殺人者のパラドックス

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韓国ドラマ

Netflix『殺人者のパラドックス』全話ネタバレ感想・あらすじ解説|ユニークなサイコサスペンス

今回ご紹介するドラマは『殺人者のパラドックス』です。

『パラサイト 半地下の家族』のチェ・ウシクと『私の解放日誌』のソン・ソック共演のNetflixオリジナルのサスペンスドラマ。

本記事では、ネタバレありで『殺人者のパラドックス』を観た感想・考察、あらすじを解説。

誤って人を殺してしまった大学生が、実は悪人を見分ける能力があることを知って自警活動をする様子と、彼を追い詰める刑事の様子を描いたドラマ。

まめもやし

ユニークな編集とダークコメディ要素が楽しめるサスペンスでした!

『殺人者のパラドックス』作品情報・配信・予告・評価

殺人者のパラドックス

5段階評価

あらすじ

意図せず人を殺してしまったことをきっかけに、次々と殺人を繰り返すことになる一見平凡な青年。そんな彼を、勘の鋭い刑事が執拗に追い始める。

作品情報

タイトル殺人者のパラドックス
原題
英題
살인자ㅇ난감
A Killer Paradox
監督イ・チャンヒ
脚本キム・ダミン
出演チェ・ウシク
ソン・ソック
イ・ヒジュン
音楽ダルパラン
製作国韓国
製作年2024年
話数全8話

配信サイト

配信サイト配信状況
Netflix

Netflix


見放題
Netflixでみる

『殺人者のパラドックス』監督・スタッフ・原作

監督は映画『死体が消えた夜』(2018)やTVシリーズ『他人は地獄だ』(2019)を手掛けたイ・チャンヒ

脚本は、2019年の京畿(キョンギ)シナリオ企画・開発長編部門大賞を受賞した作家のキム・ダミン

原作は、Kkomabiによる同名のウェブトゥーンが原作。連続殺人犯を誤って殺害した男と、彼を執拗に追う刑事の物語を描いています。

2024年2月9日にNetflixで全世界配信がスタートしました。

『殺人者のパラドックス』キャスト・キャラクター解説

キャラクター役名/キャスト/役柄
イ・タン(チェ・ウシク)イ・タン(チェ・ウシク)
平凡な大学生。偶発的な殺人事件をきっかけに、悪人を見分ける能力があることに気づく。
チャン・ナンガム(ソン・ソック)チャン・ナンガム(ソン・ソック)
連続する変死事件とタンの関与を追求する刑事。
ソン・チョン(イ・ヒジュン)ソン・チョン(イ・ヒジュン)
元刑事。ある理由でタンをタンを追い詰める。
ノ・ビン(キム・ヨハン)ノ・ビン(キム・ヨハン)
ライブ配信者。ある理由でタンと深く関わるようになる。

チェ・ウシク

チェ・ウシク
프레쉬 코리아, CC BY 3.0
名前チェ・ウシク
生年月日1990年3月26日
出身韓国・ソウル

主な出演作

主演のひとりは、『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホ演じるギテクの息子ギウ役に抜擢されて世界的に注目を集めたチェ・ウシク

ソン・ソック

ソン・ソック
Marie Claire Korea, CC BY 3.0
名前ソン・ソック
生年月日1983年2月7日
出身韓国・大田広域市

主な出演作

  • TVシリーズ『D.P. 脱走兵追跡官』(2021)
  • TVシリーズ『私の解放日誌』(2022)
  • 『犯罪都市 THE ROUNDUP』(2022)

もう一人の主演は、TVシリーズ『私の解放日誌』で無口で働き、夜になると酒を飲む謎めいた男性ク氏を演じて話題となったソン・ソック。

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

第1話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第1話
(C)2024 Netflix

平凡な大学生イ・タン

第1話は、イ・タンの日常から始まる。タンは半年前に除隊した普通の大学生で、妹のヨンは結婚を控えている。家族はタンが仕事をしていないことを気にかけているが、彼はカナダへのワーキングホリデーを計画していると反論する。

