今回ご紹介する映画は『ジョーカー』です。
DCコミック『バットマン』の最凶の悪役として知られるジョーカーの誕生秘話を、トッド・フィリップス監督&ホアキン・フェニックス主演で映画化。
本記事では、映画『ジョーカー』をネタバレありで感想・考察・解説していきます。
圧倒的な見応えと、フィクションとは思えない格差社会の実態を描く怪作!
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映画『ジョーカー』の作品情報と評価
『ジョーカー』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
犯罪が多発するゴッサムシティ。アーサーは貧しく、老いた母親ペニーと暮らす上、突然笑いだしてしまう精神病に悩むが、TV界の人気司会者フランクリンを憧れの対象にして日々耐え忍んでいた。ある日、失業したアーサーは地下鉄で、女性客に嫌がらせをしていた男性3人組を偶然持っていた拳銃で皆殺しにしてしまう…。
作品情報
タイトル | ジョーカー |
原題 | Joker |
監督 | トッド・フィリップス |
脚本 | トッド・フィリップス スコット・シルバー |
出演 | ホアキン・フェニックス ロバート・デ・ニーロ ザジー・ビーツ フランセス・コンロイ |
撮影 | ローレンス・シャー |
音楽 | ヒドゥル・グドナドッティル |
編集 | ジェフ・グロス |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2019年 |
上映時間 | 122分 |
予告編
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配信サイト | 配信状況 |
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おすすめポイント
狂っているのは自分か、世界か。
トッド・フィリップス監督&ホアキン・フェニックス主演で描くジョーカー誕生譚。
DCコミック『バットマン』シリーズでも最も有名なヴィランであるジョーカー。その謎に包まれた背景を描く意欲作。腐敗したゴッサムシティでジョーカーは生まれるべくして生まれたのか。
様々な見方ができて、観客に委ねる自由度の高い描き方が見事。
映画『ジョーカー』のスタッフ・キャスト
監督:トッド・フィリップス
名前 | トッド・フィリップス |
生年月日 | 1970年12月20日 |
出身 | アメリカ・ニューヨーク |
ジョーカー役:ホアキン・フェニックス
名前 | ホアキン・フェニックス |
生年月日 | 1974年10月28日 |
出身 | プエルトリコ・サンフアン |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】映画『ジョーカー』のあらすじ
ゴッサムシティ
1981年、犯罪、失業、貧困が蔓延するゴッサム・シティ。アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、街でピエロの姿でサインスピナーの仕事をしている。若者たちにサインを奪われ、追いかけたアーサーは路地裏で袋叩きにされてしまう。
アーサーはソーシャルワーカーを訪ね、投薬量を増やせないか相談していた。帰りのバスの中で、子どもがアーサーを見つめると、変顔で楽しませるが、子どもの母親はアーサーに「かまわないで」と言う。するとアーサーは大笑いし始める。怪訝そうな母親に対し、アーサーはそれが脳と神経の病気であることを説明したカードを手渡す。
アーサーとペニー
アーサーは病弱な母ペニー(フランセス・コンロイ)と2人暮らししている。ペニーはかつてトーマス・ウェイン(ブレット・カレン)の下で働いており、生活環境の手助けを求める手紙を何通も出したにもかかわらず返事がないことを不満に思っていた。
2人はマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)が司会を務めるトークショーを見る。アーサーは、自分がその番組に出演し、マレーに気に入られることを想像していた。その妄想の中で、アーサーは母の面倒をみていることを話し、マレーや観客から認められている様子だった。
負の連鎖
アーサーは暴行事件の話を聞いた同僚のランドル(グレン・フレシュラー)から護身用に銃を渡される。一方で、アーサーは上司に呼び出されると、取引先に迷惑を被ったことを咎められて、自分のせいではないのにと不満を募らせていた。
アーサーは自分とちゃんと会話してくれる同じアパートの隣人のシングルマザー、ソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ)が気になっており、ある日、彼女の後をついて回ってしまう。その後、彼女はアーサーの部屋にやってきて、尾行していたことを尋ねると、アーサーはそれを認める。しかし、彼女は特に気にしていない様子で、アーサーは出演するスタンダップコメディに彼女を誘う。
