今回ご紹介する映画は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』です。
ジェームズ・ガン監督が描く、MCUでも屈指の人気を誇る『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ第3弾。
本記事では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』をネタバレありであらすじ解説・感想・考察します。

GotGシリーズを締めくくるにふさわしい最高にアガる映画になっていました!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズを予習&振り返ろう!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』を観る前の予習、観た後に復習したい人は以下の作品がおすすめ。
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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』の作品情報と評価
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』スタッフ・キャスト
スター・ロード/ピーター・クイル)役:クリス・プラット

名前 | クリス・プラット |
生年月日 | 1979年6月21日 |
出身 | アメリカ/ミネソタ州 |
ロケット役:ブラッドリー・クーパー(声)

名前 | ブラッドリー・クーパー |
生年月日 | 1975年1月5日 |
出身 | アメリカ/ペンシルベニア州 |
グルート役:ヴィン・ディーゼル(声)

名前 | ヴィン・ディーゼル |
生年月日 | 1967年7月18日 |
出身 | アメリカ/ニューヨーク |
マンティス役:ポム・クレメンティエフ

名前 | ポム・クレメンティエフ |
生年月日 | 1986年5月3日 |
出身 | カナダ/ケベック州 |
ドラックス役:デイヴ・バウティスタ

名前 | デイヴ・バウティスタ |
生年月日 | 1969年1月18日 |
出身 | アメリカ/バージニア州 |
ネビュラ役:カレン・ギラン

名前 | カレン・ギラン |
生年月日 | 1987年11月28日 |
出身 | スコットランド/インヴァネス |
ガモーラ役:ゾーイ・サルダナ

名前 | ゾーイ・サルダナ |
生年月日 | 1978年6月19日 |
出身 | アメリカ/ニュージャージー州 |
クラグリン役:ショーン・ガン

名前 | ショーン・ガン |
生年月日 | 1974年5月22日 |
出身 | アメリカ/ミズーリ州 |
コスモ役:マリア・バカローヴァ(声)

名前 | マリア・バカローヴァ |
生年月日 | 1996年6月4日 |
出身 | ブルガリア/ブルガス |
アダム・ウォーロック役:ウィル・ポールター

名前 | ウィル・ポールター |
生年月日 | 1993年1月28日 |
出身 | イギリス/ロンドン |
ハイ・エボリューショナリー役:チュクーディ・イウジ

名前 | チュクーディ・イウジ |
生年月日 | 1975年10月15日 |
出身 | ナイジェリア/ |
アイーシャ役:エリザベス・デビッキ

名前 | エリザベス・デビッキ |
生年月日 | 1990年8月24日 |
出身 | オーストラリア/メルボルン |
スタカー・オゴルド役:シルヴェスター・スタローン

名前 | シルヴェスター・スタローン |
生年月日 | 1946年7月6日 |
出身 | アメリカ/ニューヨーク |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』のあらすじ
物語は、ロケット(ブラッドリー・クーパー)が過去をフラッシュバックするシーンから始まる。
ロケットの過去を巡るシリーズ完結編となる本作は、レディオヘッドを代表する名曲『Creep』で始まります。「Creep」には“変わり者”という意味があり、ロケットがアライグマ(ラクーン=Racoon)と呼ばれることを嫌がっていたの本当の意味が分かる本作の内容とリンクしています。
アダム・ウォーロックの急襲

ガーディアンズはコレクターから買取った惑星ノーウェアで、サノスの破壊から再建しつつ生活していた。そんな中、ピーター・クイル(クリス・プラット)は、ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)を失った悲しみから立ち直れず、頻繁に酒に溺れていた。
ある時、宇宙から全身金色の男が超高速でロケットに襲いかかる。それはソヴリン人のアイーシャ(エリザベス・デビッキ)が生み出した超人アダム・ウォーロック(ウィル・ポールター)だった。
突然の襲撃に驚きつつ、グルート(ヴィン・ディーゼル)やネビュラ(カレン・ギラン)、マンティス(ポム・クレメンティエフ)やドラックス(デイブ・バウティスタ)らが応戦し、激しい戦闘を繰り広げる。
ウィル・ポールター演じるアダム・ウォーロックがMCUデビューを果たした今作。スーパーマンのように飛ぶ姿と強靭な体が印象的でしたが、ジェームズ・ガンが次に監督するのが『Superman: Legacy(原題)』という繋がりもあります。
ヨンドゥの死後、口笛で操作するヤカの矢を受け継いだクラグリン(ショーン・ガン)は、まだそれを使いこなせていない様子。
我に返ったクイルも参戦し、ネビュラがウォーロックに一撃を食らわせ、一時徹底させることに成功する。
しかし、ロケットは重症を負い、マンティスが医療パックを使用しようとするも拒絶されてしまう。ロケットの体内には“キルスイッチ”という治療を拒否し、体内の情報を調べようとすると破壊される仕組みが施されていた。
このままではロケットは48時間ほどで死んでしまう。ロケットを救うためには、キルスイッチのセキュリティを解除するパスキーが必要だった。
パスキーはキルスイッチの技術を開発した宇宙随一の遺伝子技術を誇る企業オルゴ・コープ社にあり、ガーディアンズはノーウェアにクラグリンとコスモを守らせ、惑星オルゴスコープへ宇宙船(ボウイ号)の進路を向ける。
オルゴスコープ

