今回ご紹介するのは映画『インターステラー』です。
クリストファー・ノーラン監督によるSF作品で、あのSF映画の傑作『2001年宇宙の旅』を超えたとも言われるほどすごい映画なんです。
でも中には、「感動したしすごい映画だったど、よく分からなかった」という方もいると思います。(正直なところ、理論的な話はどの解説を読んでもイマイチ理解できません)
それにノーラン監督は余計な説明は一切しないことでも有名ですからね。
本記事では『インターステラー』の内容を誰でも理解できるレベルに分かりやすく噛み砕いて解説していきます。
物理学的視点などの考察を期待している方は別のサイトをご覧ください!
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【最高傑作】天才クリストファー・ノーラン監督のおすすめ作品ランキングベスト11
起:幽霊とラザロ計画、そして宇宙の旅へ
舞台は近未来の地球。
クーパー家族
エンジニア、パイロットとしてかつてNASAで働いていたクーパーは、息子と娘と共に農業をして暮らしています。
娘のマーフは、自分の部屋の「本棚から勝手に本が落ちる現象」を“幽霊の仕業”だと思っていました。
大きな砂嵐が襲ったある日、クーパーは娘の部屋のその現象に規則性を見出し、何かのメッセージであることに気付きます。
そのメッセージを解読すると、ある場所を示しているのでした。娘とともにその場所へ向かうと、そこにはある施設がありました…。
NASAとラザロ計画
そこには、かつての仕事仲間だったブランド教授とその娘アメリアの姿がありました。
その施設は、大昔になくなったはずのNASAの秘密研究施設だったのです。
クーパーはそこで、地球が滅亡寸前であること、そして人類生存をかけたプロジェクトである、「ラザロ計画」を知ることになります。
メモ
- 「ワームホール」とは、宇宙におけるトンネルのようなもので、ある点からある点へと移動することができる抜け道のようなものです。
そして、「ラザロ計画」にはプランAとプランBの2つの計画がありました。
- プランA:重力制御を可能にして大規模なスペースコロニーを作り、全人類を移住させる
- プランB:人類の受精卵を生存可能な惑星で人工培養する
簡単に言うと、プランAは地球の人類が生存できる環境を作って移住する方法で、プランBはプランAのリスクヘッジ的に人類の種を残すための方法です。
そして、すでに旅立った13人の研究員のうち3人から信号を受け取っていました。
しかし、NASAはすでにパイロットの数が減っていたため、ブランド教授はかつて優秀なパイロットだったクーパーにパイロットとして計画に参加するように説得します。
クーパーは自分が還ってくるまでにブランド教授がプランA実行のために方程式を解いてくれると信じ、計画に参加します。
一方、娘のマーフはたとえ還って来られたとしても、何年後になるかも分からないミッションに猛反対します。
そんな中、クーパーはマーフに「必ず還ってくる」と言って宇宙へと出発するのでした。
承:水の惑星と23年の経過
水の惑星
無事に土星近くのワームホールを抜けた乗組員たちはまず、シグナルがあった3人のうち、ミラー飛行士が待つ水の惑星へ向かうことにします。
水の惑星があるのは“ガルガンチュア”と呼ばれるブラックホールの近くに位置していました。
ブラックホールが持つ巨大な質量により、水の惑星での1時間は地球での7年に相当することが分かります。
ロミリーを残した3人で水の惑星に降り立ち、ミラー飛行士の姿を探索します。
しかし、そこにあったのはミラーが乗っていたと見られる着陸船の残骸でした。
さらに、ブラックホールの近くのために潮汐力が働き、山のような巨大な津波が一行を襲います。
メモ
- 「潮汐力」とは、重力によって引き起こされる二次的な効果のこと。ブラックホールのような大きな質量をもった物体の近くにおいて顕著に現れる。
急いで船に戻る一行でしたが、乗り遅れたドイルは死亡してしまい、船に大量の水が入ったことで発射までに時間がかかってしまいます。
何とか水の惑星を脱出して宇宙船に戻ったクーパーとアメリアでしたが、宇宙船で待つロミリーはすでに歳を重ねていて、23年の月日が経っていたことを知らされるのでした。
成長したマーフと驚愕の事実
時が流れていたのは地球も同じで、娘のマーフは地球出発時のクーパーと同い年にまで成長していました。
マーフは研究員として、ブランド教授のもとでプランAの研究に取り組んでいます。