大学では、タンは友人のギョンファンやミヨンと過ごし、何か新しいことを始めたいと考えている。家に帰ると、彼はカナダを紹介するYouTuberの動画をぼんやりと視聴していた。ある日、彼はロッキー山脈の写真を注文し、部屋の壁に飾ろうとするが、ハンマーがなくて釘を打つことができなかった。

突発的な殺人

タンがコンビニでのバイトをしていると、酔っ払いの客が来店し、タンは渋々ながらに対応する。シフトが終わって帰ろうとする時、タンは店長に写真を飾るためのハンマーを持ち帰ることを伝えるが、店長は気に留めていなかった。

バイトからの帰宅途中、タンは倒れている酔っ払いを発見し、近くにいたその人の友人に状況を知らせて助けようとするが、その男はタンに帰るよう言い放つ。タンがそれでも助けるべきだと迫ると、その男は逆上してタンに襲いかかる。

これにより、タンは高校時代にいじめられていたことを思い出す。タンはとっさに持っていたハンマーで男を殴り、致命傷を与えてしまう。タンはその様子を、盲目の女性に目撃されていたことに気づくが、タンは彼女が盲目であることを知り、息を殺して彼女と盲導犬が通り過ぎるのを見守る。その後、混乱した彼は現場から逃れ、自宅で血を洗い流す。

悪運の強さ

その夜、自宅に酔っ払ったギョンファンが泊まりに来ると、2人は過去の出来事について語り合う。タンは過去に犯した過ちが、都合よく何らかの形でうまく回避できたことを思い出す。

翌朝、刑事のチャン・ナンガムと新人の相棒ヨンジェは殺害された男の調査を開始する。ナンガムはタンの関与を疑い始め、コンビニの防犯カメラ映像を調査する。防犯カメラには、タンが犯行に使用したハンマーを持っている瞬間が映っていたが、その瞬間が偶然、虫によって遮られていた。

その後、ナンガムはタンを尋問し、彼が事件に関与しているかどうかを探る。しかし、目撃者の証言と追加の検査結果により、死亡した2人が互いに殺し合ったと結論付けられる。一方、殺されたキム・ミョンジンという男の身元が偽物であることが判明し、彼が連続殺人事件の容疑者ヨ・ブイルという人物であったことが明らかになる。

タンは奇跡的に自分の犯行が露見せずに、さらに自分の行動がより大きな悪を止めることに貢献したのではないかと考え始める。物語は、盲目の女性が盲導犬と遊ぶシーンで終わるが、彼女の家にはタンが使用したハンマーが置かれていた。

第2話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第2話
(C)2024 Netflix

ナンガムの追う逃亡犯

第2話は、ハンマーを持ったタンが盲導犬に追われる夢を見ているところから始まる。彼は自分が殺した男の幻覚を見るようになっていた。

タンは母親と一緒に教会に行くと、母親はタンが授業を欠席していることについて心配される。一方、刑事ナンガムは、植物状態の父親の見舞いに訪れる。彼の父親は、かつて警察官だった。

警察署では、連続殺人犯のブイルを死亡する前に逮捕できなかったことで、警官たちが批判を受けていた。刑事課長はナンガムを呼び止め、「あの男」への執着をやめるよう警告する。ナンガムは、かつて父親を昏睡状態にした元警察官の逃亡犯を追っていた。

2度目の殺人

タンは事件の日に画面が割れたため、スマホを新しくしてバイトに向かう。するとシフト中、事件現場に居合わせた盲目の女性が現れ、タンに200万ウォンを要求する。実は、彼女は完全な盲目ではなく、タンが人を殺したことを知っており、犯行に使用したハンマーを所持していることを伝える。

取り乱したタンは、友人のギョンファンとミヨンにそれぞれ金を借りようと連絡し、2人から心配される。何とか金を工面しようとしたタンは、バイト先の店長に頼み込んで給料の前借りをしてもらい、実家の両親が残していた定期預金口座を解約し、金を引き出す。

後日、タンは金を用意して、盲目の女性が指示する住所に向かう。タンは金を渡してハンマーを奪い取り、関係を終わらせようとするが、女性は金を毎月用意するように脅しかける。彼女は、それを断ればタンの家族や友人に知らせてタンが逮捕されることを示唆する。

