SHOGUN 将軍

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海外ドラマ

ドラマ『SHOGUN 将軍』全話ネタバレ感想・あらすじ・キャスト解説|ディズニープラス限定配信

今回ご紹介するドラマは『SHOGUN 将軍』です。

日本が誇る名優、真田広之主演・プロデュース、ハリウッドが巨額な予算を投じて関ヶ原の戦い前夜の日本を描く戦国スペクタクル・ドラマ。

本記事では、ネタバレありで『SHOGUN 将軍』を観た感想・考察、あらすじを解説。

まめもやし

圧巻の映像表現で描く、まさに戦国スペクタクル超大作!2024年の大注目作品です!

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『SHOGUN 将軍』作品情報・配信・予告・評価

SHOGUN 将軍

あらすじ

物語の舞台は1600年代、<天下分け目の戦い>前夜の日本。 戦国最強の武将・吉井虎永に敵の包囲網が迫るなか、彼の窮地を救う秘密を持ったイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(後の按針)が虎永の領地へ漂着する。

作品情報

タイトルSHOGUN 将軍
原作ジェームズ・クラヴェル『将軍』
エグゼクティブ・プロデューサージャスティン・マークス
レイチェル・コンドウ
ミカエラ・クラベル
エドワード・L・マクドネル
マイケル・デ・ルーカ
制作FXプロダクション
出演真田広之
コスモ・ジャーヴィス
アンナ・サワイ
西岡徳馬
浅野忠信
向里祐香
穂志もえか
倉悠貴
こばやしあきこ
祁答院雄貴
作曲アティカス・ロス
レオポルド・ロス
ニック・チュバ
製作国アメリカ
製作年2024年
話数全10話

ポイント

ポイント

  • 真田広之主演によるハリウッド超大作
  • 関ヶ原の戦い前夜を描く戦国スペクタクル
  • ディズニープラスの独占配信

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『SHOGUN 将軍』監督・スタッフ・原作

プロデューサー

『SHOGUN 将軍』のエグゼクティブ・プロデューサーは、ジャスティン・マークスレイチェル・コンドウ

マークスは『ジャングル・ブック』の脚本、『トップガン:マーヴェリック』の脚本家の一人であり、コンドウは彼の妻でもあります。

日本を代表する名優・真田広之もプロデューサーとして参加。「誤解された日本を描く時代を自分の世代で終わらせたかった」と、2005年にLA移住してから、精力的にハリウッド映画に出演しています。

近年でも、2020年に『MINAMATA ミナマタ』でジョニー・デップと共演、2021年に『ブレット・トレイン』でブラッド・ピットと共演、2023年には『ジョン・ウィック:コンセクエンス』キアヌ・リーブスと共演して話題となりました。

制作は、2019年にディズニーが21世紀FOXを買収したことによってディズニー傘下となったFXプロダクション。そのため、配信もディズニープラスの独占配信となっています。

原作:ジェームズ・クラヴェル『将軍』

Shogun: The First Novel of the Asian sagaShogun: The First Novel of the Asian saga
ジェームズ・クラヴェル

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『SHOGUN 将軍』は、第二次世界大戦の退役軍人で捕虜としての経験もあるオーストラリア生まれのイギリス人作家、ジェームズ・クラヴェルによる1975年の小説が原作。

脚本家としても、『ザ・フライ』(1958)やスティーブ・マックイーン主演の『大脱走』(1963)など、映画の脚本を手掛けています。

『SHOGUN 将軍』キャスト・キャラクター解説

吉井虎長(真田広之)

キャラクター役名/キャスト/役柄
吉井虎長(真田広之)吉井虎長(真田広之)
五大老の一人で関東の領主。冷静沈着な戦略家。他の大老衆から弾劾の危機に追いやられるが、思いがけず出会った按針を引き入れて生き残る鍵を探る。

キャラクターのモデルは、戦国の三英傑の一人として知られる徳川家康

主演の虎長役を演じたのは、日本を代表する俳優のひとり、真田広之。本作でプロデューサーも務めており、「海外で日本を舞台にした作品を撮るのであれば、日本人が見て納得してくれるものにしたい」という矜持で、日本の歴史を描く戦国ドラマとして強い意識があったと語っています。

ジョン・ブラックソーン/按針(コズモ・ジャーヴィス)

キャラクター役名/キャスト/役柄
ジョン・ブラックソーン/按針(コズモ・ジャーヴィス)ジョン・ブラックソーン/按針(コズモ・ジャーヴィス)
オランダ船の航海士。アジアでポルトガルとスペインの貿易を妨害する使命を受けていたが、2年漂流した後、藪重の領地、網代村に流れ着く。

キャラクターのモデルは、江戸時代初期に徳川家康に外交顧問として仕えたイングランド人の航海士ウィリアム・アダムス。日本では「三浦按針(みうらあんじん)」という名前が与えられた。

按針役を演じたのは、アメリカ生まれのイギリス人俳優でミュージシャンのコズモ・ジャーヴィス。2016年のフローレンス・ピューが初主演を務めた映画『レディ・マクベス』の演技で注目されました。

戸田鞠子(アンナ・サワイ)

キャラクター役名/キャスト/役柄
戸田鞠子(アンナ・サワイ)戸田鞠子(アンナ・サワイ)
戸田広勝の妻で敬虔なキリシタン。虎長から按針の通訳に任命される。父の謀反によって一族を殺された暗い過去を持つ。

キャラクターのモデルは細川ガラシャ(明智たま)。本能寺の変で織田信長に謀反を起こした明智光秀の三女。

鞠子役を演じたのは、ニュージーランド生まれ東京育ちのアンナ・サワイ。Apple TV+のSF怪獣ドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』や『パチンコ Pachinko』などに出演。

ネタバレあり

以下では、ドラマの結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

『SHOGUN 将軍』の相関図

『SHOGUN 将軍』第1話・第2話の人物相関図
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第1話「安針(Anjin)」

『SHOGUN 将軍』第1話
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舞台設定

時は1600年。ポルトガルのカトリック教徒たちは、日本との貿易で利益を享受していた。彼らは、敵であるヨーロッパのプロテスタント教徒らに、所在地を知られないように秘密を貫いていた。

日本の大阪では、太閤の死後、幼い世継ぎが残されている中、5人の大老が権勢を張り合っていた。彼らは、絶大な権力である「将軍」を渇望している。

第1話は、マゼラン海峡を渡るイギリス人商人たちの様子から始まる。彼らは5隻の船と500人の船乗りで出航したが、荒波を生き延びたのはエラスムス号の彼らだけだった。希望を失った船長は自殺し、舵手であるジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)ら12人の乗組員たちは、飢餓や疫病に苦しみながらも、日本の網代村にたどり着く。

