今回ご紹介する映画は、『まともじゃないのは君も一緒』です。
前田弘二監督による作品で、コミュ力ゼロの男と恋愛経験ゼロの女のまったく噛み合わない会話劇が魅力のラブコメディ。
本記事では、『まともじゃないのは君も一緒』をネタバレありで感想・考察してご紹介します。
成田凌さん清原果耶さんのやり取りが最高で、絶妙な空気感の魅力ある一本でした!
『まともじゃないのは君も一緒』はhuluで視聴できます!
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映画『まともじゃないのは君も一緒』の作品情報
『まともじゃないのは君も一緒』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
人とのコミュニケーションが苦手な予備校講師の大野。ずっとひとりで大好きな数学の世界に生きていた彼だが、実は普通に結婚したいと思っていた。大野は自分の普通ではない言動を指摘してくれる教え子の香住に普通になれる方法を教えてもらおうとするが…。
作品情報
タイトル | まともじゃないのは君も一緒 |
監督 | 前田弘二 |
脚本 | 高田亮 |
出演 | 成田凌 清原果耶 小泉孝太郎 泉里香 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2021年 |
上映時間 | 98分 |
予告編
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おすすめポイント
誰だって“まともじゃない”ところがある。
成田凌&清原果耶ダブル主演、コミュ力ゼロの男と恋愛経験ゼロの女のまったく噛み合わない会話劇が魅力のラブコメディ。
劇中に繰り返し登場する「普通」という言葉が象徴するように、誰もが思い悩む人間関係を通して「普通」とはなにか考えさせられる、良作コメディ。
『まともじゃないのは君も一緒』監督・スタッフ・原作
監督:前田弘二
主な監督作
- 『婚前特急』
- 『わたしのハワイの歩きかた』
監督は、前田弘二さん。2011年に公開した『婚前特急』では、吉高由里子さんを主演に5人の男性と付き合う女性が親友の結婚をきっかけに、本当の恋を探す物語を描きました。
脚本は、監督の自主映画時代からの仲で『婚前特急』の脚本家でもある高田亮さん。
『そこのみにて光輝く』や『オーバー・フェンス』などの脚本も手掛けています。
さらに、『わたしのハワイの歩きかた』でタッグを組んだプロデューサー、小林賢太郎さんも参加しています。
監督おなじみのスタッフの方々とのタッグが良い作品になっている背景にありそうですね!
『まともじゃないのは君も一緒』のキャスト・相関図
キャスト | 役名 |
---|---|
成田凌 | 大野康臣 |
清原果耶 | 秋本香住 |
小泉孝太郎 | 宮本功 |
泉里香 | 戸川美奈子 |
成田凌
主な出演作
- 『チワワちゃん』
- 『愛がなんだ』
- 『スマホを落としただけなのに』
- 『窮鼠はチーズの夢を見る』
主演は、成田凌さん。「メンズノンノ」のモデル出身ですが、近年では数々の映画やドラマに出演して注目を集めています。
最近の若手俳優の中ではメキメキと名実ともに魅力が増していると強く感じます。
どんどん演技の幅が広がっていて、引っ張りだこの俳優です!
清原果耶
名前 | 清原 果耶(きよはら かや) |
生年月日 | 2002年1月30日 |
出身 | 日本・大阪府 |
成田凌さんとダブルで主演を務めるのが、清原果耶さん。
NHK連続テレビ小説『あさが来た』にレギュラー出演し、それ以降、映画やドラマでメインキャストとして多数出演している大注目の女優。
端正な顔立ちの中に秘めたアンニュイな表情がすごく魅力的なんですよね!
その他にも、小泉孝太郎さんと泉里香さんが、実業家と大企業の娘を好演し、さらに高校生カップルの山谷花純さんと倉悠貴さんも存在感のあるいい役を演じていました。
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ感想】それぞれの“普通”
主演2人の会話劇を楽しみながらも、「普通とは何か」を考えさせられる構成が見事に効いていて、心地よい読後感が残る快作でした。
全員が普通じゃない
本作を観た方は感じたと思いますが、登場人物たちはみんな「まともじゃない(普通じゃない)」面を持っていること。
予備校講師・大野
成田凌さん演じる大野は、本作の「普通じゃない」代表として描かれます。見た目はカッコよく、スタイルもいいのに数学一筋でコミュニケーション力がない大野。
「天ぷら」は知らないけど、「ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題」については語れる彼は、「普通」の結婚をしたいと香住から恋愛指南を受けるのでした。
女子高生・香住
清原果耶さん演じる香住は、大野に恋愛を教える高校生。
学校ではグチを言い合う女子グループに混じって聞いているだけなのに、大野に対しては恋愛のアドバイスを積極的に教えます。
しかし、彼女自身に恋愛経験はなく、彼女が語る恋愛論は世間での「普通」なのです。
そんな彼女は、宮本という実業家に熱を上げていて、大野を通して宮本と美奈子のカップルを別れさせようと目論んでいます。
実業家・宮本
小泉孝太郎さん演じる実業家の宮本。
いわゆる成功者として人気の姿を見せながらも、平気でウソをつける人間。
役柄で言えば、小泉孝太郎さんが演じた胡散臭い実業家が一番ドハマりしていて、妙な説得感と、ハズキルーペのCMのような印象でしたね(もちろんいい意味で)。
資産家の娘・美奈子
泉里香さんが演じた資産家の娘・美奈子。
