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ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から

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海外ドラマ

相関図あり『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』ネタバレ解説

今回ご紹介するドラマは『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』です。

『ジョン・ウィック』シリーズの前日譚を描いたミニシリーズ。後のニューヨーク・コンチネンタルの支配人ウィンストンの若き姿を描く。

本記事では、ネタバレありで『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし
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まめもやし
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『ジョン・ウィック』シリーズは以下の記事でわかりやすく解説しています!

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』の作品情報と配信・予告

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』

ザ・コンチネンタル

あらすじ

1970 年代のニューヨーク、ウィンストン・スコットは兄がコンチネンタルホテルを襲撃したことによって勃発した、巨大な陰謀に挑むメンバーを集める。

5段階評価

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトルザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から
原題The Continental: From the World of John Wick
監督アルバート・ヒューズ
シャーロット・ブランドストロム
脚本グレッグ・クーリッジ
ショーン・シモンズ
カーク・ウォード
ケン・クリステンセン
出演コリン・ウッデル、メル・ギブソン
製作国アメリカ
製作年2023年
話数全3話

動画配信サービス

配信サイト配信状況
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相関図・キャスト・キャラクター解説

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』相関図
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キャラクター役名/キャスト/役柄
ウィンストン・スコット(コリン・ウッデル)ウィンストン・スコット(コリン・ウッデル)
ロンドンで実業家をするビジネスマン。後にニューヨーク・コンチネンタルの支配人となる。
コーマック(メル・ギブソン)コーマック(メル・ギブソン)
ニューヨーク・コンチネンタルの現支配人。冷酷で残虐な性格。
メイヒュー(ジェレミー・ボブ)メイヒュー(ジェレミー・ボブ)
ニューヨーク市警の刑事。KDの上司で不倫関係にある。
KD(ミッシェル・プラダ)KD(ミッシェル・プラダ)
ニューヨーク市警の刑事でメイヒューの部下。正義感が強い。
シャロン(アヨミデ・アデグン)シャロン(アヨミデ・アデグン)
コーマックの優秀な助手。後にウィンストンの信頼するコンシェルジュとなる。
フランキー(ベン・ロンソン)フランキー(ベン・ロンソン)
ウィンストンの兄。コーマックから「コインプレス」を盗んで追われる。
イェン(ヌン・ケイト)イェン(ヌン・ケイト)
フランキーの妻。疑い深い性格で近接戦闘に優れている。
ルー(ジェシカ・アレイン)ルー(ジェシカ・アレイン)
兄マイルスと「バートン空手」を経営。平和主義。
マイルス(ヒューバート・ポイント=ドゥ・ジュール)マイルス(ヒューバート・ポイント=ドゥ・ジュール)
ルーの兄で、店の地下でフランキーらと銃の密売を行うベトナム帰還兵。
チャーリー(ピーター・グリーン)チャーリー(ピーター・グリーン)
ウィンストンの旧友で、裏社会の清掃人。遺体処理のプロ。
裁定人(ケイティ・マクグラス)裁定人(ケイティ・マクグラス)
ハイ・テーブルの代理人・執行官。

第1話:「兄弟の再会」ネタバレ解説

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第1話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

ウィンストン・スコット

第1話は、1955年のニューヨークから始まる。警察に捕まったウィンストン・スコットは、兄のフランキーと取り調べを受ける。涙を流すウィンストンに対して、フランキーは「おまえはやっていない、おれがやった」と言い聞かせる。

十数年後の大晦日の夜、フランキーは育ての親であるコーマック・オコナーが経営するニューヨーク・コンチネンタルの金庫から、あるものを盗み出し、追手を退けて現場を逃げ出していく。

その頃、ウィンストンはロンドンの実業家、ダベンポート氏に不動産バブルを利用した駐車場建設の投資を持ちかけていた。しかし、ダベンポートは興味を示さず、妻のロザリンドが同席すると、デヴィッド・ボウイを話題に持ち出して文句を言う。

