今回ご紹介するのは映画『プロジェクト/パワー』です。
アリエル・シュルマン、ヘンリー・ジュースト監督による作品で、ジェイミー・フォックスとジョセフ・ゴードン=レヴィットがダブル主演した注目作。
5分間だけ超人的パワーを手に入れられる“パワー”という薬に翻弄される3人の人間を描いています。
映画『プロジェクト・パワー』の作品情報とあらすじ
作品情報
原題 | Project Power |
---|---|
監督 | アリエル・シェルマン ヘンリー・ジュースト |
原作・脚本 | エリック・ニューマン |
出演 | ジェイミー・フォックス ジョセフ・ゴードン=レヴィット |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2020年 |
上映時間 | 113分 |
おすすめ度 | [jinstar3.0 color="#ffc32c" size="16px"](3点/5点) |
あらすじ
飲めば5分間だけ超人的な能力を得られるものの、副作用で死亡する危険もある薬がアメリカ・ニューオリンズでまん延する。
超スピードで移動できる者や全身を炎に包む能力者など薬を服用した特殊能力者が次々と出現し、犯罪に手を染める者も増える中、薬を製造した組織が進める謎の計画が浮上する。
警官、傭兵だった男、売人の少女は、ひょんなことから手を組んで街を危険な状態に陥らせる組織に戦いを挑んでいく。
『プロジェクト・パワー』のスタッフ・キャスト
ホラー出身の監督によるアクション映画
本作を監督したのは、アリエル・シュルマンとヘンリー・ジューストという2人です。
この2人は、過去に『ヴァイラル』『パラノーマル・アクティビティ3、4』を同じタッグで撮影し、Netflix映画『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』も手がけました。
これまでホラー映画で地位を確立してきて、Netflix映画『ナーヴ』ではオンラインゲームを舞台としたスリラー映画でも力量を見せました。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] 『ナーヴ』は現代的なテーマで社会問題を描きつつしっかりエンタメとしても成立している面白い作品でした。[/chat]
さらに、カプコンの人気ゲーム『ロックマン(原題:Mega Man)』の監督にも就任しているので今後も楽しみな監督です。
ジェイミー・フォックス
出典:https://www.imdb.com/
過去に娘を奪われたことで復讐を誓う元傭兵にはジェイミー・フォックス。
ヒーロー映画でいうと『アメイジング・スパイダーマン2』でエレクトロというヴィランをやっていましたね。
最近だとタランティーノ監督『ジャンゴ 繋がれざる者』で主演のジャンゴを演じたのがインパクトがありました。
本作もダークヒーロー的な位置づけで渋くてカッコいい姿が見られました。
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
出典:https://www.imdb.com/
不良だが街を愛する地元警官にはジョセフ・ゴードン=レヴィット。
彼は『(500)日のサマー』の印象が強かったですが、近年だとクリストファー・ノーラン監督作『インセプション』『ダークナイト』シリーズでも存在感を見せていて、注目の俳優の一人です。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] 彼は陰キャラも武闘派も様になるので役のバリエーションが幅広くて個人的に好きな俳優です。 [/chat]
久々の映画出演という彼は、自転車のチェイスシーンで転倒し骨にヒビが入ったという。
ドミニク・フィッシュバッグ
出典(左):https://www.imdb.com/
“パワー”の売人をする少女にはドミニク・フィッシュバッグ。
TVシリーズ『デュース』で知名度を上げたほか、2018年『ヘイト・ユー・ギブ』などにに出演しました。
【ネタバレ感想】既視感との戦い
出典:https://www.imdb.com/
※以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。
5分間のパワー
本作の見どころとなる“パワー”。
- 能力の効果は5分間
- 自分がどんな能力かは飲んでみないと分からない
- 飲んで死ぬ可能性もある
その条件は上記の通り。
一般的なスーパーヒーローが持つ特殊能力はその人に備わったものであることが多いですが、本作のパワーはランダムで時間制限まであるというのが面白い。
そんな副作用さえ理解すれば誰でも簡単に飲むだけで力を得られるということで、ニューオリンズの街は謎の組織によってバラ撒かれた“パワー”を求めて犯罪が横行していくのです。
能力が覚醒する描写がすごい
“パワー”を服用したときの描写が印象的でした。
全身の毛穴からから炎が沸き立つような描写と、ぐるぐると回るサイケデリックな映像が服用したときの高揚感を上手く描いています。
そういったCG・VFXによる描写が本作ではかなり特徴的に表れていました。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] 肉弾戦のアクションというよりも、特殊能力を活かしたCGによる迫力を重視していて、お金のかかり具合を感じます。 [/chat]
序盤のマシン・ガン・ケリー演じるニュートとジェイミー・フォックス演じるアートとの戦いの場面では、全身から炎を噴き出す特殊能力の描写がこれまで描かれてきた同様のものよりも迫力があり、ワクワクさせてくれました。
動物に由来する能力
ストーリーの中盤、本作に登場する“パワー”の能力の源が、動物に由来する力であることが明らかになります。
- トカゲ:再生能力
- タコ:擬態能力(透明化)
- ウルヴァリンカエル:骨が武器となる能力
- テッポウエビ:プラズマ派
上記のように、『ワンピース』の悪魔の実(ゾオン系)や『テラフォーマーズ』のような動物の能力を人間にも適応させたのでした。
ワクワクさせる設定の一方で、既視感ゆえの目新しさを感じることができなかったのも正直なところ。
ウルヴァリンカエルに至っては X-MENの二番煎じもいいところです。他の動物はいなかったのでしょうかね(笑)。
能力のお披露目パーティでは『アナ雪』エルサの能力だといっていたら凍死してしまったりと、
総じると、本作におけるアクションのピークが、先述した最初のニュートとの戦いを超えることがなかったのは残念でした。
最終的に、アートの能力がテッポウエビ由来のプラズマ派であることが分かり、それがめっちゃ強いとのことでしたが、やはりそこまでのインパクトは感じません。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] それよりもテッポウエビについて調べてしまっている自分がいました(笑)。 [/chat]
副作用が不明瞭
また、“パワー”が動物由来のランダム能力ということですが、ランダム感があんまり感じられないんですよね。
実際、ランダムと言うよりも、その人に適した動物由来の力が発揮されるということで、それにしても副作用的なものが描かれなさすぎます。
あれだけコンパクトな錠剤タイプでありながら、繰り返し服用しても特に異変はないし、爆発して死ぬ人もほとんどいません。
そんなものがあれだけ大量生産されてしまったら、そりゃみんな使うわなという訳です。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] ドラッグを根底のテーマにしているのは明確なのですが、それにも関わらずそのドラッグをやることへの危惧的な描写がなさすぎるのはいかかがものか。 [/chat]
最終的にはニューオリンズの街全体で実験をしていたことが明らかになり、アートの能力でなんとか状況を打破したものの、着地点が不明瞭なまま終わってしまい、消化不良なのはいなめませんでした。
さらには、ロビンのラップの才能に着目し、能力に頼らず自らの才能に目を向けろ的な演出が補足程度に描かれるラストも中途半端に感じましたね。
『プロジェクト・パワー』はNetflixの勢いが分かる映画
5分間だけ特殊能力を得られる薬をめぐるストーリーの『プロジェクト・パワー』でしたが、既視感と何が伝えたいのかが不明瞭な部分は否めませんでした。
しかしながら、Netflix映画の規模感・ノッている感は伝わりますので、特殊能力系の映画が好きな方はチェックして見てください。