大老たちの評議会

5人の大老の一人であり、関東を収める領主である吉井虎長(真田広之)は、大阪城へ向かい、4人の大老たちと評議会を行う。虎長は評議会で、政略結婚により領地拡大を図っていると因縁を付けられる。

4人の大老たちは、亡き太閤の後継ぎである中村八重千代がまだ幼く、元服するまでには時間がある中、八重千代の母である落葉の方が江戸に訪れていることを指摘する。虎長は、落葉の方の妹が虎長の息子の妻で、出産を控えているために江戸を訪れていると伝えるが、大老たちは7日以内に落葉の方を江戸から送還することを取り決め、その後に虎長の処遇について評決すると言い渡す。

虎長の家臣の一人である忠義は、大老たちの評議に怒り、異を唱えて割り込むが、これは無礼な行為であり、その代償として、忠義は生まれたばかりの息子の命を差し出すように命じられる。

虎長は、腹心である戸田広松(西岡德馬)との会話で、広松の孫娘で、忠義の妻である宇佐美藤(穂志もえか)の命を救うように計らい、密文書を受け取った後、広松に網代村に向かうように伝える。

藤は息子の命を差し出すくらいなら自害しようとするが、そこへ広松の息子の妻である戸田鞠子(アンナ・サワイ)が現れ、自分も同じ境遇であることを明かし、虎長が藤が生きる選択をしたことの意味を説得する。

太閤の妻である大蓉院・伊予の方(AKO)は、虎長に、来たる乱世で八重千代の命を守るためにも将軍となるように勧めるが、虎長は地位には関心がないと伝える。

網代村のジョンと藪重

ジョンの船が網代村にたどり着くと、ジョンは樫木央海(金井浩人)らに捕らえられ、叔父で伊豆の領主である樫木藪重(浅野忠信)の前に連れて行かれる。通詞であるポルトガル人の司祭を介すと、通詞はジョンを海賊とし、危険だと主張するが、十字架を足で踏みつけるジョンに藪重は興味を示す。

虎長の裁定が終わり、処刑された後、最有力となる石堂和成とキリシタン大名たちの戦争になると予見していた藪重は、ジョンと船が来たことを虎長に知らせないつもりでいたが、網代村に広松がやってくると事態は一変する。

広松はエラスムス号と武器の積荷を回収し、ジョンを大阪に連れて行くように命じ、ジョンは、スペイン人でポルトガル船の船乗りであるロドリゲスに案内される。

一行は、大阪に向かう中、嵐に遭遇するが、舵手・安針であるジョンの決断力によって嵐を切り抜ける。しかし、ロドリゲスが海に投げ出されてしまい、ジョンはロドリゲスを助けるように懇願する。ロドリゲスは崖の下の岩場で発見され、藪重はジョンに煽られ、自ら崖を降りて助けに向かう。

しかし、縄が切れて落下してしまい、怪我を負う。藪重は助からないと諦めて切腹しようとするが、臣下たちが新しい縄を投げ入れて、何とか藪重はロドリゲスと共に生還し、ジョンを驚かせる。

意識を取り戻したロドリゲスは、ジョンの日誌を見つけたことを明かし、大阪に着き次第、ジョンの秘密をポルトガル人に打ち明けるという。

虎永は、鞠子がポルトガル語を話せることで、ジョンとの通詞の役割を任せる。虎長の網代村での内通者は、藪重が到着する前にジョンの通詞をしていた村次(竹嶋康成)であることが明らかになり、大阪に到着したジョンは、虎長と対面する。

第2話「二人の主君に仕えて(Servants of Two Masters)」

『SHOGUN 将軍』第2話
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虎長とジョンの対面

第2話は、1年前、死の床にある太閤・中村秀俊の様子から始まる。太閤は、5大老を設けて八重千代が元服するまでの間、政治的権力を共有させて権勢を膠着状態とさせた。太閤は、信頼する友人である虎長に、八重千代の命を守ること、世継ぎとしての宿命を教えてほしいと伝える。

虎長とジョンが対面すると、イエズス会でポルトガル人の通詞で司祭のマルティン・アルヴィト(ダミアン・トーマス)が到着する。5大老の通詞であるアルヴィトは、鞠子の師でもあった。虎長は、鞠子を同席させることで、アルヴィトがジョンの言葉を正確に通訳していることを確認させる。

虎長はジョンに生い立ちを説明するように命じ、ジョンは、イギリス出身で、キリスト教におけるカトリックとプロテスタントの宗教的対立があること、オランダから許可を得た貿易商であることを説明するが、間もなく石堂和成が現れ、ジョンは牢屋に拘置される。

イエズス会とポルトガル人

虎長は、ポルトガル人がジョンの存在を疎ましく思っていること、それによってキリシタン大名の木山と大野が、大阪にジョンを置いておくことに抗議することを予見し、大老たちが一致団結して虎長に裁定を決める前に、石堂とキリシタン大名の間に亀裂を生じさせようと考えていた。

牢屋に入れられたジョンは、28年前に来日した同じプロテスタントであるドミンゴ神父に出会う。ドミンゴはジョンに、虎永が弾劾を回避するためにジョンを利用していること、虎長ら美濃原の血筋が、将軍として世を統治する天命を背負っていることを伝える。

さらにドミンゴは、日本と中国(明)は互いに交渉しないため、ポルトガル人が仲介役を務めており、マカオに駐留する彼らの黒船が貿易の大部分を担い、多額の利益を得ていることを伝える。故・太閤は、この取り決めに歯止めをかけようとしたが、イエズス会は、マカオの秘密基地から鉄砲を密輸して反乱を起こした。

そこでは、何百人もの改宗した日本兵が、イエズス会の下で傭兵として働いており、それを知ったジョンは何とかして伝えようと考える。

大老会議

翌朝、石堂・木山・大野・杉山の4大老たちは会議が開くと、虎永の予想通り、木山と大野はジョンの処刑を真っ先に持ち出す。しかし石田は、ポルトガル人との交易で利益を得ようとする彼らに批判的で、城の規則は守らなければならないと、要求を一蹴する。

黒船を率いるフェレイラ船長は、アルヴィトに日本への出港許可を要求していた。石堂は藪重のもとを訪ね、石堂はかつて藪重を戦地から引き抜いたことで、仲間意識を共有する。藪重は虎長に仕えているが、ジョンの存在が石堂とキリシタン大名の権勢に大きく影響すること、ジョンを利用すれば石堂側に大きく傾くことを伝える。

石堂は、木山と大野に押し切られてジョンの処刑が決まったことを伝えるが、藪重はある策略を思いついたと耳打ちする。彼は地元の盗賊を金で雇い、ジョンが処刑されるために連れ出されたところを襲撃し、虎長のもとへ連れて行く。

