今回ご紹介する作品は『アンブレラ・アカデミー』シーズン3です。
本記事では、ネタバレありで『アンブレラ・アカデミー』シーズン3を観た感想・考察、あらすじを解説。
大混乱でシッチャカメッチャカのシーズン3!でもこのシリーズらしくてそれも面白い!
『アンブレラ・アカデミー』シリーズ解説はこちらから!
『アンブレラ・アカデミー』シーズン3作品情報・配信・予告・評価
ネタバレあり
以下では、『アンブレラ・アカデミー』シーズン3の各エピソードのネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
第1話:もうひとつの家族 "Meet the Family"
(C) Netflix
スパロー・アカデミー登場
1989年10月1日、韓国・ソウルをはじめとして、世界中で16人の女性が突如陣痛を迎え、16人の子供が誕生した。レジナルド・ハーグリーヴズ卿は、そのうちの7人を養子に迎え入れる。『アンブレラ・アカデミー』シーズン1第1話と同様のオープニングだが、シンボルマークは、傘ではなくスパロー・アカデミーの雀になっている。
1号のマーカスは屋上でトレーニングに励み、ファンの声援を受けている。3号のフェイは、カラスが鳴く中、ロッククライミングをしている。彼女は視力がないようだ。
2号のベンと7号のクリストファー(浮遊する立方体)はクラブにいる。6号のジェイミーと4号のアルフォンソは、ピザ屋で無礼な連中を倒す。
5号のスローンは寝室の天井で逆さになって読書している。アラームが鳴ったことで、スパロー・アカデミーは広間へ向かう。これが『アンブレラ・アカデミー』シーズン2の最後の場面へとつながる。一方、アカデミーの地下の部屋では、謎の赤いエネルギー球が出現していた。
アンブレラ・アカデミーは自分たちによく似たスパロー・アカデミーがいることで、両者が対面すると、マーカスは、「昔ながらの方法で決着をつけよう」と提案する。すると、スパロー・アカデミーとアンブレラ・アカデミーの両者は、ケニー・ロギンスの「フットルース」に合わせてダンスバトルを始める。
しかし、これはジェイミーの唾液をかけられたことでディエゴが見ていた幻想であることが判明する。
アンブレラ・アカデミー vs スパロー・アカデミー
クラウスがベンに絡み始めると、両アカデミーは戦い始める。アンブレラ・アカデミーのメンバーはスパロー・アカデミーのメンバーに圧倒されてしまう。
クラウスがハーグリーヴズ卿に尋ねると、彼は1963年にアンブレラ・アカデミーと出会った後、他の子供たちを養子にすることを決めたと明かす。
ヴァーニャはエネルギー波を放ち、マーカス以外のメンバーを吹き飛ばす。それを見たマーカスは戦いの終結を宣言し、アンブレラ・アカデミーに立ち去るように告げる。
アンブレラ・アカデミーのメンバーは、スパロー・アカデミーに負けたことを悔しがるが、タイムトラベルしてタイムラインを修正することで同意する。しかし、5号は戦いの最中にブリーフケースが消えていたことを明かす。
ブリーフケースを奪っていたのはグレースだった。彼女は地下室にブリーフケースを持っていき、そこで脈打つ大きなエネルギー球を目撃する。
ホテル・オブシディアン
アンブレラ・アカデミーは休息先として、クラウスの案内でホテル・オブシディアンに到着する。ホテルはかつて、社交界の名士や世界的なリーダーをもてなしたことで知られていたが、今は古びた下宿となっている。
クラウスはコンシェルジュのチェットと知り合いのはずだったが、彼は知らない素振りを見せる。所持金がないため、ルーサーの腕時計で2部屋を確保する。
一方、スパロー・アカデミーはトレーニングしながらアンブレラ・アカデミーを探し出して倒そうと意気込んでいた。しかし、マーカスはヴァーニャに吹き飛ばされた他のメンバーたちの映像を見せ、彼らを叱責する。
ハーグリーヴズ卿がやってくると、アンブレラ・アカデミーが能力と衛生観念が低い一方で、1963年の世界を救った事実を評価し、侮れないと伝える。
ヴァーニャとアリソンはこれまでの異常な生活を振り返る。ヴァーニャはアリソンを気遣い、娘のクレアに会いに行くように勧める。
ヴァーニャとマーカスの取引
屋上でトレーニングをしていたマーカスは、観衆の中にヴァーニャの姿を発見する。その後、二人はダイナーで話し合う。ヴァーニャはスパロー・アカデミーがアンブレラ・アカデミーよりも強いことを認めるが、一方で、自分が一番強いマーカスよりも強いと主張する。なぜなら彼女は世界を二度終わらせているからだ。
アカデミーのブランドイメージを大事にするマーカスにとって、自分が負ける姿を見せるわけにはいかないため、ヴァーニャはそれを利用してブリーフケースを返すことを要求する。二人のやり取りは、カラスを通じてベンとフェイが目撃していた。二人はマーカスへの不信感を抱いている様子だ。
一方、謎の男が「レスター・ポケット」と書かれたブリーフケースを持って森の中の家で荷造りをして出ていくと、彼は何かに不安を感じているようで、数ある録音テープから「蜂の羽音」をピックアップして聞き、リラックスしようとする。
謎のエネルギー球
ルーサー、ディエゴ、クラウス、5号の4人は、ホテルのロビーで軽食を食べている。5号はこの時代に自分たちのドッペルゲンガーがいることを推測する。
一方、ディエゴはホテルでライラと再会する。すると彼女は、12歳の少年スタンリーを紹介し、彼がディエゴとの息子であると明かす。ディエゴが驚く中、ライラはスタンリーを残して去っていく。
スパロー・アカデミーに戻ったマーカスは、地下室にブリーフケースを取りにやってくる。すると、グレースと謎のエネルギー球を目撃する。グレースは、そのエネルギー球から神の語りかけが聞こえると主張する。
マーカスが恐る恐るエネルギー球に近づき、手を伸ばして触れると、その球体からパルス波のようなエネルギーが発せられる。
発せられたエネルギーは街中に波及し、ホテル・オブシディアンにまで及ぶ。すると、エネルギーを浴びたホテルのフロントの犬は蒸発するように消える。
やがてエネルギーはスパロー・アカデミーまで戻り、マーカスの体は蒸発するように消えてエネルギー球に取り込まれ、グレースだけが残される。
第2話:世界最大の糸玉 "World's Biggest Ball of Twine"
(C) Netflix
