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Netflix映画『戦と乱』

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韓国ドラマ

相関図あり『戦と乱』ネタバレ解説・考察|実話を元にした時代劇アクション

今回ご紹介する作品は『戦と乱』です。

どんな映画?

  • 舞台は戦乱に揺れる李氏朝鮮時代
  • 主演は『新幹線半島 ファイナル・ステージ』『ベイビー・ブローカー』のカン・ドンウォン
  • 脚本は『オールド・ボーイ』『お嬢さん』のパク・チャヌク
  • 監督は『ミッドナイトFM』『ザ・テノール 真実の物語』のキム・サンマン

本記事では、映画ドラマ『戦と乱』を観た感想・考察、あらすじをネタバレありで詳しく解説します。

まめもやし
まめもやし

切れのある剣術アクションが印象的な時代劇映画です!

作品情報・配信・予告・評価

『戦と乱』

Netflix映画『戦と乱』

あらすじ

李氏朝鮮時代。剣術に長け、いくつもの修羅場を乗り越えてきた奴婢(ぬひ)の男は、戦乱の中で、かつての友だった武官と激しくぶつかり合う。

5段階評価

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

作品情報

タイトル戦と乱
原題・英題전,란/Uprising
監督キム・サンマン
脚本シン・チョル、パク・チャヌク
主演カン・ドンウォン
パク・ジョンミン
製作国韓国
配信日2024年10月11日
長さ128分

動画配信サービス

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Netflix

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相関図・キャスト・キャラクター解説

Netflix映画『戦と乱』相関図
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役名/キャスト役柄
チョンヨン
(カン・ドンウォン)
奴婢としてジョンニョの屋敷で働く。類まれな剣術の才能を持ち、ジョンニョの剣術指導をするようになる。賤民の身分から抜け出すために奮闘する。
イ・ジョンニョ
(パク・ジョンミン)
名だたる武人一族の主君の子息。チョンヨンとの稽古で友情を育むが、倭乱が勃発し、敵対関係になっていく。
ソンジョ
(チャ・スンウォン)
李氏朝鮮の第14代国王。倭寇の侵略が始まると都と民を捨てて逃亡し、その後は威厳を取り戻すために都の再建に執着する。
キム・ジャリョン
(チン・ソンギュ)
義兵隊を率いる将軍。義理と人情に厚く、身分関係なく接することで多くの人に慕われている。
ポムドン
(キム・シンロク)
不屈の精神を持つ義兵隊の兵士。チョンヨンとジャリョンとともに倭寇との戦いに尽力する。
吉川玄信
(チョン・ソンイル)
日本軍の小西隊に所属する戦士。倒した敵の鼻を斬り取る「鼻狩り鬼」として恐れられている。

実話・歴史の背景を解説「倭乱・秀吉の朝鮮出兵」

Netflix映画『戦と乱』は、歴史を元にしたフィクションです。その歴史というのが、1592年から1598年にかけて日本と朝鮮の間で行われた大きな戦争「壬辰・丁酉の倭乱(じんしん・ていゆうのわらん)」です。

日本では「文禄・慶長の役(ぶんろく・けいちょうのえき)」の名で知られていて、その引き金となったのが、豊臣秀吉による朝鮮出兵。秀吉が2度にわたって朝鮮半島に領土拡大のために兵を送って企てた朝鮮に対する侵略戦争です。

李氏朝鮮時代の身分制度

物語の舞台となるのは、朝鮮の歴史における最後の統一王朝だった李氏朝鮮(りしちょうせん)時代。

武将だった「太祖(テジョ)/李成桂(り せいけい)」が1392年に高麗(こうらい)を滅ぼして新しい王朝を築き上げ、1897年まで500年も続いた朝鮮の歴史上最も長く続いた王朝です。中でも映画で描かれるのは、第14代国王の宣祖(ソンジョ)の時代です。

この李氏朝鮮時代には身分制度が存在しており、主に4つの位で分類されています。

李氏朝鮮時代の身分制度

  • 両班(ヤンバン)
    • 最上位の支配階級。「文班(ムンバン):文官のこと」と「武班(ムバン):武官のこと」の両方を合わせた階級。カッ(갓)と呼ばれる帽子を被る。
  • 中人(チュンイン)
    • 医学、語学、法律など特定の職業や世襲が多い。両班の補佐役などをする。
  • 常民(サンミン)
    • 一般庶民の階級。民衆の大半を占めており、農民や商人などが多い。
  • 賤民(チョンミン)
    • 最下層の身分。人間以下の扱いを受けることも多くある。
まめもやし
まめもやし

これらは韓ドラの時代劇でもよく登場していますね!

