今回ご紹介する映画は『ショーシャンクの空に』です。
フランク・ダラボン監督がスティーブン・キングの原作を映画化。冤罪で投獄された主人公が刑務所の中で希望を捨てずに生き抜く姿を描いたヒューマンドラマ。
本記事では、ネタバレありで『ショーシャンクの空に』のあらすじや内容の解説、テーマの考察をしていきます。
言わずと知れた傑作映画です!
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『ショーシャンクの空に』の作品情報とおすすめ度
『ショーシャンクの空に』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
妻とその愛人殺しでショーシャンク刑務所に収容された無実のアンディ。粗暴な刑務主任や囚人からの暴力を受けながらも、調達屋のレッドとの友情や、元銀行家の手腕を生かして信頼を勝ち得ていくが……。
作品情報
タイトル | ショーシャンクの空に |
原題 | The Shawshank Redemption |
監督 | フランク・ダラボン |
脚本 | フランク・ダラボン |
出演 | ティム・ロビンス モーガン・フリーマン ボブ・ガントン ウィリアム・サドラー クランシー・ブラウン ギル・ベローズ ジェームズ・ホイットモア |
撮影 | ロジャー・ディーキンス |
音楽 | トーマス・ニューマン |
編集 | リチャード・フランシス=ブルース |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1994年 |
上映時間 | 142分 |
予告編
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おすすめポイント
どんな時でも、希望を忘れるな。
フランク・ダラボン監督がスティーブン・キングの原作を映画化。冤罪で投獄された主人公が刑務所の中で希望を捨てずに生き抜く姿を描いたヒューマンドラマ。
演技、音楽、映像、演出、脚本、すべてが完成されていて、何度観ても心を動かされる。
どれだけ絶望の淵に立っていても、「必死に生きるか、必死に死ぬか」は選択できるんだ。
『ショーシャンクの空に』登場人物・キャラクター
キャラクター | 役柄 |
---|---|
アンディ・デュフレーン (ティム・ロビンス) 妻とその愛人を殺した罪で終身刑となった元銀行員。 | |
エリス・ボイド・“レッド”・レディング (モーガン・フリーマン) ショーシャンク刑務所の調達屋。 | |
サミュエル・ノートン (ボブ・ガントン) 残酷で無慈悲なショーシャンク刑務所所長。 | |
ヘイウッド (ウィリアム・サドラー) レッドの仲間。 | |
バイロン・ハドリー (クランシー・ブラウン) 暴力をいとわない主任刑務官。 | |
トミー・ウィリアムズ (ギル・ベローズ) 強盗で投獄された若き囚人。 | |
ブルックス・ヘイトレン (ジェームズ・ホイットモア) 図書係を務める老囚人。カラスを雛から育てる。 | |
ボグズ・ダイアモンド (マーク・ロルストン) 刑務所のレイプ犯グループ“シスターズ”のリーダー。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】『ショーシャンクの空に』あらすじ内容
先に大まかな流れを説明しておきます。
- アンディ、無実の罪で終身刑となる
- ショーシャンク刑務所と調達屋レッド
- 屋上作業とビール
- 刑務所のリタ・ヘイワース
- 『フィガロの結婚』
- 新入り囚人トミー
- 冤罪で20年も…
- 人生で一番長い夜
- アンディの脱獄
- アンディとレッドの再会
以下では、映画の詳しいあらすじを解説していきます。
アンディ、無実の罪で終身刑となる
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
映画は、神妙な面持ちをした男が、車の運転席で拳銃を手にしてウイスキー瓶を口に運ぶ姿から始まる。
