ザ・フラッシュ

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映画

【ネタバレ感想・考察・解説】『ザ・フラッシュ』超高速男のゆっくりな娯楽作

今回ご紹介する映画は『ザ・フラッシュ』です。

DCコミックスのスーパーヒーロー映画で、DCエクステンデッド・ユニバースの12作品目。

本記事では、ネタバレありで『ザ・フラッシュ』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし

何かと話題が尽きないDCEUですが、ひとつの映画として、とても娯楽性の高い映画でした!

『ザ・フラッシュ』の作品情報とおすすめ度

『ザ・フラッシュ』

『ザ・フラッシュ』ポスター
ストーリー
感動
面白さ
テーマ性
満足度

あらすじ

フラッシュことバリー・アレンは、ある日、スピードフォースによりタイムトラベル能力を手にし、母親のノラの死を防ぐために時間を遡るが、スーパーマンによって倒されたはずのゾッド将軍が復活してしまう。バリーは若い頃の自分、ブルース・ウェイン/バットマン、そしてスーパーガールの助けを借りることとなるが……。

作品情報

タイトルザ・フラッシュ
原題The Flash
監督アンディ・ムスキエティ
脚本クリスティーナ・ホドソン
出演エズラ・ミラー
サッシャ・カジェ
マイケル・シャノン
ロン・リビングストン
マリベル・ベルドゥ
キアシー・クレモンズ
アンチュ・トラウェ
マイケル・キートン
製作国アメリカ
製作年2023年
上映時間144分

予告編

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ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ラストまで解説】『ザ・フラッシュ』のあらすじ

『ザ・フラッシュ』バリー・アレン
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

出勤前のひと仕事

映画は、フラッシュ/バリー・アレン(エズラ・ミラー)が仕事に行く前にサンドイッチを買いにカフェに立ち寄るところから始まる。

サンドイッチができるの待つ間、バリーのもとにアルフレッド(ジェレミー・アイアンズ)から電話が入り、ある任務を依頼される。バリーは瞬時にフラッシュスーツに着替え、現場に直行すると、病院が崩壊寸前の状況だった。

地上にいる人々を助けると、建物が崩壊し始め、上層階にいた看護師や複数の赤ちゃん、犬などが落下してしまう。

フラッシュは瞬時に助けに向かうが、空腹でエネルギー不足のため、まずは自動販売機でスナックを食べてエネルギーを補給する。その後、落下物を上手く計算して避けながら全員を無事に救出することに成功する。

同じ頃、バットマン/ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、殺人ウィルスを撒こうとする犯罪者たちを追っていた。バットサイクルで追跡して追い詰めると、ウイルスを持った犯人が橋の上から落下しそうになるのを掴むが、落とせばウイルスが拡散してしまう。

バットマンが手を離しそうになると、ワンダーウーマン/ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)が現れ、真実の投げ縄で引っ張り上げる。その後、フラッシュが到着すると、お互いを労い、その場を後にする。

タイムスリップ能力の発現

『ザ・フラッシュ』バリーの家族写真
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

バリーは任務を終えてから遅れて研究所に出勤すると、同僚のパティ(シアーシャ=モニカ・ジャクソン)アルバート(ルディ・マンクーソ)に遅刻したことをいじられる。

バリーの上司が仕事の近況を自分の手柄のように取材陣に向けて発表していると、その中にバリーの大学時代の友人であるアイリス・ウェスト(キアシー・クレモンズ)がいた。

バリーの父親ヘンリー(ロン・リビングストン)は、妻ノラ(マリベル・ヴェルドゥ)殺害容疑で投獄されている。アイリスは直近に迫っているヘンリーの裁判について聞こうとしていた。

バリーはアイリスに父の無実を主張し、ヘンリーのアリバイを立証するために当時ヘンリーがいたスーパーの監視カメラの映像が手がかりであると話す。

その後、バリーは幼少期に済んでいた家を訪れ、かつての記憶に思いを馳せていた。ヘンリーはその日、ノラに頼まてトマト缶を買いに行き、帰ってきたときにはノラはナイフを刺されてしまっていた。バリー父の腕の中で血だらけで死ぬ母親の姿が焼き付いて離れなかった。

