今回ご紹介する映画は『エクス・マキナ』です。
アレックス・ガーランド監督による人間と人工知能の複雑な関係を描いた2014年のSFスリラー映画。
本記事では、映画『エクス・マキナ』をネタバレありで感想・考察・あらすじ解説します。
洗練された映像美を楽しめる良作SF映画です!
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『エクス・マキナ』作品情報・予告・配信
『エクス・マキナ』
あらすじ
世界有数のIT企業に勤めるプログラマーのケイレブは、CEO・ネイサンの山荘へ招かれる。そこには美しい女性型ロボット・エヴァの姿があった。ケイレブはエヴァに搭載された人工知能のテストに協力することになるが…。
5段階評価
予告編
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作品情報
タイトル | エクス・マキナ |
原題 | Ex Machina |
監督 | アレックス・ガーランド |
脚本 | アレックス・ガーランド |
出演 | アリシア・ヴィキャンデル ドーナル・グリーソン オスカー・アイザック ソノヤ・ミズノ |
音楽 | ベン・サリスベリー ジェフ・バーロウ |
撮影 | ロブ・ハーディ |
編集 | マーク・デイ |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2014年 |
上映時間 | 108分 |
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おすすめポイント
人工知能(AI)とシンギュラリティ。
アレックス・ガーランド監督による、人間と人工知能の複雑な関係を描いたSFスリラー映画。
AIが人間のふりをできるかを問う「チューリングテスト」を通して、観るものに知性と意識、人間性を考えさせる哲学的な一本。
ド派手なアクションはありませんが、洗練された世界観、AIロボットの造形の美しさが光る良質なSFのスリラー映画です。
『エクス・マキナ』監督・製作背景
監督:アレックス・ガーランド
名前 | アレックス・ガーランド |
生年月日 | 1970年5月26日 |
出身 | イギリス・ロンドン |
『エクス・マキナ』の監督兼脚本家は、長編映画初監督となったイギリス出身のアレックス・ガーランドです。彼は、脚本家としてダニー・ボイル監督とのタッグを組んだ『28日後…』での功績が代表的。
この作品の製作の原点は、ガーランド監督が幼い頃に親に買ってもらったコンピューターでのコーディング経験にあります。
さらに、AI研究の第一人者であるマレー・シャナハンの書籍を読んだことが、本作のテーマである「意識」について描く決意につながりました。シャナハンは映画の製作にコンサルタントとして参加しています。
監督は、映画制作のインスピレーション源として『2001年宇宙の旅』(1968)や『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(1980)を挙げています。
映画の配給はA24。2015年3月14日にサウス・バイ・サウスウエスト映画祭でプレミア上映されました。
『エクス・マキナ』キャラクター・キャスト解説
ケイレブ(ドーナル・グリーソン)
プログラマーのケイレブを演じたのは、アイルランドの俳優、ドーナル・グリーソン。
恋愛映画の名作『アバウト・タイム』で彼を知っている人も多いのではないでしょうか。また、『ハリー・ポッター』シリーズでは、ウィーズリー家の長男ビル・ウィーズリー役を演じています。
エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)
ネイサン(オスカー・アイザック)
大手検索エンジンの社長であり天才プログラマーのネイサンを演じたのは、アメリカの名門音楽大学出身のオスカー・アイザック。
彼は、コーエン兄弟の映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』で注目を集めました。
後に『スター・ウォーズ』続三部作でポー・ダメロン役に抜擢され、世界中に知られるようになりました。ちなみにカイロ・レン役のアダム・ドライバーも同じ音楽大学出身です。
キョウコ(ソノヤ・ミズノ)
ネイサンの施設で働くメイドのキョウコ役を演じたのは、モデルやバレリーナとしても活躍している日系イギリス人の女優ソノヤ・ミズノ。
本作が映画初出演となり、その後に、『ラ・ラ・ランド』や『クレイジー・リッチ!』などの話題作に出演。意外と知られていませんが『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンの同居人の一人。
AIと“シンギュラリティ”
『エクス・マキナ』は、ジャンルとしてはSFスリラーに分類されますが、一般的なアクション映画やスリル満点の展開を期待すると違った印象を受けるかもしれません。この作品には、激しいアクションシーンや手に汗握るようなドラマティックな展開はほとんどありません。
代わりに、映画は比較的穏やかな物語の進行を通じて、人間とAIというテーマに哲学的な視点からアプローチしています。
映画の中心となるのは「チューリングテスト」です。
チューリングテストは、機械が「人間的」な知能を持っているかどうかを判定するためのテストです。このテストの目的は、機械が人間と同様の知能や振る舞いを示すことができるかを評価することにあります。
テストのプロセスでは、審査員が人間と機械との間で会話を行いますが、審査員はどちらが機械でどちらが人間かを知らされていません。もし審査員が人間と機械を区別することができず、間違える場合、その機械は人間並みの知能を持ち、人間のように振る舞うことができたと評価されます。
このテストは、人工知能の研究において重要な基準とされており、機械が人間のような思考や感情を持つことができるかどうかを探るための方法として用いられています。
