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恋愛バトルロワイヤル

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国内ドラマ

実話が元ネタ『恋愛バトルロワイヤル』最後までネタバレ解説

今回ご紹介するドラマは『恋愛バトルロワイヤル』です。

どんなドラマ?

  • 男女交際禁止の学園が舞台
  • 学生同士のリーク合戦と学園との戦いを描く
  • 実在の出来事に着想を得たドラマ

本記事では、ネタバレありで『恋愛バトルロワイヤル』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし
まめもやし

期待していましたが、良くも悪くもファン向けのティーン作品でした!

『恋愛バトルロワイヤル』作品情報・配信・予告・評価

『恋愛バトルロワイヤル』

恋愛バトルロワイヤル

あらすじ

良家の子女が通う超エリート女子高校に入学した唯千花。学園は男子校との合併により、新たに「男女交際禁止」の校則が制定される。

5段階評価

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトル恋愛バトルロワイヤル
監督松本壮史、太田良、安川有果
脚本篠崎絵理子、首藤凜
出演見上愛、宮世琉弥
音楽横山克・鞍馬由太・久保暖
製作国日本
製作年2024年
話数全8話

動画配信サービス

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『恋愛バトルロワイヤル』監督・スタッフ

『恋愛バトルロワイヤル』の監督は『サマーフィルムにのって』の松本壮史、AOI ProのCMディレクターの太田良、『よだかの片想い』の安川有果の3人。

脚本は、『アンメット ある脳外科医の日記』の篠﨑絵理子と『ひらいて』の首藤凜が手がけています。

『恋愛バトルロワイヤル』相関図・キャスト・キャラクター解説

Netflixドラマ『恋愛バトルロワイヤル』相関図
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元ネタになった“恋愛禁止”の実話とその後

ドラマの元ネタとなったのは堀越高校

『恋愛バトルロワイヤル』の物語は、伝統あるお嬢様学校が男子校との統合を機に「男女交際禁止」の校則を掲げ、思春期の学園の高校生たちのもどかしさを描いたドラマです。

ドラマを見ると現実ではありえないような設定だと思いますが、実はこのドラマ、元ネタになった実話があるのです。

東京都中野区にある、学校法人「堀越学園」が運営する高等学校・堀越高校。芸能界で活躍するタレントを数多く排出していることでも知られています。

というのも、堀越高校では一般的な普通高校と異なり、“芸能コース”(現在はトレイトコース)と呼ばれる、芸能やスポーツなどで活動しながら高校生活を送ることができるカリキュラムがあるのです。

本作は、堀越高校で2019年に起きた出来事から着想を得ています。2019年11月、当時高校3年生だった生徒が「特定の男女間の交際は、生徒の本分と照らし合わせて禁止する」という校則に違反して同級生と交際したとして、大学の指定校推薦を取り消されたうえ、自主退学勧告を受けました。

その生徒は、担任から同級生との交際を問いただされ、認めると自主退学勧告を受け、納得できないままに退学し、その後、通信制高校に編入。進学塾に通って、大学を一般受験して進学しました。

まめもやし
まめもやし

実際に「男女交際禁止」の校則を破って退学に追い込まれた人がいたというのが驚きですね!

裁判の結果

生徒は男女交際をしたことで自主退学を勧告されたのは不当だとして、学校法人「堀越学園」に対して、慰謝料などおよそ700万円の賠償を求めて裁判を起こしました。

東京地裁は、2022年11月30日の判決で「勧告は高校を退学することを事実上強制するものだった」として、堀越学園に対して約97万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

一方で、男女交際を禁止する校則については「入学希望者や保護者に対し、男女交際を禁止して指導に当たることを説明し、生徒側もそれを受け入れて入学している」と指摘し、「生徒を学業などに専念させるためのものとして合理的」として、有効だと判断しました。

判決を受け、堀越高校の掛本寿雄校長は「あくまでも生徒を守るための校則であり、人を好きになる気持ちを否定するものではない。今後のことは判決文を精査した上で検討したい」とコメントを出しています。

まめもやし
まめもやし

損賠賠償を求めた訴訟としては生徒側の勝訴と言えますが、校則は有効だと判断されています。

【ネタバレ感想・考察】期待していたのは違う「ファン向け」のドラマ

『恋愛バトルロワイヤル』は、父親が残した借金に苦しむ高校生が、希望を見出して入学したエリート高校で「男女交際禁止」という理不尽な校則に直面する様子を描いたドラマです。

まめもやし
まめもやし

全8話を見終わった率直な感想は・・・思ってたのと違う!

