今回ご紹介する映画は『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』です。
ハリソン・フォードが考古学者インディ・ジョーンズを演じる大人気アドベンチャーシリーズの5作目。
本記事では、ネタバレありで『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観た感想・考察、あらすじを解説。
ハリソン・フォードの姿が感慨深い気持ちにさせる映画でした。
シリーズを振り返りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の作品情報と評価
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』
あらすじ
1969年。インディは旧友の娘ヘレナから話を持ち掛けられ、歴史を変える秘宝「運命のダイヤル」を求めて最後にして最大の冒険に挑む。
5段階評価
予告編
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作品情報
タイトル | インディ・ジョーンズと運命のダイヤル |
原題 | Indiana Jones and the Dial of Destiny |
監督 | ジェームズ・マンゴールド |
脚本 | ジェズ・バターワース ジョン=ヘンリー・バターワース |
出演 | ハリソン・フォード フィービー・ウォーラー=ブリッジ マッツ・ミケルセン トーマス・クレッチマン ボイド・ホルブルック シャウネット・レネー・ウィルソン トビー・ジョーンズ アントニオ・バンデラス ジョン・リス=デイヴィス |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023年 |
上映時間 | 154分 |
動画配信サービス
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のスタッフ
監督:ジェームズ・マンゴールド
名前 | ジェームズ・マンゴールド |
生年月日 | 1963年12月16日 |
出身 | アメリカ/ニューヨーク |
『インディ・ジョーンズ』シリーズは、これまでの4作ですべてスティーブン・スピルバーグが監督し、ジョージ・ルーカスが製作を務めていましたが、本作ではジョージ・ルーカスは参加していません。
当初は監督する予定だったスピルバーグもプロデューサーを務めることになりました。
監督は『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールドが起用され、脚本は、同じく『フォードvsフェラーリ』の脚本家であるジェズ・バターワースとジョン=ヘンリー・バターワースが担当しています。
音楽はこれまでのシリーズでも担当してきたジョン・ウィリアムズが続投。
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のキャラクター・キャスト
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
インディアナ・ジョーンズ (ハリソン・フォード) 数々の冒険を繰り広げてきた考古学者。 | |
ヘレナ・ショウ (フィービー・ウォーラー=ブリッジ) バジルの娘でインディは名付け親。 | |
ユルゲン・フォラー/シュミット博士 (マッツ・ミケルセン) 元ナチスの科学者/数学者。 | |
クレーバー (ボイド・ホルブルック) フォラーの忠実な手下。 | |
バジル・ショウ (トビー・ジョーンズ) インディの友人で考古学者。ヘレナの父。 | |
テディ (イーサン・イシドール) ヘレナと一緒に古品売りをする少年。 | |
メイソン (シャウネット・レネー・ウィルソン) CIAの捜査官。 | |
レナルド (アントニオ・バンデラス) インディの旧友で潜水士。 | |
サラー (ジョン・リス=デイヴィス) インディの友人でエジプトの発掘王。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ラストまでネタバレ】『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』あらすじ解説
(C)2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.
