今回ご紹介する映画は『偽りの銃弾』です。
元特殊部隊パイロットの主人公が、暴漢に殺された夫を自宅の監視カメラで目撃したことから始まるサスペンスドラマ。
本記事では、ネタバレありで『偽りの銃弾』を観た感想・考察、あらすじを解説。
ミスリードを誘う演出が上手く、予想外の結末が楽しめるサスペンスドラマでした!
『偽りの銃弾』ってどんなドラマ?
偽りの銃弾
5段階評価
あらすじ
夫ジョーが殺害され、夫の実家である大邸宅で行われた葬儀に参列したマヤ。ところがそれからしばらくして、マヤは自宅の監視カメラに死んだはずの夫が映っているのを目撃する。
作品情報
タイトル | 偽りの銃弾 |
原題 | Fool Me Once |
監督 | デビッド・ムーア ニマー・ラシュド |
脚本 | ダニー・ブロックルハースト シャーロット・コーベン イエミ・オイェフワ ニーナ・メティヴィエ トム・ファレリー |
出演 | ミシェル・キーガン アディール・アクタル リチャード・アーミティッジ ジョアンナ・ラムレイ ディノ・フェッチャー エメット・スキャンラン ジョー・アームストロング マーカス・ガーヴェイ ダーニャ・グリヴァー ローリー・キナストン ハティ・モラハン ジェームズ・ノースコート |
音楽 | デヴィッド・バックリー ルーク・リチャーズ |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2024年 |
話数 | 全8話(リミテッドシリーズ) |
『偽りの銃弾』は、2016年にハーラン・コーベンが発表した同名小説を映像化した全8話で完結するリミテッドシリーズ。
主人公は、殺人事件で夫を失った元特殊部隊パイロットのマヤ。娘を案じて自宅に設置した監視カメラに映っていたのは、2週間前に殺されたはずの夫ジョーだった。ジョーの死に潜む謎を追ううちに、マヤは数ヶ月前に惨殺された姉クレアの死、そして17年前のある事件の真相へとたどり着く……。
偽りの銃弾 ハーラン・コーベン Amazonでみてみる |
原作は『マイロン・ボライター』シリーズでも知られるハーラン・コーベンで、コーベンはNetflixと長期間の契約を結び、彼の小説が今後、映画やドラマ化されていくと発表されています。原作の舞台はアメリカですが、ドラマでは舞台はイギリスになっています。
『偽りの銃弾』キャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
マヤ・スターン(ミシェル・キーガン) 夫のジョーを亡くしたばかりの元陸軍特殊部隊のパイロット。現在は民間のヘリコプターの教官。 | |
サミ・キアース(アディール・アクタル) ジョー殺害事件を担当する刑事。突発的な失神に悩まされている。 | |
ジュディス・バーケット(ジョアンナ・ラムレイ) バーケット家の家長であり、ジョーの母親。 | |
シェーン・テシ(エメット・スキャンラン) マヤの親友であり、陸軍の時代の同僚。 | |
マーティ・マクレガー(ディノ・フェッチャー) キアースのバディとしてやってきた刑事。 | |
エディ・ウォーカー(マーカス・ガーヴェイ) 亡くなったマヤの姉クレアの夫であり、2人の子供アビーとダニエルと暮らしている。 | |
ジョー・バーケット(リチャード・アーミティッジ) マヤの夫。何者かに襲われて3発の銃弾を受けて殺されるが、死後にマヤの家の監視カメラで姿を確認される。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
第1話あらすじ
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第1話は、1996年のフラッシュバックシーンから始まる。学校の制服を着た少年たちが奇妙なマスクをかぶり、椅子に縛り付けられた少年の周りでダンスを踊っていた。
マヤの苦悩
現在、マヤ・スターンは3歳の娘リリーと共に、夫ジョー・バーケットの葬儀に出席している。牧師が葬儀を進める中、マヤはジョーとの出会いと彼がマヤの腕の中で息絶える様子を思い出していた。
葬儀の後、マヤは義母ジュディス・バーケットが、夫の事件を担当するサミ・キアース刑事を葬儀に招待していたことを知る。キアース刑事の存在はマヤを苛立たせるが、ジュディスはキアース刑事に彼女が抱えているものの苦しさを伝える。
ジョーの死ぬ数ヶ月前にマヤの姉クレアが亡くなったこと、目の前で夫の死を目撃したこと、軍での過去の出来事など、ジュディスはマヤの苦悩を察し、カウンセリングを受けることを勧める。
