今回ご紹介する映画は『七夕の国』です。
本記事では、ネタバレありで『七夕の国』を観た感想・考察、あらすじを解説。
原作漫画の独特な空気感をドラマでは表現できるのか…!?注目ポイントです。
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『七夕の国』作品情報・配信・予告・評価
原作マンガ『七夕の国』は全4巻で完結
岩明均氏による原作マンガ『七夕の国』は、小学館の『ビッグコミックスピリッツ』にて1996年から1999年にかけて連載されました。単行本は全4巻で、2003年には上下2巻の「完全版」も刊行されています。
実写ドラマは原作マンガのどこまで描く?
ディズニープラスで独占配信されるドラマ『七夕の国』は、全10話で配信されます。以下では原作マンガでどこまで描かれるのかを表にまとめました。
エピソード | 長さ | 原作どこまで |
---|---|---|
第1話 「超能力者」 | 50分 | 第1巻(第1話〜第4話) |
第2話 「丸神の里」 | 62分 | 第1巻(第5話〜第7話) |
第3話 「手がとどく」 | 45分 | 第2巻(第8話〜第11話) |
第4話 「新技能啓発セミナー」 | 40分 | 第2巻(第12話)〜第3巻(第15話) |
第5話 「えぐり魔」 | 53分 | 第3巻(第16話〜第17話) |
第6話 「原則として秘密」 | 54分 | 第3巻(第18話〜第20話) |
第7話 「進軍」 | 36分 | 第3巻(第21話) |
第8話 「外からの力」 | 39分 | 第4巻(第22話〜第23) |
第9話 「カササギからの贈り物」 | 52分 | 第4巻(第24話〜第25話) |
第10話(最終話) 「」 | ─ | 配信後に記載 |
『七夕の国』相関図・キャスト・キャラクター解説
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ネタバレあり
以下では、ドラマ・漫画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
手がとどく者・窓の外・カササギ・丸神頼之の目的とは
手がとどく者/窓をひらいた者(窓の外)
丸神の里で古くから続いている家系には、しばしば素質を持った人間が生まれる。その素質は、「手がとどく者」と「窓をひらいた者」の2種類に分けられる。
「手がとどく者」とは、超能力者であり、「窓」と呼ばれる不思議な模様の黒い球体を作り出すことができる。この球体を対象物と衝突させると、球体と同じだけの容積が消失する。消失時には強い光と破裂音を発する。能力を使えば使うほど、額に宝石が生まれたり、耳が尖ったりなど、人間離れしていく。
「窓をひらいた者」とは、丸神の里の多くの人間が共通して見る悪夢で、「窓の外」とも言う。幸子は窓の外を死後の世界や宇宙空間に例えて「どこからも引き離された場所のよう」と表現している。窓をひらいた者たちは、たまらない恐怖と孤独を植え付けられ、夢の中でたまに現れる手を差し伸べる存在を待たずにはいられなくなっている。
丸神山の神官になる資格があるのは、「手がとどく者」と「窓をひらいた者」の両方の素質を持つ人間であり、両方の素質を持っているのは、丸神頼之、丸神正美、東丸隆三の三人である。
カササギ
カササギは、北半球の広い範囲に分布しているスズメ目カラス科の鳥で、日本では九州の佐賀平野を中心に生息している。江見たちが研究していた「カササギの旗」に描かれていたのは、カササギではなく「カササギに似た掌紋」だった。
カササギの旗は、丸神山に差し込む夕日によって地表が照らされて浮かび上がる大地の彫刻が由来であり、丸神教授はそれを人間ではない何者かが作ったと考え、その存在を「カササギ」と呼称する。
丸神教授は、カササギが1千年前の夏至の頃、定期的に丸神の里に現れていたと推測する。カササギの目的は、入植の候補地あるいは実験地としての理由が考えられる。