ウィンストンはボウイのマネージャー、トニーが自分の事業の最大の投資家であることから、電話をかけてロザリンドと話をさせる。ダベンポート氏はロザリンドの逆を張り、ウィンストンに投資をすることに決める。

しかし、ウィンストンはロザリンドと手を引き、ダベンポートからの投資を漕ぎ着けていた。ロザリンドと一夜を共にするが、彼女がシャワーを浴びている間、ウィンストンは覆面の3人組に襲われ、拉致されてしまう。

ニューヨーク・コンチネンタル

コンチネンタルでは、コーマックがフランキーを取り逃がした部下たちに裁きを下そうとしていた。隣には助手のシャロンの姿もある。規則により、コンチネンタル内での殺人はできないため、コーマックは部下の一人に自分と家族の命のどちらを選ぶかを選択させ、ホテルから飛び降りるように誘導させる。

ウィンストンはコンチネンタルのコーマックの前に連れて行かれると、兄のフランキーの行方を探すように指示される。ウィンストンは兄とは疎遠になっており、協力できないと伝えてホテルを後にするが、コーマックはウィンストンの尾行を部下に命じる。

ニューヨーク市警の刑事メイヒューは、同じく部下のKDと不倫関係にあった。KDはフランキーの行方を掴むためにバイヤーを尾行していると、バイヤーがコンチネンタルに入っていく様子を見て追いかけようとするが、慌てた様子でメイヒューが駆けつけ、コンチネンタルに介入しないように命じる。

フランキーの行方

ウィンストンは旧友のチャーリーを訪ねると、フランキーの居場所について、チャイナタウンの「バートン空手」という店で軍の仲間と銃の売買を行っているという噂を伝えられる。

ウィンストンは、フランキーがコーマックから何かを盗んだことで面倒事に巻き込まれることを煩わしく思うが、チャーリーはフランキーが刑務所に入った後、20年も音信不通にしたウィンストンにも責任があると伝える。

ウィンストンはコーマックよりも先にフランキーを見つけることを決意し、車を借りてチャイナタウンを目指す。

チャーリーの愛車「フォードの1969年型マスタング」は、『ジョン・ウィック』で物語のきっかけとなる盗まれた車と同じもの。さらにナンバープレートの「XAB235」も一致することから、チャーリーが後に愛車を手放し、ジョンに譲ったことが想像できます。

マイルスとルーの兄妹が経営する「バートン空手」を訪れたウィンストンは、道場の地下でフランキーが彼らと銃の密売をしていることを知る。しかしフランキーは音信不通だという。

マイルスは、フランキーが海外で運命の女性と出会ったこと、ある日、銃の買い付けに現れなかったことで揉めたことを明かす。ウィンストンはフランキーがアルファベット・シティにいるかもしれないと聞き、向かうことにする。

フランキーとイェン

フランキーと一緒に強盗を働いた男が、ハイ・テーブルの命で裁定人に拷問される。男は4万ドルで雇われたと主張するが、裁定人は盗んだものの価値の大きさを伝え、男は殴り殺される。裁定人は同時に、「コーマックの時代は終わる」と告げ、彼の処罰は必要ないと言い残す。

翌日、KDはメイヒューの忠告を無視してコンチネンタルに入るが、泊まることはできず、拳銃を身につけるスタッフたちや客の空気を察して出ていく。

ウィンストンは古い映画館に入ると、そこでフランキーと妻のイェンと出会う。警戒されて攻撃を仕掛けられるウィンストンだったが、自分が来た理由を伝えて説得しようとする。

その頃、ウィンストンを尾行していたコーマックの部下たちが、ミサイルを撃ち込もうとしていた。しかし、ウィンストンの仕掛けによって彼らは別の建物を襲撃することになる。