アーサーは仕事で小児病院でピエロとして子どもたちを楽しませていたが、持っていた銃を落としてしまう。アーサーの上司は、先日の苦情と合わせて叱責、さらに同僚のランドルはアーサーが自分から銃を買ったと上司に伝えていて、最終的にアーサーは解雇されてしまう。
帰り道、アーサーはピエロの衣装のまま地下鉄に乗り込む。アーサーはその車両で、若者男性3人が女性に嫌がらせをしているのを目撃する。アーサーは笑い出して男たちの注意を引くと、女性は違う車両へ逃げ出していく。すると男たちはアーサーに近づき、笑い止まないアーサーにちょっかいを出し、殴り始める。
アーサーはとっさに銃で2人を射殺し、逃げ出した1人を追いかけ、駅のホームで殺害する。アーサーは焦って逃げ出してトイレへ駆け込むが、しばらくすると、得も言われぬ高揚感から1人で踊り始める。その後、ソフィーの部屋へ訪れると強引に彼女にキスをするのだった。
アーサーとブルース
殺された3人はトーマス・ウェインの会社で働くエリートビジネスマンだった。地下鉄での殺人事件はニュースで報じられ、番組に出演したトーマスは犯人を卑怯者と非難していた。そんな中、アーサーはソーシャルワーカーから市が資金援助を打ち切ったことで面談の閉鎖を告げられる。それによりアーサーは薬を手にする機会を失ってしまう。
アーサーは自分が出演するコメディクラブで舞台に立つが、観客は誰も笑っていなかった。しかし、観客席にいたソフィーだけは、アーサーのジョークに笑っているように見えた。ソフィーは指名手配となったピエロを「ヒーロー」と言い、彼女と食事をしたりして楽しんだ。
帰宅後、アーサーはペニーがトーマスに宛てた手紙を発見し、中身を見ると、自分がトーマスの息子であることを知る。アーサーはトーマスの邸宅へ向かい、そこで若き日のブルース・ウェイン(ダンテ・ペレイラ=オルソン)に会う。アーサーはブルースを笑わせようとするが、やってきた執事アルフレッド(ダグラス・ホッジ)に警告される。
アーサーは母親とトーマスとの関係を伝えると、アルフレッドはペニーをウソつきだと言い放つ。怒ったアーサーはアルフレッドを玄関門越しに首をしめるが、後ろでブルースが見ていることに気づき逃げ出していく。
出演依頼
アーサーは自宅前でペニーが救急車で運ばれそうになっている瞬間に立ち会い、一緒に病院へ向かう。すると、2人の刑事バーク(シェー・ウィガム)とギャリティ(ビル・キャンプ)がやってきて、地下鉄事件の件でアーサーに事情聴取しようと自宅に行き、そこで母親が倒れ、救急車を呼んだのだと知らされる。
2人はアーサーに、ピエロと銃と解雇について話を聞くが、アーサーは関与を否定する。ペニーは脳卒中で入院することになり、アーサーは病室で看病し、隣にはソフィの姿もあった。病室内のテレビでマレーの番組を見たアーサーは、そこで自分のスタンダップコメディでの舞台が取り上げられていることを知り高揚するが、それがバカにしているだけだと気づき、ショックを受ける。
しかしその後、予想以上の反響によって、アーサーはマレーの番組担当者から出演依頼を受け、それを引き受ける。
知りたくない事実
ゴッサム市内は、ピエロの仮面を付けた貧困層が富裕層に対するデモを起こし、混乱を極めていた。
アーサーはデモに乗じてトーマスが出席したサイレント映画の上映会場に忍び込む。そこでトーマスに接触し、ペニーのことを伝えると、彼はアーサーが息子ではないと否定し、さらにアーサーがペニーの養子であると言うのだった。アーサーは信じられない様子で笑い出すと、トーマスに顔面を殴られる。
アーサーはアーカム州立病院へ行き、事務員のカール(ブライアン・タイリー・ヘンリー)に話を聞き、母親に関する書類をカールから奪い取って逃げ出す。その書類には、ペニーがアーサーを養子にし、虐待していたこと、それが原因で笑いが止まらない後遺症になったことが記されていた。
露頭に迷ったアーサーはソフィーの部屋に入ると、彼女は恐怖を感じ、娘のために出ていくように伝える。ソフィーはアーサーの名前を知っている程度で、それまでのソフィーの描写はアーサーの妄想でしかなかったことが明らかになる。
翌日、アーサーはペニーの病室へ訪れると、「自分の人生は悲劇だと思っていたけど、“クソ喜劇”だと分かった」と言い、ペニーを枕で窒息死させる。
階段のダンス
アーサーは、マレーの番組に出演するための予行練習をしていた。準備する中で若い頃のペニーの写真を見つけると、そこにはTW(トーマス・ウェイン)からの笑顔を褒めるメッセージが記されていたが、アーサーは憎しみを込めて握りつぶす。
ピエロのメイクをしていると、元同僚のランドルとゲイリー(リー・ギル)が訪ねてくる。彼らはペニーの死を聞いて心配していたが、実際のところは地下鉄の殺人事件について警察に尋問されたことに関心がある様子だった。
アーサーはランドルをハサミで刺して惨殺。それを見たゲイリーは腰を抜かすが、アーサーは彼だけが職場で優しくしてくれたことから無事に帰らせる。
その後、アーサーは髪を緑に染め、ワインレッドのスーツを身にまとい、ピエロの化粧で家を出る。階段で舞うように踊るアーサーだったが、刑事のバークとギャリティの2人が現れ、アーサーは思わず逃げ出す。
