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映画レビュー

【ネタバレ考察】映画『82年生まれ、キム・ジヨン』は原作の最後の一行が…

今回ご紹介する映画は『82年生まれ、キム・ジヨン』です。

キム・ドヨン監督が、2016年に韓国で異例のベストセラーになった同名のフェミニズム小説を映画化した本作。

主演には、3度目の共演で初の夫婦を演じる、チョン・ユミとコン・ユ

女性の生きづらさを痛烈に描いた原作が映画でどう描かれていたのか、解説していきます。

『82年生まれ、キム・ジヨン』の作品情報とあらすじ

『82年生まれ、キム・ジヨン』

82年生まれ、キム・ジヨン
ストーリー
感動
面白さ
テーマ性
満足度

あらすじ

結婚を機に仕事を辞めたジヨンは、育児・家事に忙しくしていて、時に閉塞感を感じていた。そんなある時、彼女は別の人格が宿ったような言動をする。夫のデヒョンはジヨンにその真実を告げることができずにいた。なにが彼女の心を壊してしまったのか、彼女の半生を通して見えてくるものとは…。

作品情報

タイトル82年生まれ、キム・ジヨン
原題82년생 김지영
Kim Ji Young, Born in ’82(英題)
監督キム・ドヨン
脚本ユ・ヨンア
原作チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』
出演チョン・ユミ
コン・ユ
キム・ミギョン
製作国韓国
製作年2019年
上映時間118分

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

おすすめポイント

誰にとっても起こりうる、向き合うべき問題。

韓国でベストセラーになった小説を映画化。

結婚や出産、育児、そして仕事。男性も女性も、結婚する人もしない人にとっても決して他人事ではないテーマ

家族でも友人でも、そして自分自身ですら、無意識の価値観やバイアスによって生きづらさを抱えてしまうことがある。

まめもやし

原作小説も含めて多くの人に観てほしい、読んでほしい作品。

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『82年生まれ、キム・ジヨン』のスタッフ・原作

キム・ドヨン監督

本作を監督したのは、長編映画監督デビューとなるキム・ドヨン。

本作を手がけた製作会社の「春風映画社」の創設者でもあります。

40代半ばで映画学校に入り、映画づくりをした彼女ですが、監督デビュー作というのはまったく感じられず、彼女なりに原作を紐解いていたように感じます。

原作:チョ・ナムジュ

原作は2016年に韓国でベストセラーとなり、世界中でも社会現象となった『82年生まれ、キム・ジヨン』

著者のチョ・ナムジュは、子育て中にこの小説を書き上げたそう。

原作や映画でも登場する「ママ虫(マムチュン)」というヘイト発言がきっかけにして生まれ、「キム・ジヨン」という名前は、82年の韓国の女性で一番多かった名前だと言います。

まめもやし

映画を観た人は、ぜひ原作小説を読んでみてほしいです…!理由は後述します。

『82年生まれ、キム・ジヨン』のキャスト

キャスト役名
チャン・ユミキム・ジヨン
コン・ユチョン・デヒョン
キム・ミギョンミスク
コン・ミンジョンキム・ウニョン

チャン・ユミ

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

主人公、キム・ジヨンを演じたのはチャン・ユミ

内に抱えた複雑な思いを言葉よりも表情で物語っていた本作では、非常に繊細な表情を見せてくれました。

主な出演作

  • 『トガニ 幼き瞳の告発』
  • 『新感染 ファイナル・エクスプレス』

チャン・ユミはNetflixの韓ドラ『保健教師アン・ウニョン』で非常に面白い役柄を演じています。

コン・ユ

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

キム・ジヨンの夫、デヒョン役にはコン・ユが配役。

韓国ゾンビ映画として1000万人超えの観客動員を記録した『新感染 ファイナル・エクスプレス』や、大人気ドラマ『トッケビ』などで活躍した2016年から3年ぶりの映画となりました。

ジヨンの夫という、一番近くにいる男性として親近感と好感を与えていました。

主な出演作

  • 『新感染 ファイナル・エクスプレス』
  • 『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』

ネタバレあり

以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ考察】原作と映画の違いこそが現実

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

映画を観てから原作小説を読んだ私が感じたのは、原作との描かれ方に相違があること。

映画版はエッジの効いた原作の良さを削ってしまい、原作で主張する部分が、映画の描き方自体に現れてしまうという皮肉な印象を受けました。

原作小説と映画版で大きく異なっていたのは以下の3点。

  • 夫の描写
  • ジヨンや母の描写
  • 構成の違い
まめもやし

これらの観点から作品をみていきます!