ヴァーニャからヴィクターへ
ルーサーはランニングに出かけるが、公園でフェイのカラスに襲われる。その後、ルーサーの前にベン、フェイ、スローンが現れると、彼は気絶させられる。
アリソンはロサンゼルスに向かい、クレアに会うために自宅に帰っていた。彼女がベッドルームに入ると、ベッドで寝ている娘はクレアではないことに気づく。すると間もなくパトリックと妻が現れ、アリソンは追い出される。元夫のパトリックも、アリソンのことは知らない様子だ。
ヴァーニャは、ある歴史本を読み、その中でアンブレラ・アカデミーがケネディ暗殺に関与した「ケネディ・シックス」と記載されていることを知る。さらに、1989年10月1日にシシーが死亡したことを知る。アンブレラ・アカデミーの兄妹たちが生まれた日だ。
その後、ヴァーニャはシシーを思い出し、床屋で散髪する。ホテルのロビーで、クラウスとディエゴ、5号が話し合っている中、髪を短くしたヴァーニャが現れると、自分を「ヴィクター」と言い、「これが本当の僕だ」と明かす。
ディエゴ、クラウス、5号はすぐにヴィクターを受け入れる。ヴィクターはマーカスと取引してブリーフケースを返してもらうことになっていると伝えるが、5号は黙示録を回避したことで引退することを宣言する。
薬局でのバトル
ディエゴは、息子のスタンリーの耳から液体がにじみ出ていることに気づき、息子を連れて薬局へ向かう。
ディエゴとスタンリーが薬局に着くと、アルフォンソとジェイミーがいることに気づく。ディエゴはアルフォンソに喧嘩を仕掛け、エンゲルベルト・フンパーディンクの「Quando, Quando, Quando」が流れる中、二人は薬局内で戦い始める。
ディエゴは押され気味だったが、スタンリーの手助けによってアルフォンソとジェイミーに一矢報いる。その隙に二人は薬局を後にする。
スパロー・アカデミーの人質になるルーサー
ルーサーはスパロー・アカデミーで目を覚まし、メンバーに健康的な朝食で迎えられる。彼らはマーカスが行方不明になったことで、アンブレラ・アカデミーが連れ去ったと疑っていた。つまりルーサーはマーカスが戻ってくるまでの人質だった。
ルーサーはスパロー・アカデミーの施設に感心し、スローンと会話を楽しむ。スローンが「アカデミーから出たいと思っている」と伝えると、ルーサーは月に行ったことを話して盛り上がる。
しかし、スローンは監視カメラで会話の様子が監視されていることを察し、ルーサーにアンブレラ・アカデミーの居場所を尋ねる。この質問によって、ルーサーはスローンが罠を仕掛けていると思い込む。スローンが弁明しようとすると、フェイが現れ、ベンが話があると呼び出して中断される。
一方、ライラはブリーフケースを使ってベルリンに行こうとするが、うまくいかず、ブリーフケースをベンチに叩きつけて怒りをぶつける。その後、彼女はアカデミーの近くに来ると、スローンの重力操作の力を使って屋根に登る。
クラウスの母親を探す小旅行
クラウスは5号をドライブ旅行に誘い、5号は引退生活を謳歌しようとしていたが、それも束の間、クラウスは自分の生みの母親を探しに行くと告げる。5号は話が違うと苛立ち、道中にあった「世界最大の糸玉」を見に行くためにハンドルを切る。
クラウスは、ハーグリーヴズ卿の部屋で小切手の半券を見つけたことで生みの母親の存在を知ったと5号に明かす。その後、クラウスと5号は、クラウスの母親がいると思われる住所にたどり着く。そこはアーミッシュのコミュニティだった。
クラウスはある女性に声をかけ、レイチェルを探していると尋ねるが、その夫と思しき男が現れてクラウスを押し倒す。
一方、アカデミーの地下のエネルギー球が再び脈打ち、そのエネルギー波によって、牧場の牛が一瞬にして消滅する。それを目撃した5号は、何か異変が起きていることを察する。
クラウスは再度同じ女性に声をかけて話を聞くと、その女性はレイチェルの姉妹だというが、彼女は30年前の1989年10月1日に亡くなったと明かす。
彼女はレイチェルの死が不自然だったことを伝え、クラウスにメモ帳を渡す。クラウスと5号はアーミッシュのコミュニティから逃げ出していく。
祖父のパラドックス
ヴィクターはマーカスについての計画をアリソンに説明すると、アリソンは一緒に行くことを申し出る。ヴィクターの件を知ったアリソンは、自分が気付かなかったことを責めるが、ヴィクターはシシーと過ごして本当の自分に気づいたから、気付くはずがないと伝える。アリソンはヴィクターを受け入れ、「何があっても家族」と伝える。
その後、二人はマーカスと約束したダイナーで待つが、アリソンは座り込み運動をしたダイナーの幻影を見て不安に感じ、外へ出る。外では、蜂の羽音を聴いていた男がアリソンを監視していた。アリソンが男の視線に気づいて追いかけるが、路地で見失ってしまう。
ヴィクターが合流し、マーカスが来ないことで二人はホテル・オブシディアンに戻る。
ベンに呼び出されたルーサーは、アカデミーの広間で人質から解放すると言われる。しかし、これはスパロー・アカデミーからのメッセージであり、マーカスを解放しなければ、アンブレラ・アカデミーを攻撃することを意味していた。
一方、アカデミーの屋上にいたライラは、フェイの能力をコピーし、カラスを操ってブリーフケースを回収する。
ホテルにクラウスと5号が戻ってくると、5号は「祖父のパラドックス」が発生していると説明する。その頃、スパロー・アカデミーからホテルに戻ろうとするルーサーは、スローンに呼び止められ、彼女の部屋に入る。スローンは、監視されていたことで言葉に気を遣ったことを明かし、ルーサーに対する好意は本心だと伝える。そして二人はキスをする。
第3話:ポケットに秘められた力 "Pocket Full of Lightning"
(C) Netflix
アカデミー同士の交渉
「祖父のパラドックス」が寸劇で説明された後、ラヴィン・スプーンフルの「Do You Believe In Magic」が流れる中、ルーサーはスローンの部屋を出て、『雨に唄えば』のようにご機嫌に散歩する。ルーサーが公園の露店でフリスクとコンドームを買おうとすると、アカデミーのエネルギー球が脈打ち、露店主が消え去る。
5号は「祖父のパラドックス」が起きた場合、消失が発生すると予測する。5号がライラからブリーフケースを回収しに向かうと、ルーサーが戻ってくる。ルーサーは自分が人質になっていたこと、彼らがマーカスを返すように訴えていることを明かす。
