今回ご紹介する映画は『イコライザー』です。
『トレーニング・デイ』のアカデミー賞タッグ、アントワン・フークア監督&デンゼル・ワシントン主演によるアクション映画。
本記事では、ネタバレありで『イコライザー』を観た感想・考察、あらすじを解説。
アクションとしての面白さはもちろんですが、劇中に散りばめられた知的なエッセンスが物語をグッと魅力的にしているおすすめの一本です!
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『イコライザー』の作品情報
おすすめポイント
舐めてたホームセンターのおっさんが、実は元CIAのトップエージェントでした…!
『トレーニング デイ』のアントワン・フークア監督&デンゼル・ワシントン主演のクライムアクション。
デンゼル・ワシントンがアカデミー賞主演男優賞を受賞した『トレーニング デイ』のコンビによる映画。終盤のホームセンターで繰り広げる戦闘はまさに“殺しのDIY”。世直しデンゼルによる、様々なアクションが楽しめる映画です。
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今すぐみる『イコライザー』のスタッフ・原作
アントワン・フークア監督
監督はアントワン・フークア。
2001年には映画『トレーニング・デイ』でデンゼル・ワシントンとタッグを組み、アカデミー賞主演男優賞にもたらしました。
本作は、もともと1984年にアメリカのテレビドラマシリーズ『ザ・シークレット・ハンター(The Equalizer)』の映画版リメイクなんです。
『イコライザー』のキャスト・キャラクター
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン) ホームセンターで働く中年男。元DIAの凄腕エージェント。 | |
テディ・レンセン/ニコライ・イチェンコ(マートン・ソーカス) プーシキンの部下のトラブル解決屋。 | |
テリー/アリーナ(クロエ・グレース・モレッツ) 歌手を夢見る娼婦の少女。 | |
ラルフィ(ジョニー・スコアーティス) マッコールの同僚。警備員の試験を受けるためにマッコールに協力してもらっている。 | |
スーザン・プラマー(メリッサ・レオ) マッコールのDIA時代の同僚で一番の理解者。 | |
フランク・マスターズ(デヴィッド・ハーバー) 汚職に手を染めている刑事。 | |
ウラジミール・プーシキン(ウラジミール・クリッチ) スラヴィのボスでロシアンマフィアの顔役。 | |
スラヴィ(デヴィッド・ムニエ) 買春グループを仕切るロシアンマフィアの男。 |
【ネタバレ解説】『イコライザー』のあらすじ
Sony Pictures Entertainment
深夜のダイナーと娼婦のアリーナ
ロバート・マッコールは、ボストンのホームセンターで働きながら平穏な暮らしを送り、同僚のラルフィが警備員になるためのトレーニングを手伝っている。
夜眠れないマッコールは、深夜に行きつけのダイナーで読書することが日課となっていた。ダイナーには同じく常連で、娼婦のテリーという女性がいて、2人はマッコールが読んでいる本の話題で親しくなっていく。
ある晩、テリーは本名がアリーナで、歌手になることが夢だとマッコールに打ち明ける。その後、2人で夜の街を散歩していると、ロシアンマフィアで売春の元締めをしているスラヴィが突然やってくる。スラヴィはアリーナを殴り、無理やり車に連れ込むと、ロバートに名刺を渡し、車を走り去っていく。
アリーナはひどく殴られ、近くの病院のICU(集中治療室)に収容される。その知らせを聞いたロバートは病院に向かい、アリーナの友人で同じく娼婦のマンディから、スラヴィの犯行であることを聞き出す。
マッコールは、レストランの2階にあるスラヴィたちの部屋を訪ね、9,800ドルでアリーナの自由を買い取ると申し出るが、スラヴィは断り、今後も彼女を搾取すると言い放つ。マッコールはわずか数十秒の間にスラヴィらマフィア5人を手際よく瞬殺する。
解決屋テディ
Sony Pictures Entertainment