イェンはフランキーと子供を儲けることを望んでいたが、せっかく見つけた安全な場所が脅かされて悲しむ。ウィンストンはフランキーとイェンを連れて逃げ出し、チャーリーの元へ戻っていく。

このとき、黄色いヒナギクの花が意味深に映されますが、ヒナギクは英語で「デイジー」であり、デイジーと言えば、ジョン・ウィックの殺された愛犬の名前と同じです。それが意味するものは…。

一方、コーマックは部下が尾行に失敗したことを知ると、コンチネンタルに宿泊している双子の殺し屋“ヘンゼルとグレーテル”に依頼する。

フランキーの死

イェンはウィンストンが来たことで暮らしが脅かされたことに不満をあらわにする。ウィンストンは刑務所に面会に行くも拒絶されて縁を絶とうとしたフランキーを責めるが、フランキーはウィンストンが普通の生活を送れるように裏社会と切り離そうとしたことを明かす。

そんな中、チャーリーの友人のひとりがコーマックに報告し、兄弟を殺すように指示されるが、裏切りに気づいたイェンによって助けられ、3人はその場を逃げ出していく。

3人はコーマックの追手の襲撃を受けながらも、逃げ込んだビル内で反撃し、屋上で待機するヘリコプターに乗り込もうとする。しかし、ヘンゼルとグレーテルのスナイパーライフルの銃弾がイェンとヘリの運転手を襲う。

フランキーは彼らの狙いが自分と自分が盗んだコインプレスであることから、ヘリから飛び降り、自らの命を犠牲にしてグレーテルに射殺される。

コインプレスがコーマックのもとに届けられるが、中身がすり替えられており、コーマックは怒り心頭。一方、ウィンストンはイェンとともにバートン空手にやってくると、マイルスに「大量の武器が必要だ」と助けを求める。

ラストの「I need Gun.」というセリフは、シリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』でジョン・ウィックが言うセリフと重なります。

第1話の感想

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第1話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

『ジョン・ウィック』シリーズの前日譚を描くドラマがはじまりました。シリーズでも印象的な聖域、ニューヨーク・コンチネンタルの支配人ウィンストン・スコットの若き姿を描いたドラマです。シャロンの若い姿も登場しています。

舞台は1970年代のニューヨーク。コンチネンタルの現支配人であるメル・ギブソン演じるコーマックが、「コインプレス」を盗んだフランキーを見つけ出すために、ビジネスマンであるウィンストンを裏社会に連れ込みます。

実業家をするウィンストンが裏社会に引き戻される姿は、引退した裏社会から引き戻されるジョン・ウィックとそれとなく重なります。

フランキーがコーマックから盗んだのは「コインプレス」でした。これは、『ジョン・ウィック』シリーズでも頻繁に登場する金貨を作るためのもの。フランキーは妻と弟を助けるために自ら犠牲になりますが、それによってウィンストンはコーマックに立ち向かうことを決意します。

フランキーとウィンストンの兄弟は、家族がコーマックから借金をしていたことで崩壊したことが示唆されていますが、詳しいところは明かされていません。冒頭シーンでフランキーが罪を被って刑務所に入った場面で、ウィンストンが何をしたのかが気になるところです。

一方、ニューヨーク市警のメイヒューとKDのサブプロットも描かれています。コンチネンタルとニューヨーク市警の不可侵な関係性は面白いところ。KDはベトナム戦争で戦死したはずのフランキーが裏社会で暗躍していることを聞きつけ、調べていました。

合計3話のミニシリーズですが、第1話は87分という映画に匹敵する長さで、間延びしたシーンも多く、ノワール調の世界観になっていますが、そのせいか画面が暗くて見づらく、アクションシーンも分かりづらいところがマイナスポイント。

殺し屋のヘンゼルとグレーテルは、『ノーカントリー』のアントン・シガーにインスパイアされていることが想像できます。今後の展開に注目。

第2話:「裏切りか忠誠か」ネタバレ解説

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第2話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

