退屈に耐えられない者には、この仕事は向いていない。
If you are unable to endure boredom, this work is not for you.
ザ・キラー
今回ご紹介する映画は『ザ・キラー』です。
デヴィッド・フィンチャー監督&マイケル・ファスベンダー主演による、ある殺し屋の姿を描いたスリラー映画。
本記事では、ネタバレありで『ザ・キラー』を観た感想・考察、あらすじを解説。
殺し屋の復讐映画と思いきや、意外にも共感できる「お仕事映画」でした!
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『ザ・キラー』の作品情報・予告・配信
『ザ・キラー』
5段階評価
ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :
あらすじ
ある任務失敗により、雇い主を相手に戦うことになった暗殺者。世界中で追跡劇を繰り広げる彼は、それがかたき討ちであっても目的遂行に個人的な感情を持ち込まないよう自分自身と闘い続ける。
作品情報
タイトル | ザ・キラー |
原題 | The Killer |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
脚本 | アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー |
出演 | マイケル・ファスベンダー アーリス・ハワード チャールズ・パーネル ティルダ・スウィントン |
撮影 | エリック・メッサーシュミット |
音楽 | トレント・レズナー アッティカス・ロス |
編集 | カーク・バクスター |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023年 |
上映時間 | 118分 |
予告編
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おすすめポイント
殺し屋のワークライフバランス。
フランスのグラフィックノベルを原作に、マイケル・ファスベンダー主演、『セブン』のデヴィッド・フィンチャー監督&アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー脚本で映画化。
ある任務を失敗した殺し屋が、それによって発生した事態を収束させるため、復讐の追跡撃を始める物語。
完璧ではない殺し屋の主人公が、自分の思考と行動を巡らせて「何のために仕事をするのか」を見出していく様子は、フィンチャー監督流の「お仕事映画」のように感じます。
無駄のない洗練された映像と、主人公の人間的な様子が興味深い一本。
『ザ・キラー』の監督・原作・製作背景
監督:デヴィッド・フィンチャー
名前 | デヴィッド・フィンチャー |
生年月日 | 1962年8月28日 |
出身 | アメリカ・コロラド州 |
監督は、これまで数々の名作を世に打ち出してきたデヴィッド・フィンチャー。『セブン』でタッグを組んで脚本を執筆したアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが、本作で再タッグを実現しています。
音楽を担当したトレント・レズナーも、フィンチャー映画の多くの音楽を担当している安定の座組。撮影を担当したのは『Mank/マンク』でタッグを組み、アカデミー賞撮影賞を受賞したエリック・メッサーシュミット。
まさにフィンチャー映画の最強メンバーと言える布陣です!
フィンチャー監督は、Netflixと4年間の契約を結んでいて、本作は『Mank/マンク』に続く2本目となります。
原作:グラフィックノベル
本作はグラフィックノベルの『The Killer』が原作。
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『ザ・キラー』のキャスト・キャラクター解説
キャラクター | 役名/キャスト/役柄 |
---|---|
ザ・キラー(マイケル・ファスベンダー) プロの殺し屋。マグダラという恋人がいる。 | |
ザ・ローヤー(チャールズ・パーネル) ザ・キラーのハンドラーである弁護士。名前はホッジズ。 | |
ザ・クライアント(アーリス・ハワード) 億万長者のビジネスマン。 | |
ザ・キスパート(ティルダ・スウィントン) ニューヨークで生活するプロの殺し屋。 |
ネタバレあり
以下では、映画の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。
