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【ネタバレ考察】『花束みたいな恋をした』は、いつかこの恋を思い出してきっと微笑んでしまう

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今回ご紹介する映画は『花束みたいな恋をした』です。

ドラマ「カルテット」などで知られる坂元裕二さんの脚本を、「カルテット」で演出も手がけた土井裕泰監督が映画化。

終電を逃した男女が運命的に出会い、忘れられない5年間を過ごした物語を菅田将暉さん、有村架純さんが演じました。

映画『花束みたいな恋をした』の作品情報とあらすじ

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作品情報

原題 花束みたいな恋をした
監督 土井裕泰
脚本 坂元裕二
出演 菅田将暉
有村架純
製作国 日本
製作年 2021年
上映時間 124分
おすすめ度 (4点/5点)

あらすじ

同じ終電を逃したことから出会った、大学生の山音麦と八谷絹。

好きな音楽や映画がほとんど一緒だったふたりは、瞬く間に恋に落ちて付き合い始める。

大学を卒業後に同棲を始めたふたりは、環境の移り変わりに左右されないことを目標にしながら就職活動に励む。

『花束みたいな恋をした』のスタッフ・原作

土井裕泰監督

主な監督作
  • 『いま、会いにゆきます』
  • 『涙そうそう』
  • 『ハナミズキ』
  • 『ビリギャル』
  • 『罪の声』など

TBSのディレクターとして活躍していることもあり、これまでにも数々の恋愛ドラマを手がけている土井裕泰監督

有村架純さんとは、『ビリギャル』でもタッグを組んでいますね。

2020年には、塩田武士さん原作の『罪の声』を映画化し、重厚で完成度の高い作品を作り上げていました。

関連記事【ネタバレ感想】『罪の声』時効の未解決事件を追う意義とは【相関図も】

脚本:坂元裕二

主な脚本作
  • 『東京ラブストーリー』
  • 『愛し君へ』
  • 『カルテット』
  • 『Mother』
  • 『anone』など

脚本は、青春ドラマをはじめ、数々の脚本を執筆してきた坂元裕二さん。

土井監督とは、『カルテット』のタッグを組んだコンビでもあります。

モノローグが印象的に映える本作でも、坂元裕二さんらしさを感じるワードが紡がれていて、シナリオ本などは合わせてチェックしておきたくなりました。

『花束みたいな恋をした』のキャスト

キャスト 役名
菅田将暉 山根麦
有村架純 八谷絹
オダギリジョー 加持航平
戸田恵子 八谷早智子
岩松了 八谷芳明
清原果耶 羽田凛
細田佳央太 水埜亘
小林薫 山音広太郎

主演は、引っ張りだこの菅田将暉さんと有村架純さん。

2人の演技は申し分なくとても自然で、どこか同じ世界で暮らしていそうな感覚を覚えました。

まめもやし
まめもやし
いい意味で予告編と違った印象で、等身大の男女の姿をリアルに演じていてよかったですね!

その他にも、『宇宙でいちばんあかるい屋根』『望み』など近年の映画で素晴らしい存在感を見せてくれた清原果耶さんなどが出演。

実在のバンドとして劇中に登場し、映画のイメージソングも手がけた「Awesome City Club」にも注目です。

以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

【ネタバレ感想】始まりは、終わりの始まり

hana-koi-01©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

共感しまくりで、自分のパラレルワールドの話を観ているような感覚になる映画でした。

奇跡の出会い

「教えてよ、何が好きか。サンドイッチ。僕と同じじゃないか!私たちはよく似てるね〜♪」

アナ雪「とびら開けて」のアナとハンスのように、シンクロ率400%でお互いの趣味がマッチして惹かれ合う麦と絹

本作は、そんな2人の2015年から2020年までの5年間を描いています。

『花束みたいな恋をした』という過去形のタイトル通り、カフェで偶然居合わせた麦と絹の2人が、出会ってから別れるまでを描くことが伝わる冒頭シーン

そこから出会いの2015年へと、時は戻っていきます。

この辺りはキラキラした眩しい恋愛模様を美しく描いていて、モノローグの使い方も絶妙

坂元裕二さんらしさ全開の「心臓が鳴った」「電車に揺られる」などの独特なワーディングがあったかと思えば、カフェでご飯を食べるシーンに「セックスした後なんですけど」とラブシーンの後のニュアンスを入れる意地悪さも心地よく観ていられます。

お笑い芸人の又吉直樹さん原作を行定勲監督が映画化した『劇場』でも、山﨑賢人さんのモノローグを中心に「恋愛のどうしようもなさ」を描いた傑作恋愛映画でしたので合わせてどうぞ。

