今回ご紹介する映画は『ジョン・ウィック:コンセクエンス』です。
チャド・スタエルスキ監督&キアヌ・リーブス主演のガンアクション映画シリーズ第4弾。
本記事では、ネタバレありで『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を観た感想・考察、あらすじを解説。
シリーズ最高潮の盛り上がりと圧巻のアクションがヤバい映画でした!
『ジョン・ウィック』シリーズを振り返りたい方は以下の記事でわかりやすく解説しています。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の作品情報・配信・予告
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』
5段階評価
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あらすじ
ジョン・ウィックはバワリー・キングと共に地下に隠れながら、主席連合に対する復讐を果たす準備を行う。一方、ジョンを狙う新たな刺客が現れる。
作品情報
タイトル | ジョン・ウィック:コンセクエンス |
原題 | John Wick: Chapter 4 |
監督 | チャド・スタエルスキ |
脚本 | シェイ・ハッテン マイケル・フィンチ |
出演 | キアヌ・リーブス ドニー・イェン ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン 真田広之 シャミア・アンダーソン ランス・レディック リナ・サワヤマ スコット・アドキンス イアン・マクシェーン |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023年 |
上映時間 | 169分 |
予告編
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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のキャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス) 裏社会伝説の殺し屋。ハイ・テーブルから命を狙われる。 | |
ウィンストン・スコット(イアン・マクシェーン) ニューヨーク・コンチネンタルの支配人。ジョンを助けたことでハイ・テーブルから疎まれる。 | |
バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン) 地下犯罪組織の王。ジョンと手を組み、ハイ・テーブルに一矢報いる計画を立てる。 | |
シャロン(ランス・レディック) ニューヨーク・コンチネンタルのコンシェルジュ。ウィンストンの友人でジョンに敬意を払う。 | |
シマヅ・コウジ(真田広之) 大阪・コンチネンタルの支配人。ジョンの旧友。 | |
シマヅ・アキラ(リナ・サワヤマ) 大阪・コンチネンタルのコンシェルジュ。コウジの娘。 | |
ヴィンセント・デ・グラモン侯爵(ビル・スカルスガルド) ハイ・テーブルの使者で、ジョンを殺すためにハイ・テーブルから膨大な権限とリソースを得ている。 | |
ケイン(ドニー・イェン) 盲目の殺し屋。ジョンの旧友で、ヴァイオリニストの娘を持つ。 | |
ハービンガー(クランシー・ブラウン) ハイ・テーブルの執行官。ルールに則り侯爵とジョンの決闘を執り行う。 | |
トラッカー/ミスター・ノーバディ(シャミア・アンダーソン) ジョンを狙う賞金稼ぎの殺し屋。相棒のシェパード犬と行動する。 | |
キーラ・ハルカン(スコット・アドキンス) ハイ・テーブルのドイツ支部長でナイトクラブを経営。ルスカ・ロマの指導者ピョートルを暗殺した。 | |
チディ(マルコ・サロール) グラモン侯爵の右腕。 | |
カティア(ナタリア・テナ) ルスカ・ロマのピョートルの娘。 | |
エルダー/首長(ジョージ・ゲオルギウ) JW3から取って代わったハイ・テーブルの首長。モロッコの砂漠で暮らす。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のあらすじ
ジョン・ウィックの復讐