カササギが大地に作り出した「カササギの旗」の地形は、丸神の里への忠誠心の確認と考えられる。地形を保全し、来たるべくカササギらの到着に備えさせるため、彼らは人間たちに「手がとどく力」の能力を与え、「窓の外」で恐怖と孤独を植え付けた。
当時、カササギという未知の存在と遭遇した丸神の里の人々は、人間離れしたカササギの存在に恐れおののき、以降、カササギの到来を丸神山で松明を掲げて誘導灯のように案内するようになる。カササギはある時から現れなくなるが、丸神の里の人々は代々、神事や祭りによって到来を待ちわびていた。これが丸神の里の七夕祭りの由来となる。
丸神頼之の目的
丸神頼之は「手がとどく者」と「窓をひらいた者」の両方の素質を持った人間であり、彼の人間離れした容姿からもわかるように、長年、能力を使い続けていることが確認できる。
頼之も代々の丸神の里の人々同様に、「窓の外」の悪夢に悩まされていた。彼は同じように多くの里の人々が抱える鬱憤を、利己的に能力を使って晴らしていた。いつまでたっても現れないカササギたちにしびれを切らした頼之は、丸神山を消滅させることで、丸神の里の歴史を断ち切ろうと考える。
しかし、頼之は最後に計画を変更する。頼之は、「手のとどく者」が作り出すことができるのは「窓」ではなく、「玄関」だったと考え、待つのではなく、自分から会いに行くことを決意する。
頼之は丸神山をえぐるほどの巨大な「窓」を作り出し、自分もろとも消失させる。彼が「カササギ」と会うことができたのかは、人間の知る由もない。
第1話:超能力者
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丸神の里
永禄7年(1564年)、島寺領の丸神の里。
島寺領の藩主、島寺通泰(しまでら みちやす)は、敵対する最上軍との戦に備え、丸神山を切り崩して城を築こうとしていた。しかし、丸神の里出身の家臣、南丸忠頼(みなみまる ただより)は、この計画に反対したため通泰に殺されてしまう。
通泰の使者は、忠頼の首を持って丸神の里を訪れ、丸神山を明け渡すことと、神官である丸神正頼(まるかみ まさより)にまとめ役を依頼する。しかし、正頼は使者を殺して要求を拒否し、これにより島寺通泰は三千人の軍勢を率いて丸神の里に進軍する。
通泰は丸神の里の戦に臨む者がわずかしかいないことを知り、勝利を確信するが、丸神正頼らが両手を広げると、まばゆい光とともに何らかの力が働き、気がつくと島寺軍は壊滅していた。
平凡な超能力者・ナン丸
現代では、常都大学の4年生で、サークル「新技能開拓研究会」の会長である南丸洋二は、部員たちの前でケント紙に小さな穴を開ける超能力を披露していた。しかし、南丸は就活が難航し、超能力を持っているにも関わらず何の役にも立たないことに悩んでいる。
南丸は丸神正美教授から連絡があったことを知らされ、教授室を訪ねる。南丸は丸神教授が歴史・民俗学者であることを知るが、彼は不在だった。
丸神教授の教え子であり講師の江見は、南丸の珍しい名字から、南丸が丸神の里に縁があることを推測し、丸神教授が丸川町を訪問したまま行方不明になっていることを明かす。
さらに江見は、丸神教授が歴史の定説に異論を唱えていたことを話す。歴史では島寺領と最上領の戦で、島寺領の一部だった丸神の里の丸神正頼が裏切ったことで島寺領の藩主・島寺通泰が死んだのが定説だった。しかし丸神教授は、丸神正頼が単独で島寺軍を討ち取ったという説を提唱していた。
その後、南丸はゼミ生の多賀谷と桜木の前で超能力を披露し、能力を褒められると、南丸は二人と打ち解ける。
丸神教授の行方
丸川町では、丸神山にゴルフ場を建設しようとしていた建設会社の社長が体の一部を丸く削られて殺される事件が発生する。
翌日、大学の構内に丸神教授の妻が現れる。彼女は江見にナイフを突き立てて彼の居場所を教えるように脅すが、南丸の後輩である亜紀が止める。
その後、南丸は江見に頼まれて超能力を披露する。すると江見は、丸神教授の妻から受け取った真円の穴が空いたガラスのコップを見せる。教授の妻は、教授が何かの能力を身につけたと話し、そのガラスのコップは彼の書斎にあったものだと明かす。