ルーサー、ヴィクター、アリソンは、マーカスがパラドックスによって消失したと推理し、ヴィクターとアリソンはスパロー・アカデミーと話をしに行くことにする。
一方、スパロー・アカデミーでは、フェイの部屋でベンとフェイが、マーカスがいなくなった後の序列について議論する。スパロー・アカデミーの場合、番号は能力による序列を意味するようだ。
ホテル・オブシディアンのロビーでは、謎の男がレスター・ポケットの名前でチェックインする。
ヴィクターとアリソンはスパロー・アカデミーで、ベンとフェイに会う。アリソンはマーカスを人質にしていると嘘をつくと、ベンもブリーフケースを持っていると嘘をつく。両者が嘘をついて交渉し、夕方にホテル・オブシディアンで取引することに同意する。ヴィクターはアリソンの無謀な行動を注意するが、アリソンは娘の件で必死になっていた。
ベンとフェイは、ブリーフケースを探しに地下室へ行き、そこでグレースとエネルギー球を目撃する。グレースはエネルギー球が神の生まれ変わりだと言い、マーカスが取り込まれたことを告げるが、二人はグレースがおかしくなったと思い、信じない。
5号とライラの協力
5号は、入浴中のライラの元へ向かい、二人は戦い始める。5号はライラを追い詰め、彼女がブリーフケースを2つ持っていることに気付くが、どちらも機能していないことを知る。5号は仕方なく、ライラに協力する必要があることを伝え、二人は休戦する。ディエゴはライラとスタンリーの育て方について話そうとするが、ライラは相手にしない。
5号とライラは、ブリーフケースに電気を流してショートさせようとするが失敗する。二人は口論した後、確実にタイムトラベルするために、ライラが5号の能力をコピーし、二人で力を合わせることで同意する。
5号とライラは協力し、力を振り絞りタイムトラベルに成功する。二人は雪に覆われた場所にジャンプするが、その場所がコミッション本部の前であることに気付く。
クラウスとハーグリーヴズ卿
一方、クラウスは下水道に潜り、スパロー・アカデミーのハーグリーヴズ卿の部屋に忍び込む。クラウスはハーグリーヴズ卿に会うと、自分の母親を殺したかと尋ねるが、彼は殺していないと答える。
そこにジェイミーとアルフォンソが入ってきたことでクラウスは身を潜めて様子を伺う。すると二人はハーグリーヴズ卿に薬を飲ませ、書類に署名させていた。
ハーグリーヴズ卿がスパロー・アカデミーに利用されるようになったことを愚痴ると、クラウスは薬を飲んだふりをする方法を教える。
その後、クラウスがハーグリーヴズ卿と一緒にテレビを見ていると、彼が眠っていることに気づき、寝言で「オブリビオン」と呟くのを聞く。その後、クラウスはグレースの歌声を耳にして地下室に向かうと、そこでエネルギー球を目撃する。
取引中止の思わぬ結末
ルーサーはスローンのためにミックステープを作っていた。ディエゴはスパロー・アカデミーとの戦いに備えて火炎瓶を用意する。ルーサーはディエゴから、ヴァーニャがヴィクターになったことを知らされ、お祝いをしようと言う。その後、ヴィクターに対面すると、ルーサーは照れくさそうに髪型を褒める。
夕方になり、スパロー・アカデミーのベン、フェイ、アルフォンソ、スローン、ジェイミー、クリストファーの6人が現れ、ルーサーとディエゴ、アリソン、ヴィクターの4人が対峙する。
お互いにマーカスとブリーフケースが用意できていないことが明らかになり、ベンは取引中止を告げる。すると、スタンリーが火炎瓶を持って現れ、それを落としてしまい、ロビーが小さな火事を起こす。
ベンはクリストファーに命じ、ヴィクター、アリソン、ルーサーに脳にダメージを与える攻撃を仕掛けて苦しませる。ベンが他のメンバーに殺すように命じると、ロビーにレスター・ポケットが現れ、スパロー・アカデミーのメンバーに強力なエネルギー波を放つ。
エネルギー波を浴びたアルフォンソとジェイミーは死亡し、ベンは残りのメンバーに退却を指示する。ルーサーは気絶したスローンに声を掛ける。
ヴィクターが自分たちを助けた男の姿を確認すると、レスター・ポケットが成長したハーランであることに気付く。
第4話:クーゲルブリッツ "Kugelblitz"
(C) Netflix
ルーサーとスローンの計画
ヴィクターが去った後のハーランは、残った能力が原因で、シシーと共に国内を転々と生活する。1989年10月1日、大人になったハーランは、病院で母が息を引き取るのを看取り、抑えていた気持ちを解き放つようにエネルギーを放出する。
現代に戻り、ホテル・オブシディアンに戻ったクラウスは、ロビーの惨状を見てヴィクターが覚醒したのかと勘違いする。
スローンは兄弟の死体を目撃して逃げ出し、ルーサーとアリソンが追いかける。取り乱したスローンは、ルーサーに自分たちをはめたのかと問い詰めるが、ディエゴとアリソンが到着し、逆にスローンを押さえつけて問い詰める。
アリソンは能力を使ってブリーフケースの場所を吐かせようとするが、スローンは何も知らなかった。アリソンの情緒は不安定な様子で、自分自身に能力をかけて幸せを感じようとするが、うまくいかず、鏡を割った破片で髪を短くする。
一方、ベンとフェイは、スパロー・アカデミーに戻り、アルフォンソとジェイミーを死なせたことで口論する。ベンは新たな計画を立てようとするが、思いつかず、フェイとクリストファーは彼の元から去っていく。
ルーサーとスローンは、正直な気持ちをぶつけ合い、二人が協力することで家族間の争いをやめられないかと考える。
ヴィクターはハーランの後を追い、彼が農家の湖でヴィクターに助けられてから、意識を共有していることを明かす。それは音叉のように頭の中で反響し、彼を苦しめていた。ヴィクターがシシーについて尋ねると、彼女は心からヴィクターを愛していたと伝える。
その後、ヴィクターはルーサーに呼び出されてロビーに行くと、ルーサーとスローンは、アリソンとディエゴ、ヴィクターの前で、休戦するためのプランを共有する。
アルフォンソとジェイミーの遺体と一緒にスローンをスパロー・アカデミーに戻し、彼女を通じてハーランが無関係であることを説得してもらうという計画だ。アリソンとディエゴは反対するが、ヴィクターは賛成する。
クラウスとスタンリーの清掃