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映画は、ニューヨークの地下から始まる。ジョン・ウィックと愛犬のピットブルは、バワリー・キングの地下の拠点に身を寄せていた。ジョンは拳から血が出るまで板を殴っていると、そこへやってきたキングがハイ・テーブルに復讐する準備ができたかを尋ねる。ジョンは「Yeah」と答える。
ジョンはモロッコに行き、エルダー(首長)の手下たちを馬で追う。男たちを殺した後、ジョンは新しくなった首長に会うと、ジョンの指輪はもうないと言われる。ジョンはエルダーの頭を撃ち抜き、その場を立ち去っていく。
ウィンストンの報い
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ニューヨーク・コンチネンタルのウィンストンとシャロンのもとに、主席連合の執行官であるハービンガーがやってくる。彼は2人にハイ・テーブルから派遣されたヴィンセント・デ・グラモン侯爵に会うように伝える。
ウィンストンとシャロンは、グラモン侯爵に会うと、ジョンが首長を殺したこと、その根本原因がウィンストンにあると責める。侯爵はニューヨーク・コンチネンタルを爆破させ、ウィンストンに追放と言い渡し、シャロンの胸を撃ち抜いて殺害する。ウィンストンは友人であるシャロンの死を目の前にし、自分が殺されるべきだったと言うが、侯爵は「その意味を考えろ」と言い放つ。
盲目の殺し屋・ケイン
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パリでは、盲目の殺し屋ケインが、娘のミアのヴァイオリン演奏を遠目で聴いていた。その後、ケインは侯爵に呼ばれると、ジョンを殺害するように命令される。
ケインは引退したと言って断るが、侯爵はハイ・テーブルの命令を拒否すればミアの命はないと脅し、ケインは旧友であるジョン殺しの依頼を引き受ける。ケインはジョンの信頼できる友人が残り少ないことを知っており、彼の行く先を予見していた。
大阪・コンチネンタル
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ジョンは大阪・コンチネンタルを訪れ、支配人であり旧友のシマヅ・コウジと屋上で落ち合う。
ジョンはコウジに秘密裏に匿ってもらうことを頼み、コウジは受け入れるが、娘でコンシェルジュのアキラはジョンの来訪が死を招くことを危惧していた。
その後、大阪・コンチネンタルに侯爵の右腕であるチディとケインらがジョンを探し出すためにやってくる。コウジはコンチネンタル内での仕事はハイ・テーブルでも許可しないと伝え、武器を差し出すように要求するが、チディは断り、一触即発の状態になる。
コウジは仕方なく、要求に従おうとしないチディらに対して武装した部下たちを連れて襲いかかると、チディの手配した武装兵士たちが現れ、激しく交戦する。
屋上にいたジョンとアキラのもとにも殺し屋たちが迫ってくると、ジョンとアキラはそれぞれ迎え撃ち、撃退する。
コウジと部下たちが殺し屋たちを撃退する中、ケインは麺をすすって食べていた。チディに仕事をするように言われてケインが動き出すと、人感センサーを設置して巧みに戦い、相手を圧倒していく。
アキラはチディの刺客らを撃退していく中で、撃たれて負傷してしまい、コウジが肩を貸して助ける。ジョンは銃やナイフ・ヌンチャクを使って多数の刺客を撃退させた後、ケインと激しく闘う。ケインは本当は闘いたくないが、娘のために闘うしかないと伝える。
ミスター・ノーバディ
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ケインとの戦闘を一時離脱したジョンを別の殺し屋が狙うが、それを“ミスター・ノーバディ”という男と相棒のシェパード犬が殺して現れる。
ノーバディもジョンの首を狙う殺し屋だったが、自分の目標のためには現在の2,000万ドルの懸賞金ではまだ足りないと、ジョンと闘うことはしなかった。
コウジの報いとアキラの決心
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コウジは負傷したアキラを抱えて移動するが、そこにケインが立ちふさがる。コウジとケインも旧友だったが、コウジは「誓印」などなくても義理は通すと、ジョンを守るためにケインと対峙する。
2人は剣で闘い、ケインが致命傷を与えると、コウジはアキラの腕の中で死んでいく。アキラはケインを殺そうと剣を握ろうとするが、ケインはそれを制止し、「また会おう」と告げて去っていく。