江見は丸川町への調査に南丸も同行するように頼み、彼らは丸川町で起きた殺人事件のニュースを見る。
第1話は、島寺通泰を討ち取った丸神正頼が「神域を侵すことは許さない」と語り、彼が人間のものとは思えない12本の指を有していることが示されて幕を閉じる。
第2話:丸神の里
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カササギの旗
江見、南丸、多賀谷、桜木の4人は丸神の里、丸川町に到着し、博物館で丸神家に代々受け継がれている「カササギの旗」を見る。
南丸は、多賀谷から南丸家と丸神家の関係を教えられる。先祖の南丸忠頼が子供を残さずに島寺通泰に殺されたため、丸神正頼が南丸家に養子を与え、家系を継がせたという。
一行は行方不明の丸神正美教授の足取りを探ろうとするが、町の人々はよそ者とは距離を置いている様子だ。
南丸と多賀谷がカフェに入ると、町の人々が「先生」について話しているのを聞き、丸神教授のことを尋ねるが、知らないと答えられる。しかし、南丸が南丸家の末裔であることがわかると、町人たちの態度は一変して親しげになる。
南丸たちは民宿に戻り、町が7月ではなく6月に七夕祭りを行っていることを話し合う。その後、町人たちが民宿にやってきて、南丸を「若殿様」と呼び、宴会に招待する。
町人たちが南丸を大げさに歓迎していると、宴の最中に刑事が現れる。刑事は町で起きた殺人事件を持ち出し、南丸たちに対して、彼らが丸神山のゴルフ場建設に激しく抗議していた中心人物であることを伝える。
「手がとどく者」と「窓をひらいた者」
翌日、南丸たちは丸神山に登るが、道中で町人に出会い、七夕祭りの準備のために立ち入りが禁止されていることを告げられる。しかし、南丸のおかげで特別に入山を許可される。
山頂に着くと、石が7つ並んでいるだけで教授につながる手がかりは見つからない。その後、カフェで働いている幸子が南丸のもとを訪ねてくる。南丸が超能力を見せると、彼女は普通の生活を送るように言い残して去っていく。
江見は町ぐるみで何かを隠しており、危険を察して七夕祭りが終わったら東京に帰ることを決める。翌日、南丸は超能力について質問しようと幸子に会いにカフェを訪ねると、彼女は今夜の祭りのときに話すと答える。
夜になり、町で七夕祭りが始まると、南丸は幸子と会う。幸子は南丸に、町の人々には時折、2つのタイプの「素質」を持った人間が生まれることを明かす。「手がとどく者」と「窓をひらいた者」で、2つの素質を兼ね備えた人物は丸神の神官となると言われている。
超能力を持つ「手がとどく者」は南丸を含めて5人いると明かし、「窓をひらいた者」は多く存在し、悪夢を見るという。そして幸子もその一人だった。
祭りでは、幸子の兄・高志が町にやってきた新たな「手がとどく者」を探していた。彼は祭りでチンピラにぶつかり、難癖をつけられて暴行を受けるが、超能力を使ってチンピラたちの足を切断する。
一方、七夕祭りの期間中は禁止されているにもかかわらず、江見は多賀谷とともに丸神山を登る。二人は山頂で松明を掲げる妙な儀式を目撃した後、7つあった石のひとつがなくなっていることに気づく。
すると、儀式を行っていた一団に気づかれ、彼らは松明を持って二人に迫ってくる。
第3話:手がとどく
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超能力の使い方
江見と多賀谷は、白い祭服を着た男たちに追い詰められ、多賀谷は暴行を受ける。江見は祭服の男から儀式で何を見たのか問い詰められ、彼女はその男たちが歓迎会にいた町人であることに気づく。
一方、民宿に残っていた南丸と桜木は、町民たちによるゴルフ場建設反対運動の記事を新聞で目にする。江見と多賀谷が戻ってくると、見てはいけない神事を目撃したことを明かし、すぐに町を出るべきだと判断する。
翌日、一行は東京へ戻るが、江見は丸神教授の行方を探すため、1人で町に残ることに決める。南丸は帰り際、幸子とLINEを交換し、連絡を取り合うことになる。