本作の主人公、カン・ドンウォン演じるチョンヨンは、男性の奴隷「奴」と女性の奴隷「婢」を合わせて奴婢(ぬひ)と呼ばれる最下層の賤民です。

李氏朝鮮時代の行政機関

チョンヨンが奴隷として仕えることになるのが、位階が「従二品(チョンイプム)」で「兵曹参判(ピョンジョチャンパン)」の武人の一族。朝鮮王朝時代の官職には正・従の2つに分かれて「正一品〜従九品」まで、18段階の位階がありました。つまり、上から4番目の位階です。

兵曹(ピョンジョ)は、李氏朝鮮時代の行政機関の一つで、国家の軍事機関を担当しています。わかりやすく言えば、現在の日本の防衛省のイメージですね。

李氏朝鮮時代の行政機関は6つ。六曹(ユクジョ)と呼ばれています。

朝鮮時代の行政機関

  • 吏曹(イジョ)
    • 文官の人事や官職の管理を担当。日本の総務省のイメージ。
  • 戸曹(ホジョ)
    • 国家予算の編成と執行を担当。日本の財務省のイメージ。
  • 礼曹(イェジョ)
    • 教育、外交・科挙試験の実施を担当。日本の文部科学省のイメージ。
  • 兵曹(ピョンジョ)
    • 軍事全般を管轄や武官の人事を担当。日本の防衛省のイメージ。
  • 刑曹(ヒョンジョ)
    • 司法、刑罰、法律の制定と執行を担当。日本の法務省のイメージ。
  • 工曹(コンジョ)
    • 工事や建築・製造業を管轄。日本の国土交通省のイメージ。

ネタバレあり

以下では、映画『戦と乱』の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

チョンヨンとジョンニョの出会い

Netflix映画『戦と乱』は、李氏朝鮮の第14代国王・宣祖(ソンジョ)の時代を舞台に、身分階級のトップと最下層の両班と賤民の2人の人物の友情と対立を描いた映画です。

映画は2人の出会いに始まり、その後は「戦・争・反・乱」の4部構成となっていて、倭寇の侵略、対立と決着までを描いています。


2人の運命的な出会いは、まだ幼い頃のことでした。李氏朝鮮時代、階級制度が厳然と存在する中、チョンヨンの両親は常民の身分でしたが、母親は奴婢として売られてしまいます。

当時、「一賤則賤(イルチョンチュクチョン)」という法律により、親のどちらかが奴婢であれば、その子供もまた奴婢となります。こうしてチョンヨンも奴隷として売られ、朝鮮王朝でも名高い武人一族の屋敷へ送られました。

その屋敷にいたのが、武人一族の跡取り息子、イ・ジョンニョでした。彼の家は代々、朝鮮王朝で武科に合格者を輩出してきた名門でしたが、ジョンニョ自身は剣術にあまり秀でた才能を持ち合わせていませんでした。チョンヨンは、ジョンニョが剣術の稽古で失敗するたびに、その罰を受ける身代わりの奴隷として連れてこられたのです。

多くの身代わり奴隷が使い捨てにされる中、チョンヨンは違いました。彼は、ムチ打ちだけでは何も変わらないと感じ、ジョンニョの剣術の稽古を注意深く観察し始めます。そしてついには、彼自身がジョンニョに剣術を教えるようになりました。

この瞬間から、2人の間に友情が芽生えます。チョンヨンの助けを借りて、ジョンニョの剣術は上達し、ついにはチョンヨンがムチ打ちの奴隷からジョンニョの剣術指導者へと変わりました。成長した2人は、ジョンニョが武科試験に挑む日を迎えます。

しかし、ジョンニョは何度挑戦しても武科に合格できず、父親は次第に失望していきます。そこで、チョンヨンは自分がジョンニョの代わりに試験を受けることを提案します。一族に名誉をもたらす代わりに、チョンヨンは賤民から常民に戻れる「免賤(ミョンチョン)」を求めました。