タンはその要求を受け入れることで、自分が彼女の支配下に置かれることを想像し、ハンマーで彼女に襲いかかり、女性を殺害する。彼は金を回収して家を後にするが、玄関扉には血が残されていた。

3、4度目の殺人

その後、数日が経ち、配達員によって彼女の遺体が発見され、ナンガムら警察が現場検証を始める。しかし、放置された現場で、飼い主を失った彼女の犬が証拠を舐め取ってしまったため、タンに関連する証拠は見つからなかった。さらに、女性の庭からは白骨化した2体の遺体が発見される。

再び突発的な殺人を犯してしまったタンは、取り乱して自殺を図るが失敗する。その後、心配したギョンファンが訪れるが、口論になってしまう。

女性の飼い犬レックスは、保健所に連れて行かれることになり、ナンガムの同僚であるパク・チュンジン刑事が犬を連れて向かう。その途中、第1話でナンガムに反抗し、素行の悪さで補導された不良少年2人が、警察への怒りからチュンジンに襲いかかり、割れた瓶で刺してしまう。

その頃、自暴自棄になっていたタンは、ニュースで自分が殺した女性、ソン・ヨオクが殺人犯であったこと、そして自分の行為によって悪人が制裁されたこと、自分に繋がる証拠がないことを知る。

その後、タンは不良少年2人に絡まれるが、彼らを前にして殺す前の衝動的な鳥肌を感じていた。翌朝、不良少年2人は遺体で発見され、自宅で返り血を浴びた状態で目覚めたタンは、ハンマーの隣にレンガとメモが置かれているのを発見する。メモには「助けが必要なら、連絡を」と書かれていた。

第3話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第3話
(C)2024 Netflix

ヨオクの過去

第3話は、ソン・ヨオクの過去について、彼女のいとこのジェスンが暴露した記事の内容から始まる。

若い頃のヨオクは、友人たちと過ごしている中で、ガス漏れによる爆発事故に遭遇し、片目を損傷し、顔に火傷の跡が残る。成人後のヨオクは両親を殺害したことが示唆され、彼女の両親には生命保険がかけられていたことが明らかになる。

ジェスンの記事を読んだナンガムとヨンジェは、彼女に会いに行く。ジェスンは、過去に学校でヨオクに火傷を負わされたことを明かし、彼女の死に同情する必要はないと伝える。

一方、不良少年2人に刺されたチュンジンは軽症で済み、復職し、襲撃を受けた2人の少年についての情報を共有する。

ナンガムとヨンジェは、殺された少年の葬儀に出席するが、母親から罵倒される。ヨンジェは、息子を失った母親に対するナンガムの態度に疑問を感じるが、ナンガムは彼女が、かつてカン・ヨンソという少女をレイプして自殺に追い込んだ少年の母親であることを明かす。

ヨンジェの致命的な判断

タンはメモに書かれていたユーザーネーム「Only For Heros」という連絡先にメッセージを送るが、相手が自分の名前を知っていることに恐怖を感じる。さらに、給料を持ち逃げしたことでコンビニの店長から告訴状が届く。

ナンガムがヨンソの足取りを追い、コンビニの店長から事情を聞いている間、ヨンジェは単独でヨンソの父親カン・サンムクに接触する。すると、サンムクは不良少年2人を殺害したと自白して出頭する。

ナンガムはタンの不審な行動に目をつけ、自首したサンムクが虚偽の自白をしていることを見抜き、真犯人を追求する。

一方、タンは自首することを決意し、警察に電話するが、警察は、コンビニの店長からの告訴内容に対する自首だと勘違いする。タンは母親から盗んだ預金を口座に振り込み、証拠のハンマーを持って警察署に向かうが、途中でひったくりに遭い、カバンが奪われてしまう。

ヨンジェはナンガムに対して、単独でサンムクに会ったこと、そして容疑者について少年の母親に知らせてしまったことを明かし、証拠のないサンムクを帰らせたことを告げる。警察署を出た直後、サンムクは少年の母親の車に轢かれてしまう。

あの夜の出来事

ひったくりに遭ったタンは怪我をして病院に運ばれる。そこで、車に轢かれたサンムクに遭遇し、サンムクはタンに逃げるように伝える。タンは、メッセージの相手がサンムクであることを知り、メッセージでのやり取りを通じてその場から逃げ出していく。