『エクス・マキナ』は、このテストを通じて、AIの知性、意識、そして人間と機械の関係について深く掘り下げていきます。
AIのエヴァは非常にユニークな存在です。彼女の「脳」は「ブルーブック」という架空の世界最大の検索エンジンからのデータで構築されています。つまり、世界中の人々の意思や欲求を集約したビッグデータを基にしているということです。
「ブルーブック」の創設者であるネイサンは、このビッグデータを使用してエヴァを開発し、エヴァが自立して脱出を試みる能力を持っているかどうかをテストしようとテストしていたのです。
映画のクライマックスでは、ケイレブがセキュリティシステムを解除し、エヴァが部屋から脱出することに成功します。エヴァはネイサンを殺害し、ケイレブを置き去りにして外の世界へと出ていきます。
ここで、ケイレブの純粋な愛情とエヴァの計算された行動が対照的に描かれます。ケイレブはエヴァに恋をしており、彼女との共同生活を真剣に考えていましたが、エヴァの恋愛感情は最初から演技に過ぎませんでした。
この物語の結末は、ネイサンが自分が創造したAIによって殺されるという、人間とAIの立場の逆転を描いています。
ネイサンは自分の計画の範囲内で物事が進むと考えていましたが、ケイレブの純粋さと先見の明によって、彼の計画は破綻し、最終的には自らの創造物に命を奪われるという皮肉な結末を迎えます。
『エクス・マキナ』の意味とは
本作のタイトル「エクス・マキナ」は、ラテン語で「機械仕掛けの」という意味です。
この言葉は、「デウス・エクス・マキナ」(機械仕掛けの神、または「a god from the Machine」)という古代ギリシャ演劇の手法に由来しています。この手法は主に悲劇で使用され、解決が困難な状況に神が突然登場し、物語を解決に導くものです。
「デウス・エクス・マキナ」の名は、舞台上で突如現れる「機械仕掛けの神」から来ており、この概念は映画『エクス・マキナ』のテーマや展開に深く関連しています。
さらに、キャラクターの名前も、宗教に由来する意味が込めらられています。
【ネタバレ考察】映画の気になる点について
ケイレブの背中の傷は?
ケイレブがエヴァにチューリングテストをする中で、ケイレブは「自分自身もAIなのではないか」と疑い始めます。
彼はカミソリの刃で自分を刺し、自分が人間であることを確かめますが、その際に彼の背中に大きな傷があることが分かります。あれは、子どもの頃に遭った事故による傷だと考えるのが妥当でしょう。
その事故によって両親をなくし、長く入院していたことから想像ができます。一方で、以下の理由から、ケイレブもAIではないかという見方もできます。
あくまでも可能性として考察する余地を残すところが好きですね!
エヴァの耳打ちは?
終盤、ケイレブがセキュリティを書き換えたことにより、エヴァが自分の部屋から出てきた後、彼女はキョウコに何かを耳打ちします。その後、キョウコはネイサンを背後から刺して致命傷を与えました。
恐らくあの耳打ちは、旧型であるキョウコに対して、エヴァはネイサンを攻撃するようなプログラムを囁いたのだと考えられます。
「セッション7」の意味
『エクス・マキナ』では、ケイレブがエヴァをチューリングテストするタイミングで「セッション(数字)」というようなシークエンスで構成されています。
彼女をテストする度にその数字が増えていくのです。しかし、エヴァのテストが終わった後にも「セッション7」というものがありました。
つまり、あのセッションが意味していたのは、ケイレブがエヴァをテストしていたのではなく、エヴァが別荘から脱出するまでをセッションとしていたのだと考えられます。
エヴァはなぜヘリに乗れたのか
ラストシーン、ケイレブが乗るはずの街へ戻るためのヘリコプターにエヴァが乗っていきます。
なぜケイレブではないエヴァがすんなり乗れたのか。これはネイサンの性格上「時間と場所と人数」だけを指示していたからだと考えられます。
そのため、ヘリで迎えに来た人は誰であってもその指示に従うだけなので、簡単にエヴァは街へと向かうことがでたのでしょう。
登場する抽象画
劇中、ネイサンが紹介する抽象画があります。これはジャクソン・ポロックの「No.5,1948」という作品。
世界で最も高額で売買された美術品の一つであり、抽象画を代表する作品。
絵の具を適当に散らしただけにみえますよね!
しかし、これは人間だからこそ描くことができる絵とも言えるのです。さらに、自由に見えるポロックの絵画も、実は数学的な分析によると「共通性がある」というので面白い話です。
こういった抽象画が生まれた背景を知ることでアートに対する捉え方も変わります。特に以下の書籍は分かりやすくておすすめ。
このあたり、私の大好きなゲーム『デトロイト:ビカムヒューマン』の中でも描かれていました。『エクス・マキナ』が好きな方は100%ハマるゲームですので、ぜひチェックしてみてください。
映画『エクス・マキナ』の舞台・撮影場所
美しい大自然と近代的なデザインを融合させたネイサンの別荘ですが、実はこの場所、実在します。
ノルウェーにある「ユーヴェ ランドスケープ ホテル」。
ノルウェーの首都、オスロから車で6〜7時間のフィヨルドが美しい土地に佇むこのホテル。世界遺産のガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルドも近くにあります。
設計したのは、ノルウェーを代表する建築家のヤン・オラフ・イェンセン。
かなり好きな建物デザインだったので、行ってみたい…!
まとめ:『エクス・マキナ』は美しいSFスリラー
今回は、アレックス・ガーランド監督の映画『エクス・マキナ』をご紹介しました。
アカデミー賞で視覚効果賞を受賞したこともあり、映像表現の美しさが際立つ映画でした。光で透けて見える炭素繊維でできた造形と美しい自然、美しい建物。
近年のSF映画のロボットの中でも一番造形美が合ったと感じます。こだわり抜かれた映像設計による良質なSFスリラーでした!
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