結果、チョンヨンはジョンニョとして武科試験に首席で合格し、一族に栄光をもたらします。しかし、約束されていたはずの免賤は叶えられず、チョンヨンは「逃奴(トノ)」として屋敷から逃亡する道を選ぶことになります。

戦:チョンヨンとジョンニョの対立の理由

チョンヨンは「推奴(チュノ)師」に捕まり、再び屋敷に連れ戻され、罰を受けるために監禁されます。彼はジョンニョの家宝である刀を盗んだ罪に問われますが、実際にはその刀はジョンニョがチョンヨンに贈ったものでした。ジョンニョは、チョンヨンが自分の代わりに首席で武科に合格したものの、免賤の約束を果たせなかったことを悔い、自分にはその名高い刀を持つ資格がないと考え、チョンヨンに託したのです。

その頃、日本軍の朝鮮出兵による倭寇の侵攻が激化し、国内の情勢も急速に変化していきました。国王・宣祖(ソンジョ)は首都である景福宮(キョンボックン)を放棄して逃亡することを決断し、ジョンニョはその護衛として派遣されます。ジョンニョは妻と幼い息子を残して屋敷を後にし、護衛に兵が送られたため屋敷の警備は手薄になっていました。

この隙に、ジョンニョの父から長年ひどい仕打ちを受けてきた奴婢たちが反乱を起こします。彼らは武器を手にし、主君に反逆し、ついには屋敷に火を放ちます。監禁されていたチョンヨンは混乱の中で脱出し、燃え上がる屋敷を見て戸惑いながらも、ジョンニョの妻と息子を発見し、助け出そうと試みます。しかし、ジョンニョの妻はチョンヨンを見下し、振り払い、自ら炎の中に身を投じます。

チョンヨンは脱出の際、屋敷から青装束とジョンニョの刀を持ち出しますが、それによって彼は官軍の一員だと誤解されます。倭寇の侵攻が進む中、チョンヨンは常民たちを集め、義兵の隊を率いて戦います。その中で、チョンヨンは倭寇の武将で「鼻狩り鬼」として恐れられていた吉川玄信と対峙し、互角の戦いを繰り広げます。

一方で、ジョンニョはソンジョの命令に従い、倭寇の進軍を阻止するため、民家を燃やし、平民たちを犠牲にします。その中で、自分の屋敷が奴婢たちの反乱で消失し、妻子を失ったことを知ります。そして、その場にチョンヨンがいたという報告を受け、家族を殺したのはチョンヨンだと誤解してしまうのです。

争:裏切りと怒り

7年が経ち、朝鮮王朝は倭寇の侵略を防ぎましたが、王宮である景福宮は消失しました。ジョンニョはソンジョの護衛と側近として、王都の再建を進めながら、行方知れずとなったチョンヨンを探し続けていました。

一方、チョンヨンは義兵隊の一員として、将軍キム・ジャリョン屈強な兵士ポムドンと行動を共にしていました。ポムドンは、倭寇との戦いで大きな貢献をしたにもかかわらず、義兵隊が名誉や褒美を受けることなく放置されていることに強い不満を抱いていました。

そんな中、チョンヨンと仲間たちは、倭寇の残党である玄信らと再び対峙し、彼らを捕らえることに成功します。チョンヨンとジャリョンは、この功績を証として国王に献上し、見返りを得ようとソンジョのもとへ向かいます。

しかし、ソンジョはまたしても約束を破り、ジャリョンは謀反人として仕立て上げられ、さらし首にされてしまいます。命からがら逃れたチョンヨンは、怒りに燃え、ついにジョンニョと対峙します。刀を交える2人。チョンヨンはソンジョへの裏切りと不正義に激怒し、ジョンニョはチョンヨンが家族を殺したと誤解し、復讐心を抱えていました。

反:チョンヨンとジョンニョ、玄信の三つ巴の戦い

常民に支持されていたジャリョンが処刑されたことで、民衆の間に不満と不信感が広がっていました。ジョンニョはその状況を見かね、ソギョンに対応を迫られます。そんな中、倭寇が財宝を隠し持っているという情報を掴んだジョンニョは、捕らえた玄信を官軍として利用し、その財宝の捜索をさせるという提案をします。