その頃、南丸が「手がとどく者」だと知った高志は、南丸を追って東京へ向かい、常都大学に現れる。南丸に会った高志は、南丸の超能力を見た上で、正しい力の使い方を実演する。
高志が両手を広げると球状の黒い塊が出現し、塊に触れた物質は球状にえぐり取られる。高志は「この球体の大きさと同じ体積がもっていかれる」と説明する。
高志は、両手に12本の指をイメージするよう南丸にアドバイスする。南丸が練習を始めると、高志よりも大きな球体を作ることに成功する。その様子を、亜紀がこっそりと目撃していた。
いやな予感
一方、丸川町では、怪しげな訪問者が相次ぎ、町人たちは警戒していた。町に残っていた江見は、丸神教授から電話を受け、教授が無事であることを知らされるが、教授は東京には戻らないと告げる。
別の場所では、フェドーラ帽を被った謎の男が参議院議員の講演会会場に現れる。彼の両手には12本の指があり、作り出した黒い塊を議員に向けて放つと、議員は上半身をえぐり取られて死亡する。
しばらくして江見が大学に戻ると、南丸は超能力の使い方を知ったことでそれを実演して見せる。南丸は能力を得たことで高揚していたが、江見たちは丸川町での殺人事件との関連性を見出し、南丸の能力を危険視する。
一方、幸子は病床の大伯父を訪ね、不審な男たちが町に来たことを報告する。大伯父は「手のとどく者」を捜していることを察し、「いやな予感がする」と呟く。彼の額には大きな宝石のようなものが埋め込まれていた。
第4話:新技能啓発セミナー
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新技能啓発セミナー
政界財界への影響力を持つ「先生」と呼ばれる東という男が、増元という男と会話している。会話の中で、議員殺害の命令を出したのが東であることが判明する。東は議員殺害の実行犯(頼之)よりも「もっと安全に使える者が欲しい」として、増元に別の能力者を探すよう依頼する。
高志は南丸を、八木原という男が主宰する新技能啓発セミナーに出演させ、南丸が超能力を披露して会場を沸かせる。このセミナーは、超能力が訓練すれば誰にでもできるものとして、参加者に高額なチケットを売りつけていた。
南丸を尾行していた亜紀は、高志と八木原の会話を録音し、二人が詐欺を働いていることを知る。南丸はそのことを知らず、出演料として30万円を受け取り、就職しなくてもいいかもしれないと喜んでいた。一方、丸川町の幸子は悪夢を見ていた。
一方、江見は丸神教授との会話を思い出し、丸川町の七夕祭りの日程に注目する。多賀谷と桜木を呼び出して調査を進めると、過去の祭りの日程をグレゴリオ暦に変換したところ、6月中旬で一致することに気づく。
しかし、日本にグレゴリオ暦が伝わる前に使われていることに疑問が残り、丸川町の七夕祭りの目的について継続調査を進める。
丸神頼之
翌日、南丸は再びセミナーに出演して超能力を披露する。その後、セミナーに参加していた後輩の浅野らが「超能力のやり方を教えてほしい」と懇願する。
南丸は、超能力が丸神の里の家系の特別な人間だけができるものであると伝えて戸惑うが、亜紀が南丸を連れ出し、高志と八木原が詐欺を働いていることを暴露する。亜紀はジャーナリストを目指しており、このスクープをチャンスと捉えていた。
南丸は騙されたことにショックを受け、高志を訪ねて金を返し、能力の使い方が間違っていると伝えて出ていき、高志は怒りを顕にする。
幸子は丸川町にやってきた丸神頼之と遭遇する。その日は幸子の母の命日だった。頼之は「手がとどく者」であり「窓をひらいた者」であるが、街を離れて生活している。その目的は「悪夢を終わりにすること」だと明かす。幸子がゴルフ場建設会社の社長殺害事件について質問すると、頼之は自らが犯人であることを認める。
一方、町人たちは幸子の大伯父のもとで集会を開き、部外者たちの動向と頼之が町に来たことを共有する。頼之は東の自宅を訪ね、丸川町での詮索をやめるように伝える。頼之は東に雇われて暗殺を実行していたが、やめてもいいと告げる。
