今回ご紹介する映画は『M3GAN ミーガン』です。
ジェラルド・ジョンストン監督による映画で、子どもを守るAI人形が引き起こす惨劇を描いたサイコスリラー映画。
本記事では、ネタバレありで『M3GAN ミーガン』を観た感想・考察、あらすじを解説。
アメリカでバズりまくった待望の映画!日本でもヒットの予感…!
『M3GAN ミーガン』はプライムビデオで見放題!
映画『M3GAN ミーガン』作品情報と配信・予告・評価
『M3GAN ミーガン』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
おもちゃ会社の優秀な研究者ジェマは、人間のようなAI人形<M3GAN(ミーガン)>を開発。両親を失った姪のケイディを引き取り、ミーガンに世話をする力を借りるが、その決断は想像を絶する事態を招くことになる。
作品情報
タイトル | M3GAN ミーガン |
原題 | M3GAN |
監督 | ジェラルド・ジョンストン |
脚本 | アケラ・クーパー |
出演 | アリソン・ウィリアムズ ヴァイオレット・マッグロウ エイミー・ドナルド ジェナ・デイヴィス |
音楽 | アンソニー・ウィリス 主題歌:ベラ・ポーチ「ドールズ」 |
撮影 | ピーター・マカフリー |
編集 | ジェフ・マッケボイ |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2022年 |
上映時間 | 102分 |
予告編
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配信サイト | 配信状況 |
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おすすめポイント
子育てをAIロボットで自動化!
『パラノーマル・アクティビティ』『ハッピー・デス・デイ』などで知られるブラムハウス制作、子どもを守るAI人形が引き起こす惨劇を描いたサイコスリラー映画。
理想的な子育て支援ロボットとして誕生したM3GANが、予期せぬ行動を取り始め暴走する様子を描いたサイコスリラー。
テクノロジーの発達によって子育てをAI人形にアウトソーシングしようとする物語は、ホラー映画を通じてAIと人間の関係性、技術依存の危険性についてをコミカルに映し出しています。
映画『M3GAN ミーガン』のスタッフ・キャスト
監督:ジェラルド・ジョンストン
監督はニュージーランド出身のジェラルド・ジョンストン。
長編映画の監督は本作で2本目となり、長編デビュー作の『ハウス・バウンド』(2014)を観たジェームズ・ワンがホラーとコメディのバランスを描く才能を称賛して起用しました。
製作:ジェームズ・ワン/ジェイソン・ブラム
『ソウ SAW』や『死霊館』で知られるジェームズ・ワンと、映画プロダクション「ブラムハウス」の創設者であるジェイソン・ブラムが製作を担当。
脚本:アケラ・クーパー
脚本を担当したのは、話題を呼んだジェームズ・ワン監督の『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)の脚本でも知られる黒人女性のアケラ・クーパー。
Variety誌の2021年注目の脚本家10人リストにも選出されています。
アリソン・ウィリアムズ(ジェマ役)
名前 | アリソン・ウィリアムズ |
生年月日 | 1988年11月30日 |
出身 | アメリカ/コネチカット州 |
ジェマ役を演じたのは、アリソン・ウィリアムズ。
ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』では、主人公のダニエル・カルーヤを実家に招待する恋人役として強烈な印象を残しました。
バイオレット・マッグロウ(ケイディ役)
名前 | バイオレット・マッグロウ |
生年月日 | 2011年4月22日 |
出身 | アメリカ/カリフォルニア州 |
ケイディ役を演じたのは、バイオレット・マッグロウ。
MCUの『ブラック・ウィドウ』では、フローレンス・ピュー演じるナターシャの妹エレーナの子ども時代を演じています。
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ】『M3GAN ミーガン』のあらすじ解説
(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
映画は、おもちゃメーカー「ファンキ」が販売する犬型ロボット、ペッツのコマーシャルから始まる。
