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【ネタバレ感想/考察】『きみの瞳が問いかけている』は韓国映画が原作の赦しの物語。

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今回ご紹介する映画は『きみの瞳が問いかけている』です。

三木孝浩監督による作品で、不慮の事故で視力と家族を失った女性と、罪を犯し、キックボクサーとしての未来を絶たれた男性が出逢い、恋、宿命を描いた映画。

主演は吉高由里子さんと横浜流星さん。

単なるラブストーリーに終わらず、罪と赦しを描いた物語となっていました。

映画『きみの瞳が問いかけている』の作品情報とあらすじ

作品情報

原題 きみの瞳が問いかけている
監督 三木孝浩
脚本 登米裕一
出演 横浜流星
吉高由里子
製作国 日本
製作年 2020年
上映時間 123分
おすすめ度 (4点/5点)

あらすじ

29歳の明香里は、不慮の事故で視力と家族を失うが、持ち前の明るさを頼りに過ごしていた。

ある日彼女は、キックボクサーだった塁という青年と出逢い、親密な関係となっていく。

塁はある事件が原因で心を閉ざしていたが、笑顔を向けてくれる明香里が大事な存在だった。

しかし、自分の過去が彼女の失明と関係していたことを知り…。

『きみの瞳が問いかけている』のスタッフ・原作・主題歌

三木孝浩監督

kiminome-director© GAGA Corporation. All Rights Reserved.

本作のメガホンを撮ったのは、三木孝浩監督。

長編デビュー作の『ソラニン』を始め、その後も恋愛映画を数多く手がけてきたことから、廣木隆一監督、新城毅彦監督とともに「胸キュン映画三巨匠」とも言われています。

主な監督作
  • 『ソラニン』
  • 『僕等がいた』
  • 『アオハライド』
  • 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

本作より一足先に公開された『思い、思われ、ふり、ふられ』も監督しており、そちらでも繊細な心理描写を丁寧に描いていました。

『きみの瞳が問いかけている』では、ダークでバイオレンスな描写もあるので、これまでの三木監督とはひと味違って面白かったです。
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原作:韓国映画『ただ君だけ』

kiminome-tadakimidake出典:imdb

本作は、ソン・イルゴン監督による韓国映画『ただ君だけ』を原案・原作とした日本版リメイク映画となっています。

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ポニーキャニオン

そして、原作の『ただ君だけ』は、チャップリンの『街の灯』をモチーフとしたラブストーリー

2014年にはトルコで『Sadece Sen(日本語タイトル:オンリー・ユー 光を求めて)』としてリメイクもされています。

主題歌:BTS『Your eyes tell』

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本作の主題歌には、韓国の大人気7人組ヒップホップボーイズグループ・BTSの『Your eyes tell』を起用。

伸びのある高音ボイスと切ないメロディが感動を誘います。

『きみの瞳が問いかけている』のキャスト

キャスト 役名
吉高由里子 柏木明香里
横浜流星 篠崎塁
町田啓太 佐久間恭介(半グレのリーダー)
やべきょうすけ 原田陣(キックボクシングジムのコーチ)
田山涼成 大内(キックボクシングジムの会長)
風吹ジュン 大浦美恵子(シスター)
野間口徹 尾崎隆文(コールセンターの明香里の上司)

吉高由里子

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事故で視力を失った女性、主人公の明香里を演じたのは吉高由里子さん。

視力を失った女性で、目を開けながらの演技なので非常に難しい役柄ですが、素晴らしく演じていました。

まめもやし
まめもやし
焦点を外した中での瞳の動かし方は本当に素晴らしかったです!

三木監督とは以前に、少女漫画原作の映画『僕等がいた』でタッグを組んでいますね。

主な出演作
  • 『蛇にピアス』
  • 『僕等がいた』
  • 『横道世之介』

横浜流星

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過去に罪を犯したことで夢破れたキックボクサーを演じるのは横浜流星さん。

端正な顔立ちと、空手の世界大会で優勝した経験を持つ稀有な俳優です。

本作ではその経歴を存分に活かしたキックボクシングで華麗な動きを見せてくれました。

整ったルックス故にキラキラした映画に出演することが多いですが、泥臭い演技も上手くできると本作でより一層感じたので、今後も楽しみです。

まめもやし
まめもやし
彼の才能、ポテンシャルには驚かされます。

主な出演作
  • 『チア男子!!』
  • 『いなくなれ、群青』
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その他にも、嫌な上司役を演じさせたら一級品の野間口徹さんや、ジムトレーナーのやべきょうすけさん、修道院のシスター役として風吹ジュンさんなど、脇役の配役も非常にマッチしています。

【ネタバレ感想】罪と救済の物語

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以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

罪と救済の物語

『きみの瞳が問いかけている』は単なるラブストーリーではなく、残酷な運命の因果、そして罪と赦しを描いた物語でした。

明香里と塁はひょんなことから惹かれ合っていきますが、それぞれが自分の犯してしまったことへの意識を抱えながら生活しています。

  • 明香里は自分の運転で事故を起こし、両親と視力を失った過去
  • 塁は半グレ集団に属し、人を死なせた罪で2年半服役していた過去

明香里は手術により自分の視力が回復する可能性があると知りながらも、両親を死なせてしまった罪の意識があるため、それを望まないのです。

そして、2人の傷にはリンクする事実があることが明らかになります。

それは、塁が犯した罪によって明香里の事故が引き起こされてしまったこと

それを知った塁は、明香里への贖罪から、身を引いた地下格闘技に戻り、なんとか大金を工面すると、半分を明香里の手術代に、もう半分を過去に死なせてしまった人の家族へと振り込むのでした。