スタンリーはロビーの一部を燃やしたことで、弁償の代わりにチェットから清掃を命じられる。ディエゴはクラウスに監視役を頼む。クラウスとスタンリーは、雑談を通じて、お互いが同じように親への反抗心として問題行動を起こしていることを知る。
その後、二人は「ホワイト・バッファロー・スイート」という部屋に忍び込むと、水中銃を見つけて興奮したスタンリーが、誤ってクラウスの胸の真ん中を撃ってしまう。
コミッションの創設者
5号とライラはコミッション本部に入るが、内部は破壊されていた。5号は無限スイッチボードで、ハーブが祖父のパラドックスの影響で消滅する映像を目撃する。5号は祖父のパラドックスがビッグバンの反対のような現象を引き起こしていると推測する。
ライラは祖父のパラドックスのハンドブックを手に入れ、その中に、対応策として「コミッションの創設者をオペレーション・バンカーに収容せよ」と書かれていることを発見する。
バンカーに到着すると、内部には老人が生命維持装置につながれていた。5号はその人物が自分であることに気づく。コミッションの創設者は5号自身だった。
老人の5号は、5号がやってきたことで、「クーゲルブリッツ」(ブラックホールのような現象)が起きていると説明する。5号が解決法を尋ねると、「オブリビオン」しかないと言い、「世界を救おうとするな」と言い残して息を引き取る。5号は苛立ちながらライラを部屋から追い出し、次に何をすべきかを考え始める。
母親たちの死の原因
アリソンはルーサーの計画を聞いて苛立つ。その様子を心配したディエゴは彼女をドライブに誘う。アリソンは娘のクレアに会うために夫のレイモンドと離れたにもかかわらず、結果的に二人ともに会えなくなったことで穏やかではいられなかった。
さらに、1960年代のダラスで黒人であることの苦労を明かす。するとディエゴは、バーの前で南軍旗を掲げる男たちを見つけ、彼らに憂さ晴らししてもいいと提案する。
ルーサーとヴィクターは、ベン、フェイ、クリストファーとの交渉場所に到着する。交渉は成立するが、ベンは新たな条件として、ハーランを連れてくるよう要求する。
ハーランはヴィクターの部屋で、アンブレラ・アカデミーのメンバーの母親たちの新聞の切り抜きを発見し、動揺する。ヴィクターがその様子を目撃し、心配して尋ねると、ハーランはヴィクターの肩に手を置き、言葉ではなく意識で何があったのかを共有する。
ヴィクターは、ハーランがシシーの死後に放ったエネルギー波によって、アンブレラ・アカデミーの母親たちが死亡したことを知る。
第5話:最も倫理的な決断 "Kindest Cut"
(C) Netflix
母親とのつながり
クラウスは白黒の死後の世界で目を覚まし、少女が行くべき場所を指さす。海辺の小屋の中に入ると、クラウスは幼少期にハーグリーブズ卿に閉じ込められて臨死実験をされた記憶を思い出す。
その後、クラウスは実母のレイチェルと出会う。レイチェルは、クラウスが自分を殺した犯人を探している様子を死後の世界から見ており、クラウスが復讐ではなく目的を探していると指摘する。
ヴィクターはハーランに事情を聞き出そうとして口論になり、ヒートアップしたことで、お互いが吹き飛ばされる。その後、ハーランは、シシーが死んだ後、ヴィクターの気配を感じたが、それはヴィクターではなく、アンブレラ・アカデミーの母親たちの意識だった。
突然陣痛を起こしたことによる痛みと恐怖がハーランにつながり、ハーランはそれをなくそうとして起きたことだと明かす。ヴィクターは、自分がハーランを助けたことで彼が苦しむことになったことに同情する。
ハーランの処遇をめぐる家族会議
悪夢を見たアリソンは、レイモンドとの記憶を思い出す。彼女はディエゴと一緒に憂さ晴らしのために南軍旗を掲げる白人至上主義者たちを殴り倒したようだ。
ルーサーは、ロビーでヴィクターとアリソン、ディエゴが怪我をしている様子を見て心配していると、コミッションから5号とライラが戻ってくる。5号はすぐに家族会議を開き、ディエゴはクラウスの行方を探すためにスタンリーを追いかけていく。
スタンリーは、クラウスを殺してしまったショックで死体を処理しようとしていた。ディエゴはスタンリーを叱り、事情を説明するためにクラウスの死体をロビーに運ぶことにする。
ホテル・オブシディアンのバーで、5号は「クーゲルブリッツ」を阻止するために、母親殺しの犯人を食い止める必要があると説明するが、ブリーフケースは壊れており、タイムトラベルはできない。
その後、ディエゴとスタンリーがエレベーターでクラウスの死体を運んでいると、クラウスが息を吹き返し、二人も家族会議に合流する。
一方、スパロー・アカデミーでは、ベンとフェイはハーランとクーゲルブリッツをどうするかで意見が対立していた。ベンはフェイに譲歩し、グレースの機械の眼球を利用して、クーゲルブリッツの向こう側を調べようとする。すると、再びクーゲルブリッツが脈打ち、ホテル・オブシディアンのロビーにいた他の客が消失する。
クラウスは、スパロー・アカデミーの地下でクーゲルブリッツを見たことを明かすと、ルーサーはベンにハーランを引き渡すように要求されたことを説明する。ヴィクター以外のメンバーは、クーゲルブリッツを阻止することで人類を救うことが、ハーラン一人の命よりも倫理的に正しいと主張する。
最終的にヴィクターは同意し、ハーランに伝えに行くが、彼はヴィクターと意識を共有していることで理解していた。ハーランは、二人で協力すれば解決できるかもしれないと主張し、賛同したヴィクターは、ハーランを逃がそうとする。
暴走族のポゴ
ライラとディエゴは、スタンリーにホワイト・バッファロー・スイートの部屋の後片付けをさせ、親子の時間を共有する。スタンリーが壁に取り付けられたパチンコ台に刺さった水中銃の銛を引き抜くと、隠し部屋になっていることが判明するが、3人共気づいていない。
アリソンを心配したルーサーが声を掛けると、アリソンはルーサーにキスをしようとするが、ルーサーはスローンへの想いを明かして断る。するとショックを受けたアリソンは能力を使ってルーサーに自分とキスさせるが、すぐに後悔してその場を離れていく。その後、彼女はハーランをこっそり連れ出そうとするヴィクターに遭遇し、ヴィクターの気持ちを理解して協力する。