権力争いの鍵

鞠子を介してジョンは、日誌に書かれた秘密をすべて話し始める。スペインとポルトガルが世界を二分し、彼らの最終目的が、カトリック以外の支配者を追放し、領土に自分たちの支配を確立すること、そして日本はポルトガル領だと伝え、虎長らを唖然とさせる。

ジョンはイギリスが日本の敵ではないこと、ポルトガル人という共通の敵を説明し、自分が勝てば変わると伝える。虎長はジョンを一晩、屋敷に泊めるように指示し、その後、黒船の出航許可を保留する。

その夜、イエズス会の内通者だった虎長の女中の一人がジョンの命を狙って襲撃するが、虎長が機転を利かせて彼女を殺し、ジョンの存在が権力争いに重要な存在であることを再認識する。

第3話「明日は明日(Tomorrow Is Tomorrow)」

『SHOGUN 将軍』第3話
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大阪からの脱出計画

第3話は、藪重が遺書を書いた後、虎長に会う様子から始まる。虎長は藪重を問いただし、彼が自分の領地拡大のために石堂と共謀していること知る。

虎長は藪重の領地拡大を許可し、殺さない代わりに、ジョンと一部の人間たちを網代村まで無事に送り届けるように提案する。

黒船の船長フェレイラは、虎長が出港許可を取り下げたことに苛立っていた。鞠子と藤は、大阪から網代村へ行くことを伝えられ、藪重らが護衛につき、出発しようとしていた。するとそれを聞きつけた石堂が現れる。

石堂は根原丞善らを先導させ、護衛を網代村へ向かう人物たちを1人ずつ確認する中、静の方が陣痛を装って注意をそらすと、その間に虎長が桐の方と駕籠の中を入れ替わり、鞠子とジョンだけがそれに気づいていた。

その後、大阪城を出ようとするときに再び門番に確認を要求されると、虎長が見つかることを恐れたジョンが機転を利かせて騒ぎを起こし、事なきを得る。

森の中の襲撃

網代村へと移動する中、鞠子とジョンは互いの家族について話し合う。そんな中、一行は森の中でジョンの命を狙う木山らキリシタンの襲撃を受ける。

虎永は駕籠を捨てざるを得なくなり、丞善は虎長が大阪城から逃げ出したことを知る。森の中は、虎長らと木山ら、丞善らの乱戦と化す。

鞠子の夫である戸田広勝(阿部進之介)は、虎長らを逃がして敵を食い止める。虎長や鞠子、ジョンたちは船に乗り込む。後から広勝も駆けつけるが、すでに船着き場には追手が押し寄せていた。

ジョンは船を引き返して広勝を助けるように伝えるが、広勝はすでに自分が助からないことを悟っていた。虎長は広勝の名前を呼び、彼の勇姿を称え、鞠子が見守る中、1人で敵に立ち向かう。

海上突破

虎長たちは船に乗り込んだものの、すでに木山らキリシタンたちが海上で行く手を阻んでいた。ジョンは虎長に、港で待機する黒船に近寄るように伝えて、虎長らは黒船の船長フェレイラと接触する。

虎長はフェレイラに褒美を約束し、黒船で港を突破すること、さらに江戸にキリシタン教会の建設を認める代わりに、木山と大野のキリシタン大老を石堂ではなく、虎長側についてもらうように交渉する。

交渉が成立し、虎長らは黒船に乗って移動するが、ジョンが黒船で移動することは認められず、ジョンはガレー船での移動を強いられる。

ガレー船で港を突破することは絶望的だったが、ジョンは覚悟を決め、乗組員らを鼓舞して黒船を隠れ蓑にして港を突破する。フェレイラはガレー船を座礁させようとするが、ジョンとガレー船は黒船を追い越し、見事に切り抜ける。

無事に港を突破した虎長らはガレー船に移動し、ジョンと合流する。虎長はポルトガル人たちからジョンの航海日誌を受け取り、それがジョンの海賊行為を証明するものであることを知る。

しかし、虎長はジョンの働きぶりを称え、自分の家臣としてジョンを旗本に任命し、外国戦術の訓練と指導を任せる。その後、ジョンは虎長に誘われて海を遊泳する。

第4話「八重垣(The Eightfold Fence)」

『SHOGUN 将軍』第4話
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網代村に到着

第4話は、網代村にいる藪重の甥、樫木央海に伝令が届く場面から始まる。虎長の到着に備えて村人たちは迎える準備をする。

藤は、旗本になったジョンの妻となることを命じられて反発するが、鞠子の説得で決意を固める。藪重は虎長が大老を辞任することを知り、自ら死に向かっているようなものだと愕然とする。

網代村に到着すると、藪重の部下らの歓迎を受け、虎長が演説して部下らを奮い立たせる。しかし、虎長は演説後にすぐに急用を理由に網代村を出ていってしまう。

ジョンは自分の仲間を探し回るが見つからず、鞠子から仲間が安全のために江戸に移されたことを知らされる。旗本となったジョンは、自分の屋敷と女中、妻を与えられるが、虎長が半年は戻ってこないことを知り、囚われの身と変わらないことを悟る。

ジョンの戦術訓練

藪重は央海らと今後について話し合い、自分が窮地に立たされていることを感じるが、央海は虎長が戻ってくるまでの間に船や銃火器を石堂に献上すれば再び信用を取り戻せるかもしれないと提案する。

ジョンは、鞠子や藤がなぜ家族を失った悲しみに暮れずにいられるのかを問うと、鞠子は「八重垣」という、心の中に隔離したセーフティスペースがあることを教える。

ジョンは藪重に呼び出され、虎長から命じられていた海外戦術を教える訓練に参加させられる。鞠子から自分の銃を返してもらったジョンだったが、央海がそれを携帯することを禁じられる。すると藤は、妻として銃を命がけで守ることを誓い、引き受ける。

野原での訓練を始めるジョンは、藪重に戦術を説くように命じられるが、戦争の経験がないために答えに窮すると、海上戦術に切り替えて説明する。ジョンの指示で大砲を遠くの的に当ててみせると、藪重らを感心させる。

それ以降、ジョンは本格的に大砲による演習を取り仕切り、藪重の兵たちの訓練を指揮していく。

長門の選択

ある日、野原での大砲訓練をしていると、根原丞善らが現れる。丞善は藪重が戦の準備をしていることを指摘し、石堂を裏切ったとみなすが、藪重は丞善を引き止め、石堂の力になり得る大砲の威力をみせたいと伝える。

ジョンは無礼な振る舞いを詫びて、藤に自分の銃を贈り、彼女から刀を贈られる。イギリス人であるジョンとキリシタンの鞠子は、似た境遇であることで次第に仲を深めていた。その夜、鞠子とジョンはセックスをするが、鞠子はあくまでも遊女を手配したことして2人の秘密を共有する。

