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【ネタバレ感想】映画『億男』は落語だった?原作やラストを解説。

今回ご紹介する映画は『億男』です。

 

幅広い世代から人気のある佐藤健と高橋一生がダブル主演し、マネーエンターテインメントという位置付けで、お金の価値について考えさせる内容となっています。

  • 映画『億男』の作品情報とあらすじ
  • 映画『億男』の原作について
  • 映画『億男』ではお金の価値は分からない
 
 

映画『億男』の作品情報とあらすじ

©︎映画「億男」製作委員会

作品情報

原題億男 
脚本 ・原作河村元気「億男」
監督大友啓史
出演佐藤健 高橋一生
製作国日本
製作年2018年 
上映時間116分
おすすめ度

監督は元NHKの職員でもあった、大友啓史監督が務めています。

 

彼はNHK時代に『ハゲタカ』『白洲次郎』や大河ドラマ『龍馬伝』などを手がけてきました。

 

その後フリーとなった後で、『るろうに剣心』シリーズで成功を納めます。

 

 

本作の主演でもある佐藤健とは再タッグということになりますね。

あらすじ

あらすじ

3000万円の借金を残して失踪した兄の代わりに返済に終われる一男は、妻子にも見放されていた。

そんなある日、一男は宝くじで3億円に当選する。

歓喜するも大金を手にした人たちが悲惨な人生を送っていることを知り、不安になった一男は大学時代の親友で億万長者となっていた九十九に相談する。

彼の言う通りにまずはお金を使ってみることにした一男は、パーティを開いて酔いつぶれてしまう。

翌朝目がさめると、3億円と一緒に九十九の姿も無くなっていたのだった…。

 
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映画『億男』の原作

本作の原作は、映画プロデューサーの河村元気による長編小説です。

 

宝くじが当選し、突如大金を手にした一男だが、三億円と共に親友が失踪。「お金と幸せの答え」を求めて、一男の旅がはじまる!

彼はこれまで多くのヒット作の企画とプロデュースをしています。代表例を挙げてみます。

川村元気のプロデュース作品

  • 『電車男』2005年
  • 『デトロイト・メタル・シティ』2008年
  • 『告白』2010年
  • 『悪人』2010年
  • 『モテキ』2011年
  • 『君の名は。』2016年
  • 『何者』2016年

上の作品から分かると思いますが、すごいヒットメーカーです。

 

その後、『世界から猫が消えたなら』で小説家デビューし、本屋大賞にノミネートもされました。

 

 

同作は佐藤健主演、永井聡監督のもと映画化もされています。

『何者』でも佐藤健が主演なのでつながりは深いですね。

 

本作『億男』も本屋大賞にノミネートされています。

原作の執筆に当たって、かなり多くの億万長者への取材を行ったそうで、その取材で得たことを元に感じたお金に対する価値観の考え方が影響しているとのこと。

【ネタバレ】映画『億男』は落語だった?ラストはどうなった?

©︎映画「億男」製作委員会

※以下映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

 

本作は予告編などの宣伝で「新感覚マネーエンターテインメント」と紹介されていましたが、実際はエンターテインメント性はほどほどで、割と真面目に描かれています。

 

大友監督の作品を見ると硬派な作品が多く、その流れは本作にも汲んでいる印象を受けました。

本作で描かれるのは、「お金」の価値という普遍的なテーマです。

 

そこで、本作を観ることでお金に対する感覚、価値、正体というものが分かるのかという点について考えてみようと思います。

 

そのためにもまずは、一男という人間について振り返ってみます。

一男と妻

一男と妻の万左子との出会いは、図書館でしたね。

 

図書館司書の一男が万左子に合った本をオススメしたりなどして、万左子は人の気持ちが分かる優しい性格の一男に惹かれていたのでした。

 

しかし一男の兄が残した3000万円の借金が引き金となり、一男は変わってしまいます。

 

娘が自分から初めてやりたいと口にしたバレエを、お金がかかるから辞めさせたいと言ったり、人を思いやる気持ちがあった昔の一男とは変わってしまうのでした。

 

一方の一男は、目の前の借金返済に追われてそのことには気付いていません。

だから宝くじで3億円が当たった後、借金さえ返せば元通りになると考えていました。

 

しかし妻からはたとえ借金が無くなっても離婚したいと切り出されてしまいます。

 

その理由が一男には理解ができないのです。借金を返してもお金が余り、不自由なく暮らせると言うのに。

 

つまり、一男と言う人間は本来人を思いやることができる優しい人間だったのに、借金に追われるあまり、本当に大切にするべきものを見失っていたのです。

 

そこで登場するのが、一男の親友である九十九です。

九十九

3億円を手にした一男は、すでに億万長者となっていた九十九に相談しますが、彼は3億円を持って消えてしまいます。

 

一男は九十九を探す過程で、彼のかつての仕事仲間だった億万長者たちに会います。

 

彼らは金に目がくらみ、九十九を裏切ってしまった彼らは、大金を手にしても何かしらの点で金に囚われているのです。

 