アーサーは地下鉄に乗り込むが、2人も追いかけて来ていた。しかし、車両内には事件に触発された多くの人々がピエロの格好をしていて暴徒化し、バークが誤って1人を撃ったことでさらに混乱を極め、アーサーはその間に逃げ出していく。
ジョーカー爆誕
アーサーは番組の控室でマレーとプロデューサーのジーン(マーク・マロン)に挨拶する。アーサーは、マレーに自分を「ジョーカー」と紹介するように頼む。
番組が始まり、少しのジョークを披露した後、アーサーは地下鉄殺人事件の犯人が自分であると告白する。マレーは徐々にそれが本当であると気づき始め、アーサーを咎めるが、アーサーは被害者が富裕層で、トーマスが関心を寄せたことで取り上げられただけで、自分のような人間は無視され、話題にもならないと主張する。
マレーとアーサーの主張はぶつかり合い、さらにエスカレートすると、アーサーは「自分を笑い者にしたマレーも同じだ」と生放送中に拳銃でアーサーを撃ち殺してしまう。
その様子はリアルタイムでゴッサム市内に流れ、ピエロの格好で暴徒化する市民はさらに過激さを増し、溢れかえっていた。その頃、映画館を出たウェイン夫妻は街中の混乱に気づいて逃げようとするが、暴徒の1人がトーマスと妻のマーサ(キャリー・ルイーズ・プトレロ)を息子のブルースの目の前で射殺してしまう。
一方、アーサーは逮捕され、パトカーで連行されるが、救急車に乗った暴徒がパトカーに突っ込み、アーサーを解放する。アーサーは車の上に立ち、ピエロの仮面の大勢の暴徒たちが歓喜を挙げる前で、満たされたように踊るのだった。
ラストシーン
アーサーはアーカム州立病院に収監されていた。ソーシャルワーカーのカウンセリングを受けていると、アーサーは彼女に「ジョークを思いついたけど、理解できないだろう」と言う。しばらくすると、アーサーは部屋を出ていくが、その足跡は血にまみれていた。
【ネタバレ感想・考察】ラストシーンは何を意味していたのか
マレーを生放送中に殺害し、ゴッサムシティの大勢の暴徒たちの前で高揚感に浸るジョーカーの姿。とても強烈なシーンであると同時に、映画のクライマックスとしても非常に見応えのあるシーンになっていました。
しかし、トッド・フィリップス監督はそのシーンで物語を終わらせず、観客の頭を悩ませるようなラストシーンを付け加えました。一体それはなぜなのか、考えていきます。
ラストシーンは現実か妄想か
まず、物語を整理すると、アーサーはソーシャルワーカーのカウンセリング受けていた冒頭、病院で窓ガラスに頭を打ち付ける描写があり、彼が精神的な問題でアーカム州立病院に収監されていたことが分かります。
アーサーは薬を増やすように頼みましたが、断られ、帰宅途中で薬局に立ち寄り、何らかの薬を購入していました。その後、マレーの番組に出演している空想に浸っていたり、隣人のソフィーとの関係も妄想であることが後に明かされていきます。
そこで私たちは、アーサーという「信頼できない語り手」の物語を追っていることを知り、現実と妄想の境界線は曖昧になりました。
『ジョーカー』のラストシーンは、アーカム州立病院でのアーサーの様子が描かれていました。しかし、あの場面がどの時系列であるかは不明瞭です。加えて、両親の死体を前に立ちすくむブルース・ウェインの姿を映したショットが差し込まれていました。
後にバットマン誕生へ繋がるブルース・ウェインの両親の死という『バットマン』シリーズおなじみの演出になっているのですが、映画で実際に射殺したのはアーサー(ジョーカー)ではなく、暴徒化した市民の1人でした。
それなのに、あたかもジョーカーが殺したかのような回想シーンが挟まれていて、さらに観客の頭を悩ませるのです。
DCコミックと映画の歴史を振り返ると、原作においてはトーマスとマーサを殺害したのはジョー・チルという小物ギャングですが、ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)では、ジャック・ニコルソン演じるジョーカー=ジャック・ネイピアがブルースの両親を殺害しています。
それらを踏まえると、本作『ジョーカー』においては、そのどちらとも取れる描き方になっているのです。
- アーサーの妄想である
- ジョーカーは別に存在する
ラストシーンは物語上のその後ではなく、映画自体がそもそも病院内のジョーカーの妄想であったとも考えられますし、ジョーカーの物語が本当だったとするのであれば、いわゆる『バットマン』シリーズで長年のバットマン敵となるジョーカーはこの映画のジョーカではなく、触発された別のジョーカーであるようにも考えられます。
前者は物語が「信頼できない語り手」であることを考えれば想像できますし、後者も、アーサーの行動を追ってきた観客なら理解できるのです。(アーサーが殺していたのは自分をバカにした者だけだった)
それでは一体、何が本当なのか。しかし、これらの考察を結論づけることが意味のないことであることも分かるのです。
ジョーカーという虚無
劇中、アーサーがノートに記していた以下の言葉は、映画の中で2回登場します。
I just hope my death makes more sense (cents) than my life.
