今回ご紹介する映画は『1917 命をかけた伝令』です。
サム・メンデス監督による作品で、第一次世界大戦下、重要な伝令を届ける任務を与えられた2人の兵士がひた走る映画。
本作は、いわゆる長回しというワンカットによる撮影方法が話題となっています。
個人的な感想としては、「2度目が面白い映画」だと思いました。
『1917 命をかけた伝令』の作品情報とあらすじ
作品情報
原題 | 1917 |
---|---|
監督 | サム・メンデス |
脚本 | サム・メンデス クリスティ・ウィルソン=ケアンズ |
出演 | ジョージ・マッケイ ディーン=チャールズ・チャップマン |
製作国 | イギリス・アメリカ |
製作年 | 2019年 |
上映時間 | 119分 |
おすすめ度 | [jinstar3.5 color="#ffc32c" size="16px"] |
あらすじ
1917年、時は第一次世界大戦の真っ只中。
若きイギリス人兵士のスコフィールドとブレイクにひとつの重要な任務が命じられる。
それは最前線にいる1600人の兵士たちに、明朝までに作戦中止の命令を届けること。
戦場を駆け抜け、この伝令が間に合わなければ、兄を含めた味方兵士全員が命を落とし、イギリスは戦いに敗北することになる。
刻々とタイムリミットが迫る中、2人の危険かつ困難なミッションが始まる…。
映画『1917 命をかけた伝令』のキャスト
© Universal Studios
監督はサム・メンデス
本作の監督は長編デビュー作『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞監督賞を受賞したサム・メンデスです。
その後、ダニエル・クレイグ版『007』シリーズなども監督しています。
撮影はロジャー・ディーキンス
挑戦的な長回し撮影を敢行した本作の撮影監督は、ロジャー・ディーキンス。
『ブレードランナー2049』にて初受賞したアカデミー賞撮影賞には、これまで10数回もノミネートされたことがある大ベテランです。
豪華キャストが脇を固める
伝令を届ける若き兵士を演じるのはジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマン。
ジョージ・マッケイは『はじまりへの旅』で家族の長男を好演していた印象があります。
ディーン=チャールズ・チャップマンは大人気海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズで活躍していますね。
キャリアの若い彼らを支えるのが、コリン・ファースやベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロングなどのベテラン俳優。
とはいえ、ちょい役なのと主演の二人をカメラがずっと追いかける構図のためほとんど出てこないですね。
【ネタバレ感想】映画『1917』はワンカットではない
© Universal Studios
※以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。
全編ワンカットについて
本作、日本の宣伝で「全編ワンカット」という言い方をしています。
監督がインタビューで言っている通り、実際のところ全編ワンカットではありません。
非常に長いカットをうまくワンカットに見えるように繋いでいるのです。
(実際公式HP上にも【全編を通してワンカットに見える映像】という表現をしています)
これが日本の宣伝の悪いところで、全編ワンカットという言い方をしてしまうと、「見たけど全編ワンカットじゃねーじゃん」という点で、この映画の評価を下げることになってしまうのです。
「映画の上映時間ずっとカメラを止めずに回し続ける」という意味ではないのです。
近年だと、アカデミー賞で作品賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でもステディカム(手持ちカメラ)をうまく使った全編ワンカットに見える手法が話題でした。
確かその時も、ワンカットであるかどうかの議論という本質とズレたところで映画の評価を下げてしまっていたと思います。
映画にもリテラシーが求められていると感じました。
戦争映画であり、戦争映画でない
本作、ジャンルとしては第一次世界大戦を描いているので戦争映画ということになります。
とはいえ、はっきり言って第一次世界大戦についての知識はほぼ必要ありません。
あくまで、「伝令を届ける」2人の姿を追った映画なのです。
そのため、見方によっては3人目の兵士として戦場を駆け巡る戦争映画ともなりますし、その過程で彼らの友情や家族の物語としても観ることができるのです。
映画『1917』は2度目が面白い
© Universal Studios
本作、個人的には「2度目が面白い映画」だと感じました。 その理由は2点あります。
- 撮影方法を知ってから観る面白さ
- メイキング映像が観たくなる映像
撮影方法を知ってから観る面白さ
宣伝で「全編ワンカット」という言い方をしてしまったがために、ワンカットであるかどうかのことが気になってしまう人もいると思います。
僕はあまり前知識を入れたくないので、最初に観る時は予告編だけしか見ません。
本作は、予告編の他に撮影方法を紹介した特典映像があります。
映画を観た後それを観たのですが、それが面白いんです。下に載せておきます。
はっきり言って、これを観てから映画を観たほうが面白いです。
メイキング映像が見たい
上に紹介した特典映像だけでこれだけ面白いのだから、本作の撮影を追ったメイキング映像は絶対面白いと思います。
終盤の塹壕から上がって走るシーン。
爆撃されながら、ジョージ・マッケイが全力疾走して、人にぶつかり倒れながらも走り抜けるシーンは鳥肌モノでした。
特典付きのBlu-rayは買いですね!
巧みなカットの入れ方
全編長回しに見える本作ですが、気づかないように細かくカットを入れてます。
劇中のどこでカットを入れているかを表した映像があるので見ればそのすごさに驚くと思います。
[chat face="twitter-icon.jpg" name="まめもやし" align="left" border="gray" bg="none" style="maru"] 場面のつなぎ方が違和感なさすぎてすごいです。 [/chat]
映画『1917』のワンカットと場作り
「2度目が面白い」という言い方をしましたが、多くの人はこんな事情を知らずに観ていると思います。
確かに、映画自体のストーリーは「伝令を届ける」以上はありません。
映画が好きな僕にとっては、複数回見たりメイキングを楽しむといういろんな映画の楽しみ方があるので全く気にしてないですが、普通に映画を見に来た方にとっては少し退屈に感じる部分もあるかもしれません。
ただ、長回しを完遂した背景に、サム・メンデス監督の場作りへの圧倒的なこだわりも感じました。
- 外での撮影だからこそできる光と影の演出
- 常に移動し続けなければならない舞台作り
- 生と死の描き方へのこだわり
僕が個人的に感動したのは、川へ飛び込んで逃げるシーン。
セリフはなく、聞こえるのは流されながらも進んでいく必死な息づかいのみ。
周りには変色した死体が浮かび、そこに白い花びらが美しく舞い散る。
このシーンだけで生と死、そして戦争の儚さを描く表現力のすごさ。
非常に心に刺さる映像でした。
観るものが戦争の当事者となりえるすごい映画でした。
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