一方、藪重は追い詰められた状況に頭を抱えていたが、央海が虎長の息子の長門を利用する策を思いつく。長門は虎長の息子ながら、誰もが自分を軽く見ていることに不満を抱えていた。彼は央海との会話で、虎長の許可を得ずに行動にでることを決意する。

翌日、藪重は丞善らに大砲演習を見せようとするが、長門が丞善らに大砲で襲撃し、丞善の首を討ち取ってしまう。誰もが驚愕する中、鞠子は「戦争が始まる」という。

第5話「父の怒り(Broken to the Fist)」

『SHOGUN 将軍』第5話
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愚息

第5話」は、長門が丞善らを襲撃し、殺した直後から始まる。網代村の村人たちが遺体の後片付けをしていると、虎長が軍を率いて戻って来る。虎長の隣には、死んだと思われていた戸田広勝の姿があり、妻である鞠子は複雑な表情を浮かべる。

鞠子は虎長にジョンの同行を書き記した書記を手渡す。虎長は引き続きジョンの通訳をするように依頼し、広勝にはジョンの屋敷で一緒に生活するように指示する。虎長は、長門が丞善を殺したことで、石堂が虎長に攻撃する正当な理由を作ることになり、長門が藪重や央海の術中にはめられたと叱責し、長門から大砲隊の指揮権を剥奪する。

藪重は虎長に忠誠を誓い、長門をそそのかした央海を懲らしめると申し出る。しかし虎永は、それによって石堂が攻め入るのを準備して待ち構えることができるために有利になったと考え、央海に大砲隊の指揮権を与える。

ジョンと広勝

藤は広勝とジョンが一緒に生活することへの心配をするが、鞠子はその心配を打ち消す。広勝が屋敷にやってきて、ジョンと鞠子、藤と一緒に夕食を取ることになると、広勝はジョンの麺の食べ方をはやし立てる。それに対してジョンは、イギリスでは男は小さなお猪口では飲まないと大きな器で飲み始め、やがて2人は飲み比べして競い始める。

ジョンは広勝が生還した話を聞こうとするが、彼は「武勇は死人を飾り、物語は子供に聞かせるもの」と言う。それでも聞こうとするジョンに対し、苛立った広勝は、弓を取り出し、鞠子の目の前で柱に向けて2本の矢を放つ。

ジョンは妻を所有物としか見ていない広勝を批判するが、広勝はそれを笑い飛ばし、鞠子にジョンに向けて自分の生い立ちを話すよう強要する。

鞠子は彼女は今は亡き明智仁斎の娘で、父は裏切り者として知られていた。父の主君は、太閤以前の日本を治めていた黒田公だったが、黒田公を殺したことで、家族は父の手で皆殺しにされ、自身も切腹させられる。嫁いだばかりの鞠子は殺されなかったが、毎年、家族の命日になると広勝に家族のもとへ行かせてほしいと頼むが、広勝はそれを許さず、彼女に生きろと命じる。

その夜、ジョンは広勝が鞠子に暴力を振るっていることに気づいて仲裁に入ろうとするが、広勝はすでに屋敷を後にしていた。ジョンは急いで彼を追いかけ、広勝に決闘覚悟で問い詰める。しかし、広勝は腰に差した刀を下ろし、酒のせいで平和を乱したことを謝罪する。

異常なしきたり

翌朝、ジョンは鞠子に会いに行き、自分を攻める鞠子をなだめて広勝から解放されるべきだと主張する。しかし鞠子は、ジョンはまだこの国での生き方を理解していないと伝える。ジョンは自分の人生は自分のものであり、自由に生きるように伝えるが、鞠子はジョンの方こそ自由になることはないと答える。そして彼女は、今後は通訳としてのために働くと言い去っていく。

ジョンは虎長から贈られたキジを屋敷の庭先で吊るして熟成させていたが、それを何日も放置したことで村に腐臭が漂っていた。ジョンは自分がキジを取り下げるまで片付けてはならないと禁じていたが、広勝と鞠子との一件で忘れていた。

ある日、ジョンは村の人々が喪に服していることを知り、屋敷の庭師である植次郎が死んだことを知らされる。そしてその理由は、ジョンの命令に背いてキジを取り払ったからであると知り、異常なしきたりに呆れる。

言葉と命の重み

その後、ジョンは虎長に会いに行き、大砲帯を訓練する義務を果たしたことと命を軽んじる日本の風習に呆れたことで、日本を永久に去りたいと伝える。鞠子は「言葉には重みがある」と伝え、病気で先が長くない植次郎は自ら志願したと明かす。

虎長はジョンの申し出を相手にせず、ジョンは鞠子の言葉で自分が植次郎を殺したのだと考える。その直後、大きな地震が発生し、ジョンと鞠子の目の前で虎長は土砂に巻き込まれて生き埋めになってしまう。

ジョンは命がけで虎長を土砂から掘り出して彼の命を救うが、地震と土砂によって村は壊滅状態になってしまう。ジョンは急いで藤の無事を確認しに屋敷に戻り、植次郎が手入れした庭を修復しようとする。

藪重と央海は長らく虎長のスパイを探していたが見つけられずにいた。見つかるのが時間の問題と考えた村次は、自首しようと考えるが、虎長は身代わりと立てるように指示していた。村治は地震に乗じて、藪重と央海にすでに死んだ植次郎をスパイに仕立て上げて報告する。

一方、大老たちは虎長が大老を辞したことで票数が足りず、虎永の弾劾と後任の大老候補を話し合うがまとまらない。その頃、落葉の方(二階堂ふみ)が江戸から大坂城に戻ってくる。息子の将来を案じる彼女は、石堂に会議の結論を出させる。

第6話「うたかたの女たち(Ladies of the Willow World)」

『SHOGUN』第6話の落葉の方
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虎長からの褒美

第6話は、22年前の安土城で、幼い鞠子と落葉の方(当時は瑠璃姫という名前)が出会い、2人が仲良く過ごしている場面から始まる。

時が経ち、鞠子は稽古でも腕の立つ大人になるが、ある日、父・明智仁斎が戸田広勝との縁談を持ってきたことに戸惑う。嫁いだ鞠子は多くの疑問を抱えたまま城を後にするが、父は「大義のために尽くす時がきた、使命は受け継がれるもの」と語る。

時は現在に戻り、震災後、ジョンに2度目となる命を救われた虎長は、領地を与え、大砲隊の指揮官に任命し、家臣たちを鼓舞する。一方、藪重らはジョンが優遇されることに苛立っていた。

