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【考察】映画『キング・オブ・コメディ』が面白いけど笑えないのはなぜか【ネタバレ】

今回ご紹介する映画は『キング・オブ・コメディ』です。

 

マーティン・スコセッシ監督による作品で、興行的な成績をみると失敗した映画とされていますが、多くの人々を驚かせ、影響を与えた作品でもあります。

 

この作品、面白いのですがその裏には多くの人にとって心当たりのある感情に基づいた行動があり、それを考えると人ごとでは無い笑えない映画となっています。

 
 
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映画『キング・オブ・コメディ』が面白いけど笑えないのはなぜか考察します。

© 1982 20th Century Fox Home Entertainment

まずは、本作の作品情報とあらすじからご紹介します。

作品情報

原題 The King of Comedy
脚本 ポール・D・ジマーマン
監督 マーティン・スコセッシ
出演 ロバート・デニーロ
製作国 アメリカ
製作年 1983年
上映時間 109分
おすすめ度

『タクシードライバー』『レイジング・ブル』に続くマーティン・スコセッシ監督×ロバート・デ・ニーロの共演作品。

 

 

興行的な成績からみると失敗と言われることもある本作。

 

ですが本作のファンは多く存在し、日本の名優・松田優作も本作のロバート・デ・ニーロの演技を見て驚愕したり、レオナルド・ディカプリオや黒澤明もファンを公言しています。

 

日本では同名のお笑い芸人が有名かもしれませんが、その由来もこの映画からとなっています。

 

 

多くの方を魅了していることが分かりますね。

あらすじ

あらすじ

コメディアンとして有名になりたいルパート・パプキンは、有名コメディアンのジェリー・ラングフォードを熱狂的ファンでもある。

ある時彼をファンの群れから救い出し、強引に自分を売り込むと「今度事務所来い」と言ってもらうことに成功する。

有頂天になったパプキンは、早くも自分は有名になったと錯覚し、昔から好きだった女性リタにも接近するのだが……。

『キング・オブ・コメディ』は面白いけど笑えないのはなぜか

© 1982 20th Century Fox Home Entertainment

※以下映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

 

本作を観ていると、ロバート・デ・ニーロ演じるパプキンの姿が滑稽でイタいと感じた方も多かったと思います。

 

ただ、滑稽に見えるその姿には多くの人にも当てはまる部分があり、それを踏まえると滑稽とは言い切れない部分が浮かび上がります。

承認欲求の成れの果て

スポーツ選手になってオリンピックで活躍する姿を想像したり、自分が有名になってチヤホヤされる姿を想像したり、お金持ちになって豪遊している姿を想像したり。

 

今までこういった経験をしたことはありますか。

 

自分が成りたいものに対して、その理想像や夢の姿を想像したことがある人は多いと思います。

 

妄想と言ってしまえばそれまでですが、多くの人が自分を認めて欲しいという承認欲求があるのです。

 

じゃあそれを裏付ける努力や行動を起こしているのか、というとパプキンはしていません。

 

彼は働きもせず、やっていることはジェリーと同じ立場でのシミレーションだけなのです。

 

自分のトークを応募する姿や小さな場所でも舞台に立つというような努力はできるはずなのですが、彼がそれをすることはありませんでした。

 

確かにコメディアンという職業は曖昧だと思います。

 

スポーツ選手や資格のある職業など、結果が分かる目標であれば客観的に自分の足りない部分を把握できます。

 

しかし、コメディアンや芸能という特殊な職業は、人に評価されて初めて成立するもの。

 

だからこそ自分が面白いという変な自信がまとわりついてしまったのかもしれません。

 

ではなぜ、パプキンはそんな人間になったのでしょうか。

それは彼がTVで行った彼のネタから垣間見ることができます。

 

彼のネタは自分の過去を自虐したものでした。

 

本作を観て彼の滑稽な姿を知っている我々からしたら面白くは無いネタですが、観客はそれを笑い、警察は作家がいることを疑いました。

 

彼はネタの最後に「笑ってくれてありがとう」という言葉を言いますが、彼にとってそのネタは悲劇だった過去そのものであり、それは何も知らない観客からすれば喜劇なんだと分かります。

 

「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だというチャップリンの名言がよぎります。

 

パプキンはそんな自分がTVに出た姿を真っ先にリタへ見せに行きます。

 

そして捕まりながらも彼女に「有名になっても君を忘れない」と言う姿は哀しくも滑稽に映るのでした。

 

また、パプキンと共犯したマーシャについても同様のことが言えます。

 

彼女はジェリーの熱狂的ファンであり、自分が誰よりもジェリーを想っているという自信がありました。

 

そのためにストーカーをして誘拐にまで発展してしまうことになります。

 

ジェリーを拘束して誘惑するも、彼の言葉を信じて拘束を解いてしまうマーシャ。

彼女もパプキン同様に自分というものを認めてもらいたかったのです。

 

「自分はコメディアンの才能がある」

「自分の想いは誰にも負けない」

 

結局のところ、パプキンとマーシャは屈折した自己愛が肥大化した結果、自分自身の都合しか考えられず、周りが見えない状況になっていたのでした。

 

スコセッシ監督の『タクシードライバー』では主人公トラヴィスの狂気を描いていました。

 

今作ではパプキン、マーシャとそしてそこに至る感情には普遍性があり、誰もがなりうるという恐怖をはらんでいました。

ラストについて

本作のラスト、パプキンはジェリーを脅してまでTV出演した結果、当然のごとく逮捕されます。

 

しかし全米で話題となり、獄中で書いた書籍がヒットして多くのファンを得ます。

 

そして出所後には芸能界に復帰し、多くの観客が待つ中現れるのでした。

 

スコセッシ監督自体が明示していない、このラストが現実か妄想かという判断は人それぞれだと思います。

 

ただ本作が怖いのは、フィクションでありながら現実で起きてもなんら不思議ではないところ。

 

そしてその狂気に至る感情というものが、自分自身にもあてはまるところがあったり、多くの人に普遍的にあるものから引き起こされているということです。

 

本作の影響をかなり受けている2019年の映画『ジョーカー』では、映画公開による事件の誘発が危惧されていました。

 

 

たとえこのラストが妄想だとしても、彼が自分を客観視して本質を理解できなければ、何も変わることはないのでしょう。

 

彼は自分本位の行動を続けると思います。

 

そしてこのラストが現実だとしても、本来誰も相手にしなかったパプキンという人間が一夜の王となり、獄中で書いた自伝に食いつき群がるファンとメディア。

 

しかし彼がジュリーのような努力で手にしたコメディの王となることはできないでしょう。

 

どちらにしても皮肉としか言いようがないラストの描き方はさすがでした。

【まとめ】映画『キングオブコメディ』は秀逸な社会風刺

妄想と現実が入り混じり、掴もうとした夢のためには手段を厭わない狂気を見せた本作。

 

しかしそこには、多くの人にも心当たりを感じる部分がありました。

 

スコセッシ監督の描き方はやはりすごいと感じるものがありました。

 

そしてロバート・デ・ニーロの演技には脱帽でした。

 

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