そんな中、ブランド教授は老齢から死が迫っており、死ぬ間際のブランド教授は、アメリアに対して自分の罪を告白するのでした。
彼はすでに重力方程式を解いており、プランAの重力制御は事実上不可能であることを告げます。
それは今いる地球の人類が存続できないことを意味しており、マーフは愕然とするのでした。
転:マン博士の暴挙とブラックホール
燃料が少なくなっている宇宙船では、残る2つの惑星どちらへ向かうかの選択を迫られていました。
- 一つは、「ラザロ計画」の先駆者であり天才科学者のマン博士がいる惑星
- もう一つは、エドマンズという研究員がいる惑星
クーパーとロミリーは、マン博士の惑星を推しますが、アメリアだけはエドマンズの惑星を推すのでした。
クーパーは、エドマンズがアメリアの恋人であることを見抜き、私情を挟んでいることを指摘し、一行はマン博士の惑星へ向かうことに決まります。
氷の惑星とマン博士
マン博士のいる惑星に到着した一行は、マン博士が設営したキャンプで冷凍睡眠しているマン博士を起こします。
目覚めたマン博士は、「ラザロ計画」の真の目的はプランBであることを告げるのでした。
それはつまり、今いる地球の人類よりも種としての人類を残すという計画であり、ブランド教授は混乱を防ぐために事実を隠蔽していたことを明かします。
マン博士の暴挙
氷の惑星が生存可能であることを話したマン博士。
その後、マン博士は惑星の探索にクーパーを連れ出します。
すると、マン博士は不意にクーパーに襲いかかるのでした。
マン博士は氷の惑星に到着した当初から、この惑星で人類が生存できないことを悟っていたのです。
しかし、彼は孤独に死ぬことを恐れ、生存可能であるという嘘のデータを地球に発信していました。
宇宙服を壊されたクーパーは窒息死かけていましたが、アメリアの救助で何とか助かるものの、マン博士が仕掛けた爆弾により、キャンプにいたロミリーが殺されてしまいます。
さらに、マン博士は宇宙船を奪おうとしていました。
しかし、不完全な宇宙船へのドッキングにより減圧してマン博士は吹き飛ばされ、宇宙船は氷の惑星へと落下しつつありました。
クーパーとTARSが力を合わせて回転する宇宙船へ何とかドッキングし、難を逃れたものの、被害を負った宇宙船には地球に還るための燃料は残っていませんでした。
ブラックホールへの接近
残された道はブラックホールへ接近し、ペンローズ過程を利用してエドマンズの惑星へ向かう以外にありませんでした。
メモ
- 「ペンローズ過程」とは、ブラックホールのエネルギーを利用して運動量を得る方法のこと
ブラックホールへ近づくことにより、再び地球との時間の差が生まれることは分かっていましたが、それ以外に方法は残されていませんでした。
ブラックホールへ接近した宇宙船からクーパーとTARSがそれぞれ乗っているランダーを切り離すことで、アメリアをブラックホールの軌道上から脱出させることに成功します。
四次元超立体テサラクト
クーパーとTARSはブラックホールへと落ちていきます。
そして、“彼ら”が作ったと思われる「4次元超立方体テサラクト」へたどり着きます。
メモ
- 「4次元超立方体テサラクト」とは、ブラックホールの特異点のような空間で、過去・現在・未来が同時に存在する場所
クーパーはそこが、マーフの部屋を通じて「過去・現在・未来」がつながっていることに気付き、過去のマーフに対して信号を送るものの、過去を変えることはできません。
そこで、未来を変えようとTARSに収集させたブラックホールのデータをバイナリに変換し、マーフに渡した腕時計の秒針を使ってデータを送り続けることにします。
メモ
- 「バイナリ」とは、二進法で「0」と「1」のみを使ってデータを表現する方法のこと
一方、地球のマーフは重力方程式を本当の意味で解くために「重力」に目をつけ、ことの始まりであるマーフの部屋での重力現象を調べ続けます。
そこで腕時計の針の動きに異変を感じ、それがモールス信号であること、父親からのメッセージであることに気付くのです。
送られてきたブラックホールの特異点のデータをもとに、マーフは不可能だった重力方程式を解くことに成功するのです。
その瞬間、クーパーがいる4次元超立方体テサラクトは閉じ始めて、別のワームホールへと吸い込まれていくのでした。
結:父娘の再会と出発
スペースコロニーと父娘の再会
クーパーは病室で目覚めます。
そこは、土星の軌道上に建造されたスペースコロニー、その名も「クーパー・ステーション」。
クーパーは宇宙に漂流していたところをたまたま探索船にTARSとともに発見されて救われたのでした。