頼之の態度に怒った東は部下を呼び出し、頼之を殺そうとするが、頼之は超能力で部下たちを一瞬で皆殺しにする。その後、頼之は帽子を取ると、東は頼之の顔に驚愕し、「宇宙人」と言うが、頼之は「失礼な、おれはこれでも日本人だぞ」と言い返す。
第5話:えぐり魔
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えぐり魔
南丸は就職活動に苦戦する中、炎天下の中で車に取り残された幼い子供に気づく。母親がパニックに陥り車を開けられないでいると、南丸は超能力を使って窓に穴を開け、子供を救う。
この南丸の行動はSNSで拡散され、話題となり、テレビでも取り上げられる。一方、南丸の動画に触発された八木原と高志は、悪事を働いた企業への抗議活動として看板をえぐり取る「えぐり魔」の活動を始める。
東は頼之と増元を呼び出し、「えぐり魔」の活動が超能力の価値を下げていると危惧する。頼之は「えぐり魔」に心当たりがあると明かす。
丸川町の人々は、「えぐり魔」が高志の仕業であることに気づいており、能力が知れ渡ることで祭りと能力の秘密が知られることを恐れていた。そこで幸子の大伯父は、丸神教授に協力を依頼する。
江見は丸神教授が妻に離婚届を送っていたことを知る。丸神教授の依頼で上京した幸子は、江見と多賀谷に会い、江見宛の手紙と、多賀谷に模型の報酬金を渡す。
江見に宛てた手紙には「もう会うことはできない」と書かれていた。一方、南丸はサークル仲間たちと共に、超能力を使ってゴミ回収のビジネスを始めようとしていた。
能力の正しい使い道
八木原は警察に任意同行を要求されるが、断ろうとして揉めていると、超能力によって3人は消されてしまう。それは頼之の仕業だった。
幸子は南丸に会い、高志が詐欺を働いていることを聞きつけると、丸川町の人々を連れてセミナー会場に乗り込み、詐欺であることを訴えるが、高志は聞き入れない。
すると、会場の外に頼之が現れ、高志を呼び出す。頼之はセミナー参加者に超能力が特別なものであることを明かし、セミナーを解散させる。
浅野の発言によって頼之が南丸の存在を知ると、頼之は南丸を殺そうとする。しかし、幸子が間に入って止めると、頼之は高志を連れて去っていく。
その後、南丸は能力を正しいことに使うべきだと主張するが、町人は能力を秘密にしようと必死になり、幸子とも口論になる。その後、二人は和解し、南丸はゴミ回収の仕事を始めたことや、能力で人助けができたことを明かし、能力を正しく使いたいと伝える。
一方、幸子は自分と町人たちが「窓の外」を怖がっていることを明かし、能力で人を傷つける可能性について、自分の背中に残る傷跡を見せて説明しようとする。
第6話:原則として秘密
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幸子の背中の傷
幸子は生い立ちと背中の傷の話を南丸に明かし、それを知った南丸は涙を流す。
幸子の母・由紀子は、頼之との結婚を望んでいたが、分家だった由紀子は丸神村のしきたりに従い、和彦と結婚する。和彦は丸神村に馴染めず、その鬱憤を高志に晴らした。高志はその怒りを幸子にぶつけ、能力で幸子の背中に傷を負わせた。
由紀子は頼之の力を借りて高志に力を覚えさせ、高志は頼之と親しくなっていく。それをよく思わない和彦は高志と口論になり、高志は和彦に怪我を負わせ、由紀子は高志を追い出していく。その頃からは幸子は悪夢を見るようになっていた。そして、塞ぎ込むようになった由紀子は、幸子と頼之の前で姿を消してしまう。
巨大なディメンション・ボール
南丸はサークル仲間にゴミ収集のビジネスをやめることを伝え、丸神教授の研究室へ向かう。
江見は、南丸と多賀谷、桜木の前で、丸神教授からの手紙を手がかりに、祭りの日程について気づいたことを明かす。江見は祭りの日程がグレゴリオ暦ではなく、うるう年を計算を考慮した太陽暦であることを突き止める。
その後、南丸は清掃会社の面接で採用されると、帰宅後に悪夢を見る。その中で幸子を目撃すると、「この先は窓の外だから来てはいけない」と言われる。