ロビーに戻ったヴィクターは、5号とルーサー、クラウスにハーランを逃がしたことを伝える。5号は落ち込んでクラウスと一緒にバーで酒を飲み、愚痴をこぼす。5号は老人の自分のタトゥーをクラウスに見せると、クラウスはそれが「マザーズ・オブ・アゴニー」という暴走族のタトゥーであると伝える。
手がかりを掴んだ5号はすぐに暴走族のクラブへ向かい、会員専用の部屋に入ると、そこには暴走族の一員としてタトゥーを彫るポゴの姿があった。
第6話:Marigold "Marigold"
(C) Netflix
オブリビオン計画
2014年、ポゴはスパロー・アカデミーの武術指導をしていたが、ハーグリーブズ卿が人間性を欠くほど限界まで子供たちを追い詰めることを望み、それに対立したことでアカデミーを追い出される。ポゴはアカデミーを去る際に、マーカスに薬のケースを引き渡す。スパローズがハーグリーブズ卿に与えていた薬は、ポゴが用意したものだった。
現代に戻り、5号はポゴに自分が異なるタイムラインのハーグリーブズ卿の子供であることを伝えるが、ポゴは信じようとしない。5号はバイクでポゴの森の中のトレーラーまで追いかけていく。
5号がタトゥーを見せると、ポゴはハーグリーブズ卿がそのシンボルに取り憑かれていたことを明かし、「オブリビオン計画」の一部だと説明する。
ポゴは、ハーグリーブズ卿がスパローズを命がけで任務に使う特攻隊にしようとしていたことを明かし、子供たちを守るために薬を渡したのだった。しかし、ポゴはオブリビオン計画が再開されていることを予想し、危機が迫っていると伝える。5号は運命を受け入れ、老いた自分と同じように胸にタトゥーを彫ることを決意する。
ホテル・オブリビオン
ライラはスタンリーが行方不明になり、「クーゲルブリッツ」によって消失したのではないかと心配する。ディエゴとライラは二人で探し、ホワイト・バッファロー・スイートのパチンコ台の裏の隠し通路を発見する。二人が恐る恐る通路を進んでいくと、その先は、ホワイト・バッファロー・スイートと似た内装の部屋に通じていた。
ディエゴとライラは、通路の先に通じているホテルの内装が、日本風の内装になっており、「ホテル・オブリビオン」であること気づく。ライラはスタンリーが自分たちの子供ではないことを明かし、ディエゴを驚かせる。
混乱したディエゴは、「ベルを鳴らさないでください」と書かれているフロントの呼び鈴を鳴らしてしまう。するとロビーは怪しげな雰囲気に包まれ、ディエゴは何者かの襲撃を受け、左手の小指と薬指の二本を失う。
ディエゴとライラは急いでホワイト・バッファロー・スイートに戻ると、スタンリーが部屋におり、彼が買い物に出かけただけだと知り、安堵する。しかし、クーゲルブリッツが再び脈打ち、ディエゴとライラの目の前でスタンリーは消え去ってしまう。
アリソンの決断
ルーサーがスローンの部屋で過ごしていると、フェイが現れ、ベンに呼び出される。ベンはルーサーにスパロー・アカデミーのコスチュームを渡し、チームに誘う。ルーサーは光栄に思うが、自分はアンブレラ・アカデミーの一員だと言って断る。
クラウスは再度ハーグリーブズ卿の部屋に忍び込み、幼い頃に臨死体験するまで閉じ込めた理由を尋ねる。ハーグリーブズ卿はクラウスのおかげで薬を断つことができたと言い、手助けすることを伝えるが、クラウスを騙して電気ショックを与えて気絶させる。
ハーランとアリソンは、廃墟となった広い敷地に来ていた。そこにヴィクターが合流すると、ハーランとヴィクターは、ハーランから能力を取り去るためにエネルギー波を出し合う実験を始める。
アリソンは、ハーランが作ったエネルギー空間に入ったヴィクターが苦しそうにすると、能力を使ってハーランを止めさせる。しかし、ヴィクターはそれをやる意味を訴え、ヴィクターが苦しむ様子を見たくないアリソンはその場を離れていく。
アリソンはクレアとレイモンドを失ったことで不安定になり、レイモンドの幻覚を見ていた。幻覚のレイモンドは、クレアも自分もすでにいないが、アリソンと過ごした時間は間違いなく存在したと励ます。
ハーランはヴィクターに、彼が「マリーゴールド」と呼ぶ、エネルギーの感覚的な捉え方を伝授する。アリソンが様子の変化に気づいて戻ると、ハーランとヴィクターはエネルギー波で繋がり、空中に浮かんでいた。するとハーランのエネルギーがヴィクターに流れ込み、ハーランは能力を解放することに成功する。
ハーランはアリソンの協力に感謝を伝えるが、会話の中で、アリソンはハーランがアンブレラ・アカデミーの母親たちが死んだ原因であることを知る。アリソンはショックと怒りで感情を剥き出しにする。
母の死の真実を知ったアリソンは、一人でハーランの身柄をスパロー・アカデミーに引き渡す。そこでスパロー・アカデミーのコスチュームを着ているルーサーの姿を目撃し、嫌悪感を露にする。
第7話:別れの時 "Auf Wiedersehen"
(C) Netflix
ライラとスタンリーの出会い
ハンドラーが死んだ後、ライラは1953年のコミッションの無限スイッチボードで、ハンドラーが自分を殺す映像を目撃してショックを受ける。ハーブとドットは、ライラを追い出すために彼女を希望の時間軸に送ることを提案し、ライラは1989年のベルリンへジャンプする。
そこでライラはベルリンの壁からハンドラーが残した緊急用のブリーフケースを回収するが、ハンドラーに対するショックで、ベルリンの壁に怒りをぶつけてハンマーを叩きつける。その時に出会った女性の息子がスタンリーだった。
スタンリーの母親はベーシストと駆け落ちして蒸発し、ライラはスタンリーを連れて行くことに決める。
クラウスの特訓
ハーグリーブズ卿がネリーの「Ride Wit Me」を聴きながら運転していると、トランクにはクラウスの姿があった。ハーグリーブズ卿はクラウスが22分間死んでいたことを告げ、もっと早くやらなければならないという。
その後、クラウスはハーグリーブズ卿によって死亡してから蘇生するまでの反射神経を鍛える訓練をさせられる。アグリー・キッド・ジョーの「Cat's in the Cradle」が流れる中、道路の真ん中に立たされ、何度も車に轢かれて死亡しては蘇生することを繰り返し、次第にクラウスは死亡してから数秒で息を吹き返すまでになる。するとハーグリーブズ卿は「準備ができた」と言い、別の場所へ連れて行く。
