ロマンス

【ネタバレ感想】角田光代の小説が原作『愛がなんだ』に共感できる?

今回ご紹介する映画は『愛がなんだ』です。

今泉力哉監督が角田光代の原作小説を映像化した本作。

相手を一途に思い続ける女性の恋愛感情の機微を巧みに表現した映画になっています。

恋は盲目と言いますが、みんな幸せになりたいだけなんです。

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映画『愛がなんだ』の作品情報とあらすじ

作品情報

原題 愛がなんだ
原作 角田光代「愛がなんだ」
監督 今泉力哉
出演 岸井ゆきの
成田凌
深川麻衣
製作国 日本
製作年 2019年
上映時間 123分
おすすめ度 (3.5点/5)

『サッドティー』や『パンとバスと2度目のハツコイ』の今泉力哉監督が手がける本作。

今泉監督は恋愛映画が得意で、その繊細な心情を映像化することに長けています。

いろんな恋愛の形を描いてきた監督が本作で表現するのは、一方通行な恋愛です。

原作小説の繊細で難しい恋愛感情を巧みに映像に落とし込んでいます。

あらすじ

28歳のOLテルコは、5カ月前にマモルという男性に一目惚れしてから彼が生活の中心となっていた。

仕事や友達など関係なく、マモルが常に優先順位の一位だった。

しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルはテルコにまったく恋愛感情がないことがわかる。

ある日、テルコはマモルに急接近するが、その日を境にマモルの連絡が途絶えてしまう…。

映画『愛がなんだ』は角田光代の小説が原作

本作は、『八日目の蝉』『紙の月』などでも知られる、角田光代による小説が原作となっています。

原作ではテルコの一人称視点で進んでいくのですが、映画ではテルコだけではなく、取り巻く人たちにも焦点をおいています。

角田さんの小説は、女性の繊細な心情を文字にして表現することが得意だと感じました。

難しい表現や言葉も出てこないので、読書が苦手な方でも読みやすい作品だと思います。

映画『愛がなんだ』の主題歌

© Homecomings All Rights Reserved.

本作、『愛がなんだ』の主題歌は、京都を拠点に活動する4ピースバンドHomecomingsの楽曲『Cakes』です。

Homecomingsは京都アニメーション制作のアニメーション映画『リズと青い鳥』でも主題歌を担当していました。

フジロックフェスティバルにも出演したり、海外アーティストと共演して楽曲作りなどもしている注目のバンドです。

そんな本作の主題歌、『Cakes』のミュージックビデオも本作の監督である今泉力哉が手掛けているんですね。

映画の雰囲気にマッチしている、優しい曲調が心地良い曲です。休日とか、春とかに聴きたくなります。

   

映画の雰囲気にマッチしている、優しい曲調が心地良い曲です。休日とか、春とかに聴きたくなります。

【ネタバレ感想】『愛がなんだ』は共感できるか?

©︎2019「愛がなんだ」製作委員会.

※以下映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

共感できるかがカギ

恋愛の形は人それぞれですが、登場人物たちの行動を通して共感できる部分があるかどうかで感想は変わってくると思いました。

実際この映画がヒットしてる背景には、テルコをはじめとした登場人物の心情が理解できたり、似たような経験をしたことがある人が多いからではないでしょうか。

とはいえ、今作でのテルコとマモルの関係は一言で言い表しづらいものがあり「友達以上恋人未満」という表現も違う気がします。

心の機微の表現の上手さ

テルコのマモルに対する感情は一歩引いてみるとイタイと感じます。

しかし、物語が進んでいくとテルコに限らず、マモル・葉子・ナカムラ・すみれの誰もが一方通行の想いを寄せていることが分かります。

登場人物誰もが形こそ違うものの、似たような想いを抱いていることが分かるのです。

そういった相手を想う気持ちが分かるため、テルコは余計に歯がゆい思いをしてると思います。

実際、ナカムラが葉子への思いを諦めて離れることを決断した後に、ナカムラがいなくなっても何も変わっていない様子の葉子をテルコが非難して言い争うシーンがあります。

テルコはナカムラの気持ちが分かるため、その思いを伝えますが、葉子も表情には出さないものの、「寂しくないわけない」と感情を露わにします。

詳しくは描かれませんが、葉子自身も仕事先の人に想いを寄せているような描写があり、少なからず同様の感情を持っていると伝わります。

振り向いてくれないけれど好きな人を想う気持ちと、好きじゃない人に好かれる気持ち。どちらも辛いですよね。

また、テルコが働く銭湯で登場する先輩女性もいい味を出しています。

淡々と仕事をこなすクールな人のようですが、チャイルドシート付きの自転車に乗って帰るシーンを映すだけで人物像を想像できる撮り方は上手いなと思いました。

今作はそういった心情描写の映し方と、役者の表情どちらもが上手く、自然に、リアルに感情が伝わってきた点がよかったと思います。

また、主人公のテルコに感情移入ができなくても、彼女の周りでも違った考え方の恋愛が描かれているので、そちらにハマる人もいるのではないでしょうか。

「愛がなんだ」のラストと感じたこと

最終的にテルコのマモルに対する想いは変わりませんでした。

マモルがテルコに対して恋愛感情を抱いていないことが分かりますが、それでもテルコにはマモルから離れるという選択肢はありませんでした。

たとえそれがマモルの友人と体の関係となったとしても。

テルコは劇中、「マモちゃんの家族になりたい、というかマモちゃんになりたい」という発言をしています。

実際、マモルとの会話の中で本人が覚えていないようなこと(ゾウの飼育員になりたい)に対しても、それをテルコが実現してしまうという恐ろしいともとれるシーンがありました。

好きなあまり、仕事もクビになり相手の要望にいつでも応えられる仕事しかしない、言わば究極の恋人想い。

そんなのおかしいって最初は思って観てましたが、会社の同僚とのシーンで「おかしいと思うのは本気で人を好きになったことがないからだよ」と軽く言ってしまうテルコの姿に確かにそうかもと感じてしまう自分がいました。

相手を想う気持ちが愛というのであれば、テルコは究極の愛を体現しているのかもしれませんね。

ただ、やはり僕は共感できませんでした。

テルコがマモルをあそこまで好きになる理由というのがよく分からなかったですし、彼女のマモルに対する思いは、「私ほどマモルを思っている人はいないんだ」という自己満足にしか思えず、共感できませんでした。

僕が思うのは、「好きになるのに理由などない」と言いますが、同時にそれほど好きだった気持ちがある日パッとなくなるのも恋愛だと思います。

それらをひっくるめて恋愛や愛という形のないものに正解などなく、みんな幸せになりたいんだということなんですよね。

【まとめ】みんな幸せになりたいだけなんだ

以上、『愛がなんだ』をご紹介しました。

岸井ゆきのさんは非常にハマっていたと思います。

結局のところ、本作を観たところで愛の正体については分かりません。

ただ、多くの方がナカムラの言葉に共感するのではないでしょうか。

幸せになりたいっすねぇ〜

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