夫の描写

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

まずは、夫の描写について。

映画版を先に観た私としては、「理解のある夫だな」という印象が残りました。

さらに言うと、夫役を人気俳優のコン・ユを起用したことにより、夫の印象に対して好感を覚える人もいると思います。

しかし、その後に原作を読むと、まったく違うように映ってくるのです。

キム・ジヨンという女性は、思ったことをあまり口に出せない人物でした。

それは映画版でも同様で、チョン・ユミ演じるキム・ジヨンの表情で内面を語る場面が多くありました。

結婚、出産、そして育児。それぞれのライフステージにおいて、夫との考え方のギャップが原作では非常に明確に描かれています。

個人的に印象的だったのが、周りから急かされた夫がジヨンに「子どもを一人、持とうよ」と言うシーン。

「そうだ、京都行こう」的なノリで子どもを作ろうと提案する夫と、子どもを持つことによる環境の変化を真剣に捉えるジヨンとのギャップが端的に現れたシーンです。

「失うもののことばかり考えるなって言うけど、私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友だちっていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。だから失うもののことばっかり考えちゃうんだよ。だけど、あなたは何を失うの?」

このシーン、原作を読んで強烈に感じた場面だったのですが、映画を観るとさほど深刻さは感じられず、夫にウヤムヤにされてじゃれ合っているようにしか見えなかったのです。

原作だと「傍観者」的な夫の姿が、映画の場合「妻に寄り添う夫」として描かれていて、夫婦の関係性は、原作ほど角が立っていませんでした。

さらに原作では、ジヨンは夫に対して感情をぶつけることも多くあるのですが、映画ではそれが受け身(表情によるもの)となっているのも印象的でした。

まめもやし

これらが原作と映画で印象が違って映る部分のひとつです。

ジヨンや母の描写

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

つづいて、キム・ジヨンや彼女の母親の描写について。

中でも大きく異なっているのが、ラストの描き方。

カフェにて、会社員たちから「ママ虫」と囁かれるシーン以降の展開。

「ママ虫」とは、夫の稼ぎでのんびり過ごしている女性を表したインターネットスラングのひとつです。

映画では、同様のシーンが冒頭で映されていて、逃げ出したジヨンが、ラストでは言い返す場面になっていました。

さらに、夫のデヒョンが主体的に育児をしていくことで、ジヨンも仕事復帰ができそうな期待感を感じさせるラストになっています。

まめもやし

私はこの脚色が果たして良かったのか、頭を悩ませてしましました…。

というのも、ジヨンが生きづらさを乗り越えたような印象を受けるのです。

映画のみを観ると、違和感なく成立しているのですが、原作を読むと非常に気持ちが悪く感じてしまいます。

原作で徹底して描かれていた女性の生きづらさが、映画ではまるで夫の支えによって改善したかのように感じてしまうから。

映画での最大の見せ場は、夫が育休し、ジヨンが仕事復帰することに対しての義母からの猛烈な反対、そしてそれを知ったジヨンの母・ミスクが訪れるシーン。

これは原作にないシーンですが、母・ミスクが兄弟のために夢を諦めた過去とジヨンの姿を重ね、一方で、ジヨンはミスクの母親(ジヨンの祖母)の人格に憑依するのです。

女性としての不憫な境遇を擬似的に3世代に渡って見せるという高度な描き方をしていました。

一方で、原作ではミスクをより丁寧に描いています。

ミスクは、男の子を期待されながらもジヨンを産んだ後に女の子を授かったことで、流産していたのでした。

彼女が抱えていたプレッシャーや、長女のウニョンに自分と同様の道を歩ませてしまったことへの罪悪感が描かれていました。

原作では印象的な場面も、映画では、車の中でサラッとウニョン本人から言われるだけでしたね。

構成の違い

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©2019 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

映画と原作の決定的な違いとして、構成の違いが挙げられます。

原作では、精神科に訪れたジヨンと夫デヒョンの話から、男性の精神科医が作ったカルテを元にキム・ジヨンの人生を振り返るという構成になっています。

そして、これこそが原作のラスト一行にエッジ効いた効果をもたらしている訳なのですが、映画はそうではありません。

原作のラストでは、ジヨンを分析していた精神科医自身が、女性への理解不足が最後の一行で分かるという、痛烈な風刺で終わるのでした。

原作の最後の一行こそ、強烈ではありますが、女性の抱える生きづらさを痛烈に印象づける働きがあったと思います。

映画ではキレイに着地してしまっているため、なんともモヤモヤが残ってしまいました。

まとめ:『82年生まれ、キム・ジヨン』は原作とセットで考えよう!

以上、『82年生まれ、キム・ジヨン』を紹介しました。

フェミニズム小説を映画化した本作ですが、原作のいいところが良くも悪くも大衆向けに丸くなってしまった印象がありました。

とはいえ、男性である私自身、ハッとさせられる場面や、何気ない言動が与える印象など、さまざまな気づきがありました。

映画を観た人はぜひ、原作を読んでみることをオススメします。

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