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【ネタバレ感想】映画『はじまりへの旅』チョムスキーって誰?

今回ご紹介する映画は『はじまりへの旅』です。

 

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでもおなじみ、ヴィゴ・モーテンセンが現実世界に抗って暮らす一家の父親を演じた作品です。

 

作品情報

原題Captain Fantastic
監督マット・ロス
出演ヴィゴ・モーテンセン
フランク・ランジェラ
ジョージ・マッケイ
サマンサ・アイラー
製作国アメリカ 
製作年2016年
上映時間119分

監督のマット・ロスという方、聞いたこと無いなと思っていたら、『12モンキーズ』『フェイス/オフ』などに出演している俳優だったんですね。知りませんでした。

 

本作は世界三大映画祭の一つ、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で監督賞を受賞しています。

 

世界三大映画祭について知りたい方は、世界三大映画祭とは?カンヌ・ベルリン・ヴェネツィア最高賞のおすすめ作品。という記事を読んでみてください。

あらすじ

あらすじ

ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供たちは、アメリカ北西部の深い森の中で暮らしていた。

子どもたちは父の毎日の訓練の影響で、アスリート並みの体力と本から得た知力をもっていた。

ある時、町で入院していた母・レスリーが亡くなったことを知ると、一家は葬儀のため、そして母の最後のある“願い”を叶えるため森を出ることに。

しかし葬儀の行われるニューメキシコまでは2400キロも離れた場所にあり…。

映画『はじまりへの旅』に出てくるチョムスキーって誰?

出典:https://www.imdb.com/

本作で、ベン一家が崇拝する対象として登場するのが、ノーム・チョムスキーです。

 

正直、「チョムスキーって誰だよ」と感じる人も多いと思いますので、簡単にご紹介します。

ノーム・チョムスキー(1927年12月7〜)

  • アメリカの言語学者
  • ベトナム戦争以来、アメリカの外交政策を批判する活動を続ける
  • 常識や無批判で受け入れられる定説に異を唱えて危機感を提示

 

 

本作では、チョムスキーの誕生日(12月7日)を家族の祝日と決めて、お祝い事をしています。

 

これがどいう言うことがというと、予め決められ疑いもなく過ごしているカレンダー上の祝日という行事に対する皮肉を描いています。

映画『はじまりへの旅』のネタバレ感想

出典:https://www.imdb.com/

 

※以下映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

HPやパンフレットにも大きく書かれている、「普通ってなんですか?」という言葉。

 

普通というものは難しいもので、普通と思っていたことが、人や地域、生まれた国によって違ってくることがあります。それでは何をもって普通とするのでしょうか。

 

この映画ではその「普通」との壁に対面する家族を描いています。

 

ベン一家が妹夫婦の自宅を訪れるシーンは印象的でした。

ベンの妹は森での生活をやめてちゃんと学校に通わせるように提案します。

勉強やコミュニケーションを取らないといけないとベンに諭しますが、彼女の息子たちとベンの子供を比べて、自分のやり方に間違いがないことを示します。

 

しかし、妻の死をきっかけに家族で街へ出ることにより、子供たちはその過程でいろんな人や物に出会い、触れあうことで世界を知ります。

 

現代社会への対抗心や教養、哲学など、学ぶべきことは多くありますが、最終的にはベン自身が本当に大切なものを見出し、自分の過ちは認めて再出発するという過程がとてもカタルシスを感じます。

 

偏っているところはあるものの、ベンの教育方針に感心するところもありました。 子供とは時に残酷なもので、その無邪気さから意図せず答えづらい質問をする時があります。

 

しかし、ベンは疑問に対しては、たとえ幼かろうがちゃんと真実を伝えて分からせようとするのです。

 

子供には早いとかの理由ではぐらかすことはさせません。 ベンはしきりに「Interesting(興味深い)という言葉は使うな」と子供に教えます。なぜならそれは曖昧だから。

 

ちゃんと自分が何をどうして、どんな風に思ったのかを伝えるように教育します。ちゃんと自分の言葉で伝えることが大切ということを幼ながらに教えていて、個人的にはすごく学ぶものがあると感じました。

 

良かった点

ベン一家の違いを表面的に伝えなかったこと

街へ出た際に、体の屈強さでマウントをとるようなありがちな描写がなかったのでよかったです。

ひいては全体的に暴力描写などはなく、あくまでも丁寧に意識の違い、価値観の違いを上手く映し出していたと感じました。

 

妻レスリーについての描き方

正直どういう経緯でベンとレスリーがそれぞれ違う道を選んで行ったのか気になるところですが、単に描写不足という訳ではなく、人物像のパーツは散りばめてくれているので、いろいろな想像を膨らませることができていいと思いました。

同時にカンヌで「ある視点」部門を受賞したことがすごくしっくりきました。

気になった点

森での生活

ベンは自身の独自の教育にこだわります。ただ、客観的に見てその生活も今はいいもののずっと続くようには到底思えません。

あれだけ子供達に哲学や生き方の知恵を熱心に説いていたベンはそのことをどう考えていたのでしょうか。

あのまま大人になればそれこそ社会性を欠如した不気味な存在となってしまうように思えます。

 

息子、娘たちがいい子すぎる点

幼い頃からあれだけのスパルタとも言える生活を送っている訳ですから、もっとベンと衝突するような部分があったもよかったと思います。

父親ベンの物語が主軸だったので、6人もいる子供達のそれぞれの心情ももっと知りたいと感じました。

【まとめ】映画『はじまりへの旅』からみる教育とは

ベンがそうだったように、完璧な教育などありません。

 

こうやって育てれば必ず理想通りに育つなんて訳ではないので大変です。

はじめ、子供は親や家族しか知らないため、そこで大きな影響を受けます。そこでの経験により人格を形成していく上で普通としての認識をつけていきます。

そして社会に出て、自分の普通と相手の普通が違うことを知ることにより、互いの違いを認め合い、さらに成長していくのです。

 

しかし悲しいことに、大人になってもそう上手くいくことばかりでなく、時にはぶつかり、それが引き金となって差別や戦争にまで発展してしまうこともあります。

 

ただ、この映画を観る限りでは、自分の過ちを認めて成長したベン一家にその心配はなく、母レスリーの死をきっかけに家族全員が成長して新たな一歩をスタートする「はじまりへの旅」だったと感じました。

母親の自殺はもしかするとそれを暗に見越していたのかもしれないなどと考え始めると止まらなくなります。

 

哲学要素も諸所に見られ、少しとっつきにくいかもしれませんが、考えさせられる映画に間違いありません。

 

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