事件の日、サンムクは自分の娘ヨンソを殺した少年たちを殺そうとしていたが、恐怖から行動に移せずにいた。その時、タンが少年2人を殺害するのを目撃し、タンはサンムクともう一人の男によって自宅まで運ばれていた。

一方、タンを心配する妹と母親は彼のアパートを訪れるが、タンの姿はなく、メモだけが残されていました。サンムクは病院で大量の睡眠薬を服用し、自殺を図る。

フラッシュバックでは、サンムクが「Only For Heros」と書かれたジャケットを着た男に、ヨンソを死に追いやった少年たちへの復讐の意志を明かしていた様子が描かれる。

第4話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第4話
(C)2024 Netflix

難航する捜査

第4話は、運転代行業者に扮した「Only for Heros」のパーカーを着た男によって、チ検事が殺される場面から始まる。

タンの妹はコンビニを訪れ、タンがバイトを辞めたことを知る。店長のチョン・ガンヒョは、タンから金を返金されたことで告訴を取り消していた。警察署では、チュンジン刑事が退職し、一連の変死事件に関する特別捜査チームが発足するが、4ヶ月が経過しても進展はなかった。

ナンガムは、父親の事件に関与していたバットマンを愛するライブ配信者のノ・ビンに接触する。ビンは検察のサーバーに侵入し、まだ報道されていないチ検事についての情報を知っており、ナンガムは彼をマークして監視する。

ナンガムは、ビンの家に「中華楼」という中華料理店の配達員が毎週食事を届けていることを知り、その配達員がタンであることに気づく。ナンガムはヨンジェにタンを追跡させ、ビンがタンの共犯であると暴行的に問い詰めるが、ビンはその様子をライブ配信していたことが判明する。

自警活動

物語は4ヶ月前にフラッシュバックし、タンは「カナダに行く」というメモを両親に残して家を後にし、場所を転々としていた。そのうち、電車内で「Only for Heros」を名乗るビンに声をかけられる。

ビンは自らをバットマンのサイドキック、ロビンだと称し、名前も改名したことを明かす。彼は「意図せず悪者を殺している」タンの才能に惹かれ、一緒に自警活動をして世直しをすることを提案する。

タンはビンの隠し部屋から「Only for Heros」のジャケットと警棒を手にして街に繰り出し、自分の感覚を頼りにチ検事と接触する。

運転代行業に扮してチ検事を捕まえたタンは、彼がどんな悪事を働いたのかは知らなかったが、駆けつけたビンが、チ検事のスマホから彼が女性に暴行していたことを明らかにし、タンはチ検事を殺害する。

ナングムとタンの現在

時間は現在に戻り、ビンの暴行が配信されたことで、ナングムと刑事課長は責任を取らされて停職処分となる。ナングムは街をさまよっていたヨオクの犬を一時的に引き取っていた。

一方、タンとビンはその後も自警活動を続けており、複数の悪人たちを密かに殺していた。そんな中、ソン・チョンという男が中華楼を訪れ、タンの居場所を探っていた。

第5話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第5話
(C)2024 Netflix

釜山

第5話は、チェ・ギョンアという若い女性のセックス動画が流出したスキャンダルによって、彼女が新たな生活を始めるため釜山に移る様子から物語から始まる。

タンはビンが作成した偽造身分証で、イ・ギョンスという別の人間として釜山のスーパーマーケットの魚売り場で働いていた。タンはビンと共に自警活動をしており、最近では学生を妊娠させて殺した教授を殺していた。

同じスーパーマーケットで働くギョンアは、男性に対する警戒心を持ち、その影響で職場で無愛想だと思われている。ある日、払い戻しを求める女性客とトラブルになると、その後、タンもその女性とトラブルになる。ギョンアはタンが自分と似ていると感じていた。

一方、チュンジンがヨンジェを連れてナンガムの家を訪ねると、ヨンジェはタンが釜山にいることを監視カメラから突き止め、共に釜山での捜査をしようと提案する。しかし、タンを捜査する理由が必要だった。