兄弟の別れ

第2話は1955年、若きフランキーとウィンストンの兄弟が警察に捕まることになる事件の様子から始まる。

コーマックの使い走りとして、あるアパートに火炎瓶を投げ込む仕事を受けた2人。ウィンストンはフランキーに頼み込んで自ら実行するが、中に人がいることは知らされておらず、ショックで立ち尽くしてしまう。

現代に戻り、ウィンストンはマイルスとともにフランキーの遺体を火葬する。

このときウィンストンは、フランキーの遺体からコンチネンタルの金貨と指輪、IDタグを回収しています。

フランキーとイェンの出会い

1973年、ベトナムのサイゴン。イェンは息子を授からなかったことで、夫から“罰”を受けさせられる。それは、体に爆弾を取り付けられ、自爆テロを起こすというものだった。

イェンはそれを運命だと受け入れていたが、起爆スイッチは押しても爆弾は爆発しなかった。すると、その場にいたフランキーと目が合い、2人は運命に導かれるように出会う。一方、現代のイェンは傷を負ったことで、ベッドの上で眠っている。

計画

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第2話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

「バートン空手」に、チャイナタウンのならず者が勝手にタバコの自販機を設置する。ルーが彼らを撃退すると、近くにいた孤児院長の男とウェイコという少年を発見する。男は前任のチェンに変わってルールも変わり、チャイナタウンのすべての店に自販機を設置すると主張して去っていく。

メイヒューがKDのアパートを訪れる。彼はKDがなぜフランキーに執着するのか尋ねるが、彼女は答えない。そんな中、KDにフランキーの居場所を知らせる電話が入る。

ウィンストンはマイルスから、フランキーがコーマックを出し抜き、コインプレスを渡していないことを告げられる。ウィンストンはコーマックを殺すことを決意し、マイルスやルーたちに彼の事業そのものを乗っ取る計画に協力してほしいと頼む。

するとそこに目覚めたイェンがやってくる。彼女はフランキーの遺灰を見て動揺し、ウィンストンに攻撃を仕掛ける。ウィンストンは計画には彼女の力も必要だと思っているが、イェンはその場を去っていく。

対コーマックの協力者

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第2話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

KDは遺体安置所を訪れるが、遺体がすでに焼かれたことを知る。KDは担当検視官のエズラを強引に問い詰め、フランキーの弟がいたこと、緑のバンに乗り、チャイナタウンにいることを聞き出す。

一方、コンチネンタルのコーマックのもとに裁定人が訪れる。裁定人は、コインプレスを奪われたままのコーマックに対し、3日以内に見つけること、それができなければ、ハイ・テーブルはコーマックを追放することを伝える。

ウィンストンはコーマックに対抗するために戦える人物を探していた。マイルスはコンチネンタル内部の事情にも詳しいスナイパーのジーン・ジェンキンスと、地下犯罪組織の女王、メイジーを提案する。その後、マイルスは正義感が強くコーマックを嫌うジーンを上手く誘導して仲間に加える。

その頃、コーマックに手配された部下たちが、コインプレスの在り処を探し回っていた。ヘンゼルとグレーテルはチャーリーのトレーラーを荒らして捜索し、別の部下たちはイェンのいる古い劇場にまでやってくるが、イェンは1人で彼らを返り討ちにして皆殺しする。

ウィンストンはバワリーのメイジーに接触するが、メイジーは金では動かない人間だった。彼女は人々が道を歩いていても気づかない男たちに人間性と自尊心を取り戻させ、その見返りで地下犯罪組織の“見えない軍隊”を作り上げていた。

ウィンストンはコーマックを殺す理由を尋ねられるが、メイジーが協力するかはわからない。しかし、彼女が持つ戦闘力は、コーマックに対抗するには十分過ぎるくらいに強力だった。

