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Netflix映画『プラットフォーム2』

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ホラー

ネタバレ考察・解説『プラットフォーム2』ラストや子供の意味

今回ご紹介する作品は『プラットフォーム2』です。

どんな映画?

  • 真ん中に「穴」が空いた垂直型の高層施設の刑務所が舞台
  • 2019年公開のスペイン製作のホラー映画の続編

本記事では、Netflix映画『プラットフォーム2』を観た感想・考察、あらすじをネタバレありで解説。

まめもやし
まめもやし

斬新な設定と現代社会へのメタファーで注目された前作の続編。続編も相変わらず気持ち悪いです!

前作『プラットフォーム』は以下の記事で詳しく解説・考察しています。

『プラットフォーム2』作品情報・配信・予告・評価

『プラットフォーム2』

プラットフォーム2

あらすじ

食事の乗った台座が上層から下層へと順番に降りてくる施設「穴」。ここにやってきた住人は皆、何かから逃げている。だが他の住人から逃げることはできない。

5段階評価

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトルプラットフォーム2
原題・英題El hoyo 2
The Platform 2
監督ガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ
脚本ペドロ・リベロ, ガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ, エゴイツ・モレノ, ダビド・デソーラ
主演ミレナ・スミット, ホヴィク・ケウチケリアン
音楽アイトール・エチェバリア
製作国スペイン
配信日2024年10月4日
長さ100分

動画配信サービス

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『プラットフォーム2』監督・スタッフ

監督:ガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ

ガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ
donostiakultura, CC BY-SA 2.0

名前ガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ
生年月日1974年2月17日
出身スペイン・ビルバオ

監督は、前作『プラットフォーム』に引き続き、スペインのガルデル・ガステル=ウルティア・ムニチャ監督が続投しています。前作では、ダンテの代表作『神曲』から大きな影響を受けたことを明かしています。

スペインで権威のあるシッチェス・カタロニア国際映画祭では、『プラットフォーム』で最優秀作品賞、最優秀新人監督賞、最優秀特殊効果賞、観客賞の4つの賞を獲得しました。

『プラットフォーム2』相関図・キャスト・キャラクター解説

キャラクター役名/キャスト/役柄
『プラットフォーム2』ペレンプアン(ミレナ・スミット)ペレンプアン(ミレナ・スミット)
主人公で芸術家。
『プラットフォーム2』ザミアティン(ホビク・ケウチケリアン)ザミアティン(ホビク・ケウチケリアン)
ペレンプアンの同居人。「穴」にはライターを持ち込んでいる。
『プラットフォーム2』ザハバト(ナタリア・テナ)ザハバト(ナタリア・テナ)
ペレンプアンの同居人。ある出来事で片腕を失う。
『プラットフォーム2』ダギン・バビ(オスカル・ハエナダ)ダギン・バビ(オスカル・ハエナダ)
「穴」で厳格なルールを取り仕切るロイヤリストのリーダー。

ネタバレあり

以下では、映画『プラットフォーム2』の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

『プラットフォーム2』はどんな話だった?

Netflix映画『プラットフォーム2』壁に絵を描くペレンプアン
(C)Netflix

『プラットフォーム2』の舞台となるのは、前作と同じ「穴」こと、「垂直自主管理センター(通称“VSC”)」の中です。まずは前作で明かされていた基本的な「穴」でのルールをおさらいします。

「穴」でのルールと特徴

  • 各階には2人の人物が居住している
  • 各部屋にあるのはベッド2台と洗面所・鏡・トイレのみ
  • 毎日1回、0階からプラットフォームに盛られた食事が降りてくる
  • プラットフォームは各階で約2分間止まり、囚人はその間に食事をとる
  • 生存者がいないフロアにはプラットフォームは止まらない
  • 月に1度、囚人たちの部屋替えが行われるが、同房者は変わらない
  • 同房者が変わる場合は、前の同房者が死亡したか、刑期を終えた場合のみ
  • すべての囚人たちは、施設に入る時に1つだけアイテムを持ち込むことができる
  • 食べ物をキープしようとすると、部屋が致命的な温度にさらされる
  • 16歳以下の子供は施設に入居できない

