映画『インビクタス/負けざる者たち』の作品情報とあらすじ
作品情報
原題 | Invictus |
監督 | クリント・イーストウッド |
脚本 | アンソニー・ペッカム |
出演 | モーガン・フリーマン マット・デイモン |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2009年 |
上映時間 | 134分 |
おすすめ度 | [jinstar4.0 color="#ffc32c" size="16px"] |
あらすじ
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1994年、南アフリカ共和国。
ネルソン・マンデラは初の黒人大統領に就任する。
アパルトヘイトによる人種差別や格差が残る自国をなんとかしようと模索するマンデラは、ラグビーチームの再建を図る。
翌年に自国で開催されるワールドカップに向けて、チームのキャプテン、ピナールと共に一致団結するのだが…。
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『インビクタス』の意味とは
インビクタス(invictus)とは、ラテン語で「征服されない」「屈服しない」という意味をもちます。
人種隔離政策で苦しんだ南アフリカ、そしてそれに対して決して負けないネルソン・マンデラの意志を反映したタイトルになっています。
また、劇中でマンデラが繰り返す言葉にも関係がありました。
「我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり」
これは、英国の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩『インビクタス』から引用した言葉です。
本作は巨匠クリント・イーストウッドが監督し、マンデラ役にモーガン・フリーマンを起用しています。
『許されざる者』や『ミリオンダラー・ベイビー』などでもタッグを組んだ二人ですね。
マンデラ本人が映画化するならモーガン・フリーマンに演じてもらいたいと答えたことで、本作の製作が始まりました。
その後、フリーマンがイーストウッドに働きかけ、本作が実現しました。
『インビクタス/負けざる者たち』は実話を元にした映画
© Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
ラグビーを通して様々な問題へ立ち向ったアツい映画
2019年、ラグビー・ワールドカップが日本で開催されました。
本作は、ラグビーW杯と南アフリカの歴史について実話をもとにした映画となっています。
ネルソン・マンデラと民族融和
1994年に南アフリカ共和国にて初の黒人大統領となったネルソン・マンデラ。
ノーベル平和賞を受賞した彼ですが、彼の人生は過酷なものでした。
1950年代から南アフリカにおいて、黒人蔑視の人種隔離政策、アパルトヘイトというものがありました。
マンデラはアフリカ民族会議(ANC)の指導者として、この政策と戦い続けました。
その後、南アフリカ連邦から南アフリカ共和国へと名称が変わります。
ますます強まっていアパルトヘイトに対して、マンデラたちも非暴力抵抗運動から武装闘争へと変わっていきます。
それが引き金となって、1962年にマンデラは逮捕され、27年もの間獄中生活を送ることになってしまったのです。
ちなみにマンデラが幽閉されたのはロベン島という場所。
こちらは「負の遺産」として世界遺産にも登録されています。
その後、国際社会においてもアパルトヘイトに対する非難が強まり、各国は企業の撤廃などの経済制裁を踏み切ります。黒人たちの蜂起も起き、非常事態宣言にまで至りました。
経済制裁も強まり、政府は政策の転換を迫られることとなり、ついにマンデラは釈放されます。
27年間の獄中生活から解放されたマンデラはANCに復帰し、その後の選挙においてANCが第1党となり、マンデラは大統領となったのです。
マンデラは世界中から愛され、尊敬される政治家でした。
大統領就任式において、マンデラは生まれ変わった南アフリカを「虹の国」にたとえました。
雨上がりの空に架かる7色の虹のように、白人も黒人もあらゆる人種も分け隔てなく、互いに認め合いながら国を創り上げていこうという意味が込められています。
南アフリカにおけるラグビー
当時の南アフリカにおいて、イギリス発祥のラグビーは白人あるいは富裕層が行うスポーツという印象が強いものでした。
経済制裁を受けていたこともあり、国際大会への出場もなくワールドカップ第1回、第2回大会も不参加だった南アフリカ。
政治的要因がスポーツにまで影響が及んでいました。
劇中にも登場するチェスターは、代表チームにおいて唯一非白人のメンバーで、白人と非白人の融和の象徴ともなりました。
映画『インビクタス/負けざる者たち』の名言
ラグビーを通して南アフリカの民族融和を実現したネルソン・マンデラ。
本作には数々の名言が登場しています。
インビクタスの名言
- 何事も成功するまでは不可能に感じるものだ
- 本当の和解はただ単に過去を忘れ去ることではない
- 貧困は自然に出来たものではなく、人間から発生したものだ。だから根絶もできる。
あの時代に置いて、大統領という立場でありながら、誰に対しても平等に接し、南アフリカをより良くしていこうという精神が全身から伝わってくる素晴らしい人格者であると再認識しました。
映画『インビクタス/負けざる者たち』のネタバレ感想
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映画『インビクタス 負けざる者たち』のラスト
南アフリカ代表「スプリングボクス」は翌年時刻にて開催されるワールドカップに向けて、練習を重ねていきます。
その間、貧困地区の黒人の子供達へラグビー指導したり、マンデラが収監されていた刑務所を訪問したり、地道な活動も続けるチーム。
やがてチームの人気はだんだんと付いてきて、国内だけではなく、世界からも注目される存在となっていきました。
そして迎えたラグビー・ワールドカップ。
スプリングブクスは予想を超えた快進撃をみせ、決勝戦へと駒を進めます。
決勝戦の相手は強豪ニュージーランド代表「オールブラックス」。伝統の「ハカ」で圧倒的な存在感を見せつけます。
一進一退の攻防を繰り広げた両チームの戦いは大会初の延長戦へともつれ込みます。
ボグスはドロップゴール一本分優位に立ち、決死でそれを守りきり何とか優勝することができました。
歓喜に湧くスタジアムで、キャプテンのピナールは全国民、そして国を一つにした大統領マンデラのおかけと言います。
マンデラも優勝カップを手にし、それは国が一つになった瞬間でもありました。
マンデラは官邸にもどる最中、人種関係なく歓喜に沸く人々を眺めながらインビクタスの詩を思いだし、その瞬間に浸るのでした。
マンデラの心を汲むようなイーストウッドの表現
今作は実話を元にした映画なのですが、そこに作為性は全く感じられないのです。
言ってしまえば事実通りの物語なのです。それなのになぜこれほど心を動かされるのか。
そこにはマンデラの「赦し」の心にあると思います。
長い間迫害を受け続けた黒人たち。
それに抵抗する象徴でもあったマンデラ自身、27年もの間を獄中生活で奪われました。
劇中、負の部分やマンデラの過去、南アフリカのこれまでについてほとんど触れることはありません。
描かれるのはこれからの南アフリカの姿。
こういう映画をみるとやはりイーストウッドのすごさを感じます。
ラグビー用語で「ノーサイド」という言葉がありますよね。
ラグビーの試合終了を意味する言葉で、ノーサイド=敵味方なしという意味もあります。
本作のラストでは、
南アフリカのW杯優勝で試合がノーサイドになると同時に、マンデラの目指した民族融和=ノーサイドの瞬間もそこに確かにありました。
『インビクタス』は名言が溢れる映画
ラグビーを通して南アフリカの再建を映した今作。
数々の名言が胸に刺さりました。
劇中の静かに進んでいく中に感じる確かな力強さが、ラグビーの何度倒されても前に進む姿とリンクします。
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