ジョーの映像
マヤは友人のエヴァから、仕事中にリリーを見守れるように監視カメラ付きのデジタルフォトフレームをプレゼントされる。数日後、マヤは仕事に復帰すると、軍の仲間で親友のシェーンから心配される。マヤは普段通りにリリーと過ごそうとするが、軍での過去の出来事をフラッシュバックし、眠れなくなっていた。
後日、マヤが部屋の監視カメラをチェックすると、死んだはずの夫ジョーがリリーを抱きしめている様子を目撃し、ジョーが着ていた服も消えていた。マヤは家事手伝いのイザベラを問いただし、強引に映像を確認させようとするが、抵抗した彼女は催涙スプレーをかけて家を去っていく。
キアース刑事の発作
その後、キアース刑事がマヤの家を訪れ、マヤは事情を説明するが、ジョーが映った映像のSDカードがイザベラに持ち去られていることを知る。キアースはジョーが殺された夜の話を尋ね、彼女の拳銃の保管庫を確認する。マヤがジョーが胸に受けた銃弾と同じ拳銃であるグロック17を所持していることを知り、検査するために持ち帰る。
キアースは車でオフィスに戻る途中に意識を失い、フェンスに衝突するが、彼は猫を避けようとしたと上司に嘘をつく。その後、上司はキアースに相棒の若い刑事マーティ・マクレガーを同行させることを命じる。
マヤとジュディスの確執
マヤはイザベラに連絡を取ろうとするが、彼女は電話に出ない。マヤは義理の兄エディに会うが、妻をなくした彼も苦しんでいることを知る。マヤは姪のアビーのサッカーの練習試合に行くが、そこでジョーの幻影を見ていた。彼女はアビーに暴言を吐くコーチと口論となり、彼のズボンを下ろして恥をかかせるが、エディに子どもたちから離れるように言われる。
週末になり、マヤが友人たちと過ごす中、彼女は自分が尾行されていると感じていることをシェーンに打ち明け、その車を調べるように頼む。その後、ジュディスからイザベラがバーケット家の家事手伝いを辞めると訪ねてきたことを知らされ、イザベラを追いかける。
マヤはイザベラを追い詰めるが、ボーイフレンドの協力で逃げられてしまう。マヤはジョーの映像のことをジュディスに明かすが、彼女はマヤが狂って幻覚を見ていると主張し、2人は激しく口論する。
深まる疑惑
マヤが自宅に戻ると、キアース刑事とマーティ刑事が待ち構えていた。彼らはジョーとクレアが同じ拳銃で殺されたことを明かすが、クレアが亡くなったとき、マヤは軍務で不在のアリバイがあった。
そんな中、見知らぬ男がクレアの墓石に花束とメッセージを残す。一方、リリーのサッカーのコーチは、彼の車に残る血痕を隠していた。その頃、イザベラはSDカードのデータを確認し、削除していた。
第2話あらすじ
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第2話は、マヤが軍で働いていた時のフラッシュバックから始まる。彼女は夫のジョーから姉のクレアの訃報を受けていた。
ジョーとクレアの関係
キアース刑事とマーティはマヤの家で、クレアとジョーの死に関連性があるかどうかを調査している。キアース刑事はクレアとジョーの関係を追求して質問するが、マヤは2人が仲が良かったもののの、不倫関係にはなかったと断言する。
翌日、マヤはリリーを託児所に預けて仕事に向かう前、エヴァの家に立ち寄る。エヴァはクレアが亡くなる数週間前に様子がおかしかったこと、彼女が普段使っているものと別の携帯電話で電話を受けた後に亡くなったことを明かす。マヤはエヴァが警察に携帯電話のことを話さなかったことに怒るが、エヴァはクレアが不倫をしていると思い、彼女の死後に家族を傷つけたくなかったと主張する。
クレアの荷物
一方、キアース刑事はカウンセラーのニコールと会い、セラピーを欠席したことを指摘される。キアースは自分の病気によって仕事を失うことを恐れており、ニコールは病院での検査を勧める。
エヴァの家を後にしたマヤは、クレアの家を訪れ、クレアの荷物から携帯電話を発見する。するとエディに見つかり、電話を渡すよう要求される。マヤはクレアが不倫をしていたかどうかを尋ねると、エディは否定する一方で、彼女との距離を感じていたことを認める。マヤは携帯を持って去っていく。
キアースの葛藤
警察署では、マーティとキアースがジョーとクレアの殺人事件の関連を調査し続けている。キアースはバーケット家の家事手伝いであるイザベラが何か手がかりを知っていると推理する。
マヤはクレアの携帯を調べ、彼女が死ぬ前に繰り返しアーケードゲームセンターに電話していることを知る。マヤはゲームセンターを訪れるが、オーナーはジョーもクレアも知らないと主張する。