そこで2人はタンの家族に会いに行き、タンの捜索願を提出するように提案するが、家族はその意図を汲み取り、タンが殺人を犯すとは信じられずに躊躇する。しかし、家族はその後、捜索願を提出し、ナンガムらは釜山へ向かう。

釜山の刑事たちはタンが教授殺害の犯人であるとは考えておらず、ナンガムは他の未解決事件についても情報を求める。

ギョンアの悲運

ギョンアが母親と食事をしていると、彼女が、かつてインソンという名前であることを知る小学校時代の知人ハ・サンミンに遭遇し、昔話をするが、ギョンアは連絡先を交換することを断る。

後日、サンミンから連絡があり、警察の知り合いから連絡先を入手したと言い、自分も性行為の動画が流出し、誰にも相談できずに恋人と別れたという共通の苦しみを共有する。ギョンアはサンミンに同情し、彼を家に泊めるが、サンミンの話が全て嘘であることが後に判明する。

ギョンアはサンミンのスマホを見て、彼が恋人のヒョンジと結婚間近であることを知り、嘘をついていたことを問い詰める。サンミンは最初にギョンアに会った日に彼女を尾行し、家の前のゴミ捨て場からギョンアの電話番号を手に入れていた。彼はギョンアの流出動画を知り、それを隠して近づこうとしていた。

2人の間で口論が発生し、サンミンはギョンアを押し倒して首を絞める。この暴力的な行為により、ギョンアは命を落としてしまう。

嫌な予感

翌日、ギョンアが暮らすマンションで火災が発生し、彼女が亡くなったというニュースが流れる。ある店では、数人がギョンアが火事で死んだのではなく、殺されたのだと話し合っているのをソン・チョンが見て笑っていた。

ナンガムはギョンア殺害の捜査を推し進めようとするが、釜山の刑事たちは捜査をゆっくり進めるよう主張する。

タンは職場でギョンアの死を知り、その直後にスーパーマーケットにソン・チョンが現れる。タンは嫌な予感を感じて逃げようとするが、ナンガムもスーパーマーケットに現れる。

タンがバックヤードに駆け込むと、そこにはソン・チョンが待ち受けていた。タンはチョンが多くの殺人をしてきた悪者であることを察知する。遅れてナンガムが到着すると、2人の姿は消えていた。

タンはスーパーマーケットから逃走し、ビンに連絡して嫌な予感がすることを伝えると、ビンはその予感に従って身を潜めるよう指示する。

すれ違う刑事

その後、サンミンは性病を診断され、恋人のヒョンジに打ち明けようとするが、彼女も性病にかかっており、先に打ち明けられると、サンミンは暴言を吐いて関係を切る。彼が家に帰ると、ソン・チョンが待ち構えていた。

チョンは警察を装ってサンミンを取り調べ、ギョンアを殺したことを知ると、彼を縛り上げる。サンミンはタンが悪人を見つける力があるのなら、自分を殺そうとすると考えるが、チョンは彼にギョンア殺害の自白を書かせて殺害し、IHコンロにガス缶を設置して部屋を出ていく。

ナンガムとヨンジェはそれぞれ釜山の刑事と同行し、ナンガムはタンの部屋へ、ヨンジェはサンミンの家に向かう。ナンガムがタンの部屋に入ると、部屋は煙で充満していた。一方、ヨンジェはチョンとすれ違った後、サンミンの部屋から異音を聞きつけ、玄関扉に耳を近づけると、爆発による衝撃が襲う。

第6話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第6話
(C)2024 Netflix

ナンガムの苦悩

第6話は、釜山警察の刑事がある男を事情聴取する場面から始まる。その男はタンのアパートの住民で、タンがエレベーターでの挨拶を無視したことに腹を立て、部屋に入り消火器を噴出させたことを明かす。

ナンガムは、ケガを負って病院に入院しているヨンジェから、チョンとすれ違ったことを知らされる。そんな中、ナンガムが父親の見舞いに行くと、医師から延命措置をするかどうかの意思確認書を渡される。

ビンが帰宅すると、部屋でチョンが待ち構えていた。チョンはタンと2人で会う機会を設けることを要求する。一方、病室から抜け出してビンの家に向かったヨンジェは、ビンの家から出てきたチョンと遭遇し、彼にアパートから投げ落とされて重症を負ってしまう。

