今回ご紹介する映画は、『星の子』です。
大森立嗣監督&芦田愛菜主演、怪しげな宗教を信じる両親のもとで育った少女が、自分と世界について疑問を抱きながら模索する様子を描いた映画。
本記事では、映画『星の子』について、ネタバレありで感想と、最後まで解説・考察していきます。
宗教と信仰をテーマに、いろんな解釈ができる自由度の高い映画となっていました。
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映画『星の子』の作品情報とあらすじ
『星の子』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
両親から愛情を注がれて育った中学3年生のちひろ。両親は、病弱だった幼い頃のちひろを治してくれた水を信じ、宗教にのめり込んでいく。ある日、ちひろが好意を抱いているイケメンの教師・南に自分の両親の怪しげな姿を見られてしまう…。
作品情報
タイトル | 星の子 |
原作 | 今村夏子「星の子」 |
監督 | 大森立嗣 |
脚本 | 大森立嗣 |
出演 | 芦田愛菜 永瀬正敏 原田知世 岡田将生 黒木華 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2020年 |
上映時間 | 110分 |
予告編
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配信サイト | 配信状況 |
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おすすめポイント
宗教二世の内情。
今村夏子の原作小説を大森立嗣監督&芦田愛菜主演にて映画化。
しばしば「日本は無宗教」と言われますが、お参りに行ったりなど宗教的営みをしたことがある人が大半だと思います。
この映画で描かれるのは“信じることとは何か”。
答えのない宗教と信仰について、この映画を観ていろいろと考えさせられました。
『星の子』のスタッフ
監督:大森立嗣
名前 | 大森立嗣(おおもり たつし) |
生年月日 | 1970年9月4日 |
出身 | 日本・東京 |
本作を手がけたのは、大森立嗣監督。
国内外の映画祭でも数々の受賞作品を手がけてきた監督で、近年の監督作としては『セトウツミ』や『MOTHER マザー』どが挙げられます。
ちなみに弟は、俳優としても有名な大森南朋さんですね!
原作:今村夏子
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本作は、2017年の今村夏子による同名小説が原作。
2010年「あたらしい娘」で太宰治賞を受賞し、その後三島由紀夫賞受賞、2019年「むらさきのスカートの女」では芥川龍之介賞を受賞するなど、10年ほどのキャリアにも関わらず多くの賞を受賞した経験をもっています。
今村夏子さんといえば、『花束みたいな恋をした』の劇中でも名前が挙げられていましたね!
【ネタバレ考察】『花束みたいな恋をした』涙の別れの理由と忘れられない記憶
『星の子』のキャスト
キャスト
キャスト | 役名・役柄 |
---|---|
芦田愛菜 | ちひろ |
永瀬正敏 | ちひろの父 |
原田知世 | ちひろの母 |
大友康平 | 雄三おじさん |
岡田将生 | 南先生 |
新音 | なべちゃん(ちひろの親友) |
高良健吾 | 海路さん(宗教団体の幹部) |
黒木華 | 昇子さん(宗教団体、催眠術が使える) |
田村飛呂人 | 新村くん(なべちゃんの彼氏) |
主演:芦田愛菜
名前 | 芦田愛菜(あしだ まな) |
生年月日 | 2004年6月23日 |
出身 | 日本・兵庫 |
主役のちひろには芦田愛菜さんが配役。
映画の主演としては6年ぶりとなり、その間に子役から女優へと確実にステップアップしていることが本作でよく分かります。
子役としての演技の上手さが、成長することでわざとらしく感じてしまう人がいる中で、彼女の演技は非常に素晴らしいものでした。
脇を固めるキャストの演技も素晴らしく、中でも南先生役の岡田将生さんが、「イケメンだけど性格悪いやつ」というキャラクターがハマっていました。
また、高良健吾さんと黒木華さんの「怪しい笑顔」が不気味に効いていたり、永瀬正敏さんと原田知世さんの両親も役柄にハマっています。
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ感想】彼らは“信じている”だけ
本作は、「宗教」をテーマに描いていますが、それを否定も肯定もしない描き方をしています。
そこで描かれたのは「信じるもの」の姿でした。
誰もが誰かを信じている
本作は、中学3年生のちひろの視点をベースに、ときに過去を振り返りながら進んでいきます。
劇中で印象的だったセリフのひとつとして、ちひろの学校の友人・なべちゃんが、ちひろが飲んでいる水(金星のめぐみ)について言及するシーン。
両親はダマされていて、両親をダマした人も誰かにダマされていて、その人もさらに別の誰かにダマされていて…
誰もが誰かにダマされているという連鎖。
これは裏を返してみると、誰もが「信じている」からこそ成立しているんですよね。
つまり、ダマシている明確な悪い人間がいれば分かりやすいのですが、本作ではちひろの家庭に実害が及んでいるシーンは明確には描かれません。
また、宗教に関しても、なにか良くないことが起きているといったウワサでしか伝達されないのです。
しかし、ちひろの家が貧しくなっているのは現実で、そこで暮らす家族は、普通に幸せそうにしているので、それが気味悪さを一層感じさせ、ちひろの息苦しさを感じ取れるのです。
この辺りの表現がすごくリアルなんですよね…!