ジョンは梅田駅で電車に乗り込み、そこでアキラと接触する。アキラはジョンの招いた事態を責めるが、父を殺したケインへの復讐を誓う。
選択
その頃、ウィンストンはバワリー・キングと会っていた。ジョンとまだ親しいことが、彼らを標的にすることを2人は知っていたからだ。
一方、ハービンガーは大阪・コンチネンタルでの争いは不必要だったと伝えるが、侯爵はジョン・ウィックを殺すだけでなく、彼に続く人間や感化される恐れのある人間も始末する必要があると言う。
そんな中、侯爵のもとをミスター・ノーバディが訪れると、ジョンを見つけ出して殺す能力があることを主張し、2,300万ドルでジョンの首を持ってくる契約を提案する。
侯爵は興味を示し、ノーバディの手の平にナイフを突き刺し、「ナイフを抜くか、手を抜くか」の選択を迫る。ノーバディは痛みに悶えながらも、指の間から手を引き抜き、侯爵はノーバディの覚悟を認めて契約する。
ルスカ・ロマ再び
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ニューヨークに戻ったジョンは、シャロンの墓前に立つウィンストンの前に現れ、シャロンを失ったことに哀悼の意を示す。
伯爵に復讐したいウィンストンは、ジョンに誰彼構わず殺すのではなく、ハイ・テーブルの古い掟を利用した「決闘」を申し込むことを提案する。
決闘を申し込むにはハイ・テーブルに所属している必要があったが、ジョンはすでにかつての家族ルスカ・ロマから脱退していた。
そこでウィンストンは、ジョンに再びルスカ・ロマを頼るしかないと伝える。その後、ジョンはベルリンのルスカ・ロマの拠点へ向かう。
しかしジョンがみすみす現れたことで、ルスカ・ロマの怒りを買い、ジョンは首に縄を巻かれて捕らえられる。
ジョンはドイツのルスカ・ロマの指導者、ピョートルに会わせてほしいと頼むが、娘のカティアは、ジョンが首長を殺したことで父が侯爵に殺されたことを明かす。
ジョンは贖罪も兼ねてカティアに懇願すると、ピョートルを殺したキーラを殺せば再びルスカ・ロマに入ることを認めると伝えられる。
ナイトクラブの死闘
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ジョンがキーラのナイトクラブに行くと、そこにはケインの姿もあり、キーラはすでにジョンが自分を狙っていることを知っていた。さらに、ジョンを追ってきたミスター・ノーバディも加わり、キーラの提案で誰に発言権があるかをポーカーで決めることになるが、キーラは自分が勝つように仕組んでいた。
ジョンはトランプでキーラの首を切りつけ、クラブ内を逃げ回るキーラを追いかける。キーラの多数の部下たちを撃退し、キーラと激しく戦闘した後、ジョンはキーラを階段に突き落として殺す。
ジョンはキーラを殺した証明としてキーラの金歯を回収し、それをカティアに見せると、ルスカ・ロマの家紋を焼き入れ、ジョンは再び家族に加わる。
決闘の条件
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ウィンストンはルスカ・ロマの署名入りの決闘の挑戦状を持って侯爵を訪ねる。侯爵は断ろうとするが、ウィンストンはハイ・テーブルの掟を破ることは許されないと言い聞かせる。
さらに、ウィンストンはジョンが勝てば自らの追放を取り消し、ニューヨーク・コンチネンタルをハイ・テーブル出資で再建して自分が支配人に戻ることを条件として要求する。
侯爵はウィンストンのしたたかさに感心しつつ、ジョンが死ねばウィンストンも死ぬことになると念を押す。
ジョンは侯爵との決闘の条件を決めるためにパリにやってくる。決闘の条件は、「時間:夜明け、場所:パリのサクレ・クール寺院、方法:拳銃」となる。
期限までにどちらかが現れなければ、失格となり処刑される。侯爵は代理をケインに指名し、決闘に勝てばケインと娘を自由にすることを条件にケインは承諾する。
夜明けまでの死闘
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その後、ジョンは教会で亡き妻ヘレンへの祈りを捧げ、やってきたケインとお互いの守るものについて語り合う。ジョンはその後、パリにやってきたバワリー・キングから、新しい銃と防弾スーツをもらう。
侯爵はジョンが夜明けにサクレ・クール寺院にたどり着けないようにするため、ジョンの懸賞金を2600万ドルまで引き上げ、それが殺し屋たちに告知される。