そんな姿を目の当たりにすることで、一男はお金の意味を考え、同時に九十九の事を思い出すのでした。それが大学時代の落研で彼が好きだった演目、「芝浜」に繋がります。

『億男』における「芝浜」

©︎映画「億男」製作委員会

本作において落語の「芝浜」という演目が重要な立ち位置を示しています。

 

「芝浜」のストーリーを紹介します。

「芝浜」のあらすじ

魚屋を営む勝は、腕はいいが酒好きが転じてなかなか仕事も上手くいっていなかった。

その日も妻に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら魚市場へと向かった。

朝早すぎたこともあって市場はまだ開いておらず、浜辺で顔を洗っていたところ、海中に革の財布を見つける。

拾って中を見てみるとそこには驚くような大金が入っていた。

喜ぶ勝は早速家に戻り、飲み仲間を集めて大酒を呑んだ。

 

翌日、二日酔いながら妻に起こされこんなに呑んでどうするんだと怒られると、大金の話をするが、妻はそんなものは知らないといい、お金欲しさのあまりに酔ってみた夢だろうと言うのだった。

勝は焦って家中財布を探し回るが、どこにもなかった。

愕然として大金の夢を諦めた勝は、己の身の上を考え直し、断酒してあくせくと働くのだった。

 

懸命に仕事をした結果、3年後にはいっぱしの店を構えることができ、生活も安定した。

そしてその年の大晦日の夜に、勝は妻の献身に感謝して頭を下げる。

すると妻は3年前の大金の話の真相を打ち明けるのだった。

あの日勝から大金を見せられた妻は、当時十両盗んだら打ち首と言われていたこともあって困惑して、財布を役所に届け泥酔の勝を言いくるめることにした。その後、時が経っても落とし主が現れなかったため、お金が戻ってきていた。

 

その事実を知った勝は妻を責めず、道を踏み外しそうになった自分を助けてくれたことに感謝した。

妻は懸命に頑張った勝を労い、久々の酒を勧める。

杯を口元に近づけたところで、勝はその手をやめて「よそう。また夢になるといけねぇ」と言うのでした。

 

 

 

映画をご覧になった方は思ったでしょうが、本作の内容はほぼ「芝浜」のストーリーなのです。

 

本作の一男が芝浜でいう勝であり、九十九が芝浜での妻なのです。

 

 九十九は3億円を突如手にした一男に、自分を探す過程で過去の仕事仲間に合わせるように仕組み、大金を手にした彼らの姿をみせることで「お金」の意味を考えさせていたのです。

 

一男はその地獄めぐりを通して、なぜ妻に離婚を切り出されてしまったのか気付くのでした。

 

自分自身がお金に囚われたあまり、家族をないがしろにしてしまったことに気付き、反省した一男は九十九から帰ってきた3億円を本当に使うべきもの(娘が欲しいと言っていた自転車)に初めて使うのでした。

映画『億男』のネタバレ感想

©︎映画「億男」製作委員会

お金という普遍的なテーマを扱うと、お金よりも大切なものはあるという落とし所になってくるのはだいたい想像ができますね。

 

そういった意味でいうと、今作にも当てはまるので目新しさはなく面白くはありません。

また、どうしても気になってしまう部分というのがいくつかあったので具体的に挙げてみます。

 

・3億円という大金を手にした人間が、10年以上も連絡をとっていない親友に相談をするか
→親友の定義というものは人それぞれですが、九十九の性格を汲んだとしても現実味はないように感じます。

言っても最初は家族である妻なら分かりますが、妻に言ったのも現金を失ってからで、ストーリーを成り立たせるためのプロットのように感じてしまいます。

 

・一男の状況に説得力がない
→兄の3000万の借金を背負うという設定はまぁいいとして、3億円があたるまでの一男に貧しい感じが伝わってこないんですよね。

昼夜で働いているのは分かりますが、貧しさの描写が少ないまま3億円を手にしてしまっているので、結局彼の切羽詰まった感じに信憑性がなく、3億円の使い道についてフォーカスされてしまっています。

 

その一方で、個性的なキャラクター像とロケーションを上手く活用した映像美は良かったと思います。

 

また、その映像と主題歌のBUMP OF CHICKENの『話がしたいよ』とのマッチは素晴らしく、一男と九十九の二人の想いを歌にしているようでグッとくるものがありました。

 

 

『億男』主題歌、TVアニメ『重神機パンドーラ』OP/ED主題歌

 

ただ、本作のテーマである「お金の正体」についてははっきりとした答えはありませんでした。ただ、

 

「お金というのはただの紙切れに人間が価値をつけたもの」

 

と語る九十九の言葉からは、お金も人間と同じで信頼、信用の上に成り立っていて、使うも使われるもその人次第というニュアンスを感じました。

 

まぁ本作ではそんなことは意識してみないと分からないので、それよりも一番感じたのは、

 

モロッコ行きてぇ。

 

これに尽きます。

 

そう言った意味では大友監督の惜しみない予算を使った回想シーンだけのためのモロッコロケ敢行は成功だったと思います(笑)。

 

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