塁は、それにより明香里の前から姿を消すことで、犯した罪への罰を自ら科そうとしていたのです。

しかし、半グレ集団の急襲にあい、入院生活を余儀なくされてしまいます。

残酷な運命に翻弄されながらも、ラストシーンでは、明香里の無償の愛によって赦しを受けることになり、大きな感動をもたらすのでした。

緩急のある展開

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本作は、緩急のある展開が非常に印象的かつ効果的だと感じました。

明香里と塁が出会い、親密になるまでをゆっくり丁寧に描き、そこから深まっていく2人の関係性はスピーディに描かれます。

出会いの場所となる駐車場のシーンは、特に印象的で、繰り返し描くことで2人の芽生えていく恋心が丁寧に伝わります。

個人的に好きなシーンが、塁が明香里を待つシーン。

無愛想な塁が、明香里がいつ来るのかが待ち遠しいという気持ちを、杖の音を使って描いています

まめもやし
まめもやし
設定を上手く恋愛映画に落とし込んだ描写ですよね!

その一方で、リメイクなので仕方がないと思いますが、現実味のない設定などが気になる部分も多少はありました。

町田啓太さんらが演じた半グレ集団の安っぽさや地下格闘技の浮世離れ感、明香里の視力が圧倒的に回復している描写にはどうしても違和感を覚えます。

とはいえ、ティーンムービーとは一線を画した面白さになっていました。

【ネタバレ考察】 ラストシーンの解釈

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感動的なラストシーンの展開に多くの方が涙した本作ですが、劇中で明香里が口ずさんでいた、藤村藤村の「椰子の実」という歌がもたらしている効果について考察してみます。

藤村藤村「椰子の実」

「椰子の実」

名も知らぬ遠き島より
流れ寄る椰子の実一つ

故郷(ふるさと)の岸を離れて
汝(なれ)はそも波に幾月

旧(もと)の木は生(お)いや茂れる
枝はなお影をやなせる

我もまた渚を枕 孤身(ひとりみ)の
浮寝の旅ぞ

実をとりて胸にあつれば
新たなり流離の憂

海の日の沈むを見れば
激(たぎ)り落つ異郷の涙

思いやる八重の汐々
いずれの日にか故国(くに)に帰らん

藤村藤村「椰子の実」より

この歌の内容を分かりやすく説明すると、海岸に流れ着いたヤシの実ひとつを目にしたことで、そのヤシの実が

  • どれくらい遠くの島からやってきたのか
  • 元のヤシの木はどうなっているのか
  • どれくらいの間、海を漂っていたのか

そんなヤシの実の旅路を、ふるさとを離れた場所にいる自分の人生と重ね、いつかふるさとに帰ろうと思う気持ちを詩にしたのです。

この詩は、藤村藤村が29歳のときに、友人の柳田国男から聞いた話を元に作り上げた詩でした。

それを踏まえた上で、ラストシーンを振り返ってみましょう。

ラストシーンの解釈はどうなるか

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明香里と塁が離れてから2年後となるラスト、明香里は自分の店にやってきたのが塁であることに気付きます。

その後、オルゴール片手に塁を探しに街に出る明香里。

最終的に塁の原点だと話していた海岸で、塁と再会することができるのでした。

ストレートに2人の感動の再会として観ることもできますが、先ほど紹介した劇中歌「椰子の実」のストーリーを考えると、違った解釈もできるのです。

ラストシーン、明香里が塁を探しに飛び出してから、明らかに意図的なぶつ切りのカットで海岸シーンへとつながることが気になった方も多いのではないでしょうか。

海岸をさまよい歩く塁は、思い出のシーグラスを手にし、母親同様に死ぬつもりで海に入ろうとしていました。

シーグラスは劇中でも説明があるように、海を流れてやってきたビンなどのガラスの欠片のことです。

つまりシーグラスは「椰子の実」と同じなんです。

海岸のラストシーンは藤村藤村の「椰子の実」を描いていたのです。

このシーグラスをモチーフとしたのは絶妙で、傷つけることもあるガラスの欠片が、シーグラスとなることで角が取れるという、塁のストーリーを意味したものと、「椰子の実」としての意味の2つの描き方をしているのです。

まめもやし
まめもやし
これに気付いたときは思わず膝を打ちました。さすがです。

「椰子の実」は、いつかふるさとに帰ろうという気持ちを描いていましたね。

そう考えると、塁はシーグラスを通して、明香里はオルゴールを通して思い出をたどり、2人の思い出の場所である海岸をふるさとと見立てたと解釈できます。

つまり、2人はまだ再会していないのです。

ラストカットがまるで天国のように美しいシーンだったのもそれを想像させます。

【まとめ】恋愛映画と侮ることなかれ

以上、三木孝浩監督『きみの瞳が問いかけている』をご紹介しました。

ティーン向けのラブストーリーと思っているといい意味で裏切られます。

やはり三木監督の描写力の高さには驚かされますし、これまでにはないダークな部分も観られました。

主演の2人の演技が素晴らしく、特に横浜流星さんは本作を期に役柄の幅も広がりそうで楽しみです

日本の恋愛映画が苦手だという方でも楽しめる展開になっていました。

ぜひ劇場でどうぞ!

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