キアースは自分が自宅のキッチンで意識を失って床に倒れていたことに気づく。彼は婚約者のモリーと数ヶ月後に結婚を控えており、妊娠中の彼女のエコー検査を受けて幸せを感じる一方で、突発的に失神することを明かせずにいた。
新たな問題
マヤはシェーンと会い、尾行する車についての調査の進捗を確認する。シェーンはマヤに、彼女が軍を去ることになった内部告発者であるコーリー・ザ・ホイッスルの復帰を知らせ、さらなるトラブルが待ち受ける可能性を伝える。
その後、マヤはジュディスの屋敷でジョーの遺言の読み上げに参加する。バーケット家が集まるが、弁護士はジョーの死亡証明書がないため遺言は開けられないと伝えると、ジュディスは憤慨する。
ジョーの妹キャロラインはマヤに、遺体を確認していないためジョーが死んでいないかもしれないと告げる。彼女はジュディス以外に誰もジョーの遺体を見ていないこと、弟のアンドルーが亡くなった時も同じことが起こったと言う。さらに、バーケット家がキアース刑事に毎月お金を振り込んでいることを明かし、マヤを驚かせる。
一方、エディの娘アビーと息子ダニエルは、クレアの荷物からフィルムカメラを発見し、現像した写真の中から母クレアが父エディと出会う前に妊娠していたことを知る。
第3話あらすじ
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第3話は、バーケット家がキアース刑事に金を支払っていることを知ったマヤが、ジュディスに尋ねるところから始まる。ジュディスはキャロラインが精神的に不安定であるために死体を見せなかったと説明する。キアース刑事に金を渡していることについては、関与を否定し、やって来たジョーの兄ニールに中断される。
それぞれの追跡
アビーとダニエルは、母の昔の恋人がIT企業で働くアレクサンダー・ドスマンという人物であることを突き止め、彼が自分たちの家からすぐ近くにある会社で働いていることを知る。
事件を捜査するキアースとマーティは、エディを訪ね、ジョーが亡くなった夜のアリバイを確認する。エディはその夜ジムにいたと主張するが、2人は言動から怪しさを見抜き、調査を進める。
一方、マヤはエヴァを訪ね、携帯を見つけたことを伝える。2人は話をしている中で、通話履歴がすべてアーケードゲームセンターの開店前に行われていたことに気づく。マヤはゲームセンターが開く前に再び訪ね、そこで彼女を尾行していた赤い車を発見し、追跡装置を取り付ける。
マヤは赤い車を尾行するが、高速道路で見失ったため、彼女は仕事に戻り、シェーンに車の監視を依頼する。その後、彼女がヘリコプターの操縦指導をしていると、シェーンから車の位置の報告を受ける。マヤはその場所が現在地と近いことに気づき、ヘリコプターで車を追跡する。彼女は森に着陸し、生徒を残して森の中を追跡するが、2人の男に取り押さえられ、連れて行かれた場所でコーリーと対面する。
コーリーとクレアの関係
コーリーは、クレアがマヤを守るために自分に連絡し、内部告発の音声データを公開しないように頼まれたことを明かす。その見返りに、クレアは彼女が働いていたバーケット・グローバルに関する情報を彼に提供したことが判明する。さらにコーリーは、クレアの死後にジョーからの連絡を受けたことを明かす。
彼はクレアとジョーが、バーケット家に関する大きな秘密に気づいたために殺されたと主張する。バーケット家はキアース刑事だけではなく、過去26年間、トミー・ダークという人物にも金を支払っていることを明かす。
マヤはその後、トミー・ダークの経営する運送会社を訪ねるが、彼の姿はなかった。秘書は、クレアもトミーに会いに来ていたことを明かし、彼が疾走していることを伝える。
隠しごと
アビーとダニエルはドスマンの会社を訪ね、ドスマンの姿を発見する。すると彼は2人に気づき、別の場所で会うことを提案し、アビーはそれを承諾する。
キアースとマーティは、ジョー殺害現場近くの映像から、犯人が乗っていたとマヤが証言していたバイクの映像を照会する。すると、バイクの所有者がアビーのサッカーチームのコーチ・フィルであることを突き止める。
その頃、ジュディスの屋敷でキャロラインが監視カメラ映像でジョーが着ていた緑色のシャツを発見していた。一方、マヤはリリーの泣き声で悪夢から目を覚まし、彼女の寝室へ向かうが、リリーの姿はなかった。マヤは銃のコレクションから秘密のグロック拳銃を取り出し、リビングへ向かう。
第4話あらすじ
