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映画

【ネタバレ感想・考察】『ミナリ』家族とは根を張って生きるセリだ

今回ご紹介する映画は、『ミナリ』です。

リー・アイザック・チョン監督による作品で、第93回米アカデミー賞では作品賞を含む6部門でノミネート(助演女優賞受賞)を果たした注目作。

アメリカ南部で、ひたむきに生きる韓国系移民一家の姿を描いた物語。

本記事では、映画『ミナリ』をネタバレありで感想・考察・解説します。

まめもやし

パーソナルで淡々と進む物語ですが、衝突や災難があってもたくましく生きる家族の姿に心動かされる静かな感動作でした!

『ミナリ』は以下のサイトで見放題!

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『ミナリ』の作品情報・予告・配信・評価

『ミナリ』

ミナリ

5段階評価

ストーリー :
キャラクター:
映像・音楽 :
エンタメ度 :

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あらすじ

1980年代、農業での成功を夢見る移民のジェイコブ一家がアーカンソー州に引っ越してくる。荒れた土地を見た妻は不安を感じるが、長女・アンと弟のデビッドは希望を見いだそうとする。だが水が干上がり、作物は売れず、一家は次第に追い詰められていく。

作品情報

タイトルミナリ
原題Minari
監督リー・アイザック・チョン
脚本リー・アイザック・チョン
出演スティーヴン・ユァン
ハン・イェリ
アラン・キム
ノエル・ケイト・チョー
ユン・ヨジョン
音楽エミール・モッセリ
撮影ラクラン・ミルン
編集ハリー・ユーン
製作国アメリカ
製作年2020年
上映時間115分

予告編

↓クリックでYouTube が開きます↓

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『ミナリ』のスタッフ・原作

リー・アイザック・チョン監督

『ミナリ』の監督を務めたのは、韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョン監督

実は本作、アメリカの農村地帯で育った監督の半自伝的物語でもあるんです。

主な監督作

  • 『ムニュランガボ』(2007)
  • 『ラッキー・ライフ』(2010)
  • 『アビゲイル・ハーム』(2012)

サンダンス映画祭でのダブル受賞をきっかけに

『ミナリ』は2020年のサンダンス映画祭でグランプリと観客賞のダブル受賞の快挙を成し遂げました。これを皮切りに、各国の賞レースを席巻し、アカデミー賞6部門ノミネート、助演女優賞受賞となりました。

ちなみに、これまでサンダンス映画祭で2大主要部門「グランプリ」と「観客賞」をダブル受賞した作品は以下になります。

開催年受賞作品
1999年『季節の中で』
2006年『Quinceañera(原題)』
2009年『プレシャス』
2013年『フルートベール駅で』
ネタバレ感想記事はこちら >
2015年『ぼくとアールと彼女のさよなら』
2016年『バース・オブ・ネイション』
2020年『ミナリ』
ネタバレ感想記事はこちら >
2021年『コーダ あいのうた』
ネタバレ感想記事はこちら >
まめもやし

どれも素晴らしい作品なので、合わせてどうぞ!

サンダンス映画祭
歴代のサンダンス映画祭受賞作品一覧【名作ぞろい】

A24とプランBの配給

本作は、多くの意欲的な話題作を手掛ける「A24」と、ブラッド・ピットが経営する「プランB」の配給となっています。

まめもやし

2016年のアカデミー賞作品賞『ムーンライト』と同じですね!

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【A24films】映画会社「A24」って知ってる?【作品一覧】

『ミナリ』のキャスト

キャスト役名
スティーブ・ユァンジェイコブ
ハン・イェリモニカ
アラン・キムデビッド
ネイル・ケイト・チョーアン
ユン・ヨジョンスンジャ
ウィル・パットンポール

スティーブ・ユァン

スティーブ・ユァン
Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0
名前スティーヴン・ユァン
生年月日1983年12月21日
出身韓国・ソウル(国籍はアメリカ)

主な出演作

  • 『オクジャ okja』(2017)
  • 『バーニング 劇場版』(2018)
  • 『ミナリ』(2020)
  • 『NOPE ノープ』(2022)
  • TVシリーズ『BEEF 逆上』(2023)

主人公、ジェイコブ役には『ウォーキング・デッド』のグレン・リー役でも知られるスティーブン・ユァン

彼自身、物心がついてからアメリカに移住し、韓国とアメリカの両方の文化に溶け込んでいる背景があったことで監督がキャスティングした経緯があります。

本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされています。

ハン・イェリ

© A24

ジェイコブの妻を演じたのは、ハン・イェリ

伝統舞踊ダンサーとして活躍しており、数々の映画やドラマに出演。

アラン・キム

© A24

デビッド役を演じたのは、アラン・キム

本作で子役デビューとのことですが、自然な演技でアメリカと韓国のアンデンティティをもつ男の子としての役回りを好演していました。

ネイル・ケイト・チョー

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© A24

デビッドの姉・アンを演じたのはネイル・ケイト・チョー

ワシントンD.C.の郊外で生まれ育った彼女も本格的な俳優としては今作が初めてとのこと。

ユン・ヨジョン

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© A24

破天荒なおばあちゃんを演じたのは、ユン・ヨジョン

50年以上のキャリアで数多くの賞を受賞した経験をもつ韓国の著名な俳優で、本作でも圧倒的な存在感を残していました。

    主な出演作

    • 『青い塩』
    • 『それだけが、僕の世界』
    • 『チャンシルさんには福が多いね』
まめもやし

アカデミー賞でも助演女優賞に輝きました!