ウィンストンとメイジーが交渉する屋上の場所は、『ジョン・ウィック』シリーズで地下犯罪組織の王として登場するバワリー・キングの鳩小屋と同じ場所。メイジーの後釜としてキングが王の座についたことが想像できます。

裏切りか忠誠か

マイルスはイェンを連れて無線やモニターなどを手配した車を取りに行く。マイルスはフランキーとの戦地での思い出を語り、2人は彼の死を想って涙を流す。イェンの助けを借りて、マイルスは車を調達する。

ジーンはウィンストンに、コンチネンタルの最も重要なルールのひとつ「敷地内での殺人禁止」を説明する。しかしコーマック持つ赤いボタンを押せば、一時的にそのルールは無効になるという。

一方、ルーは店の窓ガラスをウェイコに割られて追いかけ、孤児院長の店前で部下たちを退ける。チャイナタウンを牛耳る孤児院長は、ルールに従わないルーに嫌がらせをしていた。ルーは入り口に鳥の足を取り付けないと「“ブギーマン”がやってくる」と警告して店を後にする。

“ブギーマン”とは、ジョン・ウィックの裏社会での異名のひとつ。この時代においても、彼が恐れられていたことがわかるシーン。

ウィンストンはシャロンを内通者に狙いを定め、彼を内密に話し合える場所に連れて行く。コーマックは自分のことしか考えていない人間であることを伝え、協力を依頼する。

コンチネンタルでは、シャロンが才能を惚れ込んだチェリストのトーマスがコーマックの前で演奏していた。彼は進学のために旅立つことを明かすと、コーマックはトーマスを惨殺する。

コンチネンタルに戻ったシャロンは、トーマスの死体を見つける。コーマックはシャロンのヴァイオリニストの父を彼の代わりに迎い入れたいと申し出る。

シャロンは、ウィンストンに勧誘されたことを打ち明け、コーマックはシャロンの忠誠心を大いに喜ぶ。

第3話:「反撃の時」ネタバレ解説

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』第3話
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

戦いの準備

第3話は、1955年のニューヨークのある夜から始まる。ウィンストンとフランキーは車のトランクの中で毛布を抱えて隠れている。母親は「今だけの辛抱だ」と伝えて仕事へ向かう。

現在に戻り、ウィンストンたちは、コンチネンタルでのコーマックとの戦いに向けて訓練する。マイルスは、メイジーが協力してくれるかわからない状況で、本当にコーマックに勝てるのか不安を吐露する。しかし、ウィンストンは何としてでもコーマックを殺す強い意思を表明して飛び出していく。

ルーとレミーがバートン空手に武器を運んでいると、KDが現れる。KDはウィンストンの行方を尋ねるが、2人が知らないふりをすると、名刺を置いて去っていく。そんな中、メイヒューはバートン空手に出入りする人物たちをカメラで撮影していた。ルーはマイルスが父ヒエロムニス・バートンに関する秘密を隠していることを責める。

ジーンはコンチネンタルの近くに住む女性パトリシアの家に害虫駆除業者を装って入り込み、数日間家を開けるように誘導する。

水面下の動き

シャロンはヘンゼルとグレーテルを引き連れて、以前ウィンストンに乗せられたバスの運転手に行き先を尋問する。バスの運転手からウィンストンをローズホテルで下ろしたことを吐かせると、彼はヘンゼルとグレーテルによって殺される。

その頃、ウィンストンは廃墟となった銀行でメイジーと落ち合っていた。ウィンストンは銀行の清掃員をしていた母親が、融資を受けようとするも拒絶されて路頭に迷った過去を明かし、「銀行は貧乏人に厳しい」と自分の過去を打ち明ける。

さらに、廃墟となった銀行の所有権をメイジーに譲り、作戦に協力してもらうため、傭兵たちにスーツを用意していた。

ルーは公衆電話で、尾行されているという伝言をウィンストンに残す。ルーはメイヒューを殴り倒した後に、彼が警察だと気づく。その後、ルーはウィンストンの部屋を訪れ、2人の警察官が追っていることを伝えるが、ウィンストンは追われる理由がわからないと答える。