本作の主人公は、ペレンプアンという女性。物語は彼女が24階にいるところから始まります。同居人は体の大きなスキンヘッドの男性、ザミアティンです。物語の序盤では、前作の続編なのか、別の時間軸なのかも明かされず、謎めいた展開が続きます。しかし、前作と同様の「穴」の状況下で、本作では囚人たちが徒党を組み、派閥争いが繰り広げられる様子が描かれています。

映画の冒頭で、「穴」への入居時に囚人は自分の好きな食べ物を申告し、それがプラットフォームで提供される仕組みが説明されます。この設定を背景に、「ロイヤリスト」と呼ばれる者たちが登場。彼らは「穴」の中で厳格なルールを制定し、それに基づいて行動しています。

ロイヤリストが定めたルール

  • 申告した食べ物あるいは交換したもの以外には手をつけないこと
  • ルール違反者には厳しい罰が科される
  • 違反者を捕らるのは、対象者のいる階の2階上までの4人が行う

この厳格な組織を取り仕切るのが、「油を注がれし者」として知られるリーダー、ダギン・バビ。彼はルールに違反した者に対して、腕を切断したり、時には処刑さえ行う冷酷な人物です。

対立する勢力が「バーバリアン」。彼らはロイヤリストのルールに従うことを拒み、好きなものを自由に食べるべきだと主張しています。バーバリアンたちは組織化されてはいないものの、ロイヤリストのルールを無視する個人的な抵抗者として存在し、やがて彼らも徒党を組むようになります。

ロイヤリストたちは厳しいルールの下、食事を平等に行き渡らせようと努力し、その結果、プラットフォームの食事が175階まで届くこともありました。しかし、次第に食事の分配よりも、ルールによる厳格な支配が彼らの主な目的となっていきます。そんな状況に反発したバーバリアンたちとの対立が激化し、物語は緊迫した展開を迎えるのです。

ザミアティンはなぜ焼身自殺したのか

Netflix映画『プラットフォーム2』赤黒いライトの前で立ち尽くすザミアティン
(C)Netflix

ペレンプアンの同居者であるザミアティンは、一見すると凶暴で反抗的な人物です。自分のピザを他人が食べると激怒し、ロイヤリストの厳しいルールを無視しようとする姿からは、彼が力強い存在に見えます。しかし、実際には内心で深い恐怖に怯えているのです。

ザミアティンは、自分を強い人物として装っていますが、上の階にいたバーバリアンがルールを破り、狂信的なロイヤリストであるロベスピエールがプラットフォームに乗って降りてくると、彼の態度は一変します。「暴力はやめよう」と怯えた表情を見せ、恐怖に支配されるのです。

彼はかつて大学で数学を研究していたと語り、「-1の平方根」、つまり「虚数」を例に挙げます。虚数のような想像上の数字を人間が受け入れることに絶望し、その結果、研究の道を諦めたと話します。しかし、これは彼の偽りの姿の一端に過ぎません。

入居時の面接で、ザミアティンは自分が子供たちを置き去りにし、両親の家を放火したと告白しますが、これもまた彼の作り話です。実際には、彼は16歳で学校を中退し、事業に次々と失敗して、妻子に家を追い出されました。両親にとっても厄介者となり、最終的に更生を願った家族によって「穴」に送り込まれたのです。

ザミアティンは「穴」に入ってからも、嘘と虚飾にまみれた自分を演じ続け、空虚な人生を誤魔化していました。24階ではロイヤリストのルールを破り、廃棄されるはずの食事を密かに盗み食いしていたところを上の階の人間に目撃されます。そして配置換えによって180階に落ちたとき、食事が得られず、ついに精神的・肉体的に限界を迎えることとなります。

ペレンプアンはルールを破ったザミアティンをかばおうとしますが、彼は自分の虚偽に満ちた人生に深い後悔を抱きます。最終的に、ザミアティンは焼身自殺という形で、自らを罰することで自分の人生の嘘に終止符を打ったのです。