スラヴィが所属するロシアンマフィアのボス、ウラジミール・プーシキンは、事件を調査するため、解決屋のテディ・レンセンを送り込む。
テディは同じ地域で対立するアイルランド系マフィアの“リトル・ジョン”を徹底的に痛みつけ、メッセージを与える。
マッコールは、ホームセンターにやってきた強盗を密かに片付けたり、ラルフィの母親の店をゆすった汚職警官2人をゆすり返し、返金させたり、人知れず自分の正義を行動にしていた。
テディは、マンディがアリーナの知り合いではないとウソをついたことで、マンディを殺害する。その後、監視カメラ情報などから推理し、マッコールの自宅を割り出すと、刑事のふりをして訪ねるが、マッコールから一切のボロは出なかった。
テディは、ますますマッコールに興味を示し、その後2度に渡ってマッコールに襲いかかろうとするが、どちらもマッコールの先読みされて失敗に終わる。
マッコールの決意
Sony Pictures Entertainment
マッコールは国防情報局(DIA)時代の元同僚スーザンとその夫ブライアン・プラマーを訪ねる。マッコールはテディを特定するためにスーザンに協力を求める。
スーザンが情報を調べ、テディは本名ニコライ・イチェンコというロシアのスペツナズ(特殊任務部隊)出身の男で、雇い主は政財界に影響力を持ち、DIAも手を出せないプーシキンであることが判明する。
テディは組織と取引しているボストン市警の刑事2人を殺害し、さらにもう一人のフランク・マスターズは、数日間消息不明となっていた。
マッコールはフランクを脅し、プーシキンのマネーロンダリング倉庫のひとつを破壊し、フランクが保身のために持っていたロシアンマフィア関連のデータを押収する。
ホームセンターの攻防
Sony Pictures Entertainment
マッコールはテディに会いに行き、忠告した後、データから発見したプーシキンの資金源である石油タンカー2隻を破壊する。テディは戦力を集め、ホームセンターの同僚らを人質に取り、マッコールを港におびき出そうとする。
しかし、マッコールその裏をかいくぐり、ホームセンターで人質たちを助けて逆に待ち伏せする。やってきたテディと戦闘員たちをホームセンター内の工具を使って1人ずつ殺していく。
マッコールは闘いで負傷するが、ラルフィの助けも借りて釘打ち機でテディを殺害する。3日後、マッコールはモスクワの邸宅でプーシキンを見つけると、プーシキンを感電死させる。
それからしばらくして、マッコールのもとに回復したアリーナがやってくる。彼女はマッコールが差出人を明かさずに渡した金を手にし、新しい人生を歩み始めたことを伝える。
マッコールは、“イコライザー”としてインターネット上で助けが必要な人たちの力になろうと広告を掲載する。
【ネタバレ感想】寡黙な必殺仕事人
結論から言うと、めっちゃ面白い。大好物でした。
ジャンルで言えば、いわゆる「ナメてた相手が実は殺人マシンでした映画」なのですが、そのディティールが素晴らしかったです。
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イコライザーとは“均等を保つ者”
イコライザーという単語の意味は、均等を表す「=(イコール)」の動詞系「equalize」が派生し、「~する者」という意味の接尾後「er」がついて「equalizer」となっています。
つまり、意味は「均等を保つ者、等しくする者」となります。
また、「イコライザー」はスラングで「銃や武器」といった意味も持っています。
「腕力や体格などの差をなくす武器」という意味で使われているみたいですが、本作ではどちらの意味も当てはまるように感じました。
マッコールが自ら武器を使うのではなく、その場の物や相手の武器を使って戦闘するのも印象的ですよね。
敵役、テディの描き方
中盤で登場するテディという解決屋のキャラクター描写も素晴らしい。
舐め回すかのようにテディの全身に彫られたタトゥーを映し、背中から胸にかけてを縦に一回りするカメラワークとボストンの夜景を重ねるシーンは舌を巻きました。
彼がタダモノではないということが分かる映像の映し方には痺れました!