藪重は地震の被害により数千人が死んだと知らされる。央海はジョンへの不満を漏らし、対処しようと提案するが、藪重はすでにジョン一人にこだわる必要はないと考え、より大きな戦局への不安を感じていた。

広勝は旗本となったジョンの家での失態を虎長に謝罪する。広勝はジョンと鞠子の通訳以上の関係に不安定になっていたが、虎長は7日間、鞠子に接近禁止を言い渡す。

ジョンは虎長からの贈り物を受け取るが、日本を去りたい気持ちが変わっていないことを伝える。彼は自分の船と部下の返還を求め、ポルトガルが日本を利用していると主張し、共通の敵であるために対処しようと提案する。しかし虎長はポルトガルを「友好国」として興味を示さない。

緊張関係

その後、虎長は鞠子にジョンとの関係について尋ねる。鞠子は通訳としての関係を主張するが、虎長は2人の間の緊張に感づいていた。虎長はジョンを遊郭に連れていき、遊女と遊ばせることを命じ、その場に鞠子が同行するように指示する。

鞠子は茶屋の女主人・お吟(宮本裕子)と交渉し、ジョンの相手に一流の遊女であるお菊(向里祐香)を手配する。ジョンは虎長の意図がわからないまま、鞠子にお菊のいる茶屋に案内される。

ジョンはお菊に別室に案内されると、鞠子の手を引こうとするが鞠子はそれに応じなかった。翌日、ジョンが茶屋から戻って来る姿を鞠子や央海ら村中の人間が目撃する。

大阪城:落葉の方の策略

大阪城では、石堂がわざと火を放って城を閉鎖し、実質的に大老たちを人質に取り、虎長の弾劾を強行採決しようとしていた。司祭のデラクァ(ポーリーノ・ヌネス)が門前払いされて戻ってくると、マルティン司祭は、それが落葉の方の策略であることを見抜き、デラクァに虎長側につくことを提案する。

物語が進むと、落葉の方の過去が次第に明かされていく。正室の大蓉院は子供を出産できず、多くの側室たちに太閤の世継ぎを産ませようとしていた。その中で、瑠璃姫は大蓉院から子供を産みやすくなる薬を多数服用し、妊娠する。それによって瑠璃姫は太閤の新たな妻・落葉の方となり、今の地位を掴み取った。

石堂は、落葉の方の提案を受けて、能楽師の伊藤輝鈍(篠井英介)を新しい5人目の大老に勧誘する。石堂は早速大老詮議を始めるが、杉山が石堂の行動が太閤の意志に背くとして反対票を投じる。石堂は次に杉山を弾劾しようとするが、落葉の方は手早く始末するように伝える。

落葉の方は、石堂に一刻も早く虎長を排除することを望んでいた。彼女は虎長が、父・黒田公に謀反を企てて殺した鞠子の父・明智仁斎の裏で糸を引いていたことを明かす。

その後、杉山は大阪城から抜け出して逃げようとするが、石堂は森の中で待ち伏せし、杉山と家臣らを皆殺しにする。

鞠子の宿命

虎長は鞠子を呼び出し、落葉の方と仲が良かった子供時代について尋ねる。鞠子は瑠璃姫が落葉の方となってからは会っていないと答える。虎長は落葉の方の執念の動機を訪ねると、鞠子は「宿命」だと答え、男が様々な理由をもとに戦う一方で、女は常に戦っていると伝える。

虎長は鞠子に、彼女の父親が彼女のために立てた計画を明かす。明智仁斎が鞠子を広勝と結婚させたのは、彼女の命を守り、来たる宿命を背負わせようとするためだった。

父の意図を知った鞠子は驚き、自分がそれを理解できていなかったことを恥じるが、虎長は「そなたの戦はまだ終わっておらぬ」と伝える。

紅天

大坂城を辛うじて脱出していた戸田広松が網代村にやってくる。

彼は石堂が大老衆を人質に取ったことを明かし、虎長の異父弟である佐伯信辰の加勢を借りて大阪城に一挙に攻め込む「紅天」計画を提案する。それは、大老を廃して虎長が将軍となることを意味していた。

一方で、虎長は当初から将軍になるつもりはなく、可能な限り命を守る策を実行したいと考えていた。

しかしその後、石堂が杉山を殺害したことで、すでに他に道はなくなっていた。虎長は太閤の意志を逆賊から守るために「紅天」を宣言する。

第7話「線香1本の時(A Stick of Time)」

『SHOGUN 将軍』第7話
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虎長の初陣

第7話は、死体で覆われた戦場の場面から始まる。46年前、虎長は12歳にして初陣で勝利を飾った。敵将の溝口雅隆は切腹し、介錯を虎長に依頼する。

虎長は紅天計画のために弟の佐伯信辰に加勢を求め、了承した佐伯らが網代村にやってくる。

ジョンは紅天計画での自分の役割を知りたがるが、虎長は「まだ何も決めていない」と答えて教えたがらない。ジョンは虎長の行動の意図が理解できずにいるが、「戦う準備はできている」と伝える。

佐伯の裏切り

その夜、虎長は佐伯を迎え入れて宴会を開くと、佐伯は虎長の昔話に花を咲かせる。佐伯は紅天計画での同盟についても話したがるが、虎長は翌日にしようと答える。すると佐伯は、伊豆の領主になりたいと主張し、間もなく虎長の家臣の報告により、佐伯軍が虎長らを包囲したことを告げて宴会は中断される。

石堂からの書状が届くと、そこには佐伯を大老に任命したこと、新たに取り決めた大老会議の命により、虎長の大阪への出頭と、根原丞善を殺した長門に切腹を命じる旨が記されていた。虎長は石堂側についた弟に対して、明日の夕方までに返答すると答える。

佐伯の裏切りが判明してから、網代村は佐伯軍の監視下に置かれ、村中が監禁状態となっていた。ジョンは鞠子に、自分の船を手に入れることができれば脱出や反撃することもできるかもしれないと提案するが、鞠子は何もできないと答える。

追い詰められる虎長

藪重は以前、石堂に大老との和平交渉をしようと密かに部下の五十嵐という人物を派遣していたが、石堂は交渉に応じず、五十嵐の首が返還される。一方、虎長は一人になって熟考を重ねていたが、遺書を書かせるほどに追い詰められていることは明白だった。

藪重はジョンに刀の使い方を教えようとし、藤も薙刀を手にして戦いに備えようとしていた。一方で、広勝はジョンの訓練に割って入り、喉元に刃を突きつける。

その後、広勝は虎長に、自分が死ぬ前にジョンを殺したいと申し出る。彼はジョンと鞠子の関係が不健全であると考えていた。しかし虎長は、その場合、鞠子もジョンと同じように殺す必要があると主張する。鞠子は自分の命は夫の手中であると言うが、虎長の問いかけに広勝は鞠子に不義があるとは思えず、自分の申し出の愚かさを謝罪する。