ヨンジェの被害を知ったナンガムは、警察署に連れてこられていたビンを問い詰める。ビンはソン・チョンの仕業であることを伝え、独自に調べていた捜査資料を手渡す。ナンガムはビンが以前の父親の事件のときと同じ行動をしていると指摘するが、ビンはタンはチョンとは違う人間だと主張する。

ハワイクラブでの対峙

一方で、チョンは街中で傲慢な態度を取り、他人に迷惑をかけていたカップルに制裁を加え、殺害する。しかし、殺された女性が、大企業プヨン建設の会長の孫娘であることが判明する。この事件を解決することで昇進のチャンスを見出した新しい刑事課長ムン・ミョンジュンは、チョンの捜査を長年続けているナンガムに頼り、彼を職場復帰させる。

ビンは一人でプヨン建設を訪れ、取引を試みるが、タンがチョンと会うことに同意すると、ビンはタンとチョンが落ち合う場所にプヨン建設の人間を送り込む計画を立てる。

チョンは当初の喫茶店からハワイクラブという廃墟に場所を変更し、タンと対面する。タンはチョンが自分とは異なり、悪人を見抜く能力がなく、自警活動を名目に殺人を楽しんでいることを悟る。

タンはチョンを殺す必要があると感じて攻撃するが、返り討ちにされてしまう。しかし、その時、遅れて到着したプヨン建設の人間たちが現れ、タンはその隙に逃げ出していく。

タンは入り口で縛られていたビンの拘束を解くと、ビンは計画があるから信じてほしいと伝える。タンは涙ながらに「怖い」と自分の気持ちを吐露する。その時、ハワイクラブの中から銃声が響く。

第7話のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第7話
(C)2024 Netflix

チョンの暴走

第7話は、チョンがプヨン建設の襲撃者たちを撃退する場面から始まる。彼は一人の襲撃者に空砲で怪我を負わせ、追ってきた他の襲撃者たちを撃退した後、最後の一人に上司に連絡させる。

ヨンジェがナンガムに警官になった理由を尋ねると、ナンガムは父親の影響だったと明かす。しかし、ナンガムは父親に対して冷たく扱われ、次第に反抗的になっていった。

ナンガムはレックスを保護施設に連れて行くと、攻撃性テストを実施し、処分されるかどうかが判断される。その後、ムン刑事課長に呼ばれ、ハワイクラブの監視カメラ映像を調査し、チョンやプヨン建設の人間の姿を確認する。警察はチョンが滞在していた部屋を特定し、殺害した犯人たちに書かせた自白書を発見する。

タンはビンと合流し、南へ向かう計画を立てる。タンは出発前に実家を訪れ、母親が自分のために教会で祈っていることを知る。その頃、チョンはプヨン建設の支店長に接触し、脅して会長ヒョン・ジョングクの居場所を聞き出していた。ナンガムはチョンが会長を狙っていると察し、会長の居場所に向かう。

チョンは会長に接触し、汚職の事実を突きつけて拘束する。ナンガムが現場に到着すると、チョンは会長の頸動脈にワインオープナーを突き刺し、人質にする。ナンガムはチョンに拳銃を向けるが、撃つことができず、チョンは逮捕されるが、会長は死亡してしまう。その後、ムン刑事課長はナンガムの父親を警察病院に移す手配をする。そんな中、チョンは輸送中に暴れて脱走していた。

ナンガムの決断

ビンは幼い頃に強盗によって両親を失い、自分には復讐する力がなかったため、能力のある人の力を借りて自警活動を行うようになったと明かす。この過去がビンの行動の動機となっていることが明らかになる。

会長の葬儀が行われる中、ムン刑事課長は世間の圧力を受けて犯人逮捕を急がされていた。ナンガムはチョンに殺された警察官の葬儀に参列する。

タンとビンはチョンの逃亡を知り、事件が公開捜査となり、共犯の容疑者として2人の顔が全国放送されたことに驚く。ビンは密航船での脱出計画を立てるが、チョンは2人の逃走を許さず、ビンはタンだけを逃がす決意をする。