KDの強い意志

ウィンストンの捕獲とコインプレス奪還を待ち望むコーマックは、ドラッグでハイになりながら、コンチネンタルには「ディフェンシオーネム」という秘策があることをシャロンに明かす。

KDを尾行していたメイヒューは、彼女にウィンストンとルーの繋がりを明かす。メイヒューはKDの家を探って彼女の過去を知り、心配と同情の念を伝えるが、KDはメイヒューを殴って追い払う。

ウィンストンとルーが話していると、部屋にヘンゼルらが襲撃してくる。ウィンストンはホテルから逃げようとするが、入り口でKDとすれ違い、彼女に銃を向けられて足止めされる。

しかし、追ってきたヘンゼルがKDを撃って気絶させると、ウィンストンはヘンゼルに捕まり、コーマックのもとに連れて行かれてしまう。

目を覚ましたKDのもとにメイヒューが駆けつける。KDは敵の死体から金貨を手に入れると、コンチネンタルに行くことを決意する。一方、ルーはマイルスらにウィンストンが拉致されたことを知らせる。

戦いの始まり

コーマックのもとに連れて行かれたウィンストンは、バルコニーから突き落とされそうになるが、ジーンがスナイパーライフルで部下を狙撃すると、シャロンはコーマックにショットガン向ける。

コーマックはシャロンが裏切ったことにショックを受けるが、シャロンもコーマックを撃つことができず、コーマックは武器庫の鍵を身につけたまま逃げ出していく。

マイルスやレミー、イェンらがコンチネンタルに潜入すると、ウィンストンが無線で指示しながらそれぞれ武器庫を目指して進んでいく。ロニーはコンチネンタル内の状況を把握するため、ホテル裏に停めた車内で機材のセッティングをする。

一方、ルーのもとにウェイコがやってくると、孤児院長が狙いにやってくると告げる。その後、孤児院長が仲間を連れてルーの前にやってくると、ルーの父が先住人の一族を殺してバートン空手を建てたことを明かす。

その話を信じないルーに対して、孤児院長は「ヒエロムニス」の名が刻まれたピストルを手渡し、ルーに殺し屋の血が流れていると言う。その後、孤児院長らがバートン空手の內部を破壊し始めると、ルーと一緒にいることを希望したウェイコはとその様子を外から眺めていた。

ルーはウェイコが建物内に仕掛けた爆弾のスイッチを持っていることに気づくと、スイッチを押し、建物もろとも爆発させて孤児院長らを始末する。ルーは涙を流しながら、自らの手で父の遺した店を破壊した。

武器庫前の戦い

コンチネンタルでは、コーマックがホテル内での殺しを許可する赤いランプを点灯させ、ウィンストンらの手配書をホテル内の殺し屋たちに送ったことで、ホテルのそれぞれの場所で殺し合いが始まる。

レミーは地下の郵便室にたどり着くが、郵便室の女性と戦闘になる。相打ちの形で相手を殺すものの、レミーも気絶させられて倒れてしまう。

ウィンストンとシャロンが武器庫にたどり着くと、部下を連れてコーマックが現れる。しかし、ウィンストンは部下の中にスーツを着せたメイジーの傭兵たちを紛れ込ませていたため、状況は一変し、コーマックに武器庫の鍵を開けさせようとする。

しかし、コーマックは鍵を折り、照明のブレーカーを落としたことで、暗闇の中で激しい銃撃戦となる。シャロンとウィンストンは生き延びたものの、またもコーマックに逃げられてしまう。

その頃、ジーンのもとに家主のパトリシアが忘れ物を取りに戻ってくる。ジーンは任務の邪魔にならない程度に彼女を拘束し、危害を加えるつもりがないことを伝え、雑談をしながらウィンストンらを援護する。

