『キング・オブ・コメディ』で一人演説するロバート・デ・ニーロ

ドラマ

【ネタバレ解説/考察】『キング・オブ・コメディ』が面白いけど笑えないのはなぜか

今回ご紹介する映画は、 『キング・オブ・コメディ』です。

マーティン・スコセッシ監督による作品で、興行的な成績をみると「失敗した映画」とされていますが、多くの人々を驚かせ、影響を与えた作品でもあります。

まめもやし

この作品、怖くて面白いだけではなく、人ごとには思えない、笑えない映画となっています。

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『キング・オブ・コメディ』の作品情報とあらすじ

キング・オブ・コメディのポスター
面白さ
 
7
満足度
 
8

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あらすじ

コメディアンとして有名になりたいルパート・パプキンは、有名コメディアンのジェリー・ラングフォードを熱狂的ファンでもある。

ある時彼をファンの群れから救い出し、強引に自分を売り込むと「今度事務所来い」と言ってもらうことに成功する。

有頂天になったパプキンは、早くも自分は有名になったと錯覚し、昔から好きだった女性リタにも接近するのだが……。

作品情報

タイトルキング・オブ・コメディ
監督マーティン・スコセッシ
脚本ポール・D・ジマーマン
出演ロバート・デ・ニーロ
製作国アメリカ
製作年1983年
上映時間108分

巨匠マーティン・スコセッシ監督×名優ロバート・デ・ニーロ

映画界の巨匠、マーティン・スコセッシ監督と名優ロバート・デ・ニーロが共演した本作。

この二人がタッグを組んだ映画はこれだけあります。

スコセッシ×デニーロ映画

  • 『ミーン・ストリート』(1973年)
  • 『タクシードライバー』(1976年)
  • 『ニューヨーク・ニューヨーク』(1977年)
  • 『レイジング・ブル』(1980年)
  • 『キング・オブ・コメディ』(1982年)
  • 『グッドフェローズ』(1990年)
  • 『ケープ・フィアー』(1991年)
  • 『カジノ』(1995年)
  • 『アイリッシュマン』(2019年)
まめもやし

この2人が組んだら間違いない!

“間違いない2人”による本作ですが、興行的な成績からみると失敗と言われたりしています。

しかし、本作のファンは多く存在し、日本の名優・松田優作も本作のロバート・デ・ニーロの演技を見て驚愕したり、レオナルド・ディカプリオや黒澤明もファンを公言しています。

日本だと、同名のお笑い芸人の方が有名かもしれませんが、彼らのグループ名の由来もこの映画なんです。

まめもやし

本作は多くの人の心に深く刺さっているようですね!

ジェリー・ルイス

デニーロ演じるパプキンが執拗に追いかけるコメディ界のスター、ジェリー・ラングフォードを演じたのは、ジェリー・ルイスで。

このキャスティングが絶妙で、実際にコメディアンとして活躍しているジェリー・ルイスだからこそ、本作の現実と妄想の境界が曖昧になっていくのです。

ちなみに、ジェリーが道端で「お前なんか癌になってしまえばいいんだ」と言われるシーンは、実際にジェリー・ルイスがサインを断った時に言われた彼の演出です。

ネタバレあり

以下では、映画『キング・オブ・コメディ』の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ解説/考察】面白いけど笑えないのはなぜか

『キング・オブ・コメディ』スタンダップコメディするルパート・パプキン

© 1982 20th Century Fox Home Entertainment

本作を観ていると、ロバート・デ・ニーロ演じるパプキンの姿が、「滑稽・イタい」と感じた方も多いと思います。

ただ、滑稽に映るその姿には、多くの人にも当てはまる「見たくない」部分が浮かび上がってくるのです。

承認欲求の成れの果て

スポーツ選手になって活躍する、自分が有名になってチヤホヤされる、お金持ちになって自由に暮らす。

いままで、こんな想像をしたことは誰もが一度はありますよね。

本来、人間なら誰にでも少なからずあるのが、自分を認めてほしいという「承認欲求」

人は他人からバカにされることを恐れ、自尊心を守るため自分の価値を常に表明したい生き物です。

そんな中、主人公は認められるためにどれほど努力や行動を起こしているでしょうか。

パプキンは、オーディションやショーに立つわけでもなく、ただシミュレーションするだけです。

頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな

朝井リョウさんの小説『何者』の一節を思い出しました。

コメディアンや芸能、芸術の分野は、人に評価されて初めて成功といえる分野でもあります。

どれだけ自分の作品に誇りや自信があっても、人から客観的に評価されなければ有名にはなれません。

加えてプライドが高いと、「自分は他の人とは違う、まだ見つかっていないだけ」と思ってしまいがちなんですよね。

まめもやし

このあたり、すごくよく分かる感情です。

ちなみに、日本のお笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹さんが書いて映画化もされた『劇場』は、本作にも通じる心理描写と上手く恋愛と絡めて描いてしました。

まめもやし

本作と合わせてチェックしてみると面白いですよ!