Netflixの日本製作ドラマとして初のオリジナル学園ドラマとされていますが、すでにNetflixには『ヒエラルキー』『エリート』『ヤング・ロイヤルズ』など、セレブ高校を舞台にした学園ドラマが数多くあり、内容も『ゴシップ・ガール』や韓国ドラマを意識していることが想像できます。

その中で、本作の見どころは、「男女交際禁止」という校則が掲げられた学校で、高校生たちが恋愛や性とどう向き合っていくかを描いている点です。現代の価値観に逆行するような、ちゃんちゃらおかしい設定ですが、先述したように本作は実話にインスピレーションを受けているのがポイント。

理不尽とも言える「男女交際禁止」の校則に対して、学生たちが翻弄されつつも、自分たちで考え、異を唱えて「性」と向き合っていくような展開を期待していましたが、正直、肩透かしを感じました。

というのも、物語は学生同士のリーク合戦が中心に描かれ、最終話でようやく学園側に訴訟を起こす展開になりますが、非常に急ぎ足で、簡単に片付けられてしまいます。

題材が良いだけに、日本版『セックス・エデュケーション』のような作品になることを期待していたのですが、結果としては良くも悪くも“ウケの良さそうな”学園ドラマに終わってしまった点が残念でした。

この点に関しては、初体験年齢をきっかけに、高校生が性への疑問やセックスにまつわるリアルで繊細な心情を描いたABEMAのオリジナルドラマ『17.3 about a sex』が、よりうまく表現できていたと感じます。

生徒会が生徒たちを見張る「ラビット・ハンター」として活動する一方で、三上愛演じる唯千花が密かに学生たちの恋愛を守る「ラブ・キーパー」として活動する様子は意義があり、面白かったです。しかし、そこから一歩進んでシステム(校則)に立ち向かう展開が非常に遅く、ほとんど最終話にまとめられているだけなのが残念でした。

転機となるのは第5話。「同性愛は恋愛じゃないんですか?」というタイトル通り、同性愛者の生徒のエピソードが描かれます。このエピソードが際立つのは、校則が「恋愛禁止」ではなく「男女交際禁止」であることに着目している点です。

同性愛者の生徒の交際が発覚するものの、学校側はそれを黙殺します。当事者の生徒、一ノ瀬るか(本田響矢)は、退学よりも、自分たちの恋愛が恋愛として認められていないことに怒りを感じます。

クィアの登場人物が「社会的に存在しない」とみなされる様子は、同性婚が認められていない現実社会の問題を考えるきっかけにもなり、意義のあるプロットでした。

一方で、一ノ瀬と生徒会長・梨木祐真(中山翔貴)のカップルが、副会長の藤野によってアウティングされる展開は、安直だと言わざるをえません。

藤野もまたクィアであり、クラスメイトの悠月(碧木愛莉)に好意を寄せている設定が描かれているにもかかわらず、同じクィアのカップルをリークする行為は不必要な分断を生む結果となります。アウティングを物語で扱うのであれば、その危険性をしっかり描くべきですが、物語ではそれが描かれておらず、単なるエピソードに終わってしまったのは残念でした。

このように、本作は物語の面白さを優先するあまり、扱う問題のリスクを十分に描けていない印象があります。

例えば、高校教師の真木悠人(浅香航大)と生徒・緒方あやみ(和内璃乃)の関係もそうです。悠人はスクールカウンセラーの篠田有希(穂志もえか)の婚約者でもありながら、高校生と不倫して肉体関係を持つという“淫行条例”違反に当たる行為が描かれています。

篠田は高校生たちの複雑な感情を受け止め、適切なアドバイスをする立場であり、物語の中で重要な存在ですが、生徒・美山飛鳥(豊田裕大)から好意を寄せられた後、彼に対して興味を示す描写があるのは不必要に感じました。

さらに、乃南心春(兼光ほのか)が貧乏大学生との恋愛で失敗した後に「次は金持ちにしよう」と言わせたり、唯千花が100円ショップの下着を履いているというセリフ、合併後の女子生徒たちがまるでそれまで男性を見たことがなかったかのように神格化する場面など、物語に不要な描写が多いのもノイズに感じます。

全体的に女性キャラクターの描写が軽薄で、彼女たちの困難に対するポジティブな成長が見られず、「ブラック校則」を通じて性教育やジェンダー観、人を愛することの意義を深く掘り下げる可能性があったのに、それが実現されなかったのは残念です。

そもそも若手俳優たちにやたらとキスさせる演出も必要があったのかと言われると、そうでもないと思います。

最終話の裁判で唯千花の訴えが棄却され、敗訴する展開は、ストーリーの流れからすればある意味で当然とも言えますが、裁判の描写があまりにも感情的で、全体的に高校生たちの知性や理性をもっと尊重する描き方にもできたように思います。

欲を言えば、実話に着想を得た作品であるからこそ、より大胆で意義のある脚色を加えてほしかった。事実、実際のケースでは生徒側が学校側に勝訴しているのですから。

同じく実話に着想を得たドラマ『地面師たち』は、その脚色がうまく成功していたと思います。最終話のラストで「ラブ・キラー」という取ってつけたようなクリフハンガーで終わるのも安っぽさを否めません。いずれにしても、期待していただけにモヤモヤが多く残るドラマでした。

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