バリーは過去の記憶を振り払うように、フラッシュスーツのまま夜道を信じられない速さで走り続ける。すると偶然、スピードがある地点に達するとスピードフォースを形成し、過去に戻ることができることを発見する。

バリーはこの能力を使えば、過去を変えられるとブルースに相談するが、ブルースは意図しない結果をもたらす可能性を危惧して警告する。さらに彼は、「両親の死が今の自分を作った」と語る。

18歳のバリー

『ザ・フラッシュ』バリーと18歳のバリー
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

ブルースとの会話の後、アイリスがやってくると、彼女との会話の中でバリーはノラを救う方法があると気づく。それは過去に戻り、ノラがスーパーでトマト缶を買い忘れることがないようにすればいいというものだった。

バリーは過去に戻り、それを実行する。するとノラの死は防ぐことに成功し、現在軸に帰ろうとしていたところ、何者かにスピードフォースから突き飛ばされ、あるタイムラインに転がり込んでしまう。

そこでは、両親も元気に暮らしていたが、18歳の頃の自分に遭遇してしまう。バリーは18歳の自分に、得ることになる能力を説明するが、9月29日その日こそ、フラッシュとしての能力を手にする日だった。

バリーは18歳のバリーに、自分が能力を得た方法と同じ状況を作るが、その過程でバリーを通して18歳のバリーに雷が打たれてしまい、18歳のバリーは能力を得たものの、バリーはフラッシュの能力を失ってしまう。

18歳のバリーは手にした能力で無計画に行動してバリーを困らせるが、次の日、バリーは地球にやって来たゾット将軍(マイケル・シャノン)のニュースを目にして驚愕する。

バリーはジャスティス・リーグを招集しようとするが、サイボーグ/ビクター・ストーンはまだ事故に遭っておらず、アクアマン/アーサー・カリーも生まれておらず、ワンダーウーマン/ダイアナ・プリンスも居場所がわからないことに気づく。

ルームメイトの話では、この時間軸ではBTTFシリーズの主演がマイケル・J・フォックスではなく、エリック・ストルツになっています。これは現実の話にも近く、フォックスは当初スケジュールが合わず、その代わりでストルツが主役にキャスティングされていましたが、降板となってしまいました。その後、ストルツは『マスク』の主演やTVドラマ『glee』の監督などで活躍しています。

18歳のバリーのルームメイトたちの証言で、バットマンだけは存在することがわかり、バリーは18歳のバリーを連れてバットマン探しに向かう。

引退したバットマン

『ザ・フラッシュ』バットマンと2人のバリー
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

バリーはウェイン邸に入ると、そこには年をとったブルース・ウェイン(マイケル・キートン)の姿があった。ゴッサムシティの治安は改善し、彼はバットマンとしての職務を引退していた。

マイケル・キートンは、実写映画初となるティム・バートン版の『バットマン』初代バットマン/ブルース・ウェイン役を演じた俳優です。

バリーはゾット将軍に立ち向かうべく協力するように説得するが、ブルースには断られてしまう。仕方なくバリーたちはバットケイブに侵入し、バリーはブルースのコンピュータを利用してスーパーマン探しを始める。

バリーは、18歳のバリーが状況を理解しておらずフザケ倒していることに苛立つも、タイムスリップした理由(母親の死を回避するため)を話すわけにはいかなかった。バリーは改めてブルースに協力を嘆願する。

その後、バリーがスーパーマンの居場所を見つけると、ブルースはバットスーツに身を包んで登場する。3人はシベリアの施設へ向かう。

カーラ登場

『ザ・フラッシュ』カーラ
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

施設に侵入してクリプトン・ポッドを開けると、そこにいたのはスーパーマン/カル=エルではなく、若いクリプトン人女性、スーパーガール/カーラ・ゾー=エル(サッシャ・カジェ)だった。