ペレンプアンが「穴」に来た理由と結末

Netflix映画『プラットフォーム2』正面を見つめるペレンプアン
(C)Netflix

『プラットフォーム2』の主人公、ペレンプアンは、「穴」での過酷な生活を通じて次第に考え方が変わっていく様子が描かれます。物語の初め、彼女は多くの人が平等に食事を取ることを願い、ロイヤリストの定めたルールに従って生活していました。しかし、物語が進むにつれて、ロイヤリストたちが平等よりも厳格なルールによる支配を重視していることに気づき、ペレンプアンの信仰心は次第に薄れていきます。

ザミアティンが180階で焼身自殺した後、ペレンプアンは51階で新たな同居者サハバトと出会います。この出会いが彼女の行動を大きく変えるきっかけとなります。サハバトはかつて、ロイヤリストの厳格なルールに従っていましたが、飢えに苦しむ囚人に食べ物を分け与えたことが発覚し、リーダーのダギン・バビによって左腕を切断され、抵抗した同居者ケカシが殺されたことを語ります。

さらにサハバトは、ペレンプアンに「穴」からの脱出方法が存在することを教えます。それは、毎月の配置換え時に催眠ガスを避け、死体に紛れて管理者に運んでもらうという計画でした。ペレンプアンとサハバトは眠らない方法を探るために行動を開始しますが、ルール違反が露見し、ペレンプアンはダギン・バビに片腕を切断され、サハバトは吊されるという悲劇に見舞われます。

その後、72階で新たな同居者となるのはトリマガシ。彼は前作『プラットフォーム』でゴレンの同居人として登場しており、ここで本作が前作の前日譚であることが明らかになります。

ペレンプアンは、ダギン・バビに対抗するため、台座に乗って下へ降りていき、バーバリアンたちを集めながら反逆の計画を進めます。しかし、彼女の本当の目的はロイヤリストとの対決ではなく、「穴」からの脱出方法を探ることにありました。

93階に到達したペレンプアンは、サハバトが語っていたゴヤの絵画「砂に埋れる犬」を発見します。その後、ロイヤリストとバーバリアンが激しい血みどろの戦いを繰り広げ、ペレンプアンは生き延び、ついに脱出計画を実行します。彼女は「砂に埋れる犬」の絵画を刻んで口に含み、毒性のある油絵の具を摂取することで催眠ガスの効果を避け、死者に紛れることに成功します。

しかし、ペレンプアンの予想に反し、死体は最上階ではなく、最下層の333階よりもさらに下に運ばれていることが明らかになります。ペレンプアンはその途中で、333階のベッドに運ばれる少年を目撃し、彼を救おうと決心します。しかし、救出の途中で頭を打って気絶し、目を覚ますと、プラットフォームに乗ったまま333階よりもさらに下に到達してしまいます。

そこで、彼女は別の人々が存在しており、彼らは人を食べているようでした。彼らの一人に「あなたの旅は終わりだ」と告げられると、プラットフォームは少年だけを乗せて上昇していき、ペレンプアンはその地下に取り残される形で物語は幕を閉じます。

333階の子どもとミハルの正体

本作では、滑り台が設置されたピラミッド型の遊具で遊ぶ子どもたちの様子が、映画の中で繰り返し描かれています。子どもたちは「穴」の囚人たちと同じ服を着ており、最初は無邪気に遊んでいますが、やがてピラミッドの頂上を巡って争いを始めます。

その中で、ある少年がピラミッドの頂上に立つことに成功すると、彼の前に前作の登場人物であるミハルが現れ、彼に何かを囁きます。すると、少年はミハルに連れられて333階のベッドへと運ばれていきます。このシーンにより、ミハルはVSCの管理側の一員であり、子供たちを選び出して333階へ送る役割を担っていることが示唆されます。

また、子どもたちの中には、前作でゴレンがラストに出会ったアジア系の少女の姿も確認できます。これにより、ミハルが管理側の人間でありながら、そのシステムに疑問を抱き、自ら「穴」に入居して子どもたちを救おうと試みていたことが暗示されています。