1944年、ドイツ
第二次世界大戦末期の1944年、インディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)と友人で考古学者のバジル・ショー(トビー・ジョーンズ)は、それぞれナチスに捕らえられていた。
2人はナチスが手に入れた、キリストの磔刑に使ったとされる「ロンギヌスの槍」を取り返そうとしていた。
一方、ナチスの科学者のユルゲン・フォラー(マッツ・ミケルセン)は、ロンギヌスの槍がレプリカであると上官に報告し、それよりも重要なアルキメデスが発明した「アンティキティラのダイヤル」の半分を見つけたと知らせる。
インディは列車でバジルと合流すると、フォラーからダイヤルを奪い、2人は列車の上をナチスに追われながらも逃げる。その後、連合軍による爆撃で橋が破壊されると、2人は列車から川へ飛び降りて難を逃れた。
1969年、ニューヨーク
1969年。インディはマンハッタンのアパートで、アポロ11号の月からの帰還を祝う若い隣人のパーティの音で目覚める。
部屋にある書類では、インディはマリオンと別居中であることが明かされる。ハンター大学で教授を務めるインディは、大学で同僚からサプライズで退職祝いを受けた後、近くのバーに入る。
すると、やってきたバジルの娘でジョーンズの名付け子でもあるヘレナ・ショウ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)に声をかけられる。彼女は考古学を専攻していて、ダイヤルを探していることを明かす。
アンティキティラのダイヤル
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インディは、ダイヤルは2つに分かれていること、父のバジルがダイヤル探しで狂気に追い込まれていたことをヘレナに伝える。その後、インディは大学の倉庫でバジルに壊せと言われていたダイヤルを今でも保管していることを明かす。
フォラーはシュミット博士と名前を変えて、NASAで働いていた。彼はCIAのエージェントのメイソン(シャウネット・レネー・ウィルソン)を使ってヘレナを尾行させ、手下のクレーバー(ボイド・ホルブルック)とハウケ(オリヴィエ・リヒタース)をヘレナの元へ向かわせる。
追手はインディの同僚2人を殺害し、ヘレナはインディを残してダイヤルを持って逃げ出していく。インディも倉庫を抜け出し、パレードで賑わう通りを馬に乗って逃げ回り、そのまま地下鉄に入って逃げていく。
インディは濡れ衣で殺人の容疑をかけられるが、現在ニューヨークでタクシー運転手として働いている友人のサラー(ジョン・リス=デイヴィス)の助けによって匿われる。
モロッコ、タンジール
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その後、インディはヘレナを追ってモロッコのタンジールへ向かうと、彼女はダイヤルをオークションにかけて売ろうとしていた。
インディは、ヘレナの仕事仲間の少年テディ(イーサン・イシドール)の制止を振り切り、オークションを阻止しようと介入するが、その後、フォラーと部下たちが現れ、ダイヤルを奪って逃げていく。
インディとヘレナ、テディの3人は3輪タクシーのオート・リクシャーに乗って追いかける。道中では以前にヘレナが婚約破棄したことを根に持つラヒム(アラー・サフィ)というギャングに追われるも、なんとか振り切る。
一方、フォラーたちの前にメイソンが現れると、彼女はフォラーの身勝手な行動を咎め、ヘリに乗せて連れ帰ろうとするが、フォラーはクレーバーに命じてメイソンを殺害する。
エーゲ海
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インディとヘレナ、テディの3人はダイヤルの残り半分があるアルキメデスの墓を探すことに決め、手がかりとなる石板「グラフィコス」を手に入れるため、インディの友人でプロの潜水士であるレナルド(アントニオ・バンデラス)の元へ向かう。
インディは、息子のマットが兵士になることを望み、ベトナム戦争で戦死したことを明かす。インディは悲しむマリオンを癒やすことができず、彼女はインディの元を去っていた。
インディとヘレナは、エーゲ海のある地点に潜り、ウナギの猛攻をかわしてグラフィコスを回収する。
すると、フォラーたちが乗り込んできて、グラフィコスを解読するように脅しかける。フォラーはレナルドを射殺すると、ヘレナはダイナマイトで隙を作ってインディたちは逃げていく。
インディは蝋で固められたグラフィコスを火で溶かしたことで現れた石板を解読し、アルキメデスの墓を目指して進んでいく。
アルキメデスの墓とダイヤル