カーラを助け出して傭兵たちと戦闘になり、追い詰められるも、太陽を浴びて元気を取り戻したカーラによって傭兵たちを一蹴するが、彼女は気絶してしまう。

その後、カーラはウェイン邸で目を覚ますと、いとこのカル=エルを見守るために地球に送られるも、人間に捕らえられ、シベリアの地下施設で幽閉させられていたことを明かす。

ゾット将軍が襲来したことを知ると、戦いに行こうとするが、まだ体力が戻っておらず、屋上で太陽を浴びてパワーを取り戻すことにする。18歳のバリーは世界を救うことに協力するよう説得するも、カーラは監禁されていたことで人間への不信感があり、断るのだった。

その後、ゾッド将軍を探すために飛び出したカーラは、ゾッド将軍が子分のファオラ=ウル(アンチュ・トラウェ)と共に、クリプトン人を差し出さなかった人間の兵士を処刑する瞬間を目撃する。

バリーは力を取り戻すため、稲妻を再現する手助けをブルースに依頼する。バリーは自ら稲妻を受けるも、能力は発言せず、体がボロボロになった状態でもう一度雷を当てることを要望する。

ブルースはためらいながらもレバーを引くが、機械がショートして壊れてしまう。すると、カーラが戻ってきてバリーを雲の上の雷の発生源まで近づけ、より強力な落雷を浴びせる。それによってバリーは元の力を取り戻すことに成功し、彼らはゾット将軍を止めるべく現地に向かうことになる。

vsゾット将軍

『ザ・フラッシュ』カーラと2人のバリー
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

ゾッド将軍は以前と同様に、地球をクリプトン人用に植民地化するためにワールド・エンジンを用意していた。カーラはゾット将軍と対峙する。

ゾット将軍は、すでにカル=エルを見つけて殺したこと、彼が探していたのは、コーデックス(クリプトン星の遺伝子情報を含む情報体)を体内に持つカーラの方であることを明かす。

カーラはゾット将軍がカル=エルを殺したことに激昂し、ファオラを含めて激しい戦いを繰り広げる。しかし、カーラは敗北し、血液を取り出されてしまう。

バットマンは戦闘機もろともゾッド将軍のジェット機に突っ込み、バリーたちは仲間を失ってしまう。ショックを受ける2人はタイムスリップすることで彼らを救うおうとするも、何度やり直してもカーラとブルースの死は避けられないことをバリーは理解する。

バリーはクリプトン人戦士のナムエクの一部を使い、ファオラを突き刺して倒す。一方、18歳のバリーは、何度もタイムスリップしてカーラとブルースの死を防ぐ方法を探し、その度に体がボロボロになっていた。

スピードフォース内でバリーは18歳のバリーを止めようとするが、彼は止まらず、過去を改変し過ぎたことでマルチバースに影響を及ぼし始めていた。いくつものマルチバースのタイムラインが衝突し始めてしまう。

衝突するマルチバースでは、以下のような歴代DC作品の映像も伺えます。

  • ジェイ・ギャリック役のテディ・シアーズ
    • 2015年〜2018年のTVドラマ『THE FLASH/フラッシュ』
  • バットマン/ブルース・ウェイン役のアダム・ウェスト
    • 1966年〜1968年のTVドラマ『怪鳥人間バットマン』
  • スーパーガール/リンダ・リー役のヘレン・スレイター
    • 1984年の映画『スーパーガール』
  • スーパーマン役の俳優たち
    • ジョージ・リーヴス
    • クリストファー・リーヴ
    • ニコラス・ケイジ(演じる予定で1998年に頓挫)

過去を変える代償

『ザ・フラッシュ』母ノラとバリー
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved (C) & TM DC

