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【ネタバレ感想】『WAVES ウェイブス』は音楽と色彩に“酔う”映画

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今回ご紹介するのは映画『WAVES』です。

トレイ・エドワード・シュルツ監督による作品。

本作の特徴はフランク・オーシャンやレディオヘッド、カニエ・ウェストなど、著名アーティストの31曲が1つの物語を紡ぐプレイリスト・ムービーと言われているところ。

色彩豊かな映像と登場人物の心情を表した楽曲の数々が映画を彩ります。

映像美とは裏腹に残酷な現実を映し、そこからの再起を描いていました。

映画『WAVES』の作品情報とあらすじ

作品情報

原題 Waves
監督 トレイ・エドワード・シュルツ 
脚本 トレイ・エドワード・シュルツ
出演 ケルビン・ハリソン・Jr.
ルーカス・ヘッジズ
テイラー・ラッセル
製作国 アメリカ
製作年 2019年 
上映時間 135分 
おすすめ度 (3点/5点)

あらすじ

フロリダで高校生活を送るレスリング部のタイラーは、美人の恋人もいた。

厳格な父親と多少の距離はあるが、満ち足りた毎日を過ごしていたある日、タイラーの肩の負傷が発覚する。

医師から大事な試合に出場することを禁じられ、さらに恋人の妊娠が発覚して順調だった人生が狂い始める。

そして決定的な事件が起きる…。

『WAVES』のスタッフ・キャスト

監督:トレイ・エドワード・シュルツ

アメリカの映画監督トレイ・エドワード・シュルツが本作の監督と脚本を担当しています。

本作は4年以上温めていた作品で、テキサス育ちの彼の実体験からインスピレーションされた内容となっており、特徴的なのはアフリカ系アメリカ人の描き方。

貧困層or富裕層として描かれることが多いアフリカ系アメリカ人ですが、本作では監督の育った中間層の過程を描いているとのこと。

個人的には割と富裕層のような描かれ方にも感じましたが、イメージは中間層ということみたいですね。

本作を「サウンドトラック・フィルム」のようにイメージしたと話していますが、31曲ある楽曲は脚本段階では50曲近くイメージしていたようです。

制作には話題の映画プロダクションA24が携わっています。

A24といえば若さなど関係なく、監督主体の映画を押し出す気鋭の制作スタジオで注目が集まっています。

関連記事【A24films】映画プロダクション「A24」を知っているか?

ケルビン・ハリソン・Jr.

waves-05出典:https://www.imdb.com/

監督・脚本した前作『イット・カムズ・アット・ナイト』というホラー映画にも出演したのが、本作主人公でもあるタイラー役のケルビン・ハリソン・Jr.です。

『それでも夜は明ける』『エンダーのゲーム』なの端役から演技経験を積んで徐々に活躍している若手俳優です。

テイラー・ラッセル

waves-02出典:https://www.imdb.com/

Netflixオリジナルドラマ『ロスト・イン・スペース』などに出演。

ルーカス・ヘッジズ

waves-04出典:https://www.imdb.com/

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』にて20歳でアカデミー賞助演男優賞ノミネートした若手実力派俳優。

主な出演作は『スリー・ビルボード』『レディ・バード』など。

劇中に登場する31の楽曲

waves-07出典:https://www.imdb.com/

『WAVES』には著名アーティストの楽曲が31曲も使われています。

アーティスト 楽曲
Animal Collective
(アニマル・コレクティヴ)
「FLORIDADA」
「LOCH RAVEN (LIVE)」
「BLUISH」
Tame Impala
(テーム・インパラ)
「BE ABOVE IT」
「BE ABOVE IT -EROL ALKAN REWORK」
「BE ABOVE IT – LIVE」
Frank Ocean
(フランク・オーシャン)
「MITSUBISHI SONY」
「SIDEWAYS」
「FLORIDA」
「RUSHES」
「RUSHES (BASS GUITAR LAYER)」
「SEIGFRIED」
Dinah Washington
(ダイナ・ワシントン)
「WHAT A DIFFERENCE A DAY MAKES」
Kelvin Harrison Jr
(ケルヴィン・ハリソン・Jr)
「UNKNOWN」
ASAP Rocky
(エイサップ・ロッキー)
「LVL」
The Shoes
(ザ・シューズ)
「AMERICA」
Kendrick Lamar
ケンドリック・ラマー
「BACKSEAT FREESTYLE」
Tyler, the Creator feat. Pharrell
タイラー・ザ・クリエイター feat. ファレル・ウィリアムス
「IFHY」
H.E.R.
(ハー)
「FOCUS」
Amy Winehouse
エイミー・ワインハウス
「LOVE IS A LOSING GAME」
Fuck Buttons
ファック・ボタンズ
「SURF SOLAR」
THEY.
(ゼイ)
「U RITE」
「U-RITE (LOUIS FUTON REMIX)」
Kanye West
(カニエ・ウェスト)
「I AM A GOD」
Kid Cudi
(キッド・カディ)
「GHOST!」
Glenn Miller Orchestra
(グレン・ミラー・オーケストラ)
「MOONLIGHT SERENADE」
Colin Stetson
(コリン・ステットソン)
「THE STARS IN HIS HEAD(DARK LIGHTS REMIX)」
Chance The Rapper
(チャンス・ザ・ラッパー)
「HOW GREAT」
SZA feat. Isaiah Rashad
SZA feat. アイザイア・ラシャド
「PRETTY LITTLE BIRDS」
Radiohead
(レディオヘッド)
「TRUE LOVE WAITS」
Alabama Shakes
(アラバマ・シェイクス)
「SOUND & COLOR」