ウィル・パットン

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© A24

ジェイコブのもとで働く風変わりなキリスト教信者を演じたのは、ウィル・パットン

    主な出演作

    • 『アルマゲドン』
    • 『タイタンズを忘れない』

ネタバレあり

以下では、映画『ミナリ』の結末に関するネタバレに触れています。注意の上、お読みください。

【ネタバレ感想】パーソナルだけど共感性のある物語

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© A24

『ミナリ』は、1980年代を舞台に、アメリカに移住した韓国系移民の家族を描いたパーソナルな物語です。

そんな「家族」の話を、割と淡々と描いていることもあり、見る人によっては退屈に感じた方もいると思います。

アジア系移民にとっては、アメリカでの日常生活の描き方に共感性があったのかもしれません。

しかし、私としてはその点よりも、「家族」を主軸にした普遍的な人生の機微を描いたところに心を動かされたので、その点について話していきます。

夢見る夫と現実的な妻

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© A24

ジェイコブは、農業での成功を夢見てアーカンソー州の田舎に家族と移住してきました。

アメリカンドリームを夢見るジェイコブと、現実的な生活を望むモニカ

まめもやし

この対照的な夫婦像が印象的でしたね!

息子のデビッドが心臓を患っていることから、モニカは病院まで1時間もかかる生活に心配を隠せません。

一方、夫のジェイコブは、経済的な成功こそが結果的に家族を助けることを信じているのです。

夫婦は、ヒヨコのオスとメスを鑑別する仕事でなんとか生計を立ててはいますが、ジェイコブはセリフ通り「成功する姿を見せたい」と思っている。

詳しく描かれてはいませんが、妻のモニカは、韓国の都市部の、割と裕福な育ちであることが想像でき、アメリカに移住したこと自体が望んだことではないようにも感じられます。

時には子どもたちに聞こえるほどの口論をしてしまう2人ですが、その緩衝材となるのが、モニカの母・スンジャでした。

スンジャおばあちゃん

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© A24

『ミナリ』において、スンジャこそが、ジェイコブ一家の絆を取り戻すきっかけを作った人物でした。

彼女は、デビッドが言うように、料理もクッキー作りもやらない「おばあちゃんらしくないおばあちゃん」なのです。

孫のデビッドにも避けられるスンジャでしたが、映画が進むにつれて彼女をきっかけに絆のような関係が生まれいくのです。

同時に、モニカにとってスンジャの存在は、祖国(韓国)とアメリカをつなぐ役割となっていたようにも感じます。

しかし物語が後半に差し掛かると、スンジャの行動によって家族が不運な道をたどっていくのでした…。

衝突と災難

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© A24

農業でひと山当てようと頑張るジェイコブとは裏腹に、自然は優しくありません。

水道は止まり、生活水もスンジャやデビッドに川から運んでもらうなど、家族への負担は大きくなっていきます

病気を患っているスンジャも、次第に弱々しくなっていくのです。

モニカは、苦手なヒヨコ選別を頑張り、なんとか家族を支えようとしますが、彼女にも限界が来てしまいます。

それは、デビッドの検診のため、町へ訪れたときのこと。

検診を目的にやってきたのに、ジェイコブは自分の野菜の買い手を探すことに夢中になっていたのでした。

家族の心配よりも農園の成功を選んだジェイコブ。モニカはいよいよ別れを決意します。

さらに、スンジャの過ちによって引き起こる納屋の火事。加速して家族に不運が訪れるのです。

【ネタバレ考察】 ミナリが意味する家族像

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© A24

降りかかる災難をみると、絶望的に感じる家族の状況ですが、ラストには希望が見えるカットで終わっていましたその意味について考えていきます。

ラストシーンは、スンジャが植えたミナリが育った川辺で、ジェイコブとデビッドが摘み取るシーンで幕を閉じます。

本作のタイトルでもあるミナリ」は、韓国語で香味野菜のセリ(芹)を意味する言葉

そんな「ミナリ」には大きく2つの意味が込められていたように感じました。

  • 子どものために生きる親の姿
  • 土地に根を張って生きる家族

子どものために生きる親の姿

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© A24

ミナリは2度目の旬が最も美味しい」と言われているそうで、その様子を、子どもたちの幸せのために懸命に生きる親世代の姿に映していました。

実際に、本編を通して、ジェイコブとモニカの行動には、移民の背景はあるものの、子どもを思う行動原理には普遍的な共感があると思います。

本作の素晴らしいところに、セリフよりも表情やシーンで心理を描くところが挙げられます。(一方、これが退屈に感じてしまう人も理解できます)