オルゴスコープに近づくと、スタカー・オゴルド(シルヴェスター・スタローン)率いる宇宙海賊ラヴェジャーズが現れる。そこには、過去の世界からやってきた、もうひとりのガモーラ(ゾーイ・サルダナ)の姿もあった。義妹のネビュラが金を使って裏で取引していたのだ。
クイルはガモーラが気になって仕方ないが、クイルが恋したガモーラではない彼女はクイルを冷たくあしらう。
ガモーラも加わったガーディアンズはグルートをボウイ号に待機させ、生物惑星であるオルゴスコープへ侵入し、内部のオルゴ・コープ社内へ入り込む。
オルゴ・コープ社のデータバンクからロケットの情報を引き出すと、侵入がバレてしまい、ガーディアンズは命を狙われる。仕方なく応戦することになり、激しい戦闘を繰り広げてピンチになるが、クイルが言葉巧みに人質を騙して敵を戦闘不能にし、グルートがボウイ号を操縦してやってくると、ガーディアンズは乗り込んでオルゴスコープを後にする。
オルゴスコープに潜入するときには、スーパー戦隊のような5色のカラフルなスーツに身をまとっていました。これはスタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』の宇宙服を彷彿とさせます。監督はTwitterで、「Among Us」(人狼ゲーム)のオマージュかと聞かれ、以下のツイートをしています。他にも被検体を円形のランニングマシンでテストするシーンなどもありましたね。
オルゴ・コープ社内では、警備員のリーダー役をネイサン・フィリオンが演じています。彼は第1弾で青い皮膚の囚人役を演じていてグルートに鼻から手を突っ込まれてつるし上げられていました。第2弾でもカメオ出演していたようですが、出演シーンはカットされてしまい、本作でちゃんと姿が分かる役で再演しています。また、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では腕を切り離しすことができるT.D.K.役を演じていたり、TVアニメシリーズのグリーン・ランタン役の声優も務めています。
ガモーラが脅しのために「あのニンジンを殺そう」と言っていたのは、キャプテン・マーベルの原作に登場するラヴェジャーズのルートというキャラクター。グルートのように「I am Root.」と言っていました。ウサギのような見た目になっていたのはDCのキャプテン・キャロットに由来?
ロケットの過去

オルゴ・コープ社の科学者ハイ・エボリューショナリー(チュクーディ・イウジ)は、実験体であるアライグマの中から一匹を選び取り、生物実験を行う。彼は完璧な種族を生み出し、ユートピアを作ることに取り憑かれていた。
被験者番号「89P13」と呼ばれる幼きロケットは、同じ動物実験の被験者である機械の手を持つカワウソのライラ、車椅子と体を接合されたセイウチのティーフ、クモ型の機械足と口枷を持つウサギのフロアとケージの中での生活を共にし、次第に仲良くなっていく。(この時の生活の中で、「89P13」と呼ばれていた彼らは自ら名前を命名する。)
ライラの声を担当したのはリンダ・カーデリーニ。彼女はMCUではホークアイことクリント・バートンの妻、ローラ・バートンを演じています。
ある時、生物実験によって凶暴な被検体が生まれてしまうことに頭を悩ませていたハイ・エボリューショナリーは、ロケットの思わぬ提案によって、安定させることに成功する。
ロケットたちは、実験の成功によってハイ・エボリューショナリーの作る完璧な世界カウンター・アースの完成が近づき、外の世界での生活が間もないと高揚感を募らせていた。
ハイ・エボリューショナリーは、自分が生み出したロケットが自分以上に賢い頭脳を持っていることに関心を示し、ロケットの脳を取り出してその「想像力」について調べようとする。それを聞いたロケットは、自分たちが殺されることを察し、ライラたちに伝えて檻から脱出しようとする。
ロケットはセキュリティを解除して檻から出たものの、感づいたハイ・エボリューショナリーによってライラは銃殺され、ティーフとフロアも殺されてしまう。激怒したロケットはハイ・エボリューショナリーの顔を引き裂き、1人逃げ出していく。
ハイ・エボリューショナリーとソヴリン人