関連記事【ネタバレ感想】映画『劇場』は又吉直樹原作の小説とは違うラストに感動

始まりは、終わりの始まり

hana-koi-02©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

そんな、奇跡のような出会いと、楽しい時間を経て2人の前に立ちはだかるのが、「就職」という現実

大学を卒業し、イラストを仕事にしたい麦と、就活で圧迫面接に耐えかねた絹の2人はフリーターとなります。

思い切って同棲して2人の世界を楽しく過ごすも、親からの仕送りは打ち切られ、いよいよ現実世界と否応なく向き合うことになるのです

その後、絹は資格をとって就職し、麦もイラストの限界を感じ、遅れながらも営業職に就職。

仕事が忙しくなると、いつの間にか好きだった趣味からも離れていってしまう麦

2人から趣味の会話は減り、麦からでる言葉は仕事のプロジェクトや取引先の話。

一方で、「やりたいことをやりたい」と、絹は給料が下がってもイベント関係の仕事に転職します。

そんな絹に対して麦は「仕事?そんなの遊びだよ!」と言ってしまうのです。

「感情が湧かなくなる」

すれ違っていく2人は、いつしかケンカすら面倒な関係になっていきます。

2人が付き合うきっかけにもなったイヤホンも、同じ空間で互いのの音を遮断するように別々のイヤホンをして過ごす時間が増えるのです。

まめもやし
まめもやし
この表現は上手すぎるし、痛いほど分かるんですよね…。

「共通の趣味」がきっかけで付き合うことになった2人にとって、その趣味に対する認識がズレていくことは、別れに繋がっていくのは分かります。

分かってはいますが、麦が趣味に対してまでも感情が湧かなくなっていくのが辛いのです

ゴールデンカムイも7巻で止まり、「読めばいいじゃん」と言う絹に対して、「パズドラしかできなくなった」と語る麦。

2人を結びつけたカルチャーという趣味が、2人の距離を物語っていくことがどうしようもなく辛いのです

本屋で絹が嬉しそうに新刊を手にして麦の元へ向かうと、麦は前田裕二さんのビジネス書を食い入るように読んでいるのです。

麦は、やりたかったイラストの仕事を断念して就職する道を自ら選びました。

それにも関わらず、逆の選択をした絹に対して「遊び」だと言ってしまう裏には、彼自身ができなかったと選択だと理解しているからこそ、辛い言葉なんですよね…。

まめもやし
まめもやし
リンクすることが多すぎて、いろいろとぶっ刺さりました…。

文化と共に生きる

hana-koi-03©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

本作には本当に多くの固有名詞が登場します

天竺鼠から始まり、押井守(本人登場!)、今村夏子、きのこ帝国に崎山蒼志にゴールデンカムイ、宝石の国、ストレンジャー・シングス…挙げたらキリがありません。

一体この2人はどれだけ精通してるんだと思ってしまうほどに、リアルなポップカルチャー・サブカルチャーがアイテムとして登場し、2人の人格を描写します。

前半には怒涛の固有名詞ラッシュがあって、付いていけないと思われそうですが、その点は問題なく、むしろ追って知りたくなるものが多い印象でした。

シン・ゴジラや新海誠、ゼルダの伝説といった時間の流れを文化で切り取る描写も面白いものでした。

【ネタバレ考察】 タイトル“花束”の意味とは

hana-koi-04©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

花束みたいな恋をした

さて、『花束みたいな恋をした』というタイトルですが、一体どういう意味だったのかを考えてみます。

劇中でこんなシーンがありました。

「女の子に花の名前を教わると、男の子はその花を見る度に一生そのことを思い出しちゃうんだって」

絹はそう言うと、麦に花の名前を教えることはしませんでした。

“花束みたいな恋をした”とは、まさにこの言葉が表していると感じました。

冒頭、カップルがイヤホンを片方ずつ分け合い音楽を聴いていると、「音楽はモノラルじゃなくてステレオだから右と左で2人が聴いている音楽は違う」とそれぞれ語る麦と絹。

このシーン、後に2人がファミレスでイヤホンを分け合って音楽を聴いていたときに、近くにいた音楽関係のお兄さんに言われたことだと明かされます。

どういうことかと言うと、2人が共有した時間は確かな思い出として忘れられない記憶になっているということ。

パン屋の焼きそばパンや、一緒に読んだ漫画や聴いた音楽、カラオケで歌った曲や、観た映画や好きな作家など、思い出ひとつひとつが、花の名前のように忘れられない記憶となり、それらが花束みたいに積み重なった恋だったのです。

hana-koi-05©2021「花束みたいな恋をした」製作委員会

そして、ラストシーンが如実にそれを表していました。

Google Mapに映された2度目の奇跡。そこにあったのは、多摩川を幸せそうに歩くふたりの姿

2人が共有した幸せな時間は確かにそこに存在したのです。

これって、とても普遍的なことで、き合いが長ければ長いほどお互いの思い出を共有しているから共感できてしまうんですよね。

現在進行系の僕が言うのもなんですが、学生時代から付き合って結婚するカップルって、一体どれくらいいるんでしょうか。

恋愛の例え話で「男性はフォルダ分けて保存して、女性は上書き保存」というものがあります。

僕はこれにあまり共感していなかったのですが、是枝裕和監督の映画『海よりもまだ深く』に登場するセリフがしっくりきたのでご紹介しておきます。

「水彩というより油絵、塗り重ねていくんだけど、ここ(心)にはちゃんとあるんだ。データの上書きじゃなくて。」 

関連記事【ネタバレ感想】『海よりもまだ深く』は名言にあふれる映画

2人で過ごした時間は終わってしまったけれど、確かに心の中に、その記憶はあるんだ。

余談ですが、絹が麦に教えなかった花の名前は、「マーガレット」。花言葉のひとつに、「優しい思い出」という意味があるようです。

【まとめ】巡り会いの中で生きてく、また人を少し好きになる

以上、『花束みたいな恋をした』をご紹介しました。

いい意味で普通の恋愛を描いたことで、多くの人にとって普遍的な共感をもたらした作品になっていました。

映画を構成するカルチャーも、知っていれば楽しいし、知らなくても全然楽しめます。

本作も、後に映画というカルチャーとして、誰かと誰かを結ぶ花束のひとつになってくれる作品だと思いました。

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