1947年のメイン州ポートランド。若くして銀行の副頭取を務めるアンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)は、妻と、愛人だったプロゴルファーの男を殺害した罪で裁判にかけられていた。
アンディは無実を訴え続けるが、終身刑の判決を言い渡されてしまう。彼は悪名高きショーシャンク刑務所に収監される。
ショーシャンク刑務所と調達屋レッド
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
“レッド”こと、エリス・ボイド・レディング(モーガン・フリーマン)は、殺人罪で20年間収監されている。仮釈放のための面接では却下されていたが、さほど気にしていない。レッドは刑務所の調達屋でもあり、可能な範囲で受刑者の望むものを何でも手に入れることができた。
ショーシャンクに、新入りの収監者たちがやってくる。レッドら囚人たちは、新入りの誰が最初に弱音を吐くかで賭けをしていた。消灯後、囚人たちにからかわれた新入りの囚人が泣き崩れると、やって来た看守長のハドリー(クランシー・ブラウン)から過剰な暴力を受ける。
翌朝、アンディら受刑者たちは、手当を受けられなかった新人が医務室で死亡したことを知らされる。
屋上作業とビール
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
1ヶ月が経ち、人を避けていたアンディはレッドが調達屋であることを知り、声をかける。アンディはレッドにロックハンマーを手配するように頼む。レッドはアンディがボグズ(マーク・ロルストン)をリーダーにする“シスターズ”と呼ばれるレイプ犯のグループに狙われていることを警告する。
その後2年間、アンディは刑務作業に打ち込む一方で、“シスターズ”に性的暴行を受け、抵抗するために生傷が絶えない生活を送ることになる。
ある日、刑務所は屋根の修復作業に参加する囚人を募集し、レッドが裏で手を回してレッドの仲間ヘイウッド(ウィリアム・サドラー)や、アンディも参加することになる。屋上での作業中、アンディは、ハドリーが遺産相続のために税金を支払わなければならないと不満を漏らしているのを耳にする。
アンディは銀行員としての知識を活かし、合法的に税金を回避する方法を教えて書類作成を申し出て、その対価として仲間たちはビールを飲むことができた。
刑務所のリタ・ヘイワース
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
刑務所での映画上映会で、アンディはレッドに女優のリタ・ヘイワースを手配するように依頼する。その後、アンディは再びボグズらに襲われてしまう。激しく抵抗してレイプされずに済んだものの、全治1ヶ月のケガで医務室に運ばれる。
一方、ボグスは独房に移されて過ごした。彼が出てくると、部屋にハドリーら刑務官が待ち構えており、徹底的な暴行を受け、ボグスは刑務所病院へ送られて車椅子生活を余儀なくされる。シスターズは、それ以降アンディに二度と手出しすることはなかった。
アンディがケガから復帰すると、刑務所長のノートン(ボブ・ガントン)の独房検査が行われる。聖書を好むノートンは、アンディが精読していることを知り、持ち込み違反のリタ・ヘイワースのポスターを貼っていることを咎めずに目を瞑る。
アンディはその後、老囚人のブルックス(ジェームズ・ホイットモア)と共に刑務所の図書室で働くことを任命される。刑務官たちはアンディの財務才能を見込み、そこから数年間に渡り、アンディは次々と金銭的な相談を持ちかけられたり、財務申告を手助けすることになる。
さらにアンディは、刑務所の図書室を拡張するため、メイン州に支援を依頼する手紙を毎週書き続けていた。
『フィガロの結婚』
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
1954年、ブルックスは仮釈放が決まるも、取り乱してヘイウッドを殺すと脅していた。アンディが説得して止めて事なきを得るが、レッドは50年も刑務所内で過ごしたブルックスが、刑務所の外の生活に恐れる気持ちを理解していた。