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第4話は、侵入者を調べるために拳銃を手にしたマヤがリビングに向かう様子から始まる。マヤの家にいたのはシェーンであり、彼はマヤが悪夢にうなされリリーが泣いていたことを伝える。
シェーンはトミーがアンドルーが亡くなったときのヨットの船長だったことを明かす。マヤはトミーがアンドルーの自殺を事故に見せかけるために支払われたものではないかと疑う。マヤが監視カメラ映像のジョーのことを打ち明けると、シェーンはジョーが死を偽装している仮説を立てるが、マヤは聞き入れない。
別行動
アビーはホテルの一室でドスマンと接触し、クレアと知り合った経緯を尋ねるが、彼はクレアが妊娠していることを知らないことに気づく。
キアースとマーティはフィルに事情聴取し、ジョーが殺される前にバイクが盗まれたにも関わらず被害届を出さなかったことを指摘する。キアースは彼が息子のPJをかばっているのではないかと推理し、代わりに彼を尋問すると告げる。
キアースはPJの監視をマーティに任せ、フィルがバーケット社の刻印が入った車で警察署を後にする様子を目撃し、彼を追跡してサッカー・クラブに向かう。しかし、そこでまた発作が起こり、意識を失って倒れてしまう。
マーティは、キアースがフェンスに衝突した時の監視カメラを確認し、彼が猫を避けたと言ったことが嘘であることを知る。
トミー・ダークの調査
マヤはリリーを連れて公園でエディと子どもたちと会い、彼と和解する。その後、マヤはトミー・ダークの妻から電話を受けて彼女の自宅に向かうと、彼女はバーケット家から夫がカネを受け取っていたことを証明する明細書を見つけ、6週間もの間、夫と連絡が取れていないことを明かす。
マヤはジュディスの家に直行し、トミーのことを問いただすが、彼女はシラを切り続ける。マヤはアンドルーの話を持ち出し、ジョーの話で彼が自殺したこと、キアース刑事への金の受け渡しも指摘するが、ジュディスは否定し、キャロっラインが精神病院で治療を受けていると訴える。しかし、彼女が家を去る様子を家の中から見つめるキャロラインの姿があった。
ジュディスとの口論の後、マヤはコーリーに会いに行き、トミー・ダークを追跡してほしいと頼む。マヤはコーリーに、内部告発で音声データを公開しなかった理由を尋ねると、彼はマヤが十分に苦しんでいるとわかったからだと答える。
兄の存在
体を動かすことができないキアースはマーティに助けを求める。床に倒れている彼を見つけたマーティは驚きくが、キアースは自分の健康問題を打ち明ける。一方、マーティはゲイであることをカミングアウトし、デートをドタキャンしてやったきたことを明かす。
アビーとダニエルは、DNAサイトのクレアのプロフィールをチェックし、兄がいることを知る。その後、エディは妊娠したクレアの昔の写真を見つけて家を飛び出してしまう。
エディに会いに来たマヤは、アビーとダニエルから質問攻めにあう。マヤは2人に兄がいることを伝える。その頃、別の場所では、若い男性の携帯電話に、DNAサイトのプロフィールを閲覧したというアラートが届く。
長い一日を終えて、マヤはリリーをベッドに寝かせた後、家の外で車の警報が鳴っていることに気づき、止めるが、特に気にしなかった。家の外では、シェーンがマヤの車に発振器を取り付けたことが判明する。
第5話あらすじ
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第5話は、友人のエヴァがマヤの自宅を訪ね、元夫にフォトフレームで監視されていたことを打ち明ける場面から始まる。この情報により、マヤはジョーの映像が誰かがハッキングして仕掛けた映像である可能性を考える。その後、シェーンが盗聴器やネットを調べに来るが、不審なものは見つからなかった。
キアースの検査結果
キアースとマーティは、再びエディにジョーが死んだ夜について質問するために現れる。エディはあの夜、たまたま出会った女性と関係を持とうとしていた。しかしクレアへの罪悪感でジムに引き返し、そのことを子供たちに知られたくなかったので嘘をついたと明かす。
キアースは病院の検査結果を聞きに行くと、脳に損傷があることを伝えられてショックを受ける。医師は以前のアルコール中毒が原因とは断定できず、今のところ治療法がないと告げる。キアースは頭を悩ませ、教会でモリーと一緒に結婚式の打ち合わせをしていると、たまらずに逃げ出してしまう。その後、高架橋の上で悩んでいるところを、カウンセラーのニコールに発見される。
ルイとクレア
