はじまりへの旅

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映画レビュー

【ネタバレ感想/考察】映画『はじまりへの旅』チョムスキーって誰?

今回ご紹介する映画は『はじまりへの旅』です。

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでもおなじみ、ヴィゴ・モーテンセンが現実世界に抗って暮らす一家の父親を演じた作品。

まめもやし

一風変わった家族の社会との関係性と成長を描いたロードムービーでした!

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映画『はじまりへの旅』の作品情報とあらすじ

『はじまりへの旅』

はじまりへの旅

5段階評価

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あらすじ

ベン・キャッシュと6人の子供たちは、現代社会に触れずにアメリカ北西部の森深くで暮らしていた。しかしある日、入院していた母・レスリーが亡くなり、一家は葬儀のため、そして母のある願いを叶えるために、ニューメキシコまで2400kmの旅に出る。

作品情報

タイトルはじまりへの旅
原題Captain Fantastic
監督マット・ロス
脚本マット・ロス
出演ヴィゴ・モーテンセン
フランク・ランジェラ
ジョージ・マッケイ
サマンサ・アイラー
製作国アメリカ
製作年2016年
上映時間119分

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

おすすめポイント

理想の生活とはなにか。

ヴィゴ・モーテンセン主演、“普通ではない”家族の、ハートフルなロードムービー。

インフラやモノに頼らず、森の中で自給自足で生きる主人公一家。体力はアスリート並みで、学校に行かずとも優れている子どもたち。

彼らの暮らしぶりを見れば、私たちがいかに豊かな環境で生活をしているかが分かります。ちゃんとした教育が家族単位でできるのであれば、学校は必要ないのか。

母親の死をきっかけに、彼らが社会に出たときに何を見出すのか。本当に必要なものとはなにか。見届けてみてください。

カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門監督賞を受賞。

まめもやし

かなり極端な子育てをしている映画でもありますが、一件の価値ある映画です!

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チョムスキーって誰?

はじまりへの旅
© 2016 CAPTAIN FANTASTIC PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

本作で、ベン一家が崇拝する対象として登場するのが、ノーム・チョムスキーです。

正直、「チョムスキーって誰だよ」と感じる人も多いと思いますので、簡単にご紹介します。

ノーム・チョムスキー(1927年12月7〜)

  • アメリカの言語学者
  • ベトナム戦争以来、アメリカの外交政策を批判する活動を続ける
  • 常識や無批判で受け入れられる定説に異を唱えて危機感を提示
誰が世界を支配しているのか? [ ノーム・チョムスキー ]
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本作では、チョムスキーの誕生日(12月7日)を家族の祝日と決めてお祝い事をしていました。

劇中でも触れていましたが、「カレンダー上の祝日」という行事に対して、決められたことに対して疑いもなく過ごしている人々への皮肉を表現しています。

【ネタバレ感想】普通ってなに?教育ってなにが正解?

はじまりへの旅
© 2016 CAPTAIN FANTASTIC PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

普通とは何か

「普通」というものは難しいもので、自分にとっては普通と思っていたことが人や地域、生まれた国によって違ってくることがあります。

それでは、何をもって普通とするのでしょうか。

この映画ではその「普通」との壁に対面する家族の様子を描いています。

それがよく現れた、ベン一家が妹夫婦の自宅を訪れるシーンは印象的でした。ベンの妹は森での生活をやめて、子どもたちを学校に通わせるように提案します。

「勉強やコミュニケーションを取らないと」とベンを諭しますが、ベンは彼女の息子たちと自分の子どもを比べて、自分のやり方に間違いがないことを示すのです。

教育をどう考えるか

ベンの妻の死をきっかけに家族は街へ出ることになり、子どもたちはその過程でいろんな人や物に出会い、触れあうことで世界を知っていきます。

現代社会への対抗心や教養、哲学など、学ぶべきことは多くあります。

最終的にはベン自身が本当に大切なものを見出し、自分の過ちを認めて再出発することになります。ベンの教育方法は称賛できないとはいえ、考える余地は十分にあります。

印象的なところを挙げると、ベンが子どもたちの質問に対して真摯に答えていること。子どもは時に残酷なもので、無邪気さゆえに答えづらい質問をする時があります。

性の話や、死の話など、挙げれば多くあると思います。親である大人自身がよく理解していない場合もありますが、子どもの質問にちゃんと向き合って答えられる人はどれくらいいるでしょうか。

一方で、ベンは、子どもたちに真実を伝えて自分の頭で分からせようとするのです。「まだ早い」などの理由で曖昧にすることはしないのです。

そんなベンは劇中、しきりに「Interesting(興味深い)という言葉は使うな」と子どもに説きます。

曖昧な言葉で理解したようにして終わらせず、自分が何をどうして、どんな風に思ったのかを伝えるように教育するのでした。そんなベンの姿には、一概に間違った教育とは言えない部分がありました。

『はじまりへの旅』の良かった点と気になった点

良かった点

  • ベン一家の違いを表面的に伝えなかったこと
  • 妻レスリーについての描き方

ベン一家の違いを表面的に伝えなかったこと

街へ出た際に、体の屈強さでマウントをとるようなありがちな描写がなかったのでよかったです。

ひいては全体的に暴力描写などはなく、あくまでも丁寧に意識の違い、価値観の違いを上手く映し出していたと感じました。

妻レスリーについての描き方

ベンとレスリーの関係性はほとんど描かれず、レスリーがどういう経緯で違う道を選んでいったのかは気になるところではあります。

しかし、本作ではベンと子どもたちにフォーカスをしっかり当てていて、そこから想像することができるようになっているのが上手い構成でした。

カンヌで「ある視点」部門を受賞という点もしっくりくる部分ですね。

気になった点

  • 森での生活
  • 子どもたちが良い子すぎる

森での生活

独自の教育方法で育てるベンですが、その生活は今はずっと続くようには到底思えません。

あれだけ子ども達に哲学や生き方の知恵を熱心に説いていたベンはそのことをどう考えていたのでしょうか。

あのまま大人になればそれこそ社会性を欠如した不気味な存在となってしまうように思えます。

子どもたちが良い子すぎる

幼い頃からあれだけのスパルタとも言える生活を送っている訳ですから、もっとベンと衝突するような部分があったもよかったと思います。

父親であるベンの物語が主軸だったので、6人もいる子ども達のそれぞれの心情ももっと知りたいと感じたのは正直な感想です。

【ネタバレ考察】映画『はじまりへの旅』からみる教育とは

今回は、映画『はじまりへの旅』をご紹介しました。

完璧な教育などありません。子育てにマニュアルはないように、子どもが親の理想通りに育つわけではありませんし、親がそれを望んで強いるのも違います。

子どもにとって家族とは、成長過程で一番長い時間を共にする計り知れない影響があります。そしてそれが子どもにとっての「普通」となるのです。

そして社会に出て、自分の普通と相手の普通が違うことを知ることにより、互いの違いを認め合い、さらに成長していくのです。

しかし悲しいことに、大人になってもそう上手くいくことばかりでなく、時にはぶつかり、それが引き金となって差別や戦争にまで発展してしまうこともあります。

ただ、この映画を観る限りでは、自分の過ちを認めて成長したベン一家にその心配は感じませんでした。

母レスリーの死をきっかけに家族全員が成長して新たな一歩をスタートする「はじまりへの旅」だったように感じます。

「もしかすると母親の自殺もそれを暗に見越していたのかもしれない」なんて考えるのは止めておきます。

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