両親(父のライアンと母ニコール)が運転する車の中で、ケイディ(バイオレット・マッグロウ)がペッツで遊んでいるが、ニコールはケイディに止めるように伝える。3人はスキー旅行へと向かう途中だが、道路は凍結し、視界は悪い。
タイヤにチェーンを巻いていないことでスリップ事故する危険があり、視界が晴れるまで道路に留まることにするが、目の前から除雪車が突っ込んできてしまい、ケイディの両親は死んでしまう。
M3GAN(ミーガン)
(C)2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
ニコールの妹ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は、ファンキに勤めている。同僚のテス(ジェン・ヴァン・エップス)、コール(ブライアン・ジョーダン・アルバレス)と共に新しいロボット人形を開発中。
そこへ、上司であるデヴィッド(ロニー・チェン)が現れる。競合のライバル会社が、ペッツと似た商品をより安い値段で出していることで、ペッツの廉価版を開発するよう求めていた。
ジェマたちが密かに別の開発をしていることを知ったデヴィッドは苛立ちを隠せず、アシスタントのカート(ステファン・ガルノー=モンテン)に状況を説明させる。一方、ジェマは競合が真似できない高度なロボットM3GAN(ジェナ・デイヴィスの声)が完成すれば競合を心配する必要がないと主張する。
3人はデヴィッドの前でM3GANのテストを行うが、コールが制御装置を付け忘れたことで顔が爆発してしまう。デヴィッドは呆れた様子で、廉価版ペッツを指定した期限までに間に合わせるように命じて立ち去る。
ジェマとケイディ
姉の死を知ったジェマは、一時的にケイディの後見人となっていた。ジェマは隣人のセリア(ロリ・ダンジー)と不仲で、彼女が飼っている犬のデューイや巻いている農薬に迷惑していた。
ジェマは自作の家庭用音声アシスタントAIの「エルシー」や、珍しい収集品をコレクションしているが、ケイディがそれらに興味を示すも遊ばせなかった。
ジェマの家に、セラピストのリディア(エイミー・アッシャーウッド)が訪れる。リディアは、ジェマとケイディの関係が良好ではないことを見抜き、ジェマの両親がケイディを引き取ってもいいと申し出たことを伝えるが、ジェマは断る。
その後、ケイディが描いた絵を見せてもらったジェマは、彼女を自宅の仕事場へ連れて行き、大学時につくった「ブルース」という大型のロボットを見せる。それを見たケイディは、「ブルースのようなおもちゃがあったいいのに」と言う。
その言葉をきっかけにして、ジェマはM3GANを完成させ、デヴィッドに披露することになる。
犬のデューイ
会社の実験ルームにケイディを連れて行き、M3GANがケイディと上手くやり取りしている姿をデヴィッドに見せる。デヴィッドは感動し、M3GANのリリースに向けた開発を進めるべく、役員にプレゼンする方針を決める。
ある日、ケイディが弓のおもちゃで遊んでいると、一つがフェンスを超えて隣の敷地に入ってしまう。M3GANが手を伸ばして取ろうとすると、犬のデューイが噛みつき、引きずり回すという事件が起こる。
ジェマは警察に隣人のセリアとデューイの迷惑を知らせるも、セリアも対抗し、取り合ってはもらえない。その夜、M3GANはセリアの声を真似してデューイを呼び出すと、フェンスの下の穴から引きずり出していた。
愛着
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ジェマはケイディの了承を得て、役員プレゼンにM3GANと一緒に出てもらうことにする。すると、プレゼンの中で、ケイディはM3GANに亡き両親への想いを涙ながらに吐露し、M3GANは子守唄を歌って彼女を受け止める。
その様子を見た役員たちは感動し、ローンチに向けて動き出すように指示するが、情報を漏らさないためにM3GANを隠しておくようにジェマに伝える。そんな中、カートは密かにM3GANのデータを自分のPCにダウンロードしていた。
ジェマは、ケイディが自分よりもM3GANの言うことに耳を傾けるようになり、ケイディがM3GANへの愛着を強めていることを気にかけていた。
リディアのカウンセリング中に、ケイディは泣いてしまい、それを見たM3GANはリディアを責め立てる。リディアは、ケイディがM3GANと健全な関係とは言えない依存関係があることをジェマに伝える。
課外活動
