ホラー・スリラー

【ネタバレ考察】『Swallow/スワロウ』はただの“飲み込む”スリラー映画ではない。

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今回ご紹介する映画は『Swallow/スワロウ』です。

カーロ・ミラベラ=デイビス監督による作品で、監督自身の家族の経験から着想を得たスリラー映画

完璧な妻としての重圧を感じて孤独を深めていく女性が、“異物を飲み込む”ことで自身を取り戻していく姿を描いています。

映画『Swallow/スワロウ』の作品情報とあらすじ

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作品情報

原題 Swallow
監督 カーロ・ミラベラ=デイビス 
脚本 カーロ・ミラベラ=デイビス 
出演 ヘイリー・ベネット
オースティン・ストウェル 
製作国 フランス
アメリカ 
製作年 2019年 
上映時間 95分 
おすすめ度 (4点/5点)

あらすじ

大富豪の御曹司に見初められ、誰もがうらやむ暮らしを手に入れた若く美しい女性、ハンター。

彼女は子どもを身ごもるも、夫と義父母からは軽んじられ、孤独な日々を送っていた。

そんなある日、ふとした拍子に“ガラス玉を飲み込みたい”という衝動に駆られる。

次第に彼女は、異物を飲み込む快楽にハマっていく……。

『Swallow/スワロウ』のスタッフ・原作

カーロ・ミラベラ=デイビス監督

carlo-mirabella-davis-swallow-director出典:https://variety.com/

映画『Swallow/スワロウ』は、カーロ・ミラベラ=デイビス監督の祖母のエピソードから着想を得ています。

強迫性障害を持っていた監督の祖母は、一日に石鹸4つを使ってしまうほどに手を洗わないと気が済まないのでした。

それも祖父から受ける抑圧的な態度が原因だっといいます。

祖母は結果的に精神病院へと入れられてしまい、ロボトミーという非道な医療行為をされてしまうのでした。

監督自身も20代に自分を女性として性別を認識していた経験があり、だからこそ分かる女性の生きづらさセンセーショナルに描いています。

まめもやし
まめもやし
撮影スタッフも多くが女性なんですよね。

『Swallow/スワロウ』のキャスト

キャスト 役名
ヘイリー・ベネット ハンター・コンラッド
オースティン・ストウェル リッチー・コンラッド
エリザベス・マーヴェル キャサリン・コンラッド
デヴィッド・ラッシュ マイケル・コンラッド
デニス・オヘア ウィリアム・アーウィン
ローレン・ヴェレス ルーシー

ヘイリー・ベネット

swallow-cast出典:https://www.imdb.com/

主演のハンターを演じたのはヘイリー・ベネット

ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演の2007年の映画『ラブソングができるまで』で映画デビューし、歌手としても活動している女優です。

近年では2016年の『ガール・オン・ザ・トレイン』でのセクシーな妻役が印象に残っていますね。

『Swallow/スワロウ』での彼女の演技は素晴らしく、異物を飲み込むというスリルと、官能的に感じるエロスがあって、目を離すことができませんでした。

主な出演作
  • 『ラブソングができるまで』
  • 『イコライザー』
  • 『マグニフィセント・セブン』
  • 『ガール・オン・ザ・トレイン』

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オースティン・ストウェル

swallow-cast_02出典:https://www.imdb.com/

大富豪の御曹司でハンターの夫にはオースティン・ストウェル

彼はデイミアン・チャゼル監督の『セッション』にも出演していましね。フレッチャーに相手にされていませんでしたが…笑。

今作ではイケメン御曹司という役柄がハマっていて、優しくて完璧な夫に見えるけど胸の内には何かあるなというのがよく伝わってきました。

以下、映画のネタバレに触れていますのでご注意してください。

【ネタバレ感想】

swallow_01出典:https://www.imdb.com/

キワモノ映画ではないテーマ性

本作では『Swallow』というタイトルは名詞の「ツバメ」ではなく動詞の「飲み込む」を意味しています。

文字通り、主人公のハンターが異物を飲み込むというストーリーなのですが、これだけだととかなりのキワモノ映画に聞こえてしまいますが、裏にあるのは現代社会に通じる女性の生きづらさ

家父長制がもたらす女性の孤独、息苦しさを描いた近年の同様の作品としては『82年生まれ、キム・ジヨン』『レディ・マクベス』『透明人間』などが挙げられます。

  • 『82年生まれ、キム・ジヨン』では、子どもを持つことで改めて感じる男女間の格差
  • 『レディ・マクベス』では、夫に見向きもされないことで感じる孤独
  • 『透明人間』では夫にモノとして扱われることの苦しみ

上記のように、それぞれが女性として・妻としての生きづらさを描いていました。

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『Swallow/スワロウ』では、それらが集約したような作品となっており、一見すると理想的に見えても、そこにある息苦しさの逃げ道を、“異物を飲み込む”というアプローチで描いたのです。

まめもやし
まめもやし
観客にも明確な“痛み”が想像できる形で描いたのはさすがですね!