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シチリアに着いたインディたちだったが、尾行されていたフォラーにテディを誘拐されてしまう。
インディとヘレナは、ギリシャのアテネの洞窟に先に向かい、アルキメデスの墓とダイヤルの残り半分を発見する。アルキメデスの遺骨のそばには、遥か先の発明品である腕時計もあり、彼が時空を超えてタイムトラベルしたのだと予想していた。
しかし、結果的にフォラーにダイヤルを横取りされ、彼は2つのダイヤルを合体させて完成させる。フォラーの真の目的は、ダイヤルの示す時空の裂け目を通り、1939年に戻ってヒトラーを殺害してナチスが戦争に勝つ歴史を作ろうすることだった。
捕まり手錠をかけられていたテディは、ハウケを溺死させて脱出し、インディたちに合流して奪い返そうとするが、インディは肩を撃たれてしまう。
フォラーはインディを連れて飛行機に乗り込み、時空の裂け目を目指して移動する。ヘレナもなんとか飛行機に忍び込み、テディは別の飛行機を操縦して後を追う。
時空の裂け目を前にして、インディはアルキメデスが大陸移動を考慮していないことでダイヤルの計算が間違っていることを指摘し、直前でフォラーは引き返そうとするが、すでに裂け目に入ってしまっていた。
紀元前212年、シラクサ
時空の裂け目を超えたその先は、紀元前212年のシラクサ包囲戦の最中だった。
兵士たちの攻撃を受けたフォラーの乗る飛行機は墜落を始め、インディとヘレナはパラシュートで飛行機から脱出すると、フォラーと部下たちを乗せた飛行機は墜落する。
アルキメデス(ナセル・メマルツィア)は、墜落死したウォラーのそばで腕時計を回収する。
インディはこの時代に残りたいと懇願するが、ヘレナはタイムパラドックスを避けるためにもテディの乗る飛行機で帰るように主張する。
そこへやってきたアルキメデスと少しの会話をし、それでもインディは過去に残ることにこだわっていたため、ヘレナはインディを殴って気絶させる。
帰還
インディはマンハッタンの自室アパートで目覚める。
そこにはヘレナとテディ、サラーの家族、そして別居・離婚調停中の妻マリオン(カレン・アレン)の姿があった。
ヘレナたちが空気を読んでアイスを食べに外に出かけると、インディとマリオンは、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』での会話を思い出しながらキスをして和解する。
そして、アパートの外に干してあったインディのフェドーラ帽を手に取る姿が映し出される。
【ネタバレ感想】ナチに始まりナチに終わる
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ジョージ・ルーカスが生み出し、スティーブン・スピルバーグが映し出した『インディ・ジョーンズ』シリーズ。
1981年公開の第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が公開されたとき、シリーズが40年以上続くシリーズになると誰が想像できたでしょうか。
主演のハリソン・フォードは、5作目にして80代(撮影時は79歳)に突入していますが、アイコンであるフェドーラ帽を被り、映画内を駆け回ります。
冒頭の物語の起点となるナチスの数学者フォラーとの関係を描く1944年のシーンでは、インディが30代後半に見えるように最先端の顔交換技術によるディエイジング(デジタル的な若返り)が用いられています。
ルーカスフィルムには過去作を含めたハリソンの膨大なアーカイブがあり、新技術とアーカイブ映像を駆使して若々しいインディを完成させました。撮影は、現場でハリソン自身が行った顔の演技をデジタル版の顔にマッピングしています。
この物語のマクガフィン(動機づけ)となる1944年のナチスとのシーンが非常にたっぷりと描かれています。そう、何を隠そう『運命のダイヤル』の悪役は、シリーズ恒例のナチスなのです。
ルーカスフィルムが2012年にディズニーに買収され、ディズニー傘下となって初の『インディ・ジョーンズ』シリーズでもあるので、悪役の描き方は非常に慎重になったとも言えます。そんなディズニーにとっては、ナチスほど悪役に都合の良い存在はいないのです。
監督はスピルバーグに代わり、『LOGAN/ローガン』や『フォードvsフェラーリ』といった傑作を打ち出したジェームズ・マンゴールド監督が引き受けます。
『LOGAN/ローガン』では、『X-MEN』シリーズの代名詞とも言えるヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの物語を壮大に締めくくりました。
さて、『インディ・ジョーンズ』シリーズを締めくくる本作はどうなっていたか。結論を言うと、哀愁とノスタルジックに満ちたアクションにとらわれた映画という印象でした。