これだけ観ても豪華なアーティストの様々な楽曲が使われていることが分かりますね。

特に印象的だったのはフランク・オーシャンと、ここぞという時のレディオヘッドは刺さりました。

あとはカニエ・ウェストはやっぱりインパクトありましたね。

【ネタバレ感想】タイラーとエミリーの物語

waves-06出典:https://www.imdb.com/

※以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

  • 前半ではタイラー(兄)の物語
  • 後半ではエミリー(妹)の物語

本作の構成としては上記のように、前後半でタイラーとエミリーの兄妹に焦点を当てて進んでいきます。

【前半】タイラーの物語

  1. 恋人やレスリングなどに夢中で順風満帆なタイラー
  2. 肩の負傷と恋人の妊娠が発覚
  3. 中絶するかで恋人とケンカ
  4. 自暴自棄になり酒やドラッグにはしる
  5. 勢い余って恋人を死なせてしまい、逮捕される

この前半パートをどう捉えるのかが難しい。

まずタイラーの家族構成を見ると、厳格な父親と継母がいて、父親と亡くなった母親の子どもがタイラーとエミリーとなっています。

そんなタイラーの家はいわゆる豪邸で、特に不自由なく生活ができている様子。

そんな中、父親に厳しく育てられたタイラーの抑圧された感情と、選手生命の危機・恋人の妊娠が合わさって爆発し、取り返しのつかない事態を生んでしまいました。

ここが感情移入しずらいんですよね。

父親から受けた厳しさがタイラーの根本を変えてしまい、スイッチが入ると抑えられない感情が爆発し、恋人に対しても高圧的になってしまう。

裕福な過程で育った人がある日とんでもない事件を起こすというような、実際の事件でもある話です。

ただ、その怒りの対象が恋人に向けられていることに疑問を感じてしまいます。あれだけ愛していると言っていたのに、一時の感情をそこまで抑えられないものなのか。

恐らくそれは父親へ怒りをぶつけられない絶対的な関係と、裕福な家庭環境、そして若さが影響しているのだと思います。

そんな父親も自らの育った環境を良くしようと厳しくしているということで、それが逆に負の連鎖を引き起こしているという皮肉さがありました。

んー、しかし重いですね。

【後半】エミリーの物語

  1. タイラーの件でエミリーは学校でも孤独になる
  2. ある日レスリング部のルークが話しかけてくる
  3. 2人はデートして打ち解け、恋愛関係になる
  4. ルークの家族関係を知り、余命僅かなルークの父親の元へ行く
  5. ルークの父を看取り、エミリーの気持ちが少しだけ前を向く

後半のエミリーのパートでは、タイラーの事件によって狂わされたエミリーと家族が少しだけ再起するという展開になります。

前半でほとんど登場しなかったエミリーが中心となるのですが、タイラーがいなくなったことで両親がエミリーを気遣うことの違和感というか、気持ち悪さが上手く現れていました。

とはいえ、前半パートが長かったためかエミリーの苦悩はそこまで詳細に描かれる前にルークと出会い恋愛に発展していくのでここも感情移入しずらいんですよね。

しかも結果的にはルークの父親との話にスライドしていき、その姿から自分の家族関係を見つめ直すという形ですが、感情の動きが分かりづらい部分はあります。

タイラーの家族が中心で描かれるため、被害者である恋人の家族についてがほとんど描かれていないことも違和感は残りましたね。

独特のカメラワークと映像についていけるか

waves-01出典:https://www.imdb.com/

正直なところ、映画を観た率直な感想としては「重いし目が疲れる」でした。

前衛的な撮影手法なのかもしれませんが、いかんせん疲れるんですよね。

家の中で車の中でぐるぐる回るカメラワークと、パトカーのサイレンやパーティライトなどのチカチカする映像を長々と映されるのではっきり言って不快でした。

そして、本作の見どころでもある音楽についても後付け感を非常に感じます。

主人公たちの言葉に出来ない感情を楽曲で表現するというのはいい表現だと思うのですが、クドすぎる。

特にタイラーのパートがそう感じる部分が多く、もっとここぞという場面で使用すれば印象は違うのでしょうが、とりあえず使っておけ的な印象が否めませんでした。

もちろん楽曲は素晴らしく、いい場面もいくつもありましたが、31曲も使う必要があったのかはなんとも分かりませんでした。

【まとめ】人生とは波のよう

『WAVES』は多くのアーティストの楽曲と映像美が混ざりあった独特な一本でした。

『WAVES』というタイトルが、人生の浮き沈みを表す波だったり押し寄せる感情の浮き沈みを表しているようで、感覚的な映画となっていした。

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