二人は墓地に到着し、ハーグリーブズ卿は自分が何者で何ができるのかを本当に理解するには、過去と向き合わなければならないと説明する。クラウスは墓地の中で無数の幽霊たちと対峙し、最終的に彼らを全員打ち負かすことに成功する。
合同の家族会議
ヴィクターはアリソンとハーランがいなくなっていることに気づく。一方、アリソンはスパロー・アカデミーで元気のない様子でいると、心配したルーサーに声をかけられるが、ルーサーがスパローのコスチュームを着ていることを指摘する。するとスローンが現れ、ベンがスパローとアンブレラの合同の家族会議を開くと伝え、メンバーを集めるように指示する。
ホワイト・バッファロー・スイートでは、ディエゴとライラが5号に事情を説明するが、隠し通路は閉ざされていた。その後、ルーサーとスローンが現れ、3人をスパロー・アカデミーへ連れて行く。
合同の家族会議が気まずい空気の中で始まると、ヴィクターが現れてハーランの行方を尋ねる。するとアリソンは自分がハーランを殺したと明かす。
アリソンとヴィクターが激しい口論になると、アリソンはハーランのエネルギー波を受けて能力が活性化したことで、「噂を聞いた」という枕詞なしでも能力を発動させることができ、ヴィクターの口を封じる。
感情的になったアリソンは「地下室に閉じ込めておけばよかった」と言い、怒ったヴィクターは平手打ちをして広間を去り、ベンの部屋に閉じこもる。
ベンの部屋では、イーゼルに「ジェニファー」と書かれた女性の肖像画が多数飾られていた。ジェニファーといえば、ベンが死んだときの任務「ジェニファー事件」が関連している。
クーゲルブリッツ圧縮作戦
ルーサー、ディエゴ、アリソン、5号の4人は、スパロー・アカデミーの地下室でクーゲルブリッツを目撃する。5号とスローンはクーゲルブリッツを抑え込むための計算を始め、物理的に触れずに扱うことができるスローン、ライラ、クリストファー、ヴィクターが必要だと伝える。
その後、ヴィクターが地下室にやってくると、ヴィクターとライラがクーゲルブリッツの周りにエネルギーのバリアを作り、その上からスローンが重力操作によってクーゲルブリッツを圧縮する。すると、クーゲルブリッツを信仰するグレースが火炎放射器で妨害しようとするが、5号が別の場所に移動させて首を折り、機能停止させる。
圧縮したクーゲルブリッツは、クリストファーの立方体の中に閉じ込めるまで小さくなり、それによってクーゲルブリッツの波動を防ぐことに成功する。Queenの「Another One Bites The Dust - Remastered 2011」が流れる中、両アカデミーのメンバーは、クーゲルブリッツの阻止に成功したことでシャンパンで祝杯を上げる。一方で、アリソンとヴィクターは相変わらず不機嫌な様子だ。
危機の再来
一方、屋上では、ルーサーがスローンに月の石を施した指輪を渡してプロポーズし、彼女は承諾する。ライラはディエゴにスタンリーについて嘘をついたことを謝罪し、ディエゴとの子供を妊娠していることを明かす。彼女はディエゴと家族になることを望んでいたが、戸惑うディエゴは「考える時間がほしい」と伝える。
一人でいるヴィクターのもとに5号がやってくると、家族はハーランを殺したアリソンを心配しているが、自分はヴィクターの方が怖いと伝える。5号は、自分とヴィクターが同じく強力な能力を持っていることで気持ちを理解するが、ヴィクターの選択によって全世界に影響することを危惧していた。
何かあれば相談してほしいと伝えるが、5号はヴィクターに「次に嘘をついたら殺す」と告げて去っていく。
一方、フェイは翌朝にアンブレラ・アカデミーたちを抹殺しようとベンに伝えるが、ベンは拒否し、ハーグリーブズ卿との計画があると伝える。その答えに不満を感じたフェイとクリストファーは、ベンに従うのを辞めると宣言し、シャンパンで乾杯する。
すると、クリストファーに異変が起こり、フェイを取り込んで爆発する。そのエネルギーは、世界へと波及し、建物を破壊し、やがてアカデミーを包むほどにクーゲルブリッツが拡大する。
第8話:世界の終わりの結婚式 "Wedding at the End of the World"
(C) Netflix
私たち、結婚しました!
1918年、若きハーグリーブズ卿は野原を調査し、信号拳銃を撃ち上げると空中に赤いゲートが現れた。その後、その場所にはホテル・オブシディアンが建設された。
その後、ハーグリーブズ卿はホワイト・バッファロー・スイートの隠し通路に兵士を送り込むが、しばらくすると、血まみれの兵士が全員死亡したことを伝えて死亡する。彼の口から一匹の虫が這い出ると、ハーグリーブズ卿はその虫を踏み潰す。
現在に戻り、拡大したクーゲルブリッツはスパロー・アカデミー以外の世界を崩壊させていた。5号はすでに万策尽きたとして、老いた自分が「世界を救うな」と言われたことを伝える。世界の滅亡を前にして暗い雰囲気が流れる中、ルーサーとスローンは結婚することを発表し、全員が目を丸くする。
クラウスとハーグリーブズ卿がホテルに戻ってくるが、ハーグリーブズ卿は歓迎されず、擁護するのはベンだけだった。ルーサーはヴィクターに花婿の介添人を依頼し、ヴィクターは承諾する。ルーサーの独身最後のバチェラー・パーティーが開かれる。
ルーサーはカラオケでボニー・タイラーの「Total Eclipse of the Heart」を歌い、その後、5号とクラウスに始まり、ビル・メドレー & ジェニファー・ウォーンズの「(I’ve Had) The Time Of My Life」をディエゴ、ライラ、ヴィクターも一緒に歌う。
一方、ベンはスローンに危機に備えるべきだと主張するが、スローンはベンがバチェラー・パーティーに自分だけが誘われなかったことを気にしていると指摘する。スローンがベンにスパロー・アカデミーに執着する理由を尋ねると、ベンは独り言のように「他に何もないからだ」と呟く。
世界の終わりの結婚式
ホテルの宴会場にメンバーが集まると、アリソンがヴィクターに食って掛かる。二人が口論しそうになると、ルーサーが「今日は俺の日だ」と言って仲裁する。間もなく新婦のスローンが登場し、The Rescuesによるカバー版「Teenage Dream」が流れる中、結婚式と披露宴は、それぞれが思い思いに楽しんで過ごす。
ハーグリーブズ卿は式に招待されていなかったが、クラウスが説得し、結婚式で埋め合わせができるとアドバイスする。すると披露宴がしばらく進んだ後、ハーグリーブズ卿が会場に現れる。