先に個人的な不満点を挙げていきます。
アクションにこだわりすぎている印象
『最後の聖戦』で永遠の命を手にできる聖杯を飲んだインディですが、聖域を出れば効力を失うように、40年続くシリーズ上、ハリソン・フォードの老いという避けられない宿命と戦わなければなりません。
前作『クリスタル・スカルの王国』にて、老いていくハリソン・フォードができるアクションとスタントダブルによってそれっぽいカットで繋ぐシーンを見れば分かるように、人間は老いには抗えません。
『インディ・ジョーンズ』シリーズそのものが過去を描いた作品であることからも、ノスタルジックな傾向にあることは事実で、それに加えてハリソン・フォードが年齢を重ねることで、なんとも言えない哀愁を感じるのです。
文字通り老骨に鞭打って駆け回るハリソン・フォードを見つめる私たちは、「ハリソン・フォードも年とったなぁ」「でも頑張っているなぁ」という気持ちで見てしまうのです。
それもあって、冒頭でたっぷり描かれるデジタル的な若返りによるインディのアクションは、過去のシリーズの続きを見ているようで楽しいですが、その後のインディは、なんとも切ない感情で見えてしまいます。
本作のアクションシーンは見応えがあって、陸・海・空それぞれ、乗り物によるアクションシーンにすることでなるべくハリソンの負担にならないような工夫があったように思います。
迫力もしっかりあるのですが、場所を変えて同じことを繰り返している印象も強く、アクションシーンのメリハリがなく、見せ場と言えるシーンが分かりませんでした。
ハリソン・フォードが老いていく一方で、アクションシーンは今までで一番多かったように感じます。なぜそこまでアクションにこだわるのか疑問でした。
アクションを全面で推すのであれば、ハリウッドの大作映画なら『RRR』レベルが求められるのは必然で、老体のハリソン・フォードにそれを求めるのは酷でしかありません。
考古学者を主人公にしたアドベンチャーシリーズの魅力であるアドベンチャー要素がほとんど感じられないのはもったいなく、本当にスピルバーグが参加していたのだろうかと思ってしまいました。
ユーモアはどこへ消えた
『インディ・ジョーンズ』シリーズの魅力のひとつに、ユーモアが挙げられます。
決して正統派ヒーローではないインディや、彼を取り巻くキャラクター(悪役においても)がいい意味で空気を読まない笑いをもたらしてくれる面白さがシリーズの魅力でもあります。
『失われたアーク《聖櫃》』では、剣を振り回して威嚇する相手を一瞬で銃で撃ち殺したり、サラーが過剰に彫刻にビビったり、マリオンとのやり取りの変な空気感だったり。
暗すぎると言われた『魔宮の伝説』でも、ウィリーへの雑すぎる扱いや、大量の虫の中に手を突っ込むシーンで早くしろと急かされたり、ショート・ラウンドが良いスパイスになっていたり。
『最後の聖戦』では、崖から落ちて死んでしまったように思えたインディが、後ろからひょっこり登場して他人事のように覗き込んだり、ヘンリーとインディが捕らえられたシーンもユーモアに満ちています。
ゴールデン・ラズベリー賞の最低続編賞に選出された『クリスタル・スカルの王国』においても、再会したマリオンとの夫婦芸といえる笑いや、父インディと息子マットとの絶妙な距離感によるユーモアも感じられました。
さて、本作『運命のダイヤル』はどうでしょう。
正直、覚えている限り笑えたシーンはなかったですし、劇場で笑いが起こることもありませんでした。本作は、良くも悪くも優等生な映画で、ハリソン・フォード=インディ・ジョーンズの引退への花道を作り上げることに引っ張られすぎているように思えます。
冒頭でロンギヌスの槍を列車の扉のかんぬき代わりに使っているシーンを見たときに、つい期待していたのですが、それ以降、しんみりとした印象が強く、笑いの要素は感じられませんでした。
マリオンとのシーンで、冷蔵庫の写真に置いたマグネットをさり気なく取るシーンは好きでした(こういうのが随所に見たかった!)。
アルキメデスのダイヤルを巡るドタバタ争奪戦も、面白さというよりカオスさが目立ち、悪役のマッツ・ミケルセンは大好きな俳優ですが、歴代の悪役と比べると印象には残りません。
せめて悪役は無慈悲に葬ってほしかった
これまでのシリーズでは、笑えるユーモアとは対照的に、悪役が残虐に死ぬことがこれまた違った面白さのスパイスとなっていました。
顔が溶けて爆死したり、ワニのデスロールで死んだり、違う聖杯を飲んで焼け死んだり、無数の人喰いアリに殺されたり……。
悪役のエグい殺され方も魅力的と言えるシリーズですが、『運命のダイヤル』において、マッツ・ミケルセンは飛行機の墜落というなんとも言えない死に方をしています。寂しいよ…!