ハイ・エボリューショナリーは、ウォーロックがガーディアンズからロケットの回収に失敗したことをアイーシャから報告を受ける。重力を操るハイテクスーツを身にまとい、アイーシャとウォーロックにロケットを捕まえることを再度命じ、自らも動き始めていた。
ハイ・エボリューショナリーはソブリン人を生み出したと説明されていました。そしてソヴリン人のアイーシャはアダム・ウォーロックを生み出すという関係性。この時、ハイ・エボリューショナリーはゼロニアンとアニメンという種族も作り出したと言っています。
その後、アイーシャとウォーロックはオルゴ・コープ社に来ていた。ガーディアンズたちの居場所を突き止めるためにラヴェジャーズの一人を拷問しようとするが、ウォーロックは勢い余って殺してしまう。しかし、遺体からガモーラとの通信器を見つけ、彼女から連絡が来るのだった。

ウォーロックが殺したラヴェジャーズが買っていたペットは毛むくじゃらのフサキ(小型爬虫類の肉食動物)のブラープという名前。ウォーロックが引き取っていましたね。
ガーディアンズはロケットの情報手に入れると、ロケットがハイ・エボリューショナリーから過去に受けた仕打ちの酷さを知る。ネビュラは自分がサノスから受けた仕打ち以上だと語っていた。
そんな中、肝心のロケットのキルスイッチを外すパスキーが足りないことが明らかになり、それがハイ・エボリューショナリーの側近が持ち出していることに気づく。そこでガーディアンズはハイ・エボリューショナリーが向かったカウンター・アースへ向かうことにする。
しかし、ガモーラは自ら敵陣に乗り込む危険を感じて拒否し、密かにラヴェジャーズと連絡を取り、自分を迎えに来てもらうように宇宙船の位置情報を送る。しかし、通信相手はアイーシャがなりすましていて、2人もガーディアンズを追ってカウンター・アースへ向かうことになる。
完璧な種族

カウンター・アースに到着したガーディアンズ。クイルは地球とそっくりな惑星に驚きを隠せない。その惑星に住んでいるのはハイ・エボリューショナリーが作った半人半獣の種族だった。
ガーディアンズは侵略者と思われて攻撃されるも、クイルが怪我をしたコウモリの顔を持つ女性を気遣い、その女性の家に招かれる。そこでパスキー所持者がいる場所がピラミッド型の施設だと分かり、クイルとネビュラ、グルートの3人で向かうことになる。
施設に着くと、体が武器であるネビュラは立ち入りを禁じられ、クイルとグルートが中に入り、ハイ・エボリューショナリーらと接触する。
ハイ・エボリューショナリーは以前に、地球に訪れた時に、音楽や文化の素晴らしさに触発されてカウンター・アースを作ったと語る。彼は征服のためではなく、完璧な世界を作ることが目的だと言う。
一方、ドラックスはマンティスと一緒にピラミッドへ向かい、ネビュラと合流する。
その頃、一人でボウイ号に待機していたガモーラの元にウォーロックが現れる。さらに、ハイ・エボリューショナリーが派遣した豚の戦士ウォー・ピッグが現れ、ロケットが狙われるが、ガモーラはロケットを守って戦い、2人を退ける。
ハイ・エボリューショナリーの手下であるウォー・ピッグを演じたのは、ジュディ・グリア。MCUでは『アントマン』シリーズでスコットの元妻でキャシー・ラングの母マギー役を演じています。シリーズ3作目の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』には登場せず、別の形でMCU再演となりました。
ピラミッド型の施設はハイ・エボリューショナリーの宇宙船だった。彼はカウンター・アースが完璧ではないと見捨てて爆撃を開始し、宇宙船は浮遊していく。アイーシャは爆破に巻き込まれてしまい、その瞬間をウォーロックは目の当たりにする。
グルートは体の中に隠していた爆弾を爆発させ、武器を取り出してクイルと共に反撃。そして、パスキー所持者を見つけたクイルは、彼もろとも空高くまで来ていたピラミッドから飛び降りる。グルートが木の翼となり滑空して着陸すると、側近の頭に埋め込まれたパスキーを回収すると、そこへガモーラが操作するボウイ号が到着する。
まだその時ではない