ライラはディエゴに父親に自分を紹介するよう説得し、声を掛けると、彼はライラを褒める言葉をかけるが、ディエゴに「良い父親になったのに不運なタイミングだ」と伝え、ショックを受ける。
ベンは酒を飲んで自虐的な状態に入っていた。クラウスは彼を慰め、アンブレラ・アカデミーのベンは欠点だらけだったと伝え、スパロー・アカデミーのベンは完璧であろうと頑張りすぎていると伝える。
その後、ハーグリーブズ卿は花嫁の父親としてスピーチをする。その裏で、ヴィクターがアリソンに話しかけ、謝罪するが、アリソンは許すつもりはないと言い放ち、会場を後にする。
披露宴を終えて、ルーサーとスローン、ディエゴ、クラウス、5号、ヴィクターが屋外庭園で黙示録的な空を見上げ、家族のひとときを過ごす。
その後、吐き気を催した5号が部屋に戻ると、ホワイト・バッファロー・スイートの部屋の外で、ハーグリーブズ卿が誰かと握手し、何かの交渉を成立させる様子を目撃するが、5号は気を失ってしまう。
第9話:7つの鈴 "Seven Bells"
(C) Netflix
ルーサーの月での任務
The Cureの「Friday I'm In Love」が流れる中、ルーサーの月での任務の様子が描かれる。ルーサーは最初の頃は元気な様子だったが、日が経つにつれて、苛立ちと孤独が募っていく。
972日目になると、ルーサーは生気を失っていた。月面を探索すると、ジオフェンスによって進むことができないエリアを見つける。その先のエリアには基地があり、「アビゲイル・ハーグリーブズ」という女性の死体が冷凍室で安置されていた。
世界を救うか否かの多数決
ルーサーとスローンの結婚式の翌朝、5号はひどい二日酔いで目を覚まし、しばらくして前夜の記憶を思い出す。ハーグリーブズ卿が誰かと取引している様子が脳裏に蘇る。
ヴィクターが目覚めると、ハーグリーブズ卿が朝食を持ってくる。彼は昨夜、自分だけがシラフでヴィクターとアリソンの口論を目撃したと言い、家族の問題に言及する。
新婚のルーサーとスローンは幸せな気持ちで目を覚ますが、ハーグリーブズ卿の話題になるとルーサーの表情は曇る。そこへアリソンがやってきて、態度を謝罪し、ハーグリーブズ卿が家族会議を開くから集まるように伝える。
5号は崩壊する世界の端に腰掛けて酒を飲んでいると、ハーグリーブズ卿がやってきて会議に出席するよう説得する。5号は昨夜の交渉について問い詰めるが、ハーグリーブズ卿は知らないフリをする。
ロビーに家族が集められると、ハーグリーブズ卿は神話の話を持ち出し、「7つの鈴」を鳴らすことで救われると話す。ホテルが宇宙のポータルの周りに作られていると主張し、「向こう側」で「7つの鈴」を鳴らすことで終末を回避できるが、向こう側にはガーディアンがいるため危険を伴うという。
家族は全員の多数決で決めることになり、それぞれが考える時間を設ける。
ベンは真っ先に向こう側へ行くことに賛同し、アリソン、クラウスも続く。子どものことを心配していたライラも参加を表明するが、ディエゴは不参加を表明する。ヴィクターは何が起こるかわからないと不参加を表明し、ルーサーとスローンも残りの時間を大切にしたいと不参加を表明する。
これで参加4人、不参加4人となり、5号の決断で決まることになる。5号は不参加を表明する。ハーグリーブズ卿は向こう側に行く場合、7人でなければならないと言い、多数決によって全員が崩壊する世界に残ることになる。アリソンは世界が終わるのを待つだけとなったことに絶望して涙を流す。
ハーグリーブズ卿の陰謀
ルーサーは残り時間をスローンと過ごそうと飲み物用の氷を用意していると、ハーグリーブズ卿が部屋で落ち込んでいる様子を見かけ、思わず声を掛ける。ハーグリーブズ卿はルーサーにこれまでの態度を謝罪し、ルーサーは許して受け入れる。二人がハグをすると、ハーグリーブズ卿は「自己実現が宇宙の終わりとは不運だな」と言い、エイリアンの触手でルーサーの胸を突き刺し、胸を切り裂いて殺す。
死にゆくルーサーに対し、ハーグリーブズ卿は「結婚式で団結できないなら、葬式をするしかない」と言う。
5号がヴィクターにハーグリーブズ卿が何かを隠していることを伝えると、ヴィクターはアリソンも妙な雰囲気だったことを明かす。それにより、5号はハーグリーブズ卿の取引相手がアリソンだったことを思い出す。
しかし、間もなくスローンの悲鳴でルーサーの死が明らかになる。全員が駆けつけると、最後にハーグリーブズ卿がやってくる。隠し通路の扉が開かれていることで、誰もがガーディアンにルーサーが殺されたと考えるが、5号はハーグリーブズ卿を怪しんでいた。
いよいよクーゲルブリッツがホテルを飲み込み始め、崩壊が始まると、ハーグリーブズ卿は全員を隠し通路に入るように急かす。結果的に家族は向こう側へと行くことになるが、ハーグリーブズ卿はクラウスを突き飛ばし、隠し通路を閉じてしまう。
クラウスはハーグリーブズ卿に見捨てられたことにショックを受けるが、クーゲルブリッツが世界を飲み込む寸前で、部屋に飾られていたバッファローの角に飛び込み、自殺することで死後の世界へと向かう。
第10話:オブリビオン "Oblivion"
(C) Netflix
シジルを探せ
ディエゴ、アリソン、5号、ヴィクター、ベン、スローンが隠し通路のポータルを通り、ホテル・オブリビオンへやってくる。最後にやってきたハーグリーブズ卿は、クラウスがクーゲルブリッツに取り込まれてしまったと説明するが、5号は疑念を抱く。
死後の世界では、ルーサーはクラウスとピザを食べながら砂漠でテレビを見ていた。ルーサーはクラウスから死後の世界にいることを知らされると、ハーグリーブズ卿がエイリアンのようだったこと、現実世界に戻って兄妹たちに知らせる必要があると訴える。
しかし、クラウスは生きることに飽きたと言い、死者の世界で悠々自適に過ごそうとする。クラウスは死後の世界でルーサーから逃げ続けるが、ルーサーはしつこく追いかけ回す。
一同がロビーに到着すると、ディエゴは受付の呼び鈴を鳴らさないように全員に警告する。ハーグリーブズ卿が一人で黙々と調査を始めると、ライラは妊娠の影響で空腹になり、ラウンジで寿司を食べるが、メンバーに明かすつもりはない様子だ。