ブルックスは仮釈放され、刑務所が支援する家とスーパーの仕事を与えられる。しかし、生活に馴染めず、「ブルックス、ここにありき」の文字を梁に刻み、首吊り自殺をする。彼の最期の手紙でそれを知ったレッドは「ここ(刑務所)で死ぬべきだったんだ」と漏らす。
アンディが手紙を書き続けて6年、メイン州は刑務所図書室に古書や蓄音機などを贈与する。レコードの中から「フィガロの結婚」を見つけたアンディは、放送室に閉じこもり刑務所内にレコードを再生して響かせる。
僅かな間だったが、囚人たちは音楽に聴き入り、解放感を感じていた。しかし、怒ったノートンとハドリーに止められ、アンディは2週間独房に入れられた。
独房から戻ったアンディは、希望が持つ力を話すが、レッドは「希望は危険だ」と主張する。レッドが収監されて30年が経過していた。再び仮釈放の面談を受けるが、10年前と全く同じ言葉を使い、仮釈放は却下される。
アンディも収監して10年が経ち、アンディはレッドに30年記念でハーモニカを贈る。対してレッドはマリリン・モンローのポスターを贈って返す。
新入り囚人トミー
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
1963年、アンディは州に手紙を送り続けていた結果、年間の予算枠を与え、新たな図書館を刑務所内に建設することになる。資料も拡充され、娯楽や教養を得る場となった。一方、ノートン所長は、囚人たちの更生を名目に、刑務所の外での作業に参加させ、その裏で競合に競り勝つ仕組みを作ったり、賄賂を受け取っていた。
アンディは「ランドール・スティーブンス」という架空の人物を創り出し、ノートンの不正取得金を資金洗浄し、隠蔽する役割を担っていた。
1965年、ショーシャンクに泥棒による2年の刑で若い囚人トミー(ギル・ベローズ)がやってくる。気さくな性格のトミーはレッドやアンディともすぐに打ち解けた。妻子を持つトミーは、更生を望み、アンディに高卒資格を手伝ってくれるように申し出る。
1年が経過し、この頃にはアンディの獄中のポスター女優はラクエル・ウェルチに変わっていた。
冤罪で20年も…
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
ある時、アンディが妻と愛人殺しで収監されていることを聞いたトミーは、驚いた様子を見せる。トミーは前にいた刑務所で同室だったエルモという男が、プロゴルファーの男と愛人を殺し、代わりに夫だった銀行員が捕まったという自慢話をしたのだという。
その話を聞いたアンディはノートン所長にトミーを証人として裁判を起こしたいと持ちかけるが、ノートンは非協力的だった。アンディはノートンのために行った資金洗浄は絶対に明かさないと誓うが、ノートンは激怒し、1ヶ月の独房生活を言い渡す。
囚人たちは、これまでで最長の独房生活が命じられたことに驚き、レッドはアンディが無実の罪で20年近くも刑務所にいることを知る。そんな中、トミーが高卒認定に合格した知らせを受ける。
ある夜、トミーはノートン所長に呼び出される。ノートンはトミーがアンディに言ったことが間違いないことかを確かめると、近くにいたハドリーに命じてトミーは射殺される。
ノートンは独房のアンディに、トミーが脱獄しようとして殺されたことを伝え、引き続き自分の元で働くように言うが、アンディが嫌がると、さらに1ヶ月の独房生活を言い渡す。
人生で一番長い夜
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
アンディが独房から出ると、レッドとの会話の中で、自分が妻をどれだけ愛していたかを話していた。さらに、刑務所を出た後、メキシコの太平洋岸にある「ジワタネホ」というビーチで仕事をしたいと伝え、レッドを誘うのだった。
レッドは希望を持てば身を滅ぼすと伝えるが、アンディは「必死に生きるか、必死に死ぬか」と答え、去り際に、仮釈放されたらメイン州バクストンにある大きなオークの木の下にある黒曜石に探すように伝える。
レッドはアンディの精神状態がおかしくなったと感じ、ヘイウッドにロープを頼んでいたことも知り、自殺ようとしているのではと心配していた。その夜、レッドはアンディが不安で、「人生で一番長い夜だった」と語る。