ジョンはパリで大勢の刺客から狙われ、車に轢かれたり、凱旋門周辺で混雑する車の中で激しい殺し合いする。その後、建物内に逃げ込んだジョンは、殺し屋たちを爆撃銃で撃退する。
ノーバディは侯爵に連絡してより高い報酬を要求し、最終的に4,000万ドルまで懸賞金を跳ね上げる。ジョンとノーバディも闘うが、チディにシェパードが殺されそうになっていたのをジョンが助けたことで、ノーバディはジョンを狙うのをやめる。
ジョンは夜明けまでの残り時間が迫る中、サクレ・クール寺院手前の階段までたどり着くと、階段を上がりながら殺し屋たちを殺して行くが、チディが現れ、ジョンを階段から一気に叩き落す。
するとそこにケインが現れ、夜明けまで残り数分となる中、2人は階段を殺し屋たちを撃退しながら登っていく。再びチディが立ちふさがり、追い詰められるが、ノーバディが援護射撃をして助けると、ノーバディはシェパードにチディの睾丸を噛みつかせて撃ち殺す。
決闘の行方
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そうして夜明け直前にジョンがサクレ・クール寺院にたどり着くと、ハービンガーが執り行い、決闘が始まる。ジョンとケインは銃を手にし、両者とも2発ずつ命中させるが死には至らない。3ターン目になり、ケインはジョンの腹部に命中させてジョンは倒れ込む。
侯爵はジョンに止めをさすのは自分だと言い、倒れたジョンを殺そうとするが、ジョンはまだ3ターン目の銃を撃っていなかった。ジョンは「コンセクエンス(報いだ)」と言い、侯爵の脳天を撃ち抜いて殺害する。
ハービンガーは、契約通りジョンとケインがハイ・テーブルへの関係から解放されたと宣言する。ジョンは朝日が上る中、サクレ・クール寺院の階段を下りながら、ヘレンに思いを馳せながら倒れこむ。
その後、ニューヨークではウィンストンとバワリー・キングがヘレンの隣にジョンの墓を建てる。墓石にはジョンの希望通り「Loving Husband(妻を愛した男)」と刻まれる。キングはジョンが天国と地獄、どちらにいると思うかと尋ねると、ウィンストンは「誰にもわからない」と答え、2人は墓前から立ち去る。
ポスト・クレジットシーンでは、自由となったケインが娘のミアに会いに行く様子を描くが、そこには復讐を遂げるために近づくアキラの姿があった。
【ネタバレ感想】シリーズ最高潮の盛り上がり
『ジョン・ウィック』シリーズの魅力を言葉を選ばずにいえば、“人殺しエンタメ”だと思います。この世界において、倫理観や正義などの“真っ当な理由”なんてどうでもよく、ただ強者が生き残る暴力の世界。
シリーズ第4弾となる今作は、これまで以上に振り切った作品でした。上映時間はシリーズ最長となる169分ですが、ウォール・ストリート・ジャーナル調べによると、登場人物のセリフの3分の1近くがシンプルな単語で構成され、キアヌは380語ほどしか話していないとのこと。監督は当初の脚本から削りに削ったと明かしています。
確かにジョンは「Yeah」しか言ってなかった印象すらありますね!笑
シリーズを通して、やっていることはほとんど変わりません。物語的な展開を徹底的に削り、アクションで補填する。言うなればジェットコースターに3時間乗っているような感覚。
それならジェットスターでいうところの落下ポイント、いわゆる見せ場はどこにあるのか。答えとしては「ずっと続きます」。
ジェットスターに3時間乗りつつ、ずっと自由落下している感覚なのです。そのため、好きな人にとってはまさに観たいものが120点で返ってくるのです。
物語はシリーズ4作目にして、いまだにハイ・テーブルの存在を意図的にぼかしつつ、新キャラを続々登場させる脚本という強気な姿勢。しかし、それが見事にハマっているのです。
今回初登場となる、ドニー・イェン、真田広之、リナ・サワヤマ、スコット・アドキンス、シャミア・アンダーソン、それぞれのキャラクターが申し訳程度のアクションではなく、それぞれの場面でしっかり見せ場となっているのがすごいところ。
そして、これまでのシリーズの要素を至るところに感じさせながらも、アクションとその見せ方はまったく違っているのです。
前半の大阪・コンチネンタルの戦いでは、ガラスを多用した前作の終盤のゼロとの闘いを彷彿とさせますが、流れるようにヌンチャクと銃を使い分けてなぎ倒す様子は感動レベル。