この人生以上に高価(硬貨)な死を
映画『ジョーカー』アーサーのノートより
1回目は冒頭のソーシャルワーカーとの面談の中で、そして2回目はマレーの番組に出演した時でした。
マレーの番組に出演した時に、ノートのこの言葉を見たアーサーは、数秒の沈黙と共に明らかに表情を変えています。彼の中の最後のストッパーが外れたのはこの瞬間で、その後は堰を切ったようにジョーカーとして混沌へ向かいます。
トッド・フィリップス監督が「いろいろな見方ができる」と語っているように、この映画は答えとなるような描写を明確に避けています。
DCコミック『バットマン』シリーズにおけるジョーカーというキャラクターの面白いところは、明確なオリジンが確立されていないこと。バットマンが両親を殺されたという明確なオリジンがあるのに対し、最大の敵とも言えるジョーカーにはそれがないのです。
緑の頭髪に白塗りの顔、裂けたよ赤い唇というアイコンとなる描写の背景はあるものの、ジョーカーがどのようにして誕生したのか、いかにしてジョーカーとなったのかは明らかにされていないのです。
本作はそんなジョーカーの出自を描く物語になっていながら、最後にそれを曖昧にさせています。ある意味「ズルい」描き方にも思えますが、ジョーカーという曖昧な存在を、映画そのものが体現しているのです。
『ジョーカー』を締めくくるアーサーの最後のセリフは、「You wouldn’t get it.(あなたには分からないだろうね)」であり、その後、フランク・シナトラの『That's Life(ザッツ・ライフ)』が流れて幕を閉じます。
ジョーカーというのは空虚そのものなんです。本作を観て、あれこれと各々の考察を結論づけることこそ、トッド・フィリップス監督の掌の上で踊らされているに過ぎないのです。『ジョーカー』の物語に答えなどないのだから。
2012年7月、クリストファー・ノーラン監督が描くバットマン3部作の最終章『ダークナイト・ライジング』の上映中に、銃乱射事件が発生するという悲しい事件がありました。
それを踏まえると、映画に影響されて何か揺動されたり、事件が起こすことがいかに空虚なことかを痛感します。この映画はある意味何も描いていないのです。事実、陰謀論やフェイクニュースなどに混乱させられて事件を引き起こしてしまう人もいます。
もし、トッド・フィリップス監督があのラストシーンを描かなかったとしたら、それはジョーカーの誕生譚として明確に新たな創作となり、意味を持ち始めてしまったと感じます。本作は描き方としてはとても「ズルい」と思います。しかし、バットマンにおける悪役ジョーカーではなく、『ジョーカー』そのもの描く物語としては見事な語り口としか言えませんでした。
『ジョーカー2』続編について
トッド・フィリップス監督は、『ジョーカー』の続編にあたる物語『Joker: Folie à Deux(原題)』を発表しました。
タイトルになっている「フォリ・ア・ドゥ(Folie a Deux)」とは、フランス語で感応精神病である精神障害の妄想性障害のひとつを意味しています。妄想が複数人の間で共有されることから、別名「二人狂い」とも言われています。
2024年10月4日に全米公開とされていて、ミュージカルになると報じられています。
『ジョーカー2』のキャスト
ジョーカー役にホアキン・フェニックスが続投し、レディー・ガガのキャスティングが決まり、ハーレイ・クイン役を演じるのではないかと推測されています。
まとめ:ホアキン・フェニックスの圧巻の演技を堪能
今回は、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』をご紹介しました。
暴行を受け、仕事を失い、仲間に裏切られ、意図せず人を殺し、母親に裏切られ、社会のサポートも打ち切られる。あらゆる不幸を煮詰めたようなアーサーの人生はあまりにも悲痛ですが、決して絵空事とも思えません。
過去のないジョーカーの過去と向き合う物語であり、そしてその過去を捨て去る物語でもある。非常に不安定な物語でありながら、心を鷲掴みにしてしまうのは、ホアキン・フェニックスの圧巻の演技の説得力の賜物。
あなたは『ジョーカー』の物語をどう捉えますか。