一方、亜紀は刑事に声をかけ、議員の死亡事件とえぐり魔、「ディメンション・ボール」の秘密を知っていると説得し、一緒に事件を調べることを提案する。その後、亜紀と刑事は頼之と高志がビルに入っていくのを監視し、亜紀は刑事を置いて中に入っていく。
建物中では、頼之が高志の前で近くの建物に到着した官房長官を能力で消失させる。その後、亜紀と刑事は増元に見つかり、気絶させられて二人の前に連れて行かれるが、頼之は気にすることもなく別の現場へと向かう。
一方、清掃員の仕事に就いた南丸は、仕事の中でやりがいを見つけようとする。南丸は休憩中に屋上で同僚と話していると、上空に巨大なディメンション・ボールが出現したことに気づく。やがてそれは東京都庁にぶつかり、片側をえぐりとる。
第7話:進軍
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緊急事態
頼之が遠く離れた場所から都庁の片側を消失させ「悪夢を終わらせる」と口にする。その事件によって200人以上が消失したと報道され、東京都は緊急事態宣言を発令。南丸の清掃会社は休業となる。
江見は丸神の里の人間の関与を疑うが、聞いてもひた隠しにされてしまう。そこで江見は再度、丸川町へ旅立つことを決意し、多賀谷と桜木も同行する。
南丸は帰宅すると、高志が待ち構えていた。高志はしばらく姿を消すことを告げ、幸子に謝罪する伝言を伝えてほしいと頼む。その後、高志は亜紀と刑事が監禁されていることを南丸に明かす。南丸は亜紀と刑事の監禁場所へと助けに向かう。
能力の危険性
監禁場所へやってきた増元は、刑事に亜紀を殺すように命令する。しかし、東からの連絡が入り、頼之が増元に一方的に契約解除を申し出たこと、彼が東の自宅に向かっていることを知らされ、増元は東の家に向かうために現場を去っていく。
南丸は増元たちがいなくなった後で監禁場所へ忍び込む。しかし見張りの男に見つかり、銃を突きつけられてしまう。刑事が拘束されたまま飛びかかり、注意をそらすと、南丸は能力で見張りの男に傷を負わせる。
南丸はさらに大きな塊を作り出し、男に向けて放とうとするが、亜紀に止められる。その後、亜紀と刑事を解放し、現場を逃げ出すと、南丸は額に痛みを覚える。彼の額の宝石は少し大きくなっていた。さらに、南丸は亜紀に止められていなければ、自分が人を殺していたかもしれないとショックを受ける。
東の自宅を尋ねた頼之は、都庁を破壊したことについて問われると、自分の能力の大きさやスピードを試したかったと明かす。頼之が去った後、東は手に負えない頼之と、彼の能力を脅威とみなし、首相に話をしようと家を出ようとする。
しかし、その瞬間、あたり一帯が破裂音と巨大な光に包まれ、東の邸宅とその周囲全体が土地ごとえぐり取られる。
第8話:外からの力
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東京に外出禁止令が発令される中、南丸、江見、多賀谷、桜木、亜紀の5人は丸神の里へ向かう。江見は、東京で起きた事件の原因が丸神頼之であることを尋ねるが、町人たちは依然として非協力的な態度をとる。すると南丸は事態の深刻さを強調し、行動すべきだと訴える。それにより、翌日、東丸当主(幸子の大伯父)との話し合いの場が設けられることになる。
翌日、頼之と高志は一足先に東丸家を訪ねていた。頼之は東丸当主に「停滞状態を打破する」と言い、これが最後の挨拶だと伝える。話を終えた2人が屋敷を出ようとすると、武装した兵士たちに囲まれていることに気づく。頼之と高志は能力を使って兵士らを一掃するが、油断した高志は銃撃を受けて死亡する。
高志は死ぬ直前、頼之に幸子に謝るよう伝言を残して息を引き取る。南丸たちは東丸家に向かう途中で銃撃音を耳にするが、東丸家に到着すると、現場は血で染まっていた。瀕死の東丸当主は、頼之と高志が来たことを伝えて息を引き取る。
その後、幸子は竹林の中で高志の死体を発見し、悲しみに打ちひしがれる。一方、江見は東丸家で頼之の返り血が付着した掌紋を発見し、それが「カササギ」に似ていることに気づく。