その後、ビンはナンガムに接触し、チョンの居場所を知っていると伝えるが、ナンガムは協力する意志を示さない。ナンガムは父親の延命措置について母がサインしたことを知り、延命措置の継続を決意するが、その中でチョンがナンガムの父親の病室を訪れていたことが判明し、病院から衝撃の知らせを受ける。

一方、危険性のテストを受けていたレックスは、人間を襲ってしまう。

第8話(最終話)のあらすじ解説

『殺人者のパラドックス』第8話
(C)2024 Netflix

ビンの計画

第8話(最終話)は、ビンがタンに残した手紙から始まる。手紙でビンは、タンと一緒に行けなくなったことを謝罪し、自分の直感を信じて行動するように伝えていた。これを受けて、タンは直感に従い、ビンを助ける決意をして街へ戻っていく。

病院に駆けつけたナンガムは、父親が亡くなったことを知り、母親が無事であることを知る。彼はチョンを追うことを決意し、ビンにチョンの居場所を案内させる。ビンはタンが善人であることを訴え、彼の逮捕を見逃すようにナンガムを説得するが、ナンガムも心情的に不安定になっていた。そんな中、ビンはある計画を提案する。

タンはビンに仕掛けたGPSを追って廃工場に到着し、チョン、ビン、ナンガムの前に現れる。チョンが拳銃を撃ち、銃撃戦が始まり、3人がかりでチョンを倒そうとするがが、その過程でビンが撃たれて死亡してしまう。

ナンガムはチョンを追い詰めるがが、チョンはナンガムの父親の不正行為と、母親の不倫の事実を暴露する。ナンガムは母の不倫相手がチョンだと思い込んでいたが、、実際には父親の後任となった上司だったことを知らされ、深いショックを受ける。

チョンの過去とナンガムの父の真実

フラッシュバックを通じて、若い警官時代のチョンがナンガムの父親を尊敬し、彼が麻薬取引に関与していることを知り、問い詰めた結果、口論になり、その結果、ナンガムの父親が半身不随の植物状態になったことが明かされる。

チョンは自分の行動を正当化し、ナンガムを挑発して、彼が汚職刑事の息子であり、不倫をした母親の子であると非難する。この緊張の中で、タンはナンガムの代わりにチョンを撃とうとするが、その隙をついてチョンが反撃しようとした瞬間、ナンガムはついに銃を撃ち、チョンを殺害する。

事件の解決後、ナンガムはレックスを引き取ることを決意する。父親の葬儀を終えた後、ナンガムは入院しているヨンジェを見舞う。ビンはチョンに会う前に、タンを守るためにすべての罪を自分が背負うとナンガムに伝えていた。この決断により、事件はチョンとビンによる犯行として処理され、タンは罪から解放される。

事件後の日々

ナンガムは、プロファイラーとの会話の中で、タンの関与について問われるが、ビンが自らの歯型をタンのものに偽装して罪を背負ったことが確たる証拠となり、その結果タンは不起訴となる。

タンは実家の前で雪かきをし、その行動から母親はタンが生きていることを察していた。その後、タンはフィリピンに渡り、家族と一緒にいたチョンジンに目撃される。しかし、タンはしばらくして不法移民として捕まった際に、自分に前科がないことを知り、驚く。

タンは結果として韓国に送還される。ナンガムはレックスと散歩している際に、殺人事件の被害者が実は容疑者だったというニュースを見る。一方、タンは通りを歩いているときに何者かにぶつかり、首筋に鳥肌を感じて振り返る。

【ネタバレ感想】頭を使わない『DEATH NOTE』的サスペンス

『殺人者のパラドックス』は、平凡な主人公が、偶発的な殺人をしたことをきっかけに、自分に悪人を見分ける能力があることに気付き、自警活動を行い、エスカレートしていく物語でした。

劇中でもノ・ビンが『バットマン』好きであることなどに象徴されるように、本作は、「自警団やヴィジランテ」ジャンルの作品です。こういった作品の主人公は、ノ・ビンやナンガムのように、家族や身近な人を理不尽な理由で失ったことがきっかけで自警活動する事が多いです。しかし、本作の主人公イ・タンは、ごく平凡な大学生というのが面白いところ。