クイルは早速パスキーを入力し、ロケットの救命措置に取り掛かるが、ロケットは心肺停止状態になってしまう。それでも諦めないクイルは涙ながらに必死で心臓マッサージをして呼びかける。
その頃、死の淵を彷徨っていたロケットは、死んでしまったライラと出会う。後ろにはティーフとフロアの姿もあった。ロケットは3人を救えなかったことを涙ながらに謝り、自分もそちら側へ行ってもいいか尋ねる。
ライラはロケットを優しく受け入れるが、「まだその時じゃない」と言い、来ようとするロケットを止めるのだった。
「創る手もあれば導く手もある」
There are the hands that need us and the hands that guide us.
この言葉と共に、ライラは「これはあなたの物語」とロケットに伝え、死の淵にいたロケットは心肺停止から蘇生し、クイルとグルートは強く抱きしめる。
一方、ネビュラとマンティス、ドラックスはクイルを助けようとしてピラミッド船に乗り込んでいた。ピラミッドはすでに大気圏近くまで来ていて、何とか内部に侵入できたものの、そこには捕らえられた多数の子どもたちの姿があった。
ピラミッドにいるネビュラから連絡が入り、クイルは行き違いになったことを知る。一方、ネビュラたちは通信越しにロケットが助かったことを知る。クイルはハイ・エボリューショナリーと闘うため、クラグリンに連絡して協力を要請し、クイルやロケットたちもピラミッドへ向かう。
クイルが協力要請した時、ノーウェアではクラグリンたちはポーカーしている様子で、この時ハワード・ザ・ダックの姿が確認できます。これで3作続けての出演となりました。同じテーブルにはVol.1でクイルからオーブを買い取ろうとしてロナンが狙っていることを知り、追い出していたブローカー(クリストファー・フェアバンク)の姿もありました。さらには、『ホリデースペシャル』のエイリアンバンドのボーカル、ビゼミキトコロクもいました。
ロケット・ラクーン