降伏

広勝が去った後、虎長は鞠子に「父の敵と戦う自分の側か、ジョンの側か」を問い詰める。鞠子は死を待つしかない現在の絶望的な状況に耐えられず、切腹したいと申し出るが、虎長はそれを一蹴する。

夕方になり、佐伯は部下を率いて虎長に返答を聞くためにやってくる。虎長は「紅天は間違いだった」と言い、大老衆の命に従って降伏し、大阪に出頭すると返答する。藪重と長門は抗議しようとするが、虎長は聞き入れない。一方で、ジョンは虎長の選択に激怒し、「全員が死ぬことになる」と告げてその場を去っていく。

その夜、佐伯は茶屋で遊女のお菊を相手にしていたが、そこに長門らが襲撃する。長門は叔父である佐伯を殺そうとするが、庭の池で足を滑らせて頭を強打して倒れ込んでしまう。

第8話「奈落の底(The Abyss of Life)」

『SHOGUN 将軍』第8話
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長門の死と法要

第8話は、虎長たちが長門の遺骸を携えて江戸へと向かうシーンから幕を開ける。一佐伯の軍勢が江戸郊外を取り囲む中、虎長一行は四十九日の追善法要に参加し、喪に服する。このため、虎長の大阪行きはそれが終わった後になる。

按針は虎長に同情を寄せるが、虎長は何も返さない。鞠子は按針に任務が完了したことを伝えて日記を返却する。その際、按針は鞠子に、大阪へ行けば命を落とす可能性があると警告し、行かないよう懇願する。しかし鞠子は虎長への忠誠心を誓う。

藪重、央海、広松、文太郎らは、亡き長門を偲びながら酒を酌み交わす。央海は、長門が少なくとも虎長のようには降伏せず、戦いを選んだことを讃える。

虎長は長門の葬儀に参列せず、体調が優れない様子で咳をしていた。虎長の一部の家臣たちは戦闘意欲を示すが、虎長自身は石堂の指示に従い、広松を介して藪重に大阪での鉄砲と大砲の引き渡しを命じる。

虎長の読めない心

虎長は鞠子、広松、そしてマルティン神父を呼び寄せる。マルティン神父は、キリシタン大名の大野と木山を説得できなかったことを報告するが、虎長は既にその情報を知っており、ポルトガル人への不信感を露わにする。

マルティン神父は、落葉の方が石堂を操り、虎長にとっての脅威であると告げ、彼女との同盟を提案する。広松はこの案に賛成するが、虎長が落葉の方と同盟を結ぶ可能性について鞠子の意見を求めると、彼女は落葉の方の真の敵は虎長ではなく恐怖であると指摘する。

広松が虎長に、敗北の顔を浮かべていると指摘すると、虎長は平和的な敗北を選び、これ以上の流血は必要ないと主張する。そして、自分と共に大阪に出頭することを家臣たちに誓約させようと署名を要求する。

大坂では、石堂が虎長の降伏を報告し、落葉の方の策略を高く評価する。しかし彼女は依然として油断は禁物だと考えている。石堂は落葉の方との婚姻を通じて、より強固な結束を図ろうとする。

虎長はマルティン神父の尽力を認め、約束通り江戸に教会を建設する許可を出す一方で、大坂に戻り、自分が平和的な降伏を望んでいることを伝えるように彼に要求する。

会談の後、広松は虎長がマルティン神父に大阪への伝令を命じることで、まだ戦う意志を持っていることを察する。広松は藪重ら領主たちに伝えるが、家臣たちは懐疑的な反応を見せる。

虎長はお吟に江戸の一等地に茶屋を建設する許可を出していたが、マルティン神父がその土地を訪れた際、隣地に遊郭が建設されることを知り、衝撃を受ける。

文太郎と鞠子

文太郎は鞠子を茶を誘う。鞠子は大阪での死を予感して茶を味わうと、文太郎は結婚した当初の幸せを回想する。しかし、鞠子はそれを思い出すことができない。

文太郎が鞠子に按針への思いが残っているか尋ねるも、返答はない。すると文太郎は、虎長の降伏と、鞠子の仇への抗議を掲げ、「今夜、夫婦として共に死のう」と提案する。しかし鞠子は、「一緒に死ぬくらいなら千年生かされた方がまし」と言い放ち、去っていく。文太郎は涙を流すしかなかった。

江戸で按針はようやく船の仲間の1人であるサラマンと出会う。按針は母国と船に帰ることができると伝えるが、サラマンは拒否し、自分たちの現状は船長の自殺後に航海を続けた按針のせいだと主張する。按針は失望し、サラマンを殴りつけ、他の仲間と会わずに去っていく。

その後、死を覚悟した虎長に代わり、按針は藪重に支援を求める。藪重は拒絶するが、按針は過去に藪重が死の淵から這い上がった経験に触れ、共感を示す。それでも藪重は立場上、按針の要求を断る。

広松の切腹

虎長は宣言通り、家臣たちを集め、共に降伏する意志を表明した誓約書に署名を求める。しかし、一部の家臣はこれを拒否し、虎長に反旗を翻す。虎長は、自分たちの一族よりも日本の将来を優先する必要があると訴えるが、納得する者は少ない。

すると広松が、虎長が考えを改めなければ切腹すると申し出る。しかし虎長は譲らず、広松の死を選ぶ。広松は決意を固め、文太郎に介錯を頼む。

文太郎は父を追って自分も切腹すると言うが、広松はそれを許さず、虎長が自分の命を捨てたように見えても彼を信じなければならないと伝える。そして広松は切腹し、文太郎に介錯されて落ちた首が、苦悶の表情を浮かべる虎長の目の前に転がる。

忠誠心と覚悟

その夜、鞠子が虎長のもとを訪れる。虎長は按針が藪重に助けを求めたことを見越しており、鞠子から藪重が断ったことを告げられる。虎長は、広松の死が大坂に自分の降伏の意志を信じさせるための策であったと、涙ながらに鞠子に明かす。そして、彼女に自身の使命を果たす覚悟があるか尋ねると、鞠子は断固として「覚悟はできている」と回答する。

一方、藪重は、央海の反対を押し切り、按針と力を合わせることを決める。その後、大阪へと向かう藪重たちの船に鞠子が合流し、虎長の指示で共に大阪まで同行することを伝える。藪重と按針は戸惑いを隠せない。