バリーは18歳のバリーを止めるべく、自分が改変した母親の死を戻そうとするが、そこにダーク・フラッシュが現れる。彼の正体は、18歳のバリーが過去を改変し続けた成れの果ての姿だった。

ダーク・フラッシュはバリーを殺そうとするが、18歳のバリーが盾となり、自分で自分を殺して消えてしまう。バリーは改変した母ノラがいるスーパーへ戻り、彼女の買い物カゴからトマト缶を取り出すと、少しの間、母親と涙ながらに会話する。そして未来に戻っていく。

現実のタイムラインに戻ってきたバリーは、父親ヘンリーの裁判に出席する。そこでは、スーパーの監視カメラの映像にヘンリーの顔が確認できるレベルで映っていたため、彼のアリバイを証明し、無罪を勝ち取ることができた。

フラッシュは、母親の買い物カゴからトマト缶を戻したとき、トマト缶の配置の棚を変更していたのだった。

裁判の後、バリーはアイリスに遭遇し、彼女との夕食の計画を立てる。その後、ブルースから電話を受け、安堵の気持ちを伝えると、ブルースは裁判所の目の前までやってきていた。

車から出てきたブルース・ウェインは、バリーの知っているブルース(ベン・アフレック)ではなく、違うブルース(ジョージ・クルーニー)だった。

ジョージ・クルーニーは、1997年公開のジョエル・シュマッカー監督の映画『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』でバットマン/ブルース・ウェイン役を演じています。

ポストクレジットシーン

ポストクレジットシーンでは、アクアマン/アーサー・カリー(ジェイソン・モモア)が登場し、バリーと会話する様子が描かれる。酒浸りになってバリーを困らせるアーサーだったが、バリーは自分に言い聞かせるように、「アクアマンは変わっていない」と言葉にする。

【ネタバレ感想・考察】過去から逃げられないのはDCの宿命?

フラッシュが過去を改変する物語である本作は、2011年発行のDCコミックスのストーリー『Flashpoint(フラッシュポイント)』の影響を強く受けています。

「タイムトラベルによって現在軸のタイムラインに変化が起こる」

これまで幾度となく映画で表現されてきた構造ですが、昨今では“パラレルワールド”から“マルチバース”と名前を変えて、人気のジャンルでもあります。

奇しくも、同日公開の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』もマルチバースがテーマの作品であり、スーパーヒーロー作品としても非常に似た題材を扱っています。

しかしながら、そのアプローチは似て非なるもので、それぞれの違った魅力があるので、ぜひ合わせてチェックしてみることをおすすめします。

高速男のゆっくりな物語

上映時間144分の長さと、早すぎる移動スピードゆえに1秒が非常に長く感じる映像表現が、高速のヒーローであるフラッシュとは対照的な印象で描かれる本作。

冒頭シーンでは、超高速で事件現場に移動し、スローモーションの中、赤ん坊たちを救うシーンが描かれ、フラッシュというヒーローの能力を効果的に演出し、バットマンやワンダーウーマンも駆けつけて、擬似的にジャスティス・リーグ的な高揚感をもたらしてくれました。

まめもやし

個人的には冒頭シーンが一番迫力があったように感じます!

その後のメインとなる物語では、母親殺しの容疑で刑務所にいる父親の最後の裁判が迫り、タイミングよくタイムトラベル能力を手にしたバリーは、過去を書き換えて両親を救います。

しかし、とあるタイムラインに落ちてしまい、ウザいくらいに陽気な18歳のバリーと行動をともにするようになり、過去を変えたことで起こる変化と対峙していくという物語。

本作は、過去のトラウマを引きずるバリーが、過去への旅を通してトラウマと向き合う様子をたっぷりと描いているのです。

マルチバース、既視感との戦い

バリーが過去を改変したことで、本来のユニバースとは違った登場人物が現れます(DCEUの現実問題はそうせざるを得ないことは置いておきます)。

中でも初代バットマンであるマイケル・キートンが、長髪白髪のやさぐれたおっさんとして登場するシーンはファンにとっては嬉しい演出。1951年生まれの70代のキートンが、その後もガッツリとバットマン役をこなしているだけでも十分に楽しめます。