【ネタバレ解説】『ザ・キラー』のあらすじ
第1章 → パリ/標的
© 2023 Netflix
名前のないプロの暗殺者(ザ・キラー)がパリのホテルの一室を見張っている。ザ・キラーは、指定された時間にホテルにチェックインする予定のターゲットを狙撃銃で殺す準備をしているが、なかなか姿を現さない。
ターゲットを一週間ほど待っている間、自分の仕事のルーティンを語りながら過ごすが、睡眠不足になっていた。そしてついにターゲットの男が到着する。
しかし、ザ・キラーはミスを犯し、ターゲットと一緒にいた女性を撃ってしまう。彼は逃げ出し、警察の追手をかわして、アメリカに飛ぶ。
第2章 → ドミニカ共和国/隠れ家
© 2023 Netflix
ザ・キラーはドミニカ共和国の隠れ家に戻るが、恋人のマグダラが何者かに襲われたことを知る。
ザ・キラーは急いで病院に向かい、彼女が被害を受けたものの一命を取り留めたことを知る。彼女の兄マーカスによると、マグダラは拷問されるも口を割らなかったという。
ザ・キラーはマグダラを襲った2人の男女がタクシーで逃げたという情報をもとに、襲撃犯を乗せたタクシードライバーのレオを見つけ出す。
ザ・キラーはレオから、足に怪我を負った「ブルート」という男と「綿棒のような女」という情報を得ると、レオを撃ち殺す。
第3章 → ニューオーリンズ/弁護士
© 2023 Netflix
ザ・キラーは、自分のハンドラーでもあるニューオーリンズのホッジズのオフィスに向かい、清掃員に変装してビルに侵入する。
彼はホッジズの秘書であり同僚のドロレスを拘束し、ホッジズに殺し屋の名前を聞き出そうとする。ホッジズはザ・キラーを説得しようとするが、彼はホッジズの胸にネイルガンを撃ち込む。
ザ・キラーは情報を吐かせようとするが、自分が予想したよりもホッジズが早く死んでしまう、その後、ドロレスが自宅にある暗殺者の情報を渡すと申し出ると、彼女の家に向かう。
ドロレスは自分が殺されることがわかっていたため、子供に生命保険の遺産を残すため、事故死を装ってほしいと頼む。ザ・キラーは彼女の家で暗殺者の名前を手にすると、彼女の首を折り、階段から突き落として殺害する。
第4章 → フロリダ/ブルート
© 2023 Netflix
ザ・キラーは、フロリダに向かい、足に怪我を負った「ブルート」を探し始める。
彼の自宅を突き止めると、番犬のピットブルに薬を飲ませて眠らせて侵入する。しかし、気付いたブルートの反撃に遭い、激しい格闘の末に彼を殺害する。
ザ・キラーは目を覚ましたピットブルの追撃をかわし、火炎瓶でブルートの自宅を焼き払う。
第5章 → ニューヨーク/ザ・エキスパート
© 2023 Netflix
ザ・キラーは、ニューヨークに移動し、「綿棒のような女」ザ・エキスパートを見つけ出す。
ザ・キラーは彼女がレストランで食事をしているところに向かい、彼女と対峙する。ザ・エキスパートは自分の運命を受け入れたような様子を見せ、ザ・キラーに仕事をする理由を問いかける。
彼女は「最後の晩餐」としてウイスキーを飲み、レストランを後にする。近くの公園まで歩き、彼女はつまずいたことを装い、手にしていたナイフで反撃しようとしていた。しかしそれを見抜いていたザ・キラーは彼女を素早く撃ち殺す。
第6章 → シカゴ/ザ・クライアント
© 2023 Netflix
ザ・キラーは最後にシカゴに向かい、依頼主であるタワーマンションのペントハウスに住んでいる億万長者のビジネスマン、ヘンダーソン・クレイボーンの元に向かう。
キラーは自分の資産を全てドミニカ共和国に送金し、クレイボーンの日常を観察する。Amazonで購入した道具を使って彼のカードキーを複製し、ビルに侵入すると、ペントハウスでクレイボーンと対峙する。
ザ・キラーはクレイボーンに銃口を向け、個人的な恨みで報復の殺しを依頼したのかと尋ねる。クレイボーンは個人的な問題はないと言う。
彼は殺し屋を初めて雇ったこと、その計画をザ・キラーが失敗した後、ホッジズから「後始末」の方法を聞いて金を払ったことを明かす。
その理由を聞いたザ・キラーはクレイボーンを見逃すが、もしクレイボーンが自分に手を出したら「ゆっくりと死なせる」と脅して去っていく。
終章 → ドミニカ共和国
その後、キラーはドミニカ共和国に戻り、退院したマグダラと共に引退生活に入る。
ワーカーホリックな殺し屋のFIRE
© 2023 Netflix
『ザ・キラー』は、殺し屋が仕事をミスったことで自分の家族を襲われ、その復讐に乗り出す様子を描いた作品。ジャンルとしてはリベンジ系と言えるかもしれませんが、一方で「お仕事映画」でもありました。
デヴィッド・フィンチャーと「お仕事映画」