ソギョンは、一刻も早く王都を再建したい思いからこの提案を受け入れ、チョンヨンら逆賊討伐の名目を掲げて行動に移します。

一方、ジャリョンの首を持ち帰り、義兵隊に戻ったチョンヨンは、国王への不信感を募らせていたポムドンから激しく非難されます。これを機に、チョンヨンは謀反を決意し、数少ない義兵たちとともに戦う道を選びます。しかし、倭寇の宝箱を発見した途端、義兵たちはチョンヨンとポムドンを裏切り、宝を持ち逃げしてしまいます。

その後、義兵たちは玄信の待ち伏せに遭い、宝箱を奪われてしまうものの、チョンヨンとポムドンは命拾いすることになります。そして、2人は海岸で待ち受けるジョンニョの元へ向かいます。

一方、ジョンニョと玄信の間でも利害関係が崩れ、衝突が勃発します。ジョンニョは宝箱を回収し、役目を終えた玄信ら倭寇の残党を始末するつもりでしたが、玄信もまた裏切りを企てていました。こうして、ジョンニョと玄信が戦いを始めたところに、チョンヨンが加わり、三つ巴の激しい戦闘が繰り広げられます。

やがて、チョンヨン、ジョンニョ、玄信の3人が直接刀を交える中、ジョンニョはチョンヨンが自分の家族を殺していないことを知り、強い罪悪感に苛まれます。混乱の中で、ジョンニョは玄信の刃に倒れ、命を落とします。

最後に、チョンヨンと玄信の一騎打ちが繰り広げられ、チョンヨンはついに玄信を討ち取ります。チョンヨンは死にゆくジョンニョの体を抱えながら、2人の友情がまだ終わっていないことを静かに確かめるのでした。

乱:ラストでチョンヨンはどうなった?

王都で、ジョンニョの手柄を待つソギョンのもとに、倭寇の宝箱が届けられます。ソギョンは期待に胸を膨らませながら箱を開けさせますが、中には塩がぎっしりと詰められていました。不審に思ったソギョンは、箱をひっくり返して中身を確認させます。すると、塩の中から現れたのは、大量に切り取られた鼻でした。

一方で、激しい戦いを生き延びたチョンヨンは、人は皆平等であるべきだという強い信念を掲げ、新たな時代に向けた組織「ポムドン契(げ)」をポムドンらと共に結成し、チョンヨンは新しい道を歩み始めます。

【ネタバレ感想】カン・ドンウォンがカッコいい時代劇アクション

Netflix映画『戦と乱』は、李氏朝鮮時代を舞台に、身分制度を超えた友情と宿命、そして倭寇の侵略という史実をベースにしたフィクションです。

物語の冒頭で、剣を喉に突き刺して自殺したチョン・ヨリプは、李氏朝鮮時代に実在した人物です。彼は文人として、倭寇から民を守り、平等な世の中を実現するという理想を掲げ、「大同契約(テドンゲ)」という組織を結成しました。しかし、政府から反乱組織とみなされ、自殺に追い込まれたことで組織は解体されました。

物語は、国家を揺るがす倭乱によって敵対する立場に置かれた幼なじみの2人の不和を中心に展開されます。

映画のレイティングがR18+であることも納得の、血なまぐさい戦闘シーンが続きます。スピード感のある殺陣のアクションは見応えがあり、バイオレンス描写も圧巻です。しかし、どうしても気になったのは戦闘シーンで流れる音楽です。ロック調のギターサウンドが、緊迫した戦いのシーンにそぐわず、軽薄な印象を受けました。また、チョンヨンと玄信の戦いでは、通訳がそばで2人の会話を翻訳するシーンがあり、これが妙に滑稽で違和感を覚えずにはいられませんでした。

全体的に真面目な作りではあるものの、2時間という尺では物語が急ぎ足で進み、キャラクターに感情移入する余地がありません。一方で、この物語をドラマとして描くのも難易度が高いと感じます。

豊臣秀吉の朝鮮出兵が失敗に終わった後の戦乱の時代を背景にした『SHOGUN 将軍』の圧倒的なクオリティと比べると、時代劇アクションとしては物足りなさを感じざるを得ませんでした。

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