その後に登場するスーパーガールを演じたサッシャ・カジェは、美しくクールで惚れ惚れしてしまいます。

ダーク・フラッシュが過去を書き換えすぎたことで生じる「マルチバースの衝突」シーンでは、いわゆるサプライズとなるDC作品を演じた俳優たちのカメオ出演がありました。

とはいえ、これはマイケル・キートンのようなガッツリ出演ではなく、フラッシュのフォースフィールドをから見た視点(謎の球体の衝突)で描かれるので、単純にファンサービスのシーン以上の働きがあったとは思えませんでした。

そして物語の最後には、ジョージ・クルーニーが登場するというサプライズが待ち受けています。

これってすごく、既視感があるんですよね。そう、DC版の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』なんだと。

マルチバースを描く物語で、過去のIP(知的財産)を持ち出してノスタルジックな気持ちにさせるのです。しかし、果たしてこれが『ノーウェイホーム』ほどの満足できるものだったのかと言われると、考えてしまいます。

本作は過去に戻っていることで、ゾット将軍が地球をテラフォーミングしようとする流れも同じ。本作はバリーの過去のトラウマと向き合うための物語として、DCのIPを活用して新しい物語として成立させているのです。

冒頭の一連のアクションシーンは、すごく見応えがあった分、メインで描かれる物語がどうもモヤモヤが残ってしまうのが本音でした。

そして極めつけは、ラストの展開です。

バリーの選択、それで良いの?

母親の死を回避しようとして過去に戻ったバリーは、写し鏡である18歳の自分の姿とその末路を目の当たりにし、母の死を受け入れることにします。

ここで思い出してほしいのは、バリーに対して、ブルース・ウェインがかけていた言葉。

過去の傷が今の自分を作った。過去に遡って修復するつもりはない。悲劇で自分を決めつけてはいけない。

These scars we have, make us who we are. We’re not meant to go back and fix them. Don’t let your tragedy define you.

本作で一番感動に残るセリフです。これでバリーは最終的に現在軸に戻り、母の死を受け入れて、父の無罪証明に尽力するんだ……。

と、思いきや。バリーはトマト缶の位置を変えて、父の無罪の証明となる証拠づくりをしていました。

まめもやし

結局、過去変えてんじゃん!

冤罪の父の無実を証明するため、バリーの行いは正しいことだとも思います。ただ、ブルースの言葉が全く響いていないんだなと思ったのと、過去を変えることの意味を理解したからこそ、「今をどうするか」と向き合ってほしかった。

これでは、結局のところ過去の痛みを知ったのは18歳のバリーであって、それを見て、ブルースの言う「fix(修復)」をしたに過ぎないんだと感じ、残念な気持ちになりました(そもそも本作がDCEUからDCUへのfix的な立ち位置であることもリンクします)。

その後のシーンで、ブルースが別人に変わったこと、ポストクレジットでアクアマンに対する反応の軽さも、やはりバリー自身が過去を変えた傷を経験したわけではなかったのだと思えてなりません。

つまるところ、DCEUの終焉を目前にし、マルチバースという都合のいい理由で過去のIPを出血大サービスする構造と合わせて、過去を描き、過去から逃げられない物語という印象になっていました。

まとめ:マルチバースの今後は……

今回は、『ザ・フラッシュ』をご紹介しました。

シリーズ作品におけるマルチバースの行き着くところは、サプライズ要素になってしまうのか。

過去には名作や、上手くいかなかった作品もある。それらの積み重ねでファンダムは形成されていくもので、昨今で溢れるマルチバースを新しい物語にどう落とし込んでいくのかは、今後も問われていくでしょう。

とはいえ、これでマーベル、DCの2大巨頭がサプライズを使ってしまったので、もうお腹いっぱいとも言えます。それでもDCUの今後に期待したいです。

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