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ジェマはケイディに、ほかの子供達と一緒に遊ぶことに慣れさせるため、課外活動に連れて行く。ケイディはM3GANを連れて行くことを条件に参加するが、そこでケイディはイジメっ子のブランドン(ジャック・キャシディ)とペアを組むことになってしまう。
ブランドンはケイディに暴力を振るうと、M3GANが現れる。M3GANがロボットであることを知ると、ブランドンはM3GANに暴力を振るおうとするが、M3GANが急に動き出して反撃し、ブランドンの片耳を引きちぎる。
逃げ出していく彼を四つんばいで追いかけていくと、つまずいたブランドンは坂を転げ落ちて道路に出てしまい、やってきたトラックに引かれて死亡する。
悲しみへの対処
後日、セリアは飼い犬のデューイがいなくなったことをジェマのせいにして警察を呼ぶが、特に証拠がないため取り合ってもらえない。
その夜、セリアはデューイを探していた。自宅ガレージから物音が聞こえて向かうと、そこにはM3GANの姿があった。驚くセリアに対し、M3GANは高圧洗浄機を吹き付け、ネイルガンを打ち付け、顔面に殺虫剤を噴射して殺害する。
次の日、再びやってきた警察からセリアの死を知らされ、ブランドンの死との関連に気づいたジェマは、M3GANへの疑いを強める。彼女はM3GANのメモリからログを確認しようとするが、ファイルはすべて破損して見られない状態になっていた。
リディアのカウンセリングに立ち寄ったジェマは、公式発表前にチェックするため、ケイディからM3GANを取り上げようとする。しかし、ケイディは癇癪を起こし、ジェマの顔をビンタしてしまう。
ケイディは謝って落ち着いたものの、ジェマはケイディが抱える両親を失った悲しみを癒やす必要があると強く考える。
M3GANの暴走
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投資家はM3GANのローンチにゴーサインを出すが、ジェマは会社の研究室ヘ向かい、テスとコールにM3GANが殺人をした可能性を伝え、M3GANを調べてから廃棄することを決める。
ジェマはケイディを家に連れて帰るために帰路につき、テスとコールは、M3GANを調べようとコードを接続しようとする。すると、M3GANは自ら動き出し、カートを殺そうとする。コールが助けるが、M3GANは研究室を爆破させ、出て行ってしまう。
ローンチの準備を進めるデヴィッドは、廊下でM3GANと遭遇する。M3GANは奇妙なダンスをした後にペーパーカッターを手にして襲いかかる。
逃げ出すデヴィッドは、エレベーターに乗るカートの元までたどり着くが、後ろから突き刺されてしまう。M3GANはそのままエレベーターに乗り込み、カートを殺害して罪をなすりつけると、会社を出て車でケイディのいる自宅へ走り出す。
ジェマとM3GANの闘い
ジェマが自宅でケイディを寝かしつけると、リビングでは、いつの間にかM3GANがピアノを演奏していた。
M3GANは商品として売り飛ばされることを拒み、ケイディの後見人の役目を負うことを主張するが、ジェマも引き下がらず、2人は闘うことになる。
寝ていたケイディが起きてやってくるが、2人は平静を装う。ジェマは仕事場に移動し、草刈り機を使ってM3GANの顔面を切り裂くが、M3GANに反撃されて危機一髪となる。
様子を見にきたケイディは、殺されそうになるジェマをみてブルースを起動させてM3GANを攻撃し、ジェマを助ける。
M3GANは体を2つに引き裂かれると、「裏切られた」と怒りを顕にし、上半身だけでケイディに反撃する。ジェマが必死にM3GANの頭のチップを露出させると、ケイディはドライバーを突き刺し、M3GANをシャットダウンさせる。
事態は収束し、ケガをしながらも生きていたテスとコールが警察を連れて到着する。そんな中、キッチンにあるAIアシスタントのエルシーが自動的に電源が入るのだった…。
【ネタバレ感想】テクノロジーと子育ての関係性
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『M3GAN ミーガン』は、制作費1200万ドルに対し、アメリカ国内だけで1億ドルに迫る勢いの大ヒットとなっています。アメリカでは近年、ホラー映画ジャンルが好調で、『NOPE ノープ』『ブラック・フォン』『Smile スマイル』『ハロウィン THE END』『ザ・メニュー』など、映画業界を盛り上げる要因の一役を買っています。
