今回ご紹介する映画は『嵐の中で』です。
本記事では、ネタバレありで『嵐の中で』を観た感想・考察、あらすじを解説。
タイムパラドックス系が好きな人は絶対に楽しめる作品です!面白い!
『嵐の中で』作品情報・配信・予告・評価
『嵐の中で』
あらすじ
嵐が近づくある日、ベラは古いビデオカメラを通じて25年前に亡くなった少年を助ける。しかし、目を覚ますと、少年を救った後、別の人生で目を覚ましたベラは、大切な娘がこの世に存在していないことを知り、自分の人生を取り戻す手がかりを探す。
5段階評価
予告編
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作品情報
タイトル | 嵐の中で |
原題 | Durante la tormenta/Mirage |
監督 | オリオル・パウロ |
脚本 | オリオル・パウロ ララ・センディム |
出演 | アドリアーナ・ウガルテ チノ・ダリン |
音楽 | フェルナンド・ベラスケス |
撮影 | シャビ・ヒメネス |
編集 | ジャウマ・マルティ |
製作国 | スペイン |
製作年 | 2018年 |
上映時間 | 128分 |
動画配信サービス
おすすめポイント
バタフライ効果の隠れた名作!
嵐の日に25年前と時空がつながり、死んだはずの少年を助けたことでタイムパラドックスが起こる様子を描いたスペイン製作のミステリードラマ。
名作映画『バタフライ・エフェクト』や『オーロラの彼方へ』を彷彿とさせる展開で、タイムパラドックスとメロドラマの要素を組み合わせた展開が見事。
丁寧に練り込まれた脚本と、真に迫る演技も見応え十分。
『嵐の中で』相関図・キャスト・キャラクター解説
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】タイムライン(1)ニコ死亡ルート
(C)Netflix
ニコの死
ベルリンの壁崩壊後の1989年。72時間にわたる雷雨が続く中、少年ニコは自宅でビデオカメラに自分のベース演奏を録画していた。母親のマリアは息子を残して仕事に出かける。
その間、ニコは隣家で物音を聞き、何者かが争っている様子を目撃する。隣家に向かったニコは、血まみれで倒れている隣家の妻ヒルダを発見する。近くでナイフを持った夫アンヘルの姿を目撃したニコは恐怖を覚え、家を飛び出して逃げるが、家の前の道路に飛び出したところで車に轢かれて死亡してしまう。
ニコの親友で近所に住むアイトルは、ニコが事故に遭う瞬間を目撃する。一連の出来事に動揺したアンヘルは、妻ヒルダを殺害し、遺体を食肉処理場の敷地に埋めようとしたことを自白する。
しかし、実際にはアンヘルはヒルダを殺害していなかった。アンヘルはアイトルの母クララと不倫関係にあり、ヒルダは夫の不倫を疑って外出を装い、アンヘルの行動を探っていた。
ヒルダはナイフを手に、アンヘルとクララの不倫現場を目撃し、クララと取っ組み合いになった末に刺されて死亡する。それは事故に近い形での死亡だった。
時空を超えた出会い
数年後、ベラとアイトルは偶然にも毎日同じ電車で通勤していた。二人に面識はなかったが、ある日、電車の揺れでぶつかったことをきっかけに友人となる。
ベラはアイトルから友人のダビドを紹介され、ベラとダビドは恋に落ちて結婚する。二人は娘のグロリアをもうけ、ニコがかつて暮らしていた家に引っ越すことになる。
ベラは子育てを優先し、医師の道を諦めて看護師となった。その後、ダビドが脳腫瘍を患い、脳神経外科医のフェルが手術を担当することになる。その頃、ベラはインフルエンザにかかっており、彼女の代わりにモニカが看護を担当する。
その後、ダビドとモニカは不倫関係に陥る。ベラがダビドのポケットからマッチを見つけ、禁煙を破ったのかと尋ねると、ダビドは一本だけ吸ったと弁明する。
その夜、ベラは自宅で古いテレビとビデオカメラを発見し、ニコと時空を超えてつながる。ベラがニコの死を回避させたことで、改変されたタイムラインが生まれる。
【ネタバレ解説】タイムライン(2)ニコ生存ルート
(C)Netflix
ニコの死亡回避とアンヘルの隠蔽
1989年の嵐の夜、ニコはビデオカメラを通じて見知らぬ女性(ベラ)に話しかけられる。ニコが女性がヴァルピネダ駅の標識を持っていることに気づいて尋ねると、彼女はアイトルの紹介で出会った夫のダビドと一緒に盗んだものだと明かす。