【ネタバレ考察】彼女はなぜ“異物”を飲み込むのか?

swallow_02出典:https://www.imdb.com/

ハンターは、なぜ異物を飲み込んでしまったのでしょうか。

映画の内容を振り返りつつ、彼女の行動を追っていきます。

“飲み込む”という逃げ場

思い返してみると、彼女が最初に飲み込もうとしたのは氷でしたね。

夫と義父母とともに会食をしていた時、ハンターの話が途中で義父に遮られてしまったのでした。

これに始まり、『Swallow/スワロウ』ではハンターが家庭内で軽んじられていることがヒシヒシと伝わる映像が多く描かれていました

良い格好をして夫の帰りを待つだけの言わば“人形”のように扱われているのです。

いくら豪邸に住んでいたとしても、それは飛ぶことを許されない鳥かごの中の鳥のよう。

さらに、子どもを授かったことで、夫や義父母の目線はハンターではなくお腹の中の子どもへと加速していきます。

そんな中で、彼女は“異物を飲み込む”ことで何かを達成した感覚や充足感を得ていくのでした。

まめもやし
まめもやし
ハンターにとって異物を飲み込むのは、息苦しさの“逃げ場”だったんですよね。

異物を飲み込むことがフィーチャーされてしまうと単に異常な行動として思われてしまいがちですが、これって他人事ではないんですよね。

恐らく、多くの人がストレスや息苦しさを感じた時に、何かすがるものやぶつける対象があると思います。

例えば、暴飲暴食したり、硬いものを噛んだり、普段はやらないけどやってしまうことがあると思います。

ハンターの異物を飲み込むことはそれと同じことなんです。

逃げ場のその先へ…

swallow_03出典:https://www.imdb.com/

しかし、そんな異物を飲み込んでしまうハンターを夫や義父母が理解できるはずがなく、彼女の逃げ場すらも「正しい行い」として取り上げていくのです。

いよいよ家でやることがなくなり、苦しみが増していくハンター。

ここで『Swallow/スワロウ』がすごいのは、終盤の展開にギアがかかることなんですよね。

明かされなかったハンターの過去を明らかにしていき、彼女自身がその過去と対面していく姿を映すことで、逃げ場のその先を描いたのです。

ハンターの母親はレイプされ、宗教上の理由から中絶もできないため、生まれてしまったのがハンターだったのです。

一方で、ハンターの本当の父親であるレイプ犯は出所して幸せな家庭を築いていました。

始めて夫と豪邸から自力で外へ出たハンターは、自分の足で父親に会いに行くのです。

そこでハンターが父親に聞いたのは「私は恥ずべき存在か」どうか。

これまで自分の過去を語らなかったハンターでしたが、自分のせいではないにもかかわらず、自らを恥ずべき存在だと思ってきたからなんだと分かるのです。

まめもやし
まめもやし
それを考えると、完璧な女性として務めてきたハンターの苦しみが一層伝わってきますね…。

それでも飲み込みむことを止められず、モーテルで土をあまりにも美味しそうに食べる姿はなかなか辛いものがありました。

ラスト、エンドロールの意味は…

swallow_04出典:https://www.imdb.com/

そんなハンターが最後にある選択をしましたね。

それは、夫との間に身ごもった子どもを堕ろすこと

文字通り、薬を飲み込み、吐き出したのです。

これまでは、異物を飲み込み、それを痛みを伴いながら排出することで“生”を感じていたハンター。

出産とは別の形、むしろ堕胎という反対の意味で体外へ出すことで、ハンターは自身の身体を取り戻していったのです。

始めは電話で優しい言葉をかけて連れ戻そうとしていた夫が、ハンターが帰らないと言った瞬間に「俺の子を返せ」とブチぎれていたのが印象的ですね。

また、エンドロールは女性トイレをずっと定点で映したまま行き交う人が映されます

トイレとはつまり、出す・排出する場所。

ハンター同様に、排出する女性たちの素の姿を映すことで、本作のテーマを普遍的な女性のテーマへと、広義にしていたのだと思います。

【まとめ】ただのスリラー映画に終わらない秀作

以上、『Swallow/スワロウ』をご紹介しました。

異物を飲み込むというスリルの裏側にある普遍的なテーマ

主演のヘイリー・ベネットは素晴らしい演技で、過去作の中でも一番良かったように感じます。

2021年1月1日公開という、新年早々に観るには重いかもしれませんが、見るべき映画だと自信を持っておすすめできる一本でした!

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