一方、アビーはDNAサイトを介して異母兄にメッセージを送り、会う約束をするが、弟のダニエルにはまだ返事がないと嘘をつく。しかし、いざ会うとなると、彼女は怖気づいてキャンセルしようと迷うが、その場のメッセージの送受信によって、異母兄が彼女と同じサッカーチームのルイであることを知る。
ルイはアビーに、自分が養子であることは知っていたが、クレアを知ったのは18歳になってからであると明かす。ルイとクレアはお互いをもっと知るために会い始めるが、長い関係になる前に彼女は亡くなり、死の直前、クレアはルイを上流階級の学校に連れて行き、志願者のふりをして学校の案内を受けたことを明かす。
その知らせにアビーは混乱し、クレアの死の鍵になるかもしれないと思い、マヤに電話で話す。ジュディスに会うためにリリーを送っていたマヤは、精神病院にいるはずのキャロラインが2階にいるのを見つけ、彼女を探しに行く。するとマヤは、踊り場にあったジョーのトロフィーの高校名を見て、クレアがルイを連れて行った学校であることに気づく。
25年前の出来事
マヤはその高校に行き、校長のロックウッドにクレアのことを問い詰める。すると、クレアが25年前にこの学校で死んだ学生テオ・モラについて調べていたことが判明する。
テオはジョーとアンドルーの友人で、同じサッカーチームに所属していたが、テオは大会での勝利を祝った後にアルコール中毒で死んでいた。さらにその6週間後に、アンドルーがヨットで死んでおり、ロックウッドはアンドルーがテオを失った罪悪感で自殺したのだと考えていた。マヤは当時その他にヨットに乗っていた人物がいるかを尋ねると、ロックウッドはクリストファー・スウェインという人物の名前を伝える。
クレアが知ったこと
その後、マヤはコーリーに呼び出される。彼はトミー・ダークの行方は不明である一方、彼が借りた保管庫の場所を突き止める。マヤとコーリーは、トミー・ダークの行方と彼が保管庫に何を隠しているかを確認しに行く。
コーリーはクレアがバーケット社の製薬部門を調べており、バーケットが世界中で中毒や死を引き起こした抗生物質を製造していたことを明かす。しかしコーリーは、クレアが腐敗した企業よりももっと大きなものを発見しており、そこにトミー・ダークとの関係性があると考える。
その後、2人がトミーの保管庫に到着すると、そこには冷凍庫以外には何もなく、冷凍庫にはトミーの死体があった。
第6話あらすじ
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第6話は、マーティがキアースに電話し、死体が発見されたと告げる場面から始まる。2人はトミーの保管庫でマヤに会い、トミーの死体を確認する。マヤはコーリーのことは伝えず、匿名の電話で通報があったと話す。
キアースがマヤの周りで不審死が起きていることを突っ込むと、マヤはキアースになぜバーケット家から金をもらっているのかと反撃する。すると断固として違うと言い張り、彼女を家に連れて行き、暮らしぶりを見せて自分の潔白を証明しようとする。
キアースはマヤが殺人の容疑者であることを伝え、知っていることをすべて話して無実を証明してほしいと頼むが、彼女はトミー・ダークもバーケット家から金をもらっていたという情報だけを提供する。
スウェインの手がかり
マヤはトミーの取り調べを受けた後、エディに預けていたリリーを迎える。彼女はエディに、トミーの死や自分が疑われていることを伝えると、エディは力になると伝える。
マヤがジョーの同級生クリストファー・スウェインの写真を見せると、エディはその背景から、ロンドンの一等地であることを突き止める。マヤはすぐにスウェインを追跡のために向かうが、そこに彼はおらず、隣人から彼が大人数で騒々しいパーティーを開いた後、いつものようにどこかへ行ってしまったと聞かされる。
関係修復
アビーとエディはルイのことで率直に話し合い、仲直りするが、アビーが自分に内緒で異母兄に会いに行ったことを耳にしたダニエルは、怒ってしまう。しかし、その後、エディがルイを家に招き、アビーとダニエルは異母兄であるルイ家と対面する。
マーティはキアースの不在を上司に問われるが、彼をかばう。マーティは上司から、キアースが最初の婚約者を殉職で亡くし、アルコール依存になり、自分を責めていたことを聞かされる。
ニコールの案内でアルコール依存のグループセラピーに参加したキアースは、自分の死で愛する人を悲しませたくないと本音を吐露する。その後、ニコールのアドバイスを受け入れ、モリーに会い、失神のこと、検査と診断のことを打ち明ける。2人は和解し、お互いに愛し合っていることを伝え合う。
謎の電話