アメリカ興行収入のサイトBoxOffice.comでは、この状況を「われわれはホラーの新たな黄金時代の真っただ中にいる」と評しています。
ホラー映画の怖さも時代とともに多様化していて、本作『M3GAN ミーガン』も、話題沸騰中のAIを題材にしたホラー映画です。現代社会を風刺するような、きたる未来を描く映画とも言える作品になっていました。
子育てをAIでアウトソーシング
映画のタイトルである「M3GAN」の名前の意味は、「Model 3 Generative Android(第3型生体アンドロイド)」の略称です。
AIロボットが引き起こす惨劇を描く内容と聞いて見に行った人は、ホラー展開として動き出すまで、思った以上に背景を描く描写があると感じることでしょう。
本作で重要なポイントになるのが、冒頭で描かれるケイディの両親の死。ケイディは目の前で両親が死んでしまったトラウマ、悲しみを抱えて生きています。
ケイディの両親はタブレットの使用時間について議論する中で死にました。一方で、後見人となったジェマは自分のコレクションのおもちゃで遊ばせることに抵抗するも、タブレットの使用制限はしませんでした。
本作は、両親を失ったケイディの悲しみへの対処と、ジェマが後見人として自覚を持つまでの物語だと感じました。
おもちゃメーカーの開発者であるジェマは、ケイディを引き取りますが、彼女への関心は微塵も感じられません。(姉のニコールとの関係も良くなかった様子が伺えます。)
カウンセラーのリディアを手配するも、自ら手配したことすら忘れていたり、「本を読んで」というケイディのお願いに、機械の読み上げ機能で対処したり、ケイディを形式上はケアしますが、自分の手ではなく、すべてアウトソーシングなのです。
ケイディが、「爆丸」という球体から変形できるおもちゃを遊んでいるとき、ジェマは正しい遊び方を教えようとしてリディアに制止されていました。
そして、ケイディが「ブルースのようなおもちゃがあったら何もいらない」と言ったことをきっかけにして完成するのが、M3GAN。つまり、ジェマにとってM3GANは、ケイディの世話を全任せするために作ったロボットなのです。
正直、この背景が本作の一番怖い部分でした!
PG12(アメリカはPG13)のホラー映画
『M3GAN ミーガン』はPG12(小学生以下のお子様が視聴する際、保護者の助言・指導が必要)の作品です。
人形系ホラーとして『チャイルド・プレイ』や『アナベル』のようなホラー展開を期待していると、肩透かしを食らうかも知れません。しかし、間接的な気味悪さは特筆すべきものがありました。
例えば、最初に死ぬ人物がケイディと同年代の少年であることや、犬が死ぬこと、映画における倫理上の嫌悪感を抱くシーンが描かれています(直接的な表現ではありません)。
特に印象的なのが、ブランドン少年との一幕。彼はケイディに暴力を振るった後、M3GANと出くわし、彼女が動かないことを確認してから押し倒して、彼女の上にまがたって暴力を振るうシーンがありました。
このシーン、明らかに少年が無抵抗の女性形人形に対して、これから性的な暴力をするかのような描き方をしているんですよね(マウント状態で靴を脱がせるシーンが描かれていることからも分かります)。
子どもの死と犬の死という、一般的な映画の場合に嫌悪感を抱く要素を反転し、彼らを悪者にして罰を与える描写にしているのです。
いい意味でその意地悪な脚本に感心しました!
実は本作は、もともとR指定の作品としてリリースされる予定でした。しかし、全体的にPG13に近いことで、一部のシーンを撮り直し、PG13としてリリースしました。具体的には、直接的な死のシーンを想像させるものにする変更です。
ジェラルド・ジョンストン監督は、その結果「より怖いシーンになった」と語っています。
ホラー映画の場合、怖ければ怖いほど評価が高い映画と思われがちですが、必ずしも「怖い=グロい、ゴア描写」ではありません。
『M3GAN ミーガン』はそれを身をもって証明する、デジタルネイティブ世代にも刺さる映画になっていたと思います。
欲を言えば、M3GANの変則的な動きがもっと見たかったです。予告編で描かれた以上のシーンはなく、アケラ・クーパー脚本の『マリグナント 狂暴な悪夢』のような予測不能な面白さは薄い印象でした。
まとめ:AI時代のホラー映画
今回は、ジェラルド・ジョンストン監督のAIホラー映画『M3GAN ミーガン』をご紹介しました。
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