財宝にたどり着けると考えており、刀をコナンらにわざと託して真の財宝の在り処を推理させます。

コナンと平次は、残る2本の刀が、福城聖の父親、福城良衛(ふくしろ りょうえ)が持っていることを知り、彼から刀を手に入れます。そして6本の刀は、目釘穴(目釘で刀身を柄に固定するための穴)の形状が月に対応していることが明らかになります。

さらに、平次を追いかけて函館にやってきていた大岡紅葉(おおおか もみじ)が平次に電話し、そこで土方歳三の「豊玉発句集(ほうぎょくほっくしゅう)」との関連性に気づき、刀と共に残されていたいろは表の暗号から、五稜郭の完成時に、その鬼門だった北東に神社を建てたことを突き止めます。「豊玉発句集」には恋の句もあり、土方歳三は決して句が上手いとは言えなかったそうで、紅葉との恋の不器用さで通じるものがありました。

神社は消失していましたが、御神体が別の神社に移動しており、そこに宝があると推理します。しかし、一緒に聞いていたキッドと、西村刑事に盗聴器を着けて盗み聞きしていた拓三、さらにカドクラが宝奪取のために動き出します。宝は函館の市街地を移動しながらの争奪戦となりますが、中身は空であることが判明します。この中には本来、星稜刀(せいりょうとう)が納められているはずでしたが、後に工藤優作の自宅にあることが判明します。

お宝争奪戦

その後、コナンと平次に協力した福城聖が、所持していた刀から久垣の指紋が発見されたことで逮捕されます。しかし、和葉は、聖が刀を鞘に収める時の音の違いに気づき、何者かが鞘を入れ替え、罪をなすりつけた可能性が浮上します。

宝を保管していた神社の巫女・吉永神子(よしながみこ)がコナンと平次らの前に現れ、神社で補完している赤い星印がある紙を手渡します。この時、川添刑事がコナンと平次に話するように誘導していますが、後の伏線にもなっていました。

コナンと平次は、福城良衛から手に入れていた函館の古地図と紙を重ね、五稜郭の外堀が赤く浮かび上がることに気づきます。その後、斧江圭三郎が星稜刀を持ってガラスの床板になった気球に乗り、望遠鏡で何かを見ている写真を手に入れますが、星稜刀がないことで、宝の場所の手がかりが掴めないでいました。

一方、カドクラは斧江拓三を殺そうとして狙撃します。キッドがなんとか妨害するものの、拓三を守った中森警部が銃弾に倒れてしまいます。この時の雨に滴るキッドの姿は、前作で灰原を守れなかったコナンの姿に重なりますね。狙撃するカドクラは、『ゴールデンカムイ』の尾形百之助そっくりです。

その後、カドクラは福城良衛を拉致して無理やり吐かせようとしますが、良衛は明かしません。一方で、良衛は斧江家の二代目当主、忠之(ただゆき)と親交があったことを明かします。カドクラはコナンらに、宝を見つけなければ函館を爆破すると脅迫します。一方、父・良衛の危機を知った聖は、警察署から脱走します。

コナンは阿笠博士(と少年探偵団)を函館に呼び、斧江圭三郎と同じように気球を手配します。この時、コナンは歩美が見せた新幹線のスタンプラリーを見て、星稜刀がなくても、土方歳三が刺客を返り討ちにしたときに屏風に血で残された星稜刀の鍔の形状が利用できると思いつきます。

コナンは血でかたどられた鍔の形状の写真をもとに阿笠博士らに計測させ、段ボールで形作った擬似的な星稜刀により、気球の高さと五稜郭が一致する場所で、斧江圭三郎が隠そうとした宝の位置を特定します。

事件の真犯人と動機

コナンと平次はそれぞれ函館山に向かい、コナンはカドクラと対峙します。ここでコナンは久垣殺害の真犯人である福城良衛を突き止めます。コナンはわざとカドクラにやられたふりをすることで、良衛に刀を振らせ、十文字の太刀筋を明らかにします。

良衛は、斧江忠之の意志を継ぎ、宝の所在を明らかにしたうえで、それを破壊しようとしていました。一方で、宝の争奪戦が勃発すれば、息子の聖に危険が及ぶことは明白でした。そこで、聖を守るために久垣殺害容疑をなすりつけ、警察に身柄を拘束させたのです。良衛の久垣殺害の動機は、彼が刀をカドクラに売り渡そうとしていたことにあります。

コナンは、川添刑事が誤って映し出したパソコン画面に、足の悪い忠之がさまざまな場所を旅していたことに気づき、良衛が忠之の運転手だったことを推理していました。さらに、良衛が薬を飲むときに、掌に傷があることに気づいており、良衛=狐仮面の男だと見抜いたのです。

宝の正体

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)
(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

一方、聖も同様に父・良衛の意志を理解し、爆弾が搭載されたセスナで函館の宝を破壊しようとします。聖は母親を戦争で亡くしたことで、兵器となり得る宝を破壊しようとしていたのです。

聖は医者を目指していましたが、その夢を絶ってまでも犯罪に手を染めてしまいます。これは、マジシャンでありながら大泥棒であるキッドの姿と重なり、セスナの上での戦いの中で、平次はキッドに命を助けられているのもポイントです。そして平次は再び聖と刀を交えて、勝利します。

平次の活躍もあり、函館山は爆破を回避し、コナンとキッド、良衛の3人はようやく宝の場所にたどり着きます。斧江圭三郎が遺した宝の正体は、第二次世界大戦中の暗号機と暗号の解読機でした。「戦況を一変させるほどの何か」は、兵器ではなく暗号の解読機だったのです。

映画で描かれている暗号の解読機の形状は、第二次世界大戦にナチス・ドイツの暗号器「エニグマ」の解読に貢献したイギリスの数学者、アラン・チューリングが発明した「ボンベ」にそっくりです。こちらはベネディクト・カンバーバッチ主演の映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』でも描かれています。

実際に、歴史を振り返ってみても、日本は太平洋戦争中、「レッド」と「パープル」と呼ばれる日本の外交暗号をアメリカに解読され、それが戦況の不利に繋がったという話は知られています。この時のアメリカの暗号解読プロジェクトは「マジック」と呼ばれており、マジシャンであるキッドの本作ともリンクします。

良衛は宝の正体を知り、自分が人生を賭けて探していたものが、今ではなんの役にも立たないことを知り、愕然とします。キッドはスマホ一台の方がこの宝よりも優れていると皮肉を込めて言いますが、これはお宝争奪戦の空虚さを浮かび上がらせるだけではなく、先に述べたアラン・チューリングの業績によって、現代のコンピュータ技術、そしてそれが進化したスマートフォンに至るまで、計算機科学の基礎を築く上で非常に重要な役割を果たしていることを反映しています。

そしてこれは、本作が斧江家の家系、良衛と聖、中森警部と青子、そしてキッドと父に至るまで、本作が親子の世代間のつながりを描いていることと密接に結びついていました。

キッドは宝の在り処から、「Wake not a sleeping lion(寝た子を起こすな)」という父が残したメッセージを発見しました。キッドは父が宝を盗まなかった理由を理解したのです。

それと同時に、映画では衝撃の事実として、キッドの父・黒羽盗一の生存が明かされますが、キッドはメッセージを通じて、死んだと思っていた父からのメッセージ(寝た子=死んだと思っていた父)の生存を察したのだと思います。

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