キャロラインはその夜、マヤに電話をかけ、ジョーに会ったこと、そしてジョーから伝言を頼まれたことを伝える。マヤがかけ直すと、誰かが電話の向こうで息をひそめるが会話はなかった。マヤはリリーをベッドに寝かせ、誰かに手紙を書く。そんな彼女の様子を、見知らぬ男が庭から窓越しに彼女を観察していた。
マーティはマヤがトミーの保管庫へ向かう監視カメラを入手し、マヤが一人ではなかったことを確認する。マーティとキアースはマヤを連行して尋問するが、キアースが車のトランクからトミーの血痕が見つかったと明かすまで、マヤはコーリーの名前を明かそうとしなかった。マヤはコーリーが自分に罠にはめたと疑い、彼の居場所を伝える。
警察とコーリーの動き
釈放されたマヤを迎えに来たシェーンは、彼女が自分に話していないことがまだたくさんあると言う。彼女はクリストファー・スウェインについて何を突き止めたのかと尋ねるが、彼は自分の要求ばかりで全部を話そうとしないことに腹を立て、2人は口論となる。
最終的にシェーンは、スウェインが繰り返し飲酒運転で捕まっていることを明かし、刑務所の代わりに金持ちたちのリハビリ施設にいることを明かす。
警察署に戻ったキアースは、軍人の誰かがクレアの殺人事件の情報を正式に要求しているという報告を受け、それがシェーンであると考える。しかし、彼が調べる前に、オフィス中のコンピューターシステムがダウンし、コーリーがシステムをハッキングし、警察の動きに気づいていると察する。
キアースはコーリーの森の隠れ家に向かい、マーティも別の車でゲームセンターの住所を調べた後に森へ車を走らせる。
スウェインとジョー
マヤはイザベラの弟の車に追跡装置を取り付け、ジュディスから金持ちのリハビリ施設の情報を手に入れる。施設へ向かう道中、シェーンから飲みに行かないかと誘われるが、彼女はエヴァと会う予定だと断り、家にいると嘘をつく。シェーンは彼女が嘘をついたことを察していた。
リハビリ施設でスウェインに会ったマヤは、アンドルーの死について尋ねる。するとスウェインはジョーが自らの弟アンドリューを殺したと明かす。
第7話あらすじ
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第7話は、クリストファー・スウェインがマヤに、ジョーが実の弟を殺したという事実を話すシーンから始まる。
25年前の真実
スウェインは、当時の夜の出来事を話し始める。スウェインが言うには、ジョーは運動もできて容姿も人柄も良いテオを脅威とみなしたのだという。彼らはテオを部屋から連れ出し、椅子に縛り付けて酒を飲ませていた。最初はテオも楽しんでいたが、ジョーが漏斗でテオの口にウォッカを流し込み始めた時、事態は暗転する。
スウェインは、テオが発作を起こしたにもかかわらず、ジョーは酒を注ぐのを止めなかったと言う。そしてテオが死ぬと、ジョーは秘密を守ることを誓わせた。そして数週間後のヨットの上で、罪悪感に苛まれていたアンドルーが自白したいと言い出すと、ジョーは彼をヨットから突き落としたのだ。
マヤは、なぜ今になって真実を明かすのかと尋ねると、彼はジョーが死んでようやく安心して話せるようになったと明かす。
キアースの幻想
一方、キアースは森の隠れ家にたどり着き、逃げ出すコーリーを捕まえて警察署に連行する。コーリーは、トミー・ダーク殺害と死体隠蔽の容疑で起訴されたと聞いて驚くが、容疑を否定し、バーケット家に襲われることを心配しながらも、キアースとだけ内密に話をすると言う。
コーリーはキアースに、バーケット社が医療試験でデータを改ざんし、人々を病気にしている事実を隠していることを明かす。さらに、クレアがその事実とジョーの過去を知ったために殺されたと言う。彼はまた、バーケット家がトミー・ダークの死にも関係していると確信していた。
コーリーが話している間、キアースは自分が同じ薬を服用していることに気づき、それが原因で失神を起こし、原因不明の神経症と診断されている事態に気づく。さらにキアースは、カウンセラーと思っていたニコールが、実は亡くなった婚約者であり、薬のせいで彼女の幻想を見ていたことに気づく。
マヤの過去の過ち
一方、シェーンはマヤに、クレアとジョーの殺害に同じ銃が使われた事実を問いただす。マヤは自分を信じてほしいと伝え、彼女がフラッシュバックする軍の過去の出来事の真実を明かす。
マヤは、戦場で見方に近づいてくる未知の車両にミサイルを発射するかどうかの選択を迫られていた。彼女は同乗するシェーンの無線を切り、軍の司令を無視してミサイルを発射し、その結果、車両に乗っていた民間人が犠牲になったのだった。