ジェームズ・マンゴールド監督は、これまでの映画でもアッサリと殺して退場させることもありましたが、それにしても、アントニオ・バンデラスの扱いにはさすがに悲しくなりました。
パラマウントのつなぎはなぜ無くした?
さらに言えば、『インディ・ジョーンズ』シリーズがこれまでやってきた、パラマウントロゴからの本編へのシームレスなつなぎシーンですが、本作『運命のダイヤル』では行われていません。
『失われたアーク《聖櫃》』で、スピルバーグがプロデューサーのフランク・マーシャルにハワイで必死に探してもらってまでやりたかったことを、なぜシリーズの締めくくりでやらないのか。寂しいよ…!
さらに、インディの歴代のポスターで使われているロゴを使わなかったことも気になるし、日本語タイトルに「と」が入っていることも謎です(『ハリー・ポッター』シリーズじゃないんだから)。
【ネタバレ考察】シリーズは博物館に保管しよう
『運命のダイヤル』というタイトルと、今回の鍵となるアイテムが時計の羅針盤であることからも、「タイムトラベル」がありそうな予想をした人は多かったと思います。
昨今のハリウッド映画に多く見られるような、タイムトラベルとマルチバース的な展開にならないことだけを祈って見に行ったのですが、その心配は杞憂に終わってよかったです。
先述したように、シリーズそのものが過去を描くタイムマシン的な位置づけであり、時代が月面着陸を果たしたアポロ11号に沸く一方で、年を重ね、息子を亡くして妻と離婚間近で引退した考古学の教授というインディの姿は、哀愁に満ちています。
そんな中で、新しく登場するヘレナは、考古学を学びながらも金目当てで、あくまでも歴史を重んじるインディとは対照的。インディが、バジルから受け取ったダイヤルを壊せなかったこと、タイムトラベルして紀元前に残りたがったこと、当時のアルキメデスと会話できたこと、それらはインディの考古学者としての矜持と内面の揺れとして映ります。
しかし、ヘレナのキャラクターはインディと対照的な位置づけを超えるものはなく、父バジルの後を継ぐこと、金目当てに遺物を売ること、彼女は行き当たりばったりで信念が感じられず、インディを振り回す以上に魅力的な要素を見出すことはできませんでした。
シリーズを振り返ったときに、ゲシュタポのトート役を演じたロナルド・レイシーや、サギー教のモラ・ラム役のアムリーシュ・プリーも、インディの父ヘンリーを演じたショーン・コネリーも他界しています。
それを考えると、サラーやマリオンが再びスクリーンで見られることは素直に嬉しく感動的で、インディ・ジョーンズ=ハリソン・フォードが、クローズアップのカメラで肌のシワをありありと映しながらも、自らの老いや時間の経過によって、自分も古い存在になったことに向き合う様子は感慨深いとしか言えません。
これまでインディが必死に遺物を博物館に戻すことに貢献したように、『インディ・ジョーンズ』シリーズという映画史に残る遺物は、映画史のアーカイブからもう取り出そうとしないでほしいと思いました。
まとめ:ハリソン・フォード、お疲れ様でした
今回は、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』をご紹介しました。
歴代の『インディ・ジョーンズ』シリーズの見る順番・あらすじ・キャラクター解説
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