翌朝、看守が点呼をすると、アンディが房から出てこず、怒った看守がアンディの房へ向かうと、そこにはアンディの姿はなかった。ノートンが駆けつけ、アンディと親しかったレッドを問い詰めるが、レッドは何も知らないと言い張る。
怒ったノートンがアンディが作った石の彫刻を房に貼ってあるラクエル・ウェルチのポスター目掛けて投げつけると、石はポスターを貫通する。ノートンがポスターを剥がすと、房内には人が抜け出せるほどの大きな穴が空いていた。
アンディの脱獄
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
レッドが語るフラッシュバックにより、アンディが20年に渡り、ロックハンマーで壁を掘り続けていたことが明かされる。地質学に精通していたアンディは、壁の材質が穴を掘れることに気づいて、穴を隠すためにレッドからポスターを取り寄せていた。
1966年、アンディは脱獄に成功する。房内に開けた穴から下水道を通り、ノートンの部屋から持ち出した書類を袋に入れて足にロープで結び、刑務所から脱出する。激しい雨の中、アンディは両手を上げて脱獄を噛みしめる。
その後、アンディはノートンの金を預けていた銀行へ向かい、自分が作り上げた架空の人物「ランドル・スティーブンス」を名乗り、ノートンが不正に溜め込んでいた37万ドルを手に入れる。さらに、アンディはノートンの不正帳簿の証拠とハドリーの殺人を新聞社に送り付け、ほどなくして警察がショーシャンク警察署へ現れる。
ハドリーは逮捕され、ノートン所長は金庫の中身がアンディに入れ替えられていることに気づく。警察が所長室に迫り、追い詰めれられると、ノートンは拳銃で頭を撃ち抜いて自殺する。
アンディとレッドの再会
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
ノートンの死後、レッドは差出人不明のテキサス州フォート・ハンコックからの絵葉書を受け取る。メキシコの国境に近いその町からの手紙で、アンディが自分の計画を実行していることに気づいてレッドは嬉しくなっていた。
同時に、アンディが去った後の刑務所では仲間たちとアンディの話で盛り上がるが、レッドは寂しさを感じていた。
1967年、レッドは刑務所生活40年目となり、仮釈放の面談が行われる。レッドはこれまでと違い、過去の自分の行動をいかに後悔しているかを切実に語り、ようやく仮釈放が許可される。刑務所を出たレッドは、ブルックスと同じ部屋に住み、同じ仕事をして、彼が最期に残したメッセージも見つけていた。
ブルックスと同様に、慣れない社会での生活に嫌気が差すも、アンディとの約束を思い出し、アンディ言っていたバクストンへ向かう。アンディの言う通り、そこには大きな木のもとに黒曜石があり、その場所に隠された小箱には、多額の現金と、アンディからの手紙が入っていた。
その手紙でアンディはレッドの仮釈放を祝い、ジワタネホに来て一緒に仕事をしてほしいと書かれていた。レッドはブルックスが遺したメッセージの隣に自分の名前も刻み、アンディが語る希望の力を理解し、フォート・ハンコックからメキシコへ向かう。
そしてついに、青く美しいジワタネホの太平洋のビーチで、アンディとレッドは再会を果たす。
【ネタバレ感想・考察】「希望」にみるアンディの人生哲学
『ショーシャンクの空に』は、刑務所という閉鎖的で絶望的な場所を舞台にした希望と自由の物語です。
主人公はアンディですが、本作は刑務所を舞台にした囚人たちのそれぞれの価値観の違いが印象的。中でも、アンディ、レッド、ブルックスの3人に絞って考えていきます。
- アンディの希望と人生哲学
- ブルックスはなぜ自死を選んだか
- レッドの心の変化
アンディの希望と人生哲学
主人公のアンディは、無実の罪によって終身刑を宣告され、彼に待ち受ける受難は絶望と苦しみに満ちています。しかし、それでもアンディは希望を捨てず、必死に生きることにしがみつくのです。
必死に生きるか、必死に死ぬか。
Get busy living, or get busy dying.