体には「TEMHOTA」「CMEPTb」と書かれたタトゥーが確認でき、それぞれロシア語で「黒や悪」「死」を意味する言葉です。
これはまさに、テディという人物の凶暴性や強さを象徴する映像で、彼がマッコールの前に立ちはだかります。中盤のパートはむしろテディが主人公ではないかと思うほど、ボロを出さないマッコールの尻尾を少しずつ手繰り寄せる様子が面白い。
そして2人が対峙してからは一気にアクセルを踏み込み、クライマックスのホームセンターでの死闘はアクション映画の歴史に残る名シーンとも言えるでしょう。
知的なエッセンスが物語を引き立てる
『イコライザー』はアクション映画として非常にバランスが取れた一本だと感じます。
アクション映画において、登場人物の背景や心情をたっぷり描くことが吉と出る場合と、凶と出る場合がありますよね。
僕は基本的に説明的に語りすぎるのは好みではないのですが、本作はそれが見事でした。本作における登場人物のバックグラウンドは詳細に描かれることはありません。
しかしながら、個々のシーンや仕草を追っていけばそれがちゃんと伝わるようになっていて、丁寧かつ映像がスッキリとしているのです。
それにも関わらず上映時間は132分と、この類のアクション映画としては長尺になっています。
そこには、文学によるメッセージ性などの細かいディティールが込められていて、非常に知的なアクション映画となっていました。
【ネタバレ考察】文学によるメッセージ性
『イコライザー』では、亡き妻の目標だった「読むべき本100冊」をもとに本を読むマッコールの姿を描いたプロットがあり、それが効果的に物語を演出していました。
ヘミングウェイ『老人と海』
劇中でも特に印象的なのが、マッコールの行きつけのダイナーで彼が読んでいるヘミングウェイの『老人と海』。
マッコールとアリーナの会話がこちら。
マッコール「老人は魚を舟に縛り帰途に就くが、海に流れる魚の血でサメが集まり魚は食い尽くされてしまう」
アリーナ「ムダ骨ってわけ?」
マッコール「いや、それは見方による」
マッコール「老人は人生の黄昏で最高の敵に出会い、魚に自分を見た。戦うほどに敬意を覚えた」
アリーナ「なら、逃せば?」
マッコール「老人は老人、魚は魚。自分以外にはなれない。しょせんね。」
この後の展開を表しているシーンになっていました。つまり、老人をマッコール、魚をテディに例えています。
死を装ってまで普通の暮らしを選んだものの、揺るがない正義感があって、最終的に強引にでも悪を正す道を選ぶマッコール。
自分を認めてくれる優しい養親と出会っても、本来の自分の狂った異常性は抑えられなかったテディ。
2人は戦うべくして出会うのです。
マッコールは特に象徴的で、不眠症の彼がアリーナを暴行したスラヴィを暗殺したその日、ダイナーに行かずベッドで熟睡できているのです。
彼は暗殺後に「すまない」と言っていましたが、それは亡き妻に向けて自分が本来の自分に戻ってしまうことへの謝罪のように思えますね。
こういったシーンをサラリと描くのがさすがというか、単なるアクション映画に終わらない知性を感じます!
あくまでもアリーナはきっかけで、それによりマッコールの本来持っている正義感に火がついたのでした。
セルバンテス『ドン・キホーテ』
再びマッコールとアリーナが会話するシーン。
アリーナ「今度は何を読んでるの」
マッコール「主人公が自分を騎士だと思っているが、現実はもう騎士がいない世界だ」
これはセルバンテスの『ドン・キホーテ』のことを指しています。それに対して、アリーナは「まるで私みたいね」と言います。
やめられない娼婦で働きながら、本来の夢である歌手を目指す自分の姿を憐れみ、ドン・キホーテと重ねていることが分かります。
2回目のダイナーからの一連のシーンですが、ここのクロエ・グレース・モレッツの演技が素晴らしかったですね。
互いに偽りの自分の姿を持っている2人の心がリンクしたような瞬間でした。
クロエが演じた娼婦は当初24歳の設定だったところ、15歳のクロエの演技に感銘を受けた監督が彼女を起用したとのこと。
出演シーンはそれほど多くはないのですが、デンゼル・ワシントンにも引けを取らない演技をしていましたね!
マーク・トウェインの格言
映画の冒頭ではマーク・トウェインの格言が映されます。
「人生でいちばん大切な日は、生まれた日と、生まれた理由が分かった日だ。」
これも、マッコールのことを明確に投影しています。
DIAを辞めて隠居生活を送っていた彼でしたが、娼婦のアリーナや職場の同僚ラルフィたちが夢を持ちつつも、不遇な運命になっている者たちと出会うことで、マッコールは生まれた理由を理解するのです。
それがラストシーンの“イコライザー”としての人助けへと繋がっていくのでした。
マッコールはラストで、ボスであるプーシキンを抹殺しますが、殺すことで何が得られるのかを聞かれると「平和」と言います。
もちろん、プーシキンを殺したことで平和になることはありませんが、マッコールは、それが自警過ぎないとしても、自分の正義を貫き、イコライズしていきたいという意思が伺えます。
まとめ:デンゼル・ワシントンの映画は間違いない
以上、アントワン・フークア監督×デンゼル・ワシントン主演の『イコライザー』をご紹介しました。
『トレーニング・デイ』で感じた間違いないコンビは、やはり間違いない!
隠居していた最強の男が、ある少女をきっかけにして自分の生きる理由を見つけるというストーリは無条件にワクワクしてしまいます。デンゼル・ワシントンの新たな名作の誕生です。
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