アンビバレントな感情
©2020「星の子」製作委員会
信じるものを描いた本作ですが、それを否定する決定的なシーンが劇中では2度、描かれます。
一つは大友康平さん演じる、雄三おじさんが「金星の水」を水道水に入れ替えるシーン。
ちひろの姉・まーちゃんと雄三おじさんが計画したにもかかわらず、取り乱す両親を目の前にして、まーちゃんは雄三おじさんに刃物を突きつけてしまいます。
まーちゃんは結果的に家を出ていく選択をしますが、無意識のうちに両親の味方につくことで、アンバランスに揺れ動く感情を描いていました。
まーちゃんが家族と揉めたことを直接シーンで描くのではなく、壁の穴で伝えるというのもいい表現でした。
もう一つが、ちひろが恋心を抱いていた南先生(岡田将生さん)から突き放されるシーン。
理解できないものを無意味だと切り捨てられ、全否定されてしまいます。
この時の芦田愛菜さんの演技が本当にリアルで、素晴らしいんですが、辛いシーンです。
【ネタバレ考察】ラストシーンの解釈は…
本作は、観た人の多くが「ここで終わるのか」と感じるラストシーンになっています。
場面としては、ちひろと両親の3人が夜中に星空を眺めに行くというシーン。いろんな解釈ができるので、それについて解説します。
解釈:両親はちひろに別れを告げようとした
両親はちひろの高校進学とともに、雄三おじさんの家から通うことを提案しようとしたのではないかという解釈。
ちひろの進学先について「遠いな」という父の言及や、まーちゃんが子どもを産んだという話と「元気で嬉しいね」という母の話から、ちひろの成長とともに、両親もちひろに自由に選択することを提案したのではないでしょうか。
そう考えると、ちひろが戻りたがっていたのは両親からその言葉を聞きたくなかったからとも受け取れますし、ラストシーンは幸せのように映ります。
解釈:ちひろを宗教に取り込もうとした
2つ目の解釈として、両親はちひろを宗教に取り込もうとしていたというもの。
戻りたがっているちひろに対して、父は「戻らなくていい」といっていたり、両親と会う前には昇子さんに両親の元へ導かれていて、「自分の意思できたのではない」と言われています。
迷っているちひろを取り込もうとしていたと考えると、気味の悪いラストシーンとなりますね。
解釈:そのまま3人は…
3つ目の解釈として、そのまま3人は死んでしまう(心中してしまう)のではないかということ。
これは可能性が低そうですが、同時に流れ星を見ようとした3人は、あのまま外で死んでしまう。
説得力はないですが、あの場の空気感がどことなくそれを感じさせるのがなんとも不気味な一方で、幸福感も感じられるんですよね。
①〜③どの解釈にしても、あの時点では、ちひろと両親の間に、世界の違いや別れを感じさせます。
3人同時に見ようとした流れ星が、両親だけに見えたり、ちひろだけに見えていたり。
その前のシーンでは、両親とちひろは何度もすれ違い、ついに両親と再会できたとき、ちひろは探すのではなく「待つ」選択をしていました。
これらの要素から、ちひろが両親に合わせる未来を想像できてしまう不気味さと、一方で、それが必ずしも不幸に思えない絶妙な後味を残していました。
まとめ:「信じるものは救われる」のか
今回は、今村夏子さんの原作を映画化した『星の子』を紹介しました。
宗教を題材に描いたストーリーですが、「誰にでも起こり得る」普遍性もあると感じます。恋人や友人、家族や職場の人など、あなたの身の回りにも同じ状況の人がいるかもしれません。
そんな時、あなたならどうするのか、どう感じるのか。信じるのか、拒絶するのか。
はたまた、宗教に限らず自分が盲信しているものはないだろうか。「信じること」に関して考えを巡らせる作品となっていました。
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