一方で、太鼓に当たりたがる敵キャラに笑えたり、余裕で麺をすするケイン(ドニー・イェン)の圧倒的強者感に痺れたり、満を持して参加した真田広之さんも、剣を持たせたときの安心感が半端ではありません。
ほかにも、ナイトクラブでの死闘は第1作目、ミスター・ノーバディの犬との連携は第3作目のソフィアを彷彿とさせ、既視感があるのにまったく違った表情のアクションを展開します。
さらに、パリでは車に轢かれまくったり、廃墟ビルでドラゴンブレス弾を撃ちまくる様子を天井の俯瞰アングルで映す演出や、繰り返される階段でのアクションなど、不死身のジョン・ウィックを主人公にしたゲームをしているかのようにも感じます。
ゲームのように死体を積み上げていくこのシリーズですが、今作では小さな町ひとつ分くらい人が死んでいます。誰もジョンを止めることはできないのか。
サクレ・クール寺院で侯爵が銃声を聞きながらジョンを待つ様子は、ジョンをたどり着けなくさせるためにしているのに、まるで死刑へのカウントダウンのようにすら見えるのです。
裏社会を引退して、亡き妻の形見である愛犬と平穏に暮らしたかっただけなのに…。復讐が復讐を呼び、ジョンが一体何のために闘っているのかはもうどうでもよくなります。
オープニングは、ジョン・ウィックが板を殴っているだけなのに、体が跳ねてしまいそうになる爆音で始まり、ジョンの復讐が込められた拳の重みを感じるところ。
本作のタイトル「コンセクエンス」は、「(行動からもたらされる)結果」、つまり「報い」という意味。本作で死亡したと思われるジョン・ウィックは、報いを受けたのか。
教会での祈りと死に際に妻ヘレンへ思いを馳せるジョンですが、ヘレンは一体どう感じるのでしょうかね。
映画と同日配信される『ザ・コンチネンタル』や、今後公開予定のスピンオフ映画『バレリーナ』もありますが、物語はまだ謎が残ったままです。どうしてもジョン・ウィックが死んだとは思えないので、カムバックすることを期待しています。
ジョン・ウィックは死んだのか?
これは『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を観た誰もが感じる疑問だと思います。
ジョンは決闘の後、倒れ込んでしまいますが、決定的な死の瞬間は映されていません。妻ヘレンの隣に墓を建てられたものの、本当に死んでしまったのかは謎に包まれています。
チャド・スタエルスキ監督は、Empireのインタビューで、テスト試写の段階で、劇場版とは異なる別エンディングがあったこと明かしています。このバージョンでは、「ジョンが生きていることがハッキリとわかるシーン」があったのですが、観客の反応はイマイチで、最終的には観客が判断する曖昧なエンディングとなりました。
監督とキアヌ・リーブスは、ジョンの死は観客に委ねると話していますが、本作を観たほとんどの人が、「ジョン・ウィックは生きていると思うか?」という質問に、「Yeah」と答えることでしょう。
今作はシリーズで最も大ヒットした作品となっているので、配給側としても手放したくないのは間違いありません。ひとまずはアナ・デ・アルマス主演のスピンオフ『Ballerina(原題)」が楽しみです。
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』のオマージュと小ネタ・裏話
チャド・スタエルスキ監督は、Letterboxdのインタビューで、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』に大きな影響を与えた映画を明かしています。
- 『ウォリアーズ』(1979)
- 『アラビアのロレンス』(1962)
- 『続・夕陽のガンマン』(1966)
- 『座頭市物語』(1962)
- 『マトリックス』シリーズ
- 『グランド・マスター』(2013)
- 『アメリ』(2001)
『ウォリアーズ』(1979)
チャド・スタエルスキ監督は、本作がウォルター・ヒル監督による、ストリート・ギャングの壮絶な抗争を描いた映画『ウォリアーズ』(1979)に影響を受けていることを明かしています。
終盤のパリで、サクレ・クール寺院に向かうジョンを、口元のみが映されたラジオDJによる呼びかけて殺し屋たちが阻止しようとするシーンは、『ウォリアーズ』をそのままオマージュしたシークエンスになっていました。
『アラビアのロレンス』(1962)
キング(ローレンス・フィッシュバーン)がマッチの火を吹き消し、地平線上で夕日をバックに馬に乗るシルエットが映し出されるシーン。