捕虜の子どもたちはマンティスでも翻訳できない言葉を使っていたが、言葉を理解できるドラックスが作戦を共有し、子どもたちを誘導する。3人は怪獣アビリスク3体と対峙するが、マンティスは戦わずに手懐けることに成功する。
クラグリンは惑星ノーウェアごと駆けつけ、ピラミッド船の一部を砲撃して穴を空け、コスモがテレキネシスでサポートして強引にノーウェアとドッキングさせて子どもたちを避難させる。ウォーロックはグルートに助けられ、その理由を尋ねるとグルートは「誰にでもセカンドチャンスがある(I am Groot, Groot.)」と言う。
一方で、ロケットに執着するハイ・エボリューショナリーは部下たちから反乱を起こされるも、皆殺しにして宇宙船の制御を破壊。ノーウェア内部にも敵が入ってくるが、ヨンドゥの幻影に自分を信じるように励まされたクラグリンはヤカの矢を使いこなし、コスモもテレキネシスで応戦して撃退する。
ハイ・エボリューショナリーの軍隊とガーディアンズが戦う胸アツシーンで流れるのは、ビースティ・ボーイズの「No Sleep ‘Till Brooklyn」。MCUでは『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』でフラッシュが大学合格を告げるシーンでアカペラで歌っています。
ロケットは監禁されている動物たちも救う必要があると訴え、動物たちもノーウェアへ避難させる。そんな中、ハイ・エボリューショナリーがロケットの前に現れる。
ハイ・エボリューショナリーはロケットを未だに「89P13」と呼ぶが、それに対してロケットは「俺はロケット・ラクーンだ」と宣言。ガーディアンズの協力も加わり、ハイ・エボリューショナリーを倒すと、彼の顔面が過去にロケットが顔面を引き裂いていたことで、仮面のように皮膚を貼り付けただけの無惨な姿であることが分かる。ロケットはトドメを刺さず、爆発するピラミッド船に置いていく。
映画の冒頭でロケットが天井を逆さまに歩き、重力装置を試していたシーン。ハイ・エボリューショナリーを知っているだけあって彼と戦うときの対策ができていたことが想像できます。トドメを刺さないことは、完璧主義者であるハイ・エボリューショナリーにとって醜い姿のまま死ぬという罰のようでもあります。同時に命を軽く観る彼とロケットが明確に違うことを示す意味にも感じられます。
爆発するピラミッド船から脱出するガーディアンズたちだったが、クイルは音楽プレーヤーのZune(ズーン)を落としてしまい、拾っている間に遅れてしまう。クイルは宇宙空間に漂い、たちまち顔が膨張して凍ってしまうが、やってきたウォーロックに助けられるのだった。
GotGシリーズで繰り返し描かれる宇宙空間でのピンチシーン。第1作ではガモーラをクイルが助け、第2作ではヨンドゥがクイルの身代わりになり、そして今作ではウォーロックが助けます。ウォーロックはセカンドチャンスを活かしました。
それぞれの道へ
ガーディアンズは誰一人失うことなくミッションをやり遂げることができた。そしてクイルはガモーラが自分の愛したガモーラではないことを改めて理解する。
ガモーラが一人でボウイ号にいる時に発見した家族写真を手渡されたクイルは、自分の家族と向き合うことを決意する。クイルは地球に帰ることをガーディアンズに伝え、次なるキャプテンとしてロケットに託す。同時にマンティスも自分の力で生きていくことを誓い、アビリスクを引き連れてガーディアンズを去ることに決める。
一方、ネビュラとドラッグスはノーウェアを守るために残ることになる。クイルはガモーラに別れを告げる。
その後、ガモーラはラヴェジャーズのスタカーたちの元へ帰り、仲間たちに帰還を歓迎される。
ロケットはクイルからZuneを譲り受け、プレイリストをスクロールして「2000年代」の曲を選択すると、フローレンス・アンド・ザ・マシーン「Dog Days Are Over」がノーウェアに響き渡り、その曲に乗せて皆がダンスを踊る。
ヨンドゥがクイルのために買って渡したZuneはクイルにとって命にも代えがたい大切なもの。同時に音楽を大切にし、そしてそれが受け継がれて広がっていく。このシリーズの魅力を物語るところでもあります。
「失意の日々はもう終わり、幸せになるチャンスがやってきた」という「Dog Days Are Over」の歌詞が、それぞれの道へ希望に溢れた前進を後押しします。
最後にノーウェアの全員が音楽に乗せてダンスしながら終わる大団円は、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』のラストシーンを彷彿とさせるシーン。イウォークたちが自由と勝利を叫ぶ「Yub nub(ヤブナブ)!」だったのに対して、スターキッドたちの言葉は「Jub Jub(ジュブジュブ)!」であるのも印象的。
ポストクレジットシーン(1)
1つ目のポストクレジットシーンでは、新しいガーディアンズの姿が描かれる。
お気に入りのアーティストについて話し合うガーディアンズたち。
ファイラはブリトニー・スピアーズとコーンと言い、クラグリンはガース・ブルックス、コスモはカーペンターズ、ウォーロックはキング・クリムゾンを挙げる。そんな中、ロケットは「やっぱりこの曲だよな」と、レッドボーンの「Come and Get Your Love」を流す。
第1作で、クイルがオーブ回収時にウォークマンで初めて掛けた曲であり、タイトルシーンでもあるこの曲。GotGシリーズの始まりと終わりはやっぱりこの曲!
新たな仲間として登場するファイラは、原作コミックでは初代キャプテン・マーベルの娘ファイラ=ヴェルとしてレズビアンのキャラクターで登場し、ドラックスの娘ムーンドラゴンとパートナーになります。映画では2007年生まれのカイ・ゼンが演じています。今後に期待!
ポストクレジットシーン(2)
2つ目のポストクレジットシーンは、クイルが地球に帰ったシーンが描かれる。クイルは祖父の家を訪ねて2人は再会してハグをする。隣人の芝刈り機へのグチをこぼしながらシリアルの朝食を取り、至って普通の穏やかな生活を送っている様子が描かれ、シリアルを食べる咀嚼音が映画館に響く。
そして最後に「伝説のスター・ロードは帰ってくる」という文字が映し出されて映画は幕を閉じる。
祖父が読んでいる新聞の見出しには「ケヴィン・ベーコン:誘拐の真相」とあり、『ホリデースペシャル』のマンティスとドラックスによる一件のネタが。シリーズ通した宇宙でのあまりにも壮大な冒険の後に、ごく普通のありふれた生活を噛みしめる様子が描かれました。
【ネタバレ感想・考察】ガーディアンズらしさのある最高な完結編
MCUの中でも屈指の人気を誇る『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ、その完結編となる3作目は、ロケットの過去を巡るダークな物語であり、ひょんなきっかけで結成されたはみ出し者たちの冒険が一区切りを終える物語。
公開前に心配していた予告編でクイルがネビュラに抱えられてみんなで歩いているシーンは、酒に溺れて倒れていただけでしたね。後に宇宙空間で放り出されるシーンでも死ぬことなく無事に帰還し、一方、ロケットも心肺停止の危機に瀕しましたが生還しました。ドラックスも銃が直撃して死にそうなシーンがありましたが、次のシーンではピンピンしていました。グルートの「We are Groot.」も同様。
今となっては、それらは予告であれこれ想像させるためのミスリードとも言える描写でした。