それが顕著に見られるのが、モニカが別れを切り出すシーンから、火事が起きるまでの流れ

ジェイコブにとって、野菜の買い手が決まり、やっと家族に報いることができると思った矢先で、妻から突きつけられる三行半

モニカにとって、息子の病気の心配よりも、自分のやってきたことの証明に励むジェイコブへの不信感

この2人の心情がそれぞれよくわかるので、非常にいたたまれないシーンになっています。

そして、気まずい空気が流れる夫婦の帰路に突きつけられる火事という災難

燃えさかる納屋から命がけで野菜を運び出そうとするジェイコブと、意を決して火の中に飛び込むモニカの姿。

いよいよ命の危険を感じたとき、2人は互いを助け合い、炎の中から脱出するのでした。

土地に根を張って生きる家族

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© A24

「ミナリ」の言葉が表すもう一つの意味、それはアメリカという地で根を張って生きようとする移民家族の姿だと感じました。

スンジャが植えた、人のいない場所で育ったミナリのように、町から離れた土地で必死に根を張って生きようとする家族の姿が重なるのです。

自分が家族の大黒柱として「農業で成功することが家族を守ること」だと思っていたジェイコブが、失敗や災難を経て本当の意味で家族を知る物語

まめもやし

夫婦間で互いに抱えたものがありつつも、家族の再出発として描いていたのは良かったです!

とはいえ、引っかかった点も一つあります。

それは、再出発を描くために信仰の要素を入れていること。

合理的な考えで、信念を持って行動するジェイコブと、彼の農業を手伝う信心深いポール。

『ミナリ』では、この2人の対比が面白い点でもあり、デビッドに考えることを教えていたジェイコブでしたが、ラストには冒頭で拒否していた300ドルのダウジングをお願いしているのです。

まめもやし

この描写がどうしても違和感を抱かずにはいられなかったな…

確かに、アメリカンドリームを目指したジェイコブの努力とは裏腹に、現実は厳しく、ときに藁にもすがりたくなるのは分かります。

しかし、再出発を決めた要素は「信仰」ではなく、「家族」であるはず。

それは、支えてくれた妻のモニカであり、たくましく生きるアンやデビッドであり、スンジャの存在があったからだと。

それを「信じる者は救われる」ではないですが、アメリカ的な生き方に迎合することで得られたように見えてしまうのがもったいなく感じました

「信仰」についての少し気になった部分について、もう少し考察してみます。

【ネタバレ考察】タンスにはどんな意味が…?

『ミナリ』において、気になるけど見逃してしまいそうなのが「タンス」の描写

  • デビッドが引き出しを落として怪我をした
  • スンジャがタンスを睨むような描写があった
  • ポールに除霊のお願いをしていた

タンスにまつわるエピソードは詳しく描かれませんが、上記のシーン、気になった方も多いのではないでしょうか。

タンスは「お金」を表していた

このタンスの描写に対する私の考察は、「タンス= お金」だったのではないか

前半のジェイコブとモニカの会話シーンで、モニカは「子どものためにお金を使って」と言っていました。

そんな中で、ジェイコブはタンスの中にあるお金を「投資」と言ってポールを雇い、トラクターを購入していましたよね。

ジェイコブは、お金(経済的な成功)があれば家族が幸せに暮らせると信じていました。

しかし、ジェイコブが農業に夢中になればなるほど、次第に状況が悪化し、家族の生活に影響が出ていました。

そう考えると、あのタンスには、成功に妄信的になっていたジェイコブの根本にある「お金の問題」を映していたように感じます。

つまり、デビッドが足を怪我をしたのも、お金に執着するジェイコブが、彼の体よりも農業を優先した描写を暗喩していたのでした。

そんなタンス(お金)の重みにも負けないデビッドの姿を知ったからこそ、スンジャは「Strong Boy(強い子だ)」と言ったのではないでしょうか。

まめもやし

こういった余地を残した映し方が、僕は好きな描き方でした!

まとめ:家族という根を張って生きる

今回は、リー・アイザック・チョン監督の半自伝的映画『ミナリ』をご紹介しました。

全体的に淡々と進む物語なので、「これがオスカー候補なの?」と感じる人も多いかと思います。

確かに、監督の半自伝的映画で、パーソナルな物語であることは否めませんが、映し出された「家族」の様子には普遍的な共感があったと感じました。

牧歌的な風景と、映像の心地よさ、人間らしさを感じる描写は、ドキュメンタリーを見ているような感覚にもなります。

まめもやし

たとえ、一歩ずつでも家族ならなんとかやっていける。セリのようなたくましさを感じた感動作でした!

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