彼女は毎晩、自分が別の選択をしていれば、事態はもっと違った展開になっていたかもしれないと罪悪感に苛まれていること明かし、シェーンもマヤが司令を無視して行動したことを知り、ショックを受ける。その後、マヤはイザベラの弟ルカの車に付けた追跡装置の通知を受け、その場を去っていく。
キアースとPJ
マヤは、携帯電話のSIMカードを破壊し、使い捨て携帯を購入する。彼女はエディに電話してリリーの保育園に一緒に行き、クレアの死の真相を突き止めるため、リリーをしばらく見守ってほしいと伝える。
一方、キアースとマーティは、PJがアルバイト先にいるという情報を得て、彼を連行しに向かう。PJは2人を見つけると逃げ出し、施設内を追いかけた末に屋上でキアースに追い詰められる。すると、PJはジョーが死んだ夜、公園にいたことを認めるが、殺害は否定する。彼はランボーと呼ばれる友人とハンドバッグを盗んでいたときに銃声を聞いて逃げ出したと明かす。
キアースは屋根の上で失神しそうになるが、心配したPJが屋根から滑り落ち、重傷を負ってしまう。この出来事が原因でキアースは警察を停職になる。しかし彼は単独で捜査を続け、すぐにPJの友人ランボーを探しに行く。キアースはランボーがジョーを撃った犯人を知っていると確信していた。
マヤの告白
マヤはルカを追跡し、同乗していたイザベラに銃口を突きつけ、監視カメラ映像の説明を要求する。イザベラはルカがジョーの服装を着てジョーになりすましたこと、マヤとジョーの結婚式のビデオを使ってフェイク映像を作ったこと、そしてそれがバーケット家による差し金であることを明かす。
マヤは混乱しながらも2人を車のトランクに乗せる。すると、マヤが危険な状態にあることを心配したエディの知らせによって、彼女の前にシェーンが現れる。シェーンはマヤに隠していた秘密を問いただし、やがて真実が明らかになる。マヤは自分がジョーを殺した犯人だと告白する。
第8話(最終話)あらすじ
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第8話(最終話)は、マヤがジョーを殺したことを自白するところから始まる。シェーンは驚く様子もなく、自分で事実を組み立て、マヤがクレアを殺害した復讐としてジョーを殺したことを理解する。
ジョー殺害の真実
4ヶ月前に遡り、ジョーがクレアを自宅で冷酷に殺害し、それを強盗に見せかけるシーンが描かれる。マヤはジョーが隠していた拳銃を使ったことに気づき、シェーンに弾丸の線条痕を調べさせ、ジョーの犯行を知ったと明かす。
その後、マヤはジョーに電話し、彼の行いを知っていること、その夜に公園で会うことを伝える。ジョーが武装してくることを予期していたマヤは、家にあった故障した拳銃と隠し持っていた拳銃をすり替え、ジョーと対峙する。
ジョーはマヤに銃を向けて撃とうとするが、銃は作動せず、マヤは最初の2発を撃ってジョーを負傷させ、強盗に見せかけ、3発目で彼を殺害する。そして、彼の体を抱きかかえながら泣き叫び、自分も被害者であるかのように見せかけた。
マヤの計画
シェーンはルカとイザベラを人里離れた場所に置き去っていく。一方、キアースはパブのトイレでランボーを追い詰め、彼がジョーを殺していないこと、事件の夜に公園で犯人を見たことを知る。
ランボーの証言により、キアースはマヤがジョーを殺した犯人であることを知る。マーティとキアースは、マヤの車を追跡するが、マヤの車にはエディが乗っており、リリーを迎えに来ていたことが判明する。2人はマヤを逃したことに苛立つが、エディは自分の車にGPSが搭載しており、マヤが自宅にいることを明かす。
自宅に戻ったマヤは、ジョーが自分の車を借りた過去を思い出し、トミー・ダークの血痕が彼女の車に付いていたことと照らし合わせ、彼がトミー・ダークを殺害したと確信する。
マヤはリリー宛の手紙を書いて家を出ようとするが、玄関を出た瞬間、キアースに逮捕される。しかし、マヤは彼に全てを話すから時間がほしいと申し出る。
事件の顛末
バーケット一家が投資家たちとディナーを楽しんでいる一方で、マヤは屋敷に忍び込む。キアースはコーリーの森の隠れ家に到着し、彼に頼みごとをしていた。
ディナーを終えたジュディスは、部屋にマヤがいることに気づいて驚く。マヤは、イザベラの監視カメラのトリックについて、拳銃を取り出して詰め寄る。しかし、彼女は誰も撃たずに銃をテーブルの上に置く。
マヤはジュディスに、自分がジョーを殺したと思う理由を尋ねる。ジュディスは母の直感だと言うが、マヤはジュディスはジョーがクレアを殺害したこと、そしてそれが虚偽の治験結果を隠蔽するためだったことを知っていたと指摘する。ジョーの兄妹であるニールとキャロラインは、ジョーがクレアを殺したことを信じないが、マヤの追求でジュディスはそれを認める。