5号とヴィクターは、ハーグリーブズ卿とアリソンに疑いの目を向けるが、彼女が正直に打ち明けるとは思えず、注意することで同意する。
その後、ハーグリーブズ卿は全員を集め、「7つの鈴」である「シジル(西洋魔術で使われる紋章)」を見つける必要があると主張し、手分けして探すことになる。
5号とヴィクターは、ハーグリーブズ卿とアリソンが一緒になることを阻止し、5号、ヴィクター、アリソンの三人、ベン、スローン、ハーグリーブズ卿の三人、ディエゴとライラの二人に分かれる。しかし、ハーグリーブズ卿は日記を忘れたと言い、一人で行動を始める。
各階の調査を始めると、5号はアリソンにハーグリーブズ卿と取引した現場を目撃したことを詰め寄るが、アリソンは知らないフリをして部屋から出ていく。ヴィクターに続いて5号がアリソンを追いかけようとすると、5号はホテル内の別の空間にいることに気づく。
ライラは自分が母親としての覚悟ができていないことで不安になるが、ディエゴは慰める。スローンは真面目にシジルを探すが、ベンはハーグリーブズ卿にプライドを傷つけられたことで苛立っていた。二人が口論していると、5号が現れ、ホテルの内部が生きているように動き、閉じ込められたことを説明する。
ガーディアンとの戦い
ハーグリーブズ卿がロビーの受付のベルのそばにいると、クラウスが現れる。クラウスはルーサーを殺したことで責めるが、ハーグリーブズ卿はクラウスを殴って気絶させると、呼び鈴を鳴らす。それにより、ホテル内が黄色い光とともに轟音を立て、各階にいるメンバーたちはそれぞれガーディアンに襲われ始める。
スローンと5号は協力してガーディアンと戦うが、ベンは傍観するだけだ。二人が追い詰められると、ようやくベンが手助けに入り、3人は協力して一体のガーディアンを倒す。
アリソンは突然現れたガーディアンに腕を切りつけられ、ヴィクターとともに共同浴場へ逃げ込むが、いつの間にか二人は引き離されてしまう。
ディエゴとライラはナイフを使ってガーディアンの動きを遅らせるが、ダメージは与えられていなかった。ディエゴはライラとお腹の子供を守るため、彼女を倉庫に閉じ込めて進んでいく。
倉庫の前をヴィクターが通ると、彼の能力をコピーしてライラは倉庫から脱出する。すると二人の前にガーディアンが現れ、ヴィクターとライラは協力してガーディアンを倒す。
7つの星印
全員がロビーに戻ってくると、意識を取り戻したクラウスが、自分とルーサーを殺したのがハーグリーブズ卿であると伝える。全員がハーグリーブズ卿に目的を問い詰める中、5号はロビーの床に施された星のデザインがシジルと同じであることに気付く。
5号がそれを知らせようとすると、最後のガーディアンが天井を突き破り、5号の左腕を切り落として現れる。鎌を持ったガーディアンは瞬時に全員に攻撃を始め、クラウス、アリソン、ヴィクター、ディエゴ、ベンを倒す。
最後に残ったスローンは能力を使って食い止めようとするが、それも時間の問題だった。すると背後にルーサーが現れ、ガーディアンを投げ飛ばす。クラウスが能力で呼び戻していた。
ルーサーはハーグリーブズ卿に怒りをぶつけ、目的を問い詰めると、彼は「宇宙で一番大切なものを守るためだ」と言う。ルーサーはスローンに愛を伝えるが、クラウスの能力が限界に達し、ルーサーはスローンの腕の中で消えていく。
ガーディアンが復活し始めると、5号は床がシジルであることを知らせ、ハーグリーブズ卿は全員を床の7つの星印の上に立つように命じる。
すぐにディエゴ、クラウス、ヴィクター、ライラ、ベン、スローンの6人が星の上に立ち、残り1つの星にアリソンが向かおうとすると、ハーグリーブズ卿はアリソンにそれを踏ませず、5号に命じる。
5号が最後の星の上に立つと、彼らは青白い光で繋がり、その光がガーディアンを撃ち抜く。同時にガーディアンの体の内部は大量の虫でできていることが判明する。
異次元の機械
星の上に立った7人は身動きできず、ホテルのロビーは黄色い光に包まれて別次元の空間へと変わり、司令室が出現する。
アリソンが状況を理解できないでいると、ハーグリーブズ卿は異次元の機械の中にいると説明し、それは宇宙の創造者が作ったという。7人の体内の粒子が機械の燃料になると説明し、ハーグリーブズ卿は機械を操作する。
アリソンは粒子が吸収されてみるみる生気を失っていく7人の苦しむ姿を目撃し、ハーグリーブズ卿が目的を達成する前に彼の頭を斧で切り落として止める。露出したハーグリーブズ卿の頭の断面は人間とは思えない様子で、緑色の血が流れていた。
7人は倒れ込み、司令室には赤く点滅するボタンが残される。全員がアリソンを止める中、アリソンはそのボタンに引き寄せられ、ボタンを押してしまう。
能力の消失
暗転し、アリソンがロサンゼルスの自宅に戻る様子が映される。アリソンは娘のクレアと再会し、自宅には夫のレイモンドの姿もあった。これは異なる時代の二人が同じ時代にいることを意味している。
一方、ヴィクター、5号、ディエゴ、ライラ、ベン、クラウスの6人は、エレベーターで地上へとたどり着く。目前にある広場には、ハーグリーブズ卿の功績を称える胸像があった。
すると、6人の後からエレベーターを上がってルーサーが現れる。彼はゴリラのような肉体ではなく、普通の人間の大きさになっていた。ルーサーは自分が生きていることに驚く。
5号はハーグリーブズ卿が宇宙をリセットしたと推測する。スローンがいないことに気づいて取り乱すルーサーが5号に迫るが、5号は見当もつかない。5号はルーサーから離れようとするが、能力が使えなくなっていることに気付く。
同じように、全員が能力を使えなくなっていることが判明する。ルーサーはスローンを探しに離れていき、クラウスが心配して追いかけていく。ベンは一人で立ち去り、ディエゴとライラは人生を楽しむと言って二人で去っていく。
家族が散り散りになっていく様子にあきれた5号もその場を立ち去り、ヴィクターだけが残される。ザ・ヘヴィーの「Short Change Hero」が流れる中、ヴィクターはハーグリーブズ卿の胸像に向かって「クソ野郎」と言い放ち、その場を後にする。
一方、街全体が映されると、ハーグリーブズ卿の企業が町の経済を牛耳っていることが明らかになる。街にそびえ立つ高層ビルでは、ハーグリーブズ卿とアビゲイルが手をつなぎ、街を見下ろしていた。
ポストクレジットシーンでは、韓国のヨイド行きの列車の中で本を読むベンが微笑む姿が映される。