クーパーは、マーフのおかげでスペースコロニーが建造でき、地球の人類が救済されたことを知ります。
そしてクーパーはついに、マーフと再会します。
彼女は年老いていましたが、大勢の子供や孫たちに囲まれていました。
マーフは「必ず還ってくる」という約束を守ったクーパーに、エドマンズの惑星に向かったアメリアを探しに行くように促します。
その言葉の通り、クーパーは修理したTARSと共にアメリアのいる惑星へと出発するのでした。
アメリア
エドマンズの惑星にたどり着いたアメリア。
残骸が残っており、エドマンズはすでに亡くなっていることが分かります。
しかし、そこは生身でも呼吸ができる環境でした。
エドマンズのいた星こそ、地球の代わりとなる新たな星だったのです。
遠くには今まさに、キャンプを建造しているCASEの姿が見えました。
映画『インターステラー』の感想
改めて観てもやはりすごい映画だと感じます。
人工知能TARSとCASEのデザインやキャラクター設定は最高でした。
長方形のバーのような無機質な形状でありながら、自由度の高い動きとジョーク。
スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』での人工知能HAL9000を彷彿とさせます。
類似作品として挙げられる『2001年宇宙の旅』ほど観念的ではなく、『コンタクト』ほど専門的な話でもないところもノーラン監督の力量が見えてさすがでした。
壮大な宇宙の話を、父娘の愛情という普遍的なテーマに帰着させる上手さと、ブラックホールやワームホール、4次元超立方体テサラクトといった想像ができないものを視覚化してしまうすごさ。
これは製作にキップ・ソーンというノーベル賞も受賞した物理学者が携わっていることもあありますが、極力CGを使わないノーラン監督だからこその映像だと思いました。
映画『インターステラー』の作品情報
『インターステラー』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
劇的な環境変化によって寿命が尽きかけている地球。元テストパイロット・クーパーは、人類が移住するための新たな星を探すミッションに選ばれ、愛する息子と娘を残して宇宙に旅立っていく。
作品情報
タイトル | インターステラー |
原題 | Interstellar |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 | ジョナサン・ノーラン クリストファー・ノーラン |
出演 | マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン ビル・アーウィン エレン・バースティン マット・デイモン マイケル・ケイン |
撮影 | ホイテ・ヴァン・ホイテマ |
音楽 | ハンス・ジマー |
編集 | リー・スミス |
製作国 | アメリカ・イギリス |
製作年 | 2014年 |
上映時間 | 169分 |
予告編
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おすすめポイント
必ず帰ってくる──。
人類滅亡の危機が迫る近未来を舞台に、家族と人類を守るために宇宙へ飛び立った男の姿を描くSFドラマ。
科学的で哲学的、専門用語も出てくる難しさ。しかし、それ以上に家族の愛というシンプルなものに集約する深い感動。
壮大なスケールで描かれる家族の愛情、そして人類の可能性を感じる一本。
サントラ
ノーラン監督と『バットマン』三部作でもタッグを組んだハンス・ジマーが音楽を作曲しています。
インターステラーとは
本作のタイトル、『インターステラー』ですが、「星と星の間」というような意味があります。
地球をでて遥か彼方の生存可能な星を見つける旅に出る本作を端的に表現していますね。
ハミルトンの時計
余談ですが、クーパーがマーフに託した腕時計、あれはハミルトンのモデルなのですが、公開から5年が経った2019年に、“マーフ ウォッチ”としてハミルトンが実際に販売しています。
まとめ:映画『インターステラー』は壮大な愛の物語
いかがだったでしょうか。
『インターステラー』の内容が少しは理解できたのではないでしょうか。
確かに扱う内容が難しいですが、内容としては宇宙を舞台にした壮大な愛の物語でした。
内容を理解してから改めて見るとより楽しめますよ。
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