これは、イギリスの考古学者T.E.ロレンスの生涯を描いたデヴィッド・リーン監督の映画『アラビアのロレンス』(1963)の最も有名なシーンのひとつであるシーンのオマージュ。
『続・夕陽のガンマン』(1966)
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では、主人公のジョン・ウィック以外のキャラクターの描き方も非常に魅力的でした。特筆すべきはドニー・イェン演じるケイン。
本作で大きな影響を受けたのが、監督が大ファンだと語るセルジオ・レオーネ監督の西部劇『続・夕日のガンマン』。原題の『Il buono, il brutto, il cattivo』は、「いいやつ、悪いやつ、汚いやつ」の意味で、そのタイトルの通り、3人の主人公の複雑な関係を描いた西部劇の名作です。
3人の登場人物の「フレネミー(フレンド+エネミー)」、つまり友達であり敵でもあるという概念が特徴的で、本作でジョンが対峙するケインがまさにそうです。
アクション映画では善人vs悪人の構図が大半の中、劇中でセリフでも登場する「闘いたくないけれど闘わなくてはならない状況」づくりのインスピレーションとして西部劇の名作を挙げています。
『座頭市物語』(1962)
ドニー・イェンが演じた盲目の殺し屋ケインは、三隅研次監督の映画『座頭市物語』で勝新太郎さんが演じた主人公を彷彿とさせます。
ドニー・イェンは『スター・ウォーズ』シリーズの『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』においても盲目のキャラクターを演じています。
『マトリックス』シリーズ
キアヌ・リーブスは、ウォシャウスキー姉妹による傑作アクション映画『マトリックス』シリーズの主演を務めたことで知られていますが、本作の監督であるチャド・スタエルスキは、スタントマンでもあり、『マトリックス』でのキアヌ・リーブスのスタントダブルを担当しました。
その後、シリーズ4作目となる『マトリックス レザレクションズ』では、俳優として出演しています。スタントマンから監督となったスタエルスキ監督にとって、『マトリックス』シリーズは自分のキャリアを支える軸であり、映画作家としてのDNAは『マトリックス』から受け継いだものだと明かしています。
『グランド・マスター』(2013)
ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』への影響もあります。この作品はブルース・リーに武術を教えたとして有名な詠春拳の使い手である武術家・葉問(イップ・マン)を主人公にした映画のひとつ。
そして、葉問を描いた映画『イップ・マン』シリーズで主演を務めたのが、本作でケイン役を演じたドニー・イェンです。
本作ではドニー・イェンの詠春拳を使う姿が観られる上、ウォン・カーウァイ監督の映画で特徴的なネオンカラーが本作の映像デザインにも影響があることを感じられます。
『アメリ』(2001)
映画の後半、ジョン・ウィックは決闘の舞台となるパリの18区モンマルトルにあるサクレ・クール寺院を目指して死闘を繰り広げながら進んでいきますが、中でも印象的なのが、サクレ・クール寺院の手前にある階段でのシーン。
同じく、モンマルトルを舞台とした映画として有名なのが、ジャン=ピエール・ジュネ監督の『アメリ』です。
監督は日が沈んだ後の階段を見て、ウィリアム・フリードキン監督の傑作ホラー『エクソシスト』を思い出したそう。映画を観た人なら、その階段で起こるすごいシーンの数々に納得がいったことだと思います。
まとめ:『ジョン・ウィック5』はあるのか!?
今回は、キアヌ・リーブス主演のアクション映画シリーズ第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』をご紹介しました。
チャド・スタエルスキ監督は「ジョン・ウィックに休息を与えるつもり」とインタビューで明かしていますが、ファンとしてはジョン・ウィックが死んだとは思えず、シリーズ続編を期待せずにはいられません。
同時に、まだ使っていないシーンやアクションのバリエーションがあると語り、「やるとしても同じことはできない、より良いものを作らないといけない」と話しています。
シリーズ5作目があると、ジョン・ウィックが戻ってくる(生きている)と信じて待ち続けています!