今回ご紹介するのは映画『初恋』です
三池崇史監督による作品で、カンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭などで観客から高い評価を得ている作品です。
ポン・ジュノ監督の『パラサイト』がアカデミー賞を獲りましたが、日本映画も負けてない、そう感じさせてくれる力量ある作品でした。
映画『初恋』の作品情報とあらすじ
おすすめポイント
おかえり、ベッキー。
三池崇史監督&窪田正孝主演、孤独なボクサーの濃密な一夜を描くオリジナルストーリー。
「初恋」という優しげなタイトルとは裏腹に、イカれた登場人物たちが入り乱れ、振り切ったバイオレンス描写がジェットスターのようなライド感がある映画。
タランティーノ監督と『アウトレイジ』を組み合わせたような作品で、中でもベッキーのインパクトは異常。
原作の実写映画化作品を多くとっていた近年の三池監督のイメージを払拭する爽快な一本。

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映画『初恋』のキャスト
- 窪田正孝
- 大森南朋
- 染谷将太
- 小西桜子
- ベッキー
- 村上淳
- 内野聖陽 他
世界が三池崇史ワールドに熱狂したヤバい映画
©2020「初恋」製作委員会
本作、カンヌ国際映画祭監督週間やトロント国際映画祭など30以上の映画祭に招かれ、観客からの高い評価を得ています。
日本映画ではあまりない、全米で先行公開という形を取っていて、大手批評サイトのロッテントマトにおいても97%という高い評価を得ています。(2020年2月時点)
『初恋』は三池崇史の最高傑作
©2020「初恋」製作委員会
三池崇史といえば、日本を代表する映画監督の一人であり、これまでも多くの映画を撮ってきました。
そのジャンルも多様で、『オーディション』などのホラー映画だったり、近年では『ジョジョの奇妙な冒険』で漫画原作の映画を撮ったりと、どんな映画のオファーであっても食わず嫌いをしない監督の印象があります。
そういったところもあり、三池監督の映画は評価が分かれることが多く、面白い作品を撮ったと思ったら、これは本当に三池崇史なのかという映画もあったりします。
そんな中、本作はあらゆるジャンルをゴチャまぜにしたような映画。ラーメンで言えば「全部乗せ」というやつ。
アカデミー賞を獲ったポン・ジュノ監督の『パラサイト』も全部のせジャンルですね。
こういった映画はお腹いっぱいになりがちですが、それぞれの要素が絶妙な配分とタイミングで混ざっていてめちゃくちゃ上手いんです。
近年の大作映画のイメージも強い三池監督ですが、彼が得意とするバイオレンス描写やこだわりが随所に見られました。
個人的には三池崇史監督の最高傑作だと感じたほど。
影響を感じる類似映画
ゴチャまぜジャンルは他にも似たような映画がありますが、本作が良かったのはそこに確かなオリジナリティを感じた点。
それが面白さを生んでいるんです。一応参考までに似た作品を紹介しておきます。
- 園子温監督『愛のむきだし』
- クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』『キル・ビル』
- エドガー・ライト監督『ベイビー・ドライバー』
- トニー・スコット監督『トゥルー・ロマンス』
- コーエン兄弟『ファーゴ』
三池監督はタランティーノとの親交もあって、互いの映画から影響を受けていることを話しています。
それもあって、両者がいい意味で「タランティーノ的であり、三池的である」という面白い関係性を生んでいます。
プロデュースしているのが紀伊宗之プロデューサーという共通点はありますが、近年の名作ヤクザ映画『孤狼の血』のような感じかなと予想していたところ、いい意味で全然違いましたね。
三池監督なりの東映ヤクザ映画などへのリスペクトと、それを今風に楽しめる描き方をしていました。
【ネタバレ感想】『初恋』は染谷将太とベッキーがヤバい
©2020「初恋」製作委員会
※以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。
4つ巴の展開
本作は3つ巴を超えて4つ巴にまで発展していきます。
堅気のボクサー×ヤクザ×ヤクザの手下と悪徳刑事×中国マフィア
そしてここにベッキーが加わります(笑)。
単純にこのストーリーが面白いんですよね。
こういった「混ぜるな危険」的な映画は、勘違いをきっかけにこじれていきます。
映画を見る僕らはメタ的な目線で見ることができるのがこういう映画の醍醐味。
本作でもそれは同じで、ヤクザと中国マフィアの抗争と思っていたら、ヤクザの手下が密かに計画を企てていたり、堅気のボクサーが絡んできてさらにややこしくなっていきます。
そして、本作を面白くさせているのは、間違いなく染谷将太とベッキーの存在。
染谷将太
染谷将太が演じる加瀬は、ヤクザの中堅的な立ち位置です。
現代的な考えをもつ彼は、ヤクザに属していながらヤクザを一歩引いてみているんですよね。ヤクザの生き方はもう古い。だから一人抜けしようと計画を立てます。
面白いのは、賢そうに見えてその計画が初っ端からなし崩しに上手く行かないところ。
上手く行かないながら機転が利くため、その場しのぎで関わる人を殺していきます。本作の笑える部分の多くが、染谷将太のパートだったっ様に感じます。
ベッキー
本作で一番印象に残っているといっても過言ではないのが、ベッキーです。
彼女はまぁいろいろあったことは皆さんご存知でしょうが、それを払拭するほどの怪演でした。
いきなり飛び蹴りをかまして登場するシーンから始まり、彼氏を殺されたことで復讐の鬼と化していく様子は恐ろしくも面白い。
窓を突き破って出てくるシーンだったり、ヤクザが彼女を最終兵器のように登場させるシーンだったりと、見どころ満載で最後まで楽しませてくれます。
中国マフィア
その他で、三池監督さすがだなと感じたのは、中国マフィアの描き方。
日本映画で描かれる中国マフィアなので、どうしても描き方が偏りがありそうなところを、しっかりと見せ場を作っていました。
中国マフィアを通して極道のいわゆる仁義を描いてるのも面白いです。
クールな中国マフィアの女性を演じたのは、藤岡麻美という方なんですが、ディーン・フジオカの妹だったんですね。
存在感抜群で、いい演技をされていました。
映画『初恋』が意味するもの
©2020「初恋」製作委員会
本作、『初恋』というタイトルからは想像できない展開をみせる作品となっていますが、これにも三池監督のこだわりが感じられます。
キスシーンやベッドシーンなどもあえて描かないところなど、監督の想いが感じられました。
薬物漬けのモニカが幻覚で見ているのは、中学時代に父親を殴って助けてくれた竜司という同級生。それを同じく守ってくれたレオに重ねているんです。
それに対するレオも、病気の宣告をされなければ助けなかったと淡々と語ります。
そう、二人の間に特別な感情は生まれていないんです。
それが変わるのが、レオが病気でないことが分かり、モニカが竜司と再会した後のシーン。
そこで映画が終わるかと思いきや、レオは心機一転ボクシングに打ち込み試合でも感情をさらけ出すようになります。
一方のモニカは薬物依存から離れようと必死にもがいています。
それぞれが向き合うべきものと向き合い、これから始まる新しい、本当の恋という意味で『初恋』をそっと感じさせる終わり方となっていました。
三池監督は役者たちに「好きになると真っ直ぐになる気持ち、それが初恋だから」と話していたのが印象的でした。
映画『初恋』は染谷将太とベッキーがヤバい三池崇史の最高傑作だ!
エンタメ性抜群で、俳優たちの演技も誰もがアツく素晴らしい。
三池節全開のぶっ飛んだ名作でした!
U-NEXTでは三池崇史監督の過去作が視聴できます。
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