結果的に誰も失うことのない大団円、まさに最高の完結編でした!
エンドロールはシリーズを振り返るエモーショナルタイム。最後にガーディアンズらの集合写真もスクリーン目いっぱいに映し出されるという眼福。(もうちょっと長く映してほしかったけど!)
Vol.3の物語は、ロケットの過去を通して「ありのままを受け入れる」物語でした。
ロケットがあまりにも悲劇的な過去の物語を通して、ラクーン(アライグマ)であることを受け入れて「ロケット・ラクーン」と宣言するシーンに始まり、多くのキャラクターが、自分が他人からどう思われていようと、自分の本質を受け入れる様子を描いています。
MCU史上最悪のヴィランとテーマ

本作のヴィランであるハイ・エボリューショナリーは、MCUシリーズでも最も怖い悪役に感じました。正直、めちゃくちゃ怖かった。言葉を選ばずに言えば、感情移入の余地が1ミリもないクソ野郎です。
テーマである「ありのままを受け入れる」に真っ向から反対の彼の信念は「ありのままではなく、あるべき姿(Be not as you are, but as you should be.)」。
ロケットの過去のフラッシュバックで描かれる、“完璧な種族”を求めて動物実験を繰り返す描写はあまりにも辛い。誰も失わないガーディアンズとは対象的に、ハイ・エボリューショナリーによる被害者は途方もありません。カウンター・アースに地球規模の新たな生命を創り出し、それをいとも簡単に殺してしまう。極悪極まりない…。
すぐ恫喝して人を恐怖で支配するあの感じ、現実世界でも見かけます。沸点が異常に低くて、突然怒鳴りだして、さも正しいことを行っているかのような人っていますよね。結構トラウマでした。
遺伝子学の天才でもあるハイ・エボリューショナリーのことを神と表現する人もいると紹介されていましたが、彼がやっていいることはまさに神の所業に近いんですよね。サノスが自分の正義で宇宙の生命を半分にしたのに対し、ハイ・エボリューショナリーがやっているのは命の選別。生命に優劣をつけて品種改良する優生思想そのもの。
これはナチスのT4作戦や、日本でも旧優生保護法など、現実世界でも例外ではありませんね。
選別されなかった者は、結果として失敗作の烙印を押されてしまうのです。ロケットは自分の経験から、ピラミッドから子どもたちだけではなく、動物たちも誰も取りこぼさず助け出したのです。
その過程でとても印象的だったのは、マンティスが“見た目の変わった”生き物にギョッとするシーンを描いていたこと。そこには誰もが無意識に存在するバイアス(アンコンシャス・バイアス)が持っていることを示しました。
シリーズ通して監督・脚本を手掛けたジェームズ・ガンは、SNSで過去に人種差別的表現をしたことで監督を一度降板させられ、その後、復活しています。(DEADLINEより)さらに、主演のクリス・プラットも過去に自身の家族に関するSNSの発信で炎上しています。(Men's Healthより)
ロケットの過去を描くとてもダークな物語の根底にあるテーマについて、監督と主演キャストがそのテーマに関することで炎上している構図で、映画で語らせた「セカンドチャンス」を本人自らが体現しているのです。
ジェームズ・ガンは降板させられている間にDC畑で『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』『ピースメーカー』を監督し、DCスタジオの新リーダーに就任しましたが、DC率いるワーナーも、エズラ・ミラーが度重なる問題を起こしたり、『バットガール』のお蔵入りなど、何かと話題に尽きません。
そんな中で、マーベルとDCのどちらに置いてもヒット作を生み出したジェームズ・ガン。アメコミ2大巨頭の実写化を支えた彼のキャリアが、低予算のインディペンデント映画『スーパー!』だったというのも今となっては感慨深いものです。
グルートの成長と言葉
これまでのグルートと言えば、コメディの役割が大きく、ピンチの場面で活躍するキャラクターの印象が強かったのですが、本作では明らかに違う印象に映っています。中でもクイルとお互いの背中を預けて戦う様子は、まさにバディといえる状況。
冒頭で首を斬られたウォーロックを救い出し、「セカンドチャンス」を与えたり、可愛いだけのグルートではなく、シリーズを通しての成長した姿が本作に凝縮されていたように思います。
そしてその成長の姿を追ってきた私たち観客も、それを体験することができました。私たちは「I am Groot.」「We are Groot.」以外の言葉を聞いた、いや、理解できたのです。
みんな愛してる
I love you guys.
これまで、グルートが話している言葉の意味は、受け手の言葉によって観客に伝えられてきました。つまり、受け手がいないとグルートが何を話しているのかが正確にはわからないので、状況や表情から想像するほかありませんでした。
『ガーディアンズ』シリーズを見守ってきた私たち観客はついに、誰かに教えてもらうことなくグルートの言葉を理解できるようになったのです。
だって、他のガーディアンズメンバーは誰ひとりとして驚いた表情をしていないのですから。つまり、グルートは「I am Groot.」と言っていたけれど、その言葉の本当の意味を私たちも理解できたのです。
それは、今作でガモーラが経験したものとまさに同じこと。