第9話:カササギからの贈り物
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惨劇の後
東丸家での惨劇後、警察は頼之を探すため、町人に協力を求める。その後、屋敷を後にする南丸たちの前に幸子の祖母が現れる。彼女は南丸を保護するように遣わされ、南丸は幸子と一緒に別の屋敷で匿われる。
その夜、南丸と幸子は死後の世界について語り合う。幸子は「窓の外」が肉体が死んだ後も虚無の中で意識が漂っている状態のようだと表現する。
翌日、亜紀は町人たちが夜に集会を開くことを聞きつけて江見たちに共有する。一方、南丸と幸子のいる屋敷に警察がやって来ると、南丸は幸子に連れられて裏口から逃げ出していく。しかし南丸は、警察の狙いは自分ではなく頼之だと主張し、幸子に町の人々が集まる場所へ連れて行くように伝える。
カササギの旗と七夕の意味
夜になると、集会所の前で町人たちと警察が揉めていた。さらに増元らが武装兵士を連れて合流すると一触即発の状態になる。江見たちが身を潜めて様子を見ていると、南丸と幸子が現れる。
南丸は「能力とは手段であり、目的ではない」と主張し、その場の人々に頼之を止めるために協力することを訴える。するとその後、丸神教授が姿を表し、南丸の意見を後押しし、頼之の逮捕に協力することでその場を収める。
江見は丸神教授と久しぶりに再会するが、彼の額に大きな宝石が埋め込まれている外見にショックを受けて気を失う。江見は気を失いながらも、夢の中で丸神教授の手紙の意図を理解していた。翌日、南丸たちは丸神教授に呼ばれ、七夕の本当の意味を知る。
七夕は7月7日を意味するのではなく、丸神山の形状によって引き起こる七夕の間に発生する7回の夕日を意味していた。また、カササギの旗に描かれているカササギだと思われていた図は、カササギではなく頼之の掌紋と同じような形状であることが明かされる。つまり、旗は2つの掌紋の間に円が挟まれて描かれていたのだ。その図は、上の手が下の手に丸いものを与えている意味だと推測できる。
その後、丸神教授は多賀谷が丸神山の模型を用いて、丸神山に差し掛かる夕日を再現する。すると夕日に照らされた尾根の陰がカササギの旗と同じ図を作り出す。
第10話(最終話):祭り
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丸神教授は南丸や江見たちに、丸神の里の歴史を明かす。彼の推測によれば、何世紀も前に地球外生命体「カササギ」が入植候補地を探しにやってきて、里の人間と交配し力を与えたという。里の人々は、カササギがもたらした恐怖と孤独に「鎖で縛られた」状態となり、彼らが再び戻ってきた場合に備えて、代々部外者から土地を守り続けてきた。
丸神山はカササギが着陸するためのヘリポートであり、里の人々は七夕祭りで松明を掲げ、誘導灯の役割を果たしていた。
丸神教授は頼之の計画を阻止するため、南丸たちと共に丸神山の頂上で待機していた。そこに増元たちが兵士を連れて現れ、丸神教授たちが頼之の逃亡を手助けしようとしていると疑いをかける。
頼之が現れると、彼は増元を殺害する。その後、頼之は丸神山を消す計画を変更したことを明かす。彼は「窓」がカササギのいる世界とつながる入り口であると考え、そのためにすでに頭上に巨大なディメンション・ボールを生成していた。
それを知った幸子は頼之について行こうとするが、南丸が説得して引き止める。南丸たちが逃げる中、頼之は丸神山の一部を巻き込みながらディメンション・ボールを発動させ、消失する。
事件が収束し、時が経つ中で、南丸たちはそれぞれの道を歩み始める。丸神山は失われた部分をすぐに再建し、例年通りに七夕祭りが行われる。
南丸は人々が不要になったものを物々交換するフリーマーケットを運営するNGOを設立した。江見は丸神教授と同居し、亜紀はフリーの記者として活動している。
物語は、南丸が丸川町へ向かい、七夕祭りで幸子に会うところで幕を閉じる。