夫である宮本との結婚が、ビジネス目的の政略結婚であることを知りながらもその関係を続けています。
自分の思う“普通”
数学一筋の大野と、恋愛経験がないけど恋愛を語る香住の2人の掛け合いを通して、“普通”ではない側を見せる本作。
しかし、映画を見ていくと、大野が「普通」を目指して関わっていく美奈子と宮本の関係もまた、普通じゃないことが見えてくるのです。その両方が印象的でした。
まずは、大野のシーンから。印象的な場面は2つあります。
- 本屋で美奈子とバッタリ会うフリをするシーン
- 予備校で声を荒げるシーン
美奈子と再び接触するために、美奈子が通う本屋で待ち伏せして美奈子から声をかけてもらおうとするシーン。
香住の指示では、自分から声をかけちゃダメだと言われていたのに、美奈子が声をかけようか迷ってやめた瞬間に大野から声をかけています。
しかも、「匂いで思い出していたところです」というフレーズはなかなか絞り出せないセンスのある言葉で、恐らく大野が率直に感じた印象なのだと思います。
劇中で、「大野は美奈子のことをどう思っているのだろう」と感じていたのですが、このシーンがあることで、少なからず恋の勉強対象としてだけじゃない好意を抱いていることがわかるいいシーンでした。
そしてもう一つが、理性的で落ち着いている大野が声を荒げる終盤のシーン。
大野は、宮本と香住がラブホテルから出てきた経緯を聞いて「宮本を許せない」と声を荒げます。
繰り返し「肉体関係を結んだのか」と聞く様子は、明確に「普通」ではないことが分かります。(予備校内で教師と生徒が恋愛のディープな話をするという意味で)
しかし、場所もはばからずに言えてしまう「普通」じゃない大野の本音こそが、香住の心に刺さる部分なのです。
恋愛経験のない香住は、自分の恋愛までも誰かの受け売りの知識を通して解釈していた訳ですが、そんな彼女の裸になった感情があわらになるいいシーンでした。
そして、美奈子で印象的なのが、彼女がとった選択のシーンです。
政略結婚の自覚があり、夫婦でいることへの不安を感じていた美奈子でしたが、香住の作戦によって宮本の不貞が明らかになりました。
美奈子は、ラブホテルの一件で大野に「ちゃんと別れてくる」と宣言した後、彼女が取ったのは変わらず宮本と夫婦でいる選択でした。
そんな美奈子に対して、大野は何か進言するわけでもなく、ただ彼女の選択を尊重するのです。
この2人の様子の描かれ方が優しくていいシーンなんですよね!
一方、私たちのいる現実世界では、理想の夫婦としてはやし立てた芸能人の不貞が明らかになると、誰彼構わず「別れろ」「普通じゃない」とすぐに騒ぎ立てます。
当の本人たちよりも世間に火がついて各々の持論をぶつけます。みんながみんな、自分の思う“普通”を無意識に振りかざしているのです。
【ネタバレ考察】まともじゃないのは“みんな一緒”
劇中のセリフで「普通」というワードが54回も登場する本作。多くの人が無意識に使ってしまいがちな「普通」ですが、普通とは一体何なのでしょうか。
私自身、意識せずについ使ってしまうこともある言葉です。
普通の理解は、歩み寄ること
“普通”を辞書で調べてみると、「ごくありふれたものであること。多く当てはまること。」と記されています。
特に島国の日本では、この「普通であること」は日常でもよく感じられます。
みんながみんなと同じであることが幸せ。国全体が同じ方向を向くことに重視している社会。
そんな社会で、誰もが自分の当たり前を持っている。
生まれた国や地域が異なれば、言語や話し方が違うことは誰しも理解していますよね。
同じように、経験や時代など、身を置いた環境で「普通」は変わるもの。
私は本作を通して「普通」とのズレを正すことよりも、相手の「普通」を知るために歩み寄ることが大切だと感じました。
相手の「普通」を知ること
香住が君島さんカップルと初めて接触するシーン。
普段の香住は、噂話やグチを言うグループに属していて、そこで盛り上がっているのがイケメンの柳くんと付き合っている君島さんの話題でした。
彼女たちは君島さんをブスだとか、見せびらかしているだとか、ガールズバーの変なバイトしているとか言って盛り上がりますが、面と向かって君島さんに言うことはできません。
香住が意を決して君島さんに話しかけてみると、2人はバイトのことや2人が付き合った経緯を知ることになるのです。
ネットの受け売りのような恋愛知識の香住にとって、彼らが付き合った経緯は意外なものでした。
自分の属する世界での大多数の意見が「普通」だと思っていた彼女は、相手を知ることで違ったものの見え方ができるようになっていく。
大野が美奈子の選択を尊重したように、社会(森)には、いろんな普通(音)があって、それらが混ざり合って調和が取れている。
そんな解釈ができるオープニングとラストの森のシーンは素敵でした。
「出る杭は打たれる」文化ではなく「出る杭を理解する」文化にしていきたいものです。
よく考えてみてれば、まともじゃないのは“みんな一緒”なのだから。
まとめ:「普通」じゃない傑作ラブコメ
今回は、『まともじゃないのは君も一緒』をご紹介しました。成田凌さんと清原果耶さんの絶妙な掛け合いが魅力の1本。
皿を褒めるシーンやラストの森のシーンなど、各所にアドリブもあったみたいで、2人の空気感が自然に感じられて心地よかったです。
アドリブであのシーンをできるのはすごいですよね!
そして、私としては小泉孝太郎さんの配役が見事にハマっていたと感じます。ラブホテルのシーンでの「高校生なら先に言ってよ」「退学してるならありでしょ」の流れは最低だけど最高でした。
今後ますます注目されていく主演2人に目が離せません!
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