さらにマヤは、ジョーが殺害したのはクレアだけではないと言い、テオ・モラに起きたこと、自分の罪を隠すために実の弟のアンドルーを殺害したことを家族に明かし、自分がジョーを殺したことを認める。
バーケット社の不正を世に出したくないジュディスは、すべてを死んだジョーのせいにする取引を持ちかける。しかし、ニールはマヤが置いた拳銃を手に取り、マヤを銃で撃つ。
腹を撃たれたマヤは、血を流しながら「もう終わりだ」とささやくと、ジュディスはニールに頷き、彼はさらに2発マヤを撃って殺害する。しかし、ジュディスが死んだマヤが指差す方向を見ると、彼女が隠しカメラ付きのフォトフレームを設置していたことに気づき、唖然する。
マヤが殺される様子は、コーリーの内部告発サイトを通じて全世界に配信される。それによってバーケット家の不正が明らかになるが、キアースはマヤが殺されたことを悲しみ、一緒に行くべきだったと後悔する。コーリーはマヤが結末を承知の上で銃を持ってバーケット家に向かったと伝える。
18年後
フラッシュバックでは、マヤが第6話で書いた手紙はエディ宛てであることが判明する。マヤはキアースに逮捕された後、すべて話した上で、バーケット家の本当の姿を世間に見せる計画を明かしていた。キアースも自分の失神する症状が、バーケット社の薬によって引き起こされたことを伝えるシーンが描かれる。
物語は、18年後の未来の様子で幕を閉じる。キアースが病院でエディと会い、リリーの出産を祝福しにやってきていた。病室にはシェーンの姿もある。リリーは、生まれてきた女の子の名前をマヤと名付けていた。
【ネタバレ感想】紆余曲折しながら楽しむサスペンス
『偽りの銃弾』は、元軍人の主人公が、目の前で殺害されたはずの夫の姿を監視カメラで目撃したことで始まるサスペンスドラマです。夫は生きていたのか、それとも幻覚を見ているのか。
このドラマが面白いのは、夫の殺人事件の謎に迫っていく中で、以下のようなサブプロットが展開されていくこと。
- マヤの陸軍時代のトラウマ
- キアース刑事の失神の原因
- マヤの姉クレアの死の真相
- バーケット家の秘密
- 25年前のある事件の真相
本作、海外の批評家レビューでは酷評されていて、このサブプロットの多さが否定的な意見として目立っていましたが、私個人としては、むしろ楽しむことができました。紆余曲折しながら進むところを楽しめるかどうかがポイントですね。
この作品の魅力の一つは、元軍人のマヤと刑事のキアースという2人のキャラクターの描写にあります。
マヤのキャラクターは特に興味深いです。彼女は夫がまだ生きているかもしれないという希望と、陸軍時代のトラウマや姉の死によって引き起こされるPTSDに苦しんでいます。この複雑な心理状態が物語を通じて巧みに描かれ、最終的には夫を殺したのはマヤ自身でした。
一方で、キアース刑事の物語も印象的。彼はバーケット社の薬の副作用で失神を起こし、亡くなった婚約者の幻覚を見ていたのです。若い刑事のマーティンとのバディも魅力的な要素のひとつです。
こういったミスリードを誘う演出が見事に働き、予想外のラストが、物語上のどんでん返しのためだけではない面白さになっていました。親友のシェーンは、めちゃくちゃ怪しい感じを匂わせておいて、普通にいい人でしたからね。彼がマヤを尾行したり監視したのは、彼女のPTSDに苦しむ様子と、娘のリリーを心配しての行動でしょう。実際に18年後でリリーの出産に立ち会っていることからも想像できます。
全体として、確かに全8話のリミテッドシリーズとしてはサブプロットが多いと感じることもありますが、例えば、マヤの姉であり母親であるクレアを亡くしたアビーとダニエルのサブプロットは、ただの脇役に留まらず、彼らが子供ながらに捜査を進める様子は、物語に深みを加えています。
物語の荒唐無稽さは否めませんが、主人公マヤが、困難に直面しながらも自らの道を切り開いていく姿は、力強く、演じたミシェル・キーガンも見事でした。
まとめ
今回は、Netflixドラマ『偽りの銃弾』をご紹介しました。
夫の死の謎に迫っていくうちに、複雑に絡み合うキャラクターたちの関係が浮き彫りになっていく、紆余曲折しながら進むストーリーを楽しめるかどうかがポイントのサスペンスでした。
近年のNetflixドラマでは、腐敗した裕福な家族を描いた『アッシャー家の崩壊』にも通じる部分があり、もっと展開の早いサスペンスドラマが観たい人は『ナイト・エージェント』をおすすめします。