KDがウィンストンを追う理由

コーマックは司令室に向かい、技術者のオーソンと接触する。一方、ウィンストンとシャロンはコーマックの居場所を突き止めようとするが、ウィンストンの前にKDが現れ、銃を突きつけられると、部屋に連れて行かれる。

KDは自分の家族がスコット兄弟に殺されたことを明かす。彼らがアパートに火炎瓶を投げ込んだときに中にいたのがKDの家族だった。KDは復讐としてウィンストンに灯油を浴びせ、火をつけて殺そうとするが、ジーンのスナイパーライフルが彼女の腹部を撃ち抜く。ウィンストンはジーンに狙撃を止めさせて、KDに鎮痛剤を渡して用事が済んだら迎えに来ると出ていく。

その後、ウィンストンはシャロンと合流すると、シャロンとフランキーが親しかったことを知る。2人はシャロンの隠し持っていた銃を手にして、コーマックのいる司令室を目指す。

その頃、ルーはロニーにウェイコと父のピストルを預け、コンチネンタルへ向かう。

vs ヘンゼル

一方、イェンはヘンゼルとグレーテルをおびき出し、自分に取り付けた爆弾を爆発させて殺そうとするが、マイルスに止められる。ヘンゼルとグレーテルは一瞬の隙を付いて反撃し、2手に別れて戦うことになる。

郵便室のレニーが目を覚ますと、手榴弾を送り飛ばして援護するが、お返しに送ったヘンゼルの手榴弾がレニーを直撃する。怒ったマイルスはヘンゼルに襲いかかるが、彼の強さに圧倒される。するとそこにルーが駆けつけ、2人は協力し、空手でヘンゼルに立ち向かう。

しかし、2体1でもヘンゼルの強さの前にひれ伏して追い詰められると、ロニーのもとを抜け出してきたウェイコがヒエロムニスのピストルをルーに投げ渡し、間一髪でヘンゼルの後頭部から目を撃ち抜いて殺す。

ウィンストンとシャロンは郵便室にたどり着くが、瀕死だったレニーは死んでしまう。2人は彼を看取った後、各部屋に爆弾を送って敵の戦力を低下させ、給仕用エレベーターから司令室へ向かう。

vs グレーテル

一方、イェンは屋上でグレーテルと対峙していた。2人は武器を捨てて肉弾戦の激しい戦いを繰り広げる。イェンはグレーテルの圧倒的な身体能力に追い詰められる。

2人は屋上の池の中に移動し、水中で殺し合いをするが、水面に上がってきたのはグレーテルだった。

しかし、水中でグレーテルの体に爆弾を取り付けていたイェンは、爆弾のスイッチを押してグレーテルを爆殺する。

異次元の関節アクションを披露しているグレーテル役のマリナ・マゼーパ。彼女はウクライナ出身のダンサーで、『マリグナント 狂暴な悪夢』でも強烈なインパクトを残しています。

その様子をモニターで見ていたコーマックは、怒りと苛立ちでオーソンを殺す。裁定人から連絡が入り、コーマックは大至急の援助を希望するが、裁定人が動く様子はない。しびれを切らしたコーマックはついに「ディフェンシオーネム」を起動させる。

ディフェンシオーネム

ディフェンシオーネムによって、コンチネンタルの出入り口はすべて封鎖され、崩壊までのカウントダウンが始まる。ウィンストンとシャロンは司令室にたどり着くが、コーマックはすでに地下の脱出ポットへ向かっていた。

ウィンストンはダストシューターで地下に移動し、コーマックに追いつく。2人が格闘を繰り広げる中、コーマックはスコット兄弟にアパートを燃やすように命じたとき、中に人がいることを知っていたと明かす。コーマックは兄弟に人殺しをさせることで、裏社会から逃さないようにしたのだった。