翌朝、虎長は一人で長門の遺灰のもとを訪れ、息子と広松が与えてくれた貴重な時間に感謝しつつ、その時間を無駄にしないと固く誓う。

第9話「紅天(Crimson Sky)」

『SHOGUN 将軍』第9話
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鞠子の宣言

第9話は、14年前の鞠子の様子から始まる。父が謀反を起こし、一族が皆殺しにされた鞠子は、吹雪の中、繰り返し死のうとしていたが連れ戻される。そんな彼女の前にマルティン神父が現れると、彼は信仰の力を語り、ロザリオを手渡す。

現在に戻り、鞠子と按針、藪重の船が大阪に到着する。3人はすぐに大坂城に案内され、藪重は按針に石堂に会うときに隣にいるように伝える。

藪重と按針はあ落葉の方と石堂、八重千代に迎えられる。藪重は虎長の代理として大老衆に降伏を告げると、石堂に按針を差し出そうとする。しかし、石堂は八重千代が按針に興味はないと答える。

その後、鞠子がやってくると、彼女は明日、桐の方、静の方を連れて大坂から江戸に戻ると宣言する。石堂はそれを認めようとしないが、鞠子は虎長の降伏とともに戻って来ること、大阪城が人質を取っていないのであれば問題ないと主張する。

石堂は鞠子が去ることを禁じるが、鞠子は引き下がらず、主君である虎長の命であること、亡き明智仁斎の娘としても誰も自分を止めることはできないと宣言し、石堂から実質的に幽閉されている大阪城にいる者たちを驚かせる。

その後、藪重は鞠子の態度に困惑し、虎長の計画を知りたがるが、鞠子は明かそうとしない。按針は、鞠子が大阪城を去ろうとすれば殺されると伝え、鞠子の息子も止めようとするが、彼女の心は変わらない。

かつて姉妹のようだった2人

翌日になり、鞠子は桐の方と静の方を連れて大阪城を去ろうとする。すると、石堂からの許可を得ていないことで衛兵たちが立ちふさがる。鞠子は護衛らに衛兵たちを殺すように命じ、城門の前で戦い始めるが、鞠子の護衛たちは全員殺されてしまう。

鞠子はその様子を見ていた大老の大野と木山に、衛兵たちを下がらせるように伝えるが、木山はそれはできないと答える。鞠子はそれが石堂によって大阪城が人質を取っていることの証明だと主張する。
木山は大老会議を開くことを提案するが、鞠子は虎長の命ですぐに去る必要があることを主張し、薙刀を手にして衛兵と戦う意志を見せる。すると木山は衛兵に、鞠子に危害を加えてはならないと叫ぶ。

鞠子は衛兵を退けることはできず、虎長の命を果たせなかったことで、日没とともに命を絶つと宣言し、木山に介錯を依頼する。

大老衆は会議を開いて鞠子について話し合う。落葉の方は、真理子を死なせたら、大阪中の高家から反乱が起こることを予期する一方で、鞠子を逃がすことを許可すれば、大阪城の他の人質たちも同じようにするだろうと主張する。

その後、按針は八重千代から呼び出されるが、それは落葉の方が鞠子と会話することが目的だった。落葉の方と鞠子は、お互いの父親が敵同士だったにもかかわらず、姉妹のように仲が良かったことを話す。鞠子は落葉の方に争いをやめることを伝えるが、落葉の方は自分にそのような力はないと主張する。

按針は虎長への不満を漏らし、鞠子に死ぬ必要はないと伝えるが、鞠子は聞き入れず、父が自分を生かしたことの意味を全うしようとしていた。按針は鞠子に、主君でも神のためでもなく、自分ために生きてほしいと懇願するが、鞠子は按針の手を握り、視線を交わした後、無言で立ち去っていく。

鞠子の切腹と覚悟

鞠子は桐の方、静の方らの前で切腹の準備を進めていた。介錯を依頼した木山を呼ぶが、彼の姿はなかった。鞠子はひざまずき、辞世の句を護衛に渡し、腰刀を手にする。物陰で見守っていた按針は、自分が介錯を務めると名乗り出て、刀を手にして鞠子の背後に立つ。

鞠子は刃を胸に当てて切腹しようとするが、するとその寸前で石堂が現れ、鞠子に許可証を手渡し、石堂は誰も人質ではないと言う。鞠子は切腹への緊張が解けて姿勢を崩し、按針に介抱される。2人には強い絆が生まれており、その夜、鞠子の部屋に按針が現れると、2人は体を共にする。

一方、石堂に協力して鞠子を大阪から逃がす前に殺そうとしていた藪重は、城の見張りを殺し、城内に刺客の忍を侵入させる。忍たちは鞠子と按針がいる寝室を襲撃しようとするが、鞠子と按針は撃退して逃げ出していく。2人は桐の方と静の方、藪重と合流し、扉の頑丈な倉庫へ避難する。

倉庫には忍たちが取り囲み、倉庫ごと爆発させて殺そうとするが、鞠子は死を覚悟したように扉の前に立ち、石堂の卑劣な襲撃に異を唱え、爆発を1人で背負って吹き飛ばされる。

第10話(最終話)「夢の中の夢(A Dream of a Dream)」

『SHOGUN 将軍』第10話
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避けられない戦

第10話は、年老いた按針がベッドに横たわっている様子から始まる。孫たちは欠けた刀について話し合い、本当に野蛮人からもらったもなのかを尋ねるが、按針は鞠子のロザリオを握りしめたまま答えない。

時間は現在に戻り、刺客による倉庫爆破直後、意識を失っていた按針は藪重によって起こされる。近くで倒れている鞠子のもとへかけよるが、彼女は爆風ですでに死んでいた。按針が神に祈りを捧げる中、藪重は許しを請っていた。

石堂のもとに虎長からの鞠子の死に対する抗議文が届く。虎長が戦の準備をしていることを知らされるが、石堂は大老衆が団結し、落葉の方と八重千代の後ろ盾が重要だと伝える。

一方、木山と大野は、石堂が鞠子を襲撃させたことに嫌悪感を示す。しかし石堂は、虎長に責任を転嫁し、大老衆を分断させようとしていると主張し、最終的に、戦が避けられないことを強調する。

石堂に協力した藪重だったが、彼は鞠子が捕まるだけだと思っていた。石堂は藪重の働きを評価し、虎長を倒した後に大老にさせると約束するが、藪重は鞠子の死にショックを受けていた。

按針の運命

怪我から回復した按針は、虎長のもとに戻ることを命じられ、木山の部下たちに運ばれて港まで送られることになる。マルティン神父は按針に状況を伝え、石堂らとの戦で虎長が死ぬことになるだろうと告げるが、按針は虎長の計画は成功し、鞠子が犠牲になったが彼は生き残るだろうと主張する。