映画史に残る名言でもある、この台詞。伝えたいことを簡単に言えば、「人生を無駄に生きるな」ということ。
言葉の表面的には、自分の人生の主導権は自分がしっかりと握り、無駄に過ごしてはいけないという教訓を教えてくれます。
アンディは、希望の重要性を語りましたが、彼自身に訪れる苦難は計り知れないものがありました。無実の罪で終身刑となり、刑務所ではレイプされたり、所長にこき使われたり。
それでも彼が希望を捨てなかったのは、「希望=生きる目的」を必死に見出していたからだと思います。
さらに、アンディはただ「希望」を持っていたわけではありません。彼は、希望を持ちつつ、それを実現するための行動をコツコツと実直に行っていました。
アンディがショーシャンク刑務所にやって来た時、彼は間違いなく絶望の淵にいたと思います。そんな彼が最終的に刑務所の壁に小さなロックハンマーで穴を開けて脱獄したこと、雨の中で自由を獲得した姿には、高揚感とカタルシスを感じます。
20年もの間、無実の罪で刑務所生活をしたアンディ。一体なにが、彼の希望となり支え続けたのか。
That's the beauty of music. They can't get that from you…
音楽は決して人から奪えない。
『フィガロの結婚』を流した後、独房生活を余儀なくされるアンディでしたが、彼は「(心の中で)モーツァルトを聴いていた」と話していました。それが暗闇と向き合うだけの独房生活であっても。
- 屋上でビールを仲間に与えたこと
- 『フィガロの結婚』を刑務所中に響かせたこと
- 図書館増築のために手紙を出し続けたこと
- トミーの高卒認定に協力したこと
アンディがこれらの行動をした背景には、囚人たちに、人間としての根本的な自由を思い出させるための行動でした。刑務所という閉鎖空間で、一時でも壁を忘れさせる体験をもたらしたのです。
無実の罪で投獄されたのはアンディだけで、囚人たちすべてが悪いことをして刑務所に入っているのは間違いないです。それでも、アンディは人間としての尊厳を忘れさせず、希望を見出すことを選択することができることを囚人たちに示していたのです。
人生において、誰もが絶望や困難に直面するときがあります。「必死に生きるか、必死に死ぬか」どんな場合でも私たちには常に選択することができる。アンディは身をもってそれを証明してくれたのです。
ブルックスはなぜ自死を選んだか
(C)1994 Castle Rock Entertainment. All Rights Reserved.
50年も刑務所生活を送る老囚人のブルックスは、仮釈放された後、どうやって生きたら良いのか分からず、自分の居場所を見失い、自殺してしまいました。
ブルックスが仮釈放となるシーンでは、外の世界から刑務所側を映す構図になっています。
塀ってのは面白いものさ。最初は憎み、しだいに慣れて、時間が立つとしがみつくようになる。
These walls are funny. First you hate 'em, then you get used to 'em. Enough time passes, you get so you depend on them.