すると、そこにKDが現れる。彼女はウィンストンは自分が殺すと言いながらも、コーマックを撃ち殺す。彼女はウィンストンを殺さずに、また会おうと言って立ち去っていく。

崩壊までの時間が迫る中、ウィンストンはコーマックの脱出ポットを見つける。そこでアイデアを思いついたウィンストンは、司令室に戻り、切断したコーマックの手を認証機にかざし、「ディフェンシオーネム」を停止させる。これによってウィンストンたちの勝利が決まる。

ジーンは任務を終えてパトリシアのアパートを出ていくが、パトリシアはジーンを植物園に誘う。

ホテルロビーのバーカウンターに集まったウィンストンたちは、レミーとフランキーに捧げて勝利の酒を交わす。

朝になり、コンチネンタルの前に裁定人が現れる。裁定人はコーマックを倒してコンチネンタルを奪ったウィンストンを評価しつつ、ハイ・テーブルの命でコンチネンタルを一時閉鎖すると言い渡す。

コインプレスはウィンストンとフランキーが子供のころに隠れていたトランクの毛布の中にあり、現在はメイジーに譲った銀行で保管されていることが明らかになる。

ウィンストンはルールを主張する裁定人に、「ルールなら自分が一番わかっている」と言い、彼女を射殺する。こうしてウィンストンはニューヨーク・コンチネンタルを手に入れると、勝ち誇った表情でマティーニを口にする。

【ネタバレ感想】『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』
© The Continental © 2022 Starz Entertainment, LLC

ニューヨーク・コンチネンタルの支配人、ウィンストン・スコットを描いた全3話のスピンオフシリーズが完結しました。

全3話観た上での感想は、正直、イマイチでした。最終話は面白かったのですが、それまでの道のりが長く、いろんな要素を盛り込もうとして、結果的にどれも中途半端に終わっていた印象があります。『スーサイド・スクワッド』をやろうとしてやりきれなかったという感じ。

一方で、平和主義なルーによるブラックスプロイテーション的な展開とアクションは面白く、マイルスとフランキーの背景にあるベトナム戦争のエピソードも際立っていたように思います。

ブラックスプロイテーションとは、黒人のキャラクターやコミュニティが、残虐行為の被害者ではなく、主人公であり主題であるエクスプロイテーション映画のジャンルのひとつ。

3話でやっとアクションシーンがたくさん見られましたが、ヘンゼルとグレーテルの2人が特に良かった。グレーテル役のマリナ・マゼーパの異次元の関節アクションと、イェン役のニュン・ケイトのマーシャルアーツによるバトルは楽しかく、シャロンのアクションやルーツが見られたのも良いポイント。

しかしながら、やっぱり全体と通して見ると、印象が薄いんですよね。総じて、『ジョン・ウィック』ファンのためのシリーズ止まりと言うか、その上でこれといった新情報などもなく、新作公開に合わせて配信された同じ世界観の物語という以上の感想がありませんでした。

ウィンストン役のコリン・ウッデルは、どことなくウィンストンらしさが感じられるいい演技だったと思います。一方で、コーマック役のメル・ギブソンは、これぞメル・ギブソンというような暴力性で、彼の私生活の問題を考えると強気なキャスティングともいえます。

ウィンストンは裁定人を殺したのは、普通のやり方ではハイ・テーブルからコンチネンタルを手にできないと知っていての行動で、裁定人を殺した度胸を認められたという感じですかね。

裁定人の口元は死んだときに明らかになりますが、まぁそれしかないよねという感じで驚きは少なく、『ジョン・ウィック』シリーズよろしく、ハイ・テーブル絡みの人間の詳細が全然明かされないのももどかしいです。せめて裁定人はもっと活かしてほしかった。

コーマックを憎んでいたウィンストンですが、後に自分もコーマックのようにコンチネンタルにしがみつくことになるとは、若きウィンストンには想像もできないでしょうね。というか、チャーリーどこいったんだよ…。

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