ジェームズ・ガン監督、なんて粋なことしてくれるんだ…!
クイルとガモーラ
クイルは『ホリデースペシャル』でも描かれていたように、ガモーラの喪失をずっと引きずっていました。自分が愛したガモーラではないことを分かっていながらも、彼女の姿を目の前にすると、自分を愛してくれるのではないかと考えてしまうのです。
一方、ガモーラはクイルを「クイン」と呼び間違えるレベルで関心がありませんでした。しかし、そんな彼女もガーディアンズとの冒険を通して、違う世界の自分がクイルに恋した理由を知っていくのです。
私たちはきっと楽しかった
I bet we were fun.
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
クイルは最後に、自分が愛したガモーラはもういないことを理解します。
そんなクイルは、Vol.2で父親エゴとの戦いで、「私を殺せば普通の男になってしまうぞ」と言われ、「普通の何が悪い」と言い返していました。そして、実の父ではなく育ての父であるヨンドゥを失った時、以下の言葉を捧げています。
長い間必死に探し回っているものって、すぐそばにあるのに気づかないだけなんだ
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』
クイルは地球に帰還し、自分の家族と向き合うことを決めました。一方、過去からやってきたガモーラも、スタカー・オゴルドらラヴェジャーズとハグしている様子も描いてくれて良かった。

ある意味さっぱりした終わり方がGotGらしくて好き!
居場所を見つけたマンティス
マンティスはVol.2でエゴと共に登場しました。彼女は触れることで相手の感情が分かる「共感力」を持っていて、主のエゴを眠らせるという役割を演じてきました。
『ホリデースペシャル』では、喪失感に苦しむクイルを元気づけたいと、ドラックスと共にクリスマスプレゼント(ケヴィン・ベーコン)を計画しました。
そしてマンティスがクイルの妹である(年齢的には姉だと思う)ことを明かしました。彼女はそれを言うとで拒絶されてしまうのではと恐れていましたが、クイルは心から喜んで受け入れてくれました。
ドラックスが「心が美しい」と表現するように、彼女は誰よりも共感力があり、人の気持ちを理解できるキャラクターです。Vol.3でも、ノーウェアをドッキングのサポートをするコスモが限界になっているときに、そっと触れて励ましたり、アビリスクと戦うことを避けて協力してもらったり、マンティスが仲間になって良かったと心から思えるシーンに溢れています。
そんなマンティスが、誰からの指示を受けることなく自分を見つけるために新たな旅に出ていく様子は、心から応援したいと思えると共に、彼女の冒険も見守っていきたいと思えるのでした。

ぜひともマンティスの冒険の物語も映像化してほしいものです!
父としてのドラックス
ドラックスはシリーズ登場当初、ロナンの手によって妻と娘を殺され、その復讐心に燃えていました。
そんなドラックスもガーディアンズでの冒険を通して、仲間と絆を育んでいきます。ドラックスは最後、ネビュラに「あなたは生まれながらの破壊者ではなく、生まれながらの父親(You were born to be a dad.)」と言われます。
父親サノスから酷い仕打ちを受けたネビュラがそれを言うことに意味がある言葉。彼はネビュラと共にノーウェアを守っていく立派な父になっていくでしょう。