ブルックスの気持ちを理解していたレッドは上記のように語り、“施設慣れ”したと言っています。
囚人にとって社会と分断し、苦しみを感じさせる場所である塀の中ではなく、仮釈放されて苦しみを感じる必要のない社会で苦しむ姿は皮肉そのもの。
ブルックスはカラスのジェイクを雛の状態から育てていて、自分が仮釈放する時、ジェイクに「お前はもう自由の身だ」と言って空に解き放ちました。
刑務所図書館の司書として、囚人たちに本や調達屋を通して物品を届けたりする役割のブルックスでしたが、社会に出てからは自分の居場所を見つけられませんでした。
それでも社会に自分がいたことを証明するかのように、「ブルックス、ここにありき」と名前を刻み、生きた証を残しました。
ブルックスとって、社会で新たに人生の意味を見つけて社会で適応するには歳をとりすぎていました。仮釈放されて自由の身になっても苦しみから解放されない彼は、死ぬことで自由になれると思ったのです。
レッドの心の変化
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『ショーシャンクの空に』の主人公はアンディですが、劇中、モノローグで視聴者を導くのはレッドでした。
アンディが一貫したキャラクターだったのに対して、レッドは明確な内面の変化が見て取れるので、感情移入もできるキャラクター造形と鳴っています。
それは仮釈放の面談シーンでも明確に描かれています。レッドの仮釈放面談は3回描かれます。
1回目は、更生したと目を泳がせながらあっけらかんと説得しようとし、2回目は、1回目と全く同じ言葉を使いながらも目線は下を向き、諦めの表情。3回目は、真っ直ぐに面接官を見つめ、正直な言葉を語ります。
レッドの表情や目線を通して、明確に変化が見て取れるのです。アンディが訴える希望に対し、レッドは「希望は危険だ」と言いました。
希望を持つから絶望する。2回目の仮釈放面接はそれを象徴するような諦めの表情に満ちています。しかし、それがアンディという一人の男が地道に積み上げ、自ら証明したことを目の当たりにして変化していきます。
レッドが仮釈放されるシーンでは、ブルックスとは対照的に、カメラは刑務所側から外の世界へ映す構図となっています。
仮釈放後のレッドは、ブルックスと同じ生活をたどります。ブルックスと同じ道を選ぶか、アンディの約束を信じるか。まさに「必死に生きるか、必死に死ぬか」、レッドはアンディとの約束を選びました。
「国境を超えられるといい、アンディと会って握手できるといい、海が夢で見たくらいに青いといい」。
希望を危険と語っていたレッドは、最後のモノローグで、「I hope〜」と繰り返して希望を胸に語ります。
『ショーシャンクの空に』は実話?
『ショーシャンクの空に』は、しばしば実話なのかという話題が持ち上がります。『ショーシャンクの空に』は、スティーブン・キングの原作『刑務所のリタ・ヘイワース』を原作とした物語で、実話ではありません。
『刑務所のリタ・ヘイワース』は、スティーブン・キングの『恐怖の四季』の春の物語として収められています。
スティーブン・キング『恐怖の四季』
- 『刑務所のリタ・ヘイワース』春
- 『ゴールデンボーイ』夏
- 『スタンド・バイ・ミー』秋
- 『マンハッタンの奇譚クラブ』冬
登場するショーシャンク刑務所は、オハイオ州マンスフィールドにある「オハイオ州立少年院」という実在する建物を舞台としています。
ゴシック建築による石とレンガでできた建物で、3年前の1990年に非人道的な生活環境を理由に閉鎖されていました。撮影で使われてから取り壊される予定でしたが、観光名所となりました。
photo by Nicolas Henderson
東棟の監獄は、6階建ての独立した鉄骨造の監獄として世界最大を誇っています。
『ショーシャンクの空に』の曲・音楽
ここでは、映画『ショーシャンクの空に』で使用された楽曲を紹介していきます。
The Ink Spots(インク・スポッツ)の「If I Didn't Care」
映画の冒頭で流れいる楽曲。それがアンディが車に乗って妻と愛人のいる家に向かうか葛藤する場面でカーステレオから流れいていたものだと分かります。
The Ink Spotsは、アメリカで1930~1940年代に人気を博したボーカルグループ。1954年に解散。1989年には、ロックの殿堂ロックへの影響源となったアーティストたちに送られるアーリー・インフルエンス部門を受賞。
