今回ご紹介する映画は『最後の追跡』です。
デヴィッド・マッケンジー監督&ジェフ・ブリッジス主演によるアカデミー賞作品賞ノミネートの犯罪ドラマ。
本記事では、ネタバレありで『最後の追跡』を観た感想・考察、あらすじを解説。
骨太なストーリーと俳優たちの渋い演技が見事な一本でした!
『最後の追跡』の作品情報と配信・予告
『最後の追跡』のキャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
マーカス・ハミルトン(ジェフ・ブリッジス) 定年間際のテキサス・レンジャー。意固地だが正義感は強く、執念深い捜査が得意。 | |
トビー・ハワード(クリス・パイン) ある理由で銀行強盗した男。性根は優しい。 | |
タナー・ハワード(ベン・フォスター) トビーの兄で一緒に銀行強盗をする。粗暴な性格。 | |
アルベルト・パーカー(ギル・バーミンガム) マーカスの相棒のテキサス・レンジャー。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】『最後の追跡』あらすじとラスト
© 2016 Netflix
映画はテキサス州の西部の田舎町で、トビーとタナーのハワード兄弟がテキサス・ミッドランズ銀行の2つの支店を襲う場面から始まる。
強盗は計画的に行われたが、タナーの野性的な性格が不必要な危険を招き、トビーをいらだたせる。2人は用意していた穴にバックホーで車を穴に埋め、逃走用の車に乗り換える。
彼らの母親は長い闘病生活の末に亡くなり、家業である牧場は母が抱えた借金の担保としてテキサス・ミッドランズ銀行に差し出され、数日以内に差し押さえられる状況だった。
しかし、牧場に石油があることを目につけていたトビーは、牧場を手放すわけには行かず、疎遠になっている息子たちに快適な生活を保障しようと決意する。
一方、マーカス・ハミルトンとアルベルト・パーカーという2人のテキサス・レンジャーが銀行強盗事件を担当する。定年間近のマーカスは手際よく事件を調査し、強盗犯の手口と性格をあぶり出していく。
タナーは近くのダイナーに座っていたトビーの目を盗んで別の銀行を襲う。その後、トビーはオクラホマのインディアン・カジノで盗んだ金を洗浄すると、カジノで「儲けた賞金」とし、テキサス・ミッドランズ銀行宛ての小切手に換金させる。2人は追跡不可能な資金を得てテキサスに戻っていく。
マーカスは予想を立て、テキサス・ミッドランズ銀行の別の支店を張り込むが2人は現れなかった。しかし、マーカスは犯人の銀行強盗パターンに気づき、別の支店に的を絞る。
借金の返済猶予が迫っていたハワード兄弟は、客が多い時間帯にもかかわらず強盗をするしかなった。警備員と銃を持っていた一般人との銃撃戦が勃発し、タナーは2人を殺害する。逃げる途中、トビーは背中を撃たれてしまう。
ハワード兄弟は町を飛び出していく。しばらく距離をとった後、タナーは囮となり、自動小銃を発砲して追っ手を退ける。トビーは盗んだ金をタナーから預かり別の車でその場を離れる。
タナーは警官たちを砂漠の山の尾根に誘い込み、ライフルで警察に立ち向かい、その過程でアルベルトを殺害する。アルベルトが殺されたことで怒りに震えたマーカスは、土地勘を生かしてタナーの背後に回り込み射殺する。
一方、トビーは警察の検問を無事に通過して借金を完済する。そして牧場の差し押さえを免れ、家族への信託にする。その頃、ニュースでトビーの死を知る。
マーカスは定年退職後、かつてのオフィスを訪れる。そこでトビーには犯罪歴がないため容疑者リストから外れたことを知る。さらに油田の牧場やテキサス・ミッドランズ銀行が信託であることを知り、証拠はないがマーカスはトビーが銀行強盗の首謀者であると確信する。
その後、マーカスはトビーの牧場を訪問し、トビーと対峙する。2人は銃を片手に一触即発の緊張を走らせるが、トビーの前妻と子供たちが到着して中断される。
トビーは「話を終わらせよう」と別の場所での再会を提案すると、マーカスは承諾し、「終わることはない」と伝えて牧場を後にする。
【ネタバレ感想】西部劇風の逃亡・追跡劇
© 2016 Netflix
面白かった…!さすがテイラー・シェリダン脚本!
テキサスの田舎町を舞台に、非常に乾いた質感で骨太なストーリーを展開していく魅力がありました。
逃げる側のトビーとタナーとの兄弟、追いかける側のマーカスとアルベルトの老年警察バディの攻防が並行して描かれ、そのどちら側も応援したくなる構図が見事。
登場人物もこの4人が中心で、逃亡劇と追跡劇の両方の醍醐味を存分に味わうことができます。テキサスの田舎町が抱える企業の裏で衰退していく店の様子、キャラクターも、物語を補完する要素として申し分ない説得力を与えています。
そして俳優たちの演技が素晴らしい。渋すぎる…。ジェフ・ブリッジスがもたらす緊張感と、クリス・パインの内面を映す表情の上手さ、ベン・フォスターとギル・バーミンガムを含めて、誰もが成熟しきった演技を見せ、静かな展開ながらも、Tボーンステーキを食べた後のような満足感が得られます。
コーエン兄弟の『ノーカントリー』や『ブラッド・シンプル』を彷彿とさせる、テキサスを舞台とした新たな名作映画の誕生を目の当たりにしました。
まとめ:現代版の西部劇
今回は、Netflix映画『最後の追跡』をご紹介しました。
派手なアクションがなくても十分に面白い、現代版西部劇という感じでした!おすすめ。