「ダンスするのはバカだけだ」と繰り返し言っていたドラックスが踊るシーンは胸アツでした!
自由を得たネビュラ
ネビュラはこれまでサノスの娘として盲目的に従わざるを得ませんでしたが、ガーディアンズに入ってからは彼女が自由を得ていく様子が伝わってきます。
本作は特にそれが感じられて、どこかよそ者だったネビュラもガーディアンズに馴染んでいきました。中でもロケットの生還に涙を流す姿は印象的。
悪しき父親の支配から解放され、自らの殻を破った彼女が今度はノーウェアを守り、育てる人になっていく。彼女自身の意思でそれを選択し、ドラックスを必要だと言ったシーンも感動的。
本作で描かれた彼女の判断力を観れば、ノーウェアを率いる立派な指導者になっていくことが想像できます。

ネビュラが自然にガーディアンズのギャグシーンに混ざっていたのも良かった!
クラグリンとコスモ
クラグリンはヨンドゥのヤカの矢を受け継ぐも、自信もなく使いこなせていませんでした。そんな彼はヨンドゥの幻影に背中を押されて使いこなせるようになりました。
コスモもクラグリンから「悪い犬(Bad Dog)」と言われることに腹を立てていましたが、ノーウェアを守る行動を通して「良い犬(Good Dog)」と認めてもらえていました。冒頭シーンでコスモはロケットと仲良くしたり、ノーウェア再建に従事していましたが、アライグマであり犬である2人は根底で理解し合える部分があるのでしょうね。

テーマの「ありのままを受け入れる」をちゃんと各キャラクータにも描いているのが見事!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』サントラ
以下では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』を彩った最高のプレイリストと使用されたタイミングをご紹介。

今回も最高のプレイリストでした…!
楽曲 | タイミング |
---|---|
クリープ(アコースティック・ヴァージョン)/レディオヘッド | 最初の曲。ノーウェアでのオープニングタイトルシーン。 |
クレイジー・オン・ユー/ハート | アダム・ウォーロックがノーウェアに急襲するシーン。 |
シンス・ユー・ビーン・ゴーン/レインボー | ロケットを救うため、惑星オルゴスコープへ向かうシーン。 |
イン・ザ・ミーンタイム/スペースホッグ | オルゴスコープのバリアを抜けて、オルゴ・コープ社へ潜入するシーン |
リーズンズ/アース・ウィンド&ファイアー | オルゴ・コープ社での戦闘シーンとグルートが宇宙船で駆けつけて逃げ出すシーン。 |
ドゥ・ユー・リアライズ??/ザ・フレーミング・リップス | ドラックスがマンティスのアドバイスでクイルに話しかける時に宇宙船内でクイルが聴いている曲。 |
ウィー・ケア・ア・ロット/フェイス・ノー・モア | ガーディアンズを乗せた宇宙船がカウンター・アースに着陸するシーン |
小犬のカーニバル~小犬のワルツより~/エハミック | カウンター・アースの市民の家に上がったシーンや借りた車に乗るシーン |
虹を追いつづけて/アリス・クーパー | ガモーラが一人で宇宙船内のロケットの様子を見るシーン |
サンフランシスコ/ザ・モーグリス | ガモーラが宇宙船を操縦してクイルとグルートの元へやってくるシーン |
プア・ガール/X | クラグリンがノーウェアでポーカーをしている中、クイルからの協力要請を受けるシーン |
ディス・イズ・ザ・デイ/ザ・ザ | ネビュラとマンティス、ドラックスの3人が大気圏近くまで浮上したピラミッド船の扉を開けようとしているシーン |
ノー・スリープ・ティル・ブルックリン/ビースティ・ボーイズ | ハイ・エボリューショナリーの軍隊とガーディアンズが戦うシーン |
ドッグ・デイズ・アー・オーヴァー/フローレンス・アンド・ザ・マシーン | ロケットがノーウェア中に流して聴かせ、聴いた人たちが踊りだすシーン |
バッドランド/ブルース・スプリングスティーン | 2つ目のポストクレジットシーン |
アイ・ウィル・デアー/ザ・リプレイスメンツ | 1つ目のポストクレジットシーン。 |
カム・アンド・ゲット・ユア・ラヴ/レッドボーン | GotGシリーズの始まりであり、終わりの曲。ロケットが最後に流す。 |
まとめ:ガーディアンズよ、永遠に
今回は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3』をご紹介しました。
シリーズ完結編となる本作は、ダークな内容とは裏腹に、多くのファンにとっても気持ちの良い終わり方となっていました。ますます風呂敷が広がっていくMCUの中で、このシリーズが愛されるファンが多い理由もよく分かります。

ぜひ、映画館でご覧ください!