彼女は未来にいることを告げ、ニコの死を予告し、外出しないように訴えるが、ニコは隣家から異音を聞きつけ、様子を見に行こうとする。しかし、すでに時間が経過していたため、車に轢かれることはなく、ニコは隣家に入らずに家に戻る。
翌日、ニコはビデオカメラの女性が予知したように、学校が落雷で休校になったことを知り、隣家の様子を確認しに行く。異変を感じてガラスを割り中に侵入すると、バスタブでヒルダの死体を発見する。
そのタイミングでアンヘルが帰宅してしまい、ニコはベッドの下に隠れて身を潜める。すると、アンヘルはヒルダの遺体を解体し、スーツケースに詰めて運び出す。
ニコはベッドルームでクララの金色の腕時計を発見して回収する。アンヘルは窓ガラスが割られていることから、何者かが家に侵入したことを察知する。
その後、アンヘルは税関の友人を通じてパスポートを偽造し、ヒルダの名義でクララを東ベルリンへ向かわせ、妻の死を隠蔽する。
一方、ニコはビデオカメラで出会った未来の女性の話と、アンヘルの家で起きた出来事を警察に証言し、証拠として腕時計を提出する。しかし、アンヘルは事前に警察に「泥棒が入り、腕時計が盗まれた」と報告していたため、ニコが泥棒だと疑われてしまう。
結果的に、ニコは警察の介入により、腕時計をアンヘルに返すことで事件は大事にならずに終わる。
ニコを心配した母親は、彼にさまざまな検査を受けさせるが、嘘をついている証拠はなく、心の病と診断される。母マリアはニコを連れて引っ越すことを決めるが、ニコはそれでも未来の女性の存在を信じ続けていた。
ニコはビデオカメラの女性の似顔絵を頼りに、ヴァルピネダ駅で何年も彼女を待ち続ける。そしてついにベラを発見する。
(C)Netflix
ニコの行方
2014年の嵐の夜、ベラは時空を超えてつながったビデオカメラを通じてニコの死を防いだ。ニコとのやり取りの後に気を失ったベラが病室で目を覚ますと、状況が一変していることに気づく。ダビドは夫ではなくなり、娘のグロリアも存在していなかった。
困惑したベラは警察に頼り、レイラ警部がニコの捜索を手伝うことになるが、ニコは行方不明だった。ベラは自分の話が本当であることを証明するため、食肉処理場にヒルダの遺体があると推測し、その情報を伝える。レイラ警部は実際にヒルダの遺体を発見する。
レイラ警部はアンヘルを容疑者として調べる一方、ベラを解放し、ニコの手がかりになるホテルの部屋の住所を教える。
ベラがホテルの部屋に向かうと、そこにはダビドとモニカがいた。ベラはダビドが手術を機にモニカと不倫関係にあることを知り、その情報を明かさない代わりに、銀行で働いているダビドにニコの住所を調べさせる。
ベラがニコの住所へ向かうと、ニコの母マリアの姿を見つける。そこでベラは、レイラ警部が実はニコであり、この世界ではニコが自分の夫であることを知る。ニコが到着し、ベラに事情を説明した後、彼女の顔に触れると、ベラは失っていたニコとの生活の記憶を取り戻す。
しかし、ベラは娘がいないことを何よりも悲しみ、再び過去を変える必要があると訴える。そして、ニコに対して自分に執着せず、自らの人生を生きるように伝える。一方で、ニコはベラとの生活が再び失われることを恐れていた。
ベラは「私はあなたを救った。次はあなたの番。」と言い残し、バルコニーから飛び降りて自殺する。ニコはショックを受けるが、嵐が終わる前に過去を変える必要があると判断し、急いでビデオカメラとテレビを持ってダビドの家に向かう。
ビデオカメラで過去とつながると、ニコは1989年の自分にすべての事態を説明する。こうして再びタイムラインが改変されることになる。
【ネタバレ解説】タイムライン(3)ハッピーエンドルート
ダビドが隣にいるベッドで目を覚ましたベラは、娘の部屋に向かい、グロリアがいることを確認し、安堵する。家の物置にはビデオカメラも古いテレビもなくなっていた。
ベラは庭でダビドが捨てたマッチを発見し、彼が不倫していたことを確信する。アンヘルが捕まっていないことを知り、ベラはニコが自分との約束を守ったことを知る。
ベラは食肉処理工場に向かい、ヒルダの遺体を発見して警察に通報する。警部のニコが現場に到着すると、ベラはニコを知っていると言い、「すぐに思い出す」と微笑みかける。