ミッドクレジットシーンでは、333階よりもさらに下へと降りた囚人たちが映し出され、彼らの多くが子どもと一緒にいる様子が描かれます。このシーンから考察すると、333階の子どもは、「穴」から脱出しようとする囚人たちの罪悪感を刺激し、彼らを止めるための存在であると推測できます。

ペレンプアンやザミアティンを含む多くの入居者が、面接時点で何らかの罪悪感を抱えていたことからも、「穴」はその罪悪感を利用して囚人たちの脱出を阻止していると考えられます。つまり、333階の子どもは、囚人たちが自らの罪を贖おうとすることで「穴」からの脱出をあきらめるよう仕向けられているのです。まさに「更生」のための施設です。

この仕組みによって、誰も「穴」から逃げ出すことはできないという絶望的な現実が浮き彫りにされます。

ペレンプアンと前作の主人公ゴレンは恋人だった?

芸術家であるペレンプアンは、残酷な動物をテーマにした展示会で「獰猛な犬」を表現した彫刻を出展しました。彫刻の爪は鋭利な刃物で作られており、展示を安全柵で囲うことが提案されましたが、彼女はそれを拒否します。

恋人が息子を連れて展示会を訪れた際、息子が彫刻の近くで駆け回り、誤って躓いたことで爪が彼の目に突き刺さるという悲惨な事故が起こってしまいます。

この事故は、皮肉にもペレンプアンの芸術家としての知名度を一気に高めることになりましたが、彼女はその事故による罪悪感に長く苦しむことになります。彼女の作品は注目され、評価された一方で、彼女自身は心の中でその出来事を引きずり続けることとなりました。

ミッドクレジットシーンでは、ペレンプアンとゴレンが抱擁するシーンが描かれます。この場面は、2人がかつて恋人同士であったことを示唆しています。さらに、このシーンから、ペレンプアンの彫刻によって負傷したのがゴレンの息子であったことが想像されます。

前作『プラットフォーム』では、ゴレンが自ら志願して「穴」に入ったことが描かれていますが、その理由は恋人であるペレンプアンに会うためだった可能性が高いでしょう。

結局、何が言いたい映画だったのか

『プラットフォーム2』は、前作と同様に不気味で不安を煽る物語を通して、メタファーに満ちた作品です。前作が資本主義や格差社会のメタファーを描いていたのに対し、本作では、システムと権力構造へのメタファーが色濃く感じられます。

VSC(垂直自主管理センター)内で、囚人たちが独自に定めたルールを厳格に守る様子は非常に象徴的です。しかし、ダギン・バビが象徴するように、そのルールは次第に権力へと歪み、平等を守るための秩序だったはずのものが、最終的には崩壊し、混沌に陥っていきます。この過程は、権力が平等を掲げながらも、結果的に腐敗してしまうシステムの現実を描いています。

また、映画の中で差し込まれる子どもたちのピラミッド型遊具での遊びも、同じように混沌とした状況を反映しています。最初は楽しく遊んでいる子どもたちが、いつの間にか頂上を目指して奪い合いを始め、頂上に立った子どもは「穴」の最下層として利用されることになります。これは、社会の権力構造がいかに有害であるかを示し、そこから逃れることができない現実を強調しています。

イモギリやミハルのように、システムの有害さに気づいた者たちは、「穴」に入って変革をもたらそうとしますが、結局はそのシステムに取り込まれ、抜け出すことはできません。この点で、本作は前作と同じく、社会に対する鋭い批評を続けています。

しかし、正直に言うと、『プラットフォーム2』の感想としては、あまり楽しめなかったというのが本音です。前作が斬新なアイデアと強烈なメタファーで注目を集めたのに対し、本作はその舞台にさらにメタファーを重ね、前作と似た展開が終盤まで続きます。そのため、前作を初めて鑑賞した時ほどの衝撃やインパクトは感じられませんでした。

ロイヤリストとバーバリアンの対立を描きながら、主人公がその状況を利用して「穴」から脱出しようとする一方で、彼女の罪悪感や贖罪も描いていますが、メタファーがあちこちに拡散され、何が本当に描きたいテーマなのかが不明瞭でした。続編として期待していた分、前作の焼き直しのような印象を受けたのが残念でした。

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