代表曲でありデビュー・シングルが本作で使われた『If I Didn't Care』。『レイジング・ブル』や『ブレードランナー』でも使用されており、ゲーム『Fallout』シリーズではThe Ink Spotsの楽曲が多く使用されています。
リタ・ヘイワース『Put The Blame On Mame』
刑務所で映画『ギルダ』を観る囚人たちのシーン。アンディがレッドにリタ・ヘイワースを依頼するシーンでもあり、『ギルダ』の中で流れている曲は『Put The Blame On Mame』。
アメリカの歌手、アラン・ロバーツとドリス・フィッシャーによる曲で、『ギルダ』でリタ・ヘイワースによって歌われました。
このシーンでは、囚人たちは息を呑むようにスクリーンに見入っています。
オペラ『フィガロの結婚』
アンディが州から贈与されたレコードの中から見つけて刑務所の放送システムをジャックして流すのが『フィガロの結婚』。
フランスの劇作家ボーマルシェが1778年に書いた戯曲で、それをもとにモーツァルトが1786年に作曲したオペラ。流されたのは、二重唱(デュエッティーノ)。
レッドはモノローグで以下のように語ります。
あのイタリア人女性が何を歌っていたのか、まったく分からない。本当は知りたくもないんだ。
知らない方がいいことだってある。
でも彼女が歌っていたのは、よほど美しい内容の歌なんだろう。心が震えるほどの。
この豊かな歌声が我々の頭上に優しく響き渡った。
美しい鳥が訪れ、塀を消すかのようだった。
このシーンでも、リタ・ヘイワースのシーン同様に、刑務所に静寂が訪れ、刑務所にいる人間がすべて同じ方向(スピーカー)を向いて聴き入りました。
本作で登場する『フィガロの結婚』のオペラを歌っているのは、ドイツ生まれのオーストリア人ソプラノ歌手グンドゥラ・ヤノヴィッツと、スイス人ソプラノ歌手エディト・マティス。
ヤノヴィッツはベルリン・フィルの終身指揮者・芸術監督のカラヤンと何度も組んだ世界的オペラ歌手で、マティスはモーツァルト作品の寵児と言われる第一人者。
ハンク・ウィリアムズ『Lovesick Blues』
アンディが『フィガロの結婚』を流して独房生活から帰ってきた後、ヘイウッドが「今度はハンク・ウィリアムズの曲を流してくれよ」と言っていました。
その後、拡充された図書館にはレコードブースができて、ヘイウッドは念願が叶い、ハンク・ウィリアムズの楽曲『Lovesick Blues』を聴くことができました。
ハンク・ウィリアムズは、カントリー音楽の歴史において重要な人物のひとり。29歳の短命な生涯でしたが、ビルボード・チャートで11曲が首位を獲得したほど人気を博しました。
『Willie and The Hand Jive』
トミーが新たにショーシャンク刑務所にやってくる時に流れているのが、ジョニー・オーティスの『Willie and The Hand Jive』。
ジョニー・オーティスは、1930年代後半から活動を始め、ミュージシャンとしての成功、プロデューサー、興行師、DJ、テレビタレント、牧師と多方面で活躍し、「R&B界のゴッドファーザー」という異名を持つほどの大物になった歌手。
『A Mighty Fortress Is Our God』
アンディが脱獄した刑務所での最後の夜、ノートンが仕事を終えて立ち去る時に口笛を吹いているのが『A Mighty Fortress Is Our God』です(日本では『神はわがやぐら』として知られています)。
明確な作曲者はドイツの神学者マルティン・ルターが作った曲で、賛美歌として礼拝時にもよく歌われている楽曲。
まとめ:必死に生きるか、必死に死ぬか。
今回は、フランク・ダラボン監督、スティーブン・キング原作の『ショーシャンクの空に』をご紹介しました。
当時は『パルプ・フィクション』や『フォレスト・ガンプ』など、映画史に残る名作が同時期に公開されたこともあり、興行的には振るいませんでした。
一方で、史上最高の映画との呼び声も高く、世界最大の映画データベースサイト「IMDb」において、今なお最も高い評価に君臨する映画でもあります。
主人公アンディの希望を忘れないで行動し続けるひたむきさと、たとえ悪いことをした囚人たちであっても、映画や音楽など、人間であることの喜びを忘れさせない芸術面での豊かな心をもたらすことを描きました。
だからこそ、映画の中のフィクションを超えて、映画という芸術として私たちの心も届き、深く愛される映画になったのだと思います。
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