本作、数々の名作を届けてきたデヴィッド・フィンチャー監督の映画の中では、かなり地味な印象があります。
一方で、見方によっては「ワーカーホリックな殺し屋のFIRE」映画のように映りました。そう考えると、私たちにとっても親近感の湧く内容と言えると思います。
マイケル・ファスベンダー演じる主人公は、名前が明かされることはありません。彼の自分の仕事の流儀や不眠症である様子から思い出すのは、『ファイト・クラブ』のエドワード・ノートン演じる主人公。
本作と同様、具体的な名前ではなく「僕(I)」であり、物質的に豊かな生活を送りながらも不眠症でした。
さらに『セブン』のモーガン・フリーマン演じるサマセット刑事を思い出してみると、引退間近で厄介な事件が起こるという点で、本作に通じる部分があります。
Facebook創設の伝記ドラマである『ソーシャル・ネットワーク』はまさに仕事映画。デヴィッド・フィンチャー監督は一貫して「仕事」を描いてきていることがよく分かります。
思考と行動のバランス
『ザ・キラー』はモノローグに溢れた作品です。セリフはほとんどない一方で、ザ・キラーは自分の殺し屋としての仕事の流儀を観客に明かしていきます。
冒頭のシーンでは、あたかも彼が「絶対に失敗しない男」のように映りますが、彼がひとたび暗殺をミスすると、この映画は動き始めます。
ザ・キラーはミスをしたものの、決して仕事ができない人間ではなく、殺すときは殺す人間です。本作が面白いのは、思考と行動が必ずしも一致するわけではないこと。
彼は仕事に対する「自分ルール」を持っていますが、それぞれの場面で必ずしもそれを守るわけではありません。「感情移入するな」と言い聞かせるザ・キラーですが、ドロレスを事故死に見せかけたり、ピットブルを殺すこともしません。
ザ・キラーというキャラクターは、その名の通りに殺し屋ですが、ジョン・ウィックのような殺戮マシーンではなく、明らかに「人間的」に描かれています。『ブレット・トレイン』におけるブラッド・ピット演じる殺し屋レディバグにも通じる部分があります。あるいは『SPY×FAMILY』におけるヨルとも言える…。
それは本作が「お仕事」映画であり、物語を通して、主人公が「何のために仕事をするのか」を自問する映画だからだと思っています。
ワーカーホリックな殺し屋のFIRE
© 2023 Netflix
現代社会に生きる多くの社会人にとって、適切なワークライフバランスを保つことの難しさは誰もが感じていると思います。
経済協力開発機構(OECD)のワークライフバランス調査によると、先進41カ国の中でアメリカは29位、日本においては37位と、ワークライフバランスが悪いことが明らかです。
生きるために働いているのか、働くために生きているのか。社会に生きる私たち誰もが考えたことがあるでしょう。
本作は「殺し屋」という仕事を用いて、そんなワークライフバランスと向き合う様子を描いた作品だったと思います。
それは、冒頭シーンとラストシーンにも現れています。冒頭では、ザ・キラーは建設中のWeWork(ワーキングスペース)の中で、閉鎖的な空間で1人、窓からターゲットを監視しています。一方、ラストシーンでは、ドミニカ共和国の隠れ家で、隣には解放的な空間に愛するマグダラがいます。
復讐の旅路の過程で、ホッジズやザ・エキスパートから「なぜ姿を消さなかったか」「なぜ仕事をするのか」を尋ねられているところも印象的。
一見すると、ドジな殺し屋が自分の尻拭いをする映画のように思いますが、より抽象化してみると、仕事をミスしたことがきっかけで「何のために仕事をするのか」を考えた主人公が、折り合いを見つけていく映画に感じました。
彼にはすでに暮らしていける貯金がある。それならいっそ仕事を辞めてみようと思うのも充分理解できます。
そう考えると、本作の主人公に名前が付けられておらず、「ザ・キラー」という「職業」であることは、彼が私たちと同じであることの現れであり、共感性があります。
彼のように仕事に夢中になるあまり、自分が何のために働いているのかを見失ったことがある人には共感せずにはいられません。
まとめ:殺し屋もつらいよ
今回は、デヴィッド・フィンチャー監督&マイケル・ファスベンダー主演『ザ・キラー』をご紹介しました。
デヴィッド・フィンチャー監督ならではの、無駄のない映像表現や現代社会における人間的殺し屋の魅力が感じられる一本でした。
一方で、冒頭のザ・キラーの言葉を借りるなら「退屈に耐えられない人には、この映画は向いていない」でしょう。
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