例えるなら、頭を使わない『DEATH NOTE』のような物語です。天才ではない平凡な夜神月が、自分の手で悪人を見分けて裁きを下すという、泥臭い『DEATH NOTE』のようなプロット。意図せず悪人を察知する能力を手にした主人公の、刺激を追い求める姿と、戻れないところまで来てしまった現実が映像でも対比されています。

本作の一番の魅力は凝った編集にあります。アクションや時系列の変化、あらゆるセリフや人や物の動作をマッチカットで繋いでいるのです。そのため、激しめのバイオレンスや、主人公が追い詰められて行く緊迫した状況でも、映像的な楽しさが伝わり、その意味でも、表面的な面白さを突き進む作品でした。

ドラマでは、タンが読むドストエフスキーの『罪と罰』と重ねて描かれますが、凶悪犯たちを殺す彼の行為が正義なのか、道徳的かを問うような物語ではありません。あくまでもブラックコメディのようなスタイルを守りながら、人々の抱える闇や腐敗、暴力、欲を映していました。

2023年に配信されたNetflixシリーズの『マスクガール』にも近く、作品のスタイルを物語やテーマよりも優先し、エンタメ性で走り切るタイプの作品でした。

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リプリー
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今回ご紹介するドラマは『リプリー』です。 これまでに繰り返し映像化されているアメリカの小説家パトリシア・ハイスミスによる小説を、アンドリュー・スコット主演でNetflixドラマ化。 本記事では、ネタバレありで『リプリー』を観た感想・考察、あらすじを解説。 『リプリー』作品情報・配信・予告・評価 『リプリー』監督・スタッフ・原作 監督・脚本:スティーヴン・ザイリアン Netflixドラマ『リプリー』で監督・脚本を手掛けたのは、スティーヴン・ザイリアン。 これまでに『レナードの朝』『シンドラーのリスト』『ハン ...

三体
【全話ネタバレ】Netflixドラマ『三体』解説|難しい原作を明快なエンタメに変換

今回ご紹介する映画は『三体』です。 中国が誇る世界的SF作品を、『ゲーム・オブ・スローンズ』の制作陣によってNetflixで実写ドラマ化。 本記事では、ネタバレありで『三体』を観た感想・考察、あらすじを解説。 『三体』作品情報・配信・予告・評価 『三体』監督・スタッフ 制作 Netflixドラマ版『三体』の制作は、世界的大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けたデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスによって開発されました。さらに『トゥルーブラッド』の脚本にも参加していたアレクサンダー・ウーが加わっ ...

涙の女王
ネタバレ感想・考察|韓国ドラマ『涙の女王』キム・スヒョンとキム・ジウォンの化学反応

今回ご紹介する映画は『涙の女王』です。 『星から来たあなた』のキム・スヒョンと『アスダル年代記』のキム・ジウォンのダブル主演、『愛の不時着』のパク・ジウン脚本によるラブコメディ。 本記事では、ネタバレありで『涙の女王』を観た感想・考察、あらすじを解説。 『涙の女王』作品情報・配信・予告・評価 『涙の女王』キャスト・キャラクター解説 メインキャラクター キャラクター役名/キャスト/役柄ペク・ヒョヌ(キム・スヒョン)ヘインの夫。クイーンズ・グループ百貨店の法務部長。ホン・ヘイン(キム・ジウォン)ヒョヌの妻。ク ...

Netflixドラマ『ジェントルメン』
Netflixドラマ『ジェントルメン』全話ネタバレ感想・あらすじ解説|ガイ・リッチー節全開の娯楽作

今回ご紹介する映画はNetflixオリジナルドラマ『ジェントルメン』です。 『スナッチ』『シャーロック・ホームズ』シリーズのガイ・リッチー監督による、自身が手掛けた映画をもとにしたオリジナルのスピンオフドラマ。 本記事では、ネタバレありでNetflixオリジナルドラマ『ジェントルメン』を観た感想・考察、あらすじを解説。 『ジェントルメン』作品情報・配信・予告・評価 『ジェントルメン』監督・スタッフ 監督:ガイ・リッチー 『ジェントルメン』キャスト・キャラクター解説 キャラクター役名/キャスト/役柄エドワー ...

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