按針は港に向かう森の中で、自分が殺されるのだと考えていたが、マルティン神父は鞠子が生前に按針を助けるように伝えていたことを明かし、彼女の意志を尊重する。

按針はガレー船に乗り込み、藪重らと網代村に向かう。藪重は混乱しており、村に戻ったら按針のエラスムス号でイギリスに連れて行ってほしいと伝える。しかし、彼らが網代村に戻ってくると、エラスムス号は燃やされて沈められていた。按針はキリシタンによって船が壊されたことを知らされ、虎長は村の中の協力者をあぶり出そうとしていた。

央海は、藪重を捕らえ、彼の部下たちが虎長の指揮下に入ったことを明かす。虎永の前に連れていかれた藪重は、襲撃があった夜、城内に忍びたちを招き入れていたこと、鞠子の死後に許しを請うていたことが目撃されていたことを知らされる。藪重は自分の罪を認め、虎長は明日の日没までに切腹を命じる。

一方、藤は按針に尼になることを告げる。按針は彼女に自分のそばにいてほしいと頼むが、藤はそれを断る。按針は理解し、藤の勤めを讃え、彼女の亡き夫と息子の遺灰を海に撒くことに協力する。マリコの十字架も埋めるのを手伝う。

その後、按針は虎長に会いに行き、エラスムス号を燃やした村の協力者探しを止めるように伝える。按針は、それがキリシタンと戦うことを嫌がっていた鞠子の意志であると主張する。

しかし虎永はその要求を断り、裏切り者を見つけるまで止めないと主張する。すると按針はこれ以上村人を殺すなら、代わりに自分が死ぬと申し出る。按針は刀を抜き、虎長の前で切腹して講義しようとするが、虎長に止められる。虎長は按針に船を再建し、水軍を作るように命じ、虎長は裏切り者探しを止める。

太平の世

央海が藪重を切腹の場所へと案内する。央海は藪重が自分を跡継ぎにしたことに感謝すると、藪重は央海を息子のように思っていたことを伝える。虎長の前にやってきた藪重は、虎長の計画を最後まで見届けたかったと伝える。

虎長は、按針の船を燃やしたのが自分であること、そしてそれが按針を試すための策略だったことを明かす。同時にこれまで何度も按針を殺すことを考えたが、彼が自分を笑わせ、敵を油断させる存在だったからだと明かす。

藪重は石堂らとの戦が多勢に無勢であることを考慮し、どうやって勝つのかを尋ねる。虎長は、軍隊では決してできないことをするために鞠子を大阪に送ったことを明かす。鞠子の行動のお陰で落葉の方が石堂との盟約に嫌気が差し、来たる戦で石堂は戦う旗印を持てずに、石堂と大老衆たちとの同盟も崩れると明かす。

虎長は戦に勝利し、江戸を中心とした新たな時代を作ることを明かす。それは、虎長の家臣たちの犠牲の上に成り立つ、太平の世だった。

藪重は、虎長がずっと否定していた「将軍」の座を、最初から狙っていたことを指摘し、虎長も他の者たちとと同じだと言う。そして藪重は切腹し、虎長が介錯する。

村では、按針が指揮をとり、村人たちと船を引き上げようとしていた。そこへ広勝が現れ、彼は刀を下ろし、按針らに協力して沈没船を引き上げる。虎永はその様子を遠くから見守り、自分の計画が成就するのを待つかのように海を見つめる。

【ネタバレ感想】2024年を代表する傑作ドラマの誕生

『SHOGUN』全10話が完結しました。傑作でした…!

虎長が徳川家康、石堂が石田三成がモデルであるため、私たち日本人にとっては、関ヶ原の戦い前夜を描くこの物語が、どのような結末を迎えるのかは、想像に難くありません。ところが、エピソードが進むにつれて、「これは一体どうなってしまうんだ!?」と夢中にせさせ、最後の最後まで楽しませてくれました。

太閤亡き後の勢力争いの中で、虎長は自らが目指す「太平の世」をもたらすために何をしたのか。

7話の息子の長門の死、8話の戸田広松の死、そして9話の鞠子の死。虎長が最終話で藪重に明かしたように、彼の夢は、身近なものや家臣らの死の上に成り立っているのです。

本作において、間違いなく最重要人物だったのが、アンナ・サワイ演じる鞠子でしょう。虎長と按針を通詞としてだけではなく、物語全体としての「くさび」となり、多くの人物や展開に影響を与えています。

彼女の覚悟を象徴するのが第9話。タイトルは、「紅天」。ドラマを見れば分かるように、これは大阪城に攻め込む実際の作戦の意味ではなく、その代わりに鞠子の覚悟と、彼女の犠牲によって、実際に兵を動かして血を流すことなく大勢の命を救うことになりました。

第9話で、落葉の方から歌会のために発句を依頼された鞠子と第10話でそれに続けて落葉の方が完成させた句を振り返ります。

雪ながら
夕べにかすむ
枯れ枝かな
風なお吹きて
花は花なる

虎長は「風を読む」と言いますが、通訳であり航海士である按針はまさに「風」と言えるでしょう。鞠子の大阪城での「紅天」は、まさに戦局を一変させ、虎長に向かい風から追い風をもたらしました。

最終話では虎長と石堂の戦いが描かれるものだと想像していた人は多いでしょう。その予想を良い意味で裏切る形で、第10話「夢の中の夢」は静かに進んでいきます。思い返してみれば、『SHOGUN 将軍』のドラマで描かれている戦いや死にまつわる描写は、直接的な対決ではないものとして一貫しています。

戦闘シーンといえば、第三話の森の中での襲撃に始まり、長門による根原丞善らへの大砲の襲撃、石堂による杉山らの襲撃、長門の佐伯への襲撃と失敗、そして石堂と藪重の協力による鞠子への襲撃。まともに面と向かって戦う場面はなく、いわゆる侍へのイメージする「武士道」とはかけ離れた奇襲ばかりが描かれています。

これに加えて、虎長が最後の最後まで何を考えているのかを明かさず、石堂らが敗北する場面も描かれません。物語は安易なカタルシスで終わることなく、あくまでも、虎長の「太平の世を築く」という夢のために、どんな犠牲があったのかを映しているのです。

本作の虎長は、決して素晴らしい人物としては描かれていません。第10話のタイトル「夢の中の夢」は、第2話で死の床に臥した太閤が、「人の世は夢の中の夢のようだ」と言っていました。そして、八重千代を託した虎長に「国の頂きに立つものは誰よりも孤独である」と言い残しまし、本作の虎長は、まさにこれを体現していました。

本作が描いたこと、描かなかったことは、戦国ドラマを今見る理由としても十分に伝わるものがあります。圧巻の映像表現、キャストたちの演技の素晴らしさ、見事な脚本。見逃すにはもったいない、2024年を代表する傑作ドラマが誕生しました。

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