主人公のパプキンは、ある意味、そんな承認欲求をこじらせてしまった人間のひとりなんです。

悲劇も喜劇も

人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ

喜劇王チャールズ・チャップリンの名言。

パプキンがジェリーを誘拐することで、出演できたテレビ番組。

パプキンのネタは、自分の過去を自虐したものでした。映画を観る私たちにとって、それはまったく笑えるものではありませんが、テレビの観客はそれを笑い、警察は作家がいることまで疑いました。

笑ってくれてありがとう。どん底で終わるより一夜の王でありたい

ネタの最後にパプキンが放つ言葉。

彼にのネタは悲劇だった人生そのものであり、それは何も知らない観客からすれば喜劇に映るのです。

そして、そのネタを映すシーンが秀逸。

パプキンは自分がTVに映った姿を、リタへ見せに行くのです。

まめもやし

パプキンがTVで披露したネタを、そのテレビの映像で映すのではなく、リタのいるバーのテレビで、パプキン自身がチャンネルを変えてみせるという構成、凄まじいですよね…!

パプキンとマーシャ

『キング・オブ・コメディ』口論するパプキンとマーシャ

© 1982 20th Century Fox Home Entertainment

本作で、パプキン同様のこじらせた承認欲求をもっているのが、マーシャです。

彼女はジェリーの熱狂的ファンであり、「自分が誰よりもジェリーを想っている」自信がありました。

パプキンとマーシャの関係性はとても面白いです。

目的は異なるものの、互いにジェリーをストーカーする共通点がありました。

パプキンにしてもマーシャにしても、突き詰めると求めているのはジェリーとの関係ではなく、「自分を認めてもらいたい」欲望なんですよね。

だからこそ、互いに「自分はあんたとは違う」と思いながらも、行き着く先の「ジェリー誘拐」になっていくのです。

  • 自分にはコメディアンの才能がある
  • 自分の想いは誰にも負けない

パプキンとマーシャは、屈折した自己愛が肥大化した結果、その目には自分自身の姿しか映らないのです。

まめもやし

滑稽に映る一方で、多くの人が少なからず共感や痛いところを疲れた感情になりますよね…!

【ネタバレ解説/考察】ラストは妄想か、それとも現実か

『キング・オブ・コメディ』笑うルパートとジェリー

© 1982 20th Century Fox Home Entertainment

『キング・オブ・コメディ』のラストで、パプキンはジェリーを脅してTV出演した結果、当然のごとく逮捕されてしまう。

しかし、その行動が全米で話題となり、獄中で書いた書籍がヒットし、すでに多くのファンができていた。

そして、出所後には芸能界に復帰し、多くの観客が待つ中、テレビに登場する─。

まめもやし

このラスト、あなたはどう考えますか?

現実なのか、妄想なのか。スコセッシ監督はこのラストの意味を明確にしてはいません。

本作が素晴らしいのは、ラストが「現実か妄想か」が重要ではなく、そのどちらにも取れる“両面性”をもたせていること。

ラストがパプキンによる妄想であった場合、盲目な自己陶酔に極限に達した哀れで滑稽な男の名声への願望を映します。

一方、ラストが現実であった場合、誘拐してまで名声を得ようとした男に、メディアやファンが食いつくそのシステムの滑稽さと恐ろしさを風刺して映します。

まめもやし

この、どちらの解釈もできて皮肉が効いたラストシーンを描くスコセッシ監督、天才過ぎます!

物語の最後は、盛大な拍手とともに繰り返し呼ばれる、「ルパート・パプキン」の名前。

劇中で幾度となく名前を間違えられたパプキンでしたが、「一夜の王」となり、誰もがその名を知ることになるのです…。

まとめ:痛烈な社会風刺と狂気の一端をみる

今回はマーティン・スコセッシ監督の映画『キング・オブ・コメディ』をご紹介しました。

妄想と現実が入り混じり、掴もうとした夢のために手段を厭わない狂気を見せた本作。

主人公が滑稽に映る一方で、そこには多くの人の痛いほど刺さる欲の部分を描いていました。

本作にインスピレーションされた映画のひとつに2019年の映画『ジョーカー』が挙げられます。

『キング・オブ・コメディ』は、今にも爆発しそうな心理を描いていましたが、それが爆発してしまうのが『ジョーカー』だったと思います。

まめもやし

本作と合わせてみるとすごく面白いです!

スコセッシ×デニーロといえば『タクシー・ドライバー』が有名ですが、本作もかなりインパクトのある一本になっています。

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